2023年01月26日 (木)
【ライヴレポート】<シド ID-S限定 SID LIVE 2023 ~Re:Dreamer~>2023年1月22日(日)LINE CUBE SHIBUYA◆シド、結成20周年幕開け公演で華やかにライブ活動再開。「みんなの夢をのせて俺は歌う」
REPORT - 18:00:45マオ(Vo)、Shinji(Gt)、明希(Ba)、ゆうや(Dr)という不動のメンバーで、今年バンド結成20周年を迎えたシド。
彼らが、そのアニバーサリーイヤーのスタートアップとなる公演<ID-S限定 SID LIVE 2023 ~Re:Dreamer~>を2023年1月21日、22日の2日間にわたって東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催した。
2021年11月よりマオの治療と調整のため、ライブ活動を休止していたシドは、この公演をもってライブ活動を再開。
まずはその姿を常に傍で支えてくれていたファンに最初に届けたという思いから、オフィシャルメンバーズクラブ“ID-S”の会員限定で行われた2days公演は、両日ともチケットは完売。そんなプレミアムなシド20周年の幕開けを飾ったライブから、ここでは2日目の模様をレポートする。
場内が暗転すると波音とともに、静かにライブは開幕。
ステージ上のカーテン越しに立奏スタンドにセットしたベースでメロディーを奏でる明希が映し出されると、次に透明感ある音色でギターを重ねるShinji、そこにビートを加えるゆうやのシルエットが次々と映し出され、最後にマオが最新曲「海辺」を歌い出したところでカーテンが上がり、4人のシドが目の前に現れる。
オープニングから彼ららしいドラマチックな演出でバンドのライブ再開の合図をファンに届けると、盛大な拍手が広がり、冒頭から場内は感動的な空気に包まれる。
花びらのように紫色のライトが咲くなか“令和歌謡”バンドの根底にある懐かしいバラード「紫陽花」、さらにはテクニカルな演奏力を誇る彼らがジャズとロックを融合させて作ったシド流のフュージョンソング「KILL TIME」を続けてアクト。
「こんばんは、シドです」と挨拶したマオは、この2days公演でシドが20周年イヤーに突入したことを嬉しそうに報告。
「ときにはつまずきながらもここまで走ってこられたのはID-Sのお陰。今日は感謝の気持ちを込めていろんな曲を届けます」と伝え、始まったのはインディーズ時代からいまも根強い人気を誇る「ミルク」。タメをアクセントに入れたゆうやのドラミングが際立ったこの曲では、胸を締め付ける切ないメロディーを、マオがファルセットを多用した歌唱で届け、観客を魅了。
そうして、ここまで1年2ヵ月待たせたファンを陽だまりのような温もりで優しく包み込むように「hug」を届けたあとは、妖艶な大人シドワールドへと誘い込むように「刺と猫」へと流れ込む。
曲が始まると、フロントに出てきた明希は色気ダダ漏れのパフォーマンスとプレイでファンを悩殺。
ジャジーなサウンドとシドが放つセクシーさが交錯するなか、スキャットボイスでアンサンブルに絡んでいたマオが最後、“愛してるぅ~~”と吐息混じりの歌声で、色っぽくこの曲を締めくくる。
このあとはゆうや、明希、Shinjiが各々異なったスタイルでソロ・パフォーマンスを繰り出し、場内が存分に温まってきたところにマオが加わり、始まったのは「涙雨」。
シドのなかでは比較的新しめのバラードだが、スケール感あるロックバラードのなかでは随一。
主題となるフレーズをShinjiが骨太のギターで奏でると、たちまち迫力満点のスタジアムサウンドがステージから立ち上がる。
舞台上ではそのサウンドに合わせてゆうやの後方から炎が何本も吹き出し、パワフルでエモーショナルなシドを見せていった。
そして、このあとはメンバーのMCコーナーへ。
「1年以上ぶりのライブですけど、どうですか? 久しぶりの4人の姿は」と会場に話しかけた明希は、この日集まったID-Sのみんなに感謝の気持ちを伝えて話を締めくくり「今日のルックスが一番好きです」といって、ヒゲを生やし、メガネをかけてダンディーな姿へとイメチェンしたShinjiへとバトンをタッチ。
Shinjiは「昔はみんなが“俺が、俺が”だった会話も、いまは(ステージに上がる前に)エレベーターの中で“Shinちゃん、今日カッコいいね”とかいったりして、ほのぼのしてるんです。かといって、なぁなぁではなくて」と、20年間に起きたメンバー間の変化について打ち明け「今日のこの瞬間が素敵な思い出の1ページになったらいいなと思ってます」と告げた。
