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2021年12月10日 (金)

【ライヴレポート】<DASEINデビュー20周年特別企画 DASEIN VS Black DASEIN>11月27日(土) Black DASEIN @ 渋谷REX / 11月28日(日) DASEIN @ 渋谷REX

REPORT - 19:00:21

DrumsJOE VocalRickyによるユニットDASEINが今年デビュー20周年を迎えた。このアニバーサリーイヤーも大詰めを迎えた20211127日、28日の2日間に渡って、「DASEIN VS Black DASEIN」と冠したライブが行われた。27日はDASEINのコピーバンドという設定……でなく、コピーバンドであるBlack DASEIN。そして28日はDASEINが登場し、2つのバンドの対決企画ライブの模様をお伝えしよう。

そして、2021年を締め括るライブも決定!!

 

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1127@ 渋谷REX

Black DASEIN「先攻 コピバンブラダー参上!!!

 BD_LIVE

1日目は「先攻 コピバンブラダー参上!!!」と題して、DASEINをこよなく愛するコピーバンド(?)、Black DASEINが登場。翌28日に登場するDASEINの前哨戦ともいえるこの日の?ライブと、思いきや今回のライブタイトルは「DASEIN VS Black DASEIN」。コピーバンドとはいえ、これはマジのVS(対決)。本家有利の下馬評のなか、模倣が本家を凌駕することもあり得るのか!?

 

ほぼ定刻に会場が暗転し、緞帳が上がる。ステージにはバックライトを浴び、シルエットとなった4人が立っている。ギター少が奏でるフェイズが効いたギターサウンドに、上がハネたビートを作りだす。そしてそのリズムのうねりを縫うようにベース流の重低音がレイヤーとなって重なる。

 

「よく生きてたな! ブッ放していくぜ!!」と鬼の棍棒のように黒いベースボールバットを肩に乗せた力の煽りを合図に、上の高速ツーバスが炸裂する。オープニングナンバー「闇」のスタートだ。真紅のライトに包まれて熱く歌う力。DASEINのコピーバンドでありながら、オープニングはRAPのカバー(元々はDASEINのデモ曲)からスタートという、うっちゃりをカマしてくるあたり、今宵のライブで何かのサプライズを企んでいるに違いないと期待が高まる。

 

ミディアムテンポの「Yの黙示録」、疾走感溢れるポップナンバー「リフレイン~ありふれた奇跡~」、そしてファンキーなギターリフから、ハードなサビへとジェットコースターのように展開する「英雄ピエロ」と、序盤から緩急のあるセットリストで観客を魅了する。

 

Black DASEINはメンバーの経済的な理由により、打ち込み機材を用意することができずに、完全に生演奏でパーフォーマンスをする。そんなBlack DASEINの真骨頂を魅せたのは6曲目に演奏された「真夜中のエレジー」。ギターの少がフリーテンポで奏でるイントロのアルペジオのフレーズに、少と目配せをした力が間をとって歌に入る。

 

7曲目に披露された「じっとみつめたい」では、曲中で力に続きベースの流、ギターの少、そしてドラムスの上の順番でオーディエンスに向かってじっとつめたい!とアツく語りかける場面があり、会場の女子たちを赤面……ではなく沸かせる。

 

ライブ中盤は上のドラムソロに突入。ドラミングフォーム、出音、途中の煽りのポーズまで、DASEINJOEを完璧にトレースしている(笑)。上のJOEへの愛の深さを感じる。

 

後半は「黒胡椒」、そして「COGITO ERGO SUM」と、パワーソングで一気にオーディエンスを煽る。オーディエンスも両手を高く挙げてバンドのパフォーマンスに応える。“Black DASEINでした。大きな拍手の中、4人は一度ステージを後にした。

 

アンコールの「君の街に降れるオリオン」では上が刻むリズムに、少がゆっくりとしたギターカッティングを披露。そこに伸びやかな力のボーカルが重なる。まるでジャム・セッションをしているようなBlack DASEINのパフォーマンスは完全生演奏ならではの醍醐味。

 

“DASEINさんが続けていく限り、俺たちはコピーし続けます。そして、これからも生演奏でハードに、硬派に、ときにおもしろ、おかしくなることもあるけれど、本気でやっていくんでこれからもよろしくお願いいたしますと力が語り、DASEINの最新シングルである「泡沫なる夢幻」を披露。そして最後は「NO BLACK NO LIFE!!!!!」でオーディエンスを煽りまくって、Black DASEINのこの日ステージは終幕をむかえた。

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<1127SET LIST>

01.

