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2021年09月01日 (水)

【ライヴレポート】<DEZERT LIVE TOUR 2021 RAINBOW -カメレオンは空を見上げて笑えるか?- FINAL>2021年8月29日(日)名古屋THE BOTTOM LINE◆「世の中ヤベーけど、それでも今日生きて集まって会えたことに凄くほっとしてるし、とても嬉しい」──千秋(Vo)

REPORT - 18:00:33

 千秋がこの夜「どうせなくなっちまうけど、虹をかけようぜ!」と叫んだのは、本編ラストにて「ミザリィレインボウ」を歌い出す前のことだった。

それが決して掃き捨てるようなセリフとしてではなく、極めて前向きなものとして響いたことは、きっとその場に居合わせた誰もがひしひしと感じ取れたことだろう。

 

 

 『RAINBOW』と題した7曲入り新音源を7月に発表したばかりのDEZERTが、2019年初夏に行われたホールツアー[血液がない!]以来となる2年ぶりの全国ツアー[DEZERT LIVE TOUR 2021 RAINBOW –カメレオンは空を見上げて笑えるか?-]のファイナルにあたる公演をこのたび829日に行ったのは、これまた久しぶりの登壇となった名古屋ボトムラインである。

 

「待たせたな!声が出せない分、カラダ使ってちょうだい!!」

 

 殺伐とした重く歪んだ音像の中にDEZERTがこの曲を発表した2013年当時から一貫して描いてきた死生観の滲む「「絶蘭」」から始まり、ダイナミックかつグルーヴィーなSacchanMiyakoによる弦楽器隊の織りなすユニゾンが派手に炸裂する「Thirsty?」、SORAのワイルドなドラミングが楽曲の持つメッセージ性をより強調していくことになった「カメレオン」と続いたところで、フロントマン・千秋が次に述べたのは以下の言葉だ。

 

「名古屋ボトムライン。どいつもこいつもイイ顔してるけど、おまえらだって何時か誰かに殺されちゃうよ?無様な政治家に殺されちまうぞ。無様なともだちに殺されちまうぞ。でもね、今日だけは囚われた社会の中で俺たちは自由だ!こんな世界、踊ってなきゃやってらんないんだよ!!どうせ「殺されちゃう」Yeah!!」

 

 ある意味で現代版「ええじゃないか」とも解釈することが出来そうなこの「殺されちゃう」は、ロックンロールテイストの漂うアゲ曲であると同時に、千秋による〈嗚呼我々は生きる限り 諦めてはいけないのだ 進む限り願う限り みんな救われちゃう〉だとか〈さぁ 生きろ どうせ殺されちゃう〉といった、やけっぱちながらも超ポジティヴな歌詞が最高に痛快なものとなる。

 

「とりあえず、みんなよくたどり着いたな。俺はさ、コロナさんに勝ったところでライヴを観る人たちっていうのはきっと少なくなるんちゃうかなと思ってる。

今日やって、70名近くの方が(チケットは発券されているのに)来ていないと聞いております。

いや、ほんとそこは来ないという選択も正しいと思うし。来た人の中にも、まだ不安が残ってるという人はおるやろうね。

えぇよ、俺が「手ぇ挙げろ!」とか言っても「怖いから動きたくない」っていう人はそれで良いから。

全然ノリ悪いとか思わない。俺、そんな悪いヤツじゃないから大丈夫(笑)」

 

むろん彼らのライヴがどんな時も全面的にガイドラインを遵守しながら実施されているのは言うまでもない。

しかしながら、それでもまだまだ風向きがあまりよろしくないのは事実で、千秋は今回そこについてもMCにて忌憚なく言及することに。

 

「もう、何したって叩かれんだよ。音楽とかエンタメっていうのは。いろんなことに怒ってる人の気持ちもわかるしね。

だけど、もし今日ここに来て家族とか彼ぴっぴに怒られたとしても、俺はあんたらは正しいと思うよ。

飲食店がどうとか、エンタメがどうとか、政治がどうとか。まだまだ他人と比べたがるんだね、俺たちは。

他人と比べることが悩みの始まりだ。比べんな、とは俺は言わないんで。

(中略)とにかく、やれることをやろう。自分のためにでもいいし、人のためでもいいし、出来ることをやっていこうね」

 

 今宵、「「擬死」」という曲の中では本来の歌詞中にはないニセモノとホンモノというふたつのキーワードを、メロディの合間や後奏部分などでアドリブ的に乱発してみせた千秋が表現していたもの。

