2022年05月13日 (金)
【ライブレポート】<mitsu「SEVEN AS A TRIGGER」>5月11日新宿ANTIKNOCK◆今年2本目のツアーが開幕!メンバー全員が待ち望んだ“4人のステージ”。
REPORT - 21:00:135月11日、新宿 ANTIKNOCKにて、今年2本目のツアーとなる「SEVEN AS A TRIGGER」が開幕した。全7公演、ファイナルは7周年記念も兼ねた都内ライブハウスツアーだ。ツアータイトルの「SEVEN AS A TRIGGER」には、「7(周年)は栄光への引鉄」という意味が込められている。
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メンバー全員が待ち望んだ“4人のステージ”
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ツアー初日の公演は緊張が伴うものだが、この日のmitsuからは緊張は感じられなかった。それもそのはず、今回のツアーも、2022年1月から3月にかけて開催された前ツアー「ZEAL 4 ROMANCE」と同様、夢時(Gt.)、RENA(Ba.)、風弥(Dr.)を迎えた4人編成。前ツアーが終わる時、メンバー全員が「もっと続けたい!」とコメントしていた通り、今回のツアーは「ZEAL 4 ROMANCE」の延長線上にある。しかし、4人のグルーヴはさらに高まり、もっと濃密なものになっていることが一目瞭然だった。骨太で力強いロックはそのままに、前ツアーのパンクを意識した荒削りな雰囲気から、ちょっと大人になったサウンドを聴かせてくれた。前ツアーでは「これでもか!」と言わんばかりに熱を浴びせてきたが、今回は熱さに加えて清涼感が感じられる。 “サポートメンバー”の域を超え、“バンド”として成立している仲間と迎える初日は、mitsu本人も楽しみで仕方なかったようで、1曲目「Live Your Life」からリラックスして歌っているのが伝わってきた。フロアもこの4人が繰り出すサウンドに乗り遅れることなく、1曲目から盛り上がりを見せる。「ノリ方がわからないとか気にしないで、楽しんでいって!」というmitsuのメッセージの通り、この日、この空間でしか生まれない音楽を純粋に楽しんでいた。
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ツアー初日に新曲を披露!
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「ツアーがある日々がすごく好きで、なんでいままでやらなかったんだろうって思ってる。でも、そういう日々があったから、今がかけがえのないものだって思えている」とMCで話すmitsu。今回のツアーでもmitsuの楽曲の新しいアレンジを聴くことができるのはもちろんだが、前ツアーで生まれた「ZEAL 4 ROMANCEのテーマ」もアレンジを変えて演奏してくれたのが嬉しい。この4人から誕生した記念すべき最初の曲だからだ。
今回のツアーではさらに嬉しいことがあった。新曲の演奏だ。この日、風弥が作曲した「君がいないなら」が初披露された。突き抜けるような爽やかなメロディーで、未来へと進む希望に溢れた楽曲だ。曲の終盤にはシンガロングしたくなるパートがあるのだが、ここはまだ声を出すことができない世情を恨むしかないところ。ステージ上の4人が声を合わせて歌っているのが心の底から羨ましかった。新曲の演奏後、「ツアーを通じて、この曲はさらに育っていくと思うので楽しみにしていてください!」とmitsu。筆者は、ファンの声が加われば、この曲はさらに変化するであろうと勝手に考えている。1日も早くシンガロングできる日が来ることを願わずにはいられない。
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フロア大盛り上がりのハプニング
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この日はもうひとつ楽しいハプニングがあった。11曲目の「MIDNIGHT LOVER」から畳み掛けるように曲が続くのだが、ラスト曲の演奏前、ライブの進行が思いのほか早かったことに気付いたmitsuが選んだのは、「Into DEEP」のおかわり!「勝手にInto DEEPをアンコールする!」と宣言して始まった2回目の「Into DEEP」に、フロアも最高の盛り上がりを見せた。ちなみに、夢時は2回目の演奏でギターソロのアレンジを変えるという、彼らしいプレイを聴かせてくれた。そして、ステージもフロアもヒートアップした状態でラスト曲「ラストヒーロー」へ。ライブハウスにいた全員が「出し切った!」と思えるようなツアー初日となった。
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4人の旅はまだまだ続く
