2022年12月28日 (水)
【ライヴレポート】AKi、自身主催対バンイベント&ファンイベントで“AKi納め”を遂行!◆2022年12月23日(金)、24日(土)東京・SHIBUYA STREAM HALL
REPORT - 18:00:19シドの明希(Ba)によるソロプロジェクト・AKiが、12月23日(金)に対バンイベント<AKi LIVE 2022 「Craze Freaks」 #02>、12月24日(土)に<AKi FAN EVENT 2022 LIMITED SPACE #04 – X’mas Eve Special –>を共に東京・SHIBUYA STREAM HALLで開催した。
12月23日(金)に行われた、対バンイベント<AKi LIVE 2022 「Craze Freaks」 #02>は、2020年以来、2年ぶりの開催。
第1弾は2020年5月に有村竜太朗、ベッド・インとの対バンで開催予定だったが、コロナの影響で同年10月に無観客配信ライブとして実施。
ついに有観客での開催が実現した第2弾のゲストは、今夏のツアーファイナルにもゲスト出演し、今年アーティスト活動15周年を迎えた武瑠、楽曲提供でも話題となった6人組ボーイズユニット・BLVCKBERRYと、2022年のAKiの活動を彩った2組。
トップバッターで登場したのは、BLVCKBERRY。2021年デビュー、活動歴2年にして今年3月には初の全国ツアーを成功させるなど、人気上昇中の彼ら。
MCで「ダンス&ヴォーカルの概念を覆していきたい」と語っていたエネルギッシュなステージに、初めて見る人もどんどん夢中になっていくのが分かる。
MCでは「大大大好きなAKiさんから嬉しいお誘いをいただき、このステージに立てています! ありがとうございます!!」と感謝と喜びを告げ、「AKiさんからいただいた、大切な宝物です」と今年8月にAKi(明希)が楽曲提供した「ジュブナイル」を披露。
ライブ後半はたくさんのお客さんが手を振り、タオル回しを合わせて、「ヤバイ!」と声を漏らしていたメンバー。
その存在をしっかりと知らしめた。
続いての登場は武瑠。アーティスト活動15周年を迎えた今年から、武瑠名義で活動スタートした彼。
DJ+ギター+レーザーという、独特な編成のバックバンドを従えてステージに登場。
打ち込みのデジタルサウンドと生のギターの融合から生まれる独創的なサウンドと、しなやかで美しく力強い武瑠のヴォーカルが生み出す、自身の世界観で会場を包み込む。
「久々に対バンに呼んでもらって嬉しいです」と喜びを語ると、かなり長い付き合いだというAKiとの思い出を話し、「SuG解散から5年。これからも歌い続けていきたい」と「桜雨」を披露し、美しく感傷的な歌声で観客を魅了した。
トリを務めたのは、もちろんイベント主催者であるAKi。
「Craze Freaks」も有観客で開催することができ、ライブ現場の熱気が徐々に戻りつつある昨今。
新しい時代への希望を鳴らす「NEW ERA」でライブが始まると、フロアの熱は急上昇。
勢いそのままに「Be Free」、「Sing it Loud」と続き、熱い歌と演奏に観客が拳を上げて、ジャンプを合わせて応える。不自由な状況でもライブを思い切り楽しむ観客に「みんなの協力あってこそ、この場所が守られていると思います」と感謝を告げたAKiは、「マスクなんてあったって、心は最高に騒げるわけだから。最後までぶっ飛ばして行きましょう!」と笑顔で告げる。
「ジウ」で始まった中盤戦は「Collapsing」、「共犯」と続き、AKiバンドの深い音楽世界へ誘うと、「対バンしたのはすごく久々だけど、すげぇ良い空気です。対バンの空気ってすごく独特で、いろんな発見や良い瞬間がある。
みなさんは今日、良い瞬間はありましたか?」と対バンの楽しさを語り、BLVCKBERRYと武瑠に感謝の気持ちを伝えたAKi。
「全てはこの曲から始まりました」と「FREAK SHOW」を披露し、「FAIRY DUST」、「Brave New World」と続くとライブは終盤戦へ。
「渋谷、踊れるか?」とグルーヴィーなサウンドで踊らせた「OVERRUN」で最高潮の盛り上がりを生み出す。
曲終わり、会場が拍手と笑顔に包まれる中、「ここで終わると思いきや、お待ちかねです!」とAKiがステージに呼び込んだのは、ゲストヴォーカルのSHIN(ex.ViViD)。
SHINのリクエストで披露したラストナンバーは「STORY」。
