2022年07月24日 (日)
【ライヴレポート】<mitsu ONEMAN TOUR 2022「SEVEN AS A TRIGGER」>2022年7月22日(金)渋谷REX◆ロックもポップもバラードも!全部乗せ特盛のライブ。
REPORT - 20:00:10…………………………………………
ツアーファイナル&7周年記念!
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2022年7月22日(金)、渋谷REXにてmitsu ONEMAN TOUR 2022「SEVEN AS A TRIGGER」ファイナル公演が開催された。5月11日にスタートした都内ツアーは全7公演、ツアー途中の7月18日にはソロ始動7周年の記念日を迎えるという、7づくしのツアーだ。
前ツアー「ZEAL 4 ROMANCE」から1ヶ月半ほどでスタートした今回のツアーは、mitsuをはじめ、メンバー全員が“前ツアーを一歩進めたもの”というイメージで臨んだという。確かに、メンバーのイメージどおり、激アツだった前ツアーの熱はそのままに4人のグルーヴはさらに高まり、多彩なサウンドを聴かせてくれた。
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ロックもポップもバラードも!全部乗せ特盛のライブ
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ライブは、このツアーを振り返るムービーからスタート。オフショット満載のムービーがファイナルの特別感を演出する。楽しかったツアーも今日で終わり……という感慨とともに、これから始まるライブへの期待感も自ずと高まる。
1曲目は「エトリア」。パチッ!と勢いよくスイッチが入ったかのように、演奏が始まると同時に、フロアはステージに釘付け。爽やかな疾走感にあふれる曲が、彼らが奏でる音の世界へと一気に連れていく。続く「蛍」もこの日は爽やかさに重点を置いたアレンジ。続いて、曲が持つロックな部分を強調した「Live Your Life」は、拳を突き上げるmitsuの姿が印象的だった。
MCでmitsuは「この2ヶ月は、あっという間だったんだけど、長い旅をしているような時間でした。そういう気持ちを話そうとすると長くなりすぎるので、全部、曲で伝えます。耳で、心で、楽しんでいって!」と話す。
MC明けは、すっかり馴染んだ感のある、横揺れで大人っぽいアレンジの「It’s So Easy」。この曲は楽器隊それぞれのソロがあるのも聴きどころだ。続いてはこのツアーでRENAが作曲した新曲。気怠い、ぐるぐるとめまいを起こしているようなイメージの新曲は、ツアー初期とは比べものにならないくらい格好良くなっている。これまでのmitsuの曲にはない雰囲気をまとう新曲は、mitsuの新境地を見せてくれた。ヘヴィーであやしげな格好良さを堪能できるこのパートは「MIDNIGHT LOVER」「蜃気楼」と続く。湿度の高い熱帯夜のような熱さが会場を包んでいたが、次の「じゃないか」で一転。明るくポップな曲で一気に除湿した。この4人に出せない音色はない!と見せつけんばかりのサウンドの違いに高揚する。
「遥か」では透明感に胸がぎゅっとなり、「Naked」では深い想いに心打たれる。そして「キンモクセイは君と」と、誰かを強く想う切ない曲が続き、それぞれにまったく異なる切なさを聴かせてくれた。ラブソングパートの締めは「君がいないなら」。こちらもこのツアーで生まれた新曲で、風弥の作曲だ。希望にあふれた曲で、前向きな気持ちにしてくれる。もしも会場にいる全員でこの曲を一緒に歌うことができたら、半端ない一体感を味わえるだろう。
MCで「人生で一番いい歌が歌えている」と話すmitsu。2本の都内ツアーを通して、音楽の楽しさに改めて気付いていると語る。風弥も「まだライブは終わっていないけど、間違いなく今日が一番いいライブ!」と断言。「今日ここでドラム叩けてよかった」と話す。mitsuも「ファイナルにこんなライブができるなんて、ちょっと出来過ぎ」と笑っていた。
RENAは「7周年に立ち会えて光栄です。mitsuが最後まで気持ちよく歌えるように演奏します。おめでとう!」と隠しきれない真面目さが滲む温かいコメントを贈った。
mitsuのソロ始動以前からの付き合いとなる夢時は「ライブを中心に活動しているミュージシャンは、みんな厳しい状況にある。その中でmitsuが呼んでくれるから、ステージに上がれる。ありがとう」と感慨深げ。「打ち上げの午前5時みたい(笑)」と照れ隠しも忘れない。