02.Yの黙示録

03.リフレイン~ありふれた奇跡~

04.英雄ピエロ

05.待宵影マツヨイカゲ

06.真夜中のエレジー

07.じっとみつめたい

08.悲しいKissに消えないで

09.貴方しかいないじゃない

――ドラムソロ~再生-prologue-――

10.唯、此処に在る事が愛しくて

11.運命AUTOMATIC

12.黒胡椒

13.COGITO ERGO SUM

――アンコール――

14.君の街に降れるオリオン

15.ワラウンダーランド

16.泡沫なる夢幻

17.NO BLACK NO LIFE!!!!!

 

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1128 @ 渋谷REX

DASEIN「後攻 DASEINここに在り!!!

 

昨晩、渋谷REXで行われたBlack DASEINのライブから、渋谷REXにいよいよ本家DASEINが登場。

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サーチライトを模したライティングのなかJOEが登場。大きなリズムを叩き出す。突如、テンポアップして、早くもJOEのツーバスが炸裂する。オープニングナンバーはなんと昨日のBlack DASEINと同じ「闇」。偶然の一致なのか?はたまた後攻という有利な立場を利用して意図的にオープニンナンバーをかぶせてきたのか?

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オレンジのコートをまとったRicky暗い、暗い闇の中、一寸先もわからずにと手振りを交えて丁寧にメロディを紡いでいく。オーディエンスもこのチューンにゆっくり体をあずけているようだ。

 

会場内にシーケンスフレーズが流れる。「真夜中のエレジー」の始まりだ。さあ暴れようぜRickyが体を上下に揺らす。崩れ行く愛しさはどこへしまえばいいのとアツく歌うRicky。会場のサイリウムリングの光がRickyの生み出すメロディーがコンダクターとなって一斉に揺れる。

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4曲目にプレイされたのは「リフレイン~ありふれた奇跡~」。テンションが上がったステージに清涼感を与えるようなオーガニックなチューン。ポップなメロディのバックでJOEの緩急のつけたドラミングが心憎い。配信で視聴しているオーディエンスも自然と体が動いてしまうのではないか。

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最初のMCRickyが話し始める。昨日Black DASEINがやりまして、DASEINのセットリストと同じところがありますが、あいつらが、(事前に自分たちの)セットリストを見てパクったんで。オープニングナンバーの「闇」がかぶったDASEIN側の言い分をアナウンスした(笑)。

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本家のいい所をぜんぶ魅せていきます。では新曲「待宵影ーマツヨイカゲー」を聴いてくださいRicky)。サポートギターのSCOTTIEが奏でるイントロのメロディに導かれRickyAメロを歌い出す。サビでは幾分感情を抑えたRickyのボーカルに、JOEとベースリウのコンビネーションがコントラストをつけ、この曲に奥行きを与える。

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「キ・ミ・ダ・ケ」ではJOEのバックボーンが垣間見られるハイテンポドラミングが会場を揺らす。

中盤は音源未収録曲である「ずっと一緒に」。そして「歩」、「葬れ」とミディアムテンポの曲が用意された。ライティングやLEDなど会場の演出も味方につけて、このパートはどこか異次元に迷い込んでしまったような錯覚におちいった。

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そしてDASEINのライブのひとつのハイライトであるJOEのドラムソロ。スティックをマレットに持ち替えて、ドラムスをパーカッシブに扱う。パワーヒッターのJOEではあるが、こういった表現の幅広さもJOEの魅力だ。