続いてバトンを渡されたゆうやは、安定の大声で挨拶を届けたあと、1年以上ぶりのライブでドキドキしたりワクワクしたり泣いたり温かい気持ちになったりと感情が忙しいなか「いまボーッとしているのは最大の癒しであり、リラックス」なのだと解説。
「この後も好きに楽しんでいってください」と伝えた。マオはシドの前にやっていたバンド時代、この会場の入り口でバイトが終わった後にビラ配りをしていた当時のことを振り返り、その頃敵対していたバンドに在籍していたShinjiともよく会っていたエピソードなどを披露してファンを喜ばせた。
そうして「いけるかー! いけるかー!」と観客を煽り立て、ここからの後半戦は、しっとりした楽曲やテクニカルなプレイで魅せていった前半から大きくモードチェンジ。シドのライブのキラーチューンを惜しげもなく連発していく。
ステージ後方のカーテンが上がり、会場の背景がむき出しになった中で「ANNIVERSARY」が始まると、客席は一斉に手を頭上に伸ばして前後に振り、明希とマオとShinjiは勢いよく前に飛び出し、舞台を縦横無尽に動き出す。
「明希と恋しようか~」とメンバーの名前を織り込んだおきまりの曲紹介から、「夏恋」へと突入すると、シドのポップネスがキラキラと会場いっぱいに炸裂。ステージとID-Sならではの一体感ある勢いは、もはや誰にも止められない。たまらず、マオが「いやぁ~、盛り上がってきたね。シドは盛り上がる曲もいっぱいあるから楽しいね」と上機嫌な表情で観客に語りかける。
「もっと、もっと飛ばしていけるかー!」と叫んで、“ウォラ~”と巻き舌でシャウトを入れた後はタイトなビートにのせて攻撃的な「CANDY」でフロアを攻めまくり、観客はそれにヘドバンで応戦。続けて、歌始まりのロックチューン「delete」を繰り出し、場内の興奮をさらに高めていったところに、「結婚しよう」という曲紹介から「プロポーズ」へ。舞台上で炎がバンバン上がり続けるなか、客席は全員一丸となって拳を振り上げ、ヘドバンで大盛り上がり。カオスがうずめくようなエネルギッシュな狂騒空間を作り上げたところで本編は終了した。
本編の熱狂がまだ残るなか、この日集まったファン、さらには過去の自分たちを愛おしむように“溢れた涙の数だけ僕たちはまた色を纏う”と「君色の朝」を届けて始まったアンコール。このあとは「Dear Tokyo」を投下し、爆発的な勢いで場内の高揚感を高めていった彼ら。
そうして、マオが「お前らと俺たち、すべてのみんなの夢をのっけて20周年。準備はいいか? 俺は歌うぞ!」と決意を叫んだあと、ゴールド×シルバーのテープがキラキラ場内に降り注ぐなか、最後に「Re:Dreamer」をパフォーマンス。
シド20周年イヤーの幕開けにふさわしい、祝祭感あふれる感動的なフィナーレでこの日のライブを締めくくった。
終演後、最後に舞台に残ったマオは「いよいよ20周年が始まりました。次は全国各地、シドとして会いに行けるのが嬉しくて。
最高のツアーにしようと思うので、みんな待っててください」というメッセージに続けて、生声で「愛してます!」という言葉を残し、ステージを後にした。
シドはこのあと、3月29日に20周年アニバーサリーBOXをリリース。
そして、4月1日からスタートする全国ツアー<SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」>は“声出し解禁”で行うことを1日目のライブのなかで発表。
さらに、このツアー終了後は、7月から<SID EVENT TOUR 2023>の開催も決定しているシド。
ここからシドが、20周年イヤーを華々しく、ノンストップで駆け巡る。
PHOTO◎今元 秀明
TEXT◎東條 祥恵
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ID-S限定 SID LIVE 2023 ~Re:Dreamer~
2023年1月22日(日)@LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
SET LIST
01. 海辺
02. 紫陽花
03. KILL TIME
04. ミルク
05. hug
06. 刺と猫
07. Instrumental
08. 涙雨
09. ANNIVERSARY
10. 夏恋
11. CANDY
12. delete
13. プロポーズ
En01. 君色の朝
En02. Dear Tokyo
En03. Re:Dreamer
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▼SID 20th Anniversary Special Site https://www.sid20th.jp/
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▼ライブ情報
SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」
2023年4月1日(土) KT Zepp Yokohama
2023年4月9日(日) Zepp Fukuoka
2023年4月14日(金) Zepp Nagoya
2023年4月16日(日) Zepp Osaka Bayside
2023年5月4日(木・祝) Zepp Sapporo
2023年5月6日(土) SENDAI GIGS
2023年5月13日(土) Zepp DiverCity TOKYO
【ID-S BASIC会員優先予約】 受付期間 2023年2月1日(水) 12:00~2月7日(火) 16:00
※2023年1月30日(月)時点でID-S BASIC会員の方が対象となります。
【チケット料金】
1Fスタンディング ¥7,500(税込/ドリンク代別)
2F全席指定 ¥7,500(税込/ドリンク代別)
※4才以上有料
▼SID EVENT TOUR 2023
2023年7月23日(日)Zepp DiverCity TOKYO
2023年7月30日(日)Zepp Nagoya
2023年8月12日(土)Zepp Fukuoka
2023年8月13日(日)Zepp Osaka Bayside
2023年8月26日(土)Zepp Haneda(TOKYO)
2023年9月2日(土)SENDAI GIGS
2023年9月18日(月・祝)Zepp Sapporo
※詳細は後日発表
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▼20周年アニバーサリーBOX
2023年3月29日 Release 商品タイトル未定
【完全生産限定盤(CD15枚組+Blu-ray+グッズ)】
KSCL 3420~36 ¥33,000(税込)
<CD 収録内容> 全15枚組
[Disc 1] 憐哀–レンアイ–
[Disc 2] 星の都
[Disc 3] play
[Disc 4] センチメンタルマキアート
[Disc 5] hikari
[Disc 6] dead stock
[Disc 7] M&W
[Disc 8] OUTSIDER
[Disc 9] NOMAD
[Disc 10] いちばん好きな場所
[Disc 11] 承認欲求
[Disc 12] 海辺
[Disc 13] Side A complete collection … 「ENAMEL」「White tree」「漂流」「delete」「ほうき星」「siren」「声色」「Star Forest」を収録
[Disc 14] Side B complete collection ~e.B 4~ … 「season」「泣き出した女と虚無感」「日傘」「怪盗ネオン」「歌姫」「cut」「すぐ傍で」「暖炉」「秋風」「囮」「Graduation」「レイニーデイ」を収録
[Disc 15] Side B complete collection ~e.B 5~ … 「走馬灯」「絶望の旗」「焼却炉」「CELEBRITY」「SENSE」「砂の城」「影絵」「運命の人」「夢心地」「チイサナツバサ」「ASH」を収録
<Blu-ray 収録内容> Music Video Collection
▼20周年アニバーサリーBOX 予約詳細
20周年アニバーサリーBOX 予約まとめ https://kmu.lnk.to/fqi7cq
▼購入者特典
【対象店舗/特典内容】
■Amazon.co.jp トートバック
■楽天ブックス アクリルキーホルダー
■セブンネットショッピング アクリルカラビナ
※特典は数量限定・予約優先での先着順配布となり、なくなり次第終了となります。
ご予約ご購入の際は、特典の有無を必ずECサイトでご確認ください
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シド オフィシャルサイト http://sid-web.info/
シド オフィシャルTwitter https://twitter.com/sid_staff
シド オフィシャルInstagram https://www.instagram.com/sid_official_jp
シド オフィシャルWeibo https://www.weibo.com/sidofficial
2023年01月24日 (火)
【ライヴレポート】<AURORIZE 1stワンマン『METEOR』>2023年1月22日(日)池袋EDGE◆三ヶ月連続リリース集大成EPをリリース&Cazqui(CBO)とのコラボや無料ワンマンの開催も決定!
