2022年08月06日 (土)
【ライヴレポート】<The Benjamin ONEMAN『Bridge of New Rainbow』>2022年7月16日 池袋EDGE ◆人生の厳しさも苦さも受け入れたうえで、それでも前を向いて生きようとする強い明るさ──。新ツアーのチケットは本日発売!
REPORT - 12:00:37雨が降っている。
地下のライヴハウスの中で、そう感じていた。7月16日、池袋EDGEで行われたThe Benjaminのワンマンライヴ『Bridge of New Rainbow』の最中である。いったいどんなライヴが繰り広げられたのだろう。
オープニングから雨音が聞こえていた。手拍子を打ちながらTackyが、愛嬌を振りまきながらMashoeが、そして最後に気合いをみなぎらせてMineyが登場する。この夜、最初の曲に選ばれたのは「Babel」。神の怒りに触れたバベルの塔の崩壊を重々しく、ドラマチックに描き出す。
個人的な見解だが、The Benjaminというバンドの印象はあくまで“ハッピー”だと思っている。それは、楽しければいいとか薄っぺらいポジティブシンキングとかではなく、人生の厳しさも苦さも受け入れたうえで、それでも前を向いて生きようとする強い明るさだ。
そんな彼らが、今年3月に発売したシングル『Bark in the Garden』では、怒りやイラ立ちを爆発させた。ヴィジュアル面でもダークな雰囲気に大きくイメージチェンジした。そこには、コロナ禍においてこれまでのようなバンド活動ができない時間が続いたという背景があり、溜め込んだ鬱屈した感情が表に出たと解釈している。そんな現在の彼ららしい幕開けとなった。
偶然にもこの日の天候は、雨。「雨、降ってたね」というMineyの言葉からMCが始まり、「Blossom of Casablanca」へ。大人っぽい雰囲気をたっぷりまき散らして、「ブロックショット」へと続く。The Benjaminはギターが二人、ベースが一人のスリーピースで、曲によってメインヴォーカルを交代するイレギュラーな編成だ。「ブロックショット」はベースのMashoeが、次の「バズーカをぶっ放せ」はギターのTackyがその歌声を聴かせる。温かみのあるふくよかな歌声のMashoeにミドルテンポのこの曲がよく似合い、Tackyが歌うと荒々しさを生真面目に表現しようとする一生懸命さが魅力的に映る。センターに構えるMineyの幅広い表現力と存在感からは目が離せない。
丁寧にまっすぐにMashoeが届けた「バリケード」、一転ノリノリで会場を踊らせたMineyが歌う「Bumble Bee」。メインヴォーカルが変わることも相まって、The Benjaminの音楽が持つ色とりどりの魅力を堪能したところで、再びMCが始まった。「そろそろ雨の音が…」という言葉から続いたのは、「[Bit:]雨に接続された世界」。これは、彼ら3人が以前一緒に活動していたバンド・ビリーの曲。
雨音に雷鳴が重なり、「バケツ」「ベルガモット」と続けば、やり切れない切ない感情が会場にひたひたと広がっていく。そこへ、バラードの「バウムクーヘン」が始まる。本来は、雪の日に暖かい部屋でバウムクーヘンを食べようという歌なのだが、この日はあえて“雨が降る”と歌ったMiney。バウムクーヘンの甘さに優しく励まされるような温かい歌だった。
終盤戦に入ったところで特に印象に残ったのは、「Bark in the Garden」だ。発売時には、彼ら自身がその変化に着いて行き切れてない感があったが、ライヴを重ねるに連れ、確実に自分たちのものにし、思い切りよくプレイを楽しんでいるのが見てとれた。ライヴで曲は成長するというが、まさにそのとおりの変貌だ。
曲間の雨音は続くが、次は「Bridge of Rainbow」。“雨はやがて虹へと変わる”という歌詞のとおり、曲が進むに連れ雨は止み、虹色に輝く照明とともに会場に光が差す。まるで雨の途に虹がかかるように。そこに始まったのは「SORA-Boeing229-」。“雨はSORAが泣いてるんじゃな 不純なモノ流してくれてるんだ”と歌い上げるMashoe。広がる青空が目に浮かぶような、青空を見上げたときの気持ちよさが胸によぎるような、そんな心地よさだった。
本編最後は、「ブーツを脱いで」。タイトルの“ブーツ”は、シーズンが過ぎているのに何となく履いてしまったもの。それを脱いで裸足になった主人公は、“飛び越えたはずの水たまりに着水”する。水たまりから飛び散るキラキラした水しぶきが目に浮かぶような清々しさが、雨の降り続いたライヴの最後を彩った。
アンコールでは、9月7日発売の3枚目のアルバム『BELIEVE』から、タイトル曲「BELIEVE」を初披露。感情をまっすぐに吐露するような、どこまでも正直な彼ららしい曲だ。込められた熱いメッセージも、情熱を持って音楽に向き合う彼ららしい。アルバム発売、そして全国ツアーの告知が続き、会場がおおいに沸く。