本当に楽しそうにアグレッシブな演奏とパフォーマンスを見せるAKiバンドとパワフルなツインヴォーカルが最高のクライマックスを生み、2年ぶりの対バンイベントをしっかり締めくくった。
12月24日(土)に行われた<AKi FAN EVENT 2022 LIMITED SPACE #04 – X’mas Eve Special –>は、昨年末に開催し大好評だったスペシャルイベントを今年も開催。
今年1年お世話になったファンのみんなに、写真撮影、トークショー、バンドスタイルでのライブと盛りだくさんな内容で、感謝の気持ちを届けた。
MCのジョー横溝に呼び込まれ、ステージに登場したAKi。会場を埋めるファンに「メリークリスマス!」と挨拶すると、まずはクリスマスツリーを背景にツーショット撮影会。
ジョー横溝との軽妙な掛け合いが楽しかった「2022年を振り返るトーク」のコーナーは、3月にリリースされたシドのアルバム『海辺』のレコーディング秘話、6月にリリースされたSingle「OVERRUN」の制作秘話、コロナ禍で延期された<AKi Tour 2020 『Collapsed Land』>のリベンジを果たした<AKi Tour 2022 『OVERRUN』>や2年ぶりに開催されたファン旅行の思い出など、ここでしか聞けない貴重なトークが目白押し。
さらに来場者から事前に募集した、2022年に頑張ったこと、やらかしたことを紹介し、グランプリにクリスマスプレゼントを贈る「投稿コーナー」、ライブ衣装や激レア写真をプレゼントする「プレゼント抽選会」と、ファン歓喜の企画が続き、いよいよスペシャルライブへ。
「メリークリスマス」とAKiが一言告げ、「Wait for You」でしっとり始まったこの日のライブ。
温かみあるサウンドにAKiのファルセットが切なく響き、聖なる夜を演出する。
MOTOKATSU(Dr)の軽快なビートと加藤貴之(Gt)の奏でるアコギに観客が手拍子を合わせ、AKiの美声やYOUSAY(Gt)の心地よいギターソロで魅せた「Path of Light」と続くと、AKiが「パーティーが続くから、最初はゆっくり始めようと思って。久しぶりの曲も混ぜていこうとセットリストを考えてきました」と、特別な夜になることを告げる。
「渋谷、始めようか!」と叫び、勇ましい掛け声で始まった「The Inside War」に会場中が心の声を合わせると、「STORY」、「Monolith」と激しい曲を畳み込み、観客は大熱狂。
プレイ面でも観客を魅了した「共犯」、「libido」と続くと、MOTOKATSUのどっしりしたビートに、加藤とYOUSAYが息の合ったギターアンサンブルを聴かせた「HEADZ UP」では、AKiがパワフルな歌声とベースサウンドで強烈な存在感を放つ。
MCでは「やっぱりライブはいいね。すべてを吐き出して、2022年を終われそうです」と、清々しい表情を見せたAKi。「心のドレスを脱ぎ捨てて、バカになってくれませんか?」と「Silly」で再びフロアの熱量を上げると、ライブは後半戦へ。
「All Through The Night」、「FAIRY DUST」と続いて勢いを増すと、「狂奏夏」の掛け声に拳が上がり、タオルを回すフロアに夏の風が巻き起こり、クリスマスライブであることを忘れさせる。
「いつもの感じだと、ここで終わると思うじゃないですか? いやいや、ここから始まるから。もう一丁、悪ノリしたいと思います。やれるか、渋谷!」と煽り、「Brave New World」、「ミッドナイト/狂騒/DARLING:」と盛り上がり必至のライブチューンを叩き込んだ終盤戦。
AKiの最新型であり、現在のリアルを鳴らす「NEW ERA」で力強く咆哮を上げると、「ラスト! 全員ひとつになろう」と「OVERRUN」で会場中を踊らせて、特別な夜をフィニッシュ。
2022年をしっかり締めくくり“AKi納め”を遂行した。
2023年はシドの結成20周年イヤーも控えており、AKiとしての今後の活動は発表されていないが、新曲やライブといった、これからの活動やさらなる飛躍も大いに期待させた2日間。
AKiの最新情報は、AKi オフィシャルサイトをチェックして欲しい。
写真◎上原 俊
文◎フジジュン
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AKi LIVE 2022 「Craze Freaks」 #02