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そして後半は「唯、此処に在る事が愛しくて」からスタート。巡り会えた奇跡に理由も意味もなく唯、此処に在る事が愛しくてと目線をオーディエンスまで落として歌うRicky。会場に青いサイリウムが揺れる。

 

「運命AUTOMATIC」、「Do NoT TENdER!?」と鉄板ナンバーで畳み掛ける。既に飽和状態の会場にダメ押しナンバー「COGITO ERGO SUM」をプレイし、4人はステージを後にした。

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会場、そしてオンラインで参加している視聴者の熱烈な心の声に応えて再びステージに立ったRickyJOE。出し惜しみすることなく「BREAKSHAKEBRAIN」、「今に勝る時はナシ 今に敗けるよりはマシ」を続けてプレイ。

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アンコールMCJOEが静かにマイクを手にとった。世界がこんなふうになってしまって、また、こういう光景(有観客ライブ)が見られるという自信がなかったんですが……。今の光景は奇跡だと思っています。これが始まりになって欲しいです。そしてRickyが続く。人間は、自分でコントロールできない時期があると思うんです。それはみんなにもあると思います。でも、しっかり自分を立て直して、やれるところまでやりますので応援してください。率直な気持ちを語った。

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そしてアンコール3曲目は「大切な人へ」。君に歌える奇跡に祝福を。この曲はDASEINからオーディエンスに対する感謝の詩。スパンコールを模した紺色のジャケットまとい幾分フォーマルに歌うRicky

 

ラストは「泡沫なる夢幻」。泡沫なる夢幻をガムシャラに生きるのさ 愛しても止まない君がればこのリリックがまさにDASEIN、リスナーのを体現しているように思える。一つに一つの言葉を噛みしめるように歌うRickyの姿が印象的であった。

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そして再びステージに立ったRickyJOE。最終ナンバーは「レジスタンス」。JOEのツーバスが炸裂。アウトロでRickyが超ハイトーンでフェイクする。約2時間半のステージを終えDASEINはステージを後にした。

 

二日間に渡って行われたBlack DASEINDASEINVSライブ。この対決の勝敗は、オーディエンスに個々に任されたのかアナウンスされなかった。ただ、戦いが終わればノーサイド。DASEIN1230日、31日にもライブを行うことが決定している。ここでもまた、2つのバンドの対決、共演が観られるかもしれない。詳細の発表を待つこととしよう。

 

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<1128SET LIST>

01.

02.五月雨

03.真夜中のエレジー

04.リフレイン~ありふれた奇跡~

05.待宵影マツヨイカゲー

06.キ・ミ・ダ・ケ

07.ずっと一緒に

08.

09.葬れ

――Drソロ~波乱~――

10.唯、此処に在る事が愛しくて

11.運命AUTOMATIC

12.Do NoT TENdER!?

13.COGITO ERGO SUM

――アンコール1−−

14.BREAKSHAKEBRAIN

15.今に勝る時はナシ 今に敗けるよりはマシ

16.大切な人へ

17.泡沫なる夢幻

――アンコール2――

18.レジスタンス

 

【文・ぽっくん/写真・岡本麻衣(ODD JOB LTD.)

 

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Black DASEIN

Kuroninal Black DASEIN 2021

コピー20周年記念 譜愛名留(ふぁいなる

「共存狂栄」

~虎の威を借る黒毛和牛の如く~

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日程:20211230()

会場:初台DOORS

時間:OPEN/17:30  START/18:00

会場チケット スタンディング:7,800円(D別)

2021/12/11(土)10時よりイープラスにて販売開始

https://eplus.jp/sf/detail/3543070001-P0030001

配信方法:ツイキャスプレミアム配信

配信チケット:¥4,500

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<チケット購入URL

https://twitcasting.tv/ricky_a_prmkv/shopcart/12219

 

ー麺刃亞ー

Drums:上

Vocal:力

Guitar:少

Bass:流 (ヘルプ)

 

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DASEIN

Shimekukul DASEIN 2021

デビュー20周年記念 FINAL

NEXT QUEST

~探ギュウ心でlet’sトライ!!

