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2022年07月04日 (月)

【ライヴレポート】<The Brow Beat Live Tour 2022 “404”>2022年6月4日(土) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)◆“また観たい!”と感じさせる、RyujiとHAKUEIが織りなす華麗なボーカリゼーションと、よりロック感を増した力強いパフォーマンス

REPORT - 19:00:37

 今年4月に最新アルバム『404』をリリースしたThe Brow Beat。彼らにとって4作目であると同時にメジャー1stアルバムとなった同作はより音楽性の幅を広げると共に楽曲クオリティーやアレンジ、演奏面といったあらゆる面にさらなる磨きがかかった良質な一作に仕上がっている。『404』に触れて、The Brow Beatのポテンシャルの高さや可能性の大きさなどを実感したリスナーは多いに違いない。

 

 『404』のリリースに伴ってThe Brow Beat56日から同作を携えた全国ツアー<The Brow Beat Live Tour 2022 “404”>へと旅立ち、ファイナルを飾る東京公演が63日・4日の2日間にわたってLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行なわれた。アルバム同様ツアーも充実していたことを示すように、ツアー・ファイナルのチケットはソールドアウトとなり、The Brow Beatの勢いを感じさせる中でのライブとなった。今回のツアーを締め括った64日のライブの模様をお伝えしよう。

 

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 オープニングSEの「NOT FOUND」が流れるとオーディエンスは一気に総立ちとなり、客席から盛大な拍手が湧き起こった。The Brow Beatがステージに姿を表して場内が騒然となる中、ライブはハードな「404」からスタート。華やかなステージングを展開しつつ強力なシャウトを連発して、オーディエンスのボルテージを引き上げるRyujiとミステリアスなオーラを発しながらセクシーな歌声を聴かせるHAKUEI。個性の異なる2人が生み出す魅惑的なケミストリーとラウドなサウンドに場内の熱気は高まり、The Brow Beatが瞬く間に総てのオーディエンスのハートを鷲づかみにしたことが感じられた。

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 「404」の勢いを保ったまま「爆風」と「シンデレラ」を続けに聴かせた後、Ryujiが「長きに亘ってやってきたツアーも、これがファイナルということでございます」と挨拶。「泣いても笑っても、これが最後。有終の美を飾っていきましょう。いけるか、お前ら? いけるかぁー!」というアジテーションに続いて、セカンド・ブロックではスリリングな雰囲気の「銃声」(MVの主人公を演じた佐藤希洋氏がステージに登場)や荒涼とした情景が浮かんでくる「荒野の旅人」、無機質なサウンドとRyujiのクールなラップをフィーチュアした「21グラム」などが届けられた。

 

 これまでのThe Brow Beatはライブの前半と後半にHAKUEIが加わり、中盤はRyuji1人でライブを進めるスタイルだったが、今回のツアーではライブを通して両名がステージに立つ形態を披露。より華やかさを増した視覚面と多彩かつ立体的なツインボーカルは本当に魅力的で大いに楽しめた。そして、長いキャリアと唯一無二の世界観を誇るHAKUEIの隣に立って、彼に引けを取ることのない眩い存在感を発するRyujiはさすがの一言に尽きる。

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 その後はメタリックかつ退廃的な「離人」やハードネスとキャッチーさを併せ持った「OVER」、和テイストを活かした「ジセイノク」などをプレイ。ここにきてハタと気づいたが、オープニングから8曲目の「離人」までは総て『404』に収録されているナンバーだった。ライブの定番曲が顔を出さない構成でいながら物足りなさを感じさせることなく、オーディエンスを強く惹き込んだのは実に見事。『404』というアルバムの良質さ再確認したし、幅広いテイストの楽曲をライブでしっかり再現する表現力の高さも光っていた。

 

「いよいよ後半戦ということになりますけれども、今日の私は出し切っている状態です。危ない状態かもしれません。そういった気合いで私はやっているぞということですね。ここからツアー最後の後半戦、もう1段階ギアを上げて一緒に楽しんでいきたいと思います。心で、腕で、目で訴えてください!」というRyujiの言葉からライブは後半へ。アッパーな「Snow White」やファンキーな歌中とダンサブルなサビを配した「沙羅羅羅」、エモーショナルな「ネモフィラ」などが畳みかけるように演奏された。

