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2022年09月27日 (火)

【ライヴレポート】<LM.C 15th Anniversary Live “左耳のピアス。”>2022年9月25日(日)LINE CUBE SHIBUYA◆恒例となりつつあるハロウィンライブの告知も!

REPORT - 19:30:07

 一瞬のきらめきは刹那的であるからこそ美しい。しかし、幾つもの貴重な瞬間を繋げていくことにより、何時いかなる場合でもしかと輝き続けるものに対して、美しさだけではなく深い尊さまでをも感じてしまうのは…その根底にたゆまぬ英気と揺るがぬ志が存在しているから、なのではないだろうか。

 

〈僕らの物語どんな宝石よりも輝いてる〉

 このたび、9月25日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催されたLM.Cのワンマン公演[15th Anniversary Live 左耳のピアス。]は、彼らにとって昨年10月から続いてきた15周年イヤーの最後を締めくくる大切な場となった。

約2時間にわたり、ここまでの日々を集約したかのような神セトリとも言うべき新旧の名曲たちが集ったオーディエンスに向けて供されていった中、今宵の最後をしめくくる重要な役割を果たしたのは「PUNKY ❤ HEART」。

 これまでのライヴでも常にそうであったように、ヴォーカリスト・mayaは「俺たちの志!」と高らかに叫んでからこの曲を歌い始めることになり、ギタリスト・Aijiが響かせた躍動感あふれる音を背景に、ここで力強く紡がれていった歌詞には前述したフレーズが織り込まれていて、それはこの夜も燦然とした光を放っていたのである。

ダイヤモンドでさえ手入れを怠れば曇ったりくすんだりしてしまうそうだが、メジャーデビューから15年の月日を経た今、LM.Cは輝きを保ち続けるどころか往時よりもさらに磨きのかかった状態で我々の目前に存在していたのだ。

 ちなみに、今回のライヴにおいて冒頭を飾った曲は「LET ME’ CRAZY!! 」で、この曲タイトルはそもそも“LM.C”の名前が組み込まれたものでもある。と同時に、こちらの歌詞の中では今回のライヴのタイトルに冠されていた言葉を聴くことが出来た。

〈左耳のピアスが揺れる 忘れないように見失わないようにと〉

 そればかりか、ライヴ中盤にはその名もずばりの「左耳のピアス。 」という楽曲も演奏されることになり、ここでは以下のような歌詞が歌われることに。

〈”生きている”という事 いつか”死んでしまう”事 忘れてしまわないように ピアスが揺れる〉

 元をたどれば、15年前に彼らが始動した時。LM.Cはウサギを模したバンドロゴを各アイテムや公式サイト上などで頻用していたのだが、このウサギの左耳部分にあしらわれていたのが“ピアス”で、どうやらここには明らかなる意味が託されていたようなのだ。

なんでも、その由来は中世ローマ時代にまでさかのぼり、当時の騎士たちは利き手を何時でも使えるように護るべき人の右側を歩いていたそうで、その結果として護る人と護られる人が互いに眼で確認出来るように“護る人”は左耳にピアスをするようになった、という説があるのだとか。そのことから、何時しかヨーロッパ全体で男性の左耳ピアスは“勇気と誇りの象徴”とされるようになったらしい。

「どうもLM.Cです。今日は我々の15周年記念ライヴということで、ようこそお越しくださいました。気付けばもう、15年以上LM.Cとして生きているんですよねぇ。ほんと感謝しております。今日はその気持ちを余すところなく爆発させて楽しんでいきたいと思ってますので、みなさんよろしくお願いします!!」(maya)

 今春に発表された 最新アルバム『怪物園』からの先鋭的なサウンドと意味深な歌詞が炸裂するアッパーチューン「Elephant in the Room」や、歌というよりメッセージの詰まった詞をリーディングしていく際にmayaが〈ただ そこに鳴り響くのは〉→〈ただ 渋谷公会堂に鳴り響くのは〉とアドリブを加えた「In Future, New Sensation」 
など、どれもこれも今日現在のLM.Cにとっての大切な布石となってきた楽曲たちがたくさんふるまわれていったこのライヴは、もちろん演者側のみならず観衆にとっても感慨深い曲たちが揃っていたことはいうまでもない。

 たとえば、2010年に発売されたアルバム『WONDERFUL WONDERHOLIC』に収録されてからというもの、壮大かつロマンティックなバラード「meteorion」は、2009年秋にmayaとAijiが流星群を観に千葉の海ほたるまでドライブをしに行った際の出来事が元になって生まれた、というエピソードも込みでファンに愛されてきたもので、歌詞の中の〈10年後の僕達はなにを見てる?〉という1節が印象的なものとなる。

 

