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2022年11月18日 (金)

【ライヴレポート】<DEZERT × Royz “デザートとロイズでアナタのハートに火はツキマス~?…多分ダイジョウブデスっ!” > 2022年11月15日 東京キネマ倶楽部◆混ぜたらキケンではなく、混ぜたらヤバい組み合わせ。

REPORT - 19:00:16

混ぜたらキケンではなく、混ぜたらヤバい組み合わせ。

どうやら、それがこの両者の組み合わせだったようだ。むろん、ここでのヤバいとは褒め言葉でしかない。

 

題して[DEZERT × Royz “デザートとロイズでアナタのハートに火はツキマス~?…多分ダイジョウブデスっ!” ]。

このたび東京キネマ倶楽部にて1115日に開催された注目の2マンライヴは、現在ともにシーンの中核でそれぞれに異なるポジションをしっかりと確立しているDEZERTRoyz が初の一騎打ちするものとなったのだが、案外その内容はバチバチだのギスギスしたものにはならず、それどころか予想以上の素晴らしい盛り上がりぶりを呈しながら、結果としては終演予定時間を大幅に超えてしまうほど大充実したものとなったのだった。

 

「一番手をつとめさせていただきますのはRoyzです。よろしくお願いいたします!まぁ正味、このタイバンが発表されたときは9割くらいのヤツが「DEZERTRoyz?!」って意外だったと思う。

想像が簡単につくようなライヴも悪くはないけど、でも結末どうなるんやこれ??っていうライヴの方がめっちゃ面白そうじゃない」(昴)

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今や活動歴が13年にもなってきたRoyzは、今宵どっしりとしたリズムと美しいメロディで深みのある光景を描き出した「月光」からそのステージをスタートしたあと、ヴォーカリスト・昴の高らかなアカペラからドラマティックなバンドサウンドへと展開していく「クロアゲハ」でしょっぱなから観衆を魅了していくことに。

「次にやる「α」という曲は、8年とか9年前くらいに初めて千秋と出会った時から「Royzがこれをシングルで出した頃、俺らは池袋のBlackHoleで動員5人とかでやったわ」ってずーっと今でも言われ続けてる曲で、アイツ呑むたびに毎回おんなじ話をすんねん()

その頃から縁はあったとはいえ、これまでそれが交じることはなかった中で、今回はせっかくの機会だからその曲をやろうと思います。

普段のライヴではあんまりやらないんで、Royzのファンはアイツに感謝した方がいいかもしれないです」(昴)

 

ちなみに、このライヴの直前に千秋がtweetしていた内容によると、彼から見たRoyzとはピカピカなバンドであるのだとか。

実際、ここで奏でられた「α」はギタリスト・杙凪の繰り出すタッピングや、ベーシスト・公大の躍動感あるプレイ、智也のシンコペを利かせたスティックワーク、昴のキラめくようなヴォーカリゼイションで渾然一体となったキラめきに彩られていたと言っていい。

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そして、このあと中盤に差し掛かったタイミングでは、なんと千秋がギターを持って突如乱入することになり、昴いわく“5人のRoyz”での「JOKER」を派手にブチあげてみせ、場内はよりいっそう沸き返ることになったのだ。

「千秋とは同じ関西の出ということもあって、お互い波長が合ったんやろな。仲良うさせてもらってます。ほんまはちょっとくらい憎まれ口のひとつでも言うたろかなと思ってたりしたけど()今はこうしてお呼ばれされたことを純粋に感謝してます。ありがとう。(中略)この2マンに向けて千秋といろいろ話してたのは、たった1回こっきりの2マンだけじゃなく、ここからヴィジュアル系というシーンの中で何かを動かしていく切っ掛けに出来たら良いなっていうことだったんやけど、俺らは本気でそう思ってるから。これからもよろしくお願いします!」(昴)

 

百戦錬磨のライヴバンド・Royzとして、限られた時間の中ではあったもののワンマンにも匹敵する凝縮されたパフォーマンスを見せつけてくれた彼らが、この夜「これが俺たちとおまえたちのアンチテーゼ!!」という言葉と共に放ったのは、強い訴求力をたたえた「ANTITHESIS」。

13年のキャリアに裏打ちされた貫録を漂わせる一方、今もって鋭く尖り続けているRoyzの矜持がその音の中にはあふれていた。

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では、そんなRoyzをこの場に召喚した側のDEZERTは果たしていかなる応戦ぶりをみせていったのかというと。