コロナ禍で、たくさんのロックバンドは試行錯誤を繰り返してきた。その中で、曲を作ることや過去の曲をリアレンジすること(8曲目に披露した「[Bit:]雨に接続された世界」はまさにそうだ)、配信で演奏を聴かせること(毎週金曜日の無料配信を継続中)など、音楽を作ることにこだわり続けた彼らだけに、ニューアルバムの発売と全国ツアー決定に大きな拍手を贈りたい。ツアーファイナルとなる、10月16日の渋谷PLEASURE PLEASUREでは、どんな彼らの姿を、どんな世界を見せてくれるだろうか。今から楽しみでならない。
文・村山 幸
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The Benjamin
2022年7月16日
池袋EDGE
ONEMAN『Bridge of New Rainbow』
<セットリスト>
1.Babel
2.ベンガルタイガー
3.Blossom of Casablanca
4.ブロックショット
5.バズーカをぶっ放せ
6.バリケード
7.BumbleBee
8.[Bit;]雨に接続された世界
9.バケツ
10.ベルガモット
11.バウムクーヘン
12.ビックリ箱
13.BATTLE FEVER
14.Bark in the Garden
15.Bridge of Rainbow
16.SORA-Boeing229-
17.ブーツを脱いで
en.
18.ビーチパラソル
19.BELIEVE
20.バーバラ
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<リリース情報>
★タイトル:「BELIEVE」
アーティスト:The Benjamin
発売日:2022年9月7日
品番: BDBX-0090
価格: 3,500円(税込) 税抜価格:3,181円
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★リリース中★
タイトル:「Bridge of Rainbow」
品番:BDBX:0088
作詞作曲:ミネムラ“Miney”アキノリ
形態:デジタルシングル
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各サブスクにて配信
https://inpartmaint.lnk.to/IztGEk
MVフル
https://youtu.be/dQxxkix6CFc
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<公演詳細>
■The Benjamin ONEMAN TOUR 2022
「BELIEVE」
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2022年9月10日(土)
大阪Rumio
〒530-0047 大阪府大阪市北区西天満6-2-14マッセ梅田ビル2号館B1-5
開場 18:00/開演 18:30
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2022年9月11日(日)
名古屋Heartland
〒460-0007 名古屋市中区新栄2-1-9雲竜フレックスビル西館B1F
開場 16:30/開演 17:00
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2022年9月18日(日)
宇都宮HELLODOLLY
〒320-0035 栃木県宇都宮市伝馬町3−24
開場 16:30/開演 17:00
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2022年10月02日(日)
長野LIVE HOUSE J
〒380-0822 長野県長野市南千歳町826 MyTownC−one
開場 16:30/開演 17:00
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2022年10月16日(日)
渋谷PLEASURE PLEASURE
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2丁目29−5 渋谷プライム 6F
開場 16:30/開演 17:00
座席:全指定席
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※開演開場時間の変更に関するチケットの払い戻しはございませんので予めご了承ください。
料金(各公演):
ビギナーズ前売券 500円
当日 ¥1,000円
*1DRINK別途
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●ビギナーズ前売りA(会場手売り)
発売日:2022年8月8日(月)より
チケットNo.A001-(10/16公演のみ座席指定番号)
※特製ピクチャーチケット
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●ビギナーズ前売りB(TICKET PAY)
一般発売日 :2022年8月6日(土) 10:00-
入場券:TICKET PAY
チケットNo.B001-(10/16公演のみ座席指定番号)
