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2017年04月11日 (火)

【ライヴレポート】ラストワンマンツアー2017 「WE ARE KAMELEO!!」4月5日(水)渋谷WWW★「残りあと9本。俺は最後までこの仲間を信じて、最後まで最高のライヴを続けていこうと思ってる!」

REPORT - 17:02:48

 4月5日(水)、カメレオが『ラストワンマンツアー2017 「WE ARE KAMELEO!!」』を渋谷WWWからスタートさせた。

 

 今年1月に結成5周年記念公演を行ない、3月22日にシングル「生きづLIFE!!」をリリースすること、それに伴った全国ツアーを開催することを発表していたカメレオ。それは、ワンマンライヴで次の展開をアナウンスするという、いつも通りの光景だった。しかし、2月13日。彼らは、現状告知しているツアーをもって解散することを発表。予想だにしなかった衝撃の発表に、カメコカメオ(カメコカメオはカメレオファンの総称)はもちろん、関係者や盟友達も驚き、悲しみの声を寄せていた。そして、最後になんとしてでも彼らのライヴに行きたいと、全9公演を予定していたラストツアーはソールドアウトが続出。そんな状況と、解散発表直後から追加公演の要望が多数届いていたことを受け、カメレオチームが急遽調整。6月17日に舞浜アンフィシアターで正真正銘のラストライヴを行なうこととなった。

 

 現在公開されているシングル「生きづLIFE!!」のオフィシャルインタビューで、ラストツアーはとにかく今見せられる一番かっこよくて、一番楽しくて、一番魅力的なカメレオを見せたい。残された時間で感謝をしっかりと伝えたい。

そして、いつも通りのテンションで臨みたいと意気込みを話していたメンバー達だったが、ツアー初日の渋谷WWW公演に関しては、まさにいつも通り……いや、いつも以上に……というか、過去最強にハイテンションなステージを繰り広げた。

 

 まだツアーが始まったばかりということで、セットリストの詳細は伏せさせていただくが、この日は、新曲「言いづLIFE!!」はもちろんのこと、シングル収録曲を要所に配置しつつ、旧曲も大量に披露。彼らのこれまでの歴史を総括するような、まさにラストツアーにふさわしいものになっていた。

なかには、かなり久々に登場した曲もあり、カメコカメオ達は大歓喜! 次から次へと放たれるあんな曲やこんな曲を、全身で楽しんでいた。

MCでは「この5年間で一番思い出に残っていること」というテーマでトークを繰り広げるメンバー達。

懐かしい話に花を咲かせつつも、そこに感傷的な空気は一切なく、心の底から楽しそうに笑う5人の姿があった。

 

 ラストツアーだからといって、変な気負いも空回りもすることなく、ひたすら笑顔でライヴを楽しむ5人が、すでに高まりまくっているフロアのテンションをさらに上へ引き上げていくという光景が延々と続いていたのだが、メンバー全員がマイクを持って歌って踊る5人ボーカル曲の「ごめんなさいっ!」でトラブルが発生。

Takeshiが使うマイクスタンドのホルダー(スタンドの一番上についている、マイクをガシャっとはめるところです)が故障してしまったらしく、マイクがしっかりと固定されない状態に……! そんな困っているTakeshiを横で見ていたDaisukeが、ホルダー部分をタオルでぐるぐる巻きにして固定するというファインプレーを見せた。

しかし、曲のラストでTakashiとTakeshiに担ぎ上げられたHIKARU.が、客席に向かってセリフを言っている最中、手持ち無沙汰になって暇をもてあましていたKouichiに、なぜか腕ひしぎ十字固めをかけられるDaisuke。曲が終わって無音状態になった瞬間に、「ギブギブギブギブ!」というDaisukeの絶叫が(しかもノーマイクで)会場全体に響き渡り、爆笑が巻き起こるという見事なオチとなった。

 

 演奏や演出はもちろんのこと、どんな手段を使ってでも来てくれた人をハッピーにしたい、元気になって帰ってもらいたい──そんなカメレオらしい“いつも通り”な信念が終始爆裂しっぱなしの約2時間半のステージとなったが、楽しそうに客席とコミュニケーションをとっていたHIKARU.は、「残りあと9本。俺は最後までこの仲間を信じて、最後まで最高のライヴを続けていこうと思っているので、最後までよろしくお願いします!」」と力強く宣言。ツアー初日は最高の形で幕を下ろしたのだった。

