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2023年05月12日 (金)

【ライヴレポート】<Kαinワンマンライブ 「約束の日」CD無料配付GIG>2023年5月2日(火)新宿ReNY◆YUKIYA(Kain)が自身のバースデーライブでファンに贈った至福の一夜

REPORT - 12:00:59

 1993年に始動したDSIREを皮切りに、以降JILSKainのシンガー/コンポーザーとして精力的な活動を行っているYUKIYA(藤田幸也)。硬派なロック・テイストと洗練感を併せ持った独自の音楽性やパンク・スピリットを感じさせる熱い人柄などは非常に魅力的で、彼は長年に亘って多くのリスナー(男性ファンが多いことも注目)から篤い支持を得続けている。

 

 そんなYUKIYAが彼の誕生日となる52日に<Kαinワンマンライブ「約束の日」CD無料配付GIG>と銘打ったライブを、新宿ReNYで行なった。同公演はタイトルどおり来場者全員に未発表音源のCDを配布するという特典がつき、さらに記念グッズなどが付加される“VIPチケットと一般チケットを選べる形態で開催。両チケットともに完売となり、YUKIYAが高い動員力を誇っていることをあらためて感じさせる中でのライブとなった。

 

 

 場内が暗転してストリングスやピアノをあしらった穏やかなオープニングSEが流れ、ステージ前に降ろされたスクリーンに森や湖などの美しい情景が映し出される。続いてKainのメンバー達がステージに姿を現し、客席から男性ファンが多いライブ(半数以上は男性でした)ならではのウォーッ!という野太い歓声と盛大な拍手が湧き起り、ライブは「LiFE」から始まった。

 

 

 シックなロングコートを身に纏い、ステージに力強く立って、エモーショナルな歌声を聴かせるYUKIYA。引き締まった表情で、しなやかなビートやフィルを紡いでいくATSUSHIds)。サポートメンバーでいながら強い存在感を発しつつシュアなプレイを展開して、強固なバンド感を生み出す一也 -kazuya-g)とkazub)。華やかなステージと爽やかなサウンドにオーディエンスは一体感のあるリアクションを見せ、ライブは非常にいい雰囲気で幕を開けた。

 

 

 

 

 

 その後はソリッドなサウンドと弾力感のあるボーカルのマッチングを活かした「NUMBER SIXXX.」や翳りを帯びた「因果律」、ダークな歌中とメロディアスなサビを配した「BARREL」といったアップテンポのナンバーを続けてプレイ。曲が進むに連れて加速していく流れが心地いいし、客席に煽りを入れながら歌うYUKIYAのカッコよさに目を奪われる。気持ちが駆り立てられる瞬間の連続に牽引される形で、場内のボルテージはどんどん高まっていった。

 

 クール&スタイリッシュな「レイシー」を聴かせた後、「こんばんは、Kainです」とYUKIYAが挨拶。

 

「今日は俺の誕生日を祝うGIGということで、超高価なチケットを皆さん買ってね。皆さんが一生懸命働いて、皆さんが汗水垂らして時間……時間というのはイコール命ですから、命を使って稼いでくれたお金をチケット代として払わされた挙句に、おかしな服(VIPチケット特典のTシャツ)を着させられているじゃないですか(笑)。こういうのを、同調圧力と言うんですかね(笑)。

 

 そんな中ですよ、皆さんが今日という1日をどんなふうに過ごしたいかは皆さん次第なわけです。たしかに、ステージの上に立って皆さんを先導しているのは私です。今日のライブを企画したのも私です。だから、皆さんに責任を押しつけるわけじゃありません。が、しかし皆さんに責任を押しつけましょう(笑)。今日のライブがいいライブになるかどうかは、お前ら次第です。今日のライブの主役は君達だ。俺達に、目にものを見せてくれるんだろう? 目にものを見せてくれるんだよな!」というYUKIYAのアジテーションに、客席からウォーッ!という熱い声があがる。

 

 

 ところが、YUKIYAは続けて「盛り上がれ、盛り上がれみたいな話をしましたけど、次からバラードのセクション(笑)。ここからは少しミドル・テンポの曲をやります」とコメント。客席は一気に和み、この辺りの持っていき方は上手いなと思う中、「落日の砂」や「レイニーレイン」「あいのうた」といった憂いを帯びたナンバーが相次いで披露された。アッパーな前半からメンバー全員がスッと気持ちを切り替えるのはさすがだし、バンドとしての秀でた表現力を発揮して深みのある世界を構築するのも実に見事。スロー・チューンの連続でいながら退屈さは微塵もなく、深く惹き込まれずにいられなかった。