2022年12月23日(金) SHIBUYA STREAM HALL
SET LIST
■BLVCKBERRY
01. レイメイ
02. SiX RAVENS
03. TOKYO DOPE
04. ジュブナイル
05. Wake up CHARISMA!!
06. 僕らの未来図
■武瑠
01. 死んでも良い
02. 白痴美
03. Howling Magic
04. 桜雨
05. SOS
06. 酩酊
07. heartbreaker
08. 1 2 3 for hype sex heaven
09. 不完全Beautyfool Days
■AKi
01. NEW ERA
02. Be Free
03. Sing it Loud
04. ジウ
05. Collapsing
06. 共犯
07. FREAK SHOW
08. FAIRY DUST
09. Brave New World
10. OVERRUN
11. STORY w/ SHIN
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AKi FAN EVENT 2022 LIMITED SPACE #04 – X’mas Eve Special –
2022年12月24日(土) SHIBUYA STREAM HALL
SET LIST
01. Wait for You
02. Path of Light
03. The Inside War
04. STORY
05. Monolith
06. 共犯
07. libido
08. HEADZ UP
09. Silly
10. All Through The Night
11. FAIRY DUST
12. 狂奏夏
13. Brave New World
14. ミッドナイト/狂騒/DARLING:
15. NEW ERA
16. OVERRUN
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AKi オフィシャルサイト http://www.dangercrue.com/AKi/
明希 / AKi オフィシャルTwitter https://twitter.com/AKiSID_official
シド 明希 オフィシャルオンラインサロン「Resonants」 https://lounge.dmm.com/detail/3041/
シド オフィシャルサイト http://sid-web.info/
シド オフィシャルTwitter https://twitter.com/sid_staff
シド オフィシャルWeibo https://www.weibo.com/sidofficial
2022年12月25日 (日)
【ライブレポート】<mitsu 無料ワンマン>2022年12月4日(日)渋谷REX◆自ら築いた音楽人生の進化論「もっと、良いボーカルになってみせる」
REPORT - 20:30:32ボーカリストmitsuにとって、〈挑戦〉でもあった無料ワンマン。10月から月1回、全3回の予定で行われて来た本公演の集大成となるライブが、12月4日 渋谷REXにて行われた。
ソロ活動を始めて8年、今年だけでも自身のライブに加えて、サポートボーカルや前身バンドであるν[NEU]の限定復活の活動でステージに立つ機会が多かった彼が初の試みとして“無料ワンマン”を3ヵ月に渡って行ったのには、“今の”mitsuを出来るだけ多くの人に知ってもらいたいという思惑があった。ただし、彼が自信を持ってこの決断をするまでにはたくさんのステップがあったと想像する。そう感じるに値した、まるでヒューマンドラマを見ていたかのようなライブの様子をここにしっかりと書き残しておきたい。
「エトリア」から、まだ開ききらない幕越しに演奏を始める姿勢が気迫を感じさせるオープニングとなった。mitsuが言う〈音楽と共に生きているメンバー〉の音を全身に受けながら歌う姿は実に男らしく、清々しい。1人1人のエナジーを感じる正真正銘のバンドサウンドが「Live Your Life」でも映え、フロアの観客もその声と音を受けて徐々にリズムを取り始めた。
「みんなが〈今日来て良かった〉と思ってもらえるように、全員幸せにして帰すので、どうかどうか楽しんで帰ってちょうだい!」――mitsu
