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2022年04月04日 (月)

【ライヴレポート】<ゼラ・氷翠(Vo)バースデーワンマン『DARK APRIL』>2022年4月1日(金)阿倍野ROCKTOWN◆

REPORT - 18:00:33

世間ではエイプリルフールとして騒がれていた4月1日。

大阪、阿倍野ROCK TOWNではゼラのボーカル氷翠(ヒスイ)のバースデーワンマンが開催された。
新型コロナウイルスが猛威を振るう中でも精力的な活動を続けてきたゼラのフロントマン氷翠のバースデーを祝おうと沢山のファンが集まった中での本公演の模様をお届けしたい。

 

 

現実から一気にゼラの世界に落とし込むようなSEが鳴り響きメンバーが登場し、1曲目を飾ったのは『傀儡』。
パワフルな演奏にデスヴォイスを畳み込み初っ端からライブという空間を叩きつけていく。

 

『今日は氷翠生誕、俺への祝い方わかってるな?死ぬ気でぶつかってこい!』
バースデーだからと言って温い空気は楽曲に感じさせない氷翠の煽りから『ドグラ・マグラ』へ続き、オーディエンスはヘドバンの嵐に。
その後も間髪入れずに『ローマングラス』へ。
熱量の高いメンバーのステージングにオーディエンスもヘドバンや拳で応えていく。
続く『マリオネットパレード』ではハロウィンを彷彿とさせる世界観を見せながらハイトーンを巧みに歌いこなすボーカルに細やかなドラミング、
存在感をいかんなく出してくるベースライン、絶妙に絡み合うツインギターがバンドのクオリティ、ポテンシャルの高さを物語っている。

Aqui

 ▲Guitar.Aqui

ミナギ

▲Guitar.ミナギ

 

けして勢いを落とすことなく攻撃的なナンバー『甘い罠』に入っていく。
モッシュや声出しができない昨今の情勢でもここまでオーディエンスを煽る姿勢、それに応えるオーディエンスを見ているとライブに代わるものはないと感じさせてくれる。

 

ここで初のMCへ。
『バンドをやってて、一緒に夢を追ってるメンバーがいて、それを応援してくれるみんながいて、その中でこうやって祝ってもらえるのが当たり前じゃないなって思って』
氷翠が自身の心情を吐露する瞬間があり、愛のあるバンドだというのを再認識した瞬間でもあった。
メンバーやファンに出会えたことに感謝し、謝辞を述べた後に氷翠が発した言葉。
『自分の中にあるドス黒い感情を形にしてバンドとして表現する、それを今日は披露します。「絶望」』
上辺だけではない全てをさらけ出す覚悟を感じさせる本楽曲「絶望」は4月27日にリリースする初披露の曲だ。
初出しの曲だが、訴えかけるようなメロディを吐き出しながらオーディエンスを引き込んでいく。

 氷翠

▲Vocal.氷翠

 

ギターAquiのアルペジオからゼラ式ミディアムナンバー『燭』へと続く。
『黒よりも暗い黒』では折り畳み、ジャンプなどでフロアを盛り上げつつも凶暴さと丁寧さを兼ね備えた演奏力で楽曲を披露していく。

 

『デザイア』、『残月』と続き、ダークさを感じさせる楽曲を畳みかけると全力で応えるオーディエンス。
ふり幅の広い楽曲を演奏しながらもしっかりとファンの姿を見つめるメンバーの姿が印象的だった。

 

『まだまだ上げていくぞ大阪!ついてこれるよな?』
上がり切ったボルテージをさらに引き上げていく氷翠の煽りから『BRAIN』へ。
終わりを惜しむかのように煽り続けるゼラが本編ラストに選んだ曲は『ハッピーエンド』。
ファルセットを駆使しながら絶妙に歌い上げ、激しさと興奮の余韻を残したまま本編は終わりを迎えた。

 

その後、アンコールにてメンバーが再度登場し、氷翠へのお祝いの言葉を語ったのち(ベース流(リュウ)は4月1日の誕生日を信じていなかったと判明…!)、
幸せそうな氷翠の煽りからアンコールライブ開始。

 流

▲Bass.流

 

