2022年12月01日 (木)
MELLOの天聞(アモン)、しばし歌うことを封印。物語のピリオドを打ったイベント「〓天聞の最期〓」で見せた雄姿!
REPORT - 19:00:02「人は、一生夢を見続けてゆく生き物」と言われている。確かに、そうだろう。でも、いつかは物語も完結するように、夢もまた、いつかはピリオドを迎えるときが来る。それが、早いか遅いかの違いだけであって…。
MELLOが活動の狼煙を上げたのが、2006年1月と。最初に筆を置き、物語を封印したのが2009年のことだった。その間、メジャーデビューも経験した。封印を解き、ライブ活動を再開したこともあった。
MELLOはけっして、解散という言葉を使うことはなかった。メンバーそれぞれが、いろんな人生を歩む中でも、MELLOという看板の灯を消すことはなかった。だが…。
2022年 11月12日(土)、MELLOは恵比寿LIQUIDROOMを舞台に「〓天聞の最期〓」と題した主催公演を行った。12年ぶりに復活したMELLOだったが、この日を持って、ヴォーカルの天聞は、しばし歌うことを封印した。彼は、人生を懸けたMELLOという姿を持って、みずからの音楽という物語へひとまずピリオドを打つ決心をした。横には、盟友の峻(G)と智(B)がいた。サポートメンバーには、匠(sukekiyo)とSAKURA(Rayflower)を迎えていた。天聞は、夢を詰め込んだMELLOの仲間たちと、最後に音を楽しむことで、みずからの喉をしばし封印した。
この日、Ricky・SAISEIGA・Duel Jewel・0.1gの誤算が天聞を送り出すため、イベントへ参加。さらに、司会を団長(NoGoD)が担当。彼らの熱いライブというエールを受け、イベントのトリを飾る形でMELLOが舞台に姿を現した。
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MELLO
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物語のフィナーレを飾るライブの、その幕開けを告げたのが『彩撃のヴェクトル』。思えば、この歌が、MELLOの物語へヒリオドを打つことになった楽曲だった。それを幕開けに持ってきたことで、いろんな想いが胸を駆けめぐっていた。
ヒステリックでサイコ&メロウな旋律に乗せ、フロアをジッと見据えた天聞が朗々と『彩撃のヴェクトル』を歌いだす。彼は、この舞台の上から最後の輝きを降り注ぐように、高らかに声を響かせていた。天聞が音楽の世界から身を引く理由が、声帯を壊したことにある。それでもこの日の天聞は、背中を強く押す激しく重厚な音を力に、朗々と歌いあげていた。進撃する轟音と共に、天聞は抱いた想いをすべて解き放とうと歌っていた。彼の誘いを受け、フロア中で揺れる無数の手。『彩撃のヴェクトル』に触れながら、改めて天聞は,MELLOを。天聞自身の心を支え続けてくれた人たちに、この曲を通して感謝の想いを伝えたかったのだろう。
跳ねた漆黒な演奏に乗せ、天聞は手にしたランタンを高く掲げ、フロア中を照らすように『Labyrinth』を歌いだす。いろんな想いを持ってこの空間に足を運んだ人たちを、天聞は悪夢の世界へと誘い、幻夢を見せてゆく。熱く煽る天聞や演奏陣に刺激を受け、嬉しく踊り騒ぐ観客たち。彼らが導いた迷宮の中、誰もが忘れたくない夢の中で宴に狂じていた。まさに、魔法にかかったようなひとときだ。
「こうやってみんながいるからこそ、今日は思い残すことなく歌えるので、みんなついてきてくれますか!!」。天聞の声を受け、楽曲は『With the Modern』へ。ヒステリックでサイコティックなロックンロールサウンドが炸裂。天聞は、はギラギラと色濃く輝く極彩色な音の上で踊るように歌声を響かせていた。身体をザクザクと切り裂くようなヒリヒリとしたロックンロールを突きつけ、観客たちを煽るメンバーたち。その音の上で、天聞は妖しくも歌謡メロウな歌を響かせ、観客たちの心を嬉しく酔わせていた。酩酊してゆくような感覚?そうだろう。激烈した音がヒリヒリと身体をいたぶりながらも、天聞の歌う甘く誘う歌声に気持ちが落ちてゆく。
