2022年08月27日 (土)
【ライヴレポート】<Psycho le Cému RESISTANCE〜領域拡大〜>2022年8月26日(金)恵比寿LIQUID ROOM◆オーディエンスは強く感じたであろう、「Psycho le Cémuのライヴに行けば幸せな時間が過ごせること、元気をもらえること」──。
REPORT - 20:00:33Psycho le Cémuのツアー『RESISTANCE~領域拡大~』が、8月26日に恵比寿LIQUID ROOMでファイナルを迎えた。雨が降り続く世界を舞台にした“RESISTANCE”というシリアスなコンセプトを掲げつつ、彼らの多方面に渡る魅力をたっぷり盛り込んだこの夜(終演後にはサプライズまで!)。2022年の夏現在のPsycho le Cémuというロックバンドの魅力を最速レポートでお届けする。
「我々こそがレジスタンスだ!」
DAISHIの高らかな宣言から「Revenger-暗闇の復讐者–」が始まると、緊張感に満ちたサウンドに相応しいメンバーの気合いがステージいっぱいに満ちる。特にYURAサマの大きなアクションが目を引いた。色鮮やかなサイリウムがフロアに広がるのは、Psycho le Cémuのライヴのいつもの光景。さらに無数のこぶしを掲げ、激しく体を折り畳み、「摩天楼カオス」では頭を振り乱し、オーディエンスも気合いで応える。
「バラバラの記憶…あなたの悲劇に別れを告げたあの日からこの雨が降り出したんだ」の言葉から始まった「NEO」でドラマチックな世界を描き出すのは、艶やかなDAISHIの歌声。さらに2本のギターが美しく寄り添い、ソロを織りなす。序盤から派手なパフォーマンスを繰り広げるseekに対し、黙々とプレイに集中するAYAだがギターは雄弁だ。
「抱かれる覚悟で来たか!」
DAISHIらしい呼びかけに続いて始まった「妄想グラフィティー」で改めて認識したのは、DAISHIのクリアな発声。歌詞の一言一句が聴き取れる彼の歌声が、彼らの楽曲のキャッチーさを倍増させている。“生物学的にはあなたが好きで もっとそばにいたいけど 物理学的には手のとどかない 想像描いてる”という独特の言葉のセンスあふれる歌詞がまっすぐ胸に飛び込んでくるよう。
ピアノの穏やかなSEを挟んで、Lidaの美しいアルペジオから「凛~愛する者のために~」が静かに始まる。曲が進むに連れて、静から動への大きなうねりに身をゆだねた。
「オッハー!!!」
曲の世界に包み込まれた会場へ、沈黙を切り裂くAYAの元気いっぱいの声が響き渡る。おなじみのMCが始まって、みるみる緩む会場の空気。恒例のMCもツアーでバージョンアップしたようで、最近DAISHIが運転免許を取得したという話題も入れ込み、きっちりオチをつけたあと『この世界が愛で包まれますように…』というAYAの言葉の後DAISHIと仲良くタイトルコールして(この2ショットがかわいかった!)、「激愛メリーゴーランド」へ。
センターでダンスするAYAとYURAサマが振りまくアイドル性とスター性。ここまでのキラキラした輝きは、間違いなく特筆に値する。ただしここで強調したいのは、ロックバンドとして音楽を創り、ミュージシャンとしてステージでパフォーマンスしている土台の上にその個性があるという点だ。
静寂に満ちた深海か宇宙空間を彷彿とさせるようなSEを切り裂くように「Mind Core」が始まる。「至福の時に包まれた日々、雨、憂、降る夜にさよならを」というLidaの言葉の後にseekが「行くぞ、LIQUID!」と吠えたて、オーディエンスが力強く応える。いつもキュートなAYAがギターソロで男前なところを見せ、さらにノリノリでLidaに絡んでいった。ライヴを楽しんでいる気持ちが手に取るように伝わってくる。
ライヴ前半の張り詰めていた空気が動き出すように、躍動感あふれる「ノスフェラトゥ」。YURAサマの小気味いいリズムに流麗なメロディが流れる。ロックバンドらしいカッコよさを見せつけた後にラップを散りばめた「one day」と、幅広い曲調も彼らの手にかかればどこまでもナチュラルに続く。