感動的な空気に包まれたMCの後は、ラストまで一気に駆け抜けるゴリゴリの激アツパート。前ツアーで誕生し、今回のツアーでさらにブラッシュアップされた「ZEAL 4 ROMANCEのテーマ」から、「Crazy Crazy」「Into DEEP」「ラストヒーロー」と、拳を突き上げ、暴れたくなる曲のオンパレード。何も考えずにリズムに乗り音を浴びる、ライブの楽しさをこれでもかとぶつけられるような、最高の時間だ。実際に、最高に楽しかった。
ラストは「For Myself」。mitsuのソロ活動のスタート飾った曲で、ツアーファイナル兼7周年記念ライブを締めくくった。いつだってエモーショナルな気持ちにしてくれるこの曲だが、この日のこの曲はいつにも増して胸に迫るものがあった。
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mitsuの音楽はますますパワーアップ!
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mitsuはこの2ヶ月、ツアーに加え、イベント出演やν[NEU]のライブなど、この2年間で最も忙しい日々を送っていた。mitsuはこの期間中に起こったさまざまな出来事が刺激となり、音楽の楽しさ、歌うことの楽しさに改めて気付いたと話す。実際に、mitsuの歌唱は今までと変わっている。単に技術が向上したというだけではない。歌詞の内容を超え歌声で想いを伝える、声でメロディーを奏でて曲を表現するといった、聴く者の心を震わせる歌を聞かせてくれるのだ。だから、切ない曲はより切なく、ポップな曲はよりポップに、ヘヴィーな曲はよりヘヴィーに、エモーショナルな曲はより感動的になった。
ファイナル当日、本番前のインタビューで「この4人なら絶対にカッコいい音が出せる!」とメンバー全員が感じていると話してくれた。まさしく、表現できない音はないんじゃないか思うような、ひたすらに格好良いライブを見せてくれた。
ツアーは終わってしまったが、目覚ましい成長を遂げたmitsuは精力的に活動を継続する。ゲストボーカルとしてユナイト 2022 Oneman Live Tour「CONTiNUE?」に参加するほか、夢時と出演する「Unplugged Live #10」、今回のツアーメンバーで出演する対バンイベント「ホントノミリョク」、10月~12月にはν[NEU]のライブと無料ワンマンライブを予定している。
Mitsuの歌を聴くことができるチャンスはまだまだ用意されているので、ぜひ足を運んでほしい。彼の声で奏でられるメロディーを、音楽を、聴きにきてほしい。音楽の素晴らしさを、ライブの楽しさを、実感させてくれるから。
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スケジュール詳細はこちら
mitsu Official Web Site
https://mitsu-official.com/
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【SET LIST】
1. エトリア
2. 蛍
3. Live Your Life
4. It’s So Easy
5. 新曲(タイトル未定)
6. MIDNIGHT LOVER
7. 蜃気楼
8. じゃないか
9. 遥か
10. Naked
11. キンモクセイは君と
12. 君がいないなら
13. ZEAL 4 ROMANCEのテーマ
14. Crazy Crazy
15. Into DEEP
16. ラストヒーロー
17. For Myself
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Text:板垣可奈子
Photo:Intetsu
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2022年7月22日(金) 渋谷REX
mitsu ONEMAN TOUR 2022
「SEVEN AS A TRIGGER」
【出演】
mitsu
【サポートメンバー】
Guitar:夢時(eStrial / HOLLOWGRAM)
Bass : RENA(3470.mon / CRAZY PUNK KID)
Drum:風弥~Kazami~(DaizyStripper)
2022年07月20日 (水)
