2022年03月07日 (月)
【ライヴレポート】<DEZERT CHIAKI Birthday Live「透明人間」>2022年3月2日(水)Spotify O-EAST◆「あんたらの代弁者にはなれないけど、 一緒に悩もう。」──千秋(Vo)
REPORT - 20:00:15フロントマンである千秋の誕生日当日、3月2日Spotify O-EASTにて[CHIAKI Birthday Live「透明人間」]を開催したDEZERT。
DEZERTとしての今年初のライヴ、そして大変おめでたい日のライヴということもあり、熱気溢れる、記憶に深く刻まれる一夜となった。
今回はそんな今後につながる特別な夜となった公演の様子をレポートする。
生命たちがそれぞれに蠢動しだす季節を迎えた中、今年もまた“彼”の誕生日がやってきた。
梅が方々で咲きだし、花粉も飛び始めて、だんだんと新しい季節の始まりが感じられるようになって来た、ある春先の一夜。
DEZERTがこのたびO-EASTにて開催した[CHIAKI Birthday Live「透明人間」]は、まさにタイトルどおりフロントマンである千秋の誕生日を記念した特別なものとなっていたのである。
ちなみに、昨年はバンド名義ではなく[一ノ瀬千秋 単独公演~ひとりじゃできないもん!2021~ゲストミュージシャン:DEZERTな皆様]というかたちで、ソロ名義でのステージが展開されメンバーは敢えてのバックバンド扱いとなっていたのだが、今年は来たる3月23日にニューシングル『再教育』の発売や、3月29日からは渋谷CLUB QUATTROより始まる[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]が控えているほか、このライヴ自体がDEZERTとしては今年初のライヴとなったこともあるのか、実質的には千秋のことを祝うバースデーパーティであるだけでなく、今後に向けてのスタートアップ的な内容になっていたようにも見受けられた次第だ。
「さぁ、“今日”を始めようか。生きてるか?東京!久しぶりだな。僕たちも精一杯生きて帰るから、思いきり生きて帰ってくれよ」
この千秋の言葉を受けてまず場内に向けて放たれたのは、昨今であればライヴの最後を飾ることが多かった、
彼らにとっての真摯なる所信表明チューン「TODAY」。
気付けば何時の頃からか、千秋はライヴの場でオーディエンスに向けて「生きてるか?」という言葉をことあるごとに投げ掛けるようになっていた気がするのだが、カオスなコロナ禍が始まり、それさえ終息しない中で世界情勢が一層の混迷状態に突入してしまった今、ここでの「生きてるか?」という率直な問い掛けや、「TODAY」で聴けた〈生きててよかった そう思える夜をずっと探してる〉という歌詞が、やたらと何時も以上に胸に響いてきてしまったのは筆者だけだろうか。
そして、結果論からいくとこの夜のライヴについては、それこそ生きているからこそ感じられる感覚や感情というものを、さまざまな瞬間から存分に味わえる場面に満ちあふれていたとも言えよう。
たとえば、3曲目に演奏されたライヴ初披露の新曲「インビジブルビリーヴァー」は、今回のライヴタイトル「透明人間」の引用元となるものであり、3月23日発売予定のニューシングル『再教育』に収録される1曲になるものの、なにしろ演奏が始まった瞬間からその場に発生した“圧”がタダゴトではなかった。
バンドが渾然一体となって打ち出してくる音像しかり、千秋のエモみ全開なヴォーカリゼイションといい、この閉塞し迷走する時代の空気感を撃破するようなダイナミズムが、そこにはありありと息づいていたと断言出来る。
なお、この「インビジブルビリーヴァー」に関しては2月末よりYouTube公式チャンネルにてドラマー・SORAの制作したというリリックビデオが先行公開されているので、未見の方はぜひ一見されたし。
そんなバンドとしての烈しい面を凝縮した最新曲がお披露目された一方、この夜のライヴでは、Miyakoがアコースティックギターを手にして美しい旋律を聴かせてくれた「I’m sorry」や、DEZERTの擁する繊細で叙情的な表情を投影した「「遭難」」などが本編中盤あたりで供されたりもしつつ、佳境に向けては各メンバーのプチソロを組み込んだ「デザートの楽しいマーチ」をはじめとして、彼らのライヴにおける鉄板曲たちがこれでもかと揃い踏みすることに。