「アカツキの旗のもとへ。旗を掲げろ!」
seekの言葉から始まった「Murderer・Death・Kill」でフロアに登場するのは、赤い旗。ステージは赤く照らし出され、会場内の空気がどんどん高揚し、狂気が満ちていくよう。「LOVE IS DEAD」でオーディエンスのノリはますます激しさを増し、会場は熱気に包まれる。
高まった熱が、「愛の唄」で温かいぬくもりに変わる。会場いっぱいに光が満ち、幸せな空気が広がっていく。AYAもYURAサマも笑顔がこぼれ、ノリノリで楽しむLidaにseekがじゃれつく。そんなメンバーをみつめるファンが笑顔にならないはずはなく、Psycho le Cémuは本当に笑顔が似合うバンドだと改めて思った。
「もう一度行こうぜ」という言葉で始めた「アカツキ」を、歌詞を噛みしめるように歌うDAISHI。自分たちの世界を取り戻そうと高らかに歌うこの曲は、コロナ禍でたくさんのものを奪われた自分たち自身やファンを鼓舞し、前へ進み続ける勇気をくれる。そんな進行形のPsycho le Cémuを示すように、新曲「もう一度、くちづけを」を最後にプレイ。ラテンのリズムに乗せた大人の色香漂うこの曲をツアーで育て、さらに進み続ける未来までも匂わせ、「世界が終わる夜まで変わらぬ愛を…」というメッセージを残して本編が終了した。
ツアーTシャツ姿で再びステージに登場した5人はすっかりリラックス。楽器陣が赤い旗を手にステップを踏んで楽しくはしゃいだ「ファイティング!」から、口々に感想を語るMCへ。そして、この季節にぴったりの夏の夜を描いた「BLUE AGAIN」がツアーの最後を飾る。この曲はツアー途中からセットリストに組み込まれ、楽器陣によるセッションのイントロから始まるアレンジに変貌を遂げていったという。それもあってか、互いにアイコンタクトを交わす姿がライヴの最後に強い印象を残した。
演奏を終えた5人の表情からは、バンドとしての充実感がひしひしと感じられた。それが自己満足でないことは、MCでも触れられていたように男性ファンが増えていたことからも明らかだ。彼らは歩みを止めることなく進化し続け、聴く人を魅了し続けている。
何よりも、Psycho le Cémuのライヴに行けば幸せな時間が過ごせること、元気をもらえることを、LIQUID ROOMに足を運んだオーディエンスは強く感じたことだろう。そしてそれはなんと終演後にも続いていた。ホールを出ると、ガラッとイメージを変えた新しいヴィジュアルのポスターが、ロビーにも通路にも大量に貼り巡らされていたのだ。
「え?」
「ヤバい!」
「すごいすごい」
一瞬呆気にとられたようなリアクションもありつつ、ライヴの余韻に浸っていたファンの興奮が再び高まると、撮影大会がスタート。彼ららしい粋なサプライズは、ファンを思う気持ちと常に工夫を凝らして前向きに活動に取り組む姿勢の現れにほかならない。
今年は、Psycho le Cémuのメジャーデビュー20周年記念でもある。10、11月と新曲「もう一度、くちづけを」のリリースが続き、クリスマスにファイナルを迎える全国ツアーも決定している。色気漂う大人な雰囲気のヴィジュアルも含め、次はどんな彼らの魅力を振りまいてくれるのか。気が早いと言われようと、ツアーファイナルが終わった今、すでに楽しみになっている。
文:村山 幸
PHOTO:青木早霞
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●NEW LOOK
▲Vocal.DAISHI
▲Guitar.AYA
▲Guitar.Lida
▲Bass.seek
▲Drums.YURAサマ
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<リリース>
★2022年10月2日(日)ニュー・シングル「もう一度、くちづけを」配信決定!!