まず、彼らが1曲目としてこの空間に投下したのは重苦しさと痛みが音と詞から沁み出してくる「「絶蘭」」で、なんでも風の噂によるとリハーサル段階ではもともと全く別の曲がここで演奏されることになっていたとかいないとか

DEZERTとしては、当初のプランよりもさらに勝ちに行くための選択をしたのだろうか。確かに、次いでの「カメレオン」と「胃潰瘍とルソーの錯覚」への緩急ある流れも鮮やかであったし、何よりそのあとに奏でられた最新シングル『The  Walker』のカップリング曲「モンテーニュの黒い朝食」で聴けたバンドアンサンブルは、ドラマー・SORAの叩きだす肉感的なリズム、ベーシスト・Sacchanが聴かせた懐の深いフィンガリングプレイ、ギタリスト・Miyakoが響かせる軽妙かつモダンなカッティング、フロントマン・千秋による絶妙にラップ要素をコンフュージョンさせた歌と、各人の発する音の編みあわせぶりが実に秀逸で、そこには10年以上のキャリアを詰んできたバンドだからこその粋な風情が備わっていたように思う。

 

「はじめまして。俺らはRoyzとやるのも初だし、キネマ倶楽部でやるのも初めてです。(中略)このところDEZERT2マンシリーズというわけではないですけど2マンが続いてまして、10月には夕闇に誘いし漆黒の天使達とやって、このあいだはdeadmanとやってきました。

そして、今日のライヴはある意味でそのファイナルです。昴とは何ヶ月か前に一緒に呑んで、正直そこまで意気投合はしてへんねんけど」(千秋)

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というところから始まって、ここではしばし千秋がRoyzDEZERTをめぐる四方山話を披露してくれたのだが、逐一それに対して2階の関係者席から昴が良く通る地声でツッコミを入れていく様は完全に仲睦まじいの一言()

「まぁ、別にここからRoyzDEZERTでヴィジュアル系を盛り上げていこう!なんて大それたことは考えてなくて。

ただ、どっちも10年超えのキャリアで、やっぱり意思とか目標がないとやっていけないのも事実なのかなと。

最近は物価も上がってるし、チケット代も上げなあかんし、バンドマンを続けてくのもめっちゃ大変やねん。

そんな夢や自由なんてものは枯れ果てた我々10年プレイヤーですが、それでも行くしかないんですよ。だから、今日はケンカしないで仲良くやっていきたい」(千秋)

 

この言葉のあとに聴けた『The  Walker』収録曲である「あの風の向こうへ」と表題曲「The  Walker」から感じられたのは、それぞれに曲調こそ違えどいずれもDEZERTが音楽で表現する率直にして実直な志そのもので、それはとかくアマノジャク体質なバンドとしての表情をみせがちなDEZERTの抱く本音としても受け取れた。

もちろん、年明けの1月に行われる東名阪での[DEZERT LIVE TOUR 2023 「てくてくツアー」]でも、きっとDEZERTは揺るぎなき志を礎に現在進行形のリアルな姿をライヴの場でいきいきと発揮してくれるに違いない。

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なお、このあとの「「殺意」」では先ほどの千秋による乱入に対するお礼参りのかたちで昴が舞台へと登場。

お立ち台の上に一緒に乗って歌ったり、肩を組んだり、向かい合ってデスボで吠えあったりと、曲自体の醸し出す殺伐さをよそにまたもや微笑ましい様子をこれでもかとみせつけるに至った。

 

このような千秋と昴の関係性を仮に友情と呼んだとしたら、彼らはきっと「そんなえぇもんちゃう」とでも否定しそうだが。同じ時代に生き、同じフィールドで闘い、同じように人生を賭して音楽を続けてきた彼らの間には、やはり何か特別な絆があるのではなかろうか。

そのことを思うと、DEZERTがこの夜のラストソングとして聴かせてくれた「ミザリィレインボウ」での〈違いを赦して 違いを愛して〉という歌詞が、ことさらに意味深いものとして聴こえてきた。認めあう、ということはつくづく尊い。

 