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 終盤に入っても全くパワーダウンすることなくファットなシャウトを聴かせ、激しいヘッドバンギングを繰り返すRyuji。艶やかさと攻撃性を併せ持ったパフォーマンスと抑揚を効かせた歌声で魅了するHAKUEI。サポート陣も含めたフィジカルなステージングと心地いい轟音が生み出す爽快感に溢れた瞬間の連続に、オーディエンスも熱いリアクションを見せる。場内のボルテージはどんどん高まっていき、本編のラストを飾った「ハレヴタイ」ではツアー・ファイナルにふさわしい熱狂的な盛り上がりとなった。

 

 <The Brow Beat Live Tour 2022 “404”>で新章に入ったことを強く印象づけたThe Brow Beat。『404』の楽曲やRyujiHAKUEIが織りなす華麗なボーカリゼーション、よりロック感を増したパフォーマンスなどをフィーチュアした今回のライブは以前の彼らを遥かに超えた魅力や説得力に溢れていた。今回のツアーで最新形のThe Brow Beatを体感したリスナーは、ライブが終わった瞬間にまた観たい!という気持ちになったことは想像に難くない。

 

 新たな面を見せつつThe Brow Beatならではの遊び心を失っていないことも印象的だった。音楽を聴かせることに特化した本編を経て、アンコールでは佐藤希洋氏がDJ Masaとして再び登場。彼の生真面目だけど、アブナい人というキャラクターに客席からは何度となく笑いが起こっていたし、誰か1人でも途中で笑ったら頭からやり直しという趣向で披露された「The Brow Beat学園校歌」もライブのいいアクセントになっていた(ちなみに、LINE CUBE SHIBUYAの初日はメンバー全員が忍者コスプレでライブを行った)。こういう側面を持っていることもThe Brow Beatがリスナーに愛される要因のひとつになっていることを、あらためて感じさせた。

 

 良質なアルバムを作り上げ、ライブバンドとしてもさらに魅力を増した現在のThe Brow Beatは、まさに唯一無二の存在といえる。今後の彼らがより多くのリスナーを虜にしていくことを予感させただけに、今後のThe Brow Beatにも大いに注目していきたい。

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TEXT 村上孝之

PHOTO 菅沼剛弘

 

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<セットリスト>

 

The Brow Beat Live Tour 2022 “404”

2022.06.04()

LINE CUBE SHIBUYA

…………………………………………

SE  NOT FOUND

01. 404

02. 爆風

03. シンデレラ

04. 銃声

05. 荒野の旅人

06. 初雪の前に

07. 21グラム

08. 離人

09. OVER

10. ジセイノク

11. Snow White

12. 沙羅羅羅

13. ネモフィラ

14. ハレヴタイ

 

—encore—

01. ハミングバード

02. 大和歌

03. 睡蓮

04. Brow beat

 

—w-encore—

01. The Brow Beat学園校歌

02. L.R

03. 日本

04. パラノイドスター

 

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<リリース>

 

 

2021101()東京建物 Brillia HALLで開催されたThe Brow Beat、メジャー進出後初&20202月以来となる有観客ライブのLIVE DVDが発売決定!

 

★DVD

The Brow Beat LIVE 2021

Let’s play harevutai, shall we!?」

 

75()23:59まで受付中!

ご購入ページ

https://thebrowbeat.jp/store

 

■ The Brow Beat LIVE 2021

https://youtu.be/mYUF8r1fO6s

 

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<関連リンク>

 

★The Brow Beat HP★
https://thebrowbeat.jp/

★The Brow Beat SNS★
Twitter https://twitter.com/The_Brow_Beat

★The Brow Beat Official YouTube★

https://www.youtube.com/channel/UCUBbwMZpLI6RphRylO22ROw







2022年06月30日 (木)

【ライヴレポート】<nurié FREE ONEMAN LIVE Guide Book Revenge>2022年6月17日(金)新宿club SCIENCE◆様々なアクシデントがふりかかってきても、決して折れることなく必ずステージに立つ彼らだからこそ信じられる言葉、“必ずまた会える”──。

REPORT - 21:00:10

5月に再始動ワンマンライブ「bouqet」を終えたばかりのnuriéが、早くも6月17日、東京、新宿 club SCIENCE 。6月23日、大阪、アメリカ村FANJtwiceで、無料ワンマンライブを行った。