まずは『Murder show』で本編以上かと思えるほどの一体感と歌唱力で盛り上げていく。
続く『THE LAST GAME』では轟音の中でギターミナギの奇抜なギタープレイが映える。
『本当に一生の忘れないような誕生日になりました』
そう言ってラストの曲『KIRAI』を歌い上げライブは終演を迎えた。

 

バースデーライブは大団円にて終わりを迎えたがゼラはまだまだ貪欲に突き進んでいく。
4月27日にリリースされる「絶望」を引っ提げての東名阪ワンマンツアーでは更なるゼラの世界が堪能できることだろう。
期待は膨らむ一方だ。

 

 

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ゼラ氷翠バースデーワンマン
『DARK APRIL』
2022年4月1日(金)阿倍野ROCK TOWN

 

SETLIST
1.傀儡
2.ドグラ・マグラ
3.ローマングラス
4.マリオネットパレード
5.甘い罠
6.「絶望」
7.燭
8.黒よりも暗い黒
9.デザイア
10.残月
11.BRAIN
12.ハッピーエンド
En1.Murder show
En2.THE LAST GAME
En3. KIRAI

 

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<RELEASE>

★2022年4月27日(水)
6th Single
『絶望』

…………………………………………
TYPE-A
CD+DVD ¥2,000(税別)
[CD]
1.「悲愴」
2.「絶望」
[DVD]1.「絶望」(MUSIC VIDEO)

…………………………………………

TYPE-B
CD+DVD ¥1,500(税別)
[CD]
1.「悲愴」
2.「絶望」
3.「未来」

 

 

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■ゼラONEMAN TOUR
『玉砕』
2022年4月28日(木)心斎橋BEYOND

OPEN 17:30 / START 18:00
前売り¥4,000 / 当日¥4,500(ドリンク代別)

 

★チケット:
e+プレオーダー 受付終了
e+一般発売
■購入ページURL
https://eplus.jp/sf/detail/3576740001-P0030001

[出演]
ゼラ

[問]BEYOND 06-6214-2900

 

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2022年5月20日(金)今池CLUB 3STAR

OPEN 17:30 / START 18:00
前売り¥4,000 / 当日¥4,500(ドリンク代別)

 

★チケット:
e+プレオーダー
受付期間  :2022/03/05(土) 12:00 ~ 2022/04/10(日) 18:00
入金期間  :2022/04/12(火) 13:00 ~ 2022/04/15(金) 21:00
e+一般発売
発売開始日 :2022/04/23(土) 12:00 ~

■購入ページURL
https://eplus.jp/sf/detail/3576740001-P0030002

[出演]
ゼラ

[問]3STAR 052-753-5902

 

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2022年5月26日(木)池袋Black Hole

OPEN 17:30 / START 18:00
前売り¥4,000 / 当日¥4,500(ドリンク代別)

★チケット:
e+プレオーダー
受付期間  :2022/03/05(土) 12:00 ~ 2022/04/10(日) 18:00
入金期間  :2022/04/12(火) 13:00 ~ 2022/04/14(木) 21:00
e+一般発売
発売開始日 :2022/04/23(土) 12:00 ~
■購入ページURL
https://eplus.jp/sf/detail/3576370001-P0030001

[出演]
ゼラ

[問]Black Hole 03-5955-7396

 

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■ゼラ ミナギ&流Birthday Oneman
2022年6月19日(日)心斎橋soma

…………………………………………
【1部】
『雨音子』
OPEN 16:00 / START 16:30
前売¥4,000 / 当日¥4,500(D別)
[チケット]
e+プレオーダー受付期間:2022/4/9(土)12:00〜4/24(日)18:00
e+一般発売:2022/5/7(土)~発売
■購入ページURL
https://eplus.jp/sf/detail/3609500001-P0030001

[問]soma 06-6212-2253

…………………………………………

【2部】
『インフェルノダーク』
OPEN 19:00 / START 19:30
前売¥4,000 / 当日¥4,500(D別)
[チケット]
e+プレオーダー受付期間:2022/4/9(土)12:00〜4/24(日)18:00
e+一般発売:2022/5/7(土)~発売
■購入ページURL
https://eplus.jp/sf/detail/3609510001-P0030001
[問]soma 06-6212-2253

 

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OFFICIAL SITE
https://kalmian-joker.jp/zera/

OFFICIAL TWITTER
https://twitter.com/ze_raofficial



2022年03月19日 (土)