“楽しむ”という事一つとっても、いわゆる、mitsuがずっと歌い続けてきたヴィジュアル系シーン特有の振り付けやセオリーの枠を飛び越えた自由度の高さがあった。〈この4人の音をそのまま素直に受け止めると、体が自然と動いちゃう〉と言った通り、ジャズテイストの「It’s So Easy」やアダルトな雰囲気の「MIDNIGHT LOVER」が生み出すビートが、まるで呪文のようにフロアを心地よく揺らしていく。
ここでステージ上にはmitsuと夢時(G)のみとなり、アコースティックセクションへ。ν[NEU]の楽曲から「APPOLLON」、そして「遥か」の2曲を披露した。「APPOLLON」に関しては、10年前の曲でも今こんな風にアップデートして歌うことが出来るということを表現しつつ、制作当時この曲に込めた〈信じることから始めればいいんじゃない?〉という想いにここ数ヶ月間mitsu自身が励まされていたという。ナチュラルな空気感だからこそmitsuが〈今日、メチャクチャ緊張していて〉と本音を覗かせる場面も。しかし、その緊張に対してもネガティブに思うのではなく、〈その事柄を大切に思い準備をしてきたからこそ緊張をするんだと思えるようになった〉という意識の変化があったとし、〈今では緊張を通して見えるものを楽しんでいる〉と話した。実際、緊張からか10月・11月の公演で一度も歌い間違えなかった「APPOLLON」でミスがあったのだが、〈でも、何とかなったじゃん〉と夢時。このようにたくさんの人間の価値観に触れ、今のmitsuがあることを実感させされるような一幕でもあった。
先にも伝えた自由度の高さは、フロアの様子だけに留まらない。「鼓動」や「キンモクセイは君と」で見せる繊細さや、「じゃないか」のリズミカルなポップさといったふり幅はもちろん、バンドサウンドが軸となっているからこそのメンバーの息の合った演奏にもそれは言える。ラストスパートは「蜃気楼」が口火を切り、そこで生まれた熱をパワフルなロックサウンドで聴かせる「Crazy Crazy」と「Into DEEP」で上昇させ、その熱の源であるステージ上の一心不乱に歌い、奏でる様子は「ラストヒーロー」でさらにテンポアップ。こうして、ラストの「For Myself」まで一気に駆け抜け、ライブ中に何度も口にしていた〈楽しい〉と〈ありがとう〉が存分に込められた、丁寧かつエモーショナルなプレイをもってソウルフルなエンディングを飾った。
「これからも、自分のために歌っていきます。その“自分”の中には間違いなくみんながいます。これからも一緒に楽しくいこうな、最高でした!」――mitsu
もともと、この無料ワンマンに対して〈やる前は、無理だと思っていた〉と言うし、〈今まで、ちゃんとしなきゃ、絶対成功しなきゃって“こうじゃなきゃいけない”という事が多かった〉ともライブ中に話していた。常識というものは時に人を臆病にさせるが、今のmitsuはどうだろう。自分自身を縛り付けていた制限や呪縛のようなものから解かれ、“こうしたい”という想いが強くなっている。この日のアクトや節々に挟まれていた心境を覗ける言葉たちが、“今の自分”を勝ち取ったのは紛れもなくmitsuの生き方であり、音楽に可能性を見い出した人間の歌は人の心を打つことを証明していた。
この日新たに発表があった、2023年3月2日に「みつの日」と題したワンマン・ライブを渋谷REXにて開催することと、この日サポートを務めたRENA(Ba)のソロプロジェクトCRAZY PUNK KID との共同主催「OH,MY FRIEND」の開催。新たな情報に合わせて、これからのmitsuに絶対的な期待を抱かせる最高の一言を彼自身がステージの去り際に残していった――「もっと、良いボーカルになってみせる」と。
Text:平井綾子
Photo:MASANORI FUJIKAWA
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mitsu 無料ワンマン
2022年12月4日(日) 渋谷REX
■サポートメンバー
Guitar:夢時(eStrial / HOLLOWGRAM)
Bass : RENA(3470.mon / CRAZY PUNK KID)
Drum:CHARGEEEEEE…(Omega Dripp)
–セットリスト–
- エトリア
- Live Your Life
- It’s So Easy
- MIDNIGHT LOVER