昨年12月に行われるはずだったnuriéを初めて観る人たちへの意味を込めたライブ「Guide Book」。

突然の交通事故により開催できなかった思いが、今回開催された無料ライブ「Guide Book Revenge」に込められた。

ここでは新宿club SCIENCEでの模様をレポートする。

 

 

この日は、無料ワンマンライブの開催前に振りなどの動きがメンバーのSNSから発信された「Room-6-」での幕開け。

初めてnuriéを観に来ていた人たちを一人も取りこぼすことなく、nuriéのライブの世界へとあっという間に魅きこんでいく。その勢いのまま「人として人で在る様に」へ。

ヴォーカル大角龍太朗の「自由に曝け出せよ、あんたの本当の姿を」の声に導かれるように、フロアには早くも激しいヘッドバンキングが巻き起こる。ギターの廣瀬彩人もセンターでギターをかき鳴らす。

「今宵、未来の為に歌おう。」に身体を揺らし、「今晩だけのサーカス」へ。それまで会場のボルテージを高めることに全力を注いでいた大角が女性目線の歌詞に合わせるように心憂い表情へと変えていく。

一転して、「骨太もんちっちくん」では、nuriéのライブでは欠かせない、この曲に合わせたモンキーダンスを、大角が丁寧にレクチャー。客席の後ろの方までチェックして、一人も取りこぼすことなく「骨太もんちっちくん」の振りで会場を埋め尽くす。

 

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「最初の5曲からぶっ飛ばしすぎたな」という言葉からこの日のサポートベーシスト、NAOCHI(電脳ヒメカ)の紹介へ。

「Guide Book、俺たちの始まりの音をここに届けよう」の言葉から「モノローグ」。大角のメロウなヴォーカルを廣瀬のギターがさらに曲の世界観を広げるようにギターを刻む。

薄いピンク色の光が優しく照らす「カンセツショウメイ」。艶めいたギターソロに身を任せ、切ない恋心に想いを馳せていると、突如、ライブハウスが雨音に包まれる。「百鬼夜行」で、ラブストーリーから一気に憤りの闇然へ。

さっきまでの表情とは打って変わって、何かに取り憑かれたように歌う大角は、まるでもう別人だ。大角の豹変に巻き込まれるように、染谷のドラミングも強度を増し、「【ばいばい】」へ突入。

「折り畳もうか、東京」の声がオーディエンスを激しく動かす。「クソ喰らえ。」では、ここで大角がまた変化を見せる。まるで演劇のステージで大角龍太朗の一人舞台を見ているかのようなストーリー感で、歌やラップが物語を綴っていく。

「俺たちが歌っている今も世界のどこかで誰かが泣いているんだよ。そんな現実がある中で俺たちは歌っている。だったらこの瞬間を全力で愛そうぜ」という言葉から、「命に値段を貼られ生きる。」。

この日のライブは無料ということもあり、初めてnuriéを観に来た人たちも多かったが、この時点ですでにそんな雰囲気はなかった。大角が手を挙げろという声のタイミングと、観ているこちら側の手を挙げたいという思いがしっかりと噛み合い、お互いが探り合うことなく、ステージと客席の呼吸がどんどんと合っていく。

「こんな苦しい世の中で息はできているのか。アンタたちは、居場所を求めてここに集まっているんだろう。俺たちだって居場所が欲しくてここで歌っている。しっかりと息継ぎをして明日を生きようぜ」と、日常の息苦しさを全て振り切るように感情を爆発させた「生き継ぎ」。

その苦しさを解放へと向かわせる「透明に混ざる。」。イントロから光が射し込み、大角が「見えたか自分らしい色が」と言ったように、心の中にある生への渇望が彼らの音楽で潤っていくようだった。

 

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本編のラストは8月10日に全国リリースとなる4thシングル「生きてて偉い。」。曲の中で、大角は天に向かってこう伝えた。

「やひろさん、あんたの力も貸してくれよ。俺の言葉に力を乗せてくれ」。

前回、nuriéがこの新宿 club SCIENCEでライブを行ったのは、昨年2021年10月27日。大角龍太朗のバースデーライブとなったその日は、ステージの大角の隣には、12月の事故で永眠したベース小鳥遊やひろの姿があった。

