2023年03月09日 (木)
【ライヴレポート】<Luv PARADE Tour PANDEMONIUM>2023年3月8日(水)渋谷・duo MUSIC EXCHANGE◆
REPORT - 21:00:35大阪、名古屋と廻ってきたLuv PARADE初のワンマンツアー『Luv PARADE Tour PANDEMONIUM』が3月8日、渋谷・duo MUSIC EXCHANGEにてツアーファイナルを迎えた。
デジタルビートのSEに合わせてTSUKASA(Dr)、ZERO(Ba)、Karyu(Gt)が登場。この日のライブがこれまでと違うのは、彼らを大きな歓声が迎えているということだ。最後に紫色のストールを靡かせながらTAKA(Vo/defspiral)が登場するとその歓声は一段と大きくなる。ステージに揃った4人はその声を満足げな表情で受けながらそれぞれの持ち場で臨戦体制を整えた。
エレクトロなシーケンスが流れ出すと、もうカバーと紹介するのも躊躇うほどLuv PARADEの楽曲として定着した「Toxic」(ブリトニー・スピアーズ)でライブはスタートした。約3ヶ月ぶりに体感した彼らの演奏はその1音目から何かが違っていた。楽曲が進むにつれそれは確信へと変わった。ステージ後方に悠然と構えたTSUKASAの精確なビートと軽やかな動きを見せながらのZEROのずっしりとしたボトム、Karyuがアグレッシヴにかき鳴らす分厚いディストーションサウンド、そしてそこから繰り出されるグルーヴも、そのすべてからバンド感が増していることが明らかにわかる。さらに、艶やかな色香を放つTAKAの歌声とそのフロントマンとしての圧倒的なオーラだ。今やTAKAの存在は“ゲストボーカル”を超えたものになっている。Luv PARADEのバンドとしての一体感、アーティストとしてのアイデンティティはツアーを経て強固なものになった。そんな4人が放つ轟音の洪水がフロアを満たしていく。続いて、これもまたお馴染みとなっているナンバー「Poker Face」(レディー・ガガ)で攻めていく。
「あっという間にファイナルになってしまいました。悔いの残らないように最後まで楽しんで帰ってください! いいかぁ!? 東京!!」
TAKAの煽りで始まった聴き覚えのあるフレーズに思わず耳を疑った。まさかの「Dub-I-Dub」(Me & My)だ。誰もが耳にしたことがあるであろう、有名なポップなフレーズ《Dub-i-dub-i-dub-i-dub-dub-dub》を妖しく浮遊感のあるものへと昇華した、彼ららしい見事なアレンジだ。
ダークな空気が漂う「BAD GUY」(ビリー・アイリッシュ)を挟み、「DEVIL’S PARADE」(D’ESPAIRSRAY)へ。Karyuが豪奢にヘヴィなリフを鳴らせば、オーディエンスは「待ってました!」と言わんばかりの歓声をあげ、異国情緒溢れるフレーズとリズムに合わせてフロア全体が跳ねる。TSUKASAの華麗なドラミングに合わせてZEROがシャウトする「DEATH POINT」(D’ESPAIRSRAY)。オーディエンスも負けじと声をあげるも、「まだ足んねーよ!」とZERO。全力のコール・アンド・レスポンスで会場のボルテージは早くも最高潮に達した。
打って変わって「Hyperballad」(ビョーク)で神秘的でおおらかな世界を創り上げると、これまた聴き覚えのあるメロディが。なんと、「MY HEART WILL GO ON」(セリーヌ・ディオン)である。その大胆な選曲はどんな曲でもLuv PARADEになるという自信の現れだろう。原曲は突き抜けていくハイトーンが魅力的だが、TAKAの色気のある太い低音ボーカルと重厚なヘヴィサウンドが融合したLuv PARADEならではの堂々たる仕上がりだ。「Dub-I-Dub」といい、世界中から愛されるポップスの名曲をカバーするという勇気に感服。サウンドアレンジはLuv PARADE節であるものの、メロディを大きく変えることはせず、原曲に対するリスペクトを表しているのは彼らのこだわりでもあるだろう。
「踊りたいヤツはいるかー! 騒ぎたいヤツはいるかー!」
TAKAが叫び、ダンスビートが流れ出した。「LOVE IS DEAD」(D’ESPAIRSRAY)からのラストスパート。軽快なリズムがフロアを揺らし、「BITE THE BULLET」(the Underneath)と、エッジの効いたナンバーを続けざまに叩き込む。ラストは「MIRROR」(D’ESPAIRSRAY)。グラマラスでスリリングでアンサンブルで一気に駆け、本編を終えた。
