2022年10月30日 (日)
【ライヴレポート】<The Benjamin ONEMANTOUR2022 「BELIEVE」FINAL>2022年10月16日(日)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE◆「信じ続ける気持ちが詰まった力強いメッセージが放たれる。」
REPORT - 18:00:17長く続くコロナ禍、多くのロックバンドはさまざまな試行錯誤を続けてきた。そんな中、The Benjaminは、活動方法にとどまらず、バンドの方向性をも大きく舵を切る決断をした。今年1月にリリースした「Bark in the Garden」を皮切りに、サウンドもヴィジュアルも一新。ダークな雰囲気をまとい、ハードなサウンドに怒りや葛藤といった感情をぶつける、いわゆるヴィジュアル系の王道的なスタイルとなった。そんな現在の流れを汲んだ3rdアルバム『BELIEVE』を引っさげ、ワンマンツアーを敢行。10月16日、渋谷PLEASURE PLEASUREで行われたツアーファイナルの模様をお届けしよう。
ツアーファイナルであり、ウスイ“Tacky”タクマ(以下、Tacky)の記念すべき40回目の誕生日、さらにバンドとして初のホールワンマンという、スペシャルにスペシャルが重なったこの日。期待で膨れ上がった会場に重々しい荘厳なSEが鳴り響き、ライヴの開始を告げた。赤を基調とした新衣装のメンバーが登場。アルバム『BELIEVE』の1曲目を飾る「ブルータス、オマエもか」で幕を明けると、「Babel」とアルバムの曲順どおりにハードな曲が続くと、客席に整然と並んでいた観客が一斉に髪を振り乱す。
最初のMCから、メンバーのワクワク感がひしひしと伝わってくる。このスペシャルなステージに緊張を感じるより、むしろ興奮が抑えられないといった様子だ。「最高で最強のライヴになることを信じてここに立っています」と、ミネムラ“Miney”アキノリ(以下、Miney)が力強く断言し、このライヴの成功を約束した。
「踊りましょうか」と始まった「Bisque Doll Magic」で、広いステージをTackyとツブク“Mashoe”マサトシ(以下、Mashoe)が行き交う。笑顔を浮かべるMashoeと凛々しい表情のTackyが好対照だ。ピアノのSEから、Mashoeがメインヴォーカルを務める「バリケード」。内に秘められた感情がサビに向かうに従って徐々に高まり、会場の空気を温める。Mashoeはコントロールの効いた歌唱力で、巧みに強弱や緩急をつけ、あふれる感情を表現した。
一方、今日の主役であるTackyは、「バズーカをぶっ放せ」でメインヴォーカルを務める。顔を歪め、精一杯の力を込めて、「ぶっ放せ!」と繰り返し叫ぶ。その叫びはいかにも彼らしくどこまでもまっすぐで、そのまま観客へと、そしてさらに広い世界へと届いただろう。
ツアーでアルバム収録曲を成長させて帰ってきたこの日、彼らはさらに前進する姿勢を表すべく、新曲「ボードレールに沈む海」を披露。キャッチーなメロディや軽快なビート、ドラマチックなサビと、耳なじみのいい曲は、さらにここから突き進むThe Benjaminへのヒントとなっていたかもしれない。
温かく深みのある声で、Mashoeが「Birfurcatin」を聴かせた後、「バウムクーヘン」のイントロが始まると、会場いっぱいに温かな空気が広がり、観客を包み込んでいく。光が降り注ぐように、Mineyの歌声が優しく切なく広がっていく。
「Bridge of Rainbow」で、降る雨をものともせず、力強く意志表明するような歌を聴かせると、タイトルどおり、雨が止み、虹がかかった。そのまま、澄み渡る青空が広がるように、「SORA-Boeing229」へと自然に流れていく。歌詞や歌だけでなく、メロディやサウンドで描き出される情景は色鮮やかだ。
1月からバンドのイメージを大きく変えたことに触れ、歳を重ねても夢を追いかけていくこと、バンドとして格好をつけていくことを高らかに宣言したMiney。ヴィジュアル系と呼ばれるバンドとして活動し、派手な衣装を身にまとい、メイクを施してステージに立つのは、彼らがバンドを始めた十代、二十代の頃とは、彼ら自身の状況も時代も異なり、決して楽ではないはずだ。それでも彼らはあえて変化を選択した。
「本性をさらけ出してちょうだい」と、「ベンガルタイガー」が始まると、いよいよクライマックスに向けて、戦いの火花が切って落とされた。こぶしを振り上げ、にぎやかに、楽しく暴れるのは、おなじみ「BATTLE FEVER」。ハッピーな空気に包まれたところで、彼らの二度目のスタートの曲とも言える「Bark in the Garden」で、3人それぞれが熱を剥き出しに吠える。コロナ禍での鬱屈した気持ちは、こんな風に吠えることでしか表現しえなかったのかもしれない。