- APOLLON(ν[NEU] acoustic cover)
- 遥か(acoustic)
- 鼓動
- キンモクセイは君と
- じゃないか
- 蜃気楼
- Crazy Crazy
- Into DEEP
- ラストヒーロー
- For Myself
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2023年3月2日(木) 渋谷REX
「みつの日」
■サポートメンバー
Guitar:夢時(eStrial / HOLLOWGRAM)
Bass : RENA(3470.mon / CRAZY PUNK KID)
Drum:大熊けいと邦夫
■チケット販売中!
https://tiget.net/events/218164
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mitsu×CRAZY PUNK KID 共同主催
「OH , MY FRIEND」
■イベント詳細
https://mitsu-official.com/2022/12/04/ohmyfriend2023news/
2022年12月19日 (月)
【ライヴレポート】<MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~是空・朽木の灯~」>2022年12月14日(水)KT Zepp Yokohama◆「このライヴを通して、なにか光みたいなものをつかんで帰ってもらえたらなと思ってます。」──逹瑯(Vo)
REPORT - 21:00:27結成25周年を記念したフル・アルバム『新世界』の発表に伴う全国ツアー<MUCC TOUR 2022 「新世界」~Beginning of the 25th Anniversary~>を成功させたばかりのMUCCが、2022年10月から新たなツアー<MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~是空・朽木の灯~>を開催した。
このツアーは、2003年に発表した通算3作目にしてメジャー・デビュー作でもある『是空』と、続く2004年に発表したメジャー・セカンド『朽木の灯』を主軸にしたもの。
全国11カ所、合計13本に及ぶライヴを敢行し、そのファイナル公演となったのが、12月14日(水)のKT Zepp Yokohamaにおけるライヴだ。
18時36分、『是空』のオープニングに収録されていたジャズ・ナンバー「心奏」がSEで流れると同時に、バックドロップを照らす赤い光。
梵字のバンドロゴが怪しく浮かび上がり、リズムに合わせて鳴らすオーディエンスのハンドクラップも熱を帯びていく。
YUKKE(B)、ミヤ(G)、サポート・メンバーのアレン(Dr)、逹瑯(Vo)がステージに登場すると、一気に熱は高まった。
その中、メンバーはそれぞれ深々と一礼。その姿は、オーディエンスへの感謝を示すと同時に、これから約20年前の自分たちと邂逅する儀式の始まりのようにも見えた。
SEをかき消すようにミヤの鳴らすフィードバック・ノイズを合図に始まったのは、『是空』の2曲目でもあった「茫然自失」。
MUCCのバンド・サウンドが放出された瞬間、時間は2003年に…。
いや、そうではなかった。完全にこの体制のMUCCの音やプレイで、曲の顔つきはラウドかつメタリックであり、そのキレ味も鋭い。
片足を台に掛けながら歌う逹瑯は、強烈なヘッドバンギングを繰り返し、エネルギーを発し続ける。
約20年前の楽曲たちに今のMUCCの魂を思う存分に反映させ、最新のナンバーと呼べるほど激しく呼吸させていく。
メンバーの目の前に広がるのは、コブシを突き上げ、メンバーと同じように頭を振りまくるオーディエンスたちの姿。
過去の作品を軸にしたライヴというと、当時の完全再現とこっちは勝手に受け止めていた。
しかしMUCCは、こっちを懐かしさに浸らせる気持ちなどさらさらなかったようだ。
作品を発表したから約20年間に身に付けたミュージシャンとしてのそれぞれのスキルもセンスも発揮し、人間的な成長によって生まれた当時にはなかった考えや思いも曲や歌詞のひとつずつに重ねていく。
3曲目では今回のツアーで会場限定販売されているシングル「空-ku-」も披露。
新曲でありながら、約20年前のMUCCをイメージしながらソングライティングしたもの。
サビに向かうメロディは当時の匂いも持っているが、曲を鳴らし、歌うのは今のMUCC。
