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2023年05月25日 (木)

【ライヴレポート】<ギル presents「Unleash the Flame of Resonance」> 2023年5月21日(日)高田馬場CLUB PHASE◆“炎”と“解放”が共鳴した、またとない一夜

REPORT - 18:00:33

 “俺がやってること、決めたこと、その1つ1つに意味や想い、ストーリーがちゃんとあるんですよ”ーー。

 

 約1か月前、一ギタリストとして初めてステージに立った後の楽屋で、そう語っていたギル。4月25日に行われた1stライヴ“A new story of departure”のゲストにheidi.を迎えたのは、heidi.のなお(G.)とは10代の頃、専門学校時代に出逢って以降、25年くらいの付き合いがあるから。仮に、ギルが頭の中で思い描くストーリーが時間軸に沿ったものだとすれば、5月21日、高田馬場CLUB PHASEで行われるギル主催イベント第2弾のゲストがKOHTAというのも大いに頷ける。またイベント・タイトル“Unleash the Flame of Resonance”が、現在、ギルが音楽活動で掲げている“DAWN OF FLAME”というテーマや、KOHTAの1stミニ・アルバム『Unleash』にちなんだもの、さらに“Resonance”も彼ら2人にとって意味のあるワードであることも想像に難くない。そんなライヴ・テーマの意味を噛みしめつつ、長年、Angeloのメンバーとして同じステージに立ってきた2人だから、2マン・ライヴにプラスαした何かを魅せてくれるのでは?と期待に胸を膨らませ、いざ会場へ。

 

 まずステージに立ったのはKOHTA。1月15日の1stライヴから4か月余り、久々のステージは、ソロ活動で初披露した「TERMINAL 01」をSEに登場。定位置に付くと、曲の途中から生演奏で、という小粋な演出でスタートした。そして現在のメインである唄もの、「PEICE OF MIND」「INNOCENT PHASE」と続けていく。1stライヴではベースを弾きながら唄うことにまだ不慣れな部分が多少見受けられたが、彼にとって数年ぶりに聞けたオーディエンスの声援を浴びて、今夜は笑顔も多め、初っ端から自身を解放できている様子。もちろん、ステージのセンターで伸び伸び表現できているのも、レコーディングや制作でもサポートしているTHE VALVESのギターのJEAN、ドラムのスズキ・アキラの存在があってこそ。息の合った演奏から生まれるグルーヴに自然と体が動かされる。ザクザクしたギターと下っ腹に響く迫力のドラム、そして主役のKOHTAの3人が生み出す飾り気のないソリッドなサウンドは、見た目同様、男臭くて力強い。その一方でファルセットも多用しながら表情豊かな唄を聴かせるKOHTA。ステージで、ベースを弾きながら唄うライヴは2回目にも関わらず、その堂々たる姿を目の当たりにしたファンは、ラストのギターのハウッた音と被さるように拍手と声援を送る。

 

“こんばんは。いいね、熱くて。今さらですが、衣装の選択をミスった気が…イケるかなと思ったんですけど、暑い(笑)”

 

 汗っかきKOHTAらしいMCの第一声に、あちこちから笑いが起こる。

 

 

“1月ぶり、久しぶりのライヴになりました。ただいまというべきでしょうか。1曲目はインストでしたけど、それの続編「TERMINAL 02」を今日お披露目できることになりました。よろしく!”

 

 そう言った後、披露されたのはインストゥルメンタル「TERMINAL 02」。スカのビートに合わせて体を揺らすオーディエンス、これならインストゥルメンタルでも誰も退屈はしない。次の「RAIN FADE」では声を張り上げ、悲しみの感情を爆発させるKOHTA。荒削りではあるものの、唄への情感の込め方は、そんじょそこらのヴォーカリストにまったく引けを取らない。唄から伝わってくるKOHTAの想いを、オーディエンスもしっかと受け止めていたようだ。

 

