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2015年05月20日 (水)

【ライブレポート】★Chanty★5月17日(日)池袋EDGE「あら雨かしら?相合傘の中へようこそワンマンツアー」~野中拓生誕祭~

REPORT - 16:30:36

4月29日に発売した1stフルアルバム「Chantyの世界へようこそ」を引っ提げ、バンド史上初となる全9箇所11公演の全国ワンマンツアーを開催するChanty。本人たちでさえ“無謀”と謳う今ツアーだが、初日の池袋EDGE公演は満員御礼。大盛況となったその日の公演の様子をここにお届けしよう。

ワンマンツアー仕様のいつもとは違うSEとともに、少し緊張した面持ちで登場したメンバー。この日の1曲目を飾ったのは「奏色」。この曲、現在はライヴでしか聴くことの出来ない貴重な楽曲だが、先日、このワンマンツアーのファイナル新宿ReNYにて入場者全員に無料配布されるという嬉しい発表もあったばかり。

そして「おとなりさん」、「フライト」とアップテンポな2曲が続き、メンバーにもフロアにも段々とエンジンがかかっていく。サブタイトルにもあるように、この日はBa.野中拓の誕生日。Vo.芥が「誕生日の人に向かって!!」と声を上げると、会場からは野中を祝うように力強く「おい! おい!」と声が返ってきた。
MCになると、「今日はいつもよりちょっぴり長い時間お付き合いいただきますけど、こんなに集まってくれて嬉しいです」と芥。「次の曲聴いてください」と告げ始まったのは「とある星空の下」。
Gu.千歳とGu.shia.の奏でるギターが身体の中で溶け合うような感覚に浸っていたところに、芥の歌声が乗るのを待っていると、突然「Happy Birthday 野中拓……」と歌詞を変え歌い出した芥。驚いた表情の拓に、会場中からはクスクスと笑いが上がっていたが、そこへケーキも登場し拓へのバースデーサプライズは無事成功!
目立つことが苦手で祝われることに慣れてないと話した拓だったが、照れた様子でファンとメンバーに「ありがとう」と告げると、「EDGEでちゃんとワンマンするのが2回目、自分の生誕祭を行うのも2回目の今日は、ワンマンツアーとしては1回目。だからワンマンツアーも2回目を迎えられるようにしたいです」とこれからの意気込みを語った。
仕切りなおして演奏された「とある星空の下」は、心地よいバラードながら力強い演奏と歌声が直接響いてくるのが嬉しい。

続く「ダイアリー」、「monorium」と繊細な楽曲を感情のままに披露し、バンドコンセプトにもある“突き刺す音楽”をしっかりと見せ付けていく。
かと思えば、ガラッと表情を一変させ「にゃこは好きかー!!」と芥。「なんとノリで作ったこの曲がついにCDに入りました!」と、猫のポーズで左右に揺れるのはお馴染み「にゃこのテーマ」でにゃーにゃー騒ぐと、「そのまま走っていこうぜ!!」と青空を駆け抜けるような疾走感のたまらない「C」を披露。

「ワンマンツアーをやるなんていうのは、このメンバーで野中君以外は初めてですよ。バンドを結構長くやってきてやっと叶えた夢のひとつです。無謀だとは思うんだけどさ、めっちゃくちゃ楽しみで。ツアー初日、今日この日をみんなと過ごせることが本当に嬉しいです。ありがとう」と改めてワンマンツアーが始まったことへの喜びを口にした芥。
そして、「多分ここにいるみんな、他に好きなバンドがいると思うけど、このツアーを回ってるときだけでもいい、この会場にいるときだけでもいいので、僕たちだけのことを思って。付け合せじゃなく僕たちだけを“主役”にしてください」と始まったのは「パセリ」。ジャズテイストのナンバーながらパセリについて歌ったこの曲は、Chantyらしい遊び心が見え、彼らの新しい一面の見える1曲になっている。

「ひどいかお」で彼らのダークな部分が炸裂した後は、この日が初披露となった「ひどいかお2」。ポップな楽曲にもかかわらず、芥がイントロで希望したのはウォールオブデス。「相当なひどいかおを俺たちに見せてください!!」という言葉の通り、フロアの至るところでひどいかお……ではなく、初めてとは思えないほどの一体感と楽しそうなオーディエンスの表情を見ることができた。