 

日程:20211231()

会場:初台DOORS

時間:OPEN/17:30  START/18:00

会場チケット スタンディング:7,800円(D別)

2021/12/11(土)10時よりイープラスにて販売開始

https://eplus.jp/sf/detail/3543080001-P0030001

配信方法:ツイキャスプレミアム配信

配信チケット:¥4,500

<チケット購入URL

https://twitcasting.tv/ricky_a_prmkv/shopcart/122201

 

MEMBER

DrumsJOE

VocalRicky

GuitarSCOTTIE

Bass:村井研次郎

Manipulator:巧

 

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DASEIN オフィシャルサイト

http://dasein-official.com

DASEIN twitter

https://twitter.com/dasein_555

JOE BLOG

https://ameblo.jp/joe-doramusuko/

Ricky オフィシャルサイト

http://hyperneosoloist.com/ricky/

Ricky BLOG

https://ameblo.jp/ricky-soloist

Ricky twitter

https://ameblo.jp/Ricky_A_Prmkv


2021年12月09日 (木)

【ライヴレポート】<MUCC TOUR 202X 惡-The brightness WORLD is GONER>2021年12月3日(金)新木場USEN STUDIO COAST◆──「全員で行くぞ。その先の未来へ!」

NEWS - 16:27:06

しぶとい、という言葉が良い意味で使われることはそう多くないのかもしれない。
だが、このたび逹瑯・ミヤ・YUKKEの3人体制となった新生MUCCが12月3日に行った新木場USEN STUDIO COASTでの[TOUR 202X 惡-The brightness WORLD is GONER]東京凱旋公演において、我々へと向け提示してくていれたのは、とにかくMUCCというバンドがその逞しき“しぶとさ”をもって発揮する高い熱量と威圧的なほどの存在感だったのである。

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11月4日のツアー初日から、その約1ヶ月後となったこの日。1ヶ月前と全く同じ場所に還ってきて、1ヶ月前と同じように「JUSTICE-惡-」から演奏を始めた彼らの表情は、それでいて1ヶ月前とはかなり違うものになっていたように見えたのだ。

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MUCCにとって現段階での最新アルバムである『惡』が発売となって以降、ここまでに行われてきたワンマンライヴについてはおおよそ主骨格を同じくした流れで展開されてきたところがあるものの、その時々にあわせたリアルタイムなバンドの状況をセトリの端々に反映させていく手法はこの夜も健在であり、たとえば〈泣いたって 限界だって ENDER ENDER〉という歌詞がやけに刺さってきた「ENDER ENDER」や、はたまた〈ここで さぁ 始めよう〉という率直過ぎるくらいのメッセージが映えていた「KILLEЯ」は、いずれも1ヶ月前の新木場USEN STUDIO COASTでは演奏されていなかった曲たちだった。

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また、前回のツアー初日公演で演奏されていた曲の中でも特に「アイリス」については、以前と比べてさらにアレンジもパフォーマンスも進化していたように感じられ、この場面ではサポートドラマー・Allenを迎えて現体制となったMUCCの生み出す新しいグルーヴというものが、このツアーを通して錬成されてきたことを何より彼らの発する音そのものによって証明していたと言える。
つまり、たった1ヶ月の間にそれだけの成長を遂げてきたMUCCは、やはり相当に手強くしぶといバンドなのではあるまいか。

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「MUCCです。ツアーで久しぶりにライヴハウスを廻ってきました!今日はそのファイナルの新木場COASTへようこそ!!最後まで思いっきり行くんでよろしく!」(逹瑯)

先だって11月5日に新体制での記念すべき初シングルとしてリリースされた『GONER/WORLD』からの、深淵にして躍動感をもはらんだ「GONER」。
初期からの名曲のひとつである「我、在ルベキ場所」。
曲冒頭での楽器陣と逹瑯のブルースハープによるプチセッション的なイントロが乙だった「Friday the 13th」。
オリジナルのかたちよりもさらにカオティックかつダークサイドに寄った印象のSANDMAN」。
シングル『GONER/WORLD』のカップリング曲であり、MUCC流シティポップチューンとしての輝きを放っている「XYZ.」。
作られた時期もそれぞれなら、曲調もバラバラだというのに、それでもMUCCのライヴで演奏されると不思議なほど全ての曲から“MUCCらしさ”を感じてしまうのは何故なのだろう。
パンクバンドでもなければ、メタルバンドでもなく、ましてやメロコアバンドなどでもない、MUCCの果てしなき懐の深さ。
それは、どうやら今もって日々その領域を拡げ続けているようだ。