さて。なかなかの長丁場となった[DEZERT × Royz “デザートとロイズでアナタのハートに火はツキマス~?…多分ダイジョウブデスっ!” ]の顛末がここからどうなったのかというと、アンコールでは千秋と昴がほぼ上方漫才と言って差し支えなかった長尺トークで場内をおおいに湧かせたほか、SacchanSacchanでキネマ倶楽部の名物であるバルコニーミニステージで何故か天童よしみの名曲「珍島物語」をひとしきり熱唱するなど、通常のライヴではありえない場面が続出。

また、Royzの「蒼蓮花」を昴が千秋のアコースティックギター、Sacchanの鍵盤をバックに歌い上げる一幕もあり、最後は出演者総出でDEZERTの「「君の子宮を触る」」をもって締めくくられた次第である。

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集った人々のハートに火が着くどころか、勢い良く燃え上がるほどの盛況ぶりをみせ、混ぜたらキケンどころか混ぜたらヤバい領域にまで達したDEZERT × Royzの2マンはひとまずこれにてお開きとなったとはいえ。

この夜からあらたに始まっていく未来がありえそうに思えることが、今はとても喜ばしい。

そう、多分ダイジョウブ!

 

 

写真◎上原俊

文◎杉江由紀

 

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DEZERT × Royz “デザートとロイズでアナタのハートに火はツキマス~?多分ダイジョウブデスっ!

20221115 東京キネマ倶楽部

 

Royzセットリスト>

 

1.月光

2.クロアゲハ

3.VIPERS

4.α

5.LILIA

6.JOKER

7.カルマ

8.マーブルパレット

9.Jack the Ripper

10.AFTER LIFE

11.ANTITHESIS

 

DEZERTセットリスト>

 

1.「絶蘭」

2.カメレオン

3.胃潰瘍とルソーの錯覚

4.モンテーニュの黒い朝食

5.大塚ヘッドロック

6.あの風の向こうへ

7.「ピクトグラムさん」

8.デザートの楽しいマーチ

9.「遺書。」

10.「殺意」

11.ミザリィレインボウ

 

EN1 蒼蓮花(Royzカバー)

EN2 「君の子宮を触る」

 

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Royz INFORMATION

 

≪リリース情報≫

Royz SUMMER ONEMAN TOUR Lync-TOUR FINAL-824Zepp DiverCity 発売中

BPRVD-465 / 6,600(税抜価格6,000)

【仕様】 トールケース仕様・片面二層DVD

 

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LIVE情報》

Royz WINTER ONEMAN TOUR DAYDREAM:||

 

115() 【千葉】 PALOOZA

1113() 【神奈川】 新横浜 NEW SIDE BEACH!!

1117() 【長野】 NAGANO CLUB JUNK BOX

1119() 【宮城】 SENDAI CLUB JUNK BOX

1122() 【新潟】 新潟GOLDENPIGS RED STAGE

1124() 【静岡】 浜松窓枠

1127() 【愛知】 名古屋SPADE BOX

1129() 【京都】 KYOTO MUSE

1201() 【香川】 高松DIME

1204() 【岡山】 岡山IMAGE~ワンマンライブ612回~

1206() 【福岡】 福岡DRUM Be-1

1208() 【広島】 広島SECOND CRUTCH

1211() 【大阪】 umeda TRAD

 

Royz SPRING ONEMAN TOUR

2023

319() 【神奈川】 新横浜 NEW SIDE BEACH!!

325() 【千葉】 PALOOZA

326() 【埼玉】 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3

41() 【愛知】 名古屋SPADE BOX

42() 【静岡】 浜松窓枠

49() 【大阪】 umeda TRAD

411() 【滋賀】 滋賀USTONE

413() 【兵庫】 神戸VARIT.

415() 【京都】 KYOTO MUSE

416() 【香川】 高松DIME

419() 【広島】 広島SECOND CRUTCH

422() 【福岡】 福岡DRUM Be-1

429(土・祝)【北海道】 札幌SPiCE

430() 【北海道】 札幌SPiCE

504(木・祝) 【岩手】 盛岡CLUB CHANGE WAVE

506() 【宮城】 SENDAI CLUB JUNK BOX

 

-TOUR FINAL- 522() 【東京】 恵比寿LIQUIDROOM

 

Royz ONEMAN LIVE 「昴生誕祭~スバフェス2023~」

2023214() 【神奈川】 川崎CLUB CITTA

 

Royz ONEMAN LIVE 「智也生誕祭~メチャ先やけど今から長ーいカウントダウンでもしましょうか~」

2023511() 【東京】池袋EDGE

 

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Royzオフィシャルサイト https://royz-web.net/ 