それは、パラドクスという名の欺瞞があふれ返る現世に対しての深い嘆きであり、率直なアンチテーゼであり、さらには真摯な問い掛けでもあるように聴こえて来た。

 

 

「次にやる「デザートの楽しいマーチ」は『RAINBOW』に入ってる今回のツアーから登場した新しい曲なんですが、今回のツアーでやってくうちに始まったらおまえらが前に全員で突っ込んでくる曲になっちゃったんだわ。ごめんね(笑)。

もし、そういうノリがキライだったら好きになって。今日は我慢して拳を挙げてっていうかたちになると思うけど、何時かみんなでグチャグチャになれる時が来たら突っ込んで来いよ、名古屋!」

 

 

いわゆるラップでもなければ、かといってポエトリーリーディングとも違う、もはや演説的な領域にあるヴォーカリゼイションが千秋によって呈示されたこの「デザートの楽しいマーチ」では、途中部分が〈人生に本番なんてありゃしねぇ〉が〈人生は何時だって練習だ!〉と歌い代えられていたのを筆頭に、全編にわたってかなりフレキシブルな歌詞改編がなされていた印象。

今その瞬間の気持ちを音楽にそのままぶつけていく千秋のラディカルな姿勢から、尖ったロックスピリッツを感じたのは何も筆者だけではあるまい。

 

 

「今日歌う曲全部、俺たちが今日歌う曲は全部きみの歌だから。きみの歌だよ!」

 千秋のこんな温かな呼びかけから始まった「Your Song」といい、皮肉満載でトゲトゲしさにまみれた「脳みそが腐る」といい、平時であればオーディエンスが共に歌うくだりを楽器隊メンバーが全力でそれぞれに歌いきってみせた「「遺書。」」といい。

このツアー最終日にあたって、DEZERTが出し切れるものを全て出し切ろうとしながら全身全霊でパフォーマンスしていく姿には、得も言われぬ潔さが漂っていたような気がする。

 

 

「次の曲でこのツアー、ラストになります。あらためて、今日のライヴを開催出来て良かったです。

世の中ヤベーけど、それでも今日生きて集まって会えたことに凄くほっとしてるし、とても嬉しいです。

また明日から頑張ろう!って俺は思えるからね、ありがとうございます。

いろいろと迷いがちなDEZERTですが、どうせ死ぬまで悩むから覚悟は出来ているつもりではいるんだけれども、どうやったらきみたちに自分の伝えたいこと、僕たちの伝えたい音を届けられるのかなってやっぱり悩むし、ずっと悩んで悩んでその答えは既に出てたから、今日はそれをここで言うね。

俺たちDEZERTは、俺はきみに向かって歌ってる。そういうことなんだ、とあらためて10年やってきて思いました。

(中略)俺は、俺たちは、きみたちにじゃなくきみに向けて歌いたいので、これからもよろしくお願いします。

最後にもう1曲、心を込めて弾いたり歌ったりするのでぜひ心に虹をかけてください。どうせなくなっちまうけど、虹をかけようぜ!!」

 

 

始動から10年。DEZERTがこれまでにさまざまなかたちで死と生、絶望と希望、妄想と現実、そして憎悪と愛情について描いてきた中で、最新音源『RAINBOW』に収録されているこの「ミザリィレインボウ」での〈君と僕 誰かのために 架かる虹は色んな色だ その色を赦した心は きっと明日より綺麗な場所だろう〉という切なる歌詞からは、おそらく多くの人が無為なる祈りの念を受け取ることが出来るはず。

 

たとえ今は儚く消えてしまうとしても。次に何時巡り合えるのかまだわからないとしても。

いずれまたDEZERTとわたしたちが共に思いあえる場所で、あらたな虹をかけることを叶えられる時が来るならば。

どうか、誰もがその虹を美しく素晴らしいと思える佳き心持ちであれますように──。

 

 

文◎杉江由紀

 

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DEZERT LIVE TOUR 2021 / RAINBOW –カメレオンは空を見上げて笑えるか?

2021829日(日) 名古屋ボトムライン

<SETLIST>

 

1.「絶蘭」

2.Thirsty?