上昇気流に乗っていたnuriéが、突然の事故でメンバーを失うというあまりにも衝撃的な悲劇に、世間は彼らとどう接していいかわからくなってしまった。

しかし、彼らは、その傷を隠さない。その傷さえも愛しさに変えて作り上げたのが、新曲「生きてて偉い。」だ。

「今日が終わったって必ずまた会えるからな。決して、さよならは言わねえぞ」。

バンドを結成してから新型コロナウイルスのパンデミックに事故と、様々なアクシデントがふりかかってきても、決して折れることなく、必ずステージに立つnurié。そんな彼らだからこそ、この言葉が信じられる。

不確かな世界において、「必ずまた会える」としっかりと言ってくれる存在がいることは、明日を生きる希望になる。

 

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この日の無料ワンマンライブは、ライブが始まってからも来場者が絶えることはなかった。

アンコールでステージに戻ったメンバーから、「今日初めて来た人」とステージから問いかけられたときに、入口付近から多くの手が上がっていたのがその証拠だ。

すでに会場の奥まで進めなかったために、続々と駆けつけた人たちが入口付近でこの日のライブを楽しんでいた。

アンコールでは、「晴天に吠える。」「愛を歌わせろ人生」、そして「白を溢す。」の3曲を披露。

「白を溢す。」では、廣瀬のギターの弦が実は2本切れていたというハプニングもあったが、そんな様子を全く感じさせることなく、堂々たる演奏でこの日のライブを締めくくった。

 

 

nuriéは、7月29日(金)に、池袋EDGE で3周年記念のワンマンライブ、「生きてて偉い。」を開催する。この会場は、3年前にnuriéが始動した場所だ。

あれから3年という月日を、歩み出した頃からは想像もつかなかったほど激動の歴史の中でnuriéは生きてきた。

2022年7月29日のステージで、彼らが次なる未来をどのように染め上げていくのか胸が高鳴る。

 

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◆セットリスト◆

01. RooM-6-


02. 人として人で在る様に


03. 今宵、未来の為に歌おう。


04. 今晩だけのサーカス


05. 骨太もんちっちくん


06. モノローグ


07. カンセツショウメイ


08. 百鬼夜行


09. 【ばいばい】


10. クソ喰らえ。


11. 命に値段を貼られ生きる。


12. 生き継ぎ


13. 透明に混ざる。


14. 生きてて偉い。

 



En

01. 晴天に吠える。


02. 愛を歌わせろ人生


03. 白を溢す。

 

 



(文・武村貴世子/写真・ラミ)

 

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【ライブ情報】

◆nurié 3rd Anniversary Oneman
生きてて偉い
7月29日(金)池袋EDGE

開場17:30/開演18:00
チケット:https://eplus.jp/sf/detail/3647390001-P0030001P021001?P1=1221
前売り¥4,000/当日¥4,500

 

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◆nurié 2MAN Rush!!
Special Thanks

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8月5日(金)アメリカ村BEYOND
VS Rides In ReVellion

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8月19日(金)アメリカ村BEYOND
VS umbrella

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9月3日(土)高田馬場CLUB PHASE
VS Rides In ReVellion

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※全6バンド出演、以降の情報は7月9日、8月5日22時解禁!

 

 

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【リリース情報】

★4th Single『生きてて偉い』
2022年7月29日(金)池袋EDGE ワンマンライブにて先行リリース
2022年8月10日(水)各店舗リリース

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NRNR-006 ¥1,500(+税)

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[収録曲]
01.生きてて偉い
02.ミルクティートリップ
03.阿呆やん。

 

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★nurié OFFICIAL SITE★

https://nurie-web.jp/

★nurié OFFICIAL Twitter★

 





2022年06月23日 (木)

【ライヴレポート】<Luv PARADE主催「DEVIL’S PARTY 2022」>2022年6月20日(月)Spotify O-EAST◆〈種族越えて不思議な音を引き連れて〉。一度きりの奇蹟などではないことを予感させる、祝宴の夜──。