「あのね。僕は昔、なんと「ありがとう」が言えなかった人間だったんですよ。
頑張っても「Thank you」が精一杯で(苦笑)。だけど、この2年くらいかな。亡くなった方、消えちまったやつが初めて自分の周りで出て来たわけ。友だちしかり、尊敬する人しかり。
まだ、おじいちゃんおばあちゃんもご存命な中でそれは初めてのことでさ。
そうなった時、「ありがとう」っていう言葉を適当に出来ないなっていう気持ちになってきました」
なるほど、やはり。千秋が昨今ライヴの際に「生きてるか?」と口にするようになった背景には、明確に転機となる出来事があったということだったらしい。
「そこから「丁寧に生きよう」っていうのが2018年の『TODAY』(アルバム)から始まって。自分たちは全然バンドとしてもまだまだだし、歌だって上手くないけど、それでもDEZERTの音楽でひとりでも多くの人を救いたいなぁ、って思ってた時期もありました。(中略)
でも、いろいろ考えたらそんなんじゃ誰も救えねぇんだよな。救う気でいちゃ駄目だ、そうじゃなくて俺は俺自身を救わなくちゃいけないんだ、ということにあらためて気付きました。
だから…要は何が言いたいかっていうと、多分DEZERTってみんなと一緒に悩んでいくバンドなんじゃないかなぁ、と。
今日は誕生日だし、今年の初ライヴだから、ここでそれを決意表明として言っておきます。あんたらの代弁者にはなれないけど、一緒に悩もう。そして、この歌はあんたらと一緒にもっと育てていきたいんで最後に付き合ってください!」
ここで歌われたのは、昨年発表された音源『RAINBOW』に収録されていた寛容なる愛とこの世の真理を描いた「ミザリィレインボウ」だ。
〈銃声が鳴り止まなくても 歴史に押しつぶされそうでも 今夜なら優しくなれる気がしてんだ〉
〈違いを赦して 違いを愛して 互いを照らしてくれ レインボウ〉
という歌詞たちを力強く歌いあげながら、曲間で「俺は綺麗事を歌うよ。汚いことも歌うよ!」と叫んだ千秋。
その姿からは彼がいかにアーティスト・表現者として、その時に何が最も必要なのかを的確に把握することが出来る逸材であるのか、ということを再確認することが出来た。彼がこの時代に誕生してきたことは、おそらく必然だったのだろう。
しかし、そうした感慨にふけっていると一転してアンコールでは、[CHIAKI Birthday Live「透明人間」]ならではということで、千秋およびメンバーのお気に入り曲カバー大会が始まるはこびとなり、まずここで1曲目として選ばれていたのは、ELLEGARDENが20年前に発表した名曲「風の日」。千秋のみならずSORAも熱いエルレフリークであるとのことで、演奏が終わったタイミングではELLEGARDENのフロントマン・細美武士氏がよくステージ上で見せるポーズを、ふたりが嬉々としながら真似ていたのもなかなか微笑ましい一幕であった。
また、この後には昨年に引き続いて元・ペンタゴンの眠花をゲストベーシストに迎え、Sacchanはキーボードを弾き、Miyakoが再びアコースティックギターを操りながら「Honesty」(ビリー・ジョエル)と「Breath」(2005年に出たKinKi Kidsのアルバム『H album -H・A・N・D-』に収録されていたシンガーソングライター・河口恭吾氏が提供した堂本剛のソロ曲)が客席へと届けられ、集ったファンは普段のDEZERTのライヴとは全く異なるレアな味わいを堪能することになったに違いない。
くわえて、最後にはSORAがギタリストとしてステージ下手に立ち、サポートドラマー・静岡のJoeyが参加するかたちでhide with Spread Beaverの「ROCKET DIVE」と、本来の4人編成に戻ったうえでの突然なサプライズとなった「doze.」(こちらはDEZERTのオリジナル曲)で、アンコールだからこそのブチ上がり感がハジけた場内はおおいに盛り上がったのだった。
かくして、千秋の誕生であり、今年初のライヴにして、シングル『再教育』の発売を控えた中での本公演[CHIAKI Birthday Live「透明人間」]は、もちろんDEZERTにとって良い景気づけになったはず。
3月29日の渋谷CLUB QUATTRO公演から始まってゆく[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]と、6月18日に決定しているDEZERTにとって初の日比谷野外大音楽堂ライヴは当然ながら要注目となる。