アンコールは、椅子に座ったアットホームなアコースティックスタイル。“TSUKASA PARADE”に始まり、“ZERO PARADE”、“Karyu PARADE”、“TAKA PARADE”と名乗ることになったファミリーネーム(?)の話題から、名古屋で4人揃って初めて打ち上げをしたというエピソードも語られ、和やかな雰囲気に。まずは「Hurt」(ナイン・インチ・ネイルズ)を、原曲が持つ退廃的な雰囲気から抒情的なものへとリアレンジして披露。続く「Don’t Look Back In Anger」(オアシス)はメロディの良さを重視した正攻法でシンプルなアコースティックアレンジ。TAKAの伸びやかな声とその感情に寄り添うKaryuの大胆なストロークが聴き手の心に揺さぶりをかけてくる。さらに「メンバーやマニア(D’ESPAIRSRAYファンの総称)の皆さんが大切にしている曲を歌わせてもらって、そんな中で皆さんが騒いでる光景は本当に嬉しいし、美しいです」とTAKA。「次もD’ESPAIRSRAYを名曲を」と言い、「凍える夜に咲いた花」を披露すると、フロアから歓喜のどよめきが起こり、緊張感と熱が織りなす4人の演奏に誰もが酔いしれた。ヘヴィでハードなサウンドの印象が強い彼らだが、聴かせるところはしっかり聴かせる実力派であることを改めて気付かされた一幕であった。
「ワンマンライブなので、いろんなことがやれてます。皆さん楽しんでくれてたら幸いです。楽しんでもらえてますか?」
アンコール後半は再び通常のバンドセットに戻って「sk8er boi」(アヴリル・ラヴィーン)を投下。「全員で跳ぶぞ!」と全力の縦ノリでこれでもかという盛り上がりを見せていく。続いてはこれまた驚きの選曲「The NeverEnding Story」(リマール)。この日、初披露となった曲、そのすべて意外なセレクトだった。あえてロックとは少し離れた誰もが知るポピュラーミュージックを自分たちの色にしていくというカバーの面白さ、何よりもLuv PARADEの未知なる可能性を思い知らされた。
「平たく言うと“カバーバンド”なんて言ったりもしますけど、それだけじゃないものがあると思ってます。我々の想いに応えてこの空間で一緒に楽しんでくれる皆さん、ありがとうございました!」
最後の最後に贈られたナンバーは「KAMIKAZE」(D’ESPAIRSRAY)。スペーシーな楽曲がいざなっていくもの、それはこの4人の未来なのだと。そう感じたラストに相応しい光景だった。
最後にTAKAが1人ひとり、メンバーを紹介していく。
「ありがとう、Luv PARADEでした。また一緒にPARADEしましょう!」
次回は7月9日、新宿BLAZEにて主催イベントが開催されるという。詳細は追ってのこと。次回、4人は我々にどんな景色を見せてくれるのだろうか。
(冬将軍)
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■SET LIST
1. Toxic/Britney Spears
2. Poker Face/Lady Gaga
3. Dub-I-Dub/Me & My
4. BAD GUY/Billie Eilish
5. DEVILS’ PARADE/D’ESPAIRSRAY
6. DEATH POINT/D’ESPAIRSRAY
7. Hyperballad/Björk
8. My Heart Will Go On/Celine Dion
9. LOVE IS DEAD/D’ESPAIRSRAY
10. BITE THE BULLET/the Underneath
11. MIRROR/D’ESPAIRSRAY
En
1. HURT(Acoustic)/Nine Inch Nails
2. Don’t Look Back In Anger(Acoustic)/OASIS
3. 凍える夜に咲いた花(Acoustic)/D’ESPAIRSRAY
4. sk8er boi/Avril Lavigne
5. The NeverEnding Story/Limahl
6. KAMIKAZE/D’ESPAIRSRAY
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■Zaikoにてアーカイブ配信中
https://parade.zaiko.io/e/luvparade20230308
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■Luv PARADE主催イベント
7月9日(日)新宿BLAZE
※詳細は順次発表
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Luv PARADE OFFICIAL SITE
Luv PARADE Twitter
https://twitter.com/parade_official
2023年03月05日 (日)
【イベントレポート】合コン!?前哨戦で波乱の予感!びじゅなびトークライブ「びじゅなびpresentsおいでよ!V系!」2023年2月25日(土)新宿LOFT PLUSONE◆山内秀一/Seira(AURORIZE)/NERO(KAKUMAY)/湊叶(ヤミテラ)
REPORT - 17:00:56びじゅなびが主催するトークライヴ「びじゅなびpresentsおいでよ!V系!」が、新宿LOFT PLUSONEにて開催された。
左から 山内秀一/Seira(AURORIZE)/NERO(KAKUMAY)/湊叶(ヤミテラ)