REPORT - 18:00:10

 時所諸縁あっての祝宴は、ことさらの慶びをそこに生み出したのだった。さかのぼること、2011年6月にD’ESPAIRSRAYが惜しまれながらも解散となってから11このたび渋谷Spotify O-EASTにて開催された[DEVIL’S PARTY 2022]は、D’ESPAIRSRAYのメンバーであるKaryuAngelo)、ZEROTHE MICRO HEAD 4N’S/OFIAM)、TSUKASATHE MICRO HEAD 4N’S)によるLuv PARADE が、あらたにオーガナイズするイベントとして、もともと彼らと交流のある有志たちが集う貴重な場となったのである。

 

 そんな今宵の一番手としてステージ上へと登場したのは、THE MICRO HEAD 4N’SkazuyaSHUN.ZERO2021年に始動させたスピンオフプロジェクト・OFIAM

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ちなみにドラマー・TSUKASAもサポートのかたちで参加しOFIAM(+TSUKASA)という表記となっていたのであるが、映像を用いた視覚演出もフルに駆使しつつ、kazuyaがギター&ヴォーカル、ZEROがベース&ヴォーカルとして歌うスタイルはもちろんのこと、曲によってはSHUN.によるポエトリーリーディングやアジテーション的ヴォイスが同期音源として流されたりという、その自由自在にして斬新なスタイルは実に近未来的なことしきり。

 最新シングル曲である「時」などをはじめとして、大胆かつ秀逸なステージングを続々と展開してくれた彼らの姿は、良い意味でいわゆるロックバンドの範疇を逸脱した革新的プロジェクトとしての存在感を強く放っていたと言っていい。

OFIAMというのは、去年THE MICRO HEAD 4N’Sにヴォーカリストがいない中でも出来る活動をしていこうということで始めたもので、ここまでにいろんな模索や実検をやって来ているプロジェクトです。ほんとに何でもアリだと思っているので、次の曲に関しては観ての通りギターを持ってやります。そして、今夜はこの日限りの特別な一曲をご用意いたしました。個人的にはね、この曲を歌ってもらいたいヤツがひとりいるんですけど。今それはかなわない状況なので、かたちは変わってしまいますがここでは俺たちがこの曲を届けます。ディスパが解散して11年、俺としては解散ライヴが出来なかったことがずっと心の中に残っていて、何時かみんなに恩返しが出来たら良いなとずっと思ってきたんですが、今日こうしてディスパの匂いが少しするイベントを開催することによって、少しでもみんなに気持ちを返せたら良いなと思ってます。それでは、今日ここに俺たちの生きた証を残したいと思います。聴いてください「KAMIKAZE」」(ZERO

 言わずもがな、これはD’ESPAIRSRAYの楽曲。彼らがアメリカでのイベントツアー[Taste of Chaos 2008]に参加することが決まった際、日本のバンドとしてのアイデンテティを集約すべく制作した曲であり、詞を書いたヴォーカリスト・HIZUMIは当時のインタビューで以下のようなことを言っていたことも今回あらためて思い出した。

「結局は死んじゃったら全てが終わりなわけだし、人間はそれまでに何を残せるかっていうのが大事だなと思ったんで。もっと簡単に言うと、これは常に現状に満足してちゃいかんよな!っていう詞です」

 故に、この曲の中では〈だから生きた意味を残したい〉というフレーズが繰り返されるのだが、あの11年前の解散劇を経て今回ZEROの歌った「KAMIKAZE」を聴き、今になってことさらに感慨深く響いてきたのは〈きっと巡り遭うはず〉という一節にほかならない。このたびは時所諸縁あっての巡り遭いが再び実現したからこそ、この[DEVIL’S PARTY 2022]が開催へと至ったことは間違いないはずなのだ。

 かくして、OFIAMはこの夜のイベントの意義深さと意味深さというものをまざまざと知らしめてくれることになったのではなかろうか。なお、OFIAM828日に代官山 SPACE ODDにて1st Anniversary公演が決定しているそうなのだが、なんとこの日は終演後に舞台上の大画面にTHE MICRO HEAD 4N’S本体についての今後に向けた告知もなされることに。ここでは“4th GENERATION 2022.10.19 SHIBUYA WWW X”の文字列と“HELLO MYCLONE”というファンへのメッセージが伝えられたのみではあるものの、マイフォ第4期始動の知らせは喜ばしい限り。

 

 