“「アツイ」にはいろんな意味がありますからね。単純に僕が汗をかく暑いと、みんなと一緒に熱い空気を作るの熱いと。…こんな説明するほど悲しいものはないんですが(笑)”

 

 

 

 若干、空回り気味のKOHTAを、笑顔で見守るサポートのJEANとスズキ・アキラ。彼らがサポートしているのは、どうやらサウンド面だけではなさそうだ。そんな感じで、ベースにとどまらずMCでもKOHTA節を炸裂させ、ひとしきり笑いを誘った後はミディアム・テンポの「KICK OVER」、スリリングな「SLAVE TO THE GRIND」とたたみかける。

 

“今日は最高でした。最後の曲、聴いてください”

 

 

 そう言った後、「UNLEASH NIGHT」の演奏を始めたものの、イントロで機材トラブル発生、演奏中断。だが、百戦錬磨のKOHTAはハプニングをものともせず、“よくも悪くもライヴです。そんな時もありますよ”とさらりといってのけ、笑顔で場を繋ぐ。そして、あらためて“いろんな意味で、今夜は最高でした。ラスト、弾けていきましょう! よろしく!!”と気合いを入れ直し、頭からもう1度「UNLEASH NIGHT」を演奏しステージを後にした。

 

 転換の後はギルのステージ。SEの中、1stライヴ同様、ベースに高井淳、ドラムにばる(DuelJewel)とともにステージに現れ、ステージ・センターでギターを構える。まずはインストゥルメンタル「革命」から。多くのインストゥルメンタル・ライヴでプレイヤーは演奏に集中することが多いものの、ギルはそんな固定観念をぶち壊すかのように、初っ端からクルクルクルッとターンをキメたり、ステージ上を縦横無尽に動き回ったり。さすがはヴィジュアル系ギタリスト、魅せることも決して忘れない。そしてギタリストの殻を打ち破るきっかけとなった「Liberty」で唄を披露。心なしか1stライヴの時よりも少し落ち着いて唄えてるよう。曲の中でギター・ソロが長めにしていることには、あくまで俺はギタリストだ、という主張を曲でもしていきたいからだとインタビュー時に語っていたものの、このヴォーカリストとしての成長ぶりを目の当たりにすると、ギタリストに軸足を置きつつもヴォーカリストとしての進化を期待してしまう。

 

 

 

“黄色い声をありがとう! 今日は、おのおのが俺の音楽で楽しく過ごせてもらえたらなと思ってますので。アットホームにいくつもりはないんだけど、下手2人(=KOHTA、ギル)のおりなす音楽ってことで、今日はそういう雰囲気でもいいのかなと思います。今日は楽しんでいきましょうね!”

 と言った後に演奏されたのは新曲「バビロン」。1stライヴでも披露されていたオリエンタル・スケールを用いた本曲で、個性的なギター・フレーズを聴かせる。現時点で発表された楽曲にはないカラーゆえ、今後、音源化されるのが待ち遠しい。そして次の演奏が始まった時、おや?とフロアは何かしら気づいた様子。そう、「JIHAD」はギルが作曲のAngeloの曲だ。主旋律を声ではなくギターで伸びやかに唄うギルに、オーディエンスが熱視線を送っていたことは言うまでもない。一呼吸置いて「Tiny Grace」ではギターで優しく唄い、未発表曲、ミディアム・テンポの「Exceed」では再び歌声を響かせる。声を使った表現に関してはまだスタートしたばかり、未知なる可能性を秘めているといったところかもしれないが、1stライヴの時よりも確実に前進していると見て取れたのは喜ばしい。

 

 

 

“さあ! ここからはライヴ・タイトルどおり、【炎と解放の共鳴】だからさ、そして今日はみんなの声が聞けるという声出し解禁ライヴですから、堂々とみんなの声を届けてほしい。いいかな? いけるか!!”