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MCでRENAは「7周年を迎えるmistuがやる7本のライブで、どんな風に強くなっていくか楽しみ」と話していた。「SEVEN AS A TRIGGER」は残り6公演。6月にはこのメンバーで、名阪で開催されるイベントへの出演も決定している。熱いライブを体験できる機会はまだまだ用意されているので、是非とも足を運んでもらいたい。
また、前ツアー「ZEAL 4 ROMANCE」のドキュメントがYouTubeで公開中だ。彼らがどのような想いでライブを作り上げているか伝える映像は必見。今回のツアーにつながる内容でもあるので、ツアー参戦の予習にもぴったり。ドキュメントで気持ちを盛り上げつつ、今後のライブを楽しみに待っていてほしい。
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【SET LIST】
1. Live Your Life
2. 砂の城
3. ZEAL 4 ROMANCEのテーマ
4. It’s So Easy
5. 蜃気楼
6. じゃないか
7. エトリア
8. 遥か
9. キンモクセイは君と
10. 君がいないなら (新曲)
11. MIDNIGHT LOVER
12. Crazy Crazy
13. Into DEEP
14. ラストヒーロー
Text:板垣可奈子
Photo: 上原俊
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2022年5月11日(水) 新宿ANTIKNOCK
mitsu ONEMAN TOUR 2022
「SEVEN AS A TRIGGER」
【MEMBER】
Vocal:mitsu
Guitar:夢時(eStrial / HOLLOWGRAM)
Bass : RENA(3470.mon / CRAZY PUNK KID)
Drum:風弥~Kazami~(DaizyStripper)
▼「ZEAL 4 ROMANCE」ツアードキュメント
https://www.youtube.com/watch?v=sqEWD4DH0c0
▼「SEVEN AS A TRIGGER」SCHEDULE
2022年5月18日(水) 新宿ANTIKNOCK
2022年5月26日(木) 下北沢CLUB251
2022年6月7日(火) 下北沢CLUB251
2022年6月23日(木) 三軒茶屋GRAPEFRUIT MOON(配信あり)
2022年7月12日(火) 原宿RUIDO
2022年7月22日(金) 渋谷REX(7周年&ツアーファイナル)
▼「VR TOUR#23」SCHEDULE
6月10日(金)渋谷REX
6月17日(金)名古屋ReNY limited
6月18日(土)大阪RUIDO
▼mitsu Official Site
https://mitsu-official.com
2022年05月07日 (土)
【ライヴレポート】PENICILLIN<The Time Machine TOUR>2022年4月23日(土)東京キネマ倶楽部◆マニアックな世界観とベテランにふさわしい高度な演奏力を兼ね備えた、唯一無二の魅力。
REPORT - 19:00:1630周年を迎えているPENICILLIN 関東サーキットを締め括るライブ”The Time Machine Final”が2022年4月23日(土)に東京キネマ倶楽部で行われた。
次回、2022年 8月7日(日)Veats SHIBUYA「祭り」(~リクエストライブ(仮)~)の開催も決定!!
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1992年2月14日に産声をあげ、1996年にメジャーデビューを果たし、多数のリスナーを魅了し続けて、今年30周年を迎えたPENICILLIN。アニバーサリーを記念して、彼らが過去に行なったツアーのセットリストを再現する<The Time Machine TOUR>を実施するいうアナウンスにテンションが高まったリスナーは多かったに違いない。同ツアーは今年1年かけて行われる予定で、まずは神奈川、埼玉、千葉、東京をまわる“関東サーキット”が4月2日からスタート。そして、関東サーキットを締め括るライブが4月23日に東京キネマ倶楽部で行われた。
同公演はPENICILLINの4thアルバム『UNION JAP』(2000年5月24日)のリリースに伴って行われた<Japanese Ultra Wars Tour>のセットリストを再現する形で開催。コロナ禍のライブでいながら当日は多数のリスナーが来場し、<The Time Machine TOUR>が好評を博していることを実感させる中でのライブとなった。
暗転した場内に勇壮な『スターウォーズのテーマ』が流れ、PENICILLINのメンバーがステージに姿を表す。
客席から湧き起こる熱い拍手を圧するように轟音が鳴り響き、ライブはPENICILLINならではの“尖り”と耽美感を併せ持った「MONSTER」で幕を開け、オリエンタルな雰囲気が香る「理想の舌」に移る流れから始まった。
シックなロングコートを身に纏い、ステージ中央に力強く立って抑揚を効かせた歌声を聴かせるHAKUEI。
フィジカルなステージングとテクニカル&エモーショナルなギター・プレイのマッチングが最高にカッコいい千聖。