「まずは声帯の状態を良くするための時間に費やしたいと思います。もし改善したら、またステージに現れるかも。そのときを夢見ながら頑張ろうと思います」
本当にあっと言う間だった。最後にMELLOは『I’ll OmeN』を演奏。天聞が、MELLOのメンバーらが、すべての想いをこの曲に詰め込みながら、壮麗かつ心打つシンフォニックでメロウな音楽をフロア中に響かせた。この空間を切り裂くように、胸に抱いた想いを突き刺すように歌う天聞の声が、観客たちの心にも痛く突き刺さる。とても雄大な楽曲に相応しい、雄々しい歌声だ。でも、そこには強い熱情を宿していたからこそ、ひと言ひと言受け止めるたびに、心臓をガシッとつかまれ癒さぶられるような衝撃も覚えていた。天聞は心の涙をこの歌に託し、一人一人の胸に染み込ませていった。
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SESSION A班
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この日は、最後に2つのセッションバンドが登場(メンバーは*を参照)。最初にステージに上がったSESSION A班は、X JAPANの『Silent Jealousy』と『Endress Rain』を演奏。メンバーの選出や、楽曲の選曲は,天聞のリクエストによるもの。
このSESSIONはトリプルヴォーカルという理由もあり、一人一人の歌声が手渡されるたび、楽曲へ異なる色が塗られていく様がとても印象的だった。もちろん、3人の歌声が一つに重なったときの華やかな、でも熱情した歌声の彩りや、臨場感を持った演奏も刺激的だった。誰もが知る楽曲という理由もあり、フロア中の人たちも、拳を突き上げ、手の花を咲かせ、無邪気に楽しんでいた。この2曲に、天聞は舞台袖からセリフパートで参加していたことも伝えておこう。
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SESSION B班
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続くSESSION B班(メンバーは*を参照)には、天聞も参加。最初に披露したのが、HYDEが楽曲を手がけ、中島美嘉が歌った『GLAMOROUS SKY』。歌ったのがRagan。このメンバーが繰り出す演奏が、恵比寿LIQUIDROOMという空間に晴れた青空を描きあげていった。
その青空からhideの魂を降臨させるように、次に披露したのが、天聞が生まれて初めてバンドで演奏をしたhideの『DICE』。その曲を、天聞と緑川裕宇がツイン・ヴォーカルで歌唱。天聞のがなるような煽りから演奏はスタート。天聞と緑川裕宇が、互いに声を唸らせ歌を交わしあう。バトルしてゆく、その様がとても刺激的だ。途中には、2人がハモル部分も登場。最初は刺激しあっていた2人だが、最後は共に気持ちを一つに力強く歌いあげていった。
天聞自身は、悔いを背負いながら長い休みにつく。しっかり喉を直したとき。天聞はふたたび舞台に帰ってくる。それが何時になるかはわからないが、天聞は舞台の上で約束していたので、そのときを気長に待とうではないか。
最後に、天聞自身の記した言葉を、ここに残したい。
およそ20年、バンド活動に身を捧げて来ましたが、後半は機能性発声障害に苦しむ日々でした。
病を患ってからは唄う事に楽しみを見出せない。
治療も10年、続けました。
しかし根本的に治す手段が未だに確立していない為、ここで一度、一区切りとする事にします。
札幌から始まり、東京進出、メジャーデビューもさせてもらいました。
これからと云う時でしたので非常に無念極まりないとは思います。
事を謀るは人に在り。事を成すは天に在り。