バンド・アンサンブルは歌詞の情景を描き出すようにドラマや起伏を作り出し、逹瑯は歌詞の主人公である少年の気持ちをヒリヒリするぐらい伝える。
今回のツアーでは、今の自分の気持ちで当時の曲を表現したらどうなるか、というのをひとつのテーマにしていたのが逹瑯。
『是空』と『朽木の灯』はネガティビティや葛藤、苦しさや悲しみ、憎しみといった歌詞の曲も多い。
当時のライヴを観たことのある熱心なファンなら分かると思うが、そうした曲を歌う逹瑯は歌詞の世界に入り込み過ぎ、ときには感情が壊れてしまうんじゃないかと思えるようなライヴを展開していた。
その後、前に進むためにはもう歌えない、とライヴでは封印された曲があることもファンならご存じだろう。
そんな逹瑯が約20年経った今、ステージで聴かせるのは優れた表現者としての歌。
曲に入り込んで感情的に振り切ってしまうのではなく、メロディ・ラインも大切にしながら声や歌い方で詞の世界や思いを突きつけてくる。
伸びやかな歌もあれば、悲しみを湛えた声もあるし、怒りで震える叫び声もある。
気持ちはわしづかみにされ、心に響きまくり、観ている側それぞれが詞の主人公になっていく。
『朽木の灯』からの「遺書」や、『是空』からのシングル「我、在ルベキ場所」のカップリングだった「儚くとも」などでは、表情をゆがめながら曲や詞に入り込むオーディエンスの姿も。
「Are You Fxxkin’ YOKOHAMA! さーわーげー!!」
ライヴもエンディングが近づき、モードは一変。逹瑯の煽り文句と共に「夢死」へ突入した。
疾走感と尖ったプレイをこれでもかと食らわせ、立ち位置を激しく入れ替わるYUKKEとミヤ。
逹瑯も煽るように歌を叩きつける。さらに客席のあちこちを煽りたてながら、これまでのライヴでいくつものクライマックスを作ってきたパンキッシュなナンバー「名も無き夢」へ。
メンバーも嬉しさや楽しさで何度も笑顔を見せ、それぞれの音にも歌にもみなぎるポジティブさ。
途中、曲をブレイクさせたところで逹瑯はこう叫んだ。
「なんらかの光を見つけて帰ってもらえたらいいなと思います!」
そのメッセージに全身で喜びや興奮を表わすオーディエンス。身体も心も熱いライヴが展開されていく。
しかし本編ラストを締めくくったのは『是空』からの「9月3日の刻印」。
真っ赤な照明を浴びながら悲しみと憎しみに溢れた音と歌が広がる。
それを浴びながらオーディエンスは曲に飲み込まれていくばかりだった…。
アンコールでは当時のライヴではキラー・チューンとも呼べる2曲をプレイ。
その2曲目「蘭鋳」では、オーディエンス全員を座らせ、逹瑯が改めて言う。
「当時、観たり聴いたりしてくれていた人。出会うのが少しだけ遅くて、当時を知らなかった人もたくさんいると思います。
こんな感じの時代を過ごしてきたMUCCが、25周年を迎え、これからも突き進んでいこうと思っています。
このライヴを通して、なにか光みたいなものをつかんで帰ってもらえたらなと思ってますんで。
2023年、その先、その先も、よろしくお願いします!」
そして逹瑯の「Three,Two,One,GO!!」の掛け声で、一斉にジャンプを決めながら曲が再開。
お立ち台に逹瑯、YUKKE、ミヤの3人が並び、放ち続ける今のMUCCからのパワーとエネルギー。
25周年を迎えた彼らの強さに圧倒されるライヴにもなった。
なおライヴ直後、配られたフライヤーのQRコードにアクセスすることで、MUCCの2023年のスケジュールを知ることができたが、これが怒涛のようなツアーやライヴ。
止まることを知らないMUCCの25th Anniversaryシリーズは、始まったばかりだ。
写真◎マツモト ユウ
文◎長谷川幸信
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MUCC「MUCC 25th Anniversary TOUR『Timeless』~是空・朽木の灯~」
2022年12月14日 KT Zepp Yokohama
SETLIST
01. 茫然自失
02. 誰も居ない家
03. 空 -ku-
04. 路地裏 僕と君へ
05. 商業思想狂時代考偲曲
06. 濁空
07. 幻燈讃歌
08. 遺書
09. ガロ
10. ぬけがら
11. 儚くとも
12. 溺れる魚
13. 2.07
14. モノクロの景色
15. 夢死