 

 その後は1部(今回のライブは2部制だった)の締め括りとして、美麗な「Nowhere Else」をプレイ。じっくり聴かせる構成でオーディエンスを魅了して、Kainはステージから去っていった。

 

 15分ほどのインターバルを経て、2部はラグジュアリーな「NOWHERE」と流麗なメロディーや効果的なビート・チェンジなどを活かした「graver」からスタート。共に新曲でいながらオーディエンスの反応はよく、Kainの楽曲クオリティーの高さを再確認させられる。スロー・チューンを纏めたセクションから休憩を挟んだ後、耳に馴染みの薄い新曲2曲という流れにも拘わらず客席のテンションが下がることはなく、ライブは終始いいムードで進んでいった。

 

 

 「graver」の後は、さらに世界を深化させるように妖艶な雰囲気の「聖痕-stigma-」や耽美感を湛えたシャッフル・チューンの「残月」、客席から合唱が湧き起こった「Latency Sorrow」などをプレイ。幅広さと完成度の高さを兼ね備えた楽曲群は聴き飽きることがないし、1曲の中で柔から剛まで自在に使い分けるYUKIYAのボーカルや楽曲の世界観作りに寄与するATSUSHIのドラムを始めとした上質なプレイの数々も実にいい。YUKIYAの美意識の揺るぎなさは本当に魅力的だし、それに共鳴して説得力のある形で聴かせることができるメンバーが揃っていることはKainの大きな強みといえる。

 

 

 Latency Sorrow」を聴かせた後、再びYUKIYAMCが入った。

 

「いつかロックが死ぬ日がくるとしても、それは因果応報かもしれないね。俺達がガキの頃はさ、演歌なんてオッサンが聴くもんだぜと思っていたわけよ。今は、演歌は好きだよ。でも、10代の頃はそう思っていたわけじゃん。同じように、今の若いヤツらはロックなんてオッサンが聴く音楽だと思っているかもしれない。だけど、俺はすごくロックに救われて生きてきたんだ。学校のみんながテレビで流れている音楽ばかりを聴いている中で、俺が好きな音楽は絶対にテレビで流れないということにちょっとした優越感を感じたりしてさ。そういう暗い、暗い青春時代を送ってきたわけよ。

 

 俺はずっとロックが好きで、ロックをやるうえでどうしても必要なものがあった。それは、メンバーと君達オーディエンス。だからさ、ファンの人っていうのはすごく大事だよ。だけど、正直に言うけど、ファンの人ってウザいじゃん。ああ言えばこう言うみたいな人もいるし、自分の理想を押しつけたりするし。

 

 俺はマジでお前達のことなんか嫌いだし、ウザいと思ってた。だけど、俺が表現したいことを残していくうえでときには苦しかったり、悩んだり、うまくいかなったり、思うように活動できなかったり、理不尽な目に遭ったり。そんな中で、たったひとつの光が自分の曲を心から愛してくれる君達でした」

 

 そんな熱い言葉に続けて、「そのことを歌った曲があります。俺達のスタイルやサウンドだけじゃない、俺達のロックです」という言葉と共に煌びやかな「光」が届けられた。そして、爽やかかつウォームな「Re:MEMBER」を聴かせた後、ラストソングとして「theEPIC」をプレイ。しなやかにたゆたうサウンドと情熱的に歌い上げるボーカルをフィーチュアした同曲の聴き応えは圧倒的で、感動的な余韻を残してKαinワンマンライブ「約束の日」CD無料配付GIGは幕を降ろした。

 

 

 

 

 

 ハイ・クオリティーな音楽や独創的なライブ・アプローチなどで、場内を埋めたオーディエンスを満足させたKain。ミュージシャン・シップの高さが光ると同時にVIPチケット/一般チケットを用意し、VIPチケット購入者限定でアンコール(アンコールではメンバー全員によるトークと「証-akashi-」を披露)やサイン会などを実施するアイディアもさすがといえる。今は選択肢があることを喜ぶユーザーが多い時代であり、YUKIYAがそれを理解していることがうかがえた。彼がアーティストのみならずプロデュースやレーベル運営などでも実績を残しているのは、時代を読み取る力を備えているからこそといえるだろう。