強い存在感を発しながら心地いいビートや効果的なビート・チェンジ、流麗なフィル・ワークなどを活かしたドラミングを展開するO-JIRO。
今回の<The Time Machine TOUR>は“様々な時代からタイムスリップして来た人物”というヴィジュアル・コンセプトを掲げていることもポイントで、HAKUEIはベートーベン、千聖はアメリカ西部開拓時代のカウボーイ、O-JIROは『ドラゴンボール』のチャオズ(タイムスリップなのに、なぜ?)をイメージした姿を披露。
いつも以上にそれぞれのキャラクターが強いにも拘わらず3人がひとつになることで生まれるケミストリーは圧倒的で、ライブが始まると同時に東京キネマ倶楽部の場内はPENICILLINの世界へと化した。
「東京こんばんは、PENICILLINです。30周年イヤーの企画として<The Time Machine TOUR>を行っていますが、なかなか楽しいですね。過去の自分達と遭遇する感覚があって、“タイムマシン”というタイトルにふさわしいツアーになっているんじゃないかなと思います」というHAKUEIのMCが入った後、セカンド・ブロックでは爽やかかつメロディアスな「ウルトラライダー」やアグレッシブに疾走する「DEAD or ALIVE」、ダーク&ファンタジックな世界からパワフルなアップテンポに移行する「扉の向こう」などが演奏された。
楽曲ごとはもちろん、曲中でも空気感が変わるメリハリの効いた展開は観応えがあるし、アンダーグランドな匂いとキャッチーさという相反する要素を融合させた独自のロック感も実にいい。
様々な表情を見せながら世界観を深めていく流れに、強く惹き込まれずにいられなかった。
その後はO-JIROと千聖のMCが入った。
「今日は大体20年くらい前に戻っている感じですけど、20年前の自分達が考えていたことがわからないこともあるんですよね。“なんで、この曲順なんだろう? この曲の後にこの曲って、つながり悪くない?”っていう(笑)。そんなことを思ったり、あとは前はできていなかったことを自分が思う形に近づけることができる経験値が備わっていることに気づいたりもしました。30年やっていると、やっぱりいろいろ気づくことがあって面白いですね」(O-JIRO)。
「O-JIROさんが先に言いましたけど、“なんで、この曲順なんだろう?”というのは俺もすごく思うわ。「理想の舌」が2曲目って、絶対おかしいよね(笑)。そもそも『UNION JAP』というアルバムは非常に変わっていて、アメリカ・レコーディングを3/4以上やっていたりとか、いろんなチャレンジをしたんだよね。ギターも色んなチャレンジを相当していて、今では決してやらないこともたくさんしてる。あの時代のギタースタイルと今のギタースタイルはだいぶ違うけど、今日は今のスタイルで当時の曲を料理するよ」(千聖)。
リラックスして話すメンバーの姿が見れるのはオーディエンスにとって嬉しいことだったに違いない。O-JIROと千聖の言葉に、客席から温かみに溢れた拍手や笑いが何度となく起こることが印象的だった。
ライブ中盤では翳りを帯びたミディアム・チューンの「冷たい風」やO-JIROのしなやかビートと千聖のソリッドなギター、HAKUEIのセクシーなボーカルが一体になって独自の魅力を放つ「UFO 対 ラオウ」、アッパーなグルーブと“闇感”を融合させた「野生の証明」などが届けられた。MCで語られたとおり独創的な楽曲が多いが、難解だったり、極端にトリッキーではない辺りは実に見事。
メンバー3人が自身のスタイルを貫いたうえで各曲にフィットするアプローチをチョイスしていることも含めて、彼らのセンスの良さを再確認させられた。
「もっともっと楽しんでいきましょう!」というHAKUEIのアジテーションからライブは後半に入り、エモーショナルなアップテンポの「CRASH」や、心に響くサビ・パートを配した「ロマンス」、メロディアス&パワフルな「Japanese Industrial Students」などが相次いで演奏された。
激しいパフォーマンスを展開しながら爽快感に溢れたサウンドを響かせるPENICILLINと熱いリアクションで応えるオーディエンス。場内は関東サーキットのファイナルにふさわしい熱狂的な盛り上がりを見せ、心地いい余韻を残してPENICILLINは本編を締め括った。
アニバーサリー・イヤーを非常にいい形でスタートしてみせたPENICILLIN。特異な存在感からキャラクター面で語られることの多い彼らだが、秀でた音楽性を備えているからこそ30年という長きに亘って存続し続けていることを今回のライブを観てあらためて感じさせられた。
そして、マニアックな世界観とベテランにふさわしい高度な演奏力を兼ね備えた現在の彼らは唯一無二の魅力を放っている。
そんな彼らだけに今年1年の動きはもちろん、その先の展開にも大いに期待したいと思う。
PHOTO:折田琢矢
TEXT:村上孝之
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【ライブ情報】
「祭り」(~リクエストライブ(仮)~)
2022年 8月7日(日)
Veats SHIBUYA
後日詳細発表!
