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2015年11月09日 (月)

【ライブレポート】櫻井有紀 × YUKI 饗宴【独唱-悠久の檜舞台-】11月1日(日) shibuya duo MUSIC EXCHANGE

REPORT - 18:00:37

11/9 18:00

 

本当に亡くしてしまうというのは、たぶん、忘れてしまうこと。
忘れてしまわないために歌い続けていけば、楽曲は輝きを失わない。

 

 

櫻井有紀が、ライフワークとして2年前から続けてきた「独唱」の集大成を、彼にとって特別な日である11月1日に開催した。現在、riceのヴォーカリストとして活動する有紀が、彼の音楽キャリアの始まりであるRaphaelのヴォーカリスト・YUKIとコラボすることに決めた今夜のステージ。そこで彼は、時を越えた悠久の空間を作り出した。大掛かりなセットも派手なバックバンドもいない中、櫻井有紀というただ一人のヴォーカリストがその生き様をまざまざと見せつけた──。

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櫻井有紀 × YUKI 饗宴【独唱-悠久の檜舞台-】

 

 rice/Raphaelの櫻井有紀が、riceとしての活動の合間を縫い、2年前より単独で続けてきた“独唱”。これは、コーラス・ハモりなしの1声勝負で挑むライヴスタイルで、riceの曲を中心に、カバーソングも織り交ぜながらピアノ弾き語りで歌い上げるステージだ。Rapahel時代よりその歌唱力に抜群の定評がある有紀の真骨頂を、バンド形式とはまた違った形でじっくり聴くことができるため、ファンの間で好評を博しているが……。実はこの形式でのライヴは、今回のrice×Raphaelを念頭にスタートさせたものだったという。自らの音楽キャリアのスタートとなったRaphaelと相方のHIRO(Dr.)とともに精力的な活動を展開しているrice、ふたつのバンドが紡ぎ出す音楽を、自らの声と演奏で融合させたいという想いが結実したのが、今日この日だった。

 白いタキシードに身を包んでステージに現れた有紀は、まず、riceの『煌々』を歌う。riceのサポートキーボーディストとしてもおなじみの文ちゃん(畠中文子)が奏でるピアノが有紀の伸びのある声にやさしく寄り添うが……。亡くした大切な人への想いを綴ったこの曲を歌う有紀の声を、少なからずの緊張感を感じながら聴いたのは私だけではなかったと思う。きっと、リスナーである私たち自身も緊張していたからだと思うが……。Raphaelの活動が止まってから14年を経て初めて、riceとRaphaelが融合するステージが今まさに始まろうとしているのだから、演者にも聴く側にも多少の硬さが存在するのは無理もない。そんな中、有紀は、2曲続けて歌ったところで、こんな言葉を始まりの挨拶として客席に向けた。
“時代やバンドの垣根を越えて、シンガー・櫻井有紀、そしてYUKIが、自分が歩んできた道のりを歌ってみようと企画しました”と──。

 その言葉通り、riceのナンバーで幕を開けたステージは、Raphaelの楽曲を織り交ぜながら進み始めた。『僕と「僕」』、『「Sick」~×××患者からのカルテ』といった、Rapahel初期・中期のナンバーが続けて演奏される。この時のステージは、文ちゃんのピアノに代わり、YUKIが自身で鍵盤と向き合う弾き語りスタイルだ。MCでも話していたが、独唱を始めるにあたり、2年前から鍵盤の練習を始めたという有紀。まだまだ満足に弾ける技量はないけれど、想いのピークを迎えた今こそこうして歌いたいという彼の原動力は、Raphaelの同胞・華月が、『lost graduateion』のサイレントバージョンを録った時、“YUKIの歌声はこういうアレンジがすごく似合う。YUKIは将来こういう歌がよく似合うようになるよ”と言ってくれたことだったそう。自身の胸に秘め続けた10数年分の想いを、今は亡き友や今でも彼を支えてくれる仲間たちに背中を押されながらゆっくりと客席に向かって吐き出していく。