 

 カメレオはここからラストツアーを本格的にスタートさせるが、この日のステージは、はたしてこの勢いのまま突っ走って、最終日まで5人の体力が保つのかちょっと心配になるほど全力っぷり。とはいえ、身体がボロボロになろうとも、メンバー達は全公演凄まじいテンションで襲いかかってくる気全開なので、会場にくるカメコカメオ達はかなり期待して待っていていただきたい。

そして、メンバーの5人には、たとえばちょっとした段差からジャンプしただけで足の指を骨折したりしないように(笑)、ケガだけには気をつけて、全国で待つカメコカメオ達にこれまでの感謝をしっかりと伝えてきてほしい。

 

 そして、6月17日にラストライヴを行なう舞浜アンフィシアターだが、この会場は半円形ステージという、彼らが普段立っているライヴハウスやホールとは違う構造になっている。

すり鉢型になっている客席は、ステージとの距離がかなり近いところもあり、“カメレオらしいライヴ”をフルに発揮できる予感も……! 

間違いなく、そこで彼らは“今まで見たことのない景色”を作り出してくれるだろう。

 

泣いても笑ってもこれで最期。

カメレオが5年間で築きあげてきた集大成を、是非とも多くの人達に体感していただきたい。

 

 

TEXT:山口哲生

PHOTO:藤川正典

 

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■カメレオ LAST LIVE「WE ARE KAMELEO!!」

6月17日(土)舞浜アンフィシアター

OPEN 16:15 / START 17:00

 

【チケット料金】前売 6,300円(税込・全席指定)

【チケット発売中】

・チケットぴあ (Pコード326-078)  https://goo.gl/h0mOzr 

・ローソンチケット (Lコード77457)  https://goo.gl/4NX8Uy 

・イープラス https://goo.gl/v500Ch 

(問) HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

 

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■カメレオ ラストワンマンツアー 「WE ARE KAMELEO!!」

4月15日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!  ※Thank you SOLD OUT!!

5月4日(祝木) 福岡DRUM Be-1

5月7日(日)  高松DIME

5月14日(日) 名古屋ell.FITS ALL  ※Thank you SOLD OUT!!

5月20日(土) 札幌ペニーレーン24

6月3日(土)  仙台MACANA  ※Thank you SOLD OUT!!

6月11日(日) OSAKA MUSE  ※Thank you SOLD OUT!!

 

【料金】前売 4,500円 / 当日 5,000円(税込・スタンディング・ドリンク代別途)

 

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■リリース情報

ラストシングル『生きづLIFE!!』発売中!

【初回生産限定盤】CD+KMカード DCCSG-11 ¥1,800+税

【通常盤】CDのみ DCCSG-12 ¥1,400+税

 

『生きづLIFE!!』MV Full ver.  

 

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■インストア情報

4月22日土) 自主盤倶楽部

4月23日(日) 渋谷ZEAL LINK

4月29日(土) ライカエジソン東京店

5月5日(金) ヴィレッジヴァンガード福岡FREAKSパルコ店

5月5日(金) ミュージックプラザインドウ

5月6日(土) デューク高松

5月13日(土) 名古屋スペースD

5月21日(日) タワーレコード札幌ピヴォ店

5月21日(日) 音楽処

5月27日(土) タワーレコード渋谷店

5月28日(日) タワーレコード新宿店

5月28日(日) little HEARTS.新宿店

6月4日(日) little HEARTS.仙台店

6月10日(土) 大阪ZEAL LINK

6月10日(土) タワーレコードNU茶屋町店

 

■カメレオ

Official HP http://www.kameleo.jp/

Official Blog http://ameblo.jp/kameleojp

Official Twitter https://twitter.com/kameleojp/

 











2017年04月05日 (水)

【ライヴレポート】<ユナイト 6周年アニバーサリーワンマンライヴ【U&U’s –PICTURES-】>2017年3月29日 EX THEATER ROPPONGI