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ミヤ・YUKKE_CS1_11287-2

「12月に入り、2021年がまもなく終わろうとしていますね。残念ながら年内で閉店してしまうということで、今日はMUCCにとって最後の新木場COAST公演になってしまうんですが、それだけじゃなく今年はいろいろなものが終わりを迎える年になりました。多分、今年は自分にとってこの先もずっと忘れることのない1年になるでしょう。でも、そんな失うもの終わるものの話ばっかりじゃなく、2021年はこの歳になってまだまだ個人的に凄く強くなれた1年でもあったなと思っております。

まだこんなところは弱いなぁということにも気付けたし、ここから先には今の自分が知らない未来が待ってるのかなと思うと、それってワクワクするなぁと感じられたツアーになりました。
ありがとうございます。…うわっ、自分の言ったことで鳥肌たっちゃった(笑)。
まぁ、ひらたく言えばこれから先ずっと一緒に成長していこうじゃねーか!っていう話よ。
一緒に強くなってこうぜ。みんなひとりじゃねーからな!!」(逹瑯)

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以前よりもシャープで鮮やかな音像にブラッシュアップされていた「流星」と、夜空から夜明けへと移ろいゆくグラデーションを〈僕たち〉の心象風景と重ねることが出来た「暁」の2曲を歌い終わった逹瑯が、別れと旅立ちを描いた「明星」を次に歌い出す前に述べた以上の言葉。
そこからは、彼のとても素直な気持ちとMUCCのこれからに向けた希望を感じることが出来た。
自らの弱さにまで目を向けながら、今まさに強くなっていくことを実感しているという逹瑯のメンタリティはやはり強い。
これもまた、彼の持つしぶとさを物語るエピソードとしては充分かと。

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かくして、この夜のツアーファイナルではこのあとにAllenによるコンパクトなドラムソロを曲アタマにオプションした「Mr.Liar」や、逹瑯がミヤとYUKKEのふたりを一気に羽交い締めしながら微笑ましい構図で歌ってみせた「My WORLD」、喪失からの再生をドラマティックに描いた「TONIGHT」、あらためて〈過去と今を映した星が2つ輝いている〉という一節が、より感慨深く響いた「スピカ」が相次いで演奏されることに。
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また、アンコールではYUKKEがこの日のために懸命に練習したというエレアコを弾き、ミヤがエレアコを奏で、いわゆるアンプラグド的なスタイルで「COBALT」が披露された一幕があったほか、その後には今後に向けた告知事項の発表が!!

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なんでも、来年6月9日=MUCCの日に新体制でのニューアルバム(タイトル未定)がリリースとなり、その2日後の6月11日からは全国ツアー[MUCC TOUR 2022「     」~Beginning of the 25th Anniversary~]が行われることになったそうだ。

「まだ「GONER」と「WORLD」以外の新曲、1曲も出来てないのにな。発表しちゃったよ(苦笑)」(逹瑯)
「これから新曲、出さなきゃー」(YUKKE)

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「6月までに何時もよりは少しじっくり時間をかけてアルバムを作って、ツアーをやって、そこから25周年が始まります!」(ミヤ)

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この吉報を受けてからの「優しい歌」と「ハイデ」が何時も以上に晴れやかなものとして聴こえたのは、きっと筆者だけではなかったはず。そのうえ、MUCCのライヴといえばまず欠かすことの出来ない「蘭鋳」では、新木場COAST名物の巨大照明トラスが観客らの頭上近くまで降下&CO2の大量噴出で、あたりが濃い煙幕に席巻される事態が勃発したのだが、終演後にアップされたミヤのtweetによると、なんとあのCO2は“MUCCからの奢り”であったらしい。ハコの特性を最大に活かした爆音の嵐と粋な演出により、あのとき夢烏らが声こそ出せなくとも狂喜乱舞していたのは言うまでもない。