 

 YUKIYAは今年の秋に音楽活動30周年を迎えるが、それも単なるひとつの節目に過ぎず、彼はこれからも輝き続けるに違いない。それを強く予感させられる上質なライブだった。

 

 

 

取材 村上 孝之

写真 逸見 隆明

 

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20230502日(火)

Kαinワンマンライブ

「約束の日」CD無料配付GIG

新宿ReNY公演

 

SET LIST

第一部

SE THE ONE DAY

01 LiFE

02 NUMBER SIXXX.

03 因果律(未音源化)

04 BARREL(未音源化)

05 レイシー

06 落日の砂(未音源化)

07 レイニーレイン(未音源化)

08 あいのうた

09 Nowhere Else(未音源化)

SE theEND -piano ver-

第二部

SE NOWHERE SE

10 NOWHERE(新曲)

11 graver(新曲)

12 聖痕-stigma-

13 残月

14 あふれそうな涙(未音源化)

15 Latency Sorrow

16 光(未音源化)

17 ReMEMBER(未音源化)

18 theEPIC(未音源化)

SE east of eden

 

アンコール(VIPのみ)

19 証-akashi-(未音源化)

SE 証-akashi-2023

 

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NEXT LIVE

 

20230708日(土)

Kαin結成16周年記念公演

GIGS VISUALIVE~東京、モノクローム」【day:1

会場:渋谷REX

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出演:KαinYUKIYAATSUSHI

Support Guitar:一也 -kazuya-HOLLOWGRAM

Support Basskazuthe god and death starsgibkiy gibkiy gibkiySTEREO.C.K etc…

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時間:開場/開演 17301830

料金:前売¥7,700-(全席指定/ドリンク代別)

前売:予約はTMFRメルマガ会員のみ/一般チケットは当日券のみ

 

 

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20230709日(日)

Kαin結成16周年記念公演

GIGS VISUALIVE~東京、モノクローム」【day:2

会場:渋谷REX

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出演:KαinYUKIYAATSUSHI

Support Guitar:一也 -kazuya-HOLLOWGRAM

Support Basskazuthe god and death starsgibkiy gibkiy gibkiySTEREO.C.K etc…

…………………………………………

時間:開場/開演 17301830

料金:前売¥7,700-(全席指定/ドリンク代別)

前売:予約はTMFRメルマガ会員のみ/一般チケットは当日券のみ

 

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藤田幸也公式ホームページ

http://yukiya.tokyo

公式Twitterアカウント

https://twitter.com/YUKIYA1999

公式YouTubeチャンネル

https://www.youtube.com/user/Kranze2007/


2023年05月10日 (水)

【ライヴレポート】<MUCC 25th Anniversary TOUR「Timeless」~鵬翼・極彩~>2023年5年6日(土)日比谷野外大音楽堂◆喜びと幸せに満ちた第二弾ツアーファイナル。「たくさんの人がMUCCに真剣に向き合ってくれて、そんな人たちに囲まれてとても幸せだと思います」

REPORT - 21:00:47

2022年に結成25年周年を迎えたロック・バンド=MUCCが、過去のアルバムを再構築したセットリストで廻るツアーを開催中だ。

第一弾は20221012月に行なった『MUCC 25th Anniversary  TOUR Timeless」~是空・朽木の灯~』で、彼らが2003年に発表した『是空』、さらに2004年に発表した『朽木の灯』をコンセプトにしていた。

そして第二弾として行なったのが、20233月から始まった『MUCC 25th Anniversary TOUR Timeless」~鵬翼・極彩~』である。

 

そのファイナル公演となったのが、56日(土)に開催された日比谷野外大音楽堂でのライヴ。

 この日、関東地方には朝から強風が吹き荒れていたが、野音は公園の木々のおかげか、強風の影響はそれほどでもない。

初夏を告げる暑い日差しが降り注ぎ、むしろ風が心地いいぐらいだ。

そんな野音にSEとして『極彩』の1曲目「レイブサーカス」が鳴り響いたのは1735分のこと。

トライバルなリズムに合わせ、オーディエンスはハンドクラップしながら期待を高めるばかり。

紫色や黄色など様々なスポットライトが点滅し、まさに極彩色となったステージ。

そこに主役のMUCCが登場すると、でかい歓声と拍手が湧き上がる。

鮮やかな振袖の着物をジャケット代わりに羽織った逹瑯(Vo)は、オーディエンスを煽るようにマイクスタンドを高く上げた。

 