今年で始動から21年目となるヴィジュアル系アーティスト総合情報サイト「びじゅなび」によるトークライブが2月25日(土)の昼に新宿ロフトプラスワンで開催された。
「びじゅなび」初の試みとなる本イベントにはSeira(AURORIZE)、NERO(KAKUMAY)、湊叶(ヤミテラ)が気鋭の3バンドを代表して登壇、MCはラジオ「#V系って知ってる?」のDJでお馴染み、山内秀一が担当した。
▲説をする山内秀一。
対バンでちょっと挨拶したことがある程度…という実質初めましての3人はまるで「合コン状態」。
互いのバンド内のプライベートな付き合いの話題をきっかけに探りをいれていくが、それぞれのVisual Rockルーツの話になると、湊叶の口からはシドの『センチメンタルマキアート』の衝撃や同じベーシストである明希への憧れが熱く語られ、呼応するようにSeiraからはDELUHI、NEROからはDIR EN GREYといった名前が挙がり、まるでキッズに戻ったようにトークが白熱する。
お互いのMVを鑑賞し、アーティストの目線からの分析、談義を終え前半が終了。
AURORIZE – “METEOR” feat.Cazqui [Official Music Video]
ロケシチュエーションの華々しさに“かっこいい!”の声が上がったAURORIZE。
KAKUMAY / IDOL [OFFICIAL VIDEO]
こだわりは「色」とのこと。NEROの撮影時の珍エピソードも。
ヤミテラ「仇花」Music Video FULL
炎の特攻が激しい情熱的な作品でありながら「●監督」という示唆的な発言も出るのがロフトプラスワンのトークライブならでは。
この日限定の「びじゅなびカレー」や「びじゅなび焼きそば」。
飲んで食べて笑えるライブがロフトプラスワンの魅力。
▲とりわけ「「「酒豪」」」な出演者が1名。(さあだれでしょう)
休憩を挟んだ後半ではお酒の勢いもあり一気に打ち解けた出演者同士でのバンド談義も。
来場したファンからの質問にNGナシで答えるQ&Aコーナーでは、「ライブ前には●●●●●●にしている」など衝撃過ぎるルーティーンから、「もらって嬉しいプレゼント」などこの日ならではのトークを展開。
全編ツイート不能な禁断のトークライブの全容は配信アーカイブで是非チェックしてほしい。
【配信チケット販売中 視聴期限: 2023年3月11日(土) 23:59 まで】
https://twitcasting.tv/loftplusone/shopcart/219629
AURORIZEは4月26日(水)に渋谷REXで無料ワンマンライブを開催。
KAKUMAYは3月22日(水)にSpotify O-WESTで全国ONEMAN TOUR KILLING IDOLのFINAL公演「偶像」を行う。
ヤミテラは3月25日(土)の札幌Crazy Monkeyを皮切りにYAMITERA 2023 ONEMAN TOUR「THE LIVE」をスタート。ファイナル公演は9月16日(土)の渋谷CLUB QUATTROが発表されている。
またこの3バンドにHOWL、ビバラッシュ、ぶえを加えた合計6バンドが4月30日(日)に池袋EDGEで開催されるスペシャルライブ「VISUNAVI presents Visual Rock is not “DEAD”」に出演する。
このライブはVisual Rockシーンを20年以上サポートし続けてきた「びじゅなび」が2023年の今、一押しの次代を担うバンドを厳選した座組となっている。
Visual Rockの未来を占う見逃せない1日になることは想像に難くない。
注目度の高さから先行販売の売れ行きがかなり好調とのこと。是非一般発売でチケットをいち早く入手してもらいたい。
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<ライヴ詳細>
■VISUNAVI presents Visual Rock is not “DEAD”
4月30日(日)池袋EDGE
http://xxxrecords.jp/edge/
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OPEN 16:00 / START 16:30
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【チケット料金】
前売り4,800円(税込)/オールスタンディング
※入場時ドリンク代別途必要
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【出演】(A〜&五十音順・敬称略)
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AURORIZE
https://saintnoir-music.com/aurorize/
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HOWL
https://howl-official.com/
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KAKUMAY