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「全員で行くぞ。その先の未来へ!」(逹瑯)

当夜の最後に歌われた〈world. the beginning of the world 壊れた世界を超えて〉という「WORLD」の歌詞を噛みしめながら、筆者がひしひしと感じていたこと。それも結局は、MUCCがいかに見事なほどしぶといバンドであるのか、ということだった。

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強い意思と気高き矜持にしっかりと裏打ちされた、MUCCのこの逆境を凌ぐ逞しきしぶとさは、
必ずや次なる新展開にて鮮やかに花開いていくことだろう。MUCCのしぶとさに栄光あれ!

 

 

 

写真◎Susie
文◎杉江由紀

 

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『MUCC TOUR 202X 惡-The brightness WORLD is GONER』
2021年12月3日(金)USEN STUDIO COAST
SETLIST

1. 惡 -JUSTICE-
2. CRACK
3. 神風 Over Drive
4. ENDER ENDER
5. 海月
6. アイリス
7. KILLEЯ
8. GONER
9. 我、在ルベキ場所
10.Friday the 13th
11.SANDMAN
12.XYZ.
13.流星
14.暁
15.明星
16.Mr.Liar
17. My WORLD
18. TONIGHT
19. スピカ

En.1 COBALT
En.2 優しい歌
En.3 ハイデ
En.4 蘭鋳
En.5 WORLD

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≪NEW RELEASE≫

■NEW ALBUM「タイトル未定」
2022年6月9日(木)発売
<収録曲> 未定  

 

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≪TOUR≫

■『MUCC TOUR 2022「     」〜Beginning of the 25th Anniversary〜』
2022年6月11日(土) 水戸VOICE
2022年6月12日(日) 水戸VOICE
2022年6月18日(土) 新潟LOTS
2022年6月19日(日) 金沢EIGHT HALL
2022年6月25日(土) 神戸Harbor Studio
2022年6月26日(日) 大阪 BIG CAT
2022年7月2日(土) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2022年7月3日(日) 高松 festhalle
2022年7月10日(日) 仙台 GIGS
2022年7月16日(土) 札幌 cube garden
2022年7月17日(日) 札幌 cube garden
2022年7月23日(土) 浜松 窓枠
2022年7月24日(日) 名古屋 ダイアモンドホール
2022年7月26日(火) 京都 KBSホール
2022年7月30日(土) 福岡 BEAT STATION
2022年7月31日(日) 福岡 BEAT STATION
2022年8月19日(金) Zepp Nagoya
2022年8月21日(日) Zepp Osaka Bayside
2022年8月28日(日) Zepp DiverCity Tokyo

※チケット詳細等は、後日お知らせします

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≪RELEASE≫                             

■NEW SINGLE「GONER/WORLD」 発売中
【初回限定盤】(CD+DVD)MSHN-116/117 ¥2,420(税込)
【通常盤】 MSHN-118 ¥1,485(税込)
MV https://youtu.be/CN5_n93-z80 

≪イベント情報≫
■DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021 supported by MAVERICK DC GROUP
2021年12月27日(月) 日本武道館 OPEN 14:00 / START 15:00
【チケット料金】前売 ¥8,800(全席指定・税込)
【プレイガイド3社合同プリセール】 12月8日(水)12:00~12月11日(土)23:00

JACK IN THE BOX 2021オフィシャルサイト http://www.jack-itb.com/ 

 

 

<Official HP> http://www.55-69.com/ 

<Official Twitter> https://twitter.com/muccofficial 

<Official Instagram> https://www.instagram.com/mucc_official/ 

<Official Facebook> https://www.facebook.com/facemucc  

<Official YouTube Channel> http://www.youtube.com/channel/UCExoaicqsoRZbKdFehPmmEQ?sub_confirmation=1  

<Official Weibo> https://www.weibo.com/muccofficial  










2021年12月06日 (月)