「このLINE CUBE SHIBUYAはLM.Cとして初めてなんですけどね。この15年の中で、建て替えるまでの渋谷公会堂では10回以上やってたのかな。(中略)初めてやった時(2008年7月19日[☆Rock the PARTY☆’08])はまだC.C.Lemonホールっていう名前だった頃で、建て替え前には88ナイト(2015年8月8日[★☆★☆Good-bye渋公!! 88ナイト☆★☆★「Over The Fantasy, Under The Rainbow.」])とかもやったよね。

そういえば、10年前も9月に渋公(2012年9月30日[LM.C LIVE TOUR 2012 -STRONG POP- FINAL])やってるんですよ。いやー、実際に10年後もこうして渋谷公会堂でまたやれてるって嬉しいなと歌いながら思ってました。ありがとうございます」(maya)

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 むろん、LM.Cとてこの15年ずっとただ順風満帆に進んできたわけではない。始動時に何かと逆風が吹いていたことは今や懐かしい思い出のひとつであるし、この数年に関してはコロナ禍もありライヴの在り方を試行錯誤する日々が続いていたのも事実となる。

また、今年に入ってからはmayaの体調不良により一時ツアーが中断になったり、6月にはAijiが突発性難聴を発症してツアー[怪物園]のファイナルが延期になったこともあった。幸い両者とも無事に復調して今に至っているとはいえ、確かにシビアに考えれば音楽活動なるものは“続けられてあたりまえのもの”とは言い切れないところがあり、今こうして15周年をLM.Cが迎えられているという事実は、なかなかどうして特別なことなのだ。

そう思って聴く、コロナ禍を横目に彼らがアーティストとしての覚悟と矜持を託した「End of the End」と、LM.Cの基本的スタンスが音にも詞にも凝縮された「JUST LIKE THIS!!」から、圧倒的説得力をあらためて感じたのは何も筆者だけではないはず。

「15周年といっても、数日後には16周年ですし(笑)。次は20周年を目指していくのかなぁ。まぁ、まだその先はわからないけど。LM.Cとしてはこれからも活動を続けていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。(中略)もしかしたらだけど、この先にはLM.Cが存在しない未来っていうのも生まれてくる可能性があって、その未来では今日のライヴを映像とかで初めて出会って、LM.Cのことを好きになってくれる人もいるのかもしれないよね。そんな全てのLM.Cに向けてこの曲を…trust me!」(maya)

 このとき、mayaが「LIAR LIAR」を歌う前に発した「LM.Cが存在しない未来」という言葉。これはつまり、今のZ世代がマイケル・ジャクソンのMVや音楽にYouTubeやサブスクで初めて出会う=Z世代がMJのいない未来を生きている、ということを意味するようなものだと筆者は理解している。逆に言えば、仮にLM.Cが存在しなくなったとしてもLM.Cの生み出した作品や曲はそれでもなお生き続ける、ということになろう。そのくらい、彼らはLM.Cとして積み重ねてきた歴史に対しての自信と誇りを持っているということにほかならない。

〈掛け替えのない愛しき全てに 終わらない未来を描き続けるよ〉

 と歌われた「The LOVE SONG」にしても、LM.Cの描く真理がハイテンションな音像の中で炸裂していった「The BUDDHA」、記事冒頭でも言及したラストソング「PUNKY ❤ HEART」についても。全ての曲にあふれ返っていたLM.Cの意思は、ある意味でどれも共通していたと解釈することが出来る。

〈煌めく思い出と変わらない想いは時が過ぎても色褪せることはない〉
 もっと端的に言えば、まさに「PUNKY ❤ HEART」の最後で歌われたこの詞も、彼らの15年の日々どころかこの先の未来さえも含めた全てを示唆したもの、と言えるような気がした。

「ここにいるLM.C、今日ここには来られなかったLM.C、過去や未来でLM.Cと出会ってくれる人たち。全てのみなさん、ほんとにありがとうございます!」(maya)

「どうもありがとう。いろいろあった中ではありましたが、15周年ライヴを無事に出来て良かったと思います。今日ここにどうしても来られなかったという方たちがいるのだけは残念ですが、その人たちには近いうち僕らの方から会いに行きたいと思ってますし、どうかこれからも引き続き応援よろしくお願いします!」(Aiji)

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 というわけで、10月4日には早くも始動から満16周年を迎えるLM.C。次の動きとしては、恒例になりつつあるハロウィンライヴが今年も10月31日に白金SELENE b2にて開催されるそうで、なんとこれは今夏に行われたツアー[怪物園]の振替ファイナルとなった渋谷duo MUSIC EXCHANGE公演の時と同様に“政府ガイドラインを遵守したうえでの発声可能”なものになるとのこと!!!