 と勢いよく煽った後は、タイトルコールからKOHTAの「PIECE OF MIND-ギルver.-」の演奏へ。声ではなくギターで高らかに唄い上げ、さらに間奏部分では“ヴォイ! ヴォイ!”と煽り、お客さんは拳を上げて応える、というコール&レスポンスで会場を大いに盛り上げた。その後は1stシングル「DAWN OF FLAME」収録の「meteor」「arise(ライヴ・ヴァージョン)」と続け、演奏中にオーディエンスの声をちゃんと聞こうとイヤモニを外してフロアとのやりとりを楽しむ。その後、「Departure」に始まる前、外したイヤモニを探しきれず、“もう、いいいや!”と曲に入ろうとすると、すかさず高井淳が背後からそっと近づき、垂れ下がったイヤホンをギルの耳に装着してあげるという一幕も。高井淳の気の利いた優しいフォローにお客さんもほっこり、目尻を下げれば、しまいにはギルが高井淳のことを彼氏よばわりする、という予想外の展開に。MCで放っている言葉の端々、雄々しい語り口から察するにギルは攻め姿勢で突っ走りたかったはず。そういった意味では、このハプニングと一連の流れは彼の思惑とは真逆の空気感を生み出してしまったかもしれない。けれど、少なくともその場にいたファンにとっては大切な想い出の1シーンとなったはずだ。態勢を立て直したところで、ソロ活動はじまりの曲「Departure」、そして再び「Liberty」を演奏。“DAWN OF FLAME”の世界観、プラスαの新曲で、魅力的なギター・プレーを余すところなく魅せつけ、自身のライヴを閉じた。

 

 

 

 ギルがステージを降りるやいなや、フロアからは割れんばかりのアンコールを求める声と手拍子。しばらくしてギルが再登場、“こっからはセッションってことで、一夜限り、目に焼き付けてもらおうかなってことで。メンバーを呼び込もうかな、と思います”と言って、サポート・メンバー、ばる、高井淳を呼び込み、それぞれのポジションに付くと、

 

“メインどころを呼ぼうじゃない? ヴォーカル・KOHTA!!”

 とKOHTAを呼び込む。

 

“ヴォーカルの村田です(笑)。照れるな(笑)”

 と、照れ臭そうに出てきたKOHTA。敢えて村田(=本名)と名乗ったのは、照れ臭さのカモフラージュかも? だが、英語を織り交ぜたKOHTA節満載でギルと2人、今日のライヴは最高だったと話し、ひとしきり会場を和ませる。そしてアンコールに用意されていたのは、ギルとギルのサポート・メンバーの演奏でKOHTAが「PIECE OF MIND」を唄うという贅沢なセッション。なぜかステージ上のKOHTAに違和感…それもそう、ベースを持たずハンド・マイクで唄うのは彼にとって初めてなのだ。楽器を持たないのが手持ち無沙汰だったのか、アウトロでギターを弾くギルに背後から近づき、ギルの肩をKOHTAが抱き寄せる…なんてシーンも。そんな2人を目の当たりにして、会場のテンションが一気にレッドゾーンに振り切ったのは言うまでもない。加えて、

 

“もう1曲、唄わせてください”

 とKOHTAが言った後、ギルの「Liberty」をKOHTAが唄ったことも。これまでとは違う形で、同じステージ上で一緒に演奏をしたギルとKOHTA。ソロとして唄に挑戦してること、インストゥルメンタル曲を演奏してること、いくつかの共通項があり、そこでいえば今はライバル同士なのかもしれない。そういった2者のメラメラと燃えさかる情熱をぶつけ合うライヴを展開し、最後には2つの情熱の火が1つの大きな炎となったことは、正に“Unleash the Flame of Resonance”(炎と解放が共鳴)した瞬間でもあった。

 

 

 

 KOHTAとギルが一堂に会した今夜。これから2人はまた、それぞれの音楽道を歩んでいく。ギルに関して言えば6月にイベント、さらに自身の誕生日である8月21日には初のワンマン・ライヴを行うことが発表されている。イベント出演に関してもギルなりの想いがあるようで、それについては何かの機会に彼の口から語られることもあるだろう。一方、KOHTAは6月からスタートするNUL.のツアーに参加することがアナウンスされている。ソロ活動で唄という新たな領域に踏み込んだ彼ら。今後の動向にも注目していこうではないか。