【ライヴレポート】<怪人二十面奏 六周年記念単独公演巡業二〇二一「THE NUMBER TWENTY REVENGE」千秋楽>2021年11月28日(日)赤羽ReNY alpha◆「この時期に全国ツアーをみんなの力で乗り切ったことは僕らの力になったと思います」──マコト(Vo)

REPORT - 22:00:44

コロナ禍で、これまでの活動ができなくなったたくさんのバンドが試行錯誤を迫られた。配信ライヴに力を入れたり、SNSを使ったコミュニケーション図ったり、可能な限り有観客ライヴを実施したり。そんな中で怪人二十面奏は、いち早く全国ツアーを決行した。

 

11月28日、赤羽ReNY alphaで迎えたツアーファイナルは、そんな彼らの選択の結果が如実に現れたライヴとなった。コロナ禍におけるバンドの選択に正解も不正解もないことは言うまでもないが、少なくとも怪人二十面奏は、自分たちの選択が正しかったことを確信しただろう。

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開演を待ち構える観客の前に、これまでのツアーのライヴ映像が次々に映し出される。このツアーでは、ライヴごとに異なる過去の衣装を着用し、これまでの活動を振り返る趣向となっていた。彼らの衣装は、「第一章 怪人二十面奏参上篇」からずっと明らかなコンセプトをもとに作り上げており、衣装の変遷は彼らにとってバンドの歴史でもある。

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この日は、「第九章 懐古的未来世界 篇」の衣装のお披露目でもあったからか、マコトとKENがステージに揃い、一曲目の「Pied Piper of Hamelin」が始まっても、フロアは若干ざわついている印象。それが、これまでのバンド活動の中でも一番短いというショートパンツにガーターベルトというマコトのいでたちのせいなのかは不明だが、新しい衣装が、一瞬呆気にとられるようなインパクトを思いがけず与えてしまったようだ。

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マコトは容赦なく力が入った様子でホイッスルで煽り、続く「偶像破壊黙示録」ではメガホンを手に扇動していく。「ヲルガン坂に見る夢は」ではファンも小さなメガホンを手にしたかと思うと手拍子を打ち鳴らし、その場でジャンプ! 徐々にライヴの空気に身をゆだねていく。

 

「赤羽!、やってまいりました」とマコトが名乗りを上げると、今日がツアーファイナル(千穐楽)であることを告げ、これまでの19本の思いを背負って臨むと力強く宣言。ここでマコトが“リベンジ”という言葉を使ったのは、本来であれば昨年に五周年記念ツアーを実施する予定だったからだ。

 

それにも関わらず、緊急事態宣言のためにツアーは中断、その後に予定していた振替公演さえ、再びの感染拡大で配信ライヴへの変更をよぎなくされた。だからこそ、ツアーが許される状況になって、いち早く彼らは全国ツアーを決行したのだ。ギリギリの状況の中、感染対策をしながら何とか無事19本を終え、20本目のファイナル公演を終えることでリベンジが果たされる。力が入るのも当然と言えるだろう。

 

「想望カルト」から、怪人二十面奏らしい歌謡曲テイストをたっぷり交えながら、曲の世界観をくっきりと描き出していく。「人間失却」ではフロア全体で揃って手拍子でリズムを刻み、さらに体を二つ折りにして激しいノリを展開した。そんな光景を見ていると、ソーシャルディスタンスを保っているとは言え、コロナ禍のライヴとは思えない、コロナ以前に戻ったような、そんな錯覚さえ覚えた。

 

コロナ禍のライヴでは、声が出せない、自由に動き回れない、そんな制限の中で行われている。まだまだ以前のようにライヴを楽しむのが難しい状況だ。そんな中、強い意志を持って全国ツアーを経験してきた彼らもそのファンも、現状の制限のうえで思い切りライヴを楽しむ術を発見したかのように見えた。どんな状況でも人は適応できるもの。この日、目にしたライヴの光景は、楽しむことに100%集中している、その点においてまごうことなきライヴならではの景色だった。