アルバム『極彩』の流れを汲むように、「極彩」へ突入。興奮を煽りたてるヘヴィサウンドが炸裂し、客席を埋め尽くしたオーディエンスも激しいヘドバンを繰り返し、開演から数分も経たずして一体化。

ミヤ(G)とYUKKEB)は立ち位置を入れ替わりながらプレイし、逹瑯は宣戦布告するように歌をとどろかせていく。

「いい天気だな、日比谷!」

 

 

 

 

 

ミヤの喜びの声から続いたのは「嘆きの鐘」。ヘヴィな面もありながら、レゲエのリズムやフレーズも飛び交うナンバーだ。

曲の途中でブレイクして、「いこうか!」と笑顔も見せる逹瑯。

また「ガーベラ」のイントロでは「日比谷、飛べんの? 全員でトベー!」と焚きつける。とはいえ、ジャンプしながら楽しめるのはイントロ部分ぐらい。

なにしろ切ないメロディやメロウな展開も顔を出す曲で、一筋縄ではいかないアレンジが「ガーベラ」の特徴でもある。

それでも曲に見事に食らいついていくオーディエンス。バンドとひとつになり、さらに曲とも呼吸をしていく様は、さすが、MUCCの熱心なファンである夢烏たちだ。それに曲そのものも、リリース当時とは違う顔つきを見せている。

 

 

 

アルバム『極彩』をリリースした2006年当時、逹瑯はミヤの書くメロディに答えながら、シンガーとしての殻を破り始めた時期だったと思う。絶望感やネガティビティを背負ってもがいているような唱法が初期だったとしたら、暗闇や密室にいた自身を自ら解放したのが『極彩』に取り組んでいた時期だった。

その結果、重苦しさばかりではなく軽やかさなども唱法に備わり、同時に幅広いメロディも積極的に歌い始めていった。

そこからさらに約16年経ち、シンガーとして大きく成長した今、逹瑯は当時、思い描いた理想の歌を野音で具現化していく。

細部まで気持ちを入れながら、しかし感情過多になりすぎることもなく、言葉のひとつずつがしっかり聴き取れる。

早い話、伝わる歌だ。それが曲の新たな顔つきにもなっている。

「晴れたね。雨の野音も嫌いじゃないけど、やっぱ晴れって気持ちいいね。この自然の光も合わせてMUCCを楽しんでいってください。

時の流れ、長い年月を感じながら、最後までよろしく」

 

 

逹瑯のそんな言葉をはさんで、曲はライヴ会場限定発売シングルの2曲へ。

「想-so-」ではバイオリンとチェロ奏者も加わり、優しく切ない歌とバンドサウンドでオーディエンスを包み込む。

 しかしライヴはここから急展開。ミヤのエッジの尖ったリフに、逹瑯が気のふれたような狂った歌いっぷりが絡み合いながら「リスキードライヴ」で攻め立てる。

その勢いのままコーラスやフェイクでコール&レスポンスも起こし始めた。

逹瑯ばかりでなく、メンバー名を叫ばせるコール&レスポンスで楽しむのはYUKKE

さらにミヤもムチャなハイトーンすぎるフェイクでコール&レスポンスを楽しみながら、自分も笑ってしまうミヤ。一体感と熱気と楽しさのカオス状態だ。

 

 

 

「たくさんの人がMUCCに真剣に向き合ってくれて、そんな人たちに囲まれてとても幸せだと思います」

バンドを代表して逹瑯が感謝しながら曲は「パノラマ」へと続く。青空が徐々に夕刻へと表情を変えていく中で披露されたこのバラードは、自然の美も野音ならではの演出効果となり、スケール感ある曲となってどこまでも響き渡っていく。

 