【ライヴレポート】<umbrella 12th Anniversary ONEMAN【再生】>2022年3月18日(金)大阪・Live House ANIMA◆“気持ち良くライブができる環境を”──急ぐことなく、一つ一つの音楽にじっくり時間をかけて育ててきた12年間。

REPORT - 16:55:34

奇しくも、朝から雨が降り続く3月18日。

umbrella結成12周年を祝したワンマンライヴ【再生】が、Live House ANIMAにて開催された。

新型コロナウイルス蔓延の影響から、近年は無観客で行われてきたアニバーサリーイベントだが、満を持して今回、3年ぶりの有観客での開催が実現した。

 

今宵のスタートを飾るのは、今企画にふさわしく“再生”を象徴とする「anima」。

パワフルながら安定感のある演奏と、唯(Vo/Gt)の艶のあるしたたかなヴォーカルが響き渡り、場内を温かく包み込んでいく。

その勢いを加速させるように「ヨルノカーテン」へ続くと、人々は歓声の代わりにタオルを回し、バンドの熱に応えた。

 

「こんばんは、umbrellaです」という挨拶を一言挟み、すぐさま「軽薄ナヒト」へ。

歌うようになめらかに動くベースラインに、細やかに打ち込まれるドラミング、甘美なカッティングギターと切な気なアルペジオ。

繊細に重なり合うバンドアンサンブルと、歌声から表情、指先に至るまで表現を貫く、唯のヴォーカリストとしての高いパフォーマンス力からは、結成12周年を迎えるバンドさながらのポテンシャルの高さが伺える。

 

ライトなポップチューンから一転、「Frontier」、「非「情」階段」と、アグレッシブなナンバーを立て続けに展開。

凶暴なまでに重厚なバンドサウンドによって、場内のボルテージは急上昇。

低音のうねりと独特な浮遊感が印象的な「リビドー」もより過激さを増し、攻め立てるような爆音で締めくくられると、大きな拍手が沸き立った。

 

ストリングスの音色を合図に空間系サウンドで描く美しいロックバラード「管」が始まると、会場はしっとりとした穏やかなムードに。

豪雨の後に訪れる雨上がりを彷彿とさせたのも束の間、迫力のあるパワープレイで圧巻のパフォーマンスを見せる「愚問」、哀愁漂うメロディにぐっと引き込まれる「五月雨」、低音からハイトーンまで唯の歌声が堪能できる「ヤマアラシの涙」の3曲を披露。

有観客ライヴならでは一体感をじっくりと味わうように、観客一人ひとりを見つめながら演奏するメンバーの姿がとても印象的だった。

 

10曲もの楽曲をノンストップで駆け抜けたところで、唯は「こうしてイベントができるのは、みなさんのおかげです。12周年をお祝いしに来てくれてありがとう。」と感謝を述べると、少しいたずらな表情を浮かべて「運動していかないかい?」と誘い、後半戦へと突入する。

グランジやハードロックを“歌モノ”として昇華する「叩けば誇り。」、ヘヴィメタルに傾倒した力強いサウンドが輝く「黒猫が通る(Re:arrange)」と、前半とは異なるバンドのダークサイドを展開と共にumbrellaの音楽性の広さを提示する。

 

さらにバンド史上最もダンサブルなナンバー「Witch?」、美しくも不穏なロングトーンを響かせる「SCAB」と続き、場内のボルテージは最高潮に達する。

凄まじい音圧にも関わらず、飽和することなく一つ一つの音色が耳に届き、酸素を取り入れる隙間がないくらいに、体内が音で満たされていく。

その感覚は画面越しのオーディエンスにもきっと伝わっていただろう。

 

“気持ち良くライブができる環境を”という思いから、これまでの12年間、umbrellaは急ぐことなく、一つ一つの音楽にじっくり時間をかけて育ててきた。

発起人である唯は、「長続きするとも思ってなかったし、引退も視野にいれていた」と吐露した上で、現メンバーでこうして12周年を迎えることができたことを幸せそうに語り、これまでの思い出を掬い上げるように、一つひとつの言葉を丁寧に紡ぎながら「レクイエム(Re:arrange)」を歌い上げた。

 