RoyzオフィシャルTwitter https://twitter.com/Royz_official 

 

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DEZERT INFORMATION

 

 

≪ライヴ情報≫

DEZERT LIVE TOUR 2023 「てくてくツアー」

 

202317日(土)なんばHatch  OPEN 16:30 / START 17:30 

全自由/座席有 ※入場整理番号付  () キョードーインフォメーション 0570-200-888

 

202319日(月・祝)名古屋DIAMOND HALL OPEN 16:30 / START 17:30 

全自由/スタンディング ※入場整理番号付 () サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

 

2023114日(土)TOKYO DOME CITY HALL OPEN 16:30 / START 17:30  

全席指定 () DISK GARAGE 050-5533-0888

 

★入場者全員に音源無料配布あり(各会場別)

17日公演:無料配布音源(なにわver)

19日公演:無料配布音源(尾張ver)

114日公演:無料配布音源(大江戸ver)

 

【チケット料金】 6,000円(税込) ※入場時ドリンク代別途必要

【チケット一般中】 https://linktr.ee/DEZERT_TekuTekuTour  

 

 

V系って知ってる? powered by MAVERICK DC GROUP

20221227日(火)日本武道館OPEN 13:00 / START 14:00

【出演】DEZERT / キズ / アルルカン / ムック / D’ERLANGER / girugamesh / VRespect Super Session

【チケット先行予約受付中】お申し込みは「V系って知ってる?」特設サイトへ https://www.vkei.jp/ 

 

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≪映像商品リリース情報≫

Blu-ray / DVD 「DEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 The Walkers”」 20221214 RELEASE

【オフィシャルサイト限定いちご盤】(Blu-rayCD64Pブックレット+オリジナルグッズ)DCXL-56 / 15,000円(税込、送料別)

 ※予約受付中

 ※予定数に達し次第、終了となります。お早めのご購入をお勧めいたします。

 予約販売受付はこちら https://dezert.stores.jp/ 

【通常盤】(Blu-ray) DCXL-7 / 7,700円(税込)

【通常盤】(DVD DCBL-21 / 6,600円(税込)

※通常盤のご予約はこちら https://DEZERT.lnk.to/KH7Vs8  

収録曲、購入者特典・イベント等詳細はこちら https://www.dezert.jp/news/detail/6140  

 

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≪シングルリリース情報≫

NEW SINGLE The Walker」 発売中

<初回限定盤(CD+DVD)> DCCL-245246 / 2,750円(税込)

<通常盤(CD)> DCCL-247 / 1,650円(税込)

 

<収録曲、特典等少佐ははこちら> https://www.dezert.jp/discography/detail/1110/  

CDの購入はこちら>https://DEZERT.lnk.to/lkh8oX   

<購入者対象イベント / 店舗別購入者特典 詳細はこちら> https://www.dezert.jp/news/detail/5510  

 

The Walker (Official Music Video)  https://youtu.be/wvfZDc54GPU   

モンテーニュの黒い朝食 (Official Music Video) https://youtu.be/5i6uCNi1m88  

The Walker (2022.06.18 日比谷野外大音楽堂) https://youtu.be/9cIXWg04Ngs  

 

≪オフィシャルファンクラブ情報≫

DEZERTオフィシャルファンクラブ「ひまわり会」 詳細はこちらhttps://www.dezert.jp/  

 

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2022年11月18日 (金)

【ライヴレポート】<メリー・”黒い羊”>2022年11月12日東京・神田スクエアホール◆結成20周年を締め括る「東京大ストリップショウ[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~」。年月とともにバンドは確実に変化しているけれど、それがメリーらしくあればいい──。

REPORT - 12:00:49

メリーが、1112日東京・神田スクエアホールで結成20周年を締め括る「東京大ストリップショウ[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~」を開催した。

メリーの歌モノ、バラード曲で構成される白い羊と、激しい曲で構成される黒い羊のライブを2回に分けてレポートする。

 

 

「バンドってめちゃくちゃいいですね」

公演を終えたステージで、はにかんだような笑顔を湛えてそう言ったのはヴォーカルのガラだった。メリーの20年間が順風満帆だったならば、ここでこの言葉は出なかったのかもしれない。20周年を記念して9月に発表した楽曲は「夜明け前」。“夜明け前が一番暗い”というイギリスの古い諺がある。苦難の時は終わりかけが最も苦しいが、明けない夜はない。波乱万丈という言葉が代名詞のようになっているバンドだが、この頃のメリーは一番暗い中にあったのかもしれない。そう考えると、ガラが最後に発したこの言葉は“夜明け”を感じさせるものであった。