入場順:番号順:S→A/B並列→当日券(C)
(10/16公演のみ座席指定番号)
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購入URL:
9/10 大阪Rumio
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=39575
名古屋Heartland
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=39576
宇都宮HELLODOLLY
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=39577
長野LIVE HOUSE J
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=39578
渋谷PleasurePleasure
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=39579
主催/企画/制作:BadeggBox(10/16のみ制作:チッタワークス)
問い合わせ:会場
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■動画■
New Single 「Bridge of Rainbow」MVフル
https://youtu.be/dQxxkix6CFc
7th Single 「Bark in the Garden」MVフル
https://youtu.be/Kyv8Vnu9Tsg
「Bark in the New Garden」
2022.05.07 HARAJUKU RENON ダイジェスト映像
https://youtu.be/UxacNV93YDM
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■The Benjamin オフィシャルweb■
http://thebenjamin.jp
2022年08月05日 (金)
【ライヴレポート】<DEZERT「study」#9 -真夏の“タイトルなし”補習編->2022年8月3日(水)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE◆彼らは8年前の服たちを、今に映えるものとして颯爽と着こなしてみせた──。
REPORT - 20:00:228年前の服を引っ張り出してきてシワくちゃのまま“ただ着る”のと、8年が経ったうえでも今の自分に似合うようにメンテナンスを施したうえで“着こなすことが出来る”のは、当然ながら似て非なることだ。
DEZERTがこの8月にSHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて集中開催しているシリーズライヴ「study」は、彼らがこれまでに発表してきた過去のアルバムについて補習するための場となり、このたび8月3日に[「study」#9 –真夏の“タイトルなし”補習編–]と題して行われた公演は、2014年11月に世へ放たれたアルバム『タイトルなし』の世界を今この機に具現化していくという、今となってはなかなかに貴重な場とあいなった。
「みなさん、お久しぶりです。[「study」#9] へようこそ。「study」自体は2019年以来ではありますが、これは100回を目指してやってるんで、多分100回目は東京ドームかな(笑)。
俺らとしては今回ここを踏み台にしつつ、次はどこでやろうかなとも思っているんですけど、とにかく未来に繋いでいくライヴにしたいので、今日は気持ちを込めて『タイトルなし』の曲たちをやらせてもらいます。
“study”の皆さんも、いろんなことを持ち帰っていってください」(千秋)
まずはアルバムの曲順通りに「—-」からスタートし、そこから「「殺意」」や「胃潰瘍とルソーの錯覚」といった『タイトルなし』の収録曲たち、それ以外にも「包丁の正しい使い方~実行編~」、2013年発表のアルバム『特製・脳味噌絶倫スープ~生クリーム仕立て~』に収録されていた「飼育部屋」など、いわゆる初期の楽曲たちが惜しげもなく披露されていったこのライヴは、古参のコアファンにとってはもちろんのこと、近年になってDEZERTのことを知ったファンにとっても、神セトリな内容になっていたと言えよう。
この酷暑の中ではあったものの、DEZERTの開催した夏季補習に我々が参加した甲斐は確実にあったことになる。
「今やった「飼育部屋」って、実は初ワンマンの池袋BlackHole(2012年9月16日に行われた[DEZERT 1周年記念 1st ONE MAN LIVE「眩暈が溶けた部屋」])で配ってるんですよ。
今でも持ってる人っている?売ったっていう人もいるのかな?おい、いるのかよ!。
まぁ、いいや(笑)。俺たちの無配の歴史ってあるからね。2015年のO-WESTで「変」、O-EASTで「異常な階段」、赤坂BLITZで「追落」を配ってるんだっけ。今思うと「異常な階段」あたりまではタイトルがヤバいよね。