 たゆまぬ英気と揺るがぬ志を持ちながら、彼らふたりの信じる道を邁進し続けていく先に待ち受けるLM.Cの未来。それはきっと美しく尊い輝きとともに在る。

 

 

Text by 杉江由紀
Photo by 山内 洋枝(PROGRESS-M) / キセキミチコ

 

 

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<セットリスト>

 

NO.9
LET ME’ CRAZY!!
Elephant in the Room
Virtual Quest
GaMuShaRa
In Future, New Sensation
ChainDreamers
Panic Time
MOGURA
No Emotion
左耳のピアス。
meteorion
Be STORNG, Be POP.
Ah Hah!
pOlyLifE
Avocado
DREAMscape
End of the End
JUST LIKE THIS!!
LIAR LIAR
The LOVE SONG
The BUDDHA
PUNKY ❤ HEART

 

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<LIVE>

 

LM.C ハロウィンライブ開催決定!!
2022年10月31日(月) 白金SELENE b2

 

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★LM.C OFFICIAL SITE★

https://www.lovely-mocochang.com/

★LM.C OFFICIAL Twitter★

https://twitter.com/LMC_staff




2022年09月22日 (木)

【ライブレポート】メリー、謎のバンド「the stupid」との2マンLIVEを味園ユニバースにて開催

REPORT - 18:00:37

918日(日)、大阪・味園ユニバースにて<メリー 20th Anniversary 東京大ストリップショウ~味園特別編~メリー vs the stupid>が開催された。

 

まず先陣を切ったのはthe stupid。

the stupidはG(歌と拡声器)、ドクターノブ(Syn)、ザク(Gt)、テツサン(Ba)Dr.Crazy Sweet Bread(Dr)の5人編成バンドで、一部楽曲が先日オフィシャルTwitterで公開されていたが、一体どんなバンドなのかは依然として謎のままだった。1730分、照明が暗くなり、ライブの開始を告げる。

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SEのフィンランド民謡「イエヴァン・ポルッカ」が流れる中、この日の為に購入したと言うピンクのジャージに白衣を纏ったDr.Crazy Sweet Bread(Dr)=ネロママ、黒いチャイナ服を着たドクターノブ(Syn)、赤い着物を羽織ったテツサン(Ba)、マリオブラザースのTシャツにジャケットを着たザク(Gt)、そして、衝動で購入したと言うガーゼシャツにガスマクスと言う出立ちで登場したG(歌と拡声器)──Gの右手にはしっかりと拡声器が握られていた。

 DrCrazySweetBread

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5人がステージに揃い、ザクのギターのハウリングが会場中に鳴り響き、1曲目の「the stupidのテーマ」が披露された。

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ギターのリフが印象的なロックンロールサウンドにシンセサイザーの音が重なり、激しくもどこかキャッチーに聞こえる。続く2曲はネロママの作曲で、歌モノかと思いきや途中からテンポチェンジ。楽器隊はどんどんアグレッシブになって行く。そしてMCを挟み、3曲目はメリーのカバー曲「kamome kamome」をスカ風にアレンジし、ノリ良く曲は進んで行く。

 

4曲目にはGから「最低な曲をやります!」と一言。Dr.Crazy Sweet Breadがメインボーカルを務め、Gはドラム席に座り初演奏をする。こんな何でもありなスタイルもthe stupidの面白い所だ。

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その後、ザクがメインボーカルを務める「ハーモニカ」、そして「the telephones」のカバーが投下され、最後は「スーパーソニック」からセッションをプレイしてthe stupidの初ライブは終了した。

 

ライブ中に何度も目を引いたのが、ドクターノブのパフォーマンスだ。

上着を脱ぎ捨てステージを縦横無尽に走り回り暴れまくるその姿はGと体型も似ていて、まるで双子のようであった(笑)。

またthe stupidの次なるステージに期待したいが、「俺たちは衝動で動いているから次があるとか考えないし、興味もない。やりたければまた勝手にみんなで集まりやりたいようにやるだけ。」と述べていた。

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続きネロママ、ドクターノブの懐かしいビジュアル系の曲をメインとしたDJタイムがありいよいよメリーの登場。

 

S.trip theater」から始まり「erotica」、「ニューロマンティック【NOISE CORE】」、「【human farm】」、「rat-a-tat-tatとアルバム『Strip』の曲をメインとした楽曲が披露される。

 

the stupidに触発されてか、メリーのメンバーもいつも以上にアグレッシブに演奏しフロアを煽る。まだ声は出せないが、拳を上げてファンもそれに応える。

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「夜光」「頭がザクロ」と久しぶりの曲も披露され、「遠い昔の恋愛ソング」、「さよなら雨(レイン)」と続いていく。

この「さよなら雨(レイン)」では、ガラが少し歌い難そうにも見えた箇所もあったが、勢いを落とさず力強く歌いきっていた。

 

ライブも後半になり「お客様の拍手でショーの始まり!」でお馴染みの「不均衡キネマ」、ネロ作曲の「オリエンタルBLサーカス」、そして新たなメリーの主軸となるpsychedelic division」、久しぶりに投下されたCharlie」、「Mechanical words」とラストまで息つく間もなく激しい楽曲で畳み掛ける。ステージもフロアも最高潮を迎え、本編ステージは終了した。

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tetsu 

フロアからのアンコール求める拍手に応え、メンバーが登場しアンコールが行われた。

 