 

メリーの“白い羊・黒い羊”は、歌モノを中心に聴かせる“静”と、ライヴで激しく盛り上がる“動”というメリーの二つの世界観をそれぞれに観せる企画ライヴとして、これまでも何度か開催されていたが、今回は白と黒の両方で演奏された曲や、歌モノでありながら黒の方で披露された曲など、これまでとは少し違った選曲になっていた。その理由について、“白い羊”はじっくりとアレンジに取り組みたくて早々にメニューを組んでいたこと、そして“黒い羊”は事前にSNSで募集したリクエストの結果をもとに組んだため数曲被ってしまったと、結生(G)の弁。そういえば4人になってからの“白い羊・黒い羊”は今回が初のこと。アレンジをイチから練らなければいけなかったということは安易に想像できる。曲被りは、白い羊のアレンジと黒い羊のリクエストに真面目に向き合った結果だったのだが、同じ曲を白と黒の両方で披露されたことで彼らのアレンジ力の高さ、表現力の高さを目の当たりにできたのは、とてもラッキーだったと思う。

 

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黒い羊のステージには、「黒い羊」と墨で書かれた大きな和紙が掲げられている。SEの「六本木ジャジー喫茶」が流れると、フロアは総立ち状態。メリーのライヴに帰ってきたんだな~とノスタルジックに浸っているところに、登場したメンバーが繰り出したのは「バイオレットハレンチ」。トイレットペーパーが“メリー、ここに在り”と言わんばかりに左右から吹き上がる。「黒い羊」の文字は破り捨てられ、同じく墨で書かれたタイトルが出てきた。その演出も懐かしい。白い羊では静かにステージを見守っていたオーディエンスも、水を得た魚のように生き生きと、両手を左右に振り上げた。「やっちまおうぜ!神田―!」と煽ると、「ジャパニーズモダニスト」「絶望」とキラーチューンを畳み掛ける。白い羊では繊細に情感を表現していたガラのヴォーカルも、黒い羊では野太くがなっている。「窓」から続く「窓」では、勢いに乗れずガラが演奏を止め、もう一度やり直す場面も。結生のギターソロが冴えた「イエローガール」から少しインターバルを取り、「R-246」や「平日の女」の切ないミディアムナンバーをバンドサウンドでガンガン心に撃ち込んでくる。「さよなら雨(レイン)」は原曲の形で哀愁たっぷりに聴かせた。

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箏曲の「六弾の調べ」をBGMに、「黒い羊へようこそ」「今日/たのしんで」などとガラが書道でMC。メジャーデビュー作『nuケミカルレトリック』からの人気曲「首吊りロンド」「溺愛の水槽」と2曲続けた後、ジャムセッションのような形で「オリエンタルBLサーカス」のイントロの“回せ回せ”を何度も繰り返す。「今日は20年分しつこくいくぞー!」とガラが叫び、さらに何度か繰り返された後、ようやく「オリエンタルBLサーカス」がスタートすると、フロアにヘドバンの海が広がった。「陽の当たらない場所」「千代田線デモクラシー」「梟」とメッセージ性の高いアップチューンで気持ちを昂揚させたところで、吉村氏を再び呼び込み、ラストの「夜明け前」を5人でのバンドサウンドで届けた。“立ち止まるな/振り返るな/終わりじゃない”。まるで自分に言い聞かせるように、絶叫しながら歌うガラ。メンバーを後ろから照らすライティングと、希望を鳴らすようなアンサンブルは、まるで夜明けの光のようだった。

 

アンコールでガラはマントを羽織り、学生帽を被ったバンカラ姿で登場。もう一度ギターを抱えると、「チック・タック」を再び。こちらは口笛も入った原曲に近いバージョン。後半にはガラのギター1本とヴォーカルだけになる見せ場もあった。これからの季節にふさわしい「冬のカスタネット」をしっとりと聴かせた後、「不均衡キネマ」「T.O.P.」「愛国行進曲」で一体感を作り、ラストは「15周年の時に作って、ずっと大切に歌ってきた曲を最後に歌います。俺たちと君たちの大事な曲です」と「群青」へ。君(ファン)と羊(メンバー)をタイトルにもつこの曲の中で、“一番近くで 照らし続けてよ 太陽”と歌う。“太陽”とはファンのこと。白い羊での「夜明け前」のアウトロでガラが“太陽”と連呼したのも、そういう意味だったのだろう。「群青」のアウトロでも、“太陽 照らしてください”と歌詞にないフレーズをつけ加えた。