Major debut 20th Anniversary
「もう一度、くちづけを」
10.02 Digital Single
11.02 Mini Album
(全国のCDショップ、通販サイトでは9月9日より予約受付開始となりますので、それまではお問い合せ等はお控え下さい。)
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<ライヴ>
■Major debut 20th Anniversary Live
RESISTANCE~もう一度、くちづけを~
10月02日 (日)新宿BLAZE
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■Tour RESISTANCE~君がいる世界~
Day1 少年の右目/Day2 少女の左目
11月02日(水)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ−3
11月03日(木・祝)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ−3
11月12日(土)柏PALOOZA
11月13日(日)柏PALOOZA
11月22日(火)新横浜NEW SIDE BEACH!!
11月23日(水・祝)新横浜NEW SIDE BEACH!!
11月25日(金)浜松窓枠
11月26日(土)浜松窓枠
12月10日(土)OSAKA MUSE
12月11日(日)OSAKA MUSE
12月17日(土)名古屋ELL
12月18日(日)名古屋ELL
12月23日(金)Veats Shibuya
12月24日(土)Veats Shibuya
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10月2日Major debut 20th Anniversary Live「RESISTANCE~もう一度、くちづけを~」、11月スタート全国ツアー「Psycho le Cému RESISTANCE~君がいる世界~『少年の右目/少女の左目』」
Psycho le Cému OFFICIAL MOBILE FANCLUBにてチケット先行受付中
▼詳細・チケット先行受付はこちら!
http://fc-psycholecemu.com/ticket/tour2022/
一般発売:9月25日(日)
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★Psycho le Cemu OFFICIAL SITE★
2022年08月24日 (水)
【びじゅなび20周年記念主催<Mixed Candies>】2022年9月9日(金)渋谷WOMB、絶賛チケット発売中!★ビバラッシュ★ショートインタビューをお届け!
NEWS - 18:00:332022年9月9日(金)渋谷WOMBにて開催する、びじゅなび20周年記念主催イベント「Mixed Candies」!
チケットは絶賛発売中です♪
↓
ローソンチケット一般(7月16日12:00)
https://l-tike.com/visunavi20th/
(Lコード:74046)
今回は、「ビバラッシュ」にショートインタビューを敢行!
代表としてVocal.るいまるさんにお答え頂きました!
びじゅなび主催でも笑顔でたくさん盛り上がって欲しいです!!
それではインタビューをどうぞ♪
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●ビバラッシュ:Vocal.るいまる
──まずはバンドの紹介をお願いします!
るいまる:みんなの”楽しい”を引き出す、アゲみ集団です!
──「アゲみ」の説明をお願いしてもいいですか?!
るいまる:テンション、バイブス、気持ち全てが上昇してハイになること!!!!!
──楽曲は主にどなたが作られているのでしょうか?
るいまる:ベル、幸村、冬也、パーミーが作ってるよ!
るいまるは全曲の作詞!
──歌詞やタイトルの言葉が直感的でインパクトがあるのですが、意識しているところは?!
るいまる:楽しそうな造語を作る事〜!とひらがな、カタカナ、漢字、英語のタイトルが文字になったときのバランス感バカ大事!!!楽しそうな造語を作る事〜!とひらがな、カタカナ、漢字、英語のタイトルが文字になったときのバランス感バカ大事!!!
──予習も含めて、ライブでやることの多いおすすめ曲を一曲ずつ教えてもらえますか?!
るいまる:新しくリリースした『シワくちゃギャルうぇぽん』、アルバムからガチ推しの『ビ'(雷マーク)ビ(雷マーク) (読み方:ビリビリ)』、定番曲は『踊らされた人生』と『タピってチマチョゴリ』ですかね。どれもタイトルが個性的だぁああああ!
──ワンマンツアー真っ只中ですが、おもしろエピソードはありますか?!
るいまる:マンションの鍵インロックして遠征きたり〜ホテルのカードキーと間違えて家の鍵ホテルに返して家帰ったり〜みんな鍵どっかやりすぎてぇえええ草生え散らかす所存〜ゾンゾンゾン♪
──今回のイベントで、ビバラッシュを初めて見るお客様にアピールをお願いします!!!!
るいまる:ぽまえ達は〜愛すべき〜アゲ人間〜!!!!!トゥットゥ トゥッ トゥッ トゥッ〜!!!!! ヒョェ〜
──ありがとうございましたァァァァァァァ!!!