ところが美しさにずっと浸らせないのが、『鵬翼』や『極彩』をリリースした時期のMUCCと言うべきか。

憎しみと怒りもこもったレゲエ・テイスト強めの「メディアの銃声」を叩きつけたと思えば、そこから続くのは「25時の憂鬱」。

YUKKEがアップライト・ベースでドゥーミーな香り漂うベース・リフに、ミヤがサイケデリックで荒々しいギターを絡ませる。

逹瑯は、怪しくけだるい歌を恍惚とした表情も浮かべながら聴かせていく。

照明の色使いもひたすらドラッギーだ。美しき夕刻だったはずが、おかしな世界へ精神を誘い込む世界へ変貌。

 

 

こうしてライヴは何度もの急展開を見せながら突き進む。

恐らくメンバー自身、このツアーのセットリストを考えるのに相当、頭を悩ませたはず。

なぜなら曲それぞれが、あまりにも異なる色を持っているからだ。

 

とくに『極彩』を作った2006年当時のMUCCは、デビリッシュ・イヤーと名づけ、

国内ツアーはもちろん、フェスや海外ツアーなど、怒涛のライヴ活動を行なっている。

その過程で刺激も触発もされただろう。新たな曲につながるヒントを掴むこともあったかもしれない。

だがMUCCは、自分たちにしかできないことを常に探し求めた。

その結果、自由にわがままに音楽を作り始めたのがその時期だったと思う。

そのためアルバムは、ひとつの方向性を持ったものではなく、まるでオムニバス・アルバムのように違った色合いの曲たちで構成された。だから付けたタイトルが『極彩』でもある。

 

 リリースしたときは初期からのあまりの変化に驚き、ふるい落とされそうになったファンも少なくなかった。

しかし、あれから約16年。MUCCの持つ多彩さや多面ぶりも楽しみながら、それぞれの曲に改めてハマり込むオーディエンスの姿が野音に広がっていた。

 

 

 

 

ライヴ後半、強烈なスラッシュ・メタル「G.M.C」で激しいヘドバンで狂った直後のことだ。

逹瑯も、あまりの曲順に自分でも思わず笑いつつ、「優しい歌」へと続いた。

MUCCからの温かさと優しさが広がっていく中、オーディエンスはそれを受け止めるように両手を広げ、左右に揺らし、自分たちもMUCCと共に歌う。

客席からの歌声を心地よく浴びながら逹瑯が「オマエらのライヴを聴いてんだよ、俺は」と言うと、さらに歌声は大きくなり、大合唱になって夜空に響いていった。

そしてステージにレーザーの流れ星が幾つも流れる中、「流星」で感動的にライヴ本編を締めくくった。

 

 

 

アンコールでは、1228日(木)に東京・国際フォーラムAで結成25周年イヤーのグランド・ファイナル開催も発表。

その前には第三弾ツアーも、第四弾ツアーもある。

逹瑯の「最後まで一緒に、盛大に駆け抜けようじゃないか!」という言葉に、野音からでっかい歓声も巻き起こる。

アンコール・ラスト「WORLD」は、イントロからMUCCとオーディエンスの大合唱から始まった。

レコーディングでもファンのみんなからコーラスを送ってもらい、1000トラック以上のコーラスで構成したナンバーだ。

声出しも解禁になった今、MUCCと共に新たな世界の始まりを誓うように、1000どころか約3000人のファンが歌う。喜びと幸せに満ちた第二弾ツアーのファイナルとなった。

 

 

 

PHOTO:冨田 味我

TEXT:長谷川幸信 

 

 

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MUCC 25th Anniversary TOUR Timeless」~鵬翼・極彩~

202356() 日比谷野外大音楽堂

SETLIST

 

SEレイブサーカス

1 極彩

2 嘆きの鐘

3 ガーベラ

4 月光

5 心色

6 耀-yo-

7 -so-  (w/Vn:後藤泰観,Vc:吉田弦)

8 リスキードライブ

9 パノラマ

10 メディアの銃声

11 25時の憂鬱

12 ホリゾント

13 最終列車

14 謡声

15 G.M.C

16 優しい歌

17 流星

<アンコール>

1 雨のオーケストラ (w/Vn:後藤泰観,Vc:吉田弦,キラーズオーケストラ)

2 蘭鋳

3 TONIGHT

4 WORLD

 

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≪ライヴ情報≫

 