REPORT - 13:01:54

「終わらないバンド」という命題を掲げ、6年前に活動をスタートさせたユナイト。
メンバーチェンジという苦労を乗り越えながらも数多くのCDをリリースし、積極的にライヴ活動を展開してきた。
そして、2017年3月29日、EX THEATER ROPPONGIにて、彼らは6周年アニバーサリーワンマンライヴ【U&U’s –PICTURES-】を開催した。

ステージ後方のスクリーンに映し出された8カウントとU’s(ユナイトファンの呼称)の手拍子で6周年ライヴは華やかに幕を開けた。
まず目を惹いたのは、全面に広がる真っ白なステージセット。
キャンバスをイメージしたというだけあって、これから紡ぎ出される1曲1曲で会場を彩り豊かに染め上げてくれるだろうと期待が高まる。

「チュリップ」「アイ-’ation-」と続いたあとは、メロディアスでありながらハードな面を見せてくれる「HELIOS」を。冒頭から、“さぁ東京、みんなの想いを聞かせてよ!”と結(Vo)が笑顔と一緒にU’sのテンションを上げていくと、LiN(G)は自分の立ち位置である下手側のお立ち台へ軽快な足取りでのぼっていった。
6周年ライヴだからといって気負いすることなく、いつもどおりの様子でライヴを楽しんでいるのが伺える。

“改めましてこんばんは、ユナイトです。今日3月29日はユナイト6才の誕生日です!
周年とか、記念日とか、大事なライヴって聞くとめちゃめちゃかたくなっちゃいそうだけど、みんな緊張してない? たぶん、俺が1番緊張してると思うんだ(笑)。
でも、6周年というのはめでたいですから。めでたい日なのでらく〜に楽しんでいきたいと思うので、一緒に最後まで駆け抜けてもらえたらと思います。
それじゃあ、6周年一緒にお祝いしましょう。盛り上がっていけますかー!(結)”

と言って披露されたのは、最新シングルより「瞼に残光、」。
莎奈(Dr)が作ったこの曲は、宮沢賢治の名作『よだかの星』からインスピレーションを受けて歌詞を書いたというだけあって、スピード感がありながらもどこか文学的な匂いを残す。
かと思えば、ライヴでは定番曲となっている「色即是空-イロスナワチコレソラナリ-」では、曲が始まるや否や、常にクールなハク(Ba)がフロント前方へと迫り出してきてU’sを煽るという場面も。
こうして1曲ごとに絵を変え、様々な表情を見せていくのが、ユナイトの良いところだ。
この後には、「cinema verite」「約束」「クオリア」とミドルな楽曲を並べていく。
椎名未緒(G)の奏でる音はどれも歌うようであり、雰囲気作りに一役買っていた。

曲を演奏し終えると、今年の夏からスタートするワンマンツアー【君はまだユナイトを知らない】が開催されることを発表した。
ツアーファイナルが沖縄ということもあって、この後には、琉球音階を用いた「くくる」を演奏するという面白い一幕も。
同じく、デジタルシングルより、「PiNKY_she_SWeAR」と「無限ピクセル」を演奏して場内を沸かせる。
そして、ここからは怒涛の展開が待っていた。
「くじらのゆめ」を始め、ワンコーラスではあるが、6曲立て続けに煽り曲で攻めていった。
メンバーはもちろん、思い思いに曲を楽しんでいくU’s。

本日は座席指定の公演ではあるが、席のある/なしに関わらず、ユナイトの曲はどの場所にいても楽しむことができるんだと証明してくれた場面でもあったのだった。

“まだまだ体力余ってる? 暴れられる? 僕たち昨日、主催イベントの【トモダチコレクティブ】のファイナルがあったから、ライヴは2daysということもあって、みんなもちょっと疲れ気味なのかなと思ったけど、来てくれた人いるかな?
(場内のほとんどが手を挙げる)トモコレはとても良い空気感で周れて、最初はお友達と楽しいことがしたいと思って組んだツアーなんだけど、周ってみて思っていた以上に達成感のあるツアーだったのでまたやりたいなぁと思っていたら、6月に【トモダチコネクト】っていう主催の2マンツアーをやることが決まったので、良かったら遊びに来て下さい。
じゃあ、このまま思い切り突っ走っていきたいと思うので、気合い入れを兼ねて声を出してみよう。
いくよ、東京! もっともっと! それじゃあ、ラストスパート、突っ走っていこうかー!(結)”
LiNのコーラスに合わせて伸びやかに演奏された「small world order」、楽しさいっぱいの「Cocky-discuS」、どこまでもエモい「univaerse」など、本編後半も前半と比べて勢いが低下していくことはまるでなく、むしろ、最後にいくにつれ元気がチャージされているように見えた。
そして、「ice」「ジュピタ」とつなげた後は、最新シングルより「A Little Picture」を演奏。