3.カメレオン

4.殺されちゃう

5.蝶々

6.Sister

7. 「擬死」

8.神経と重力

9.あなたのそばにいる

10.天使の前頭葉

11.「排泄物」

12.デザートの楽しいマーチ

13.Your Song

14.脳みそが腐る

15.「遺書。」

16.ミザリィレインボウ

 

アンコール

1.オレンジの詩

2.True Man

3.「君の子宮を触る」

4.脳みそくん。

5.「切断」

 

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<リリース情報>

 

★ALBUMRAINBOW』 NOW ON SALE

【初回限定盤】<レイ盤>(CD2+DVDDCCL-238240  5,500(税込)

【通常盤】   <ンボウ盤> DCCL-241  2,750(税込)

 サブスク/ダウンロード  https://dezert.lnk.to/KWTntAhQ 

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【収録曲(初回限定盤/通常盤共通)

1.デザートの楽しいマーチ

2.Your Song

3.カメレオン

4.あなたのそばにいる

5.殺されちゃう

6.ミザリィレインボウ

7.脳みそが腐る

 

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『ミザリィレインボウ』Official Video    https://youtu.be/B6qOHpx9stA

『カメレオン』 Official Video https://youtu.be/jLVHx_P7-sM

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【初回限定盤特典】

①特典DVD

②特典CD付:3曲ステム音源(Dr,Ba,Gt,Vo)収録

③初回盤仕様ジャケットデザイン

④トレーディングカードゲーム5枚入り(ランダム封入)

※トレーディングカードゲームの絵柄は選べません。

 

【通常盤特典】

・トレーディングカードゲーム1枚入り(初回プレスのみ。ランダム封入)

 ※トレーディングカードゲームの絵柄は選べません。

7パターンのカラーフィルム入り(初回プレスのみ)

 ※カラーフィルムの色が異なるだけで、ジャケット絵柄含めその他の仕様はすべて共通です。

 ※店頭・WEBに関わらず、ご予約時にはフィルムの色指定は出来ませんのでご了承ください。

 

 ※トレーディングカードゲーム名:DEZERTバトルカードvol.1~はじまりの虹~(全20種類)

 ※その他の詳細は、随時DEZERTオフィシャルサイトでお知らせいたします。

 

<各店舗購入者特典詳細>

https://www.dezert.jp/?post_type=news&p=5824 

 

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DEZERT オフィシャルサイト http://www.dezert.jp   

DEZERT YouTube URL : https://www.youtube.com/dezert_official 

DEZERT 公式Twitter : https://twitter.com/DEZERT_OFFICIAL 

DEZERT 公式 Instagram : https://www.instagram.com/dezert_official/?hl=ja 

千秋 YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/channel/UCbWWFZ7Px-9sWIyInENfc6g 

SORA YouTubeチャンネル : https://www.youtube.com/channel/UC4DXfy7kAvGfRuA_A4-VATQ 

SORA VoicySORAの元気になるハナシ」 https://voicy.jp/channel/1890 

 











2021年09月01日 (水)

【ライヴレポート】<XANVALA ONEMAN TOUR 2021~Curtain Call~ FINAL>2021年8月26日(木)高田馬場AREA◆「XANVALAを、君の死ねない理由にしてください」

REPORT - 13:11:24

  XANVALAが、8月に全国5ヶ所を舞台に行なった初のワンマンツアー「XANVALA ONEMAN TOUR 2021Curtain Call~」。同ツアーのファイナル公演「終幕」が、826日に高田馬場AREAで開催された。当日の模様を、ここに再現したい。

 

 

 ようやく幕を開くことが出来た初の全国ツアー。コロナという人の生活環境のみならず、意識や考え方も歪めていく危険なウィルスが蔓延しなければ、1年以上前には開催されていたことだろう。

 

 

  何度も何度も延期を繰り返し、ようやく20218月に実現。今年は公演によって一部メンバーが出られなかったりと、けっして無傷ではなかった。だからこそ、この場に5人で立てたことにメンバー自身も、観客たちも安堵と嬉しさを感じていた。

 

 

彼らはずっと戦ってきた。自分たちを取り巻く環境の中で起きた、対峙せねぱならない現実と。そのうえで考えを巡らせなければいけない自分たちの意識と。そんな彼らの心の叫びを叩きつけるように、ライブは新曲の「聖戰」から幕を開けた。胸をグッとつかむキャッチーな歌メロも印象的。それ以上に、唸りを上げて疾走する演奏に乗せ、自分の気持ちと対峙するように歌い演奏する彼らの気迫に、魂が熱く揺さぶられる。咲かずにいれない高揚が、身体中を駆けめぐる。

 

 