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リクエスト曲で構成した“黒い羊”では特に、メリーの王道と言える懐かしいタイトルが並んでいたが、この“白い羊・黒い羊”を見終えた後の印象として強く残ったのは、“今のメリー”の姿であり、今のサウンドであった。年月とともにバンドは確実に変化しているけれど、それがメリーらしくあればいい。そんなことを帰りながら思った。ライヴ中、202314日(水)に東京・目黒鹿鳴館でニューイヤーライヴを開催することを発表した。新章の幕開けを、彼らの原点である会場で行なうという。それもメリーらしい。やがて夜明けが来て、太陽とともに、陽の当たる場所にいるメリーの姿を見ていたいと思う。新しい一歩を踏み出したメリーの未来に期待を寄せて。

 

 

文●大窪由香

ライブ写真●中村卓 (2022.11.12@神田スクエアホール)

 

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メリー 20th Anniversary東京大ストリップショウ

[グランドフィナーレ]

~白い羊・黒い羊~

20221112() 神田スクエアホール

 

[~黒い羊~セットリスト]

SE 六本木ジャジー喫茶

1. バイオレットハレンチ

2. ジャパニーズモダニスト

3. 絶望

4. 窓       

5. 夜光

6. イエローガール  

7.  R-246               

8. 平日の女

9. さよなら雨   

10. 首吊りロンド

11. 溺愛の水槽

12. オリエンタルBLサーカス 

13. 陽の当たらない場所

14. 千代田線デモクラシー

15.

16. 夜明け前

 

アンコール

17. チック・タック

18. 冬のカスタネット

19. 不均衡キネマ

20. T.O.P                    

21. 愛国行進曲   

22. 群青

 

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RELEASE INFO

20周年記念楽曲

『夜明け前』【会場・通販限定盤】

11/17()より、メリー公式通販サイトで販売

https://www.galaxybroadshop.com/collections/merry

 

\1,800 EPジャケットサイズ

 

【収録曲】

1.夜明け前

2.バイオレットハレンチ

  (メリー 20th Anniversary 東京大ストリップショウ 2022723() ダンスホール新世紀 極楽結)

3.遠い昔の恋愛ソング

  (メリー 20th Anniversary 東京大ストリップショウ 2022723() ダンスホール新世紀 JAZZメリー)

 

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LIVE INFO

202314()目黒鹿鳴館にて2023年のオープニングLIVE開催決定!

メリー 2023 OPENING LIVE

「ニューイヤー鹿鳴」

2023/1/4() 目黒鹿鳴館

※詳細は後日発表致します。

 

 

VERY MERRY Xmas【実演配信】

History of メリー M.E.R.R.Y.編 アンダーワールド編

1225(品川Club eX

M.E.R.R.Y.編 開場14:30 / 収録開始 15:00

アンダーワールド編 開場18:00 / 収録開始 18:30

 

チケット料金

各¥7,000(クリスマス特典付 諸経費込・D代別)

 

<tTicket Info.>

MERRY MEMBERS CLUB CORE先行受付

[受付期間] 2022/11/18()12:0011/22()23:59

[当落発表/入金期間] 2022/11/24()12:0011/28()23:59

TicketTown

2022/11/1時点有効会員様(2022/10/20までにご入会・ご更新(ご入金)された方)が対象となります。

 

MERRY ONLINE先行受付 

[受付期間] 2022/11/24()12:0011/28()23:59

[当落発表/入金期間] 2022/12/1()12:0012/5()23:59

TicketTown https://www.tickettown.site/

※受付期間中にご入会(月額会員登録)いただいた方も対象となります。

 

・プレイガイド先行

[受付期間] 2022/12/1()12:0012/5()23:59

イープラス https://eplus.jp/

 

・一般発売

2022/12/9()10:00

TicketTown https://www.tickettown.site/

イープラスhttps://eplus.jp/

 

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◆メリー公式リンク◆

公式サイト http://merryweb.jp

公式Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/user/MERRYOfficial

公式Twitter https://twitter.com/merry_official

公式Instagram https://www.instagram.com/merryofficial/


2022年11月17日 (木)