 のちのMCでYUKIは“これ(華月との共作でRaphaelのデビュー曲となった『花咲く命ある限り』)作ったの、17歳の時だよ? 今34歳だよ? すごいことだよね。ネットの恩恵もあるかもしれないけど、今でもこの曲をみんなが知ってくれてるんだもん。みんなの中にいつまでもあるんだもん”と話していたが、私も、Raphaelの初期の楽曲をあらためて聴いて驚いた。年端もいかない少年が、こんなにも慈愛に満ちた感性で鋭い言葉を紡ぎ出していたのかと。人生経験を積み重ね、Raphael時代以上に深い歌が歌えるようになったYUKIが今歌うからこそ、そのメッセージ性がより深みを増して心に届く。まさに時代を越えたコラボレーション。今回のライヴタイトル“悠久”に相応しい世界観が徐々に徐々に展開されていく。

 

 『秋風の狂詩曲』を10曲目に演奏する前、ヴァイオリンの貴恵ちゃん(寺島貴恵)ら4人の弦楽器隊を呼び込んだあとにYUKIは当時のエピソードをこう振り返った。
“『mind soap』というアルバムで、さっき聴いてもらった『「僕」と僕』という曲のストリングスアレンジを僕がやらせてもらったの。その頃から、ストリングスやオーケストレーションに興味があったんだけど、プロデューサーさんやメンバーにデモテープを持っていくたびに、「もうそれ以上目立たないで」と華月に言われ続けてね(笑)『「僕」と僕』以降はオーケストレーションを手掛けさせてもらうチャンスがなかったんだけど……。そんな中でも「今、頭の中で構想している曲には、YUKIのストリンスグワークが必要かもしれない」って華月が言ってくれたりした事もあって。残念ながらそういったアレンジのコラボはかなわぬままRaphaelは休止してしまったけれど。あの日のあの言葉達を信じて今回、Raphaelの曲をオーケストレーションしてみました!!”

 この日の有紀は、数曲演奏するごとに、当時の記憶、今の想いを、曲に関するエピソードに絡めながらゆっくりと言葉を選びながら話していた。中でもとても心に響いたのは、“音楽は聴いてもらってナンボなんだよね”“”本当に亡くしてしまうというのは、たぶん、忘れられてしまうってこと。忘れられてしまわないために歌い続けていけば、楽曲は輝きを失わない“音楽は色褪せないよ”といった言葉たちだった。ここにこそ、有紀が時に傷つき時に迷いながらも、今日この日を迎えた意味がある気がしてならない。リーダーの死という結末を経て途中で歩みが止まってしまったRaphaelの曲と、現在進行形で未来へと向かうriceの曲を並べて演奏することはとても勇気がいったことだと思う。華月が空に昇ってもう15年、されど15年。まだまだ悲しみを背負ったままの人はたくさんいる。有紀本人もそんな中の一人だからこそ、今日こういったコンセプトのライヴを決行するまでに15年もかかったのだと思う。でも、ただ並べて演奏するだけではなく、楽曲の存在価値や今この時間を使って演奏することに意味を見出した上での歌唱・演奏だからこそ、客席は有紀の声を温かい気持ちで迎えることができたのだろう。

そして本編は、Raphaelの代表曲といえる『eternal wish〜届かぬ君へ〜』を奏でた後、『lost graduation』からriceの『リルゴマキアート』に続く2曲の流れで幕を閉じた。大人になろうとする少年が幼い自分から卒業していく過程の痛みを綴った楽曲と、大人になった自分が感じる死生観を描いた楽曲のコントラストは、この日のライヴで有紀が伝えたかったメッセージのひとつだったのではないかと感じながらステージを去る有紀を見送った。