その後、メンバーそれぞれが12周年を迎えることへの想いを語ったのち、4か月連続のデジタルリリースとリリースに伴うワンマンライブが告知されると、拍手が巻き起こった。

祝福ムードのまま、心地良い疾走感で明るい未来を歌う「アラン」が始まると、観客はシンガロングで応えるかわりに、ハンドクラップで返し、最後まで一体感を絶やさないまま、ライブは終演した。

 

4ヶ月連続デジタルリリースの第1弾楽曲「群」は、6月6日にリリース。

それに伴うワンマンライブ【愚者-guha-」は同月26日、大阪南堀江 Knaveで開催される。

チケットは絶賛発売中で、詳細はホームページにて公開されている。

 

 

写真◎おにてん
文◎宮谷行美

 

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umbrella 12th Anniversary ONEMAN 【再生】

2022年3月18日(金)Live House ANIMA

SETLIST

SE  アマヤドリ(Re:arrange)

1 anima

2 ヨルノカーテン

3 軽薄ナヒト

4 Frontier

5 非「情」階段

6 リビドー

7 「管」

8 愚問

9 五月雨

10 ヤマアラシの涙

11 叩けば誇り。

12 黒猫が通る(Re:arrange)

13 Witch?

14 SCAB

15 レクイエム(Re:arrange)

16 アラン

≪リリース情報≫

■umbrellaデジタルシングル「群」

2022年6月6日より各配信サイト、サブスクリプションサービスにて配信開始

≪ライヴ情報≫

■ umbrella「群」 release ONE MAN 【愚者gusha】

2022年6月26日(日)大阪南堀江knave  OPEN 18:00 / START 18:30

【チケット料金】前売3600円 当日4100円 ※税込、ドリンク代別

【チケット前売】 イープラスプレオーダー https://eplus.jp/sf/detail/3596600001-P0030001 

【受付期間】3月19日(土)10:00~4月9日(土)23:59

【入金期間】4月11日(月)13:00~4月13日(水)21:00

【チケット一般発売】4月20日(水)10:00発売  

  イープラス https://eplus.jp/sf/detail/3596600001-P0030001 

【入場順】1.プレオーダー 2.イープラス一般 3.当日券

【配信チケット発売中】https://twitcasting.tv/umbrella_data/shopcart/143003 

  ※2022年7月10日(日)まで販売

【配信チケット料金】3000円※税込

 

■春生誕祭 【アマヤドリ-小躍-】

2022年4月24日(日)北堀江club vijon OPEN 17:30 / START 18:00

【出演】 umbrella/LONE

【チケット料金】前売3500円 当日4000円 ※税込、ドリンク代別

【チケット前売】 イープラスプレオーダー 受付終了

【チケット一般発売中】TIGET  https://tiget.net/events/168236  

【入場順】1.イープラスプレオーダー 2.TIGET 3.当日券

umbrellaオフィシャルサイト http://xxumbrellaxx.com/ 

umbrellaオフィシャルTwitter  @umbrella_DATA  











2022年03月12日 (土)

【ライヴレポート】<有村竜太朗5th Anniversary BIRTHDAY LIVE 2022 -ROOM306->2022年3月6日(日)Zepp Haneda◆「hiroと一緒に個人活動をやるのはひとつの夢でした。これからも一緒に作った夢を続けていきたい」

REPORT - 01:49:36

 もはや36日の恒例行事とも言える有村竜太朗のバースデー公演。今年は有村竜太朗5th Anniversary BIRTHDAY LIVE 2022 -ROOM306-”として、Zepp Hanedaで開催された。しかもソロ活動5周年という節目とも重なっており、ファンと共に足跡をかみしめる公演になりそうだ。ただ、ひとつだけこれまでと違うのは、有村のソロ活動に欠かせなかったギタリスト、hiroの姿がステージにないということ。昨年の11月末、あまりにも突然に急逝してしまった希代のギタリストが祝いの席にいないのは寂しい限りだ。有村自身もライブのサウンドを支えるDEMONSTRATIONsのメンバー(B.鳥石遼太、Dr.高垣良介、ManipulatorKey.野村慶一郎)も、彼の思いを受け継ぐ決意をもって、この日のステージに臨んだに違いない。ちなみに、今回のライブにはゲストギタリストとして小林祐介(THE NOVEMBERS)と生熊耕治(cune / BLUEVINE)が参加。新たな個性を迎えてのパフォーマンスとなった。