生命たちがそれぞれに蠢動しだす季節を迎えた中、ここからさらに大きく躍動していくDEZERTが、ファンと共に悩みながらもたゆまず邁進していく日々に、どうか光あれ。
来たる3月23日にはニューシングル『再教育』の発売を控えているDEZERT。
さらに3月29日より始まる7大都市ツアー[DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”]のチケットが、3月12日(土)より一般発売開始される。
いよいよ2022年怒涛のDEZERTイヤーの開幕である。今後の動きにも要注目してほしい。
文◎杉江由紀
写真◎上原俊
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CHIAKI Birthday Live「透明人間」
2022年3月2日(水)Spotify O-EAST
<SETLIST>
01 TODAY
02 Thirsty?
03 インビジブルビリーヴァー
04 「殺意」
05 Hello
06 カメレオン
07 殺されちゃう
08 包丁の正しい使い方~実行編~
09 「教育」
10 I’m sorry
11 「遭難」
12 MONSTER
13 デザートの楽しいマーチ
14 Your Song
15 「遺書。」
16 「君の子宮を触る」
17 ミザリィレインボウ
En1 風の日 (ELLEGARDEN)
En2 Honesty (Billy Joel)
En3 Breath (堂本剛)
En4 ROCKET DIVE (hide with Spread Beaver)
En5 doze. (DEZERT)
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≪DEZERT最新ライヴ情報≫
■DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”
2022年3月29日(火)SHIBUYA CLUB QUATTRO ※スタンディング
OPEN 17:45 / START 18:30 (問) DISK GARAGE 050-5533-0888
2022年4月2日(土)仙台Rensa ※座席あり
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) EDWARD LIVE 022-266-7555
2022年4月9日(土)福岡DRUM LOGOS ※スタンディング
OPEN 16:45 / START 17:30 (問) BEA 092-712-4221
2022年4月10日(日)広島LIVE VANQUISH ※スタンディング
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) YUMEBANCHI 082-249-3571
2022年4月23日(土)札幌cube garden ※座席あり
OPEN 17:00 / START 17:30 (問) WESS info@wess.co.jp
2022年4月24日(日)札幌cube garden ※座席あり
OPEN 16:30 / START 17:00 (問) WESS info@wess.co.jp
2022年4月30日(土)なんばHatch ※座席あり
OPEN 16:30 / START 17:30 (問) キョードーインフォメーション 0570-200-888
2022年5月1日(日)名古屋DIAMOND HALL ※スタンディング
OPEN 16:30 / START 17:30 (問) サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
【チケット料金】前売¥6,000(税込・全自由)
※入場時ドリンク代別途必要、入場整理番号付き、営利目的の転売禁止、未就学児童入場不可
【一般発売】 2022年3月12日(土)~
イープラス https://eplus.jp/dezert/2022/ ※全公演受付URL共通
ローソンチケット https://l-tike.com/search/?keyword=DEZERT
※3月29日(火)SHIBUYA CLUB QUATTRO 4月9日(土)福岡DRUM LOGOSのみ。