これもまた天命でしょう。
幸い、元メンバー達や同期がとても活躍してくれているので、私はみんなをバックアップしつつ暫し隠居します。
万が一、改善したら、それが何年後か判らないけれど何かしら検討したいと考えています。
私を応援してくれているファン、
関係者総ての方々に感謝御礼を。
ですので、改めて今後とも何卒 宜しくお願い申し上げます。
2022年12月1日
天聞
PHOTO:折田琢矢
TEXT:長澤智典
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2022年11月12日(土)
東京・恵比寿LIQUIDROOM
「〓天聞の最期〓」
【出演】
・MELLO
・Ricky
・DuelJewel
・0.1gの誤算
・SAISEIGA
・セッション
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●MELLOセットリスト
『彩撃のヴェクトル』
『Labyrinth』
『With the Modern』
『I’ll OmeN』
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●SESSION A班
『Silint Jealousy』
『Endress Rain』
-Vo-
Ricky
隼人(Duel Jewel)
団長(NoGoD)
-G-
河村友雪(O.1gの誤算)
裕弥(Duel Jewel)
-B-
綾葉(dAZZLING bad)
-Key-
DIE
匠
-Dr-
MINAMI(ex:MASK/ex.AMBEEK)
…………………………………………
●SESSION B班
『GLAMOROUS SKY』
『DICE』
-Vo-
天聞(MELLO)
Ragan(SAISEIGA)
緑川裕宇(0.1gの誤算)
-G-
匠(sukekiyo)
Wakkun(SAISEIGA)
-B-
綾葉(dAZZLING bad)
-Key-
DIE
-Deo-
桐子(SAISEIGA)
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天聞 Twitter
2022年11月23日 (水)
【ライヴレポート】<NICOLAS「KUSOTTARE IS BACK 2022 “天獄への階段”>2022年11月13日(日)東京キネマ倶楽部◆「死ぬ気でやれ、でも死ぬな!生きてみせろ!」
REPORT - 12:00:156都市13公演行った全国ツアー「NICOLAS「KUSOTTARE IS BACK 2022 “天獄への階段“」。同ファイナル公演が、11月13日(日)に東京キネマ倶楽部で催された。長く心を共にしてきたドラマーRITSUの卒業を受け、新たにバンドを固めようと進めてきた今回のツアー。NICOLASが何度もツアータイトルに掲げてきた「クソッタレ イズ バック」の言葉。その意味も含め、この日、彼らが東京キネマ倶楽部に描いた出来事を、ここに報告したい。
現実から意識を遠ざけるように幻惑したSEが流れだす。メンバーらの登場に合わせ、フロア中から沸き上がる歓声・歓声・歓声…。この日は、マスク越しなら声出しがOK。ファンたちも、溜まっていたフラストレーションを早くも絶叫に変え、4人にぶつけていた。
その喧騒を一気に消し去るよう、ライブはバラードの『UMBRA』から厳かに始まった。重く、でも切なさを抱いてゆったりと唸る演奏の上で、語り部となったSAKUが、フロア中でうずうずしている人たちの心へ、言葉に込めた想いを一つ一つ響かせる。そこには、大きなうねりを描く前の静かなる胎動が生まれていた。
さぁ、ここからは闇の世界へ落ちて狂ってしまえ。場内中の人たちを、理性を消し去り本能のままに生きる姿へ塗り替えるように『INSANITY NIGHTMARE』を演奏。SAKUの声に向け、拳を振り上げ、絶叫した声を返す観客たち。サビでは、胸に響くSAKUのメロディアスな歌の指揮に合わせ、大勢の人たちがその場で飛び跳ねる。SAKUは生きるための強い意志を、それを教えてくれた仲間たちへ向け浪々と歌っていた。