■『MUCC 25th Anniversary TOUR Timeless」~志恩・球体~』

202369日(金)LINE CUBE SHIBUYA

2023624日(土)三郷市文化会館

2023630日(金)メルパルクホール大阪

2023721日(金)高崎芸術劇場スタジオシアター

2023726日(水)Zepp Shinjuku

202381日(火)浅草花劇場

202382日(水)浅草花劇場

2023821日(月)水戸市民会館

 

【チケット料金】  前売 7,800(税込)  

※入場時ドリンク代別途必要(Zepp Shinjuku、浅草花劇場のみ)
※全席指定:LINE CUBE SHIBUYA、三郷市文化会館、メルパルクホール大阪、高崎芸術劇場スタジオシアター 、水戸市民会館
※スタンディング:Zepp Shinjuku、浅草花劇場

【一般発売】 2023513()

 

 

NIGHTMARE×MUCCツーマンツアー『悪夢69

817日(木)Zepp Nagoya       開場17:30 開演18:30

818日(金)Zepp Osaka Bayside    開場17:30 開演18:30

824日(木)Zepp Haneda(TOKYO)    開場17:30 開演18:30

 

【出演】NIGHTMARE/MUCC

【チケット料金】 

Tシャツ付チケット 前売15,000 (税込) ※入場時ドリンク代別途必要 

通常チケット 前売 10,000円(税込) ※入場時ドリンク代別途必要

【「ナイトメアモバイル」会員/「朱ゥノ吐+」会員・「虚無僧DU MODE」 先行受付(抽選)】 受付期間: 58()10:00514()23:59

【オフィシャルHP先行受付(抽選)】 受付期間:515日(月)12:00521(日)23:59

【一般発売】 610日(土)10:00

 

 

■『MUCC 25th Anniversary TOUR Timeless」~カルマ・シャングリラ~』

2023101日(日)仙台 GIGS

2023104日(水)渋谷 CLUB QUATTRO

2023107日(土)松山W studio RED

2023109日(月・祝)広島 CLUB QUATTRO

20231014日(土)長野 CLUB JUNK BOX

20231015日(日)金沢EIGHT HALL

20231021日(土)札幌PENNY LANE 24

20231022日(日)札幌PENNY LANE 24

20231024日(火)青森Quarter

20231028日(土)福岡BEAT STATION

20231029日(日)福岡BEAT STATION

2023114日(土)名古屋ボトムライン

2023115日(日)名古屋ボトムライン

20231111日(土)なんばHatch

※詳細後日発表

 

 

■『MUCC 25th Anniversary TOUR Grand Final Bring the End toTimeless&WORLD」』

1228()国際フォーラム ホールA

※詳細後日発表

 

 

MUCC結成25周年特設サイト≫ https://mucc25th.55-69.com/  

 

<Official HP> http://www.55-69.com/ 

<Official Twitter> https://twitter.com/muccofficial 

<Official Instagram> https://www.instagram.com/mucc_official/ 

<Official Facebook> https://www.facebook.com/facemucc 

<Official YouTube Channel> http://www.youtube.com/channel/UCExoaicqsoRZbKdFehPmmEQ?sub_confirmation=1 

<Official Weibo> https://www.weibo.com/muccofficial 

 


2023年05月10日 (水)

【陰陽座】約3年振りのライヴツアー『捲土重来』4/14東京公演をレポート

REPORT - 12:00:05

妖怪ヘヴィ・メタルという個性溢れる世界観に象徴される音楽で、長きに亘って強固なファンベースをグローバルに築いてきた陰陽座が、約3年ぶりのステージ復帰となる東名阪ツアー『捲土重来』を行った。特にその初日となる東京ドームシティホール公演は、結論から言えば、その場に集った誰もが感極まるライヴだったはずである。

 

 暗転した舞台にメンバーが一人ずつ姿を現すたびに巻き起こる大歓声。そこで場内に流れてきたのは「焔之鳥」であり、もちろん、そこに続くのは「鳳翼天翔」だ。陰陽座を象徴する、長らく愛されてきたこの代表曲で幕を開けることは、多くのオーディエンスが予想していたことだろう。目の前の奇跡的な光景に涙しながら声援を贈り、共に歌い上げていく。<生と死の理を 来世(あす)に伝えて舞い上がれ>。最後のコーラスの一節がこれほどまで感動的に響いたことはなかったかもしれない。