そして、久しぶりに聴きなおしてみると詞で人を殺しすぎ(笑)。親も2回くらい殺しちゃってて、ほんとに申し訳ない(苦笑)」(千秋)
確かに、かつてのDEZERTは曲タイトルといい、歌詞の内容といい、やたらと殺伐とした空気感を漂わせていたところがあり、それも彼らのことを語る上では重要なファクターではあったのは間違いない。
ただ、その一方で曲によっては当時から普遍的なメロディが活かされていたり、一見グロテスクにも感じられる歌詞表現の中に深いメッセージが託されていたケースもままあったわけで、結果として今回の[「study」#9 –真夏の“タイトルなし”補習編–]では、そうしたDEZERTの三つ子の魂をさまざまな面から感じることが出来たライヴだったのではないかと思うのだ。
中でも、今回のライヴで本編中盤にて披露された「さぁミルクを飲みましょう。」はとても象徴的な1曲となっており、オリジナル音源では〈いつか心の底からキレイ事をいえる力をください〉と歌われていたくだりが、この夜のステージ上では〈いつか僕らの歌が誰かを救えたらいいのに〉とヴォーカリスト・千秋によって歌い替えられる一幕がはさまれることに。
そのたった1節の違いがもたらしていた変化は、この8年の間にDEZERTが三つ子から大きく成長したことを物語っていたことになるはずで、以前であれば半ばタナボタ的に力をくださいと他者に願い依存していた幼児が、今や自らの力を信じることで自己肯定が出来るようなひとりの人間へと成長していたという事実からは、ある種の深い感慨を得ることが出来たほど。
また、各楽器隊における表現力も当時の音源と今現在のライヴパフォーマンスの内容ではそのクオリティを比べるまでもなく、バンドサウンド自体に力強い推進力を与えていた「「軽蔑」」でのSORAの頼もしいドラミングにしても、
性急なリズムの中でもドラマティックなフレーズを精緻に奏でていた「脳姦少年」でのMiyakoのギタープレイ、アヴァンギャルドな曲展開の中でますます安定したスラップを聴かせていた「肋骨少女」でのSacchanの指さばきと、2022年型のライヴバンド・DEZERTにはもはや隙というものが見当たらない。
「まぁ、このアルバムにメッセージ性なんて特になかったと思うんだよ。
ただ、やっぱり『タイトルなし』っていう部分に関しては、今でもなんかを感じるな。(中略)原点に戻るなんていうのは最低だから、今日初めてやるというつもりでラストの1曲をお願いしますよ、DEZERTのみなさん。
きみたちのことを、僕たちDEZERT4人があらためて「教育」してさしあげますよ!!」(千秋)
かくして、今宵の本編ラストを締めくくったのは「「教育」」。その後、アンコールでは10月12日にシングル『The Walker』を発表することや、2023年1月に東名阪ツアーを開催するとの告知がなされ、そのうえで「Ghost」や「大塚ヘッドロック」、さらには久々の「チョコレートクリームチェーンソー」なども演奏し、本来であれば最後は「doze.」で終わる予定ではあったようなのだが…「…俺はもう1回「「殺意」」をやる!だってまだ力残ってるもん!!」
と千秋が独断で今一度の「「殺意」」をブっ込み、場内に居合わせたファンの多くが今宵イチの激しいヘドバンを繰り広げると、ようやく今年の夏季補習第1弾は終わりをみることになったのだった。
なお、今回の[「study」#9 –真夏の“タイトルなし”補習編–]では千秋の提案により、アルバム『タイトルなし』の最後に収録されているインスト曲「-26時の冷凍庫–」については、観客が規制退場をしていくBGMとしてSacchanが鍵盤を生演奏をするという企画が採用され、本当に最前列の観客が退場するまでSacchanが淡々とプレイしていたこともここに付記しておきたい。
こんなにもケアの行き届いた夏季補習は、そうないのではないかと思われる。
いずれにしても、今回こうして8年前の服たちを今に映えるものとして颯爽と着こなしてみせた彼らの鮮やかな手腕には唸らせられたところが多かったわけで、こうなってくると次回8月9日に開催される[[study」#10 –真夏の“最高の食卓”補習編–]にも参じないわけにはいくまい。
今もって名盤と名高い『最高の食卓』を、現在のDEZERTがどう描きだすのか。それについても、また別途お伝えしていくこととしよう。
文◎杉江由紀
写真◎西槇太一
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「study」#9 –真夏の“タイトルなし”補習編–
2022年8月3日(水)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
<SETLIST>
01 —-
02 「殺意」
03 infection
04 胃潰瘍とルソーの錯覚
05 包丁の正しい使い方~実行編~
06 飼育部屋
07 「告白」
08 さぁミルクを飲みましょう。
09 「軽蔑」
10 メリーさんの自殺未遂
11 脳姦少年
12 肋骨少女
13 「秘密」
14 「教育」
En1 Ghost
En2 大塚ヘッドロック
En3 チョコレートクリームチェーンソー
En4 doze.