 

 

Text:333music 増渕 公子

写真・柳本史歩FOTOLORE

 

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<セットリスト>

 

ギル presents「Unleash the Flame of Resonance」

2023年5月21日(日)高田馬場CLUB PHASE

 

■KOHTA
1. TERMINAL 01
2. PIECE OF MIND
3. INNOCENT PHASE
4. TERMINAL 02
5. RAIN FADE
6. KICK OVER
7. SLAVE TO THE GRIND
8. UNLEASH NIGHT

■ギル
1. 革命
2. Liberty
3. バビロン
4. JIHAD
5. Tiny Grace
6. Exceed
7. PIECE OF MIND ギルver.
8. meteor
9. arise ライブver.
10. Departure
11. Liberty

■セッション
1. PIECE OF MIND
2. Liberty

 

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<ギル LIVE情報>

 

■Rame Birthday 2023 Live more Beautifully

6月11日(日)西川口Hearts

ACT:Leetspeak monsters、ギル、JILUKA、可嘘(カワウソ)

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■ユウヤヤバセPresents「Independence Days」

6月22日(木)SHIBUYA REX

ACT:ユウヤヤバセ、ウミユリ、ギル、K

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■ギル バースデーライブ

8月21日(月)高田馬場CLUB PHASE

後日詳細発表!!

 

 

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▼ギルオフィシャルサイト

https://gt-giru.com

 

 

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<KOHTA LIVE情報>

 

■NUL. tour 2023 「HIGH AIM」

6月9日(金)柏PALOOZA
6月17日(土)姫路Bata
6月18日(日)梅田Zeela
6月25日(日)仙台ROCATERIA
7月8日(土)代官山Space ODD

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※サポート参加

メリー主催2マンイベント「魑魅魍魎2」

8月13日(日)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3

ACT:メリー、KOHTA

 

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▼KOHTAオフィシャルサイト

http://www.kohta-official.com


2023年05月23日 (火)

【ライヴレポート】<Royz SPRING ONEMAN TOUR「来雷行脚」>5月22日(月)【東京】恵比寿LIQUIDROOM◆Royz、“死に場所”に相応しいステージを繰り広げたワンマンツアー「来雷行脚」完遂――「最高に楽しいな、生きてるなって感じてます」

REPORT - 23:00:28

Royzが、SPRING ONEMAN TOUR「来雷行脚」のツアーファイナル公演を522日 恵比寿LIQUIDROOMにて行った。

 

死に場所をずっと探し続けている――これは、3月にリリースされたMaxi SingleRAIZIN」の一節だ。一見センシティブとも取れるワードを用いたここに、Royzというバンドが生きようとしている息吹と、覚悟を感じずにはいられなかった。それと同等の想いを意気込みに変えて回ったのが、ツアー「来雷行脚」である。

 

電脳空間に誘うようなSEに乗せてメンバーが登場すると、昴の「ようこそ死に場所へ」という一喝に続いてコールされた「KAMIKAZE」が、オープニングを飾る。各々のポジションにドンと構える堂々たる出で立ちで沸々とこみ上げる意気込みを刻み込んでいくと、ラウドな「THE RUST EMPIRE」に乗せてメンバーはもとより観客も躍動し、「LEON」ではヘッドバンギングをはじめとする今までを彷彿とさせる爆発力を発揮する中、一際目を惹いたのは荒々しく吠えるもスマートな男気を惜しみなく感じさせていたステージ上の4人の姿だった。同時に、ここ数年間のもがきの中で強靭なマインドを掴み取ってきたハイライトを思い返させるような幕開けが、非常にエモーショナルに映る。

 