「閉ざされた楽園」ではガラが「この声が 届く日まで 歪みきった世界で 無理をしてでも もがきたい」と歌い、その力強い目はしっかりとフロアを見渡していた。

gara 

「千代田線デモクラシー」を挟み、最後に披露されたのはメリー20周年記念楽曲の「夜明け前」。

この場が初披露となったこの楽曲はアルバム『Strip』に続く新たなメリーの始まり、そして強い決意をテーマに制作され、924日にデジタル配信される。この楽曲はTVアニメ『シュート!Goal to the Future924日(土)放送の第13話(最終話)の挿入歌にも決定している。

 

ピアノから始まるこの曲はどこか切なく、懐かしさも感じられるバラードで、ガラの描いた情景が浮かぶ歌詞ともリンクし、どこまでも、どこまでも、広がっていく。

 

バンド結成21年目に向け、また新たな気持ちで未来に向かいこれからも活動を続ける──と言うメリーの強い決意を感じられる楽曲だった。

 

「味園ユニバース」と言う、いわゆる“キャバレー”の雰囲気を持つこの場所はメリーにぴったりで、これからも主たる活動のステージになると言えるだろう。

またここでライブを観ることができる日を楽しみに待っていたいと思う。

 

 

気になるメリーの今後の予定は

 

 メリー 20th Anniversary

東京大ストリップショウ

夢の対決!! エログロvsエロトピア

「混ぜるなキ・ケ・ン」

メリー VS  caligari

 

が、924()に鶯谷にあるダンスホール新世紀で行われ、このイベントのファイナル公演が

 

20221112()

神田スクエアホール

[グランドフィナーレ]

~白い羊・黒い羊~

 

として開催される。

※詳しくはメリーホームページまで。

 

20周年を迎え、決意を新たに未来へと向かうメリーを見逃すな!!

 

 

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LIVE INFO

 

メリー 20th Anniversary

東京大ストリップショウ

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924() ダンスホール新世紀

メリー vs caligari

夢の対決!! エログロvsエロトピア

「混ぜるなキ・ケ・ン」

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東京大ストリップショウ

[グランドフィナーレ]

~白い羊・黒い羊~

20221112() 神田スクエアホール

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問合せ     NEXTROAD 03-5114-7444 (平日14:0018:00)

 

東京大ストリップショウ詳細

http://merryweb.jp/schedule/7172/

 

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◆メリー公式リンク◆

公式サイト http://merryweb.jp

公式Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/user/MERRYOfficial

公式Twitter https://twitter.com/merry_official

公式Instagram https://www.instagram.com/merryofficial/

 


2022年09月19日 (月)

【ライヴレポート】<David 5th Anniversary Tour Final ONEMAN LIVE>◆2022年9月16日(金)・17日(土)池袋EDGE◆2days濃厚レポ!

REPORT - 22:00:35

David 5th Anniversary Tour Final ONEMAN LIVE Day.1

「旧約誓書-Mary’s Testament-

2022年9月16日(金)池袋EDGE

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Davidの身体を借りた聖母マリアが、いかにして罪人たちを赦したのか

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 Davidが、今年4月よりライブを通して描き続けてきた「旧約誓書」の物語。歩みゆく中、成すべき形を求めてきた成果が、916()池袋EDGEを舞台にしたDavid 5th Anniversary Tour Final ONEMAN LIVE Day.1「旧約誓書-Mary’s Testament-」公演で、一つの答えを導き出した。

 

 フロア中に鳴り響く厳かな音色。そこには3人のシスターが佇んでいた。荘厳なる音へ導かれるように舞台へ姿を現すメンバーたち。シスターから手にした百合を高く掲げたDavidが「Messiah」と歌いだす。終わりを飾る物語は、本作を象徴する『Messiah –旧約』から語られだした。幽玄な音を背に、張り裂けんばかりの想いを響かせるようにDavidは歌う。まるで世の憂いを嘆き、祈りを捧げるように。く彼が描き始めた救いの物語は、今宵、どんな調べを奏で続けるのだろうか

 

 Davidの心の揺れを、増幅するように轟く演奏。Davidの高く突き上げる拳にあわせ、フロア中からも突き上がる無数の拳。『Gothculture -Decadent Art-』を通し、今宵の儀式は、早くも心の調律を合わせだした。舞台の上で雄々しく想いを響かせるDavid。感情が荒ぶるたび、フロア中から高く突き上がる拳。さぁ、この勢いを胸に、この世に渦巻く黒い感情をすべて赤く焼き尽くせ!!

