★びじゅなび密着取材企画★〜DEZERT編〜Vol.5:2023年4月1日(土)京都MOJO

 

311()新横浜NEW SIDE BEACH!!から開催されてきた<DEZERT LIVE TOUR 2023 / 天使の前頭葉

この日、京都MOJO公演はツアー6公演目でありファイナルにあたる。

すなわちこの密着企画も今回で最終回となる。

桜舞い散る古都の中心で天使は微笑むのか本日も潜入開始。

 

 

 

京都MOJO

四条烏丸駅から地下一階のライヴハウス。街並みが碁盤の目の作りになっている京都の中でも活気のある四条通り沿いにそびえる赤い看板がひと際目につく。

 

会場のキャパシティは300にも満たないサイズでこのツアーでは最小になるためサウンド・ライティング面でも可不可の取捨選択が迫られる。

 

 

ドラムのSORAは会場特有の音の反響が気になるようで、ローを削りながらもスネアのピッチの高さに違和感を覚え、アイデアを出しながら試行錯誤している。

かなりの時間を要し、ようやく「これでいこう!」と一言。今日の音が決まる瞬間だ。

 

サウンドチェックでは会場内の様々なポジションを細かく動き回り、鳴りを確認する。

当然、前方後方によって得られる効果も変わるのでどのポジションにも楽曲のニュアンスが届くようにバランスを取っていく作業だ。

300未満のキャパシティということもありすぐに終わるものかと思いきや、数歩単位で生じるサウンドの差異が気になるようで、いずれのメンバーもこのツアーのどの会場よりも神経を使っているように見えた。

 

 

 

 

サウンドチェックで音が決まってからようやくリハーサルが始まる。

楽器隊3人が固まってきたところでヴォーカルの千秋が合流するのがルーティーンだが、千秋がギターを弾く楽曲が多数予定されているためこの日は早い段階から4人で合わせることに。
京都MOJOではステージ上の足元にモニターを設置するスペースがないため、このツアーを共にしてきたPAとメンバーの打合せも緻密に行われる。

 

 

SORAのスティックケースの中には真天地開闢集団ジグザグの影丸(Dr)のスティックが。

SORAは前夜に影丸の提案で開催されたドラマー二人によるイベント「影丸(-真天地開闢集団ジグザグ) vs SORA(DEZERT) -THE BATTLE OF THE DRUM-」を大阪・hillsパン工場にて行っていた。

 

会場を見渡した千秋が「ライヴハウスっぽいな懐かしい。いいね。」と立ち位置につくとスタッフの「ツアーファイナルとなります。よろしくお願いします。」をきっかけにスタート。

最終公演にしながらこの日もセットリストが昼過ぎに急遽変更されていることもあり限られたリハーサル時間の中でも、感覚を取り戻すためにマストでプレイしなくてはならない楽曲が出てくる。ところが、ここでは長年演奏されてきていて、このツアーでも欠かさず披露されていた楽曲のアレンジ変更についても談義が行われた。ツアーを着地させることよりも新鮮なアイデアを優先させることになり、それに伴い細かいマイクのセッティングも見直すことに。この辺りはライヴハウスの空気感から触発されたものかも知れない。

 

 

 

 いつも以上の緊張感を纏ったリハーサルは帯同するスタッフ陣も思わず総立ちで見守る。

ここではあえて感情を抑えるように合わせるに留まった。

SORAが照明スタッフに、客席からの見え方とメンバーから見える景色の乖離が小さくなるように告げたところでいざ最終スタンバイへ

 

緊張感というよりは各々が集中力を高めるそれはメンバーもスタッフも同じ。

この日は満員のフロアで不測の自体に陥らないように、常駐スタッフと警備スタッフ間でもオーディエンスファーストの対応の確認が最後まで行われていた。熱狂的ライヴの裏側ではお客さんを怪我無く帰すという責務もある。

いつものリラックスしたムードとは明らかに異なり、静かな楽屋。

予定時間をやや過ぎたところで開場し、あっという間にフロアが埋め尽くされる様子がモニターに映る。

 

緊張感が増したそんな時に千秋から「なんも撮らんでいいの?密着なんやから気遣わないでね~。」と声をかけられたので、1枚。

 

 

『可愛い千秋』(2023・日本)

ステージでは傍若無人な一面もあるが、気遣いも忘れないナイスガイである。

本番前に、いつも無理をOKしてくれてありがとうございました。

 

この日、特に久しぶりに披露されることになっている楽曲について、滅多に演奏されない理由を千秋に尋ねたところ、「な?そうでしょ?ええ曲なんやけどそういえばなんでやらないんだろうね?()」と明るく語っていたが、前日の彼のインスタグラムにその楽曲に対する想いが綴られていたことからして、迂闊には扱えない大切な曲なのかも知れない。

 

 

 

気合い入れ。ツアー最終公演がいよいよ始まる。

 

定刻を僅かに過ぎたころ、SEもなくメンバーが定位置につく。そして、ツアータイトルになっている象徴的なバラード「天使の前頭葉」を序曲に展開するここまではそれ常だったが、最終公演では様子が違う。