ZEROの弾く重厚なベースのリフメロを合図に、楽曲はさらに重さを増す。呪詛を唱えるように言葉を突き刺すSAKUの姿も印象的な『因果応報』だ。メンバー全員が、演奏しながら身体を大きく折り畳む。フロア中の人たちも、黒い音符の数々が跳ねるのに合わせ、共に大きく跳ね続ける。
ヒステリカルでサイバーなデジタルサイコモッシュナンバーの『VITAL SIGNS』が飛び出すのを合図にフロア中の人たちがモッシュし始めれば、SAKUの煽りと対峙するようZEROと一緒に「Oi!Oi!」と声を張り上げ、高く拳を突きあげる。ここにはコロナ前、当たり前にあった熱狂の景色が生きていた。制限された中でさえ、理性を壊し、みずからの熱情を全力でぶつけるライブの楽しみ方を、NICOLASと観客たちは作りあげていた。ほぼ移動のない中でも、飛び跳ねるように全力でモッシュする観客たちの熱情ぶりが胸を熱くさせる。メンバーらが観客たちを熱く煽りたくなるのも当然だ。
「かかってこい!!」の声が、次の熱狂の合図だ。ZEROの煽りに合わせ、フロア中の人たちが拳を突き上げ、共に声を張り上げる。NICOLASは『赫い部屋』を通し、フロア中の人たちの身体を大きく折り畳み、時に大きく手を揺らし、この空間に熱情したたくさんの花を咲かせていた。間奏で見せた、攻撃的ながらもメロディアスなSATSUKIのギターソロ。AKANEが頭を振り乱し狂った様でギターを掻き鳴らせば、観客たちも、SAKUの歌へグイグイと引っ張られるように乱れ狂っていた。
演奏は、さらに重厚さを増す。4人は『腕』を奏で、闇が支配する奈落の世界へ観客たちを引きずり込む。彼らは攻撃の手を緩めることはない。1曲ごとに観客たちの理性の螺子をいろんな曲調のドライバーで外しては、忘れたい現実という記憶をどんどん垂れ流す。
AKANEの攻撃的なギターリフが呼び込んだのが、『「廃論破」』だ。SAKUが「論破 論破 論破」と叫ぶ声に合わせ、フロア中の人たちが心を自由に解き放つように飛び跳ねる。この日の公演でも彼らは、ゴシップ/NICOLASの楽曲を組み合わせ、届けていた。曲を重ねるにつれ、演奏の激しさと観客たちの共鳴ならぬ狂鳴度が増していたのも印象的だ。
暴れ騒ぐ観客たちへ、4人は『ベビーシッター』を通して興奮というエナジーをさらに注入。どの曲もそうだが、変幻する曲や歌の表情に合わせ、観客たちも気持ちを重ねあわせ、振りや煽りに狂(興)じていた。『ベビーシッター』でも、SAKUとZEROのやりとりにあわせて全力でヘドバンする観客たち。間違いなくこのフロアは、理性を消し去り、本能の服を身にまとった人たちが支配するカオスな空間に染まっていた。
サポートドラマーHAYATE(哲郎)の激熱なドラムソロが登場。いつしか楽曲は、跳ねた演奏も心地好い妖艶でジャジーな表情へ。観客たちの心を淫らに塗り上げる『罠』だ。軽快に跳ねた、重厚ながらも華やかなダンスナンバーに乗せ、一緒に心を絡ませるように踊り、寄り添いあおう。SAKUの煽りを合図に、メンバーと観客たちが一緒に跳ね続ける光景も胸に熱い。
痛く突き刺さる演奏なのに、そこには不思議と温もりを覚える。SAKUも、温かくおおらかな歌声の手で観客たちを抱きしめるように『モザイク』を歌っていた。先の『罠』も、そう。『モザイク』でも、視点は異なれ、もがき苦しむ心の葛藤を認め、そこから逃れ、理想を求めようと願う心模様を彼らは伝えていた。中でも『モザイク』では、SATSUKIの甘くメロウなギターソロや旋律も含め、彼らは、たくさんのガラスの破片が刺さった両手で優しく抱きしめるように歌い奏でていた。そこに感じた優しい痛みを通し、一緒に生きる標を求めたい気持ちに染まっていた。