  巽の絶叫と、激しく唸る演奏を合図に「ジャノメ」が飛びだした。全身をグサグサと突き刺すような鋭利な演奏だ。その音にはギサギザに心をひっかく刺激という刺がたくさんついている。引っかき傷のつもりで歌や演奏を受け止めていたら、思った以上に深い傷を心や身体へ刻まれていた。そこから流れる興奮という血に触発され、誰もが身体を大きく揺さぶり、頭を振り乱し、現実の世界からみずからの意識を遠ざけていった。

 

 

  演奏は、過激さを塗り重ねるように「雨声に帰す」へ。舞台上から溢れ出る轟音へひれ伏すのではない。頭を振り乱し、その轟音をさらに会場中へと振りまく観客たち。痛く感情を揺さぶる歌声や演奏を、激しさの中へ抑揚を加えながら突きつけるメンバーたち。だからこそ、その気合や気迫を、フロア中の人たちが騒ぐ姿を持って増幅させていた。フロア中にザンバラとたくさんの乱れ髪揺れる景色を見ながら、これぞXANVALAのライブだと感じていた。

 

 

  続く「左耳の悪魔」でも、観客たちがその場で高く右手を振りかざし大きく跳ねれば、身体を深く折り畳み、沸き立つ感情を全力で舞台上へぶつけていた。制限の多い今でこそ珍しい光景かも知れない。でも、これが本来ライブ会場にあるべき姿。ソーシャルディスタンスという条件下ではあったが、高ぶる衝動は理性を乗り越え、その身を興奮に染めてゆく。

 

 

 メンバーが喋り始めるまで鳴り止まない拍手。それが、この日の答えだ。その言葉の解釈は、あえてしない。でも、わかるだろ、そこに生まれていた空気がどんなものかを

 

 「ちょっとずつでも前に進んでいる気がします」と語る巽。いやいや、XANVALAは何処よりも数歩は先へと進んでいる。コロナが発生したときから、常に挑戦を続けてきた彼らだからこそ、この時期につかんだ成果は、とても大きなものだ。

 

  次のブロックの最初にぶち噛ました「DROID」でも、フロア中の人たちが右腕を大きく綺麗に左右へと振り、ときに激しく髪を振り乱し、フロア中に黒い乱れ髪や突き上がる拳の大波を作りあげていった。そうなるのも、納得だ。彼らが突きつける楽曲が、理性を次々と消し去り、頭の中を本能だけで覆い尽くしていくんだもの。これこそ、最高の理性の壊し方じゃないか!!

 

 

  「二度とこない今日という日を絶対に忘れたくない。刻みつけていくしかねぇよな!!決まってるだろ、傷つけあうんだよ、傷つけあおうか!!」。巽の叫びとドス黒くて重い演奏に乗せ、XANVALAが突きつけたのが「悪辣が君を襲う」。フロア中が、綺麗なほどに身体を折り畳む景色に染まってゆく様がたまらない!!70.の叫ぶ声に合わせ、フロア中から付き上がる無数の拳。本能と本能をぶつけあう中で生まれた、このカオスな景色が最高に刺激的だ。思いを巡らせるなんて感覚は、とっくに消え去った。そんなことより、頭の中へ次々と流れてくる音楽が呼びかける誘いに合わせ、本能のままに意識や身体を揺さぶればそれでいい。

 

 

  その感覚を身に感じながら、途切れることなく突きつけたミッドヘヴィな「帝」でも、観客たちが大きく身体を揺さぶり、舞台の上からあふれでる轟音に思いきり身を浸し、騒ぎ狂っていた。

 

  さぁ、流れ出る演奏にすべての感情を注ぎながら、意識赴くままに暴れ狂え。「ratchet」の演奏に合わせ、気持ちが動くままに飛び跳ね、頭を大きくまわせ。それが一番の快楽だろ。首が軽く痛みを覚えるくらいの刺激が、ますます気持ちを熱く掻き立てる。誰も限界に挑戦しろなど言ってない。でも、そうしたくなる感情を、どうしても抑えられなくなる。

 

 

 スリリングな音を突きつけながら、演奏は「ヒトリ舞台」へ。フリーキーなギターのフレーズが意識をどんどんイレースしてゆく。耳心地好くキャッチーな楽曲だが、この空間へ身を浸していると,楽しい衝動が止まらず、その場で大きく飛び跳ねずにいれない身体にしてゆく。フロア中の人たちが、壊れたぜんまい仕掛けの人形のように、その動きが止まるまで、意識をセーブすることなく全力で騒ぎ続けていた。このぜんまいの螺子、XANVALA舞台を去るまで止まるなんてことはなかったけどね。