REPORT - 21:00:452023/1/22@池袋EDGE
AURORIZE 1st ONEMAN『METEOR』
クラシックヴァイオリン×V系ラウドロック、唯一無二のスタイルを追い求めるバンド・AURORIZE(オーロライズ)の1stワンマンが池袋EDGEで開催された。
昨年9月に始動した同バンド、4カ月といえ確かな歩みとその圧倒的な世界観をファンに届けた。
セットリストはアルバム楽曲や新曲に加え、アコースティックセクションやヴァイオリンソロなど多彩な構成で練られ変幻自在のサウンドを見せつけた。
三カ月連続リリースで発表した楽曲を中心に構成した集大成EP『LUNA ROJA』のリリース、さらにVo.弓代星空も参加する「CBO」を主宰するCazqui(Cazqui’s Brutal Orchestra、ex.NOCTURNAL BLOODLUST)とのコラボを発表。
ミュージックビデオ『METEOR』が1/25(水)20:00に解禁されるとの事でこちらも見逃せない。
4/26(水)には渋谷REXでの無料ワンマンの開催を決定!
さらにこの無料ワンマンにはゲストギタリストとして前述のCazqui氏も客演する。
今後も注目のバンドである。
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<-Setlist->
SE. CHASMATIS
M01. AURORA
M02. Wonderland
M03. Daytime Stars
M04. Rouge 540
M05. BLACK TIE
M06. NIGRA
〜VIOLIN SOLO〜
M07. Discord
M08. R.I.P.
M09. Way of Life
M10. Moon and Back[Acoustic]
M11. The Spirit[Acoustic]
M12. TINTA ROJA
M13. ETOILE
M14. MIRAGE
-EN-
EN1. METEOR
EN2. IRIS
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【Member】
弓代星空(Vocal, Violin, Guitar)
SURUGA(Bass)
Seira(Drums)
かときてぃ[Support Gt.]
シロ from シグマメモリア[Support Gt.]
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★ピックアップ情報
■2023/4/26(水)AURORIZE 無料ONEMAN『GRACEFUL MISTAKE』チケット申し込み受付中!
https://t.livepocket.jp/e/arz_freeoneman_20230426
■Cazquiとの最強タッグ実現!『METEOR』MV FULL 1/25(水)20:00解禁!