 暗転から智也の力強いドラムが口火を切る中、ツアーファイナル公演開催の前に発表された「コンサート開催ガイドライン」の廃止を受けて、昴は「元に戻ったんじゃなく、一歩先のライブを皆さんとしようと思う」と力強く告げた。その言葉に続いた「INNOCENCE」は痛快で、「VIPERS」ではRoyzスティックの光も揺れ、想定したライブ感は想像のはるか上を行く威力で体現された。ムーディーな空気を纏った「奴隷金魚」から「丸の内ミゼラブル」の流れも見事で、一層洗練させた心地よいノスタルジックな世界観が広がった。さらに、和旋律を交えて麗らかに届けた「月ハ蜃気楼、遠ク」に続いた「DAYDREAM」では、会いたいという尊い希望を再確認するような空間に温かい空気が流れていた。

 

 

 

暗転を挟み、「カルマ」の冒頭で昴が歌い上げたロングトーンに胸を打たれたのも束の間、ここに込められたバンドを通して生きることを諦めなかった4人の計り知れない想いに目頭を熱くさせられた。「行くぞ東京!泣いても笑っても今日が最後、やるしかねぇよな!」と「Satisfy?」では公大もマイクスタンドを前方へと持ち出して率先して叫び、会場が一体となって中指を立てながら胸の内を吐き出すと、「阿修羅」では見事混沌としたフロアをソリッドなギターを響かせながらご満悦な笑みで覗く杙凪の姿もあった。「生きてるか東京!息してんのか東京!」と声を振り絞るように問いかけた昴が、「Jack the Ripper」で白熱したフロアに向かって「最高に生きてるって感じがするよ」とメッセージ。ボルテージマックスの中で披露した「Eva」は、まるで異空間へトリップするかのように儚くも得も言われぬ壮大さをもって突き抜けていった。

 

 

 

 

「今日も最後まで全身全霊、全力でやります。今日、ここで最後でもいいと思いながら生きるのは不器用な生き方かもしれない。でも、最高に楽しいな、生きてるなって感じてます。さあ、最高の死に場所へ共に行こう」――昴

 

 

 

演奏するメンバーが時折口角を上げながら、実に清々しい表情だったこと――これ以上の答えはないと噛みしめながら聴いた「RAIZIN」。死に場所という言葉がけっして悲観的な言葉や意味ではないと証明するかのように、全力を投じられる現状に充実感を覚えながら、それを楽しんでいる余裕すら感じさせる強さを見せた。こんな風にして、Royzは自ら必ず自分たちの財産となるものを見つけ、つかみ取っていくのだ。そんなバンドに未来がないなんて、絶対に言わせない。

 

アンコールでは、メンバーのMCや微笑ましい場面をところどころに挟みながら、レギュレーションが無くなった今だからこそ嬉しいラインナップを用意。ウォールオブデスが起こった「開眼」や、「ACROSS WORLD」では手をつないで大きくモッシュの波が揺れる情景の再来に胸を打たれ、歓声が上がった「鬼ト邪吼」ではステージへ詰めかける逆ダイブを何度も起こした。こうして、大合唱が起こった「ANTITHESIS」で締めくくるまで、実に全6曲を披露。

 

そして、ライブの最後には「ちゃんと未来、用意してるんで!」と「詳細は近日解禁!続報を待て!」という言葉と共にメンバーがシルエットなった写真が映し出された。近日は明言されていないが、528日に日比谷野外大音楽堂にて行われる同レーベル所属の己龍主催による「我龍天青」への出演も決定しており、ここで情報をキャッチできることになるのだろうか?続報を待ちたい。

 

「生きてまた会いましょう」――昴

 

 

 

こうしてRoyzがフォロワーの心を躍らせ続けられるのも、彼ら自身の力で未来を切り開こうとしている意思と、それに必要なエナジーを滾らせているがあるからこそ。この日、最後の一瞬まで無意識に各曲から拾っていたのは生きるというワードだった。アップダウンな道のりを歩み続けてきたRoyzのドラマは、彼らが「この先へ行こうと」と望み、叫び続ける限り終わることはない。

 

 

 

 

 