蒼白い暗がりの中で、聴こえてくるはずのピアノ音がないことを察したオーディエンスから徐々に手が挙がり始めると、いきなりラウドな「Dark In Black Hole」で幕を開ける。続いたのは「バケモノ」。奇しくもツアーで初めて『black hole』の1曲目と2曲目が連なることなった。

3曲目は彼らのファーストアルバム『タイトルなし』の人気曲「胃潰瘍とルソーの錯覚」。

一度熱気が生まれると逃すことが難しい、ライヴハウスは本来こういう場所だったことを思い出させるように渇いてますか?と歌いだすのはアッパーな縦ノリが心地よい「Thirsty?」、さらには序盤にして早くも極悪チューン「殺意」を披露する超攻撃的メニュー。

 

 

これまでにない汗ばんだ熱気のなかSacchan(Ba)のピアノが物悲しいバラード「天使の前頭葉」が披露された。ここではメンバーが向かい合いながら丁寧に呼吸を重ねる。SORA(Dr)のシンバルの残響に千秋(Vo)の孤独な激唱が重なるとこの日初めてフロアに静寂が訪れた。

 

ここからの中盤ブロック、このツアーで定番になった歯ギターをフックにした伸びやかなMiyako(Gt)のギターソロが印象的なセッションからフロアを小気味よく揺らせた「白痴」。冒頭に千秋がサビを歌いだす導入が加わることでグッと色気が増した「御法度」と『black hole』の楽曲が一段と形を変えながら披露されていく。

 

 

「この感じ思い出した?今日がライヴ初めてだってヤツ、もっとハメはずしていいからね?」

「さぁ!やっちまおうぜ!」

 

ラウド&キャッチ―な「感染少女」は歓声の音量が一気にあがる。急激に加速したところで続いたのは、「Call of Rescue」。ボトムを支えるSacchanとムチのようなSORAのドラミングが楽曲の内包する多様な表情を表現し、Miyakoの奏でるクリーンも要所で不穏に心情を揺さぶる。ドラマティックなメロディの上に感情を遺棄するかのような千秋の歌詞が乗るのがDEZERTの特徴的な一面だ。

さらに心ごと深い奈落へ突き落す「神経と重力」。ストロボの中でSacchanのうめるベースが負のボルテージを増幅させた。熱気を一気に冷ますようなダークな楽曲群の並びは、生きることの苦悩をありありと浮き彫りにさせた、ツアーを通じて本編のハイライトである。

 

ここまでツアーでは、この奈落の底からどう這いあがっていくのかがひとつポイントになっていたが、その手段としてここで披露されたのはまさかの「遮光事実」。

驚嘆するオーディエンスを背に、メンバーがSORAのドラムの周りにグルーヴを生んでいく。「遮光事実」は言わずと知れた初期DEZERTを代表する名曲であるが、収録されている『「眩暈に死んだ部屋」』が世に放たれたのは2012年のことだ。今から10年ほど前、満員にするまで先に進まない、と渋谷のO-WESTでワンマンを執拗に繰り返していた頃、ライヴにおける重要なポジションでDEZERTが大切に演奏していたこの曲。当時の若かりし千秋がやり場のなさを衝動のままに詰めこんだ歌詞と抜群のメロディが美しくも切ない珠玉中の珠玉のナンバーだ。のちに「Ghost」、「「ピクトグラムさん」」、「オーディナリー」、「TODAY」とその時期を代表するナンバーが生まれると共に「遮光事実」は自然とプレイされる機会は激減していったが、今回フルアルバムとしては現時点で最新作となる『black hole』が進化していったツアーの最終地点で一段と深度が増した奈落から這いあがるために、特別なピースとして再び必要になったのではないだろうか。

 以降もツアー後半からメニューに加わった、世界に中指を立てる「教育」、諦めの悪い者たちへのエールをDEZERT流に昇華した「再教育」とハードなナンバーの応酬で会場の熱気をさらに上げると、天使の前頭葉ツアー改め「半透明を食べる。」ツアーへようこそ!の煽りからラストが定位置になった必殺曲「半透明を食べる。」ではヘドバンの嵐を生んで半狂乱のなか本編を終了。

 

 

熱気の余韻がまだまだ残る、アンコール1曲目はアコースティックギターが切なげに響く「I’m sorry」。前向きな歌詞とビートがダイレクトに胸を揺さぶる「True Man」と『black hole』の世界を完遂。

MCでしばしばアルバム14曲は多いと語られていたが、20曲以上になるセットリストのほとんどがアルバム楽曲で構成されることは一部のコンセプトライヴを除いてDEZERTにとってかなり久々のこととなった。バンド、オーディエンスで共にアルバムの世界観を嚙み砕いて解釈していくツアー、「True Man」以降はお祭りとばかりに人生は気合いだ!と吠え始まった往年の「脳みそくん。」、そしてフロアが着席する姿が懐かしくも、狂暴な「秘密」と熱気が止まらない。

 

 