 

 

 胸を泣き濡らす「終幕」が流れたとたん、それまで狂ったように騒いで観客たちが、痛い感情をすべて懐の中へ飲み込むように、メンバーたちの演奏してゆく様をじっと見つめていた。でも、サビ歌では全力で飛び跳ねてゆく光景も。「終幕」、身体を縛るほどの衝撃を与えながら、体感的な興奮もしっかりと与えていった。

 

 

鳴り響くブザーの音。囁く巽の声と、刻む秒針の音を受け、楽曲は心地好く浮遊するように「眠る秒針」へ。轟音で感情や身体を揺さぶるばかりがライブではない。スタイリッシュでアーバンな表情もXANVALAは演目の中へ巧みに折り込みながら、でも、心だけはずっと揺らし続けていた。

 

 

 「俺たちが作る未来は、俺たちが作る時代は明るいんじゃないですか!!乱れることは美しいとその身をもって証明してくれ」。フロア中に猛々しくも極彩色な音を振りまくように歌い演奏したのが、「文明開花」だ。今の形骸化したヴィジュアル系というシーンに革命を起こしてやると言わんばかりの勇壮な思いを胸に、XANVALAは「文明開花」をぶつけてきた。「俺たちの時代はもうすぐだ」の巽の言葉が生々しい。その言葉を虚勢ではなく、自信を持ってぶつけてゆくからこそ、その言葉を信じたくなる。フロア中で無数に扇子が舞う様も圧巻だ。新しい時代の幕開けは、何時だって破天荒だ。この破天荒な様が、きっと新しい文化の波を、このシーンにも吹き込んでいくはずだ。

 

 

 「今年は君にとっていい夏になりましたか?一緒に最高の夏を。君のための8月を」。巽の言葉を合図に飛びだしたのが、「キネマ」だ。この楽曲でも、フロア中に観客たちの揺らす扇子が大きく波打っていた。躍れ、躍れ、踊り狂え。むしろ、それ以外に何が必要と言うんだ。楽しむことに理屈なんて必要ない。僕らが携えるのは、本能という裸の自分であることだ。

 

  「生きてたらさ、どーしようもなく死にたくなる日があるんですよ。それでもさ、これからも先、死にてぇと思ったら、XANVALAを君の死ねない理由にしてください」。感情を剥き出しに、痛々しいまでに心をさらけだしながら、XANVALAは「ジセイ」をぶつけてきた。その勢いに触発され、フロア中で暴れ狂う観客たち。メンバーたちの歌う「ランランララン ランラララララン」の歌声に合わせ、会場中の人たちが心で歌い叫んでいた。それが今のルールなら、無理に破ろうとは思わない。それでも、本能だけは抑えられない。身体疼くままに躍る姿は、どんなルールでだって縛りきることはできやしない。

 

 

 そんな桃源郷にいる感覚を覚えながら、最後にXANVALAが叩きつけた「XANADU」に飛び乗り、フロア中の人たちが熱狂の祭り人と化していった。高田馬場AREAの床を大きく揺らすくらいの勢いを持って飛び跳ねながら、誰もが意識の中に生まれた桃源郷(XANADO)の中へXANVALAのメンバーらと一緒に飛び込み、気持ちをイキきらせる快楽へ、とろけそうなほどに身を、心を預けていった。

 

 

 アンコールは、XANVALAの始まりを告げた「鮮やかな猛毒」からスタートだ。フロア中にザンバラと乱れ髪揺れる光景は、今やXANVALAのライブではお馴染み光景。この楽曲は、触れた途端に理性というストッパーを外し、熱く沸き立つ気持ちと一緒に、恍惚という極みに気持ちをどんどん連れ出してゆく。観客たちが暴れ狂う野獣になるのも、納得だ。もっともっとイキきりたい。その衝動に激しく心突き動かされていることが、最高の快楽だ。

 

 

 続く轟音無頼ナンバー「Bamby」を突きつけられた観客たちは、メンバーらに煽られるまま熱狂の虜になっていた。この空間の中、本能を剥き出しにした自分に戻れるためにこの曲はある。彼らの想いを受け止めた満員の観客たちが声を上げずに壊れてゆくのも、当然の景色だ。

 

 