本編最後は、アルバムのタイトル曲でもある「BELIEVE」。ファンがThe Benjaminを信じ続ける気持ち、そして彼ら3人が自分たち自身を、ファンを、音楽を、ロックを、ヴィジュアル系を、信じ続ける気持ちが詰まったポジティブな力強いメッセージが放たれる。情熱の赴くまま、勢いよく駆け抜けて本編が終了。
ツアーTシャツに着替えたMineyとMashoeが姿を現し、「本日の主役をお呼びしましょう」とTackyを招くと、なんと客席の間を通ってTackyが登場。会場に、一気にお祝いムードが広がった。
そのままTackyが元気いっぱいにハジけて「バッチグー」を歌い上げると、和気あいあいとした空気のままMCへ。このツアーでサポートを務めたKに感謝を告げ、ますます温かな空気が広がる。Kはライヴの間ずっと笑顔を絶やすことなく、プレイだけでなくその存在感でバンドを支えていた。
感謝の言葉を口にし、この日を迎えた喜びを語る3人。キラキラした表情からは達成感と満足感が感じられた。そんな彼らから最後に贈られたのは、「ブーツを脱いで」。雨あがりに陽射しが差し込み、辺りを光で満たすような情景は、またここからスタートする彼らにふさわしい。彼らの視線は、2023年2月8日にスタートする結成8周年記念ワンマンを見つめている。その行く先が光に満ち溢れますように。
文:村山 幸
写真:米田 光一郎
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The Benjamin ONEMANTOUR2022 「BELIEVE」FINAL
2022.10.16
SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
-setlist-
1.ブルータス、オマエもか
2.Babel
3.Bisque Doll Magic
4.バリケード
5.ベージュなMoon
6.バズーカをぶっ放せ
7.ボードレールに沈む海
8.Bifurcation
9.バウムクーヘン
10.Bridge of Rainbow
11.SORA-Boeing229-
12.ベンガルタイガー
13.BATTLE FEVER
14.Bark in the Garden
15.BELIEVE
en
16.バッチグー!
17.バスストップ
18.ブーツを脱いで
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<ライブ情報>
■BadeggBox 10th Anniversary Event「未来へ」
2022年11月07日(月) SHIBUYA Spotify O-EAST
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出演:
The Benjamin/怪人二十面奏/THE BEETHOVEN/花少年バディーズ/ギガマウス/the Sherry
[Special Guest]UCHUSENTAI:NOIZ/えんそく
[お祝い駆けつけステージ]福助。/Dacco/TЯicKY /ふたばわたるしょう。
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開場/開演 15:00/15:30
料金:前売 5,500円/当日 6,000円 *1DRINK別途
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チケット購入サイト:https://eplus.jp/badeggbox-10th/
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■The Benjamin 8th Anniversary ONEMAN TOUR 2023
「Bless in the Octave」
2月8日(水) 渋谷DESEO
2月18日(土) 名古屋ell.SIZE
2月19日(日) 大阪Fireloop
3月04日(土) 仙台enn 3rd
年3月05日(日) 宇都宮HELLODOLLY
3月21日(火祝) 浅草花劇場
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<リリース情報>
★Album「BELIEVE」
BDBX-0090 価格: 3,500円(税込)
Now on Sale
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★Single「Beelzebub」
BDBX-0095 価格: 1,650円(税込)
2023年02月08日(水)リリース