「まだまだいけるかー!!」と後半戦は「真相」で拳ヘドバンに折りたたみにとさらに熱狂の光景が生まれ、立て続けにアグレッシブなナンバー「衝動的少女」も披露。
Dr.成人の奏でるお祭囃子に胸が踊るのは、Chantyのお祭り騒ぎの定番曲「やんなっちゃう」。野中生誕祭ということで、野中がフロアに降り、巻き起こる連続のウォールオブデスで文字通りもみくちゃにされる場面も。やっとのことでステージに戻ってきた野中は、「俺じゃなかったら死んでたで……」とフロアのパワーの凄まじさを語りながらも、その表情はどこか嬉しそうだった。

そして、2周年記念として今年も9月16日にTSUTAYA O-WESTでワンマンライヴを行うことを発表。芥は「どんなにお客さんが少なくなって一人になっても、どんなに大きくなってホールクラスになっても、周年はWESTでやるって決めました」と、バンドにとって大きな節目となるこのワンマンライヴに対する熱い思いを語った。
「ありったけの気持ちを込めて歌います」とラストを飾ったのは「赤い糸」。彼らのファンを想うあたたかい気持ちが、音を通じて素直に届いてきたのがとても印象的だった。

しかしこれだけでは終わらないのが天邪鬼なChantyらしいところ。
「まだやれる人!!」と芥が叫んだかと思えば、彼らのライヴではもはやお馴染み?「アンパンマン体操」で大騒ぎ。ヘドバンに逆ダイにジャンプにモッシュにと思い残すことはないほどの熱狂っぷりを見せ、そのままインスト曲の「お粗末」へ。
全てを吐き出すようにと、音とともにありったけの感情をぶちまけステージを後にしたメンバー。
公演終了のアナウンスがされてもアンコールが止まないほどの大盛況のうちに、初のワンマンツアー初日の幕が閉じた。

初日からかなりの勢いを見せたChanty。これから初の全国ワンマンツアーを経て、一回りも二回りも大きくなって帰ってくるであろう彼ら。
残り9箇所10公演となったが、そのうち1公演だけでもいい。着実にバンドとして成長していく彼らの姿を、実際にその目で見て、耳で聴いて、全身で感じてみて欲しい。
まだ彼らの音楽に触れたことがないなら、この機会に“Chantyの世界”へ足を踏み入れてみてはいかがだろうか?

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◆セットリスト
1.奏色
2.おとなりさん
3.絶対存在証明証
4.フライト
5.とある星空の下
6.ダイアリー
7.モノリウム
8.にゃこのテーマ
9.「C」
10.パセリ
11.ひどいかお
12.ひどいかお2
13.真相
14.衝動的少女
15.やんなっちゃう
16.赤い糸

17アンパンマン体操 (急遽追加)
18お粗末 (急遽追加)

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◆Chanty初のワンマンツアー『あら雨かしら?相合傘の中へようこそワンマンツアー』
5月17日(日) 池袋EDGE ~野中拓生誕祭~
5月22日(金) 広島ナミキジャンクション
5月24日(日) 福岡Queblick
5月30日(土) 札幌COLONY
5月31日(日) 札幌COLONY
6月05日(金) 長野LIVE HOUSE J
6月06日(土) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
6月07日(日) 仙台HooK
6月12日(金) 名古屋ell.SIZE
6月14日(日) 心斎橋FAN J
6月27日(土) 新宿ReNY (ツアーファイナル) ※音源無料配布有り!

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◆2015年夏 主催ツアー「自家製シリーズ」決定!
「自家製タレカツ (おかわり)」
2015.7.24 (金) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
OPEN 16:30 / START 17:00
Chanty / LOUD GRAPE / レイヴ / リライゾ / LOST ASH / Develop One’s Faculties

「自家製お焼き」
2015.7.25 (土) 長野LIVE HOUSE J
OPEN 16:30 / START 17:00
Chanty / LOUD GRAPE / レイヴ / リライゾ / the LOTUS / Develop One’s Faculties

「自家製おっきりこみ」
2015.7.26 (日) 高崎clubFLEEZ
OPEN 16:30 / START 17:00
Chanty / LOUD GRAPE / レイヴ / リライゾ / the LOTUS / Develop One’s Faculties