この曲をラストに持ってきたのは、現状のユナイトが1番好きだというメンバーの気持ちを表わしていたのではないだろうか。
これまで、自分たちで「終わらないバンド」と掲げてきたが、それ相応のプレッシャーもあったに違いない。
だが、今の彼らは前だけを見て歩いている。終わらない為には、終わらせないように努力すればいい。
そんな力強さが「A Little Picture」に表われていた。“最高の時間を本当にありがとう。感謝しています!
これからも、手と手を取り合って歩んでいけたらと思います(結)”

こうして、ユナイトの6周年記念ワンマンは幕を降ろした。
本編で発表されたとおり、6月には2マンライヴ【トモダチコネクト】、8月からはワンマンツアー【君はまだユナイトを知らない】が開催される。
ツアーには“本当にユナイト、知ってますか?”というキャッチコピーが付いているあたり、今以上のユナイトが見られることは間違いない。
6周年記念ワンマンを無事に終えた彼らが向かう先には何が待っているのか、実に楽しみだ。

 

PHOTO:西槇太一、藤川正典
TEXT:水谷エリ

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■6th Anniversary oneman live
[U&U’s -PICTURES-] at EX THEATER ROPPONGI
2017.3.29(水) EX THEATER ROPPONGI

セットリスト

01. チュリップ
02. アイ -‘ation-
03. HELIOS
04. 瞼に残光、
05. チキンリドル
06. 色即是空 -イロスナワチコレソラナリ-
07. timeSICKness
08. cinema verite
09. 約束
10. クオリア
11. くくる
12. PiNKY_she_SWeAR
13. 無限ピクセル
14. くじらのゆめ
15. 粛清とチョコレート (ワンコーラス)
16. FCW (ワンコーラス)
17. 高級娼婦とカミキリムシ (ワンコーラス)
18. —キリトリセン— (ワンコーラス)
19. world wide wish (ワンコーラス)
20. Love_Duck_Core_Nothing (ワンコーラス)
21. small world order
22. Cocky-discuS
23. universe
24. ice
25. ジュピタ
26. A Little Picture

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ユナイト INFORMATION

■LIVE情報
●UNiTE. 2017 SUMMER ONEMAN TOUR 「君はまだユナイトを知らない」
・8/09(水) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
・8/11(金・祝) 郡山CLUB #9
・8/13(日) 仙台CLUB JUNK BOX
・8/15(火) 札幌DUCE
・8/16(水) 札幌DUCE
・8/19(土) 金沢AZ
・8/23(水) 高崎club FLEEZ
・8/25(金) 名古屋CLUB UP SET
・8/27(日) 大阪 阿倍野ROCKTOWN
・8/29(火) 岡山IMAGE
・8/31(木) 広島SECOND CRUTCH
・9/02(土) 福岡DRUM Be-1
・9/16(土) 沖縄 桜坂セントラル
・9/17(日) 沖縄 桜坂セントラル

●UNiTE. 2017 SUMMER ONEMAN TOUR 裏ファイナル 「Q:ユナイトとは?」
・9/30(土) 新宿BLAZE

【チケット】
・mobile FC [elite U’s] 抽選先行受付中:〜4/21(金)16:00 
・ユナイトofficial web site抽選先行:[受付期間] 4/28(金)12:00〜6/5(月)16:00
・チケット一般発売日:7/8(土)

 

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●ユナイト主催2マンライヴ 「トモダチコネクト」
・6/07(水) 渋谷REX [出演]:ユナイト/ HERO  
・6/08(木) 渋谷REX [出演]:ユナイトDevelop One’s Faculties
・6/14(水) 高田馬場AREA [出演]:ユナイ / CHISA&将吾
・6/25(日) 吉祥寺CLUB SEATA ※ハクバースデー [出演]:ユナイト / SHARE LOCK HOMES
・6/26(月) 高田馬場AREA [出演]:ユナイト / Chanty