https://www.youtube.com/channel/UCqATlb4vkORo4gBfNsf-uuw
■AURORIZE オフィシャルサイト
https://saintnoir-music.com/aurorize
2023年01月16日 (月)
【ライヴレポート】<DEZERT LIVE TOUR 2023 「てくてくツアー」ファイナル>2023年1月14日(土)TOKYO DOME CITY HALL◆挫けたっていい。苛立ってもいい。悩んだっていい。時にはそんな場面があったとしても、とにかく諦めなければそれでいい。
REPORT - 20:00:24挫けたっていい。苛立ってもいい。悩んだっていい。
これほど痛々しいくらいの焦燥感にさいなまれている姿を間近に見るのは久しぶりだったものの、推測するに今宵の彼が感じていたのであろうモドカシサの正体は、永久歯が生えてくる前のなんともいえないあの不快感に似たような症状だったのかもしれない。
つまり、それは成長過程においては避けがたい通過点の類であったのではなかろうか。
「…正直に言うと。理由はわかんないんだけど、なんか今日すげぇ悔しいのね。おまえらのせいじゃないんだ。
でも、悔しい。なんか、おおげさじゃなくて俺は“今日”のために生まれてきたと思うんだよ。(中略)
だから、ラスト1曲めいっぱい歌うけどひとつだけほんとにお願い。手を挙げてくれ。挙げられない人は心を挙げてくれ。
(手を)伸ばさないと届かないから。そして、みんなのその手!それを掴むために俺たちは生まれてきました。
ラスト 1曲、よろしくお願いします!!良い1日にしよう!!」(千秋)
昨年末には一大イヴェント[V系って知ってる?]で日本武道館の舞台に立ち、今後のシーンを担っていく存在としての矜持を多くの人たちに説得力あるパフォーマンスを通じて感じさせてくれたDEZERTが、2023年の第一歩として臨んだ東名阪での[DEZERT LIVE TOUR 2023 「てくてくツアー」]。
その最終日・TOKYO DOME CITY HALL公演における本編ラストで「TODAY」を歌い出す前に、ヴォーカリスト・千秋が吐露したこの言葉たちの赤裸々さには、彼とDEZERTというバンドの持つ誠実さとその裏側にある不器用さがありののまま表れていたように思えてならない。
しかも、そこから歌い出した「TODAY」の中で千秋は〈望んだってきっと明日も今日と変わらない苦しい朝だ〉という歌詞を“苦しい自分だ”と歌い替えてもいたのだった。
ちなみに、今ツアーでは初日の大阪・なんばHatchで千秋が開始早々のわずか数曲目でステージから勢いあまって転落し、足を挫いてしまうというトラブルが発生していたそうで、それからわずか2日後の名古屋・DIAMOND HALL公演にしても、初日から約1週間が経っていたこのTOKYO DOME CITY HALLでのステージングにおいても、フィジカルな面では千秋が万全な状態であったとはなかなか言い難いところがあるのも事実。
ただ、ソレはあくまでもひとつのファクターでしかなく今時期のDEZERTについて考えるのであれば、むしろ今回「てくてくツアー」の各地入場者に対して無料配布された楽曲であり、東名阪の各公演で1曲目に演奏されていた「「誰にも渡しちゃいけない場所を心と名づけ」」の内容にも着目した方が良さそうだ。
昨秋リリースされた最新シングル『The Walker』の表題曲が力強くかなりポジティヴなトーンのサウンドで彩られたものであったのに対し、この「「誰にも渡しちゃいけない場所を心と名づけ」」は暗く澱んだ音像が歪みながら響きわたるという、元来DEZERTが持っている闇と病みの部分が色濃くブーストされたものとなっているところが特徴で、歌詞も〈何のために生きてるのか その理由から僕は逃げたくない 手に入れたい 轟音の中 誰にも渡しちゃいけない場所を心と名づけ 流れゆく虚しい時代を 生きていかなきゃ〉〈また今日が終って また今日が始まる また生きていかなきゃ〉と悲壮感さえ滲ませた叫びが詰まったものとなっているのである。
もっとも、歌詞の表現方法としては相当に“行き詰まっている”ようにもとれる一方、本質的な意味合いとしては最新シングル『The Walker』の表題曲の歌詞にある〈立ち止まらないで歩くんだ〉〈きっと綺麗な未来だけじゃないけど 僕は諦めないと決めた〉といった言葉たちと方向性自体は一致しているため、おそらく「誰にも渡しちゃいけない場所を心と名づけ」と「The Walker」は表裏一体の関係性にあると解釈することも出来るはず。
さらに言えば、これらの核にあるもの自体は本編ラストで歌われた「TODAY」の歌詞とも繋がっていると考えられ、そうしたことを示唆するかのようにこの夜のアンコールでは締めくくりとして「The Walker」が演奏されたこともここに付記しておきたい。
「なんやろ。めっちゃ自分にイライラする。こんなんここで言うことちゃうけど。
ごめんな。…みんなはこの会場から一歩出た時、ほかに居場所ってある?(中略)俺はこの場所を失いたくない。