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【全ての情報はこちら】
PENICILLIN Web
↓↓
【ファンクラブ入会案内はこちら】」
↓↓
https://www.penicillin.jp/fanclub/enrollment
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【SETLIST】
The Time Machine Final
Return of Japanese Ultra Wars Tour(Union Jap Tour)
4月23日(土) 東京キネマ倶楽部
SE Theme from STAR WARS
1 MONSTER
2 理想の舌
3 BVB
4 ウルトライダー
5 DEAD or ALIVE
6 扉の向こう
7 冷たい風
8 UFO 対ラオウ
9 野生の証明
10 CRASH
11 ロマンス
12 Japanese Industrial Students
EN1
1 JULIET
2 Blue Impulse
EN2
1 Chaos
2022年05月05日 (木)
【ライヴレポート】互いの縁を結びあった、縁(えにし)1stワンマン公演レポート
REPORT - 13:31:38先にSUIの言葉を借りて、ここまでの経緯を説明したい。
「2021年秋、Davidとして活動しているSUIの当日限定セッション)バンドとして、Vocal/SUI Guitar/美沙麗 Guitar/cero Bass/リゼ Drums/Syuが集結。自分に縁の深いメンバーが集結したことから、「縁(えにし)」と命名。11月14日に一夜限りのバンドとしてライブを敢行するが、機材トラブルにより不完全な形のライブになったことから、活動継続を決定。2022年5月3日にリベンジと称し2部制初ワンマンライブを行うことになりました。
一部は初ライブの再演となるリベンジ無料ライブ、二部は初披露のオリジナル楽曲を含む有料ライブを実施。新音源「旬」の会場限定2nd CDも発売します」
第一部と第二部では、演奏曲を入れ換えて実施。第一部と第二部では、異なるテーマを持ったライブを行なっていた。ここでは、5月3日・大塚Hearts Nextを舞台に行われた第二部公演「旬」の模様をお伝えしたい。
物悲しくも美しい音色が流れだす。次第に荘厳と勇壮さを増す音色。その音へ導かれるようにメンバーらが舞台へ姿を現した。
ライブは、5人の命運を示すように、バンド名を冠した『縁』からスタート。「心を結ぶ焔は消えないまま」。SUIの雄々しき歌声を合図に、和要素を抱いた楽曲が思いきり吠えだした。フロアでは、高ぶる楽曲に気持ちを重ね合わせるようにヘドバンに興じれば、手バンしながら思いをぶつける大勢の結び(観客)たちの姿があった。美沙麗とceroが背中合わせでギターの旋律を重ねる姿に興奮を覚え、思いきり両手を咲かせて湧く結びたち。荒ぶる感情を、5人は音に乗せぶつけていた。胸を揺さぶるサビ歌も心を濡らす。泣きと激、2つの魅力を持った『縁』が、結びたちの気持ちを嬉しく高ぶらせる。
続く『鴉片』でも縁は、激しいシンフォニック/ブラストビートナンバーに乗せ、荒ぶる感情を歌や演奏にぶつけだす。その場で跳ねながら歌うSUIの動きに合わせ、共に飛び跳ねる結びたち。勇壮に変幻する楽曲に心重ね合わせ、揺れ動く感情のままに思いを響かせるSUI。彼の心の動きに合わせ、フロア中の結びたちも、その身を自由に騒がせていた。
序盤から激しい表情を立て続けに突きつけた縁。SUIは、訪れた結びたちと、この場で縁を結べることを喜んでいた。MCパートでは、両小指を立てる縁ポーズも披露。これが、今後も定着してゆく縁ポーズになりそうだ。
表情を塗り替えるように、リゼの手による『儚花』が儚さを抱くように流れだした。尺八の音色など和要素を抱いた音色も巧みに用いながら、縁は哀切な歌や旋律を聞き手の胸に染み込ませてゆく。言葉のひと言ひと言を紡ぐように歌うSUI。サビでは切なさに感極まった感情が破裂。嘆くように思いを響かせる姿を見せていた。メロディメイカーの多いメンバーたちが揃ったように、躍動する中にも胸を濡らす要素を巧みに重ね合わせた『儚花』を通して、縁は、結びたちの胸を歌声の腕でギュッと強く抱きしめてくれた。