【チケット】
チケット一般発売日:5/6(土)

ユナイト オフィシャルサイト
http://www.unite-jp.com/











2017年03月30日 (木)

【ライヴレポート】<Soanプロジェクトwith手鞠 Oneman Tour『静謐を制し征する音~東京編~』>2017年3月23日 渋谷Mt.RAINIER HALL★

REPORT - 12:00:46

 

ミニアルバム【静謐を制し征する音】をリリースし、初の東名阪ワンマンツアーを開催したSoanプロジェクトwith手鞠。

そのファイナル公演が、3月23日(木)東京・渋谷Mt.RAININER HALLで行われた。

この会場は、SoanがMoranでの活動中にアコースティックワンマン、手鞠がamber grisとして初のホールワンマンと、それぞれが過去に大切な日を過ごした思い出深い場所。

そして、このプロジェクトが予てより目標のひとつとして掲げてきたシッティング形式でのホール公演という夢を叶える記念すべき日となった。

 

 場内が暗転し、拍手に迎えられたメンバーがステージへと姿を現す。

ゲストミュージシャンは、アコースティックギターにタイゾ(from Kra)、同じくアコースティックギターとコーラスに祐弥、ヴァイオリンにSachi(from 黒色すみれ)、チェロにAkiko Yamazaki。サポート陣は黒を基調とした装い、Soanと手鞠は揃って真っ白なスーツに身を包んでいた。

 

Soanが鳴らしたウィンドチャイムの音色が、現実世界を遮断する魔法のように響き渡る。

静まり返った空間に手鞠の言葉が零れ出し、Soanのカウントからそっと音の波が押し寄せ始めた。

1曲目に届けられたのは【そして君は希望の光の中に消えた】。

ステージを照らし出すオレンジの光のように柔らかな感触を覚える楽曲だが、その光に満たされ自らの道を切り開いていく愛しい存在をどこか寂しげに見つめる主人公の想いが切ない。

 

「Soanプロジェクト。そこに織り成された“静”と“動”。

その表現が、挑戦が、試みが、また新たな『音楽を楽しむ姿』として成り立っている。

1人の作曲者と、並行し存在する2人の作詞者。

3人の思考が共存する、その世界。今、その片鱗をお見せしましょう。

【sign…】。」

 

タイトルコールされた【sign…】は元々、もうひとつのプロジェクトであるSoanプロジェクトwith芥で完成し披露されていた楽曲。

それを、楽器編成からして全く異なるこちらのプロジェクトでリアレンジし、芥の付けた歌詞を基に手鞠が言葉を紡ぎ直す新しい試みへの挑戦。

2本のアコースティックギターと、ヴァイオリン、チェロ。4本の弦楽器が絡み合うようにして奏でられ、ドラムが歌に沿った感情の起伏を伝えるように表情をつける。

手鞠が歌い上げたのは、荒々しく目に見えた激情ではなく、内に秘めた鋭利な熱情。

“3人の思考が共存する世界”という言葉どおり、Soanというアーティストを軸に同時進行する2つのプロジェクトが融合して新たな表現を生み出した素晴らしい瞬間であった。

 

「改めまして、渋谷Mt.RAINIER HALLへようこそ。Soanプロジェクトwith手鞠です。

必要以上の補足は、もはや要らないのではないかと思っています。

楽曲が、歌詞が、演奏が、我々の存在そのものが、定義であり提示する形です。

初めてのシッティング公演、最後までごゆっくりお楽しみください。」

 

客席に沸き起こった拍手の中へ、タイゾが鮮やかに切り込んでくる。ギターのボディを叩きながら弾き倒す迫力に満ちたスパニッシュなソロから、【感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛】へ。

まるで音を宙に舞わせるがごとく、腕の動きでも魅せながら叩くSoan。

各楽器の音色を引き出すように、或いはその音色に自らが操られるように、手の動きも含めて表現する手鞠。

終始、情熱的な演奏を貫くタイゾと、手鞠とタイゾの双方と絶妙なバランスを取りつつギターとコーラスを響かせる祐弥。

憎しみと葛藤を艶やかに彩る、SachiとAkiko Yamazakiのストリングス。

アウトロの連続ブレイクまで、圧巻の演奏であった。

 