この場所を護るためには闘わなきゃいけないんよな。だって、今日1月14日に“ここ”を選んでくれたみんなの今いるその席は、あんたの居場所だから。2時間ちょっとのその居場所を護るために俺たちはこれからも曲を作るし、ライヴをするし、楽しいことも考えていきたい。そのために何したら良いかっていうことを今日これから家に帰ってまた考えます。
今日、もっと出来たなって思うから。まぁ、こんなこと言うなっていうことなんやけど嘘はつかれへんから。
これからも頑張ってこの場所を護っていくんで、また会いに来てくださいね。目標はあるから諦めずに行こう。
良かった、最後がこの曲で。千秋、Miyako、SORA、Sacchan、この4人で全身全霊でやります。聴いてください「The Walker」」(千秋)
不都合な真実からも一切目を背けることなく、何事に対しても正面突破をしていこうとするDEZERTのこの不器用で誠実なスタンスは実に潔い。
気付けば始動から12年目に入ったという今、千秋がわざわざアレコレ言いさえしなければ我々としては普通に今回のライヴに対して「1曲目が新曲でそこからの「再教育」と「「殺意」」とかマジでやべー展開じゃん」に始まり、「Sacchanのベースソロから始まった「モンテーニュの黒い朝食」がガチでかっけー」だの、「曲としても純粋に良いんだけど「あの風の向こうへ」で聴けたSORAのドラミングに痺れた」だとか、あるいは「ギターヒーローの風格を漂わせたMiyakoのソロありきで始まった「Call of Rescue」は鳥肌ものだったよね」、はたまた「アンコールでやった「大塚ヘッドロック」の政府ガイドライン対応の“5cm幅横モッシュ”は地味に熱かった!」などと楽しくうかれることも出来た気はするのだが…ことあるごとに挫けたり、苛立ったり、悩んだりするのがDEZERTなのは何も今に始まったことではない。
なんなら、彼らはそれを繰り返しながらここまで成長してきていると言っても過言ではないほど。
ぐるぐると螺旋階段を登るときのように、感覚的には堂々巡りをしているようでも確実に上階へと向かっているのだとしたら、足さえ止めなければやがては目的地へとたどりつく。
そういえば、DEZERTはこのあと3月2日にSpotify O-EASTにて毎年恒例の千秋生誕際として[Chiaki Birthday Live 「不透明人間」]を開催したあと、3月11日より全国6ヵ所にて[DEZERT LIVE TOUR 2023 / 天使の前頭葉–零–]を行うというのだが、まさにこれも2020年に流行り病の影響で一度は頓挫してしまったツアーのリベンジとなる模様。
DEZERTは本当に諦める、ということをしないバンドなのだ。
また、そんなDEZERTは来たる9月23日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) で[DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT-]を敢行することも決定。
これについて敢行と表記したのはSORAが今回のツアーファイナル直後にSNSにて発信したメッセージ内容とも関連するので、気になる方はぜひそちらもチェックしていただきたい。いずれにしても、ライヴタイトルにバンド名が冠されているということは、それだけの大きな意味を持った場になると考えるのが自然だろう。
挫けたっていい。苛立ってもいい。悩んだっていい。時にはそんな場面があったとしても、とにかく諦めなければそれでいい。
まずは千秋の捻挫快癒を心から願いつつ、これからもDEZERTが着実に歩き続けていく姿をまだまだ見守り続けていきたい。
写真◎西槇太一
文◎杉江由紀
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DEZERT LIVE TOUR 2023 「てくてくツアー」
2023 年 1 月 14 日(土 )TOKYO DOME CITY HALL
SETLIST
01 「誰にも渡しちゃいけない場所を心と名づけ」
02 再教育
03 「殺意」
04 ミスターショットガンガール
05 モンテーニュの黒い朝食
06 肋骨少女
07 あの風の向こうへ
08 MONSTER
09 Call of Rescue
10 おはよう
11 「遺書。」
12 「変態」
13 「君の子宮を触る」
14 「ピクトグラムさん」
15 TODAY
EN1 インビジブルビリーヴァー
EN2 大塚ヘッドロック
EN3 Sister
EN4 「死刑宣告」
EN5 The Walker
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<最新ライヴ情報>
■Chiaki Birthday Live 「不透明人間」
3月2日 (木) Spotify O-EAST