レポート・文/平井綾子(Ayako Hirai

 

 

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セットリスト

M1.KAMIKAZE

M2.THE RUST EMPIRE

M3.LEON

M4.INNOCENCE

M5.Killing Joke

M6.VIPERS

M7.奴隷金魚

M8.丸の内ミゼラブル

M9.月ハ蜃気楼、遠ク

M10.DAYDREAM

M11.カルマ

M12.Satisfy

M13.阿修羅

M14.Jack the Ripper

M15.Eva

M16.RAIZIN

 

EN-1. Autocracy~ワルツとナイフ~

EN-2. 開眼

EN-3.

EN-4. ACROSS WORLD

EN-5. 鬼ト邪吼

EN-6. ANTITHESIS


2023年05月18日 (木)

【ライヴレポート】<SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」>2023年5月13日(土)Zepp DiverCity TOKYO

REPORT - 20:00:52

新緑に慈雨がそぼ降る513日、東京湾の海辺にほど近いZepp DiverCity TOKYOで、シドの結成20周年を記念するツアーであり、アルバム『海辺』のリリースツアーでもある<SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」>のファイナル公演を開催した。

 

会場に鳴り響くクラップに迎えられ、ゆうや(Dr)、ShinjiG)、明希(B)がそれぞれの楽器を手にした頃、マオ(Vo)もゆっくりと登場。

ゆうやがスティックを力強く打ち鳴らし、スタートしたのはアルバム『海辺』のオープニングを飾る「軽蔑」。

4拍子と3拍子を行き来する変拍子のスリリングさは、生音で聴くとまた格別だ。

油断すると波に飲まれてしまいそうになるほど不穏な心地になるので、サウンドの真ん中にしっかりと佇むマオの歌にしがみつく。

そこへ追い討ちをかけてきたのが2曲目の「大好きだから…」だ。別れ際に女性が男性に宛てた手紙を歌詞にしたこの曲。

主人公の女性を演じて感情を隠すように歌うマオ。

じりじりと迫るようなバンドアンサンブルは、まるで男性を断崖絶壁に追い詰めるような情景を描いた。

そのサウンドをバックにスクリーンに“タテ読みも忘れずに…”の歌詞どおり、歌詞列の頭文字が赤い文字で一文字ずつ打ち出される。

“ダイスキ/ダカラ/ユルセナイ/アナタハ/オワツタ”。

 

 

身震いするようなサスペンス展開で肝を冷やしたところに、「元気?」と明るいマオの声が響いた。

「マオ復活&後ろ髪が結構伸びたっていうことで、すごい楽しみにしてきました。

どれぐらい楽しみだったかと言うと、遠足ぐらい。子供の頃の遠足ってすごかったでしょ」と続ける。

マオが喉の不調のためライブ活動の休止を発表したのが20221月。マオ自身が誰よりもこの復活を待ちわびていたに違いない。

ツアー初日の神奈川・KT Zepp Yokohama公演では「今日のライブがすごく怖かった」と少し声を震わせていたが、この日のマオにはそんな気配が一切ない。

それはきっと、一緒に笑い合えるメンバーとツアーの一本一本を積み上げてきたから。

そして、各地でファンから大きな歓声と笑顔をたくさんもらってきたからなのだろう。

3年ぶりの声出し解禁、初日こそためらいがちで、お互いに手を繋ぐタイミングが噛み合わない付き合いたてのカップルのようだったが、ツアーファイナルともなるとコール&レスポンスも阿吽の呼吸。メンバーが煽らずとも、大きな歓声が彼らに降り注がれた。

 

 

 

 

 

“令和歌謡”をコンセプトにした『海辺』の収録曲では、スクリーンに映し出される歌詞やグラフィックがその世界観を深く広く表現する。

夕闇色を映した「13月」はスタッカートのリズムを刻む明希のタイトなベースと、むせび泣くサックスの音色が印象を残し、並木道を映した「街路樹」ではゆうやの軽快なリズムと、Shinjiの小気味良いカッティングがクラップを誘った。