https://www.kakumay.com/
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ビバラッシュ
https://vivarush.jp/
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ぶえ
https://bueinfo.ryzm.jp/
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ヤミテラ
https://yamitera.net/
★チケット:
【一般発売】
2023/3/11(土)10:00〜
https://eplus.jp/sf/detail/3813200001-P0030001
※チケットはスマチケのみ
営利目的の転売禁止・未就学児童入場不可
※複数購入の場合の同行者登録は不要
問:池袋EDGE 03-6907-1811
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2023年を新たな動きを展開する「びじゅなび」。そして更なる盛り上がりを見せるVisual Rockシーンに期待してほしい。
2023年03月04日 (土)
【ライヴレポート】<DEZERT『Chiaki Birthday Live「不透明人間」』>2023年3月2日(木)Spotify O-EAST◆「綺麗事言うけど、あんたらがいるからやってる。音楽は俺に目的と理由と愛をくれた恩人なんで。」
REPORT - 18:00:33春の北風が吹き荒れた、2023年3月2日。
DEZERT『Chiaki Birthday Live 「不透明人間」』が、東京・Spotify O-EASTで開催された。
フロントマンである千秋(Vo)のバースデー当日となる本公演では、コロナ禍に突入して以来、実に3年ぶりに声出しが解禁された。
また、これまで千秋のバースデーライヴでは、ゲストミュージシャンの出演やカバー曲の演奏など、特別感のある内容が盛り込まれていたが、今年はメンバーのみでDEZERTの曲を演奏。つまり、超王道のステージを真正面から叩きつけたのだ。
平日にも関わらず、会場は超満員。入場中に、スタッフが観客たちへなるべく前に詰めるようにと呼びかけるほどであった。
暗転した瞬間、堰を切ったように、あちこちからメンバーの名前を連呼する声が飛び交う。DEZERTのライヴの始まりだ。
3年前までは当たり前だったこの光景が今はあまりにも懐かしく、曲が始まる前から胸にグッとくるものがある。
新衣装に身を包んだメンバーが登場すると、その声はさらに高まっていく。
一番手のSORA(Dr)は、どこか嬉しそうにフロアを見つめ、Sacchan(Ba)はいつも通り無表情ながらも耳に手を当てて声をしっかりと聞き、Miyako(Gt)も耳に手を当て、穏やかに微笑みながらも「もっと!」と言わんばかりに会場を煽っていた。
そして本日の主役である千秋が現れると、歓声は一段と大きくなる。
大歓声の中で始まった一曲目は「TODAY」。この曲は、昨年12月末にSORAがオーガナイザーをつとめて日本武道館で開催したイベント『V系って知ってる?powered by MAVERICK DC GROUP』や、今年1月に開催した『DEZERT LIVE TOUR 2023 「てくてくツアー」』のファイナルTOKYO DOME CITY HALL 公演をはじめ、数々のライヴのラストを飾ってきた曲だ。
<生きててよかった そう思える夜をずっと探してる>。まるで一人一人に語り掛けるよう、一つ一つの言葉を丁寧に歌う千秋の姿からは、自分の言葉と音楽で人の心を動かしてやるという、フロントマンとしての誇りと強い意志が感じられる。
思えば、昨年の千秋バースデーライヴ『透明人間』もこの「TODAY」から幕を開けた。
“透明人間”から“不透明人間”へと進化したタイトルも含め、この1年での成果をここで見せたいという意気込みの表れなのだろうか。
演奏と歌をしっかり聴かせながらも、やはり久々の声援に喜ばしさを隠しきれず、「EAST、一言いいですか! 会いたかったぜー!」とロックスターのごとく叫ぶ千秋。
それに共鳴するように疾走感あふれる「Your Song」のイントロをMiyakoが勢いよく掻き鳴らし、SacchanとSORAが軽快なリズムを刻み始める。
その瞬間、DEZERTのライヴを作り上げるピースが全て完璧に揃い、今日が最高に熱いライヴになる予感がした。
「Thirsty?」「インビジブルビリーヴァー」と激しいナンバーが続けて繰り出されると、その予感は確信に変わる。
観客たちは一斉に飛び跳ねたり、ヘッドバンギングで頭を振り乱したりと、初っ端からエンジン全開。
フロアの熱がメンバーのボルテージを上げ、それを感じた観客がさらに熱量を上げる、という好循環が生まれていく。
さらに、凶暴でおどろおどろしい初期曲「包丁の正しい使い方~実行編~」、心地よいジャムセッションから始まったバラードソング「「遭難」」、ダークとポップがミックスされた不穏な「モンテーニュの黒い朝食」、DEZERT流パーティーソング「殺されちゃう」など、多彩な楽曲が披露される。