  続く「CREEPER」も、人としての意識など消し去って暴れ狂えと呼びかける楽曲だ。フロアには、激烈な演奏に身を任せ、くるくるとまわり続ける観客たちの姿があった。巽の「かかってこい!!」の言葉に触発される以前に、フロア中の人たちはすでに「CREEPER」の演奏に合わせ勝手に祭り上がっていた。舞台上もフロアも、興奮と恍惚を自由に貪り喰らう。その様こそ、ライブとして求めたい、あるべき最高の輝きだ。

 

 

 その鈍い輝きを、さらに美しい透明な輝きへと磨き上げるように、XANVALAは「SCALA」を演奏。歌要素の強い楽曲のように、フロア中の人たちは、ときに頭を振り乱しながら、巽の歌声を、メンバーたちの冴えた演奏を、胸の奥へとしっかり押し込め、ギュッと抱きしめていた。

 

 

 「まだ君と行きたい場所があるんだよ。どうかXANVALAというバンドを信じ抜いてくれませんか!!この曲は俺とお前らの為の幸福論だ」。巽の叫びを合図に、最後にXANVALAは「誰が為の幸福論」を突きつけ、自分たちがXANVALAとして進み続ける意志をしっかりと示しながら。余所からガタガタ聞こえるうるさい声などすべて弾け飛ばし、自分たちだからこその生き様を、目の前にいる仲間たちへ伝えながら、今宵の幕を閉じていった。

 

 

 最後に。以下へXANVALAの新しい動きを記したので、ぜひ、予定を書き込みながら、その日が訪れるのを心待ちにしていただきたい。

 

 

TEXT:長澤智典

 

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<セットリスト>

 

 

「聖戰」

「ジャノメ」

「雨声に帰す」

「左耳の悪魔」

DROID

「悪辣が君を襲う」

「帝」

ratchet

「ヒトリ舞台」

「終幕」

「眠る秒針」

「文明開花」

「キネマ」

「ジセイ」

XANADU

-ENCORE-

「鮮やかな猛毒」

Bamby

REEPER

SCALA

「誰が為の幸福論」

 

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XANVALA – 聖戰

https://www.youtube.com/watch?v=qaeGzkDI5Yw

 

 

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RELEASE

 

★XANVALA 3rd SINGLE

「聖戰」

2021.10.18 RELEASE

 

 

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LIVE情報】

 

 

■XANVALA単独公演 巽生誕祭2021

「人間賛歌」

 

1018()

池袋BlackHole

 

OPEN 17:30 / START 18:00

[チケット]

前売 \4,000 / 当日 \4,500

D代別

10/9()10:00~発売                                    

https://eplus.jp/sf/detail/3483550001-P0030001

 

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■XANVALA 2nd ANNIVERSARY ONEMAN TOUR

「月と太陽」

開催決定!

 

ALL 2 DAYS2022

01.12WED / 01.13THUHOLIDAY NEXT NAGOYA

01.19WED/ 01.20THU]心斎橋Bigtwin Diner SHOVEL

TOUR FINAL

01.31MON/ 02.01TUE]渋谷clubasia                          

 

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Official Site

http://www.xanvala.com

Twitter

XANVALA @XANVALA

https://twitter.com/xanvala

 

 

tatsumi 067 

▲Vo.巽(たつみ)

https://twitter.com/XNVL_Tatsumi

 yuhma 242

 

 

▲Gt.Yuhma(ゆうま)

https://twitter.com/XNVL_Yuhma

 

souma 153

 

 

▲Gt.宗馬(そうま)

https://twitter.com/XNVL_Souma

 

nao 292

 

 

▲Ba.70. (なお)

https://twitter.com/XNVL_70

 

 

tomoya 021
▲Dr.知哉(ともや)

https://twitter.com/XNVL_Tomoya

 

Instagram

https://www.instagram.com/xanvala/

 





2021年08月16日 (月)

【ライヴレポート】圭 <8月12日(木)東京・渋谷ストリームホール「THE ELEGY-夜明けの明星-」>◆圭というアーティストが放つ音楽、そのスタンダードとなりうる独自のライブのあり方が見えた2公演

REPORT - 17:00:34

 圭が自身の誕生日でもある8月12日(木)、東京・渋谷ストリームホールにて<THE ELEGY-夜明けの明星>と題して、1st STAGEは<TRANSPARENT UTOPIA.>2nd STAGEは<WITH LOTS OF LOVE.>とコンセプトの異なるステージを1日2公演で開催した。

 

 

圭がBAROQUE無期限活動休止を受け、ステージの中央に立ち、本格的なソロ活動へと踏み出したのが今年4月。そこから約4カ月。

この日に行なった<THE ELEGY-夜明けの明星->において、1st STAGEではギタリストとしてインストメインのアクトに挑み、2nd STAGEではギターやピアノを弾きながら、ボーカリストとして自身のソロ曲やBAROQUE曲を歌った圭。