16. 名も無き夢
17. 9月3日の刻印
<アンコール>
18. 青き春
19. 蘭鋳
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<KT Zepp Yokohama 配信情報>
『MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~是空・朽木の灯~』 KT Zepp Yokohama公演独占生中継
【ニコニコ生放送配信チケット販売中】 アーカイヴ視聴期間:12月31日(土)21:00まで
【チケット料金】 4,500円(税込)
https://live.nicovideo.jp/watch/lv339393673
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<RELEASE>
★NEW MINI ALBUM「新世界 別巻」
2022年12月21日(水)発売
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<収録曲>
01.空 -ku- (Mixed by Miya)
02.猿轡
03.I wanna kiss
04.別世界
05. HOTEL LeMMON TREE
06.SLAVE
07.終の行方
08.猿轡(Original Karaoke)
09.I wanna kiss(Original Karaoke)
10.別世界(Original Karaoke)
11. HOTEL LeMMON TREE(Original Karaoke)
12.SLAVE(Original Karaoke)
13.終の行方(Original Karaoke)
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【特別書籍特装盤】 MSHN-169/170 13,000円(税込)※受付終了
【初回限定盤】 MSHN-171/172 3,960円(税込)
【通常盤】 MSHN-173 2,530円(税込)
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<特別書籍特装盤、初回限定盤、共通収録>
Documentary of 『MUCC TOUR 2022「新世界」~Beginning of the 25th Anniversary~』
新世界ツアーの密着映像にメンバーインタビューを交えたドキュメント映像
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『新世界 別巻』Trailer映像 https://youtu.be/tAxgjCN_EQs
『空 -ku- (Mixed by Miya)』MUSIC VIDEO https://youtu.be/Hz04NZd3GqQ
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<LIVE SCHEDULE>
■『MUCC TOUR 2022 「新世界」~Beginning of the 25th Anniversary~
「新世界 別巻」発売記念公演 「新世界 完結編」』
2022年12月22日(木)・12月23日(金) LIQUIDROOM
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開場17:30 開演18:30
【ゲスト】Sakura(gibkiy gibkiy gibkiy / Rayflower / ZIGZO) ,Calmera(カルメラ)
【チケット料金】 スタンディング 9,600円(税込) ※入場時ドリンク代別途必要
【チケット発売中】イープラス https://eplus.jp/mucc-2022/
【問】DISK GARAGE 050-5533-0888
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■MUCC 25thAnniversary Special Liveムック試験導入公演その5.暴れて、感じて、声出しOK。
『咆哮』
2023年2月6日(月) CLUB CITTA’
2023年2月14日(火) GORILLA HALL OSAKA
チケット SOLD OUT!!