中でも「カメレオン」では、イントロが始まると、一気にギアを上げたメンバーは目の色をガラリと変え、アグレッシブなプレイを繰り広げていく。
その姿にフロアのボルテージも急上昇。あっという間に熱気渦巻く空間が出来上がっていた。
MCで千秋は、この3年間を無駄にしたくなかった、と前置きしつつコロナ禍を振り返る。
「俺たちは正直コロナでめっちゃ苦しい思いはしなかった。それはあんたらのおかげだと思ってます。ありがとうございます。
2019年のライヴで俺は武道館でライヴをやるって言った。
そこから色々あって模索しながら年を取って、何事にも一生懸命になれなかった人生で、今一生懸命にバンドに向き合うことができている。(中略)俺たちはあんたらの孫、ひ孫、玄孫まで届けたいなという目的がある。
僕は病んでますよ。死にたいって思うことはないけど人並みに病んでる。でもそれがバンドをやる理由。
綺麗事言うけど、あんたらがいるからやってる。音楽は俺に目的と理由と愛をくれた恩人なんで」。
改めて素直な言葉でファンへの感謝の気持ちと、胸に燃える決意を表明し、「Hello」へ。
<僕らの居場所が誰かの居場所になるように>と、アーティストとしての在り方をそのまま込めたような歌詞を力強く歌い上げ、最後に<僕はここだ>と存在を主張する。
曲が終わった瞬間、フロアからは千秋の言葉と音楽に心を震わせた観客たちの、「千秋!」「千秋!」という声援が一斉にわきあがり、しばらく止まらなかった。
「insomnia」をじっくりと聴かせたあとは、「デザートの楽しいマーチ」で再び勢いをつけ、ライヴ定番曲の「変態」へ。<へんたーい、へんたーい>と繰り返すコール&レスポンスから始まり、SORAが「行くぞー!」と絶叫すると、ステージからはすさまじい圧の凶暴な音が放たれる。観客たちはその轟音を浴びながら拳を突きつけ、頭を振り、中指を立てる。
声出しが解禁されたことで、タガが外れたかのように熱狂するフロアのテンションは、「「秘密」」でさらに勢いを増し、とどめの「「遺書。」」へ。
サビでは<さぁ遺書を書こう>と全員での大合唱も復活し、おおいに盛り上がりを見せた。
「今日も生きててくれてありがとうございます。DEZERT入って11回目の誕生日らしいです。
ときどき、髪の毛立てながら何やってのかなって思う時もあります。何歳までできんのかなって。
(中略)不幸とかって耐えるしかないんです。俺たち凡人は、耐えて耐えて耐えて、術を身につけてやっていくしかないと思ってる。
でもどうしても無理だってときは、音楽があるじゃない。そんなときはぜひDEZERTをよろしくお願いします。
昔「「殺意」」を歌ったときの気持ち、そんなものはもう正直ないです。でもそこから色んな曲作って、「「殺意」」もあの時の気持ちと今の気持ちを複合して歌ってます。
僕は過去を振り返りますよ。あと一個、僕は去年“魂を売ってもいい”って言ってたけど、あれ撤回します。魂は売りません。俺たちが売るのは才能です」。
そう宣言した千秋を讃えるよう、会場にはこの日一番の大きな拍手がわきおこる。
そして、本編ラストは「ミザリィレインボウ」。壮大なスケール感の愛が詰まったこの曲ですべてを包み込み、大きな感動を観客たちの胸に残した。
さらにアンコールで「The Walker」のほか、「脳みそくん。」「「不透明人間」」「「君の子宮を触る」」「「切断」」と、限界まで体力を搾り取るようなセットリストを展開し、合計で22曲を披露したDEZERT。
バースデーライヴらしいおめでたさや特別感ではなく、今のDEZERTの真骨頂を見せつけた。
それを受け取った観客たちは、きっと明日からの日常へ立ち向かっていくエネルギーを十分にチャージしただろう。
終演後、冷たい風が吹き荒れる道玄坂の人ごみの中、背中に「千秋」や「DEZERT」の文字を背負った人たちが、どこか軽い足取りに見えたとき、そう確信した。
ライヴの熱も冷めやらぬ3月11日より、『DEZERT LIVE TOUR 2023 / 天使の前頭葉–零–』、4月24にはその追加公演『DEZERT LIVE 2023 / 天使の前頭葉–結ふ–』を開催する。
さらに新たに発表された『DEZERT LIVE TOUR 2023 “きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー”』が6月17日よりスタート。
そして、9月23日には『DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT-』がLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行われる。
“魂ではなく才能を売る”と宣言した彼らの未来に、期待しかない。
PHOTO◎西槇太一
TEXT◎南秋歩
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Chiaki Birthday Live 「不透明人間」