【ライヴレポート】<メリー・”白い羊”>202年11月12日東京・神田スクエアホール◆結成20周年を締め括る「東京大ストリップショウ[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~」。「バンドってめちゃくちゃいいですね」──。

REPORT - 21:00:42

メリーが、1112日東京・神田スクエアホールで結成20周年を締め括る「東京大ストリップショウ[グランドフィナーレ]~白い羊・黒い羊~」を開催した。

メリーの歌モノ、バラード曲で構成される白い羊と、激しい曲で構成される黒い羊のライブを2回に分けてレポートする。

 

 

「バンドってめちゃくちゃいいですね」

公演を終えたステージで、はにかんだような笑顔を湛えてそう言ったのはヴォーカルのガラだった。メリーの20年間が順風満帆だったならば、ここでこの言葉は出なかったのかもしれない。20周年を記念して9月に発表した楽曲は「夜明け前」。“夜明け前が一番暗い”というイギリスの古い諺がある。苦難の時は終わりかけが最も苦しいが、明けない夜はない。波乱万丈という言葉が代名詞のようになっているバンドだが、この頃のメリーは一番暗い中にあったのかもしれない。そう考えると、ガラが最後に発したこの言葉は“夜明け”を感じさせるものであった。

 

メリーの“白い羊・黒い羊”は、歌モノを中心に聴かせる“静”と、ライヴで激しく盛り上がる“動”というメリーの二つの世界観をそれぞれに観せる企画ライヴとして、これまでも何度か開催されていたが、今回は白と黒の両方で演奏された曲や、歌モノでありながら黒の方で披露された曲など、これまでとは少し違った選曲になっていた。その理由について、“白い羊”はじっくりとアレンジに取り組みたくて早々にメニューを組んでいたこと、そして“黒い羊”は事前にSNSで募集したリクエストの結果をもとに組んだため数曲被ってしまったと、結生(G)の弁。そういえば4人になってからの“白い羊・黒い羊”は今回が初のこと。アレンジをイチから練らなければいけなかったということは安易に想像できる。曲被りは、白い羊のアレンジと黒い羊のリクエストに真面目に向き合った結果だったのだが、同じ曲を白と黒の両方で披露されたことで彼らのアレンジ力の高さ、表現力の高さを目の当たりにできたのは、とてもラッキーだったと思う。

 

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白い羊の幕開けは、1stアルバム『現代ストイック』収録のシャッフルナンバー「ブルージーナイト」。ハッとさせられるほど力強かったピアノイントロはゲストサポートの吉村隆行氏によるもの。続く「路地裏哀歌」ともに、ギターとピアノとの絡みが美しく、リズムを刻むネロのドラムとテツもベースも艶やかだ。そこに乗る哀愁を帯びたガラのヴォーカルがよく映える。「さよなら雨(レイン)」ではアウトロでガラが加えた切ないフレーズが余韻を残した。オーディエンスは着席スタイルでじっくりと耳を傾けている。ステージの上と天井を飾った球体には、タイトルの文字やCDジャケットの絵柄、雨や海の風景が映し出され、視覚的な演出も凝っていた。視覚的といえばガラのパフォーマンスも目を引いた。「遠い昔の恋愛ソング」では黒いハットを斜めに被り、大きく水を掻くように腕を動かしたり、「恋哀交差点」ではピアノをバックに力強い歌声を聴かせたと思えば、歌謡曲調の「kamome kamome」ではソファに座って静かにハスキーな声を響かせた。

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結生がアコースティックギターに持ち替え、ネロがカホンを、テツがアップライトベースを奏でたのは「クライシスモメント」。イントロのガラのアカペラからグッと惹きつけられたし、続く「カナリア」のアコースティックバージョンも、抒情的なアンサンブルとガラのハイトーンのヴォーカルがエモーショナルだった。ここで吉村氏を呼び込み、「メリーはいろいろあったんですけど、これからもあると思います。まだまだ観たい景色、届けたい歌がたくさんあるので、20周年分の感謝を込めて白い羊歌うので持って帰ってくださいね」と語ったガラは、「普段あまりやることがない」と言いながら、「親よりも付き合いが長いと思います」とネロを、「このギターがいなかったら僕はたぶんここで歌ってないと思います」と結生を、「僕のラブコールに応えて東京に来てくれた」とテツを紹介した。20年、苦楽をともにしてきたメンバーへの思いは深い。ミラーボールの光がムーディーな空間を作ると、ブルージーな「東京テレホン」、そして「林檎と嘘」へ。1番をゆったりとした演奏とヴォーカルで聴かせた後、原曲と同じテンポにテンポアップするアレンジは白眉だった。ピアニカのような音色のシンセがよりレトロ感を増した「赤い靴」、本編ラストはシティポップテイストの「ブルームーン」で締めくくった。