【ライヴレポート】メリー・ガラBirthday LIVEを盛大に終了 & 20th Anniversary東京大ストリップショウ開催!!◆20周年アニヴァーサリーの一環となる二部構成のライヴで、噂のガラ介がメリーを祝福!?歴史と未来と掟破りが混在する、4人の刺激的な現在。
REPORT - 12:00:22昨年11月、結成20周年の節目を4人編成の新体制で迎えると同時に、『Strip』と題された新作アルバムを発表したメリー。コロナ禍において本来あるべき形でのライヴ活動がままならない状況下においても、万全の対策のもと、配信等も活用しながら動きを止めずにきた彼らのポジティヴな試行錯誤は、今なお続いている。そんな中、去る7月6日に行なわれたライヴは、彼らの今後を占う意味においても重要なものになったといえそうだ。
この日はバンドのフロントマンであるガラの誕生日。今回のライヴ自体もそれを記念して企画されたもので、しかも「ガラBirthday LIVE-第①部–『第六回 自作自演』COØL BOY FIRST GIGS 20220706」と「ガラBirthday LIVE-第②部–メリー 20th Anniversary【実演配信】History of メリー~『PEEP SHOW』編~」という完全入れ替え制による二部構成がとられていた。会場となったのは昨年末に開業したばかりの渋谷近未来会館。彼ら自身にとっても初めての場所である。記念日に所縁深い場所に立つのではなく新たなステージを開拓するという姿勢にも、常にライヴハウスを主戦場とし続けてきたメリーらしさが感じられる。
まず第①部は、メリーではなくCOØL BOYなるバンドの初ライヴとして実施された。その名称の表記からも誰もがBOØWYを連想するはずだが、その実態はガラ介なる謎のヴォーカリストを擁する、いわばプロフェッショナルによるBOØWYのトリビュート・バンド。もちろんガラ介というのはこの日に誕生日を迎えたガラ自身であり、彼の両サイドをaie(g:the god and death stars/gibkiy gibkiy gibkiy/deadman)、Wu-CHY(b:BATCAVE)が固め、しかもその背後からビートを繰り出すのは他ならぬ高橋まこと(ds:ex.BOØWY)という信じがたい顔ぶれ。メリーのメンバーたちのバースデー公演においては過去にもさまざまなセッションなどが実施されてきたが、今回のライヴ実現の発端は、往年の歌謡曲番組をモチーフにしたsukekiyoのMVに、そのガラ介が登場し話題を呼んだことにある。いわば同MVのスピンオフ的な発想によるものでもあるわけだが、そのライヴ・パフォーマンス自体は、遊び心に富んではいつつも決して“お遊び”の次元にはないものだった。
このCOØL BOYの演奏内容に関する詳しい記述は控えておくが、アンコールを含めて1時間を超えたそのステージで披露された13曲は、当然ながらすべてBOØWYの楽曲ばかり。ガラ自身にとって生まれて初めてコピーした楽曲だという「NO. NEW YORK」をはじめとする誰もが知るキラー・チューンの連続に、メリーのコアなファンで埋め尽くされているはずのフロアは異様なほどの一体感を伴った盛り上がりをみせた。しかもガラの堂に入った歌唱とパフォーマンスには付け焼刃ではないものが感じられ、BOØWYと同様に群馬県出身である彼自身のルーツの根深さ、メリーにも確実に受け継がれている伝統の色濃さといったものを改めて印象付けることになった。このステージ終了後、彼は次のように語っている。
「純粋に楽しかったです。BOØWYを聴いて育った自分としては、まことさんの“ワン、ツー、スリー”というカウントの声が背後から聞こえてくるだけで痺れました。これも、sukekiyoのMVに出演したおかげです(笑)。他にもまだまだやりたい曲がたくさんあるので、また是非やりたいですね」
ステージ上でも、今回のライヴの感触次第ではツアー実施の可能性があることを仄めかしていたガラ、いや、ガラ介だが、その発言自体はどうやら調子に乗った末にこぼれた根拠のないものだった模様。とはいえCOØL BOYが一夜限りの夢に終わることもなさそうだ。この先にどんな伝説が繰り広げられることになるのかを楽しみにしていたいところである。
そして肝心の第②部では、改めて説明するまでもなく、2006年発表のアルバム『PEEP SHOW』の世界が16年の月日を経て完全再現された。オープニングSEの「PEEP SHOW」に導かれながら「狂騒カーニバル」で幕を開け、「妄想rendez-vous」で締め括られるというライヴ全体の流れは、当然ながら同アルバムの構成に完全に忠実なもの。ほんの少し前までガラ介としてクールにキメていたガラは、香港の廃墟を思わせる会場の内装を意識してか、闇組織を牛耳るカンフーの達人のようないでたちをしていた。