2023年3月2日(木)Spotify O-EAST
<SETLIST>
01 TODAY
02 Your Song
03 Thirsty?
04 インビジブルビリーヴァー
05 蝶々
06 包丁の正しい使い方~実行編~
07 「遭難」
08 モンテーニュの黒い朝食
09 殺されちゃう
10 カメレオン
11 Hello
12 insomnia
13 デザートの楽しいマーチ
14 「変態」
15 「秘密」
16 「遺書。」
17 ミザリィレインボウ
EN1 脳みそくん。
EN2 「不透明人間」
EN3 The Walker
EN4 「君の子宮を触る」
EN5 「切断」
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<LIVE>
■DEZERT LIVE TOUR 2023 / 天使の前頭葉–零–
3月11日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!! OPEN 17:30 / START 18:00
3月12日(日) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3 OPEN 17:15 / START 18:00
3月18日(土) 金沢AZ OPEN 17:30 / START 18:00
3月21日(火・祝) 柏PALOOZA OPEN 17:15 / START 18:00
3月25日(土) 水戸ライトハウス OPEN 17:15 / START 18:00
4月1日(土) 京都MOJO OPEN 17:30 / START 18:00
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※全公演チケットSOLD OUT!
公式リセールについて https://www.dezert.jp/news/detail/9477
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■DEZERT LIVE 2023 / 天使の前頭葉–結ふ–
4月24日(月) SHIBUYA CLUB QUATTRO OPEN 18:15 / START 19:00
【チケット料金】前売5,500円(税込・ドリンク代別) オールスタンディング
【一般発売】3月4日(土)
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■DEZERT LIVE TOUR 2023 “きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー”
2023年6月17日(土)CLUB CITTA’ OPEN 17:00 / START 18:00
2023年7月1日(土)新潟NEXS OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月9日(日)仙台Rensa OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月15日(土)福岡DRUM Be-1 OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月16日(日)福岡DRUM Be-1 OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月22日(土)岡山CRAZYMAMA KINGDOM OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月23日(日)高松MONSTER OPEN 17:30 / START 18:00
2023年7月29日(土)札幌ペニーレーン24 OPEN 17:30 / START 18:00
2023年8月26日(土)名古屋DIAMOND HALL OPEN 17:15 / START 18:00
2023年8月27日(日)なんばHatch OPEN 17:15 / START 18:00
【チケット料金】6,000円(税込・ドリンク代別)
スタンディング(大阪公演以外の9公演)
全自由/座席有り(8月27日大阪公演のみ)
※入場整理番号付き
【ひまわり会 チケット先行受付(抽選)】 受付期間:2023年3月2日(木)21:00~3月12日(日)21:00
オフィシャルFC「ひまわり会」会員限定受付ページ https://www.dezert.jp/feature/kiminosekizuito
※各公演お1人様2枚までお申し込みが可能です。同伴者は非会員でも申し込みいただけます。
※受付期間中にご入会が完了した会員様もお申し込みが可能です。
※イープラス抽選受付、スマチケのみ、同行者登録有り
【オフィシャルHP先行受付(抽選)】 受付期間:2023年3月25日(土)12:00~4月3日(月)21:00
受付ページ https://eplus.jp/dezert230608-official/
※イープラス抽選受付、各公演1人2枚、スマチケのみ、同行者登録有り
【チケット一般発売】日2023年4月29日(土・祝)
◎公式リセール実施予定
■LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) DEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT-
9月23日 (土) LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
詳細は後日発表。
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<リリース情報>
★Blu-ray / DVD 「DEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 “The Walkers”」発売中
【通常盤】(Blu-ray) DCXL-7 / 7,700円(税込)
【通常盤】(DVD) DCBL-21 / 6,600円(税込)
収録曲・特典等の詳細はこちらhttps://www.dezert.jp/discography/detail/1197/
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