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アンコールではガラもアコースティックギターを持ち、「チック・タック」と「木洩れ日が僕を探してる…」の2曲を披露。結生と向き合ってギターを掻き鳴らす姿はなかなか様になっていたように見えたが、「久々にギターを練習したんですけど、やっぱり本番ではめちゃ緊張しますね。しかもこんな(ポンチョのような)服を着てきちゃって。そういうところもダメなんだろうな。しかも柄に柄を合わせてしまって…」と、本人は変なところで反省モード。「出会いも別れもあって、大変なこともあったけど、楽しいこと、面白かったこと、たくさんの思い出があります。僕は20年も続けられたものはないので、メリーが合っていて、メリーが好きなんだと思います。この思いを歌詞にして届けたいと思います」と最後に歌ったのは、「夜明け前」。ピアノと歌だけというシンプルな構成で、強い思いを歌に込める。アウトロで「太陽!太陽!太陽!」とシャウトするガラの姿が脳裏に焼きついた。

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文●大窪由香

ライブ写真●中村卓 (2022.11.12@神田スクエアホール)

 

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メリー 20th Anniversary東京大ストリップショウ

[グランドフィナーレ]

~白い羊・黒い羊~

20221112() 神田スクエアホール

 

[~白い羊~セットリスト]

1 ブルージーナイト 

2 路地裏哀歌

3 さよなら雨

4 遠い昔の恋愛ソング

5 恋哀交差点

6  kamome kamome

7 クライシスモメント

8 カナリア

9 東京テレホン

10 林檎と嘘 

11 赤い靴

12 ブルームーン

 

アンコール

13 チック・タック

14 木洩れ日が僕を探してる…

15 夜明け前

 

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RELEASE INFO

20周年記念楽曲

『夜明け前』【会場・通販限定盤】

11/17()より、メリー公式通販サイトで販売

https://www.galaxybroadshop.com/collections/merry

 

\1,800 EPジャケットサイズ

 

【収録曲】

1.夜明け前

2.バイオレットハレンチ

  (メリー 20th Anniversary 東京大ストリップショウ 2022723() ダンスホール新世紀 極楽結)

3.遠い昔の恋愛ソング

  (メリー 20th Anniversary 東京大ストリップショウ 2022723() ダンスホール新世紀 JAZZメリー)

 

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LIVE INFO

202314()目黒鹿鳴館にて2023年のオープニングLIVE開催決定!

メリー 2023 OPENING LIVE

「ニューイヤー鹿鳴」

2023/1/4() 目黒鹿鳴館

※詳細は後日発表致します。

 

 

VERY MERRY Xmas【実演配信】

History of メリー M.E.R.R.Y.編 アンダーワールド編

1225(品川Club eX

M.E.R.R.Y.編 開場14:30 / 収録開始 15:00

アンダーワールド編 開場18:00 / 収録開始 18:30

 

チケット料金

各¥7,000(クリスマス特典付 諸経費込・D代別)

 

<tTicket Info.>

MERRY MEMBERS CLUB CORE先行受付

[受付期間] 2022/11/18()12:0011/22()23:59

[当落発表/入金期間] 2022/11/24()12:0011/28()23:59

TicketTown

2022/11/1時点有効会員様(2022/10/20までにご入会・ご更新(ご入金)された方)が対象となります。

 

MERRY ONLINE先行受付 

[受付期間] 2022/11/24()12:0011/28()23:59

[当落発表/入金期間] 2022/12/1()12:0012/5()23:59

TicketTown https://www.tickettown.site/

※受付期間中にご入会(月額会員登録)いただいた方も対象となります。

 

・プレイガイド先行

[受付期間] 2022/12/1()12:0012/5()23:59

イープラス https://eplus.jp/

 

・一般発売

2022/12/9()10:00

TicketTown https://www.tickettown.site/

イープラスhttps://eplus.jp/

 

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