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★オフィシャルサイト★
2022年10月27日 (木)
【ライヴレポート】<nurié大角生誕単独公演 大角を祝ってよ!4 th 「僕を愛す為の幸福論」>2022年10月23日(日)高田馬場CLUB PHASE◆彼がこの世界に生まれてきてくれたことに、心からの祝福を──。
REPORT - 22:00:22nuriéのヴォーカル、大角龍太朗は晴れ男だ。この日も自らのInstagramストーリーズで、雲ひとつない青空を映した写真と共に「あたりまえに 今日も晴れ」という言葉を記していた。
今年で4回目となる大角龍太朗の誕生日を記念して行われるワンマンライブ。幕開けは「生きてて偉い」。今年、活動を再開してからのワンマンライブでは締めくくりに演奏されてきた曲が、この日はステージの幕が上がる1曲目となった。
両手を広げて登場した大角は、少し声がうわずるところもあったが、今年の誕生日のライブの最初に「生きてて偉い」を歌うことに決めた、言葉にはできない彼の胸中を感じさせる一面だったのではないかと思う。
心の中を吐露するように歌ったこの曲からは、華やかに「今宵、未来の為に歌おう。」へ。髪を切り、また新たな魅力を醸し出すギターの廣瀬彩人は、プレイの合間に舌を出すなど、ギタープレイだけではなく、ステージに立つ存在として、客席からの目線を引きつけるしぐさを早くも見せていた。
イントロが鳴り響いただけでフロアの高揚感が上がる「ミルクティートリップ」は、発表されてからわずか3ヶ月でnuriéのライブには欠かせない、演奏されることでオーディエンスの心が弾む曲として煌めきを放っていた。
つづく、「いっぱいいっぱいボーイ」は東京のライブでは久しぶりに披露ということで、サイレンのSEが鳴り響く中、エネルギーみなぎるプレイに、フロアはタオルを回して応戦していた。
大角龍太朗(Vo)
この日最初のMCは、生誕ワンマンらしい和やかなトーク。
廣瀬から「誕生日やけど、どんな気持ち?」と振られて、「嬉しいよ!」と大角の顔がほころぶ。つづけて、「いくつになりましたっけ?」と廣瀬が問いかけると、大角は「19歳です」と返し、すぐさま「嘘つけ!」とドラムの染谷悠太からツッコミが入るところも、関西出身の彼らならではのおもしろさであり、nuriéのライブには欠かせない楽しい時間だ。
ファンやメンバーからの愛を受けて、大角の「世界一幸せな気持ちで愛を歌わせてもらう」の言葉から「愛を歌わせろ人生へ」。オーディエンスが熱くこぶしを上げる「命に値段を貼られ生きる。」に続き、「クソ喰らえ。」は、これまでは渦巻く感情をただただぶつける印象があったが、この日は「確かに愛した人」への愛があるからこその光も歌声から感じられた。
染谷のドラムグルーブがフロアを揺らす「阿呆やん。」で、ライブハウスをダンスフロアへと一転させ、「カンセツショウメイ」まで、陶酔の時間へと誘っていった。
この「カンセツショウメイ」の際に、来場者から急病人が出たため、救護をしてからライブを再開。大角はその状況を的確に判断し、体調を崩した人をケアする言葉と共に、ライブに集った人たちの不安も払拭して「骨太もんちっちくん」へ。
nuriéのライブで最も「振り」があるこの曲は、ワンマンライブの回数を増すごとに一体感が強化され、まさに曲のタイトルにあるように「骨太」な楽曲へと進化している。
身体を動かすことにより興奮はさらに高まり、迫り来る熱量となった「【ばいばい】」に、ファンも激しい折りたたみを見せ、「百鬼夜行」では大角がこの日最大のシャウトを響かせ、ライブのボルテージが最高潮に上がったときに放たれたのが「RooM-6-」。現時点で、nuriéの代表曲となっているこの曲は、イントロが奏でられた瞬間に「待っていました!」と 喜びを弾けさせている人たちの姿が数多く見られた。「RooM-6-」が聴きたくて、nuriéのライブに来たという人も多かったことだろう。ずっと音源だけで聴いていた曲を、ライブで聴けたときの嬉しさはひとしおだ。
「ライブに行く」意味には、それぞれ様々な思いがあると思うが、「好きな曲を自分の目の前で、生演奏で聴ける」という唯一無二の感動は、ライブ会場に行かなければ味わえない。そして、nuriéはどんな楽曲もライブだからこその生きた音と共に、心にしっかりと届ける歌声で、楽曲の命を増加させる。だから、nuriéをライブハウスで観るということは、これまでの人生で味わったことのないような音楽体験へと導いてくれる。ヴォーカリストとして「明日を生きる力を与えたい」という思いを持つ大角が歌う歌だからこその力。それは「人として人で在る様に」でもいかんなく発揮されていた。
廣瀬彩人(G)