ノリ良くつかみを持って疾走。続く『奇想天外ブラインドラブ』は、一緒に歌を口ずさみたくなるキャッチーでメロディアスなロックナンバー。飛び跳ね歌うSAKUに合わせ、一緒に跳ねる観客たち。この曲でも、SAKUとZEROの熱い煽りに向かって声を張り上げる場面も含め、一緒に熱情したうねりに身を任せ、誰もが無邪気な少女や少年に戻って騒いでいた。
「今日は声出しあり、何でもあり」とSAKUは語っていた。この日で、ツアー13階段(本)目。まさに、いろんな意味で天獄へ最も近づいた段数だ。その想いを楽曲として具現化した『ECHO OF SILENCE』を、ここで演奏。祈りにも似た声で歌うSAKU。彼の感情をゆったり押し上げるように、楽器陣が演奏。胸に抱いた想いを届けるように歌うSAKUの声が、涙を呼び起こす。フロア中の人たちはメンバーらの姿を凝視していた。祈るように歌い奏でるその様へ。SAKUの魂を震わせながら歌う声に、心が嬉しく縛られていた。
AKANEとSATSUKIの悲しげなギターの旋律が響き渡る。その悲しみを掻き消すようにSAKUが絶叫。それを合図に楽曲は一気に熱を溜め込み、ふたたびバーストした。高ぶる気持ちをエナジーに、SAKUと楽器陣が『Delighted』を通して興奮という名のエンジンを奮わせた。つかみを持った、激烈でアッパーなエモい楽曲だ。「さぁ、かかってこい」のSAKUの煽りと絶叫に合わせ、フロア中の人たちが大きく身体を折り畳み、飛び跳ね、咲き乱れながら、メンバーらと一緒に熱情という心のボリュームをぐんぐん上げてゆく。
「揺らしてちょーだい」。激烈轟音なリフを次々と突きつける『残歌』だ。とても歌が印象深く耳に響きながらも、熱情に溺れずにいれない激熱な歌に合わせ、気持ちがどんどん高揚する。
SAKUが扇子を手に煽りだす。フロア中の人たちも、扇子を手に,SAKUやZEROの「Oi!Oi!」の声に合わせて激しく舞い踊る。メンバーと観客たちはサイコカルチャーなロックナンバー『クソッタレ イズ バック』を通し、大きく扇子を振りまわし、カオスな空間の中で熱狂という恍惚を覚えていた。楽曲に合わせ、誰もが馬鹿になって踊り祭る。そこには、最高にクソッタレな熱狂の景色が広がっていた。「死ぬ気でやれ、でも、死ぬな。生きてみせろ」の言葉も、SAKUらしい。
「この5人で出来ることを、これからもみんなに見せていきます」。ライブは終盤へ。このツアーでファンたちと作り上げた絆を改めて確かめるように、NICOLASは歌ものながらも、観客たちと「Oi!Oi!」絶叫のやり取りも交わせる『セピア』を届けた。「あの坂道を走る」の歌詞に合わせ、ZEROとSATSUKIが2階舞台までの階段を駆け上がる、そんな遊び心も素敵だ。胸に歌詞やメロディーが響く歌曲のように、フロア中の人たちも、SAKUの歌に合わせて大きく咲かせた手を揺らし、歌詞へ綴ったノスタルジックな想いに身と心を寄せていた。
「変わらないものは、ここにあるだろう」。SAKUと観客たちによる熱い声の掛け合い。『とあるアイドルオタクの異常な愛情』が飛びだすのに合わせ、フロア中の人たちがモッシュに狂(興)じてゆく。手にしたタオルを高く掲げ、くるくるまわしながら歌うSAKU。フロア中の人たちも拳とタオルを振りまわし、心の中に溜まっていた鬱積した感情を絶叫に変え、次々とぶちまけていた。
最後にNICOLASは、一人一人を野生児へ変えるように『悪童会– クソッタレ行進曲–』を叩きつけ、フロア中を髪の毛が激しく波打つ景色に染め上げた。ZEROの煽り声に合わせ、場内中の人たちが天高く跳ねる、この一体感が最上にエモい。誰もがクソッタレな悪童と化し、悔いなく騒ぎきろうと、4人と一緒に喉が裂けんばかりの声を張り上げ、身体を激しく揺らし、熱狂の宴へ心地好く落ちていった。
「アンコール」と叫ぶたくさんの声が、とても心地好い。アンコールは、悲しみを積み重ねるように歌うSAKUの歌声も胸に痛い『終末時計』から。SAKUの歌声から伝わる絶望感。でも、そこから僅かに光が差せば、その小さな輝きが不思議と涙で心を潤してゆく。とても絶望を抱く楽曲だ。でも、その歌声や演奏は涙の琴線も鳴らしてゆく。何時だって彼らは、絶望や闇を背負いながら果てぬ夢を見続けてきた。この歌はまるで鎮魂歌のようだ。同時に、絶望へ苛まれながらも歩みを止めることを恐れない。そんな人たちの魂を揺さぶる歌だ。熱唱するSAKUの歌声が、痛く心を揺さぶり続ける。