チケットぴあ https://t.pia.jp/pia/search_all.do?kw=DEZERT
※3月29日(火)SHIBUYA CLUB QUATTRO、4月9日(土)福岡DRUM LOGOSの。
※本公演は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府の感染防止ガイドラインに沿った対策を十分行った上で開催致します。
※政府からの「新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためのイベントの開催自粛要請」が発令された場合、
延期、もしくは中止になる場合がございます。
DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー”特設サイト https://www.dezert.jp/tour2022/
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≪DEZERT最新リリース情報≫
■SINGLE『再教育』 2022年3月23日発売
<初回限定盤>(CD+DVD)DCCL-242~243 3,500円(税込)
<通常盤>(CD)DCCL-244 1,500円(税込)
【収録曲(初回限定盤/通常盤共通)】
1. 再教育
2. インビジブルビリーヴァー
3. ミスターショットガンガール
【初回限定盤特典】
・特典DVD付
「DEZERT LIVE TOUR 2021 RAINBOW –カメレオンは空を見上げて笑えるか?–」
2021年7月23日 Zepp Haneda公演と10月16日 恵比寿LIQUIDROOM公演から7曲収録。
<収録内容>
7月23日 Zepp Haneda 1.「絶蘭」 2.さくらの詩 3.神経と重力
10月16日 恵比寿LIQUIDROOM 1.「絶蘭」 2.殺されちゃう 3.MONSTER 4.デザートの楽しいマーチ
・初回盤仕様ジャケットデザイン
・トレーディングカードゲーム3枚入り(ランダム封入)
※トレーディングカードゲームの絵柄は選べません。
【通常盤特典】
・トレーディングカードゲーム1枚入り(初回プレスのみ。ランダム封入)
※トレーディングカードゲームの絵柄は選べません。
トレーディングカードゲーム名:DEZERTバトルカードvol.2~再教育の輪~(全10種類)
※その他の詳細は、随時DEZERTオフィシャルサイトでお知らせいたします。
≪インビジブルビリーヴァー リリックビデオ≫ https://youtu.be/dwCK1va2ZyQ
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DEZERT オフィシャルサイトhttp://www.dezert.jp
DEZERT YouTube URL https://www.youtube.com/dezert_official
DEZERT 公式Twitter https://twitter.com/DEZERT_OFFICIAL
DEZERT 公式 Instagram https://www.instagram.com/dezert_official/?hl=ja
千秋 YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCbWWFZ7Px-9sWIyInENfc6g
SORA YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UC4DXfy7kAvGfRuA_A4-VATQ
SORA Voicy「SORAの元気になるハナシ」 https://voicy.jp/channel/1890
2022年03月07日 (月)
【ライヴレポート】<PENICILLIN HAPPY BIRTHDAY & VALENTINES DAY LIVE SPECIAL 2022『The beginning of 30th anniversary』>2022年2月13日(日)新宿ReNY◆結成30周年の口火を切るバレンタインライブは初期のインディーズ曲が中心、贅沢なセットリストに陶酔!4月には<30th anniversary 関東サーキット2022「The Time Machine」>開催!