この日のライブを前に、nuriéのホームページで大角龍太朗のインタビューを公開した。この中で彼は、ライブへの意気込みとして「誰かの感動を見ているのではなくて、『これは間違いなく自分の感動だ』と感じてもらえるようなライブにしたい」と話していた。
筆者がnuriéのライブを初めて観たときに感じた、体の芯から痺れる様なあの感覚は私だけの感動だと思っている。きっと同じ様に、nuriéのライブは、観た人それぞれにしかわからない、自分の中で忘れなくない大切にしたい心の喜びがあるはずだ。
大角は、ライブタイトルとなった「僕を愛するための幸福論」を踏まえて、「自分自身を愛することに向き合いました」と語った。自分の弱さを認めた上で、今日より素敵な笑顔でいたい。
バンドも、ここに集った人たちも、お互いに明日が幸せな顔をしている自分へと進んでいこうという思いを込め、「晴天に吠える」が歌い上げられた。本編の最後の曲となったのは「透明に混ざる。」。ステージのライトが青く輝く。青は大角のメンバーカラーでもある。大角の誕生日を祝うライブのクライマックスにふさわしい青空のような眩しさは、確実に「自分だけの感動」が生まれた瞬間であっただろう。
染谷悠太(Dr)
アンコールではサプライズがあり、大角が曲に入ろうとした瞬間に、メンバーが本編ですでに披露した「骨太もんちっちくん」を演奏し、大角がとまどう中、バースデーケーキが登場。「骨太もんちっちくん」の歌詞、「絶好調なら、ヤーマン」と言ったあとに、ふーという声と共に、大角はバースデーケーキのろうそくの火を吹き消した。
ステージにいるメンバー、サポートベーシスト、NAOCHI(電脳ヒメカ)はもちろん、この場所にいる全ての人たちで、バースデーケーキで祝福したあとの「生き継ぎ」では、大角はこの日1番の笑顔を見せていた。
過ぎ去りし青春時代の自分を振り返りつつ、10代の初期衝動を忘れずに、未来へ向かってさらなる歩みを進める「15才」は、久しくライブでは披露されていなかった。大角の誕生日を祝うライブのアンコールで選曲されたということは、言葉ではなく、歌で、彼自身が生まれてきてこれまで出会った大切な人への愛を伝えたかった証であろう。「大切な人を愛して」「愛したモノは守れるよう」といった歌詞が、一際響いていたように感じられた。
この日の全てを締め括ったのは「白を溢す。」。nuriéは結成してからすぐに、新型コロナウイルスのパンデミックに巻き込まれた。故に、筆者が彼らのライブでまだ観られていない景色がある。それは、オーディエンスが声を出すシーンだ。nuriéの楽曲は共に歌うことで、その魅力がさらに開花するであろうと予測できるナンバーが数多くある。この「白を溢す。」もそうだ。メンバーのコーラスと共に観客の声が重なり合ったとき、確実にさらなる生命力を発揮するだろう。ライブでの規制が徐々に緩和されてきているだけに、早くnuriéのライブで、おもいっきり声が出せる日が来ることを心待ちにしたい。
大角龍太朗は晴れ男だ。
それはただ、青空を呼び寄せるだけでなく、一人ひとりの人生を晴れにする力を天から授かってきたのだろう。
彼がこの世界に生まれてきてくれたことに、心からの祝福を。
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◆セットリスト◆
01. 生きてて偉い
02. 今宵、未来の為に歌おう。
03. ミルクティートリップ
04. いっぱいいっぱいボーイ
05. 愛を歌わせろ人生
06. 命に値段を貼られ生きる。
07. クソ喰らえ。
08. 阿呆やん。
09. カンセツショウメイ
10. 骨太もんちっちくん
11. 【ばいばい】
12. 百鬼夜行
13. RooM-6-
14.人として人で在る様に
15.晴天に吠える。
En
01. 生き継ぎ
02. 15才
03. 白を溢す。
(文・武村貴世子)
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<ライヴ>
■廣瀬生誕ONEMAN LIVE
「 はじめてのおたんじょうび会 」
2022年12月12日(月)阿倍野ROCKTOWN
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OPEN 17:30 / START 18:00
Adv ¥4,000 / Door ¥4,500
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チケット:
〈FC先行〉11/5(土)〜11/16(水)
〈e+一般〉 11/19(土)
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■nurié 4th Anniversary ONEMAN LIVE
2023年7月29日
新宿BLAZE