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★「Mixed Candies」Twitter企画!!★
フォロー&RTで当日のメンバー集合チェキを抽選でプレゼント!
びじゅなびのアカウントをフォローの上、ご希望のバンド紹介ツイートをRTで応募完了!
ぜひご参加ください♪
↓下記モーメントにまとめてあります!
★びじゅなびオフィシャルTwitter★
https://twitter.com/visunavi
「ビバラッシュ」ご紹介記事はこちらァァァァ!!
https://archive.visunavi.com/news/428707/
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<公演詳細>
■びじゅなびPRESENTS20周年記念主催「“Mixed Candies” SPECIAL」 ※入場特典あり!
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【公演日】2022年9月9日(金)
【会 場】渋谷WOMB ※クローク、ロッカーあり
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【時 間】開場14:00/開演14:30 ※再入場1回可
【料 金】前売3,500円(D別)/当日4,000円(D別)
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【出 演】
※各出演者演奏時間35分(OA:15分)
MC:庄村聡泰(ex.[Alexandros])
DazzlingBAD(OA)
Ashmaze.
DuelJewel
LIPHLICH
ZOMBIE
グラビティ↗️↗️楽しさ♪FULLVOLTAAAGE!!!
ビバラッシュ
戮〈サポートメンバー Gt.KEN(ex.D-SHADE)、Gt.YUKI(DUSTAR-3、Rayflower)、Ba.AKI(Sadie, ナナ, BLUEVINE, AXESSORY)、 Dr.shinpei(ex.SuG)〉
★チケット:
…………………………………………
A:ローソンチケットプレリクエスト:受付終了
…………………………………………
B:ローソンチケット一般(7月16日12:00)
https://l-tike.com/visunavi20th/
(Lコード:74046)
…………………………………………
C:当日券
【主 催】びじゅなび
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<NEWS>
本編終了後に流れた映像にて、メンバーの寸劇の中で“俺たちらしい新しい武器”として発表されたのが、VIVA RUSH WINTER ONEMAN TOUR2022[CLIMAX]だ。11月2日の池袋EDGEを皮切りに、全17公演を回る大規模ツアーとなる。こちらはなんと、全公演当日券無料というのだから驚きだ。
そして、気になるツアーファイナルは2023年1月11日 恵比LIQUIDROOM! バンドの更なるステップアップが期待できる、大きな目標となるだろう。
SUMMER TOUR「顔面ストッキング!!」では、“楽しい”の先に伝えることをしっかりと形にしてきたメンバーだったが、「[CLIMAX]は1ヵ所じゃない」とるいまる(Vo)もMCで話していたように、WINTER TOURでは各所でビバラッシュのエンターテインメント性がどのように爆発するのかが今から楽しみなところだ。
音楽とエンターテインメントの最強コラボレーションを繰り広げ続ける、“アゲみ集団”の挑戦に期待が高まる!
■ビバラッシュ オフィシャルサイト■
https://vivarush.jp/
VIVA RUSH WINTER ONEMAN TOUR2022
[CLIMAX]
※全公演当日券無料※
2022年
11月02日(水)【東 京】池袋EDGE
11月03日(木)【千 葉】柏ThumbUp
11月11日(金)【愛 知】HOLIDAY NEXT NAGOYA
11月15日(火)【大 阪】阿倍野ROCKTOWN
11月18日(金)【兵 庫】live music club PADOMA
11月24日(木)【福 岡】INSA FUKUOKA
11月25日(金)【福 岡】INSA FUKUOKA
11月27日(日)【山 口】LIVE rise SHUNAN
12月04日(日)【京 都】京都MOJO
12月07日(水)【神奈川】横浜BAYSIS
12月08日(木)【埼 玉】西川口Hearts
12月10日(土)【宮 城】仙台space Zero
12月11日(日)【宮 城】仙台space Zero
12月21日(水)【愛 知】HOLIDAY NEXT NAGOYA
12月24日(土)【北海道】札幌Crazy Monkey
12月25日(日)【北海道】札幌Crazy Monkey
TOUR FINAL
2023年01月11日(水)
【東京】恵比寿LIQUIDROOM
●NEW LOOK
▲Vocal.るいまる
https://twitter.com/vr_ruimaru
▲Guitar.ベル
https://twitter.com/vr_belle_
▲Guitar.幸村
https://twitter.com/vr_yukimula
▲Bass.冬也
https://twitter.com/vr_to_ya
▲Drums.パーミー
https://twitter.com/vr_pamypamy
2022年08月22日 (月)
【ライヴレポート】2000年8月21日に名古屋ボトムライン公演をもって解散した伝説のBAND「kein」が22年の時を経て、2022年8月21日 名古屋ダイアモンドホールにて再始動ワンマンライブ「はじまり」開催!