 

 開演時間になり、場内が暗転すると、ライブタイトルが示すように、観客はここから架空のホテルの306号室に案内されることになる。ゴシックなホテルの支配人という風貌の有村の映像が流れたあと、ステージにはバンドのメンバーが登場。最後に現れた有村が、ピアノで1曲目「幻形テープ/ genkeitêpu」のイントロを奏でる。穏やかなテンポながら、繊細で緊張感のあるインスト曲に観客は一気に引き込まれていった。ライブの前半でギターを担当するのは小林祐介。歪んだギターに加え、アップテンポな「くるおし花/ kuruoshibana」や「猫夢/ nekoyume」では躍動感のあるプレイで熱量を上げていく。

 

 有村はというと、ほとんどMCをはさまず、楽曲に集中しているように見えた。どの曲もこの5年のあいだに、ライブを通して熟成させてきたものばかり。特に前編を締めくくった「日没地区/nichibotsuchiku」のように郷愁感のあふれるサウンドは彼にしか出せない持ち味だと思う。夕日色の照明の中、揺蕩うギターサウンドと歌声には存分に酔わせてもらった。

 

 後編に入る前、スクリーンには秒針が逆回転する時計が映し出される。ステージ上ではギターが生熊耕治に交代し、有村はピアノに向き合うと、「幻形フィルム/genkeifuirumu」のイントロを弾き始めた。再びライブの空気がピンと張り詰める。後半ブロックでは「憑影と月影/tsukikagetotsukikaze」や「また、堕月さま/ mata,otsukisama」など、月をモチーフにした曲が続く。終盤が近づくと、バンドのプレイもますます熱を帯び、「魔似事/ manegoto」では生熊も鬼気迫るギターソロを聴かせた。この熱演に後押しされるように、有村のボーカルも力強さを増していく。

 

 そしてラスト2曲の「19/jukyusai」と「浮融/ fuyuu」では前半で登場した小林も加わり、有村のギターと合わせてトリプルギター編成に! 層が厚くなったギターが生み出す荘厳なシューゲーザーサウンドに、もの悲しくも温かい有村の声が呼応。重みのあるパフォーマンスで圧倒した。演奏が終わると、有村はペコリと一礼。拍手に送られて楽屋へ消えていった。

 

 また、このあとのアンコールでは、胸を打つ演出で新曲の「円劇/engeki」が披露されることになる。アンコールの拍手がやまぬ中、ステージの上手には白いパーテーションのようなものが設置された。メンバーがステージに戻り、演奏が始まると、そのパーテーションにはギターを弾くhiroが映し出されたのである。同時に彼の鳴らすギターも流され、感動的な共演が実現。有村とバンドメンバーによる、hiroへの感謝の気持ちが痛いほど伝わる瞬間だった。しかも、この時に有村が弾いていたのは、hiroから受け継いだ形見のギター。まさに一緒にステージに立っているという感覚で響かせていたのである。有村も心強くプレイできたに違いない。1回目のアンコールはここで終了したが、その後、有村とメンバーはダブルアンコールに応えて再びステージへ。有村自身もホッとしたのだろうか、ここでようやく口を開いた。

 

「ようこそROOM306へ。今日はホントに来てくれて感謝です――今日はいろいろ前に進めたと思います」

 

 この言葉に、盟友を失った悲しみを乗り越えつつある心情が表れていたように思う。このダブルアンコールでは今一度、ゲストギタリストのふたりが呼びこまれ、最後の2曲となる「鍵時計/ kagidokei」、「恋ト幻/ rentogen」が、にぎやかなパンクバージョンでプレイされた。演奏が終わると、有村はこんな言葉で結んでいる。

 

hiroと一緒に個人活動をやるのはひとつの夢でした。これからも一緒に作った夢を続けていきたい……先のことは決めてないんですけど、年内にはまた何かしら新しい実験ができたらいいなと思いました」

 

 有村竜太朗のソロ活動である音楽実験は、hiroの思いものせてこれからも続いていくはずだ。この先の新たな展開に期待したい。

 

       

有村竜太朗オフィシャルサイト:https://arimuraryutaro.com/

有村竜太朗ツイッター:https://twitter.com/Pla_ryutaro