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★nurié OFFICIAL SITE★
★nurié OFFICIAL Twitter★
https://twitter.com/nurie_official/
2022年10月21日 (金)
【ライヴレポート】ユナイト、ワンマン・ツアー「CONTiNUE?」を通して新たな可能性を構築。「ユナイト、ずっとやっていきましょう」
REPORT - 17:20:52ユナイトのOneman Live Tour「CONTiNUE?」が、ツアーファイナルを迎えた。10月12日、13日と東京・新宿BLAZEにて行われたライヴの模様をお届けする。
7月より、全11ヵ所を2daysずつ回ってきた今回のツアー。4月にヴォーカル脱退に関する発表があり、当初予定されていたツアータイトルを「CONTiNUE?」と改め、4人のゲストヴォーカル[夕霧(DaizyStripper),翔梧(アンフィル),mitsu,CHISA(ACME)]が各日センターを務める形で回ってきたこのツアーは、バンドにとって大いに挑戦的な意味を含んだものとなった。途中、メンバーのコロナウイルス感染によって延期となった箇所もあり、この後に振替公演を控えている状態ではあるが、ここでお伝えするツアーファイナル公演はメンバー自身がツアータイトルにある“?”に対する答えを見出し、それを確信に変えるためにかけがえのない時間を過ごしてきたことを見せつけるには十分なアクトだった。
DAY 1は、ゲストヴォーカルにCHISA(ACME)とmitsuが登場。まずは、SE「Whopper」に乗せて一斉に姿を現したユナイトメンバーによるインストゥルメンタル曲「ユニコーン」から幕を開けた。そして、ライヴ前半のセンターを務めるCHISAを迎え、「ANOMiE?」の力強いサウンドとCHISAの存在感のある歌声がマッチして迫力抜群に届けると、「ミドルノート」で観客のボルテージも急上昇。
ステージと観客が絶好調な盛り上がりを見せた「ubique」から、「さよならユーフォリア」「ベリアル」を軽快なテンポで立て続けに披露した後は、「LEMON SQUASH」や「ノゾキアナ?」といったシャウトも映える激しい楽曲が並び、CHISAが持つヴォーカルとしての良い部分を存分に活かしたセクションを堪能出来た。サウンドの迫力はそのままに、バンドとファンとの絆を歌う「イオ」までエモーショナルに展開し、バトンは後半へ繋がれた。
暗転から、莎奈作曲による新曲のインストゥルメンタル「天狗」から後半戦がスタート。思えばツアー初日2daysより、椎名未緒作曲による「ユニコーン」とLiN作曲による新曲の「krake」がライヴの幕開けを飾っていたが、その際のMCで「ツアー中にまた新曲が生まれるかもしれない」という話題があった。いずれも“伝説上の生き物”をタイトルにしている事から、その流れを汲んだ新曲が登場するという有言実行の出来事にツアーを充実したものにしたいというメンバーの意気込みすら感じでいると、センターにmitsuを迎えて「マーブル」を披露。“ずっと終わらない歌を歌う。”という冒頭から、言葉を丁寧に伝えていくようなmitsuの歌唱が際立ち、続けざまに「無限ピクセル」で一気にアップテンポへとシフトしていった。
「この場をリードしていく」とmitsuが意気込みドラマチックに「液体の夜」を聴かせると、朗らかなロングMCタイムへ。LiNの“好きな面好き男”の話題に盛り上がり、この後に控える「FAQT」と「必殺」の曲中のノリもしっかりとガイド。キラーチューン「ice」を経て挟んだMCでは、「バンドを続けてきた今だからこそ届く楽曲がある」と、「アイ -‘ation-」「starting over」とバンドの軌跡とその過程で起こる奇跡的な出来事や、続けていくことへの変わらない強い決意が楽曲に乗せて大切に届けられた。
ラストは、「ふわり」をこの日ならではの特別なCHISA & mitsuによるダブルヴォーカルで聴くことが出来た。前後のMCでは、LiNがツアーを通して「今、メチャクチャ楽しい!みんながいて本当に良かった」と今後の活動への活力が芽生えたことを感謝として伝える場面もあり、それに対してCHISAは「バンドがどうにかなっちゃうっていう状態から、もはやジャンルが元気になっちゃうんじゃないかと思う」と今回のユナイトの挑戦を称賛し、mitsuは「自分も勇気がもらえるツアーだったし、音楽の力を知ることが出来た」と話した。こうして、ツアーの1/2が成功した形でバトンは翌日へ……。
DAY 2は、ゲストヴォーカルに翔梧(アンフィル)と夕霧(DaizyStripper)を迎える。冒頭は、SE「Whopper」での登場からインストゥルメンタル曲「krake」へ続き、さらに躍動感を高めるように翔梧が加わり「さあファイナル、楽しもうぜ!」と笑顔満載に「A Little Picture」「ナユタの秘密」と晴れやかな空気に包み込んでいった。