 『Evergreen』と『夢より素敵な』をアンコールで披露し、明るい曲調で会場の空気をハッピーに染め上げたあと、“今のみんななら、もう話しても大丈夫そうだね”と前置きして、有紀はゆっくりと話し始めた。

 

“Raphaelは、メンバーが出会って、あいつ(華月)の言葉を借りて言うなら「青の邂逅」から来年で20年を迎えます。そして、華月の17回忌でもあります。2016年4月7日、もう一度Raphaelをやらせてください”

 

 音楽から完全に離れることになったメンバーがいることもあり、考えていた以上にずっと早く、Raphael・YUKIとしてのお役目が果たされる日が来たと有紀は語った。ずっとステージ袖で有紀の「独唱」を見守っていた盟友・YUKITOとHIROをステージに呼び込み、揃いの白い衣装を着た3人は、癒しの天使としてもう一度だけ羽ばたく決意を“自分たちが信じる音楽を、自分たちの愛するRaphaelを、2016年、全身全霊を込めて全力を賭して奏でていきたいと思います”と語った。

 この発表を、「独唱」での有紀の歌声を聴いたあとのオーディエンスたちがどう受け止めたか、私には計り知れない。100人いれば100通りの受け止め方があるだろう。でも、これだけは信じてほしい。有紀は、YUKITOとHIROは、けして感傷に浸るためだけにRaphaelとして全国を駆け抜けることを決めたわけじゃない。今の自分たちがRaphaelを奏でる意味を見出し、3年前の「再演」以来止まっていた時を再び動かすことを決めたのだから。過去の遺物ではない、“今を生きるRaphael”を今の私たちの感性で受け止めることができたらどんなに素敵だろうと考えながら、櫻井有紀とYUKIが奏でた「独唱」の終焉を見届けた。

 

Text:きーぼう(Vicious)
Photo:Kumiko Suzuki

 

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01. 煌々
02. コバルト
03. 胸に零
04. 僕と「僕」
05. 症状1. 潔癖症
06. 症状2. 分裂症
07. 症状3. XXX症
08. Hello
09. カサブランカ
10. 秋風の狂詩曲
11. Fake star
12. 花咲く命ある限り
13. Never
14. eternal wish~届かぬ君へ~
15. lost graduation
16. リルゴ・マキアート
<アンコール>
17. Evergreen
18. 夢より素敵な

 

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KAZUKI 17th memorial「蒼の邂逅」

【日程】4月7日(水)
【会場】Shibuya O-EAST
【開場/開演】18:00/19:00
【チケット代】1Fスタンディング 6,500円

 

 

Raphael Live Tour 2016「癒し小屋」
5月23日(月)横浜・Bay Hall 18:00/19:00
6月02日(木)名古屋・DIAMOND HALL 18:00/19:00
6月12日(日)札幌・PENNY LANE24 16:30/17:30
6月21日(火)大阪・BIG CAT 18:00/19:00
7月03日(日)仙台・CLUB JUNK BOX 16:00/17:00
7月11日(月)赤坂BLITZ 18:00/19:00
7月17日(日)広島・SECOND CRUCH 16:00/17:00
7月24日(日)福岡・DRUM LOGOS 16:30/17:30

【チケット代】1Fスタンディング 5,500円

 

11月15日23:00まで抽選の申し込み受け付けを実施中。

詳細はオフィシャルサイトhttp://raphael.jpまで。

 





2015年11月07日 (土)

【ライブレポート】★THE MICRO HEAD 4N’S★tour 2015「STARTLING EFFECTS -tryout-」2015.10.10 SHIBUYA CHELSEA HOTEL