さて。興奮さめやらぬうちに次いでの登場となったのは、Karyu率いるその名もKaryu Session BANDだ。あまりに直截過ぎるネーミングとは裏腹に、ヴォーカリスト・ryoHOLLOWGRAM)とマニピュレーター・横山和俊がKaryuと共に織りなす音楽世界は、むしろネジれや歪さに満ちたアヴァンギャルドな質感にあふれており、セッションというラフな語感からは想像出来ないほどにコアで濃密なサウンドをオーディエンスへとぶつけてくれていた印象が強い。 

Karyu SessionBAND_0220 

 初ステージでの新曲として「HUG」がドロップされたあとには、かつてD’espairsRayで使うSEとして横山和俊が作ったというトラックにKaryuがギターアレンジをくわえ、そこにryoが詞とメロディをのせたという「熾」が披露されたり、D’ESPAIRSRAYの原曲を横山和俊がリミックスし、Karyuがあらたにギターアレンジを施したという「Marry of the blood」も演奏されたせいか、初見の方ばかりであったはずの観客フロアがおおいに沸き立っていたところにKaryu Session BANDのポテンシャルを感じたのは何も筆者だけではないはず。

Karyuくんから「新しくやりたいことがめっちゃあるんですよ」という話をもらって、本当だったら2月に1回やる話が出ていたんだけど、その時は都合がつかなかったので今日はリベンジをしに来ました!」(ryo

 なんでも、2月に横山和俊のバースデー・配信イベントがあったそうで、そこにKaryuが出演した時に本当だったらryoも合流するはずだったのだとか。これまた時所諸縁がようやく整い、このたび3者でのセッションが具現化したということらしい。

「そういえば、なんで新曲の「HUG」を作ることになったんだっけ?その理由はぜひKaryuくんからどうぞ!」(横山和俊)

デキちゃった()。音楽をやりたいなっていう気持ち、ライヴをやりたいなっていう気持ちが、そのまま曲になったんでしょうね。これから長く愛される曲になっていくと良いなと思っているので、音源としては売ってませんがライヴで聴いて楽しんでいってください。自分でも今日は初ライヴとは思えないクオリティでやれているので、この先も続いていったら良いなと思ってます。よろしくお願いします!!」(Karyu

 ということで、今回のライヴでは最後に再びの「HUG」でフロアを再び盛り上げてくれたKaryu Session BAND。まだまだ未知な部分も多いだけに、ここからの進展がとても気になってしょうがない。以後、つぶさに注視していくとしよう。

 

ところで、今回のイベントについては基本的にD’ESPAIRSRAYのメンバーが何かしらのかたちで関わっているアーティストばかりが出演していたことになるわけだが、ここぞの3番打者として大事な場面で加勢をしてくれたのはdefspiralの面々。D’ESPAIRSRAYと彼らの縁は、それこそ先ほども少しふれた全米イベントツアー[Taste of Chaos 2008]が本格的な始まりだったことになり、当時は前身バンド・the Underneathとして参加していた彼らと、今や25年選手のMUCC、そしてD’ESPAIRSRAYの3バンドが全43公演にもわたって異国の地で苦楽を共にしたという揺るぎなき歴史がある。

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「このイベントが発表になった時、僕らdefspiralはまだ3人でした。しかし、5月に新メンバーのドラマー・和樹が加入して4人になりまして。当初、このイベントはそれぞれのバンドがどこかしらのパートがいない分、お互いに補いあいながらやっていくイベントだよねというような話をみんなでしていましたけれども、ここに来てdefspiral揃っちゃいました”()。みなさん、新体制のdefspiralをよろしくお願いします!」(TAKA

 めでたい。遂に盤石な状態となった彼らは、この夜スケール感たっぷりの「HALO」で説得力を漂わせた音像を描き出してくれただけでなく、ラストの「IRIS」では希望の光を感じさせるような力強いメッセージも発信してくれており、その圧倒的なライヴバンドとしての実力は唯一無二のものとして感じられた。現在は7月26日の東京Spotify O-WEST公演まで続く[TOUR 2022 -ALTER VISION-]の真最中ということでもあるそうなので、ぜひともスケジュールをチェックしたうえで今現在の万全なるdefspiralの姿を皆様にもご確認いただきたい。

 