「自家製ひつまぶし (おかわり)」
2015.7.31 (金) 名古屋ell.FITSALL
OPEN 16:30 / START 17:00
Chanty / LOUD GRAPE / レイヴ / LOST ASH / パノラマ虚構ゼノン / CLØWD

「自家製お好み焼き (おかわり)」
2015.8.01 (土) 大阪RUIDO
OPEN 16:30 / START 17:00
Chanty / LOUD GRAPE / レイヴ / パノラマ虚構ゼノン / CLØWD

「自家製もみじまんじゅう」
2015.8.02 (日) 広島ナミキジャンクション
OPEN 16:30 / START 17:00
Chanty / LOUD GRAPE / レイヴ / パノラマ虚構ゼノン / CLØWD

「自家製夏祭り」
2015.8.15 (土) TSUTAYA O-WEST
OPEN 16:00 / START 16:30
Chanty / LOUD GRAPE / レイヴ / Anli Pollicino / リライゾ / パノラマ虚構ゼノン / CLØWD

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◆Chanty 2nd Anniversary oneman『Chantyの世界へようこそ』
2015年9月16日(水) TSUTAYA O-WEST
OPEN 18:00 / START 18:30
前売 ¥3,500 / 当日 ¥4,000 (Drink代別)

【チケット】
※チケット先行抽選受付中!
[受付期間]
2015.5.17(日) 21:00 ~ 2015.5.24(日) 23:59
※規定枚数になり次第終了致します。

[受付について]
お申込みはディスクガレージ インターネットチケット販売サイト『GET TICKET』をご利用頂きます。
初めてご利用の方は、『GET TICKET』への会員登録(無料)が必要です。
その他詳しくはお申込みページにてご確認下さい。
本受付は、必ずしも優先的に良いお席・整理番号をご用意するものではありませんので、予めご了承下さい。

◆申込ページ (PC・携帯・スマートフォン共通)
http://www.getticket.jp/g?t=pvvpct6q

※ディスクガレージおよび『GET TICKET』ホームページからはお申込みできません。必ず上記申込ページURLよりアクセスして下さい。

◆お申込後の住所変更・申込内容確認
(PC・スマートフォン) http://www.diskgarage.com/getticket/support.html
(携帯) http://k.getticket.jp/cs/

[受付に関するお問合せ先]
ディスクガレージ:050-5533-0888 (平日12:00-19:00)

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◆Chantyオフィシャルサイト
http://chanty.jp/



2015年05月01日 (金)

【ライブレポート】★PENICILLIN★4月26日(日)東京キネマ倶楽部★春ツアー終了!!5月2日(土)に日本テレビ「有吉反省会」へメンバー全員が出演!!ツアーの反省会なのか…??

REPORT - 14:24:51

 昭和の名曲をカヴァーしたアルバム『Memories~Japanese Masterpieces~』をひっさげて東名阪で行なわれたPENICILLINのツアー「SPRING TOUR 2015  春風突風」が4月26日(日)に東京キネマ倶楽部でファイナルを迎えた。

 

 超満員のフロアーが歓声で沸く中、東京2デイズ最終日は、“もっと未来に火をつけろ”と歌うアッパーチューン「NEW FUTURE」で幕を開けた。
オリジナル曲と中森明菜の「北ウィング」や山口百恵の「プレイバック part2」、久保田早紀の「異邦人」など往年のヒット曲が混ざりあうセットリストは実に刺激的。今なお輝きを失わないメロディを活かしながら、エナジーがほとばしる情熱的なPENICILLINサウンドに昇華させたカヴァーが次々に披露された。

 

「今回のツアーは1本、1本が濃くて、すごく新鮮でアッという間でした。泣いても笑っても今日がファイナルなので、思いきり楽しんでいってください」(HAKUEI)

 

 ライヴのハイライトは、キネマ倶楽部2階の踊り場からHAKUEIが和傘をさし、着物をアレンジした衣装を素肌にまとって登場した中盤の「天城越え」(石川さゆり)で、演歌にヘヴィメタルをぶつけあわせた千聖のダイナミックでテクニカルなギター、楽曲の起伏をドラマティックなアプローチで体現するO-JIROのドラム、情念と儚さを表現したHAKUEIのヴォーカルがひときわ鮮烈な印象を残した。
間髪入れずにアグレッシヴで妖艶なシャッフルナンバー「飾りじゃないのよ涙は」に突入。
後半に進むにつれて陶酔させ、興奮を高めていくステージ運びは結成23年目に突入したPENICILLINの真骨頂だ。
ライヴのキラーチューンで盛り上げ、本編ラストを代表曲のひとつ「天使よ目覚めて」で締めくくった。