一瞬の暗転。舞台の上には、SUIとSyuの姿だけが…。「巡りくる季節 わたしはあなたを想い 次の春を待ちます」と語りだすSUI。その言葉に続き、SUIがアカペラで歌いだしたのが松任谷由美の「春よ、来い」。言葉と思いを縁深く絡ませながら、SUIは切々と歌いあげていた。
SUIのアカペラを受け、Syuが荒ぶる感情を具現化するように雷を落とすような雄々しいドラムソロを叩き出す。轟く音がフロア中を席巻。曲が進むごとに荒ぶるSyuの演奏。轟く音へ導かれるように姿を現した演奏陣が、Syuのドラムに音を重ねだすようにセッションを始めた。その演奏を合図に、縁のライブは次の物語へ。
「残り2曲、想いを結べますか!!」「あの空を目指して全員で駆け抜けていきましょう。次の世界へ」。披露したのが、美沙麗の手による『八咫烏』。様式美ハードロック/メロスピな要素を巧みに取り入れた疾走するドラマチックな楽曲だ。曲も気持ちを騒がせるが、歌メロが感情を嬉しく高ぶらせる。SUIの煽りや動きに合わせ身体を折り畳めば、サビ歌では、SUIが頭上高く腕を掲げ、手にしたタオルをくるくるとまわしだす。その動きに合わせ、フロア中の結びたちも拳やタオルを、ときには頭を振り回し、メンバーらへ熱情した思いをぶつけ返していた。「かごめ かごめ」と、荒ぶる声を上げ結びたちを煽るSUI。胸を熱い高陽へと導く歌と演奏だ。激メロ高陽チューンの『八咫烏』が、気持ちも、身体も騒がせる。SUIと同じ動きを示しながら、大勢の結びたちが熱狂の先に見える世界へ心を飛ばしていた
「Syuやってしまえ!!」「悔い残すな、結び!!」とSUIはオーディエンスのみならずメンバーも煽り出す。重低音効いた演に乗せ、メンバーと結びたちが思いきり身体を折り畳み、ヘドバンに興じてゆく。感情と感情を剥きだしに思いをぶつけあう光景が、そこに広がりだす。最近は煽りパートを加えるバンドも少ないだけに、感情を剥きだしに出来るライブという場で、その本性をさらけ出せる面を見せてくれたことが嬉しい。
荒ぶる感情をさらに熱情した興奮の宴へと変えるように、最後に縁は『紋章』を演奏。先に生まれた熱情を、『紋章』がさらにドラマチックに、胸高ぶる気持ちへと導いていった。間奏では、美沙麗とceroのツインギタープレイも登場。頭を振り乱すSUIの動きに合わせ、フロア中の結びたちもヘドバンに興じれば、楽曲の変化に合わせ、手バンや花を咲かせてゆく。巧みに曲の表情を読み取り、その場に似合う熱情した景色を、この空間に作りあげていった。
アンコールでは、チケット完売まであと一歩届かずもワンマンの満員御礼を受け、これからも縁が続くことを宣言。互いの縁をふたたび強く結びあうように『縁』を演奏。メンバー自身の気持ちも高ぶれば、フロア中の結びたちの縁へ向けた期待高まる思いも重なり合った理由もあり、冒頭のとき以上に感情剥きだしの姿を互いにさらけ出していた。フロア中で髪の毛が大きく波打つ様や、ひと際大きな手の花が咲き誇る景色の、なんて美しかったことか。SUIの「飛べ!!」の声に合わせ、無邪気に跳ねる結びたち。まだ始まったばかりのバンドにも関わらず、ここには、早くも身体馴染む一体感が生まれていた。これからの縁の進撃が楽しみになってきた。
縁は、8月に新しい作品を発売。さらに、8月11日には埼玉会館小ホールで毎年行われている夏のイベント「漆黒のシンフォニー」をジャックし、縁による初主催イベント「縁日」を行なうことも発表してくれた。
この縁、また夏まで結び続けていようか。
PHOTO:Lestat C&M Project
TEXT:長澤智典
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<セットリスト>
第一部「逆時計」
『縁』
『紋章 -Imperial Code-』
『Dresscode』
『Sabbath』
第二部「旬」
『縁』
『鴉片』
『儚花』
SUI~Syu Solo
『八咫烏』
『紋章 -Imperial Code-』
-ENCORE-
『縁』
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