REPORT - 19:00:41去る2022年2月13日(日)、PENICILLIN HAPPY BIRTHDAY & VALENTINES DAY LIVE SPECIAL 2022『The beginning of 30th anniversary』が行われた。
会場は新宿ReNY。頭上にはシャンデリア、そしてステージを覆うは真紅の幕と、その華やかな内装は30周年の口火を切るに相応しい会場と言えるだろう。
定刻を少し過ぎて姿を現したPENICILLINの面々、赤と黒を基調として色合いに統一感を持たせており、HAKUEI(Vocal)はレースの装飾とゴーグルが施されたハットに近年のトレードマークともなっているアイパッチ。インナーには大きな唇がプリントされている(思わず“NICE IN LIP+L!“と心の中で叫んでしまった笑)。
千聖(Guitar)はハットに黒のレザー調のコート。演奏面の配慮であろう、袖のないデザインだ。
O-JIRO(Drums)は最早こちらもトレードマークと言えるであろうベレー帽にベスト、そしてネクタイの装い。
サポートのCHIYU(Bass)は柄シャツにジャケット。同じくサポートのShige(Keyboard)はドレッドヘアーにハットと言う出立ちであった。
前日となるDay-1はまさかのインディーズ時代の曲が中心となるセットリストであった為、今宵はどんな曲を聴かせてくれるのだろう(何ならそのままでも良いとすら思うくらい1日目も素晴らしいが過ぎるセトリでした笑)と興奮高まる中、本日はハードロッキンに疾走する「Desire」からのスタート。
千聖の愛機であるフライングVシェイプのギターから繰り出されるハーモニクスを交えたリフが鋭く耳をつんざき、熱く心を扇動する。
HAKUEIの煽りに続いては初期の代表曲の1つであり、ファンクラブ名としてもお馴染みの「Quarter Doll」。
クローズドハットを中心としたビートロック調の演奏ながら、そこに乗せられたテンション高めのメロディとのコントラストがたまらない。
千聖の十八番である光線銃ギターソロが早くも飛び出し、歌詞の通り“あなた(ここではステージ上のPENICILLIN)にしばられてもう動けない“状態となってしまう。
そしてヴィジュアル系の王道である食い気味の進行が心地良い「Brand New Lover」だ。いきなりの初期曲3連発には目眩を覚える程。
早速の何とも贅沢なセットリストに陶酔するオーディエンス。それが盛大に彼方へとぶっ飛ばされたのが本日最初のMC。なんとHAKUEIは開口一番場内の暖房調節について語り出したのだ(笑)。
客席への気遣いからなのは勿論であるのだが、場内スタッフへの言葉から始まるMCはあまり聞いた事がないぞ(笑)。
当日は生憎の雨模様であった為、“お足元の悪い中お越し下さりありがとうございます“と再び気遣いの言葉をかけてくれる。
“昨日今日の2日間から30周年イヤーと言う事で、ライブや新曲などの動きが始まる“と期待に胸が高まる発言や“本当の結成日は明日の2/14、モテない男4人が結成したバンドだったので“と言う何とも物悲しい裏話も聞かせてくれた。
裏話ついでに明かされたのは薬品としてのペニシリンは世界初の臨床実験が成功した日として2/12がペニシリンの日とされているが、HAKUEIの母親の誕生日も2/12なので、強引ではあるがちゃんと繋がっているとの事であった(笑)。
続く曲目についても前日と同様にインディーズ時代の楽曲が中心となったセットリストである事が明かされ“知らない人は乗れないかもしれないけどどうせ今は乗っちゃいけないし、でも自分達の歴史を彩った大切な楽曲たちなので、楽しんで頂ければ!“の声と共に場内に妖しく響くのはギターの単音リフ。フライングVからエクスプローラーシェイプへと千聖はギターを持ち替えている。「冷たい風」だ。
縦ロール姿のHAKUEIが何とも美しいMVも印象的であるが、“いつまでも いつまでも“と切なく歌われるサビに合わせ艶かしく動く眼前のHAKUEIは時を重ね表現力や妖艶さに深みを増すばかりだ。
O-JIROの4つ打ちのドラムで曲間を繋ぎ演奏された「FIORE」はイタリア語で“花“の意味を持つ楽曲。少し跳ねた様なリズムと異国情緒漂う雰囲気に、CHIYUも指弾きによる柔らかなトーンで寄り添っている。
と、ここでいきなり一際ダークな“マゾヒスト“が投下。ひたすらにインモラルな曲調はPENICILLINの真骨頂の1つとも言えよう(と言うのも筆者はこの曲や「Blood Type:M」が大好物笑)。
狂気を感じさせるツタツタ系のリズムを刻むO-JIROがそのギアを更に上げていき、HAKUEIは張り裂けんばかりのシャウトを聞かせる。曲が終了を迎えるや否や鳴り止まぬ拍手。こんな熱演で魅せられたらそりゃそうもなるよなあ。