ラストは「「君の子宮を触る」」で大爆発。

結果的に京都公演はバンド初期の代表曲の比重が多く、ツアー自体も着地したというよりは急な離陸体制に入るようにかつてない空気感で一旦終わりを迎えることとなった。

3年以上前のアルバムに初めて向き合うという特異な新鮮さに触れることになった<DEZERT LIVE TOUR 2023 / 天使の前頭葉>。各地のライヴを経てどこに着地するのかが見えづらい瞬間もあったが、事実、着地することを終着点としない結末が待っていた。千秋はMCで「(コロナ禍で)優しくなり過ぎてしまった。」と語っていたが、ライヴ本数を経て、この数年で自分たちが取り戻しきれなかったものへの挑戦がテーマとなっていたように見える。

往年のナンバーを並べることでかつての自分たちを取り戻せると勘違いするほど短絡的なバンドでないことは承知しているが、やはりどこか懐かしいあの頃DEZERTが香るファイナル公演になった。客席に心を閉ざすこともしなければ、スタッフにキレることもない、もちろんフロアに乱入してルール無視で暴れることもないけれど、何かを掴もうと藻掻く彼らのあの鋭い目つきはどこか懐かしく見覚えのあるものだった。取り戻すという表現は後ろ向きにも感じるが、キャパシティや制限が緩和され全力で応える満員のオーディエンスを密接な距離感で感じることで触発され、彼ら自身にも当初の予定とは違った感情が芽生えたところは大いにあるだろう。

 

「お疲れ様でした。また成長して会おう!センキューまたね。」

 

あの頃なら素直に言えなかった感謝の言葉を残してメンバーはステージを後にした。

 

起承転結ならぬ起承転でツアーはフィナーレを迎えたかと思えたが、フロアからはダブルアンコールの声が。

鳴りやまないその声は次第に大きくなっていったが結果、再びメンバーがステージに姿を現すことはなかった。だが、やがて拍手と歓声に変わったその声は必ず届いているはずだ。

 

 

ここから彼らは424()に渋谷クラブクアトロで本ツアーの追加公演<DEZERT LIVE  2023 / 天使の前頭葉結ふ>で『black hole』の世界を東京に持ち帰り、617()川崎クラブチッタを皮切りに827()の大阪なんばHatchまで<DEZERT LIVE TOUR 2023 “きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー>で全国を再び廻ることになる。

 

そしてその先には923()LINE CUBE SHIBUYAで<DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT->も控えている。

 

black hole』の奈落から飛び立ったDEZERTNEXTを見逃す選択肢はないだろう。

 

 

取材・文:山内秀一

 

★<Vol.1:2023年3月11日(土)新横浜NEW SIDE BEACH!!>はこちらから★

★<Vol.2:2023年3月18日(土)金沢AZ>はこちらから★

★<Vol.3:2023年3月21日(火・祝)柏PALOOZA>はこちらから★

★<Vol.4:2023年3月25日(土)水戸ライトハウス>はこちらから★

 

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DEZERT LIVE 2023 / 天使の前頭葉結ふ

424() SHIBUYA CLUB QUATTRO OPEN 18:15 / START 19:00

【チケット料金】前売5,500(税込・ドリンク代別) オールスタンディング 

※THANK YOU SOLD OUT!※

 

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DEZERT LIVE TOUR 2023 “きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー

617日(土)CLUB CITTA’ OPEN 17:00 / START 18:00

71日(土)新潟NEXS   OPEN 17:30 / START 18:00

79日(日)仙台Rensa  OPEN 17:30 / START 18:00

715日(土)福岡DRUM Be-1  OPEN 17:30 / START 18:00

716日(日)福岡DRUM Be-1  OPEN 17:30 / START 18:00

722日(土)岡山CRAZYMAMA KINGDOM  OPEN 17:30 / START 18:00

723日(日)高松MONSTER  OPEN 17:30 / START 18:00

729日(土)札幌ペニーレーン24  OPEN 17:30 / START 18:00

826日(土)名古屋DIAMOND HALL  OPEN 17:15 / START 18:00

827日(日)なんばHatch  OPEN 17:15 / START 18:00

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【チケット料金】6,000円(税込・ドリンク代別)

 スタンディング(大阪公演以外の9公演)

 全自由/座席有り(827日大阪公演のみ)

 ※入場整理番号付き

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【オフィシャルHP先行受付(抽選)】 受付期間:325()12:0043()21:00

受付ページ https://eplus.jp/dezert230608-official/ 

※イープラス抽選受付、各公演12枚、スマチケのみ、同行者登録有り

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【チケット一般発売】429(土・祝)

◎公式リセール実施予定

 

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LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT-

923 () LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

詳細は後日発表。

 

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<リリース情報>

 

Blu-ray / DVD 「DEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 “The Walkers”」発売中

【通常盤】(Blu-ray) DCXL-7 / 7,700円(税込)

【通常盤】(DVD DCBL-21 / 6,600円(税込)

収録曲・特典等の詳細はこちらhttps://www.dezert.jp/discography/detail/1197/  

 

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