 

 

 

メンバーが順番にMCを繋ぐコーナーでは、トップを切った明希が「ここまでコンサート、ライブが復活したんだと喜びを噛み締めながら、みんながこうやって僕らシドが帰る場所を守ってくれたから、ルールを守ってくれたからここまでこれたんだと思います。ほんとに心からどうもありがとう」と感謝の思いを語った。

Shinjiは「海辺ツアー、流木みたいに流れ着きました。いくつもの荒波、さざ波にもまれながら、きれいになって辿り着きました」とツアーの日々を振り返り、ゆうやは「今日は最後までみなさんにしっかりと楽しんでいただけるようなライブになっていると思います。

最後まで気を抜かずに!元をとって帰ってください」とハッパをかけた。

そんなメンバーの様子を見ていたマオは、「こんなに休ませてくれるバンド、他にいないよね。

すごい感謝してます、みなさんのトーク力に」と楽しそうに笑った。

 

 

 

 

 

白い雪の映像が舞ったバラードナンバー「白い声」では、情感たっぷりに歌うマオのヴォーカルと鍵盤のメロディが切なく響き合い、

それとは対照的に温かみのあるサウンドで会場を包み込んだ「hug」では、曲終わりにギュッとハグをするパフォーマンスを見せた。

異国情緒漂う「慈雨のくちづけ」では、間奏で明希が深みのある5弦ベースを聴かせ、その後はゆうや、明希、Shinjiのテクニックとパーソナリティが炸裂するソロパートへ。

ボルテージが上がったままのステージにマオが戻ると、ブルージーな「液体」へと流れ込んだ。

緻密でいて豊潤な響きが心地よく体を揺らす。歌謡ロックチューン「騙し愛」で再びフロアのテンションを上げると、「シド20周年、まだまだ高いところにいくぞ!お前らついてこいよ」とマオが煽り、「ANNIVERSARY」へ。

ライブは終盤戦。『海辺』ターンから、20周年を祝うモードへと切り替わる。

ミラーボールの反射する光がフロアを舞い、弾けるようにメンバーがステージを闊歩する。

闇の中をもがいていた日々、光の差す方を夢見た日々、出会えた奇跡に感謝する。

10年前に生まれたこの曲が、コロナ禍を乗り越えた今にリアルに響いた。

久々に聴いたオーディエンスの美声に、顔を綻ばせるメンバー。

曲終わりにマオは、大きな笑顔でピースサインを繰り出した。

 

 

 

 

 

 

長らく待ち望んできたシドのライブがようやく戻ってきたと心底思えたのは、結成当初から歌い続けている「循環」へと繋がるお馴染みのリズムが鳴り始めた時だ。

リズムに合わせて「ゆうや!」「明希!」「Shinji!」とメンバーの名前が大きな声でコールされるのを聴いていると、思わず胸がじんとしてきた。

マオはというと、「20年経っちゃったけど、これだけ盛り上がるとほしがっちゃう俺がいたりして」と、“ちょっと内股でハートを作りながら首を傾げながら”の「ダーリン」をおねだり。会場から飛んできた「ダーリン!」コールに、「まさか20年後もやってるとは」とひとりごちたその表情は、やはり嬉しそうだった。

「循環」で大きなグルーヴを作った後、光ある未来へと疾走していくポジティブナンバー「one way」で本編を締めくくった。

「オイ!オイ!」と拳をあげたり、大きくジャンプしたり、グチャグチャになっていくフロアを、演奏が終わっても愛おしそうに眺めていたメンバーの姿が印象的だった。

 

 

アンコールでは、「これまでちょっと怖い感じだったんで、ここからはみなさんに好印象を与えていこうと思います。

みなさんで夏を先取りしませんか?」と「揺れる夏服」「夏恋」と夏ソングを続けて披露。

キャッチーな「夏恋」ではフロアが一斉に繰り出してくるハートのサインにちょっと照れてみたり、マオに操られるように歌わされているオーディエンスを見て、思わず明希が吹き出したりとリラックスモード。