2度目のMCはO-JIROと千聖のターン。互いの装いを“強そうなスナフキン(千聖)“、“上等なおぼっちゃま(O-JIRO)“とやり合ったり、初期の爆笑エピソード(当時は雑誌の自己紹介アンケートに“暗く、ダークです“と意味不明な事を書いていたらしい)を披露してくれたりと、そこは最早トークショーさながら(笑)。
“そろそろ新しい曲も“とHAKUEIの仕切り直しで続くはうねるベースがヘヴィな「パライゾ」。光溢れる「still alive」でのO-JIROはブレイクの合間に笑顔でスティックを掲げており、こちらも思わずマスクの下でにっこりである。
ポップでありながら一種の荘厳さも感じさせる「Little Love Story」ではもうライブが後半へ差し掛かっている事に気付き、少しだけ寂しくなってしまった。
今度はHAKUEIが結成からの歩みを振り返る形でのMCを挟み、断トツで1番好きだった「8時だョ!全員集合」と同じ舞台である渋谷公会堂での初ライブの感想などを聞かせてくれた。
煽りをCHIYUに任せ後半戦がスタート。「Melody」である。個人的には彼等の冠番組「ペニシリンSHOCK」のエンディングテーマとして親しんでいた為、演ってくれてめちゃくちゃ嬉しかったです終盤のギターソロが大好きなんです…(笑)と、筆者の文体にも乱れが生じた所で最新の暴れ曲「Just a kiss on your 3rd eye」と初期の暴れ曲「Chaos」を続いて叩き付けると言うドSなセットリストで本編は終了。
アンコールでは30周年記念Tシャツに着替えた面々、お祝いのケーキに“景気がいいね“と返す千聖や続く曲の歌詞をど忘れしたせいでなかなかステージに戻ってこないHAKUEI(装いはレザーのベレー帽にアディダスのポンチョを合わせると言うセンス爆発コーデ!)と微笑ましい展開であったが、“10年振りくらいかな…心を込めて歌います“と演奏されたのはまさかの「マザーグース」である。
実にメランコリックな千聖のアルペジオとShigeのピアノとHAKUEIの歌声。郷愁を誘う感動的なサプライズに酔い痴れる会場。その余韻と、そしてPENICILLINの続いて行く旅路を祝福するかの様な「Virginal」には心を抱き締められる思いであった。
ここで中継による配信は終了し、場内来客者のみに「Fly」と「Imitation Queen」のコンボがまたもやドSに叩き付けられ、ライブは狂乱のクロージングを迎えた。
今後の動きとしてアルバム毎の振り返りではなくツアーのセットリストを振り返ると言う趣で開催される関東サーキットの発表や、各々ソロ活動に関しては、HAKUEIは俳優・佐藤流司がRyuji名義で率い、自身がツインボーカル、トータルプロデューサーとしてが参加するThe Brow Beatのメジャー1stアルバムの発売も控えていたり、千聖はソロプロジェクトのCrack6のファンクラブ旅行が3月26日と27日に開催予定だったりと、PENICILLINの動きは本体やソロ活動に至るまで止まらない。
本公演にカメラ収録が入っているとの事で映像化の可能性も示唆されており、そちらの続報もとにかく待たれる所だ。
取材・文 庄村聡泰
撮影 折田琢矢
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<セットリスト>
HAPPY BIRTHDAY & VALENTINES DAY LIVE SPECIAL 2022
『The beginning of 30th anniversary』
2022年
2月13日(日)新宿ReNY
01. Desire
02. Quarter Doll
03. Brand New Lover
04. 冷たい風
05. FIORE
06. マゾヒスト
07. パライゾ
08. still alive
09. Little Love Story
10. Melody
11. Just a kiss on your 3rd eye
12. Chaos
—Encore1—
01. マザーグース
02. Virginal
—Encore2—
01. Fly
02. Imitation Queen
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<ライブ情報>
■PENICILLIN 30th anniversary 関東サーキット2022「The Time Machine」
4月02日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!! 開場17:30/開演18:00
4月16日(土) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3 開場17:30/開演18:00
4月17日(日) 柏PALOOZA開場17:30/開演18:00