ギターインストでも歌ものでも、ソングライターとして美メロ至上主義をつらぬく圭にとっては、この二刀流のステージが自分をトータルで表現するにはまさにぴったりだった。

本格的なソロに踏み出して以降、驚くようなスピードで成長を遂げ、表現者としてギタリストだろうが、ボーカリストだろうが、どちらも温度差なく、その両方で変わらない気高さと、キラキラとしたスターオーラを放ちながら華のあるスタイリッシュなパフォーマンスを魅せられるようになったからこそ、実現できた今回のステージ。

圭というアーティストが放つ音楽、そのスタンダードとなりうる独自のライブのあり方が見えた2公演となった。

 

 

1st STAGEの<TRANSPARENT UTOPIA.>。

まずはDr.の山口大吾(People In The Box,Ba.の高松浩史(THE NOVEMBERS,Key&Mani.hicoといういつものサポートメンバーが白シャツにネクタイ、黒いパンツで統一した衣装で姿を表したあと、スペーシーなSEに波の音が重なり、圭がギタリストとしてオンステージ。ライブは新曲「spirit in heaven.」で幕を開けた。

オープニングから、まるで1st STAGEのアートワークをトレースしたようなメロディーがギターから立ち昇っていったところはあまりにも美しく、その完璧すぎるギターワークに心から感動。

ライティングと合間って、夜明け前、うっすらと空が白んでいく時間帯を幻視しているような気分にどんどん浸らせ、そこからさらに新曲を立て続けにアクト。

新曲はどれも『4deus.』で見せられた脳内宇宙でダークエナジーが激しく渦巻いているような風景とは別世界にあるものばかり。

果てしなく広がる白い静かな空間を、一人ぼっちでずっと浮遊していくような景色が、曲を重ねるごとに現れては消えていく。

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そんな景色を音で表現しながらも、目の前では圭がいまや彼のライブセットでは定番となりつつある“花道”を使って、スタイリッシュで華麗なパフォーマンスを次々ときめていく。そんな圭に見惚れるファンに向かって「歌わねぇじゃん! 金返せとかいわないでよ」と語りかけフロアをリラックスさせた彼は「その代わりこっちはギターで歌うんで。インストで音楽の深いところまでいって全身で音を浴びて下さい」と言葉を続け、1st STAGEの趣旨を伝えた。このあと中盤では「my fanny valentine」をまろやかなジャズギターサウンドでカバーしたり、about tessのギタリスト、takutoをゲストに迎えてヒリヒリするようなジャムセッションを繰り広げたり、親友でもあるDURANとは彼の「Echo(Electric Gospel)」を楽しそうにカバーして、普段あまり見られないようがギタープレイも存分にアピール。

そのあと、ライブは再び新曲を交えて白い静かな世界へと没入。本編ラストの「in the light.」では文字通り、恐ろしいほど澄みきったギターのメロディーで、夜が明けて光あふれていく世界を観客に染み込ませていった。

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圭のギター・スタイルはコードのカッティングで世界観を表現したり、テクニカルな速弾きやエフェクターワークで実験的な音を出して長々とソロを弾いたりするようなものではない。圭のなかで最強なのはインストでも歌ものでも、やはり“メロディー”なのだ。

インストでは歌の代わりに思う存分ギターが美しいメロディーを奏でてくれる。だからこそ、ファンは彼が作る歌ものと変わらない感覚で音楽に触れ、ギターインストライブも楽しめる。そんな特異性を知らしめた1st STAGEだった。

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2nd STAGEの<WITH LOTS OF LOVE.>は1st STAGEのサポートメンバーにGt.の結生(メリー)が加わり、結生以外は黒い衣装に着替えてステージに登場。

真っ白いスモークが吹き出す舞台。点滅を繰り返す光のなか、雷音に雨音が重なると、ボーカリスト、圭がハンドマイクでオンステージ。

新曲「PANDORA.」を白いロングタキシードジャケットを着て、足先まで白でトータルコーディネイトした姿で歌いだした。続いて躍動感たっぷりに花道へと駆け出し、軽快にステップしながら歌いだした「17.」では、歌唱中さらっとウインクをきめるなど、フロントマンとしての表情、仕草も自然と出せるようになった圭。