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「噫無情」を切々と歌い上げたマコトが、「楽しんでくれてますでしょうか?」とMCを始める。地方ではクダけたMCもしたそうだが、今日は真面目にと神妙な顔つき。KENも「よく来てくれました。いい状態で迎えられて楽しみにしてした」と穏やかに口にする。

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そしてこの日がマコトの誕生日であることに触れ、「マコト様のお生まれになった日」とKENが讃える。マコト本人としては、何年か前に年をとらなくなったそうだが、「一番短いパンツを履くとは思わなかった」と照れつつも、「攻めてるね~」と言われご満悦な様子。

 

しばし新衣装の話で盛り上がりを見せていたが、「いろいろ考えてたけど、みんなの顔を見てたら楽しむだけ」とマコトが素直な思いを口にし、ツアーをやり遂げたことを踏まえて「前に進んでいきたい」と決意を新たにしているようだった。

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普段でも、20本ものツアーを終えれば、間違いなくバンドは成長して帰ってくる。コロナ禍というこれまで想像もしなかった状況で敢行したツアーに挑んだ彼らの緊張や不安を想像すると、それはキャリアの長い二人にとっても特別なものだったはずだ。それを乗り越えた彼らは、どれだけ多くの物を手に入れただろう。このように彼らの決心が実を結んだことを嬉しく思った。

 

「可不可」から終盤戦に向けて、さらに激しく、MCどおり観客ははっちゃけていいく。マコトもKENもステージから前方へと乗り出し、観客を挑発していく。「G・G・P・G」では、タイトルを叫べない観客の代わりに、ステージから叫び声が突き刺さってくるように耳に届く。ヘドバンで応える観客。怪人二十面奏の魅力のひとつとも言える、ある種の仰々しい空気がステージに満ち、観客を飲み込む。

 

「アヴストラクト シニシズム」では、KENも「どうですかー?」と観客を煽り、マコトがさらに「イケんのか?」と畳みかける。観客同士が接触していなくても、確実に熱を帯び、熱くなっているのがわかる。ニュース速報のような語りから「G・Jクローバー連続殺人事件」が始まると、観客はその場で思い切り踊り出す。会場中の空気もサウンドも、イキイキと躍っているように感じられ、じっと立って観ているだけで、躍動感が身体に伝わってくるようだった。

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「最高の景色です」と満足げなマコトが、「もうちょっと」と「死せる Cecile セルシン摂氏0度」を始めると、ファンもさらに豹変。思い切り勢いをつけたヘドバンに長い髪が振り乱れる。思えば以前はこんな風に、ちょっと遠慮があったほうがいいのでは…と心配になるほど、みんなが頭を振り乱していたものだった。今はその遠慮のない思い切りのよさが、とてもステキだ。そのまま本編最後を「ダムド」で締めくくると、スピードを上げてその勢いのまま一気に駆け抜けるように、幕を下ろした。

 

アンコールでは、マコトの誕生日をお祝いするべくケーキがステージに登場。お祝いを受けて笑顔を浮かべつつも、マコトは「誕生日はオマケ。何と言っても今日はファイナル」と、ツアーを完走できたことが嬉しくてたまらないといった様子だった。

 

表情豊かに、悲哀に満ちた「其の証」を聴かせ、「生命力」でほとばしる感情をむき出しに、最後の最後まで全身全霊で自分たちの音楽に向かう姿を見せてくれた二人。長くサポートを務め、このツアーを共にしたShinsaku、龍、IORI-菴-の三人とスタッフにお礼を告げる表情は晴れ晴れとしている。

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「この時期に全国ツアーをみんなの力で乗り切ったことは僕らの力になったと思います」と、何度となく繰り返したマコトの言葉は、2月の東阪ワンマン「二癈人」、そして3月発売のシングル『癈人録/しにいたるやまひ』で証明されることだろう。コロナ禍の終わりは見えない。もちろんまだライヴに足を運ぶことができないファンもいるだろうが、いつかまた思い切りライヴを楽しめるときのために、バンドの現在の活動を応援し続けてほしい。そんなことを改めて感じた夜となった。

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文・村山幸
フォト:米田