メリーは昨年の夏より、この【実演配信】と銘打たれた過去作品の完全再現ライヴのオンライン配信を重ねてきた。それがライヴ開催に伴う規制緩和に伴いながら有観客ライヴ+配信という形態にスケール・アップしてきたわけだが、前回の開催時から配信用の音と映像の編集をギタリストの結生が手掛けるようになっている事実に注目したい。単純に考えればこうした機会に伴う彼の仕事量が増えているわけだが、音楽面でメリーの操縦桿を握る彼にとってはそうした作業が非常に意味深いものになっているようだ。この日の終演後に話を聞いたところ、彼は次のように語っていた。
「この【実演配信】も5回目、つまり5枚のアルバムを完全再現してきたわけですけど、今回はこれまでの中でもいちばん手応えがあったように思います。前回から配信用の映像と音に関して編集作業を自分がやることになって、それ自体は大変ではあるんですけど、実際のライヴ中に自分の目が届いていなかったところが見えるようになったことで自分自身の中での理解も深まったし、今現在の“4人のメリー”というものをより客観的にみられるようになったんです。正直、そこについては今も模索しながら取り組んでいるところがあるんですね。ただ、試行錯誤を重ねながら見えてきたことが徐々に形になってきていて、それが完成に至った時にようやく次のアルバムの姿が見えてくることになるんじゃないか、と思っていて」
『PEEP SHOW』に限らず、最新作にあたる『Strip』を除く他すべてのメリーのアルバムは当然ながら5人で作られたものであり、それを現在の4人体制で演奏するうえでさまざまな工夫や実験が求められることになる。そして、それを経たうえでの実際のライヴの場で確認できたことを、事後の編集というプロセスにおいて改めて客観的に自己分析することが可能になっているというわけだ。これはメリーが『Strip』の次の段階へと歩みを進めていくうえで重要な意味を持つことになるに違いない。
また、メンバーたちが異口同音に認めているのは『PEEP SHOW』と『Strip』の世界観の共通性についてだ。ガラは「2枚とも世界観が近いからなのか、今回の【実演再現】では、これまでの4回以上に当時の曲に入り込みやすかったし、そういう意味では最新型の『PEEP SHOW』を披露できたように思う」と言い、結生はギタリストとしてのアプローチの面においても両アルバムに重なる部分があることを認めている。それこそアルバムのタイトル自体にも覗き部屋とストリップという相似性があるわけだが、そうした両作品に音楽的な意味でも共通項があるという事実にはなかなか興味深いものがある。
また、今回の第②部のアンコールにおいては、本編での『PEEP SHOW』完全再現を経たうえで、まさしく『Strip』の時制にある現在形の演奏が繰り広げられたが、その最後に披露されたのはガラを除く3人による自由度の高いセッションだった。これもまたメリーの次なる音楽的展開を予見するヒントのひとつになるのではないだろうか。ただ、当然ながらそのままライヴが終わるはずもなく、オーディエンスのさらなる要求に、彼らはこの夜二度目となる「妄想rendez-vous」で熱く応えることになった。
さて、今回のライヴを経て、メリーは次なる展開へと突入していくことになる。7月23日、東京は鶯谷のダンスホール新世紀で開催される『メリー20th Anniversary東京大ストリップショウ』は二部構成による実験的なライヴで、ガラによれば『Strip』の世界をより視覚的にも体現した、これまで以上に濃いものになるのだという。その先には、いまだに対バン相手の公表されていない大阪と東京での公演、そして11月には『[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~』と銘打たれた東京・神田スクエアホールでの公演が控えている。アニヴァーサリー・イヤーの締め括りであると同時に、バンドにとって新たなスタート地点となった『Strip』に伴う流れを締め括るものということになるこの一連の公演は、すべて異なった趣向による、それぞれに独立性がありながらひとつの流れを汲んだものになるのだという。きわめて高い自由度と、揺るぎないものの奏法を兼ね備え、さらなる実験と挑戦に挑もうとしている現在のメリー。彼らの“これまで”に深い愛着を抱くファンのみならず、その歴史を知らない世代にも、そして“これから”を占ううえでも、彼らの今現在の姿と、この先の各公演に注目したいところだ。