このツアー中に翔梧は、ゲストヴォーカルを担う責任感や向上心を露わにした様子から“ジェラス”とあだ名をつけられたという。前日も会場に足を運んでライヴを観ていたことを受けて「燃えている」と意気込みを言葉にすると、大好きな曲だという「PiNKY_she_SWeAR」や、「THEATER -LA-」「ベリアル」の歌メロが際立つ楽曲を繊細に歌い上げる様子に目を奪われた。後のMCで「ユナイトの楽曲の中で聴かせる曲の良さを伝えるのが自分の役目」と話していたことが納得なほど、翔梧自身の持ち味に絶妙にマッチしていたセクションから一変、「次の曲で(会場を)1つにしないと死にます!」と「ice」ではフロアの熱量を爆発させ、「small world order」から、このツアーを通して好きになった曲と話した「ジュピタ」まで時折笑い声が混じる楽し気な雰囲気を持ちながら前半戦を終えた。
後半は、インストゥルメンタル曲「MiNOTA」からスタート。“ミノタウロス”をもとにしたタイトルを据えたこの曲は、前日披露された莎奈作曲による新曲を受け、ハクがこの日のために作曲した新曲だという。そこへ夕霧が登場すると、いよいよツアーファイナル公演も大詰めへ向かい、一際気合いを投影するかのような「レヴ」の力強いサウンドと曲に込められた革新的な思いをメンバー一丸となって届け、そのひたむきな姿が改めてオーディエンスの気持ちも引き締めた。「BadRequest」では夕霧の艶のあるヴォーカルも活きながら、会場は大いにジャンプしてボルテージが上昇していく。
続いた「FAQT」は直前のMCで“U’sジャンプ”(※UとSをポージングしながらジャンプ)を指示して軽快に楽しむと、激しい表情にシフトした「ディシバダルツ」や、夕霧がツアーファイナルでは新しい曲に挑戦したいという思いでメンバーと選曲したという「world wide wish」でパワーヴォーカルを発揮。ラストスパートは、パーティー感満載に「–ハロミュジック–」から、「手を離すなよ」と告げた「シトラス」、「終わらせない」と強く誓いを立てるように「starting over」へと、畳みかけるようにメッセージ性を持った楽曲を贈った。
再び翔梧を呼び込むと、前日同様ダブルヴォーカル体制で「ふわり」で締めくくった。夕霧と翔梧が指切りをし、歌詞にある新たな始まりに対する“約束”を表すようにユナイトの想いを代弁するかのように大切に歌い上げた。ハクもMCで伝えていたが、「不安もあったけど、続けていればこんなに素敵な景色を見せてもらえるんだと思った」という言葉通り、目の前に広がっていたのはこのツアーでユナイトが勝ち取った未来へとつながるポジティブな絶景であった。
1日目、2日目共に、メンバーが溢れる想いをしっかりと言葉にしてファンに伝えていた場面も印象に残っている。1日目、感極まりながら椎名未緒は「ツアー前はマイナスなものを0に戻したいという気持ちだった。ゲストヴォーカル4人がユナイトに愛を持って取り組んでくれて、大事に曲を歌いたいと言ってくれた。失った以上のものをメチャクチャもらった」と話し、2日目には莎奈がこみ上げる様子で“テセウスの船”に自分たちを例えて話しながらも最後は言葉に詰まってしまったが、きっと入れ替わった新たに装填したパーツたちは、以前の姿を上回るものだと信じてやまない。
「ゲストヴォーカルにだけじゃなくて、メンバー4人にも感謝してるんですよ。マジで、ユナイトずっとやっていきましょう。だから、あなたたちもずっとU’s(ファン)でいてください」――椎名未緒
「CONTiNUE?」と題したツアーを通してメンバーが見出したかった、あるいは我々が欲しかった答えはこの椎名未緒の言葉で十分すぎるほど伝わった。バンドに起こった逆境を跳ねのけ、“続ける”という答えと同時に新しい可能性を武器にした今後の彼らのスケジュールは、続々と発表されている。特筆したいのは、2023年4月1日にEX THEATER ROPPONGIを舞台に行われる12th Anniversary oneman live [U&U’s -hope-]だろう。これからも、ユナイトは自分たちだけの“終わらない”かたちで在り続けていく。
文◎平井綾子
写真◎MASANORI FUJIKAWA
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●ユナイト 2022 Oneman Live Tour「CONTiNUE?」FINAL DAY1
10/12(水) 新宿BLAZE 〈guest vo:mitsu & CHISA (ACME)〉
【DAY 1】セットリスト
SE.Whopper
1.ユニコーン
2.ANOMiE?