 

 HAKUEIのプロジェクト、ライチ☆光クラブ(NIGHTMAREのNi~yaやLa’cryma ChristiのLEVINも参加)のツアー日程や千聖のプロジェクト、Crack6(O-JIROがサポートで参加)が6月3日にミニアルバムをリリースすることも報告されたアンコールではマネージャー氏のリクエストで実現した「なごり雪」のカヴァーや唯一の男性アーティスト松崎しげるのカヴァー「愛のメモリー」が音源より骨太なアプローチで披露された。
鳴り止まない声援に応え、ダブルアンコールではHAKUEIと千聖のかけあいがスリリングなヘヴィチューン「FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE」で炸裂し、PENICILLINにとってチャレンジでもあったツアーは大成功の内に幕を閉じた。

歌謡曲の歴史に残る名曲であり、少年時代のルーツでもある曲たちをバンドのフィルターを通して表現することによって浮き彫りになったのはPENICILLINのブレない濃い個性であり、ポップな資質でもあった。ここから広がる新たな可能性に期待したい。

 

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■PENICILLIN SPRING TOUR 2015 春風突風
4月26日(日) 東京キネマ倶楽部

 

SE 絶対零度
M1.NEW FUTURE
M2.快感∞フィクション
M3.北ウィング
M4.プレイバック part2
M5.1/2の神話
M6.FIORE
M7.異邦人
M8.夢の途中 〜セーラー服と機関銃〜
M9.天城越え
M10.飾りじゃないのよ涙は
M11.透明人間パルサー 〜妖怪刑事シリーズ PartⅡ〜
M12.聖・MARIAN HURRICANE
M13.幻想カタルシス
M14.スペードKING
M15.Melody
M16.天使よ目覚めて

 

【ENCORE 1】
なごり雪
愛のメモリー
イナズマ

 

【ENCORE 2】
FOR BEAUTIFUL MAD HUMAN LIFE

 

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5/2(土) 23:30~23:55
日本テレビ「有吉反省会」
※HAKUEI、千聖、O-JIROのフルメンバーで出演!!
http://www.ntv.co.jp/hanseikai/

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【Now On Sale】

 

「Memories 〜Japanese Masterpieces〜」

 

【初回盤】10 曲入り / CD+DVD XNBG-10019/B ¥3,800(本体価格) + 税
【通常盤】11 曲入り / CD XNBG-10020 ¥3,000(本体価格) + 税

 

[CD収録曲]
1. 天城越え
2. 北ウィング
3. 桃色吐息
4. 異邦人
5. 夢の途中 ~セーラー服と機関銃~
6. 飾りじゃないのよ涙は
7. シルエットロマンス
8. 1/2の神話
9. プレイバックPart2
10. なごり雪
11. 愛のメモリー(※通常盤のみ収録ボーナストラック)

 

[初回盤DVD収録曲]
1. 天城越え (MUSIC VIDEO) 2. SOL (MUSIC VIDEO)

 

【YOU TUBE】
https://www.youtube.com/watch?v=KBRkknbPP_o

 

★PENICILLINオフィシャルサイト★
http://www.penicillin.jp

 

テレビ出演も是非チェックして下さいね!!
楽しみですっっo(*^-^*)o♪♪






2015年04月26日 (日)

【びじゅなびオリジナル・ライブレポート】DEZERT 追加公演「嘔吐のす〆め-2-」2015年4月25日(土)TSUTAYA O-EAST

REPORT - 22:43:08

■DEZERT 追加公演「嘔吐のす〆め-2-」

2015年4月25日(土)TSUTAYA O-EAST

 

DEZERTが、自身ワンマン最大キャパとなるTSUTAYA O-EASTにて単独公演を開催した。シーンへ強烈な個性を放ち続ける4人が、改めて最凶のパフォーマンスを見せつけた。

 