4月23日(土) 東京キネマ倶楽部 開場17:15/開演18:00
全自由(整理番号順の入場):9,000円(税込/D別)
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・ Return of Japanese Ultra Wars Tour
・ Return of NUCLEAR BANANA Tour
・ Return of JOKER IN A POT Tour
・ Return of Happy Flower Circus Tour
過去30年間で行われたtourの中から、1日ごとにいくつかのtourをフォーカスした形のライブをお届けします。
※どの日にどのツアーが来るかは後日発表になります
【ライブチケット、スケジュールの全ての情報はこちら】
PENICILLIN Web
↓↓
ファンクラブ入会案内はこちら
↓↓
https://www.penicillin.jp/fanclub/enrollment
2022年03月04日 (金)
【ライヴレポート】<mitsu ONEMAN TOUR 2022「ZEAL 4 ROMANCE」ファイナル>2022年3月2日(水) 渋谷REX◆
REPORT - 20:00:03
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激アツ必至のツアーファイナル
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2022年3月2日(水)、渋谷REXにてmitsu ONEMAN TOUR 2022「ZEAL 4 ROMANCE」ファイナル公演が開催された。
1月最終週から週1回開催してきたライブも今日で最後。あっという間の6公演だった。毎年「みつの日」としてライブを行なってきた渋谷REXで迎えるツアーファイナルは、さながら凱旋のようだ。
2020年の「みつの日」は緊急事態宣言が発令されたため、急遽、無観客の配信ライブとなった。2021年は観客数を減らしてのオフラインと配信の2部構成だった。そして2022年、やっとオフラインのみのライブ開催が叶ったのだ。マスク着用必須、声出し厳禁という制限はまだあるものの、コロナ禍以前の形態に近いライブを開催することができた。しかもツアーファイナルを兼ねた「みつの日」とくれば、熱くならないわけがない。
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根源的な「ライブの楽しさ」を詰め込んだツアー
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ツアー期間中のリハ風景などをまとめた未公開のドキュメント映像が流れ、「ZEAL 4 ROMANCEのテーマ」からライブスタート。マイクに噛み付かんばかりの激しい歌唱がテンションの高さを物語る。フロアもステージの勢いに飲まれることなく、ビートに乗って腕を突き上げる。じつは、ツアー初日はステージから放たれる勢いに気圧されてしまうファンも見受けられたが、ファイナルともなると、ファンもしっかりと受け止めることができるようになっているようだ。
「それぞれの楽しみ方で、自由に楽しんで!」とフロアに声をかけるmitsu。この直後に演奏された「Live Your Life」の歌詞と相まって、ライブハウスで音を浴び、感じるままにリズムに乗ることの喜びを改めて実感できる。
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ツアーを通してさらに強いアーティストへ
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今回のツアーで演奏する曲はほぼ同一であったが、どの曲もアレンジが毎回少し変わっていた。いや、アレンジを変えたというより、ライブを重ねるたびに、4人が奏でる音が成長していったと言ったほうが正しいかもしれない。
mitsuも「このツアーはこの4人から出ている音だけで成立してる、全部生モノ! この時間、この場所にいる人だけとの音」と話す。6公演全てを観たが、ひとつとして同じライブは存在しない。そもそもライブとはそういうものではあるが、こんなにも毎回「またカッコよくなった!」と思わせてくれるツアーはそうそうない。
“情熱”や“熱狂”をテーマにした今回のツアーは、テーマ通りどの曲も熱く、力強い印象だが、その力強さには“少年っぽさ”を感じるものもあれば、“大人っぽさ”を感じるものもある。また、力強さの中にも切なさや儚さ、ポップなかわいらしさが共存している曲もある。ただ単に激しいアレンジをしただけではない彼らの音楽的センスと表現力に圧倒される。