3.ミドルノート
4.ubique
5.さよならユーフォリア
6.ベリアル
7.LEMON SQUASH
8.ノゾキアナ?
9.イオ
10.天狗
11.マーブル
12.無限ピクセル
13.液体の夜
14.FAQT
15.必殺
16.ice
17.アイ -‘ation-
18.starting over
19.ふわり
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ユナイト 2022 Oneman Live Tour「CONTiNUE?」 FINAL DAY2
10/13(木) 新宿BLAZE 〈guest vo:夕霧 (DaizyStripper) & 翔梧 (アンフィル)〉
【DAY 2】セットリスト
SE.Whopper
1.krake
2.A Little Picture
3.ナユタの秘密
4.PiNKY_she_SWeAR
5.THEATER -LA-
6.ベリアル
7.ice
8.small world order
9.ジュピタ
10.MiNOTA
11.レヴ
12.BadRequest
13.FAQT
14.ディシバダルツ
15.world wide wish
16.-ハロミュジック–
17.シトラス
18.staring over
19.ふわり
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<ツアー情報>
■ユナイト 2022 Oneman Live Tour「CONTiNUE?」(振替公演)
・11/9(水) 広島SECOND CRUTCH 〈guest vo:CHISA (ACME)〉
・11/10(木) 広島SECOND CRUTCH 〈guest vo:CHISA (ACME)〉
・11/28(月) 新横浜NEW SIDE BEACH 〈guest vo:翔梧 (アンフィル)〉
・11/29(火) 新横浜NEW SIDE BEACH 〈guest vo:翔梧 (アンフィル)〉
・12/17(土) 金沢AZ 〈guest vo:mitsu〉
■ユナイト 2022 Oneman Live Tour「CONTiNUE?」(追加公演)
・12/18(日) 金沢AZ 〈guest vo:mitsu〉
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<新規LIVE情報>
■「GOOD BYE 2022」
・2022年12月22日(木) HOLIDAY SHINJUKU 〈guest vo:ミケ(我が為)〉
■「HELLO 2023」
・2022年1月12日(木) HOLIDAY SHINJUKU 〈guest vo:夕霧(DaizyStripper)〉
■莎奈フィーチャーイベント「濃藍」
・2023年1月30日(月) Spotify O-Crest 〈guest vo:CHISA(ACME)〉
■莎奈フィーチャーイベント「白縹」
・2023年1月31日(火) Spotify O-Crest 〈guest vo:翔梧(アンフィル)〉
■LiNフィーチャーイベント「今井感謝祭 –ハロ君はじめまして–」
・2023年2月13日(月) Spotify O-Crest 〈guest vo:ハロ(ベル)〉
【O.A】寿司かも新米
■LiNフィーチャーイベント「今井感謝祭 -CHAMPION-」
・2023年2月14日(火) Spotify O-Crest 〈guest vo:mitsu〉
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■UNiTE. 12th Anniversary oneman live [U&U’s -hope-]
2023年.4月1日(土) EX THEATER ROPPONGI
※詳細解禁は11月24日(木)
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[ユナイト オフィシャルサイト]
[ユナイト オフィシャルTwitter]
https://twitter.com/official_unite