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<インストアイベント>
・MUCC NEW MINI ALBUM「新世界 別巻」発売記念インストアイベント『生写真渡スンです会 完結編』
2022年12月20日(火)タワーレコード新宿店 <参加メンバー>ミヤ
2022年12月21日(水)エンタバアキバ <参加メンバー>YUKKE
2022年12月24日(土)タワーレコード池袋店 <参加メンバー>逹瑯
詳細はこちら https://55-69.com/news/11206
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<イベント>
■V系って知ってる? powered by MAVERICK DC GROUP
2022年12月27日(火)日本武道館OPEN 13:00 / START 14:00
【出演】DEZERT / キズ / アルルカン / ムック / D’ERLANGER / girugamesh / V系Respect Super Session
【機材席&制作席開放に付き追加席販売急遽決定】 https://bit.ly/3FLN8c8
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<2023 LIVE SCHEDULE>
■『MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~鵬翼・極彩~』
2023年3月4日(土)札幌PENNY LANE 24
2023年3月5日(日)札幌PENNY LANE 24
2023年3月8日(水)広島 CLUB QUATTRO
2023年3月11日(土)福岡BEAT STATION
2023年3月12日(日)福岡BEAT STATION
2023年3月18日(土)長野 CLUB JUNK BOX
2023年3月19日(日)新潟LOTS
2023年3月25日(土)仙台 GIGS
2023年3月26日(日)盛岡CLUB CHANGE WAVE
2023年4月1日(土)名古屋DIAMOND HALL
2023年4月2日(日)名古屋DIAMOND HALL
2023年4月8日(土)大阪城音楽堂
2023年4月15日(土)水戸ライトハウス
2023年4月16日(日)水戸ライトハウス
2023年5月6日(土)日比谷野外大音楽堂
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【チケット料金】 前売7,800円 (税込) ※入場時ドリンク代別途必要(5/6日比谷野音以外)
※4/8大阪城音楽堂公演のみ 芝生エリア席 15,600円(税込)販売有り ※一般発売のみ
※大人2名+子供2名まで入場可能 ※お子様は3才以上~12才まで (3才未満入場不可) ※お子様の身分証確認有り(保険証・生徒手帳等)
【朱ゥノ吐+SWAMP会員先行】
※イープラス抽選受付 ※1人2枚まで ※同行者登録有り ※電子チケットのみ(チケプラ)
受付期間:2023年1月1日(日)12:00~1月9日(月・祝)21:00
【MUCC 朱ゥノ吐+会員先行・虚無僧DU MODE会員先行】
※イープラス抽選受付 ※1人2枚まで ※同行者登録有り ※電子チケットのみ(チケプラ)
受付期間:2023年1月15日(日)12:00~1月21日(土)21:00
【一般発売日】 2023年2月12日(日)
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■『MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~志恩・球体~』
2023年6月9日(金)LINE CUBE SHIBUYA
2023年6月24日(土)三郷市文化会館
2023年6月30日(金)メルパルクホール大阪
2023年7月21日(金)高崎芸術劇場スタジオシアター
2023年7月26日(水)Zepp Shinjuku
2023年8月1日(火)浅草花劇場
2023年8月2日(水)浅草花劇場
2023年8月21日(月)水戸市民会館
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■『MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~カルマ・シャングリラ~』
2023年10月1日(日)仙台 GIGS
2023年10月4日(水)渋谷 CLUB QUATTRO
2023年10月7日(土)松山W studio RED
2023年10月9日(月・祝)広島 CLUB QUATTRO
2023年10月14日(土)長野 CLUB JUNK BOX
2023年10月15日(日)金沢EIGHT HALL
2023年10月21日(土)札幌PENNY LANE 24
2023年10月22日(日)札幌PENNY LANE 24
2023年10月24日(火)青森Quarter
2023年10月28日(土)福岡BEAT STATION
2023年10月29日(日)福岡BEAT STATION
2023年11月4日(土)名古屋ボトムライン
2023年11月5日(日)名古屋ボトムライン
2023年11月11日(土)なんばHatch
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