白一色のファッションを着こなせるボディライン、整った容貌、繰り出す仕草。キャリア20年目にしてこの日37歳を迎えたとは思えない端麗な王子っぷりで、冒頭からこの歌に込めたメッセージ通りみんなを“自由な世界”へと連れ出して見せたところはお見事。

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その王子がBAROQUE曲「LAST SCENE」からじょじょに変貌。圭は楽曲がすすむにつれて歌、表情、ギターを歪ませていき、無垢で繊細で自由だった自分が邪悪な自分に飲み込まれていく様を表現者としてパフォーマンスしていく。

白いファッションもいつの間にかレオパード柄のコートと黒いパンツに変わり、そのコートのポケットに片手をつっこみ、花道で観客を見下ろし薄笑いを浮かべる圭。その表情がどんどん危うくなり、歌い方も挑発的になっていったところで放たれたのが「I LUCIFER」だった。

これも元々はBAROQUE曲だが、そのなかでも圭のボーカルに素早く馴染み、ダントツなフィット感でライブのクライマックスを作る必須ナンバーになっていった。

この日、汗だくになりながらボーカリストとして自分をむきだしにして、邪悪な自分を振りきるようにこの曲を叫び、歌った圭の歌のテンションは信じられないほどエモーショナルで胸に響くものがあった。

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そこから、間髪入れずにコートをビックシルエットの白シャツに着替え、キレキレの演奏と歌で「the primary.」、さらにパンキッシュな「4letter word.」とアッパーな圭サウンドを続けて投下すると、ファンも身体を揺らして反応。

2nd STAGE。ボーカル&ギターでやるのは今回で3回目。みんな楽しんでる?」と会場に問いかけた圭は、いまから20年前の同日。17歳の誕生日を迎えた日に、バロックとして新宿ロフトで無料初ライブを1日2公演で行なったことを感慨深そうに振り返った。

「でも、そのときロフトに向かうときの気持ちは20年経ったいまもなにも変わっていません」と集まったファンに伝えたあと、ピアノの伴奏に続いて、新たな幕開けを告げるようなギターフレーズから「BIRTH OF VICTORY」、「PUER ET PUELLA」をプレイ。

ファルセットを使った歌唱を交えながら、壮大な祝祭空間を場内に生み出していって本編は幕を閉じた。

 

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アンコールはメンバー紹介からスタート。

ここでは結生が20年前のバロックのロフトのライブに行っていたことを打ち明け、みんなを驚かせた。

「それで終演後に楽屋に挨拶にいったら子供が出てきて(笑)。しかも、ちょっと生意気で」と圭に会ったときの感想を伝えると、思わぬ形で過去の自分を暴露された圭は大照れ。

場内に和やかなムードが広がったあとは、コロナ禍が続く世の中に向けてメッセージを込めて作った「STAY」を自分の歌で届けたあと、ピアノを弾きながら「ring clef.」を愛情をたっぷり込めて歌唱すると、圭の音楽が光、希望の粒となって観客をやさしく包みこみ、ライブはフィニッシュ。

すべてを終えた圭は「37歳になりましたけど、ここからより一層攻めて。たくさんの愛に守られ、今日までやってこれたと思うので、それをエネルギーに替えてみんなを幸せにできたらいいなと思ってます」と決意を告げ、そのあとは笑顔で手を振り、お別れの挨拶をしてステージを後にした。

 

 

自身の誕生日、<THE ELEGY-夜明けの明星>というタイトルの元で、2つのタイプの異なるライブを繰り広げた圭。

ギターでも歌でも輝くことができるこのスター性をもったアーティストとしての存在感と、ギターインストも歌ものも“メロディー”で聴かせることができる音楽性。

これらすべてを伝えることができる今回のような二刀流のライブスタイルを、今後どういう形で進化させていくのか。

圭のソロがますます面白くなってきた。

 

 

 

文●東條祥恵

ライブ写真●上溝恭香(TAMARUYA)

 

 

 

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THE ELEGY –夜明けの明星

2021812() 渋谷ストリームホール

 

1st STAGE_TRANSPARENT UTOPIA.

 

Support Members

Bass 高松浩史(THE NOVEMBERS)

Drums 山口大吾(People In The Box)

KeyboardManipulator hico

 

Special Guests

takuto (about tess)

DURAN

 

2nd STAGE_WITH LOTS OF LOVE.

 

Support Members

Guitar 結生(メリー)

Bass 高松浩史(THE NOVEMBERS)

Drums 山口大吾(People In The Box)

KeyboardManipulator hico]

 

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