 

 Davidの身体を借り、想いを述べる聖母マリア。「ここは、わたしを信じた罪人たちが集まる崇高な場所。罪人たちの罪を赦し続けたわたしは、捕らわれ、今宵、眠りにつこうとしています。わたしに出来ることは、あなた達の見てきた過去も未来も、この身体すべてを持って赦し続けること。わたしのすべてを持ってあなた達を赦し、見守ってあげる」。

 

 果たして、運命とは定められていたものなのか。それに抗い、みずから運命を導くことで生まれる物語なのか。Davidは『Tarot』を歌いながら、ここに集いし罪人たちに「わたしを導いてよこの身体ごと全部」と問いかけていた。雄大な。でも、荒ぶる演奏に刺激を受け、みずからの気持ちを掻き立てるようにDavidは歌う。惑いながらも心理を求め歌う姿に心動かされた罪人たちが、手を揺らし、想いを返していた。

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  続く『Mage』でもDavidは、みずからを闇に閉じ込め、絶望の淵に立ち、生きることを確かめるように歌っていた。どの曲でも、そう。彼は嘆き、張り裂けんばかりの想いを叫ぶことで、みずから罪を背負い続けていた。

 

  「素晴らしき選ばれた罪人たち。手を掲げよ!!」。Davidは、『D』を手に、この空間を一気に戦いの地へと導いた。怒り、荒ぶる感情をぶつけるDavid。轟く音に身を委ねた罪人たちが、身体を大きく揺さぶり、頭を振り乱し、理性を消し去りだす。猛り狂うその様は、狂気を帯びたDavidの心と波長を合わせるようにも見えていた。その勢いは、『Rituals』でさらに大きく膨らんでゆく。演奏に合わせ突き上がる拳は、聖母マリアの化身と化したDavidと、契りを交わし、天へと導かれるようにも見えていた。高ぶる感情、高陽した空気が、この空間を赤く染め出す

 

  「みずからを焼き尽くすほどの強い想いで、ここまで歩いてきました。つねに理想を追い続ける日々、今回、活動休止という決断をして、マリアはキリストを宿し、今宵眠りにつきます。理想を求めて、時に困難さえもみずから引き寄せて立ち向かっていく。そんな理想を、わたしは心から愛しています」

 

  どんな苦境へ身を置こうと、たとえ、その身が朽ち果てそうになろうとも、心に命を帯びていれば、また、ここから羽ばたける。そんな理想を現実に変えようと、Davidは悲哀を込めた想いを隠すことなく、切なくも甘い声で『羽化と理想』を歌っていた。 次第に躍動する演奏に乗せ、みずから心の両翼を広げ、「叶うならば」と声を荒らげ、Davidは閉ざされた黒い世界から飛び立とうとしていた。それが、彼が求めた理想の姿だからこそ。フロアでも、無数の手の翼が揺れていた。その景色が、印象深く瞼に焼きついた。

 

 狂気を孕んだ、遊興な弦楽の音色が響きだす。Davidは、重厚ながらも軽快に跳ねた『Testament』に身を預け、 彼流の聖なる救いの歌を響かせていた。彼の歌う「Testament for my life」の歌声が、気持ちを高陽へと導いてゆく。救いを乞うようにフロア中で揺れる数多くの手の花。そして

 

 「眠るわたしを、どうか見守っていて。こんな素敵な場所に、わたしの魂を残せる。あなたたちに見守られたこの世界は、麗しき棺」。

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 静謐かつ麗美な調べに包まれながら、Davidはバラードの『麗しき棺』を歌っていた。その姿は、みずからの身を柩の中へ収め、魂だけを天へと昇らせてゆくようにも見えていた。Davidの身体を借りた聖母マリアは、みずからその命に終わりを告げようとしていたのだろうか。愛しき人へ想いを寄り添え歌うDavidの姿を、誰もが食い入るように見つめていた。歌い終わり倒れ込むDavid…

 

 ふたたび、鳴り響きだした轟音。Davidの叫びへ呼応するようにフロア中から無数の拳が突き上がる。「罪人たちよ,飛べ!」の声を合図に飛びだした『Final Act』に合わせ、フロアにいた人たちが一斉に跳ねだした。ときに頭を激しく振り乱し、力強く手バンをしながら、気持ちを高陽へと導くDavidの歌声に合わせ、罪人たちが荒ぶる音でふたたび理性を消し始めていた。

 

 「いけるか、罪人よ!!」。続く『荊棘の意図』や『Apolutrosis』でも、戦う神の僕と化したDavidとメンバーたちが荒ぶる牙を剥きだしに襲いかかれば、フロア中の罪人たちも身体の螺子を壊し、これまで以上に激しく身体を揺さぶり、熱狂に溺れる狂人と化してゆく。

 

  「このステージに立つにはいろんな葛藤がありました。マリアの運命を描きながらDavidとして歌い、その運命にみずからも巻き込まれ、堕ちていった。それでも、共に理想や愛を描いた仲間たちが集まり。赦し合える。こうやってすべてを確かめあえる場所があること、恵まれているなと思います。みんなと一つのプロジェクトを完成させると、また欲が出てしまう。みんなを見て歌うことが、俺にとってのライブ。みなさんへ向けた一つ一つの思いが大切であって、寄せてくれたみなさんの思いを胸に歌っています。それは、この先も変わりません。今の、そして明日にかける思い。すべてをさらけ出します」