SATSUKIの奏でる、切なさを抱いた嘆きの旋律が鳴り響く。彼らは『ミユキ』でも絶望へ身を浸しながら、切なさを輝きという希望に変えようと歌声の手を伸ばしてきた。終盤では、SAKUと観客たちが「夕焼け帰り道~」と、SATSUKIのギターの旋律を背に、何度も何度も生声で歌う場面も登場。この景色に触れられたことが素直に嬉しい。互いに生きた声を交わしあえる。そんな喜びを奪われた2年以上の時を過ごしてきたからこそ、この景色がとても愛おしかった。
「やるか、やんのかよ!!」。SAKUと観客たちとの熱情した声のバトルから、楽曲は熱狂モッシュナンバーの『ブリリアントワールド』へ。2階ステージへ駆け上がり、高い場所から観客たちを煽るSAKU。演奏に合わせ、暴れる観客たち。SAKUの歌へ引っ張られるようにフロア中の人たちが沸き立つ気持ちを全力でぶつけ、その場で舞い上がり、熱狂に溺れてゆく。
NICOLASは、この曲から活動の狼煙を上げた。バンドの始まりを告げた『真昼の蜃気楼』だ。SAKUは、「傷つかないように 傷つけている」と歌い叫んでいた。ゴシップからNICOLASへと形は変わりながらも、4人の胸の内に抱いた魂は何も変わってない。その不屈の闘志とぎらつく欲望、飽くなき探求心を持った夢想家たちの心の叫びに僕らは共鳴し、熱狂のエールを返してきた。そんな想いを改めて感じながら、『真昼の蜃気楼』を歌い奏でる彼らへ向け、拳を高く掲げ、身や心を溺れさせていった。
「ここにいるすべての人間たち以外を、遮断します」。NICOLASは最後に、熱狂バーストナンバーの『遮断』を突きつけ、フロア中をヘドバンの景色に染め上げた。沸き立つ感情を、フロア中へ叩きつけるように歌うSAKU。サビでは、すべての現実を遮断し、ただただ熱情した景色の中で乱れ狂おうと誘っていた。SAKUが高らかに叫ぶたび、気持ちが解き放たれ、天へ天へと頭を振りながら舞い上がれる。そんな気分を覚えながら、メンバーと観客たちが狂ったようにヘドバンし続けていた。
止まぬ声を受け、メンバーらはみたび舞台へ。最後の最後にNICOLASは、ゴシップ時代の『【Psycho≠pas $】』を突きつけた。この日は、たくさんのゴシップの曲も差し挟んでいたが、まさか最後の最後に轟音と絶叫に身をひれ伏す『【Psycho≠pas$】』を持ってくるとは。まさに、クソッタレたちが帰ってきた。彼らがフロアに描いたヘドバン/折り畳み/咲く熱狂の景色は、4人が心の叫びを止めない限り、消えることはない。この4人の繋がりはとても長く深い。形を変えながらも、4人の意識はいつまでもクソッタレなガキ共であり、最高の悪童たちだ。それを最後に示してくれたことに、ニヤッとしてしまったよ。
「俺たちがやる限り、NICOLASだ。覚えとけよ」。興奮覚めやらぬどころか、冷静さを失くしたSAKUが、またも「お前たちを遮断します」と叫んだ。完全に予定外の展開だ。メンバーらも即座に対応し、ふたたび『遮断』を演奏。「遮断 遮断」の絶叫した声を交わしあい、この空間へ凄まじい熱情した景色を描いたうえでライブの幕を閉じていった。さすが悪童たち、予定調和なんて言葉はいくつになっても通用しないようだ。
PHOTO: A.Kawasaki
TEXT:長澤智典
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<セットリスト>
NICOLAS「KUSOTTARE IS BACK 2022 “天獄への階段”」
2022.11.13日(SUN)東京キネマ倶楽部
01.UMBRA
02.INSANITY NIGHTMARE
03.因果応報
04.VITAL SIGNS
05.赫い部屋
06.腕
07.「廃論破」[Burst ver.]