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OPEN 18:00 / START 19:00
【チケット料金】 前売 6,600円(税込) オールスタンディング
※入場時ドリンク代別途必要、営利目的の転売禁止、未就学児童入場不可
※公式リセールの実施を予定しております。詳細は後日発表します。
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★チケット:
【ひまわり会 チケット先行受付(抽選)】 ※e+抽選受付 ※1人2枚 ※スマチケのみ ※同行者登録有り
受付期間:1月14日(土)21:00~1月22日(日)21:00
受付はこちら https://www.dezert.jp/feature/chiaki2023
※お1人様2枚までお申し込みが可能です。同伴者は非会員でも申し込みいただけます。
※受付期間中にご入会が完了した会員様もお申し込みが可能です。
【オフィシャルHP先行受付(抽選)】 ※e+抽選受付 ※1人2枚 ※スマチケのみ ※同行者登録有り
受付期間:1月25日(水)12:00~1月31日(火)21:00
受付はこちら 受付URL:https://eplus.jp/dezert2303-official/
【一般発売】 2月11日(土)~
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■DEZERT LIVE TOUR 2023 / 天使の前頭葉–零–
3月11日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!! OPEN 17:30 / START 18:00
3月12日(日) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3 OPEN 17:15 / START 18:00
3月18日(土) 金沢AZ OPEN 17:30 / START 18:00
3月21日(火・祝) 柏PALOOZA OPEN 17:15 / START 18:00
3月25日(土) 水戸ライトハウス OPEN 17:15 / START 18:00
4月1日(土) 京都MOJO OPEN 17:30 / START 18:00
…………………………………………
【チケット料金】 前売 5,500円(税込) オールスタンディング
※入場時ドリンク代別途必要、営利目的の転売禁止、未就学児童入場不可
※公式リセールの実施を予定しております。詳細は後日発表します。
…………………………………………
★チケット:
【ひまわり会 チケット先行受付(抽選)】 e+抽選受付 ※各公演1人2枚 ※スマチケのみ ※同行者登録有り
受付期間: 1月14日(土)21:00~1月22日(日)21:00
受付はこちら https://www.dezert.jp/feature/tenshinozentoyo
※お1人様2枚までお申し込みが可能です。同伴者は非会員でも申し込みいただけます。
※受付期間中にご入会が完了した会員様もお申し込みが可能です。
【オフィシャルHP先行受付(抽選)】 e+抽選受付 ※各公演1人2枚 ※スマチケのみ ※同行者登録有り
受付期間:1月25日(水)12:00~1月31日(火)21:00
受付はこちら URL:https://eplus.jp/dezert2303-official/
【一般発売】 2月18日(土)~
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■LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT-
9月23日 (土) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
詳細は後日発表。
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<リリース情報>
★Blu-ray / DVD
「DEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 “The Walkers”」
発売中
…………………………………………
【オフィシャルサイト限定いちご盤】(Blu-ray+CD+64Pブックレット+オリジナルグッズ)DCXL-5~6 / 15,000円(税込、送料別)
【通常盤】(Blu-ray) DCXL-7 / 7,700円(税込)
【通常盤】(DVD) DCBL-21 / 6,600円(税込)
※通常盤のご予約はこちら https://DEZERT.lnk.to/KH7Vs8
収録曲・特典等の詳細はこちらhttps://www.dezert.jp/discography/detail/1197/
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