客席の照明が消され、ステージにフラッシュが点滅すると割れんばかりのファンの歓声が場内に響き渡る。SEが鳴り、手拍子が沸き起こる。SORA(Dr)がゆっくりと登場。両手を広げたSaZ(B)、客席を片手で煽るキラ(G)が続き、一番の歓声に包まれて千秋(Vo)がステージ中央へ。───「今日も生きてるか?」メンバー全員が黒いスーツ姿だ。

 

ギターが空気を突き破り、重厚なリズムで「絶蘭」からライブが始まる。暗闇に青い照明のライトが不気味に回転しながら光り、オーディエンスが一斉に体を折り畳む。「メリーさんの自殺未遂」「大塚ヘッドロック」と、冒頭からヘヴィで暗黒なDEZERTワールドが炸裂する。フラフラと歩きまわって、手をぶらぶらさせながらつぶやくように歌ったかと思うと、ダン!と足を台の上に乗せて高速の回転ヘドバンを披露する千秋。
SaZはまるで機関銃を構えるかの如くベースを携えて、客席に向かってそのヘッドを突きつける。時に攻撃的、時にグルーブ感たっぷりにDEZERTのサウンドを引っ張るこのベーシストは、ステージや音楽、ベースプレイの全てをとにかく楽しんでいることが生き生きと伝わってくる。

 

SORAがリズムを叩き出すと、キラがヒステリックなギターを容赦なく被せる。「見えてるかー。遊びましょー!」千秋がスッと片手を上げると、まるでそれが合図のように、拳を上げて右に左にモッシュをするファン。千秋の佇まいは、まるで邪悪な指揮者のようだ。その指揮者はこう言い放った。

 

──────地獄へようこそ。

 

ギターを抱えた千秋にスポットが当たる。まさにミルク色のライトが彩った「さぁミルクを飲みましょう」。そしてメロディアスな柔らかさも含んだ「さくらの詩」。これらのDEZERT流“哀歌POP”とも言えるアプローチは、今度どのように進化してゆくのであろうか。

 

「本日はどうぞ宜しくお願いします。ニコニコ超会議やポール・マッカトニーではなく、この渋谷を選んでくれてどうも。」
その後、EASTを揺らす「胃潰瘍とルソーの錯覚」が投下される。どこか独特な陰鬱さと、歌声のメロディが可愛げな高音。こういった“甘さと残酷さ”のような、相反する要素を同時に食することが出来るのも、DEZERTの魅力の一つだ。

 

ファンにはお馴染みとなっている「ストロベリーシンドローム」が始まると、フロアは熱量とカオス度を増してゆく。SaZは頭部がパンダに変身、コミカルにステップを踏みながらプレイ。千秋は紙コップの水を口に含んでは、キラに向かって吹き付ける。
そんなギターのキラは、楽器だけではなくスレンダーな全身を使って音を表現しているようだ。ギタリスト然としてのスタイルを見せつけながらも、型にはまらない奔放さも躊躇いなくステージで披露する。とは言え、立ち位置のすぐ横に大事そうに並べられたギターが、ギタリストとしてのこだわりもしっかりと垣間見せている。

 

DEZERTのライブはメンバーもオーディエンスも“自由”だ。一斉に拳を上げたり、右に左に揺れたりする動作も、「決まり」なのではなく「本能」だと感じさせる。「暴れ方」の指南書など、どこにも無い。次の「チョコレートクリームチェーンソー」で、その自由度が爆発する。
場内が真っ赤なライティングの色に染まり、高速リズムで最凶曲がスタート。千秋が拡声器を持って現れると、客席前方はすし詰め状態になってヘドバンの嵐となる。

 

「お前らの何かを、全部俺に向けて吐き出してこい。」

 

まやかしや装飾の無い、ストレートなサウンドが溢れるステージは、シーンの“流行”や“売れ線”といった括りなどと対極の位置にあると感じさせる。彼らはただ、自分達が吐き出し、ファンに吐き出させている。
そんなDEZERTの中で、ドラムという後方に位置しているポジションにも関わらず、艶やかな“華”を見せているのがドラマーのSORAだ。艶やかな色気を全身に漂わせてはいるが、その魅力はやはりエモーショナルかつ、繊細なドラミングにある。美しいドラムセットに囲まれたSORAのプレイには、プレイヤー・ドラマーとしての思いが細部にまで詰まっていると感じさせる。

 