不穏なギターと怒りの籠もった語りから始まった、【正否の相違、或いは利害の不一致】。

立ち上がり全身を使って伝える手鞠の伸びやかな歌声を筆頭に、音の塊が空間を突き抜けていく。

本質的に孤独な人間という生き物、相容れない価値観の存在、“理解できる”だなんてただの自惚れ。

「僕は君のように生きられない」

美しいメロディーに乗せて投げ掛けられたそのフレーズが、心の奥深くに突き刺さる。

 

ドラムセットからピアノへと移動したSoanの叙情的な音の調べは、【投影された在りし日の肖像という名の亡霊】だ。

悼むようなストリングス、2人のギタリストで繋げるように奏でたアルペジオのギターソロ、透明感のあるコーラス、そして繊細さと力強さを兼ね備えたピアノ。演奏に後押しされた歌声は、より感情的に熱を帯びた。

「わかってる・・・わかってる・・・」徐々に涙声になりながら何度も繰り返し、最後に「でも、わかりたくない。」と呟くと、その嗚咽にピアノが寄り添った【林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。】。

林檎を残して遠くへと旅立った、大切な“彼”への鎮魂歌。

語り掛けるように演奏するSoan。音は優しく哀しく降り注ぎ、目頭が熱くなる。

「そこから見えるかい?」

そう歌い、空を見上げながら高く手を差し伸べた手鞠。

きっと、きっと、届いている。心から信じたいと思った。

 

短い語りを挟み、【相対する質量の交錯する熱量】のあたたかなメロディーが光のように射し込んでくる。

時折、手鞠はSoanのほうに身体を向けて歌い、その度にSoanは微笑んでアイコンタクトを交わす。

そんなステージの穏やかな空気感と、愛しい存在の癖や仕草を思い返して幸福を感じる歌詞が相まって、会場は優しい雰囲気に。

 

祐弥のギター、Sachiのヴァイオリン、Soanのピアノに乗せて語られたのは、抗うことはできない人間の“命”のお話。

どこかで誰かの命が尽きた時、違うどこかでは新たな産声が上がっている。

何度生まれ死のうとも、自らの意思とは無関係に輪廻を繰り返す。全ては神の天秤次第なのだろうか?

ピンスポットに照らされながら【それは呪いと同義語の魂の鎖 永遠に続く祝福という名のカルマ】を演奏するメンバー達は、実際には存在していない紗幕の向こう側の、異なる世界の住人のように映った。

 

暫しのインターバルの後、手鞠が口を開く。

「君たちがそうであるように、僕の命を救ってくれたのもきっと音楽だと思っています。

消費する事に慣れた社会が、消耗品を使い棄てたとしても、僕らは自らのその意志で音楽を作ってきたし、作っているし、作っていく。そして、それを僕たちは楽しむことを忘れない。

誰かに言われたからじゃない。そうしたいから、そうするんだ。

偉大な先人たちが作り出したものがそうであったように、僕たちが作り出したものも、誰かの支えとなっていることを願っています。」

このステージに立っている全てのメンバーの気持ちを表した言葉から演奏された、【それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ】。

再びドラムへと移動したSoanの軽快なリズムに合わせて手鞠が手を左右に振ると、客席もそれに応えて揺れ始め、その様子を見たメンバーにも笑みが浮かぶ。

感情を歌に乗せ自由自在に表現している手鞠も、とても楽しそうに感じられた。

 

【焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫】は、澄んだメロディーが美しく印象的だ。

青い光に照らされたステージに零れ落ちる氷の粒のようなピアノフレーズと歌のメロディーはどこか郷愁を感じさせ、記憶の中の懐かしく大切な光景を蘇らせて心を打つ。

空間をどこまでも拡げていくストリングスとアコースティックギターの繊細な音色、切なく力強い歌声が、真っ白な雪の上にそっと触れるかのごとく余韻を残した。

 

【夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処】で語られた物語は、ある種の決意表明のように響く。