En5 「殺意」
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<DEZERT最新リリース情報>
★NEW SINGLE 「The Walker」
2022年10月12日(水)発売
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<初回限定盤(CD+DVD)> DCCL-245~246 / 2,750円(税込)
<通常盤(CD)> DCCL-247 / 1,650円(税込)
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【CD】※初回限定盤/通常盤共通
1. The Walker
2. あの風の向こうへ
3. モンテーニュの黒い朝食
4. The Walker (instrumental)
5. あの風の向こうへ (instrumental)
6. モンテーニュの黒い朝食 (instrumental)
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【初回限定盤特典】
・特典DVD付
The Walker Music Video -Director’s Cut ver-
The Walker Music Video -Behind the Scenes-
「神経と重力」Live Video at 日本武道館 (JACK IN THE BOX 2021)
・初回盤仕様ジャケットデザイン
・トレーディングカード 3枚入り(ランダム封入)
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【通常盤特典】
・トレーディングカード1枚入り(初回プレスのみ。ランダム封入)
※トレーディングカードの絵柄は選べません。(全10種類)
CDの予約はこちら:https://DEZERT.lnk.to/lkh8oX
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<DEZERT最新ライヴ情報>
■2023年 東名阪ツアー
2023年1月7日(土)なんばHatch
2023年1月9日(月・祝)名古屋 DIAMOND HALL
2023年1月14日(土) TOKYO DOME CITY HALL
※詳細は後日発表
■「study」※SOLD OUT
「study」#9 –真夏の“タイトルなし”補習編– 2022年8月3日(水) SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
「study」#10 –真夏の“最高の食卓”補習編– 2022年8月9日(火) SHIBUYA PLEASURE PLEASURE OPEN 18:30 / START 19:00
「study」#11 –真夏の“TODAY”補習編– 2022年8月17日(水)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE OPEN 18:30 / START 19:00
≪オフィシャルファンクラブ情報≫
DEZERTオフィシャルファンクラブ「ひまわり会」 詳細はこちらhttps://www.dezert.jp/
DEZERTオフィシャルサイトhttp://www.dezert.jp
DEZERT YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/dezert_official
DEZERT 公式Twitter https://twitter.com/DEZERT_OFFICIAL
DEZERT 公式 Instagram https://www.instagram.com/dezert_official/?hl=ja
SORA Voicy「SORAの元気になるハナシ」 https://voicy.jp/channel/1890
2022年08月01日 (月)