「ゴシック」が始まると、SaZがベースを置いてステージ下へいきなり降り、客席に乱入。フロアの後方にまで突入すると、キラもギターを置いてファンを煽る。千秋もステージから客席へ、そして場内客席フロアのちょうど真ん中まで侵入し、マイクを持ってステージに向かって煽る。一見すると一体ここで何が起こっているのかわからなくなる光景だ。

 

シーンに敏感な層に、まずDEZERTの存在を強烈に知らしめたのがこの曲であろう、「秘密」が始まると、ファンも改めて戦闘開始だ。客席は左右に綺麗に分割し、リズムのキメとともに勢いよく突撃してもみくちゃになる「ウォールオブデス」も発生。曲中でスッとファンが座り、メンバー・客ともに回転ヘドバンを連発する光景は、圧巻・壮観の極みであった。

 

千秋が上着を脱ぎ去り、ぼんやりと光りが浮かび上がるお立ち台の上に寝転んで、体を小刻みに痙攣させながら歌うという凄みを見せた「嘔吐」「殺意」を披露、キラはギターを抱えたままその場に仰向けに倒れこむ。「死刑宣告」の破壊的かつ攻撃的グルーヴが放出されると、熱気がフロアに渦を巻く。

 

しかし、その直後のブレイクで千秋から衝撃発言が発せられる。

 

「アンコールまでやっちゃった。(笑)」

 

そう、本編でいったん終了するはずが、そのままアンコールでの予定曲に突入していたのだ。

 

「もう気の済むまでやっていいですかね。」
こうなったらもう無礼講だ。歓声を上げるファンに向けて千秋が煽る。
「もっと!もっと前にどんどん詰めろ」。
続々と後方に居たオーディエンスが、意気揚々とフロアの中へ入ってくる。
まさにやりたい放題、というシチュエーションで盛り上がった「異常な階段」、そしてDEZERTの楽曲の中でもメロディが印象的な名曲「遮光事実」。

 

最後の「包丁の正しい使い方~終息編」でモッシュ大会となった後、SORAがひとしきりドラムを叩き終えてステージを去ると、どこからともなく自然と大拍手が沸き起こった。

 

ノンストップの2時間半。ライブで必ず見られるファンの「アンコール!」の呼びかけが無くても、メンバーもファンも存分に吐き出すだけ吐き出したのではないだろうか。
子供のように無邪気に、暴れん坊っぷりを見せつけたDEZERT。
2015年の夏を超え、次に待ち受ける会場「赤坂BLITZ」。そこにはきっと、最凶の「ファン」というたくさんの仲間達と一緒に、会場を破壊しかねないほど自由奔放に暴れまくるDEZERTの4人が居るに違いない。

 

文:びじゅなび 

PHOTO:インテツ

 

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■DEZERT ONEMAN TOUR 2015 【4時20分の解体実験】-前編-

2015/8/15(土)札幌 SPIRITUAL LOUNGE 
2015/8/16(日)札幌 SPIRITUAL LOUNGE
2015/8/19(水)仙台 BIRDLAND
2015/8/20(木)新潟 GOLDENPIGS BLACKSTAGE
2015/8/22(土)岡山 PEPPERLAND
2015/8/23(日)福岡 glaf
2015/8/26(水)大阪 fanj
2015/8/27(木)名古屋 HOLIDAY NEXT
2015/9/27(日)東京 赤坂 BLITZ

チケット代:前売り3,500円(東京公演以外) / 4,000円(東京公演) *ドリンク別
チケット一般発売日:6月27日(土)
各地の開場開演時間、一般発売プレイガイド情報はオフィシャルホームページをご参照ください。

 

★チケット:
一般発売に先駆けて先行予約実施!
【オフィシャルHP先行予約】 
※8/15札幌~8/27名古屋 受付期間:4/26(日)12:00~5/10(日)23:00 
※9/27赤坂BLITZ     受付期間:4/26(日)12:00~5/24(日)23:00 
受付URL: http://eplus.jp/dezert2015/ (PC・携帯・スマホ)

※抽選受付となります。
※お1人様各公演4枚までエントリー可能
※9/27赤坂BLITZは1階立見のみの受付
※受付サイト記載の申込に関する注意事項を必ずご確認の上お申し込みください。

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TOTAL INFORMATION
DEZERT OFFICIAL SITE  http://dezert.jp/