08.ベビーシッター
09.罠
10.モザイク
11.奇想天外ブラインドラブ
12.ECHO OF SILENCE
13.Delighted
14.残歌
15.クソッタレ イズ バック
16.セピア
17.とあるアイドルオタクの異常な愛情
18.悪童会-クソッタレ行進曲-
EN
19.終末時計
20.ミユキ
21.ブリリアントワールド
22.真昼の蜃気楼
23.遮断
WEN
24.【Psycho≠pas$】
25.遮断
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<ライヴ>
【 ONEMAN 】
2022年12月03日(土) NICOLAS「戦ッテ死ネ!! –血塗レノ夜–」
2022年12月04日(日) NICOLAS「戦ッテ死ネ!! –黒ク染マッタ夜–」
2022年12月28日(水) NICOLAS「進化論2022」
2022年12月31日(土) NICOLAS「蜃気楼」
2023年01月09日(月) NICOLAS「NEW YEAR HEAVEN ’23」
2023年01月10日(火) NICOLAS「NEW YEAR HELL ’23」
2023年02月09日(木) NICOLAS「集会2023~完全体になる日~」
2023年05月12日(金) NICOLAS「悪童会限定GIG」(FC ONLY)
2023年05月13日(土) NICOLAS「野郎限定GIG」(BOYS ONLY)
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【 EVENT 】
2022年12月10日(土)club SONIC mito SONIC PRESENTS Rosy Logic PREMIUM –悪童たちのかくれんぼ–
2022年12月17日(土)東高円寺二万電圧 「学級崩壊」
2023年01月21日(土) 二万電圧presents”衝動“
2023年01月23日(月) ゼラ×NICOLAS 2MAN『獅子廻戦』
2023年01月28日(土) マチルダ vs NICOLAS 2MAN 『ニコルダ』
2023年02月04日(土) NICOLAS × VIRGE × XANVALA 3MAN「裏切りのサーカス」
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【OFFICIAL SITE】 https://nicolas-psycho.com/
2022年11月22日 (火)
【ライヴレポート】mitsuが2回目の無料ライブを開催!◆2022年11月13日(日)渋谷REX◆──「みんなの記憶を“今のmitsu”でアップデートしたい。」
REPORT - 21:54:172022年11月13日(日)渋谷REXにてmitsuが無料ライブを開催! 11月11日が誕生日のmitsuにとって、3日間にわたる生誕イベントの締めくくりでもあるライブだ。
「みんなの記憶を“今のmitsu”でアップデートしたい」という想いから開催する無料ライブは、今回もまさしく“今のmitsu”を堪能できるセトリになっている。バンドセッティングの曲もあれば、アコースティックギターとボーカルのみの曲もあり、ライブハウスで音楽を聴く楽しさも、曲の美しさも、mitsuの歌声の素晴らしさも、余すところなく体感することができた。
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今のmitsu=最高のmitsuを魅せるライブ
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ライブは「エトリア」からスタート。曲に合わせて徐々に上がっていく幕がフロアの期待感を煽る。音を感じながら自由に歌うmitsuは実に楽しそうだ。誕生日当日の11日にトークイベント、12日にはν[NEU]のワンマンライブを終えて13日の無料ライブを迎えているが、気持ちよさそうに、伸びやかに歌う姿から疲れは感じられない。mitsuも「今日は気合の入り方が違うからね!」と絶好調な様子。パワフルな歌声に圧倒される曲が続き、MCを挟んでアコースティックパートへ。