REPORT - 18:00:371997年の結成から瞬く間にその名前を全国区に轟かせ、一躍人気BANDとなった「kein」。
人気絶頂の中、2000年8月21日名古屋ボトムライン公演をもって突然解散し、わずか3年の活動にピリオドを打った。。。
2022年5月1日 最新のアーティスト写真と再始動ワンマンライブ「はじまり」を発表。
チケットは発売1分もせずSOLDOUTとなり、まさにプレミアムライブと化した公演が昨日、名古屋ダイアモンドホールにて行われた。
そのLIVEの模様をLIVE写真と共にいち早くリポートする!
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90年代に隆盛を極めた、名古屋を拠点にしたヴィジュアル系シーン、いわゆる“名古屋系”を牽引してきたが、2000年8月21日、名古屋ボトムラインでのライブを最後に突如として解散したkein。活動期間も約3年と短く、ある種の伝説と化していたそのkeinが、解散からちょうど22年が経つ2022年8月21日に、名古屋ダイアモンドホールで復活ライブを行った。ライブタイトルは、22年前のラストライブと同じく「はじまり」。当時のファンは“あの日”の続きを見せてくれるのかと、リアルタイムで見ることができなかったファンは“あのkein”のライブをついに目撃できるのかと、それぞれがそれぞれの思いと期待を寄せ、チケットは発売後、追加席含め、すぐさまソールドアウトとなった。
一時活動休止中のlynch.の玲央(g)、kein解散後に始めたdeadmanを再始動中の眞呼(vo)とaie(g)、deadman、lynch.(サポート)、the studs、HOLLOWGRAMなど数多くのバンドでプレイしてきた攸紀(b)という解散時のkeinのメンバー4人に、ポストロックバンド、101AのSally(dr)を加えた新生kein。玲央いわく、これはこの日だけの限定復活ではなく、それぞれの活動と並行して全力で臨む本気の再始動だそうだが、では、果たしてそんな5人がどんなライブを見せてくれるのだろうか。さっそくその即レポを公開する。
登場SEが流れると、暗めのステージの後方に掲げられた巨大なバックドロップのkeinのロゴに照明が当たり、楽器陣4人が現れ、それぞれ所定の位置につく。最後に眞呼が現れ合流すると、1曲目の「嘘」を始める。今年の4月1日、すなわちエイプリルフールの日に突然、なんの告知もなくYouTubeにリリックビデオが新録でアップされた、言ってみれば新生keinのはじまりの曲だ。lynch.での上手に見慣れた玲央が下手にいることにしてもそうだが、それぞれがスキルアップし、ミュージシャンとしてアップデートされたうえで再会したこと、バンドの屋台骨と言えるドラマーが新しくなったこともあり、サウンドやグルーヴがソフィスティケイトされた印象になったことも含め、90年代当時に彼らのことを追っていたファンにとっても新生keinは新鮮に映ったに違いない。なお、玲央は下手、aieは上手とそれぞれステージの両端に立ち、攸紀は上手側のややセンター寄り、Sallyは下手側のややセンター寄りと、センターの眞呼を中心に、正面から見て誰も隠れないように配置されていたのも特徴的だった。
曲は、サーカスをイメージさせる幻想的なSEから始まる「an Ferris Wheel」を経て、音源化されていない「Mr.」「籠庭」「color」「思い出の意味」へと進む(というか、keinは音源化されている曲が極端に少ない)。一見、無機質なようでいて、めちゃめちゃ人間臭い温もりのある歌声が心地よく、パントマイムのような動きでも魅せる眞呼。テレキャスタータイプのギターでぶっといサウンドをぶちまけながらも、足元のモニターに座ってアコギのように弾いたり、ペンタトニックのソロを決めたりと、相変わらず自由奔放なaie。ストラトタイプのギターを持ち、ディレイなど空間系エフェクトを駆使したサウンドを軸に、ギターソロもメインで担当する玲央。keinのメインソングライターであり、ダウンピッキングの8分弾き、指弾きによるしなやかなプレイなど多彩なアプローチで曲を彩り、数曲でコーラスも担当する攸紀。8ビートのみならずトリッキーなリズムも多用され、展開も多いkeinの複雑な楽曲を、タイトなドラムでしっかりと支えるSally。そんな5人によって生まれ変わったkeinの曲や音を、オーディエンスは食い入るように聞き入る。