「けれど、また途方も無い道のりを歩く事にしたのだ。

その先に何があるかはわからないけれど、きっとそこに帰るべき場所があるのだろう。そこには、自分を待つ何かがあるのだろう。

ねぇ、君の帰る場所はどこだい?君の帰る場所は?あなたの・・・帰る場所は?」

ステージから手を差し、観客1人1人に問い掛ける手鞠。

夕暮れ時のオレンジ色の空、家路へと急ぐ道程が目に浮かぶ。

その光景に、タイゾのギターソロ~Sachiのヴァイオリンソロという美しい流れがとてもよく似合った。

「『ただいま』私を知る人。『おかえり』私を信じる人。『ただいま』笑顔をくれる人。『おかえり』待ち疲れた人。・・・私の、愛する人。」

そう、帰る場所はきっと―――。5人の奏でるハーモニーと手鞠の言葉が胸にあたたかな明かりを灯し、素晴らしい本編を締め括った。

 

鳴り止まない拍手に応えてのアンコール・・・と思いきや、叫びながら勢いよくステージに飛び込んできた祐弥に度肝を抜かれるオーディエンス(笑)

「緊張と緩和・・・緩和の部分を司っております、祐弥です!」と元気よく自己紹介した彼は、本編で張り詰めていた場内の空気を一気にリラックスさせると、手鞠と共にツアーの感想なども交えた軽妙なトークを展開して客席を盛り上げてくれた。

メンバーを呼び込み1人1人を紹介した手鞠が、

「ヴィジュアル系の可能性、音楽の可能性を感じられるライヴになったと思います。

それぞれのフィールドで活躍する素晴らしいアーティストが揃って音楽を生み出せる、それは偶然や必然ではなく、凄く奇跡的なものであって。

音楽が導いた、そしてSoanさんが作り上げた絆みたいなものが音に込められていて皆さんに伝わっている、そう実感できるライヴでした。今日は本当にありがとうございました。」

と挨拶すると、大きな拍手が送られた。

「また逢えることを願って。ラストに、この曲を贈ります。」

和やかな空気の中、6人はアンコールとしてもう一度【それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ】を届けてくれた。

手鞠・タイゾ・祐弥も立ち上がり、心底楽しそうに演奏するメンバー達。

弾むようなそのサウンドにステージも客席もみんな笑顔で、ツアーファイナルは幸福感に満ち溢れたエンディングで幕を下ろした。

 

観る者の心を、時に深く抉るように、時に温かく包み込むように、そして蒼い海の底へと誘うように。ドラマティックに描き出される、Soanプロジェクトwith手鞠の世界。

シッティング形式のホール公演というひとつの夢を叶えた彼らは、次にどんな音楽を届けてくれるのだろう?今は、それが楽しみでならない。

2月・3月と2ヶ月連続で行われたSoanプロジェクトwith芥/手鞠それぞれの初の東名阪ワンマンツアーで得たものにより、2つのプロジェクトがどう成長し進化していくのか。

アーティストとして、プロジェクトのプロデューサーとして、その才能を遺憾なく発揮するSoanと、彼の音楽を圧倒的な歌唱力とストイックな精神で彩る手鞠と芥。そして、ライヴやレコーディングで見事な化学反応を生み出してくれる、多彩なゲストミュージシャン達。

既に発表されているとおり、Soanのバースデーでありプロジェクト始動1周年記念日でもある6月1日には記念ワンマンも開催される。

その耳で、その目で、その感性で、ぜひ彼らの音楽に触れてみて欲しい。

 

 

TEXT:富岡 美都(Squeeze Spirits/One’s COSMOS)

 

 

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【Member】

Piano & Drums:Soan

Vocal:手鞠

Acoustic Guitar:タイゾ(from Kra)

Acoustic Guitar & Chorus:祐弥

Violin:Sachi(from 黒色すみれ)

Cello:Akiko Yamazaki

 

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【Set List】

1.『そして君は希望の光の中に消えた』

2.『sign…』

3.『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』

4.『正否の相違、或いは利害の不一致』

5.『投影された在りし日の肖像と云う名の亡霊』

6.『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』

7.『相対する質量の交錯する熱量 』

8.『それは呪いと同義語の魂の鎖 永遠に続く祝福と云う名のカルマ』

9.『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』

10.『焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫(スノーホワイト)』

11.『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』

 

En. 『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』