【ライヴレポート】<nurié 3rd Anniversary Oneman「生きてて偉い」>2022年7月29日(金)池袋EDGE◆可能性の煌めきをこれでもかと見せつけたライブ──。
REPORT - 21:00:44池袋EDGEは3年前の2019年7月29日に、主催ライブ「染色」でnuriéが始動を開始したライブハウスである。
その場所で、2022年7月29日、3rd Anniversary Oneman「生きてて偉い」が開催された。ドラムの染谷悠太、ギターの廣瀬彩人、サポートベーシストのNAOCHI(電脳ヒメカ)がステージに表れ、クラップハンドで会場の熱を高めると、ヴォーカルの大角龍太朗が両手を広げながら軽やかに登場し、「RooM-6-」で華々しく開幕。
この3年の思いを今日は全て込めるという心意気が感じられるはちきれんばかりのパワーで、「人として人で在る様に」へ。曲の合間には廣瀬が激しく胸を叩くパフォーマンスも見せる。この日廣瀬は、ステージで何度もターンを決め、マイクを外して叫ぶなど、エモーショナルな姿を頻繁に見せていた。
染谷の軽やかなドラムのリズムがリードする「骨太もんちっちくん」では、振りのレクチャータイムをいつも以上に丁寧にガイドして、フロアは一体感を増していく。
大角がステージを縦横無尽に動き回る「【ばいばい】」の迫力から、シンバルの音が異世界への入り口を開くように「百鬼夜行」へ。ブルーのライティングが妖艶な世界へと誘っていた。
「ようやくここにワンマンライブで帰ってくることができました」という大角の最初のMCから、3周年ライブを迎えた思いを聞かれた染谷は「3年間必死に走ってきたから一瞬に感じる」と答え、早くもこの3 年の歩みを熱く語る一面が見られた。
染谷が「ステージに上がってきて、来てくれている人から思っている3倍くらいの熱量をぶつけられているんですよ。だから、思っている3倍で返している!」と話したように、ライブはさらにそのボルテージを上げていった。
「自由に自分たちの思いや心を持つことが悪いことじゃないよというのを歌にしました」という大角の言葉をきっかけに始まった「晴天に吠える」。
「あの日の映画みたいに」ではオレンジの照明が、楽曲の確かな愛の温もりをさらにあたためていた。
この曲を歌い終えた後、大角が語り始めた。
「俺たちが笑っているとき、今日も世界のどこかで苦しんでいる人がいて。でも、それを全部俺たちが受け止めていたらキリがないからさ。しっかりと今この瞬間を楽しんで未来に繋げよう」。
そして「命に値段を貼られ生きる」へ。この曲は今から2年前の夏、2020年8月に発表された曲だが、まるでここ最近の世の中の不穏なニュースの中を生きる現代社会を表しているかのようで、一際胸に迫るものがあった。
この日会場では、8月10日に全国リリースとなる4th single「生きてて偉い」が先行リリースされた。このシングルに収録されている「阿保やん。」がここで初披露された。
ミラーボールのきらめきの中演奏された曲は、関西弁のタイトルからは意表を突く、洗練されたダンサブルなサウンド。初めて聴いた曲にも関わらず、早くもオーディエンスたちは身体を揺らしていた。
シティ・ポップのセンスも感じるこの新曲から「夜の所為にして」へと繫がれ、フロアがロマンティックな陶酔感で満たされる。大角が女性目線で歌う「今晩だけのサーカス」まで、nuriéが叙情的なラブソングの表現力にも長けていることを伝えるシーンとなった。
「まだまだこの夜が終わって欲しくないね。まだまだ音楽で遊びたいね」と大角が発すると、それに応えるように、染谷がリズミカルなドラムでテンションを上げ、NAOCHI(電脳ヒメカ)のベースソロから、大角の「ギターヒーロー負けるな!」との言葉を受けて、廣瀬がギターの音色で応酬。
その勢いのまま「今宵、未来の為に歌おう。」を高らかに披露。4年目への歩みを進めていくnuriéが辿る道を、バンドとファンが一体となって切り拓いていく。
大角は曲ごとにその表情を変えていくのだが、「愛を歌わせろ人生」では、彼自身の孤高の意志の高さを発揮するように鋭い目の光を湛えて、クライマックスに向けての激情のレベルを上げていく。
3周年の日を迎えたことについて大角はこう話した。