deadmanバージョンでも知られる「ブルーベジー」では、眞呼が床に座り、歌詞の通り、まるで“動けない哀れなピエロ”になったかのように手を差し伸べて歌う姿が印象的だった。ブルージーな玲央のギターとフィードバックするaieのノイジーなギターのコントラストも絶妙なスロー曲「暖炉の果実」を経て、アッパーなナンバー「Be Loved Darling」から、次第にオーディエンスは体を揺らし始める。「絶望」では攸紀が前に出て弾いたり眞呼がタンバリンを叩いたりとオーディエンスを盛り上げ、「People」「君の心電図」と終盤に向かうにつれ、どんどんライブはヒートアップしていく。そして再び眞呼がタンバリンを手に「FLASHBACK THE NEWSMAN」を歌い、本編最後をアップテンポのオルタナナンバー「グラミー」で締めた。
ここまでMCなしで、本編14曲をぶっ続けた。ファンに媚びるようなサービスも、新曲やカバー曲を披露するなどのサプライズも一切ない。なんとも潔い、彼ららしいライブだった。
拍手によるアンコールに応え、メンバーがステージに再登場。眞呼が「まだ声は出しちゃいけないけど、そのまま楽しんでいってください。いいかい!」と煽り、ハードチューン「keen scare syndrome」で攻め立てると、オーディエンスは拳やヘドバンで応酬する。そして間髪入れず、オリジナルkeinのラストシングル曲となったハードコアな「クランケ」へ。本編以上に激しい2曲を畳み掛け、オーディエンスたちはすっかり解放されたようにはじけ、声は出さずとも体全体を使い狂喜乱舞する。その光景は、新生keinのはじまりを象徴するものだったと言えるだろう。
「また会おう!」
眞呼がそう言い放ちステージを去っていくも、オーディエンスたちは精一杯の拍手で気持ちを贈り、客電がつきライブ終了のアナウンスが入っても、その拍手はしばらくやまなかった。それだけの余韻を残して終わった、怒涛のような激しさで駆け抜けた密度の濃い90分のライブ。こうして「はじまり」の伝説が、またはじまった。
なお、10月20日にはEX THEATER ROPPONGIで、この「はじまり」の追加公演が行われる。
TEXT:吉田幸司(ROCK AND READ編集長)
PHOTO:マツモト ユウ
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kein 再始動ワンマンLIVE「はじまり」
2022年8月21日(日)
名古屋ダイアモンドホール
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開場:17:00 / 開演:17:45
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SET LIST
M1. 嘘
M2. an Ferris Wheel
M3. Mr.
M4. 籠庭
M5. Color
M6. 思い出の意味
M7. ブルーベジー
M8. 暖炉の果実
M9. Be Loved Darling
M10. 絶望
M11. People
M12. 君の心電図
M13. FLASHBACK THE NEWSMAN
M14. グラミー
EN1. keen scare syndrome
EN2. クランケ
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【LIVE情報】
kein 再始動ワンマンLIVE「はじまり」追加公演
2022年10月20日(木)
EX THEATER ROPPONGI
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開場:18:00 / 開演:19:00
チケット(前売り):スタンディング¥8,800(税込)
指定席¥9,300(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
※未就学児童入場不可
オフィシャルチケット2次先行受付
e+:2022年8月22日(月)23:59まで
チケット一般発売日
2022年8月27日(土)10:00~
【keinオフィシャルホームページ】