 

  途切れたくない心の絆を、さらにきつく結びあうように、Davidは『Moira』を歌っていた。言葉のひと言ひと言を噛みしめるように歌うDavidの姿に、大勢の人たちの心が強く引き寄せられ、互いの気持ちを固く結び合っていた。次第に狂気を帯びてゆくDavid。上げた、絶叫

 

 その姿を優しく包み込むように流れた調べに乗せ、Davidはこの世を、この身を憂うように、百合の花を手に『誓書』を歌っていた。その姿は、みずからを浄化し、昇華するようにも見えていた。

  

  「わたしの生きる場所は、この退廃の園」。両手を大きく広げ、十字の民と化したDavidが「いくぞー!!」と声を荒らげる。彼は『Paradise lost for ”Requiem”』を通し、罪人たちの心に火を点けてゆく。熱を求めるように大きく両手を広げ、思いを受け止める罪人たち。さぁ、もっともっと美しく心を、その身を燃やし、共に一つになろうか。

 

   最後にDavidは、『Gothculture -dawn-』をぶつけ、罪人たちと作り上げた熱狂を、忘れられない記憶として、この地に足を運んだ一人一人の心へ刻印していった。この身に刻まれた痛みに触れるたび、何時だって、この時の熱が疼くように蘇る。そのためにも、もっともっと強い熱狂の刻印を、頭を振り乱すこの身に、言葉(思い)を求めるこの心に焼きつけてくれ。

 

 火照る熱が残る舞台へ、ふたたびDavidが姿を現した。「これからも、みなさんのために歌います。かならずみなさんの元に現れ、物語の続き、結論を示しますので、それまでDavidを待っていてください。俺は理想の世界を作り続けることを止めない。その思いと、みなさんの思いが交わる瞬間がGothcultureの続きの始まりだと思います。わたしはわたし,その思いをロザリオに込めて赦しあおうと思います」

 

  「わたしはわたし、唱える想い、ロザリオを~」。Davidは、あらん限りの思いを歌声に込め、雄々しく『Rosario』を歌っていた。その強い意志に呼応した罪人たちもまた、力強く拳を振り上げ、激しく身体を折り畳みながら、Davidと共に熱狂を興じていた。

 

 「この声で、導いてあげる」。最後にDavidは「この声で殺して」「側にいたくて」と『蠱惑』を熱唱。荒ぶる演奏に乗せ、何度も繰り返される魂と魂のバトル。この日作り上げた熱狂の景色をけっして忘れないようにと、Davidは罪人たちの身体へ何度も何度も熱狂と熱情という印を刻みつけていった。熱を孕んだ景色を白いページに焼きつけるように、Davidは強く握った歌声のペンを通し、今宵の物語の本にやがて、Finの文字を記していった。

 

エンディングに『The Falling Asleep of the Virgin』が流れ、最後の言葉という歌声を響かせたDavidはその場に倒れ込み、白い光に包まれたステージの幕が閉じる。

 

  翌日には、キリストの生誕が待っている。その続きを成す前に、聖母マリアの、ここに生きた証を、Davidはしっかりと一冊の物語としてまとめあげていった。

 

PHOTO:Lestat C&M Project

TEXT:長澤智典

 

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<セットリスト>

 

『受胎告知』

Messiah –旧約

Gothculture -Decadent Art-

Tarot

Mage

D

Rituals

『羽化と理想』

Testament

『麗しき棺』

Final Act

『荊棘の意図』

Apolutrosis

Moira

『誓書』

Paradise lost for “Requiem”

Gothculture -dawn-

-ENCORE-

Rosario

『蠱惑』

The Falling Asleep of the Virgin

 

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David 5th Anniversary Tour Final ONEMAN LIVE Day.2

 「新約誓書-The Confession of Christ-

2022年9月17日(土)池袋EDGE

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身ごもったマリアから、Davidの身体を借りて生まれしキリスト。彼が現世に残した言霊とは

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 本当ならDavidは、長い時を通してキリストの物語を描き出そうとしていた。だが、突然の活動停止の言葉。彼は、長い工程を通して導くはずだったキリスト生誕からの物語の一部を、この一夜に放った。

 

 917()池袋EDGEDavid 5th Anniversary Tour Final ONEMAN LIVE Day.2 「新約誓書-The Confession of Christ-」と題し、Davidの身体を借りてこの夜に降臨したイエス・キリストの物語が、今、始まろうとしていた。

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  荘厳なSEが鳴り響く場内。幕が開いたその先には、Joint Artistと黒いレースを体に掛けられDavidの姿が。「目覚めの歌を」の言葉と共にそのレースを取り払い、新約主の姿が露わになった。Davidが荒ぶる声を上げるのに合わせ、会場中に黒い音が轟きだすと、フロアに集いし民たちが思いきり頭を振り乱す。狂気を孕んだ導き手と化したDavidが、民(観客)たちをカオスな音の中へ引きずり込む。高陽した声とグロウルした叫びを巧みに駆使しながら、Davidは『Born』を通し狂乱の宴をここに催しだした。