取材・文◉増田勇一
ライブ写真◉中村 卓
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公式サイト http://merryweb.jp
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【LIVE INFO】
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メリー 20th Anniversary
東京大ストリップショウ
[幕開け]7月23日(土) ダンスホール新世紀
第1部 JAZZメリー / 第2部 極楽結 (入れ替え制)
チケット発売中
https://eplus.jp/sf/word/0000002190
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9月18日(日) 味園ユニバース
メリー vs XXXX
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9月24日(土) ダンスホール新世紀
メリー vs XXXX
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東京大ストリップショウ
[グランドフィナーレ]
~白い羊・黒い羊~
2022年11月12日(土) 神田スクエアホール
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メリー 20th Anniversary
【実演配信】
History of メリー
~PEEP SHOW編~
≪LIVE映像配信≫
配信日:8月6日(土) 21:00~
(アーカイブは8月14日(日) 23:59迄)
配信URL https://www.galacaa.com/concert/264
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◆メリー公式リンク◆
公式サイト http://merryweb.jp
公式Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/user/MERRYOfficial
公式Twitter https://twitter.com/merry_official
公式Instagram https://www.instagram.com/merryofficial/
2022年07月17日 (日)
【ライヴレポート】<ν[NEU] 13thAnniversary ONEMAN>2022年7月1日(金)新宿BLAZE◆メンバー全員が楽しみに待ってくれていたファンのために、そして、このメンバーで音楽をやりたいと感じた自分自身のためにステージに立っていた──。
REPORT - 20:00:20現体制から13年、アニバーサリーライブ開催!
2022年7月1日、13thAnniversary ONEMAN「ν[NEU] BEST」が新宿BLAZEで開催された。
ν[NEU]が現在のメンバー構成になり活動を再開したのは2009年7月1日。13周年を迎えたまさにその日に開催されたライブは、ν[NEU]の歴史に残るライブとなった。
限定復活アナウンスからの長い道のり
解散から約7年半、ν[NEU]のメンバーが再集結した今回のライブには“やっと”という表現を用いたくなる。そもそも、期間限定の復活がアナウンスされたのは2019年12月のことだ。当時ですら、それぞれの人生を歩んでいたメンバーが再度集結するには簡単にはいかない課題があった。さまざまな事情をクリアして公表された「1年限定の復活」だったが、その後、最も大きな障壁となったのはコロナ禍だ。多くの人が直面した“やりたくてもできない”状況にν[NEU]も巻き込まれた。コロナ禍は現在もなおライブシーンに制限をもたらしてはいるが、開催そのものを見送るほどではない状況になり、“やっと”今回のライブが実現したのだ。復活告知から現在までの経緯については、公式ウェブサイトで公開されているメンバーのインタビューをご参照いただきたい。