かと思えば、「park」「眩暈」「吉開学17(無職)」と、シャウトやヘドバンを繰り出すヘヴィーチューンでフロアをかき回した。

そしてラストは「海辺」。明希の5弦ベースが幻想的な調べを奏で、そこにShinjiの美しいアルペジオが乗り、ゆうやが意志の宿った力強いリズムを刻む。

そしてマオは一言一言に思いを込めて歌い綴る。それを支えるようなShinjiと明希のコーラスもよかった。

演奏が終わっても、オーディエンスは余韻でしばらく動けないでいるようだった。

ひと呼吸、ふた呼吸おいて、大きな拍手と歓声が彼らに贈られた。

 

 

 

「最高だったぜ。20周年最後まで見逃すなよ。これからもどこまでも一緒にいきましょう」(明希)

 

 

 

「最後の『海辺』が終わった時、みなさんの顔をずっと見ていたいなって、帰りたくないなと思いました。

愛なんてよくわかんないですけど、見つけましたよ今日、みんなの愛を」(Shinji

 

 

 

「いろんなことがあって、こんなに素晴らしい景色をみなさんと共有できる日が、こんなにも早く来ましたよ。今日は最高でした。ありがとう」(ゆうや)

 

 

一人ずつステージを下りていき、最後に一人残ったマオは、「こんなに最高なみんなに支えてもらって、20年本当に僕は幸せ者です。そして今日は俺も最高だったんじゃないの?(笑) 

最後に大きい声をちょうだい」と、フロアの大歓声を一身に受け、満足気な表情で最後にマイクを外した生声で「愛してます!」と叫んだ。

ステージを捌ける時、マオはステージ袖に向かって大きくガッツポーズをして見せた。

このツアーがマオにとっていかに充実したものだったのか、最後のその姿がすべてを物語っていたのだと思う。

 

 

シドの結成20周年アニバーサリーイヤーは始まったばかり。

723日(日)からはスペシャルファンミーティング<SID 20th Anniversary Premium FANMEETING TOUR 2023>がスタートする。

『海辺』から漕ぎ出した船は、年末に行なわれる日本武道館でのグランドファイナルに向けて、どんな航海を楽しませてくれるのだろうか。期待は高まるばかりだ。

 

 

 

 

 

PHOTO:今元 秀明
TEXT:大窪 由香

 

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SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」

513日(土)@Zepp DiverCity TOKYO

SET LIST

 

01.軽蔑

02.大好きだから…

03.13

04.街路樹

05.白い声

06. hug

07. 慈雨のくちづけ

08. 液体

09. 騙し愛

10. ANNIVERSARY

11. 循環

12. one way

 

En01. 揺れる夏服

En02. 夏恋

En03. park

En04. 眩暈

En05. 吉開学17(無職)

En06. 海辺

 

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SID 20th Anniversary Special Site  https://www.sid20th.jp/ 

 

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<ライブ情報>

 

SID 20th Anniversary Premium FANMEETING TOUR 2023

2023723日(日) Zepp DiverCity TOKYO

2023730日(日) Zepp Nagoya

2023812日(土) Zepp Fukuoka

2023813日(日) Zepp Osaka Bayside

2023826日(土) Zepp HanedaTOKYO

202392日(土) SENDAI GIGS

2023918日(月・祝) Zepp Sapporo

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ID-S BASIC会員優先予約】 受付期間 2023516日(火)1200523日(火)1600

 ※2023514日(日)時点でID-S BASIC会員の方が対象となります。

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【チケット料金】全席指定 ¥7,500(税込/ドリンク代別)※4才以上有料

 

 詳細はコチラ https://sid-web.info/event/348580 

 

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SID 20th Anniversary GRAND FINAL 「いちばん好きな場所」

20231227日(水) 日本武道館

※詳細後日発表

 

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シド オフィシャルサイト  http://sid-web.info/ 

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