 

  荒ぶる感情をさらに焚きつけるように、Davidは『Stigmata』を歌唱。生誕の祝祭とは、こんなにも激しく、心が荒らぐものなのか。それが、今の世だからこそ?!それを生まれながらにして、Davidの身を借りた救世主は示していたのだろうか。フロア中の民たちが突き上げる拳。今宵の儀式は、最初から狂ったように熱を帯びていた。

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  「わたしの名は、マリアから生を与えられたキリスト。今宵、このわたしが発する言葉、旋律、いくつもの物語が、現世に生きるそれぞれの民の手で語り継いで欲しい。用意はいいか!!

 

  Story Teller Ah! Ah!」、雄々しき存在と化したDavidの叫び声を合図に、『Story Teller』が飛びだした。Davidの身を借りたキリストは、今宵、どんな物語をここに描きだそうとしていたのか。荒ぶる神の化身と化したDavidの雄々しく上げる声に合わせ、フロア中の人たちが大きく身体を揺さぶり、思いを捧げるように舞台に向け、手を差し伸べていた。

 

 「深く、深く、堕ちていけ」。燃え盛る炎をさらに大きく膨らませるように、Davidは『Ruinous』を通し、熱狂という業火の中へ民たちを引きずり込む。大きく身体を折り畳み、身を焦がす民たち。今は業火(熱狂)に身を預け、理性を消し去り、Davidの身を借りたキリストへ、すべての感情も、感覚も、魂も、熱情するこの身も捧げたい。

 

 「もっと激しく自我を曝け出せ!」。マイクを外し、生声で叫ぶDavid。荒ぶる神の化身と化したDavidの姿へ導かれるように流れだした『荊棘の意図』。意識を混濁する轟音へ引き寄せられるまま、民たちは激しく頭を振り乱し、その場で飛び跳ね、大きく両の手を広げだす。狂気へと導く音の豪雨をその身へ浴びながら、誰もが狂乱の踊り人と化していた。

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 「僕は何故、守れなかった。僕は何故、守れないのか。僕は何故……守りたかった」。今は亡きマリアへの思いを零すように,Davidの身を借りたキリストは『Mother Earth』を歌いだした。それは、未熟な自分への戒め?救いを求める心の嘆き??言葉のひと言ひと言を選びながら、Davidは嘆くように歌う。その痛々しくも神々しい姿を、誰もが食い入るように見つめていた。

 

  どんな絶望の淵に立とうとも、みずからが前を見据え、心に翼を授ければ、きっと夢に向かって飛び立てる。たとえそれが黒く汚れた敗残の翼でも。Davidは『羽化と理想』を通し、絶望の底からでも理想を胸に羽ばたこうとしていた。フロア中の民たちの天高く広げ揺れ動く両手が、Davidと共に羽ばたきを欲する翼にも見えていた

 

  壮麗な弦楽の音色に乗せ、Davidは呟くように『言霊』を歌いだす。Davidは、いや、Davidの身を借りたキリストは、どんな思いを胸に、亡き者となったマリアは何を想い天へと召されたのだろうか。この世を平穏へ導こうとするたびに混沌としてゆく民たちの心。そんな罪人たちに赦しを与えながらも召されてゆくマリアを、キリストは歴史の語り部となり、この地で歌っていた。

 

  「孤独さえも愛してくれて、ありがとう」。物語は、ふたたび混迷を来し出した。Davidは『Gothculture -Claustrophobia-』を手に、民たちの身体を大きく折り畳んでゆく。ふたたび乱世へ突き進む今を嘆くように、Davidは声を張り上げていた。雄々しさを増す演奏に身を寄せ、嘆き、祈りを捧げるようにDavidは歌う。

 

「全員で色をつけていこう、飛べるな!!」。Joint Artistたちが荒ぶる音を突きつけるのに合わせ、ふたたびDavidも感情を露に『Albinism』を歌いだした。「飛べ!!」の声に合わせ、フロア中の民たちが、その場で飛び跳ねる。激情という魂を重ね合わせたDavidと民たちが、演奏に合わせ騒ぎ狂う。まさに、ライブらしい景色がそこには生まれていた。続く『Behind』や『Final Act』でも、クラップや拳を振り上げる景色が誕生。Davidは、民たちを熱狂という渦の中へ巻き込みながら、混濁する意識の中へ物語を一つ一つしっかりと焼きつけてゆく。フロア中の人たちが高く手を掲げ飛び跳ねる様や、思いきり頭を揺さぶる光景が、なんて毒々しくも華やかだったことか

 