インタビューではもうひとつ、大事なお知らせがあった。華遊が参加できないということだ。現在のν[NEU]は、各メンバーが異なる状況下で活動していることに変わりはない。仕事や私生活など、あらゆる事情のバランスを取りながらν[NEU]を前進させるために、今回のライブはメンバー4人とサポートに夢時を迎えて開催することを決めたのだった。
思い出を超える現在のν[NEU]
前提が長くなったが、こうして辿り着いた7月1日のライブはチケット完売。フロアはこの日を楽しみにしていたファンで埋め尽くされた。ファンの指には「キラリンパ」が光り、フロアを星の海にしている。この日集まったファンのなかには7年半前の解散を経験し、復活の告知から2年半待った人も多くいるだろう。ライブ当日を迎えた喜びはどれほどのものだろう。声を出すことが許される状況であれば、叫びにも近い歓声が聞こえたのではないだろうか。BGMが止み、幕が開く。現在のメンバー構成での初リリースシングルである「PULSE」からライブがスタートした。
「ν[NEU] BEST」というタイトルが表しているように、ベスト盤のような構成のライブは2部制で、第1部はインディーズ、第2部はメジャーデビュー後の曲を中心にセットリストが組まれた。第1部のMCでЯeIは「インディーズ曲、速くてしんどい(笑)」と一言。10年以上前に制作された楽曲は、現在のメンバーにとって懐かしさとともに新鮮さを感じさせるようだ。ヒィロは「衣装って暑いんですね」と、久しぶりのステージで感じた率直な感想を聞かせてくれた。もちろんmitsuにツッコまれるのだが、そんな4人のやり取りは7年半のブランクを感じさせない。それはパフォーマンスにおいても言えることだった。ステージ上に“硬さ”や“気負い”はなく、リラックスしてライブを楽しんでいるのがよく伝わってくる。ν[NEU]の音楽を、ν[NEU]のメンバーで演奏することを心から楽しんでいる。メンバー全員が楽しみに待ってくれていたファンのために、そして、このメンバーで音楽をやりたいと感じた自分自身のためにステージに立っていた。
そんな彼らをサポートした夢時は、2010年4月にリリースしたアルバム『LIMIT』制作時からの付き合いで、タクミと華遊にとって“兄貴”的な存在。夢時は「華遊くんがステージに立てないとなったら、サポートするのは兄貴である自分しかいない」と、器の大きさを感じさせるコメントを残した。
第2部はメジャーデビューシングル「RED EMOTION~希望~」からスタート。
MCではメジャーデビュー後の思い出話や、解散ライブのこと、華遊のことが話題に。また、楽曲もラストシングルとなった「ひとりじゃない」や、解散ライブのラストで演奏した「everlasting light」で締めるなど、エモーショナルな気持ちを呼び起こす内容となった。それと同時に、時間を経たからこそ表現できる新たな格好良さも見せてくれた。
復活を決めてから2年半、その間に何度もライブ開催を見送らなければならない状況になってしまったν[NEU]。中止を決めるたびに歯痒く、悔しい思いをしていただろう。しかし、その2年半は、今回のライブを迎えるための熟成期間にもなった。完全な形ではないにしろ、現在のν[NEU]が実現できるベストを尽くしたライブだった。
今後、ν[NEU]は感謝祭として年内に3本のライブを行う予定だ。詳細は18日(月)21:00にオフィシャルTwitterにて解禁とのこと。惜しくも今回のライブを見ることができなかった人も、ν[NEU]のライブを体験するチャンスはまだある。あの頃よりもパワーアップした彼らのライブをお見逃しなく!
Text:板垣可奈子
Photo:Aki(Lc5)
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ν[NEU] 13thAnniversary ONEMAN
2022年7月1日(金)新宿BLAZE
【出演】ν[NEU]
【サポートメンバー】Guitar:夢時(eStrial / HOLLOWGRAM)
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【LIVE SCHEDULE】
10月1日(土) 渋谷REX
11月12日(土) 渋谷REX
12月3日(土) 渋谷REX
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【ν[NEU] Official Twitter】
https://twitter.com/neu_official
【ν[NEU] Official Web Site】