MCでmitsuは、コロナ禍のあおりで今年の初め頃まではもどかしい思いを抱えていたが、今は「純粋に歌が好き」という気持ちに立ち返ることができ、心が晴れたと語る。音楽は自分にとって必要不可欠なものだと再認識し、関わってきたミュージシャンやファンに対する感謝の気持ちが自然と湧いてきたと話していた。「今のmitsuはかっこいいと自信を持って言える。経験したことや自分の想いをぜんぶ歌に乗せて伝えたい」というメッセージの後、アコースティックバージョンでν[NEU]の楽曲「APOLLON」「YES≒NO」を披露。「YES≒NO」は今の自分でないと表現できない歌い方ができているとmitsu本人が言う通り、原曲とはガラリと雰囲気が異なるアレンジになっている。昨日のν[NEU] のライブを見た人にとっては衝撃的だったのではないだろうか。
バンドセッティングに戻り、切なさが漂う「鼓動」「蛍」、ポップな「じゃないか」と続きMCへ。そして「蜃気楼」からラストまで、ステージもフロアもボルテージは最高潮。全力で歌うmitsuは、歌うことの喜びを全身で表現していた。今回のライブで初めてサポートメンバーとなった大熊けいと邦夫(Dr.)、ソロ活動始動時から7年間を共にしている夢時(Gt.)、今年出会ったとは思えないほど息ぴったりのRENA(Ba.)とステージを共にすることを心から楽しんでいることが伝わってくる。
ラストの「For Myself」はソロ始動の記念すべき曲。孤独を感じていた時期に作成されたというこの曲は、寂しさを歌うだけではなく、mitsuの音楽を愛してくれる“目の前の君”=ファンに向けて想いを届ける曲だ。この日渋谷REXに足を運んだファン全員に感謝を込めて「みんなの中に俺がいるように、俺の中にもみんながいる。みんながいてくれるから歌い続けられる。今日は来てくれて本当にありがとう!」と伝え、ライブを終えた。
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まだチャンスはある! 12月も無料ライブ開催
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今回のライブは間違いなく最高だったが、「最新が最高」を体現するmitsuのことなので、これから開催されるライブはもっと最高になっているに違いない。次回の無料ライブは12月4日(日)渋谷REXにて開催予定。最高なmitsuに会いにきてほしい。
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【SET LIST】
1. エトリア
2. Live Your Life
3. It’s So Easy
4. MIDNIGHT LOVER
5. APOLLON(ν[NEU]カバー)
6. YES≒NO(ν[NEU]カバー)
7. 鼓動
8. 蛍
9. じゃないか
10. 蜃気楼
11. Crazy Crazy
12. Into DEEP
13. ラストヒーロー
14. For Myself
Text:板垣可奈⼦
Photo:小林弘輔
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【次回無料ライブ】
2022年12月4日(日) 渋谷REX
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▼時間
OPEN 15:00 / START 15:30
※17:00終演予定
※終演後2ショット撮影会あり(参加券は物販にて販売いたします)
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▼サポートメンバー
Guitar:夢時(eStrial / HOLLOWGRAM)
Bass : RENA(3470.mon / CRAZY PUNK KID)
Drum:CHARGEEEEEE…(Omega Dripp)
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▼入場に関して
入場順:
1.COREチケット 整理番号順(特典付)
2.ライブ会場にて配布されたうちわやフライヤーをお持ちの方
3.何もお持ちでない方
※COREチケットはオンラインサロン「CORE」にて数量限定で販売いたします。
※規定人数に達した場合、入場ができない場合がございます。予めご了承ください。
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▼その他公演詳細
https://mitsu-official.com/2022/07/06/20221204/
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mitsu Official Web Site