歌唱そのものの表現力に、さらに魅力を加えたのは渋谷REXの照明・映像演出だ。mitsuの歌を深く理解しているライブハウスだからこそ可能な演出が、ツアーファイナルのステージを鮮やかに彩った。
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スペシャルなメンバーが過ごした最高の時間
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「このツアーを回って、目に映る世界の色が今までと全然違う。好きなヤツらと、好きな人たちと、好きなことしてるだけっていうのが、めちゃくちゃシンプルで最高にハッピーなツアーでした!」とMCで話すmitsu。「活動が月1とか2になっていた中で、週1回、2か月で6本のライブはすごく濃い時間でした。楽しいのはもちろんだけど、悔しいとかもっとできたかもとかいろいろな気持ちがある。だけど、全部ひっくるめて最高の2か月でした!」と、このツアーを振り返った。
風弥は「都内ツアーだったけど、全国を回ってようやく今日、東京でツアーファイナルを迎えましたっていう感じ。それぐらい充実したツアーだった」と語った。RENAは「“今までのmitsuの活動に風穴を開けるような存在が欲しい”って誘われて、その役割を果たせたかなって思ってる」と話し、夢時は過去のツアーの思い出話を披露しつつ「mitsuとは何度も一緒にライブをしてきたけど、全然同じ景色じゃないよね。上手いヤツはいくらでもいるけど、スペシャルなヤツはそういない。そういうヤツらが転がってたどり着いたんだろうなって思ってます」と、それぞれにツアー最終日を噛み締めていた。夢時の言葉どおり、「ZEAL 4 ROMANCE」は“スペシャルな4人”が熱いライブを繰り広げたツアーだった。
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早くも次回ツアー決定!
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ライブ終了後、ステージ正面モニターに、このツアーの様子を撮影した映像が映し出された。ツアーのエンドロールかとおもいきや、次回ツアーの予告が発表されたのだ。5月11日(水)から、この“スペシャルな4人”による新たなツアー「SEVEN AS A TRIGGER」が始まる。今回のツアーで4人の虜になった人はもちろん、今回のツアーに参加できなかった人も、ぜひチェックしてほしい。期待を裏切らないステージを魅せてくれるはずだ。
次回ツアー詳細はこちら
https://mitsu-official.com/2022/03/02/tour2022_2/
【SET LIST】
1. ZEAL 4 ROMANCEのテーマ
2. 砂の城
3. Live Your Life
4. MIDNIGHT LOVER
5. It’s So Easy
6. 遥か
7. 鼓動
8. Naked
9. キンモクセイは君と
10. じゃないか
11. エトリア
12. Crazy Crazy
13. Into DEEP
14. ラストヒーロー
15. For Myself
Text:板垣可奈子
Photo:Aki(Lc5)
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2022年3月2日(水) 渋谷REX
mitsu ONEMAN TOUR 2022
「ZEAL 4 ROMANCE」
【出演】 mitsu
【サポートメンバー】
Guitar:夢時(eStrial / HOLLOWGRAM)
Bass : RENA(3470.mon / CRAZY PUNK KID)
Drum:風弥~Kazami~(DaizyStripper)
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【mitsu INFORMATION】
◆mitsu Official Website
http://mitsu-official.com/
◆mitsu Official Twitter
https://twitter.com/neu_mitsu
◆mitsu Official instagram
https://www.instagram.com/mitsu_11tb/
◆mitsu STAFF Official Twitter
https://twitter.com/mitsu_official
◆mitsu Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/c/mitsuOfficial
◆mitsu Official SoundCloud
https://soundcloud.com/mitsu-official-882610076