 「昨日マリアが眠りについて、すぐにキリストに生まれ変わりました。本当に心地の好い目覚めでした。今日は、マリアの夢の中のキリストの誕生という物語を届けることが出来ました。出来ることならこれからも歌っていきたい。ただ、今のDavidは今日で最後です。だからみなさんに上手く送ってもらいたい」。

 

  Davidとしての活動は、ここで一つの区切りを成し、何時目覚めるかわからない長い眠りにつく。愛しき民たちへ見送られながら、みずからの魂を葬送するように、Davidは切々と、でも朗々と『Funeral Procession』を歌っていた。その送る様は、ふたたび目覚めのときの鍵を、ここに集いし民たちへ授けるようにも見えていた。ここから、どれくらいの歳月が流れてゆくのだろうか。これから眠りにつくDavidの目覚めを祈る気持ちもあるが、まずは、これまでの感謝の気持ちを胸に、止まった時の空間の中へ彼を送り出そうか。

 

 だが、ここで物語を終えないのがDavid。「あなた達は選ばれた民なんだ。夢の中でなら、何時でもその手を引いて、共に喝采を」。その「喝采を」の声に合わせ、Davidとフロア中の民たちが、激しく手を打ち鳴らす。Davidはふたたびこの空間を真紅の熱で染め上げようと『Dresscode』を歌いだした。眠りにつく前に、もうひと暴れ、ふた暴れし、忘れられない興奮という感覚をDavidは民たちの身体へ焼きつけてゆく。声を荒らげるDavidへ向かい、無数の拳が突き上がる。掲げた拳を、Davidは『Blood -Reason for existence-』を通してさらに高く突きあげれば、フロア中の民たちを螺子が壊れ暴走した人形に変え、激しく頭や身体を揺さぶっていった。Davidみずからも激しく頭を振り、狂喜と熱情の化身へと身を染め上げていった。止まぬ熱狂。そして

 

  「共に新たな約束を交わそうな」。新しい自分へ何時か生まれ変わる日を願い、Davidは最後に『Messiah-新約』を絶唱していた。『新約Verは、バラード『旧約Verからリメイクされ、疾走感のあるメタルチューンへと変貌していていた。彼の思いを受け止めた民たちも、Davidの姿をじっと見つめながら。でも、力強く手を揺らし、最後の啓示をしっかりと胸に抱きしめていった。何度も絶叫するDavid。その荒ぐ声が、耳から離れない。

 

  みずから時を止めようと、ふたたび歴史が動けば、Davidは新たな時代の衣を身にまとった姿で歩みだすだろう。そんな、何時かの在りし日を願う前に、今もまだ終わらぬ夢の中、共に熱狂に浸り続けようと、Davidは『Metempsychosis』を歌っていた。その先に見える輝く夢の物語。今も一緒に、その夢を共に追いかけたい。心を晴れた世界へ解き放つ旋律を背に歌うDavidは、確かに笑みを浮かべていた。この歌の先に、まだ終わらぬ夢が眠っている。それを知っているからこそ、ふたたび夢を掘り起こすに相応しい姿となり、こんな風に共に楽しさへ溺れようと、彼は歌っていた。

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  「共に強く踏み出してくれるか!」。今宵で、物語は断章となる。でも,それは終章ではない。それを誰もがわかっているからこそ、熱狂という形で区切りをつけようと、Davidと民たちが持てる力と思いを『Gothculture –断章』に乗せ、全力でぶつけあっていた。何度も繰り返される煽りのやり取り。これは戦いではない。互いに、絆を強く解けないように結び合うためのやり取りだ。きつく結ばれ、解けない熱い関係を見届け、Davidは火照る身体を、天へと召していった。

 

 宴はまだ終わらない。最後の最後にDavidは、『Gothculture』という物語の始まりを告げた『Gothculture-序章』を演奏。終わりの景色の中へ、また新たな出会いのための序章を記すように、Davidは最後にこの曲を届けてくれた。これが、今のDavidの出した予言だ。不確かな、まがい物な予言とは異なる、必ず現実となる予言を伝え、ふたたび彼はフロアを熱狂の様に塗りあげていった。サビ歌で、大勢の人たちがサプライズによって配布された白いサイリウムを揺らす様が印象的だった。また見たくなる、また味あわずにいれない景色を最期に作り上げると、キリストの夢は覚めていった。

 

 

PHOTO:Lestat C&M Project

TEXT:長澤智典

 

 

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<セットリスト>

 

『聖告』

Born

Stigmata

Story Teller

Ruinous

『荊棘の意図』

Mother Earth

『羽化と理想』

『言霊』

Gothculture -Claustrophobia-

Albinism

Behind

Final Act

Funeral Procession

Dresscode

Blood -Reason for existence-

Messiah –新約

SE Tr-3

-ENCORE-

Metempsychosis

Gothculture –断章

-W ENCORE-

Gothculture –序章

 

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<インフォメーション>

 

20221123

5th Anniversary BEST ALBUMを発売予定。

詳細後日発表

 

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