「よく聞くんだけど、3年もたないバンドがすごく多いんだよね。でも、俺たちは3年前にこの場所で始動ライブをしてから、3年後にいなくなっているなんて、誰も疑っていなかった。
俺たちは俺たちの未来を1番信じているし、周りにいてくれる人も間違いなく信じてくれている。辛い出来事も経験してきたし、凝縮された3年間だったとも言える。
5月23日にOSAKA MUSEからライブ活動を再開して約2ヶ月間。本当にいろんなことを思いながら歩みを進めてきました。俺たちは本当に大切なものを失ってしまったけど、それ以上に大切にしたいことがたくさん増えました。
この大切を背負って、俺たちは未来を生きていかなきゃいけないということ。大事なものはもうしっかり目で見えている。俺たちに大事なものは間違いなく、あなただ!」。
そして、「この曲に全てを賭けていた」と力強く放たれた楽曲は、nuriéというバンドを象徴する曲「透明に混ざる。」。nuriéとファンの愛が混ざり合って生まれた未来への扉の鍵によって、将来への新たなドアが確かに開け放たれる瞬間を迎えた。
「ここから未来に向かって歩んでいく。今日はこの言葉を贈って締めたいと思います。俺たちみんな、生きてて偉い」。この日のライブのタイトルにもなった、最新シングル「生きてて偉い」が、本編のラストで歌われた。染谷のダイナミズムなドラムは、生きる力を証明するかのように曲を壮大なスケールへと広げていく。
生きて思いを伝えられること。その思いを受け止める多くの人が集まったこと。今、この瞬間に生きているその事実がどれだけ尊くて、希望に溢れているか。生の輝きが、彼らの3周年の記念日を鮮やかに照らしていた。
本編の熱が冷めやらぬ中、映像でnuriéからの最新情報が解禁された。
その中で最も大きな未来への約束となったのは、1年後の7月29日、4周年の日に行われる新宿BLAZE公演。
映像のスクリーンが上がり、アンコールの幕が開かれて、最初に演奏した曲は「ランナー」。現時点で、nurié史上最大規模となるキャパシティのワンマンライブへ向かって、ここから彼らはさらなる挑戦へと走り出す。
この日のライブ後にMVが解禁された、4th single「生きてて偉い」に収録された「ミルクティートリップ」への初披露へと続き、ポップできらめきにあふれた曲にぴったりと合ったかわいらしいピンクのライティングの中、ファンの笑顔とジャンプが弾ける最高にハッピーな展開から、3年前の夏にリリースされた、nuriéの1stシングル「モノローグ」、「カンセツショウメイ」と、3周年を迎えた彼らがファンへの感謝を優しく伝えるように音楽が寄り添っていた。
大角は来年の新宿BLAZE公演に向かって「無謀だと笑われようが俺たちはやる。しっかりと意味のある一歩一歩で進んで、この1年間を突き進んでいきたいと思います」と高らかに宣言。
最後に残った力を振り絞るように「白を溢す。」を歌い上げて、3周年のワンマンライブのフィナーレを飾った。
この日演奏された全ての楽曲に彼らは全力だった。
2022年7月29日までの彼らの生き様を、ひたむきに曲に託していた。
この3年の間で生み出された曲たちが、nuriéが3周年に至るまでの物語を紡ぎ上げていた。
未来は何が起こるかわからない。しかし、nuriéというバンドの未来は信じられる。
可能性の煌めきをこれでもかと見せつけた彼らが進む先には、確実に心が躍る瞬間が待っているだろう。
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◆セットリスト◆
1. RooM-6-
2.人として人で在る様に
3.骨太もんちっちくん
4.【ばいばい】
5.百鬼夜行
6.晴天に吠える。
7.あの日の映画みたいに
8.命に値札を貼られ生きる。
9.阿呆やん。
10.夜の所為にして
11.今晩だけのサーカス
12.今宵、未来の為に歌おう。
13.愛を歌わせろ人生
14.透明に混ざる。
15.生きてて偉い
En
1.ランナー
2.ミルクティートリップ
3.モノローグ
4.カンセツショウメイ
5.白を溢す。
(文・武村貴世子/写真・Ayami Kawashima)