 

 それには大きな理由がある。ファンには周知の話だが、この3年もの空白期間において、実はバンドは将来を左右する重大な局面と対峙していたのである。簡潔に説明するなら、まず、20197月から行っていた自身3度目の全都道府県ツアー『生きることとみつけたり【参】』が、九州地区の5本を残した終盤で延期の判断がなされた。これは黒猫(vo)に突発性難聴の疑いが生じたことが背景にあったが、その復調が進むのと相反するかのように、彼女は声帯のジストニアによる発声障害を患っていることが発覚する。

 

 

 

 当初、黒猫はまったく声が出ず、歌うどころか話すことすらできなかったという。ジストニアには決定的な治療法が確立していないことも知られているが、実際にこの症状を理由に引退を余儀なくされたミュージシャンは少なくない。現実的な要因を踏まえれば、瞬火(vob)、招鬼(g)、狩姦(g)も、状況次第では解散を選択せざるを得ない覚悟もあっただろう。黒猫の声なくして陰陽座は成立しないからである。

 

 

 

 

 

 折からのコロナ禍は通院にも支障をきたしたが、黒猫は人知れず長い時間をかけ、日々、自宅で自分の声を取り戻すための地道なトレーニングを絶え間なく続けた。文字通りに暗闇の中でかすかな光を探すような苦難だったことは想像に難くない。絶対にまた歌うのだという強靭な信念。彼女は希望を捨てなかった。そして、黒猫の懸命な取り組みをメンバーは献身的に見守り続けた。

 

 黒猫の復調が見えてきたところで、陰陽座はひとまず音源制作へと向かい、今年1月にはアルバム『龍凰童子』をリリース。レコーディングと並行して、ライヴ活動の再開も模索する中、ようやく決まったのが今回のツアーだった。冠された『捲土重来』というタイトルの意味は推して知るべしだろう。スタジオでの録音作業とは異なるステージという環境で、黒猫が以前と同じように歌い、舞い踊ることができるのかどうか。誤解を恐れずに言えば、ある種の実験的な試みでもあったに違いない。しかし、先述した冒頭の「鳳翼天翔」で轟いた絶唱に、観客はバンドの完全復活を確信したのである。

 

 

 最初のMCで瞬火はリーダーとして、ファンに謝意を表した。

 

「3年もの間、陰陽座を待っていてくださったことに対して、感謝を言わせてください。ホントにありがとうございます!陰陽座が踏み出す一歩をみなさんと一緒に踏めたら無上の喜びです」

 

 すかさず「百の鬼が夜を行く」をコールすると、例によってメンバーみなアクティヴにステージを右へ左へと動き回る。間奏での黒猫の狂気の舞いもお馴染みだ。さらには「桜花ノ理」「彷徨える」「月に叢雲花に風」「ひょうすべ」「烏天狗」と初期の楽曲をメインとして、その後もセットは進んでいく。無論、そこに隠された意図もあるだろう。受け手それぞれに感じ取り方はあるとはいえ、少なくともノスタルジーに浸らせるためだけのものではない。あえて詳細は記さないが、言葉にする必要もない、陰陽座の強い絆が見えてくるものだった。

 

 

 

 黒猫の「ホントにホントにお久しぶりです!ありがとうございます。ただいま!」との第一声に「おかえり!」と熱く返すオーディエンスに対し、「こんなにたくさんの人が待っていてくださって、またここで同じ時間、楽しんでいられることが、ホントに夢のようで……こんな幸せがあっていいのかって思うんですけど」と彼女は率直な気持ちを言葉にする。そして瞬火はファンからの熱い声援、いつまでも待つという信念が黒猫を頑張らせることができたのだと、改めて感謝しながら、「こんなときに自分に向けて歌うために作ったのかなという気がする」と作曲した20数年前を振り返りながら「塗り壁」を導いた。妖怪をモチーフにした陰陽座の楽曲は数多いが、妖怪とは人間の様々な思いを体現した存在なのだということを実感させるパフォーマンスでもあっただろう。

 