気付けば開演からはかれこれ約2時間。大ボリュームの充実したこのイベントを締めくくるべく、最後に登壇することになったのは[DEVIL’S PARTY 2022]の主催者であるLuv PARADE だ。

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D’ESPAIRSRAY解散直後の2011年6月に、今はなき高田馬場エリアにて行われたイベントにLuv PARADEとして出演した時と同じく、ゲストヴォーカリストにTAKAdefspiral)を迎えてのライヴは、ブリトニー・スピアーズのカバー「TOXIC」、そしてレディ・ガガのカバー「Poker Face」からスタート。

 各メンバーが先ほどとは全く違う、Luv PARADE仕様の暗黒スタイリングに身を包んでのパフォーマンスは悪魔的なほどのグラマラスな空気感をはらんでいて、ナインインチネイルズのカバー「The Hand That Feeds」も本家とは一線を画していながらも独自の退廃的な香りを放っており、いずれもカバーをしているとは思えないほどに彼ら流なオリジナリティをひしひしと感じた次第だ。

「今日のこのイベントは出演者同士にいろんなつながりがあって、いろんな想いがあって、ここから何か新しいことが起こっていくような始まりを予感させる日でもあります。(中略)このメンバーと一緒にやるのは11年ぶりになりますが、ここで俺たちが出会った頃の曲をやろうと思います。飛ばしていこうぜ!!」(TAKA

 選ばれていたのは、なんとも懐かしいdefspiralではなくthe Underneathの「BITE THE BULLET」。今これをLuv PARADEの音で聴けたというのは、相当なレア体験になったと断言出来る。そのうえ、この後には[DEVIL’S PARTY]の語源になったとも推測出来るD’ESPAIRSRAYの「DEVILS’ PARADE」が場内へ供され、ここでの〈種族越えて不思議な音を引き連れて〉という歌詞は、まさに[DEVIL’S PARTY]の真髄と主旨を表すことにもなっていたように感じられた。

 さらに言うなら、本編の最後を飾った「MIRROR」(D’ESPAIRSRAY)、アンコールではLuv PARADEの3人だけで奏でられた「DEATH POINT」(D’ESPAIRSRAY)も含めて、何より彼らがこの場でみせた心底楽しそうな笑顔たちが、そのまま今この時代にLuv PARADEが甦った理由を物語っていたものと確信する。

 また、このたびのLuv PARADE復活と[DEVIL’S PARTY 2022]の開催にあたっては、目下リハビリを続けながら喉の回復につとめているD’ESPAIRSRAYのヴォーカリストHIZUMI(現NUL.)がデザイナーとして全面協力をしてくれていたという事実も、ファンにとっては非常に嬉しい逸話であったことと思う。

 し・か・も 実は、今回のイベントでは来たる9月8日に同じくSpotify O-EASTにて[DEVIL’S PARTY 2022 Vol.2]が開催されるといちはやく告知され、そこにはLuv PARADE(ゲストヴォーカル:TAKA)、Karyu Session BAND、、新参加のGOTCHAROCKAにならび、なんと昨今HIZUMIMASATOdefspiral)、岸利至と共に組んでいるユニット・NUL.として出演することが発表されたのだ。

 時所諸縁あっての[DEVIL’S PARTY]は、どうやら一度きりの奇蹟などではないらしい。つまり〈種族越えて不思議な音を引き連れて〉ここからその輪を大きく拡げていくことになるのであろう。むろん、今から次の祝宴が楽しみで仕方ない。

 LuvPARADE3_0570

文:杉江由紀

撮影:堅田ひとみ

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DEVIL’S PARTY 2022 Streamingチケットアーカイブ配信中

https://parade.zaiko.io/e/devilsparty0620

チケット販売期間:~2022623日(木)21:00

アーカイブ視聴期間:2022623日(木)23:59まで

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<ライヴ>

■Luv PARADE主催 DEVIL’S PARTY 2022 Vol.2開催決定!!

日程:202298日(木)

会場:Spotify O-EAST

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ACT

Luv PARADE(ゲストヴォーカル TAKA/defspiral

Karyu Session BAND

NUL.

GOTCHAROCKA

その他詳細は後日発表!!

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Luv PARADEオフィシャルサイト

https://parade.bitfan.id

Luv PARADEオフィシャルTwitter

https://twitter.com/parade_official