 続いてレア曲になっている「陰陽師」をセレクトして沸かせてからは、幅広いリスナー層に支持されてきた「甲賀忍法帖」を始めとするライヴでの定番的マテリアルを立て続けに披露。本編の最後を「春爛漫に式の舞う也」で締め括ったのも爽やかな涙を誘うものだった。2014年発表の『風神界逅』に収録された楽曲で、この日の演目の中では最も新しい部類だが、タイトルにも示されているように、彼らとファンが共に思いを交歓する様が描かれたもの。今回の舞台に相応しい選曲だった。

 

 

 

 今回のアンコールは通称極楽地獄と呼ばれる、激しく盛り上がる楽曲を連発する構成。当然のように観客は熱狂するが、「卍」「わいら」「悪路王」という、オリジナル・アルバムには収録されていない、シングルのカップリング曲を並べても絶大なリアクションが得られるのは、ファンが真摯に陰陽座と向き合い、その音世界に深く魅了されているからこそだろう。

 

 誰もが待望していた復活の日は、バンドの次なる前進を予感させるライヴとなった。現時点で今後の活動についての具体的な発表はなされていないが、完遂できていなかった『生きることとみつけたり【参】』の続行はもちろん、『龍凰童子』を引っ提げたツアーなどについても間もなく明らかになるはずだ。結成時から「上ではなく前へ」と一歩ずつ着実に進んでいく姿勢を貫いてきた陰陽座。唯一無二の音楽を創造する彼らの再臨に自ずから胸が熱くなった。

 

 

 

取材・文:土屋京輔

PHOTOYOSUKE KOMATSUYUSURA

 

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陰陽座特別公演2023『捲土重来』日程

414日(金) TOKYO DOME CITY HALL(東京)

420日(木) Zepp Namba(大阪)

426日(水) Zepp Nagoya(名古屋)

 

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セットリスト  2023414日(金)=東京ドームシティホール公演

1. 焔之鳥~鳳翼天翔

2. 百の鬼が夜を行く

3. 桜花ノ理

4. 彷徨える

5. 月に叢雲花に風

6. ひょうすべ

7. 烏天狗

8. 塗り壁

9. 陰陽師

10. 鬼斬忍法帖

11. 蒼き独眼

12. 甲賀忍法帖

13. 組曲『義経』~悪忌判官

14. 羅刹

15. 春爛漫に式の舞う也

 

Encore

16. 夢幻

17. 邪魅の抱擁

18.

19. わいら

20. 悪路王

21. 喰らいあう

 

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<リリース情報>

 

『龍凰童子』(りゅうおうどうじ)2023年1月18日()発売

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<収録楽曲>

①霓(器楽奏)

②龍葬

③鳳凰の柩

④大いなる闊歩

⑤茨木童子

⑥猪笹王

⑦滑瓢

⑧赤舌

⑨月華忍法帖

⑩白峯

⑪迦楼羅

⑫覚悟

⑬両面宿儺

⑭静心なく花の散るらむ

⑮心悸

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全作詞・作曲:瞬火

定価¥3,300(税抜価格¥3,000)/品番:KICS-4092

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「茨木童子」MUSIC VIDEOはこちら ▶ https://youtu.be/NFWZm7qdCrc

各配信サイトはこちら ▶ https://king-records.lnk.to/ryuoudouzi

 

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PROFILE

 

1999年、大阪にて瞬火・黒猫・招鬼・狩姦の4人により結成。妖怪ヘヴィメタルという惹句を掲げ、 人間のあらゆる感情を映す妖怪を題材とし、道なき道を切り開く信念をヘヴィメタルの名の下に貫く。 正統的ヘヴィメタルを音楽性の基盤としながらも、男女ツイン・ヴォーカルとツイン・リード・ギターによる 変幻自在な表現により、日本文化に徹底的に拘った唯一無二の世界観を結成時から現在まで淀みなく展開。 自主製作で2枚のアルバムを発表した後、2001年、キングレコードよりメジャーデビュー。 以降、精力的な音源制作はもちろん、すでに全都道府県を2周しているという事実が物語るように、 生粋のライヴバンドとしても歩を緩めることなく邁進中。安易な変化よりも進化深化を信条とし、ではなくに向かって着実に歩み続けることを最大の理念として実行する、極めて希有なバンドである。

 

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LIVE> 5/9発表!

 

アルバム『龍凰童子』リリースツアー開催決定!

陰陽座ツアー2023『鬼神に横道なきものを』

日程・詳細はこちら http://www.onmyo-za.net/news/index.html

 

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