REPORT - 19:43:50

 変化を恐れず挑戦し続ける稀代のバンド、THE MICRO HEAD 4N’S(マイクロヘッドフォンズ)。
結成4周年前夜の8月23日、ワンマンツアー「A BEGINNING FROM THE END. -Endroll-」のツアーファイナルで、ヴォーカルのRickyがバンドを離脱、ex-A(エース)のNimoを新たに迎えることになったのは、記録に新しい。

 tour 2015「STARTLING EFFECTS -tryout-」初日公演は、Nimo加入後初のライヴとあって、瞬く間にソールドアウト。マイフォの<終わり無き旅 第三章>の幕開けを目撃しようと、会場には早い時間からマイクローンが結集。Rickyがバンドに贈ったはなむけの花を見つけ、うれしそうに写真を撮るファンも多い。

 新体制となったバンドがどんなライヴを見せてくれるのか、新たなケミストリーは生まれ得るのか、期待に胸を膨らませながら開演を待っていると、ついにSEが会場に響きだす。これまでとは異なるサウンドに戸惑い、しばらくは様子見をしているのか、フロアには静けさが広がる。ステージに緑の照明が差し、SEが聴き覚えのある音に変化しだすと、メンバーの名を呼ぶ声がフロアから上がり始めた。新ヴォーカル、Nimoのコールも次々に飛び出す。

 TSUKASA(Dr)、kazuya(G)、ZERO(B)、SHUN.(G,DJ)の4人が、差し色の赤が効いている黒を基調とした新衣装でステージに登場。割れんばかりの大歓声がわく。最後にステージに現れたNimoがゆっくりと大きく、左右に腕を広げると、ダンサブルなビートと共に新曲“SCANDALOUS”(仮)が炸裂。お立ち台に上ったNimoが観客を煽りまくり、初めて聴いた曲にもかかわらず、誰もが「オーオーオーオーオーオーオー♪」とコーラスを一緒に歌い出す。
 のっけから披露されたアグレッシヴな新曲に驚くヒマもなく、“SEVENTH COLOR”(仮)がスタート。疾走感あふれる楽曲にマイクローンは驚喜。客席から一気に拳が突き上げられる。さわやかな新曲に続いたのは、またも新曲の“unknown”(仮)。TSUKASAの激しいドラミングに合わせてZEROが頭を振り乱す。kazuyaとSHUN.のツインギター組による掛け合いが絶妙なダークで呪術的なナンバーは、後半、美麗に変化。劇的な展開にぐいぐい引き込まれていく。

 立て続けにぶちかまされた新曲を3曲に、ゼロからのスタートを切る覚悟を決めたバンドの並々ならぬ意気込みを感ぜずにはいられない。新生マイフォにマイクローンたちは盛大な拍手を贈り、お気に入りのメンバーの名前をコール。ステージが少し明るくなり、最初のMCが始まった。

 「THE MICRO HEAD 4N’S第三章、始まりの夜にようこそ!」と、笑顏のNimoがフロアにひしめく観客へ語りかける。「これまでいろいろあったんですけど、今日という日を迎えられてうれしく思っています。ね、SHUN.さん!」と、早くも話をフラれたSHUN.は「今までずっと観てくれていた方も、今日初めて来てくれた新しいマイクローンも、みんな盛り上がってますか? 新曲、かっこいいだろう!?」とうれしそうだ。

 どちらがより緊張しているか、ふたりで競い合った(?)あと、Nimoは一息つき、「このセリフ、今日まで言わずにとってきました。一緒に言ってもいいですか? HELLO MY CLONE!!」と、マイフォの代表曲“HELLO MY CLONE”に突入。テンポを少し抑えた新アレンジに、ねっとりとしたNimoの美声が絡みつく。続く“WHITE SOUL”は、これまで以上にエレクトロなアレンジが新鮮だ。“慟哭のGYPSY”ではマイクローンたちが激しく体を折りたたみ、会場の温度がぐんぐん上がっていく。

 それにしても、暑い。ステージ上は尚のことだろう。SHUN.が衣装を脱ぎだすと、「オレも脱ぎたいです」とNimo。「…好きにしろよ」「えっ、そんな感じスか?」と、先輩たちの動向を探る姿が微笑ましい。「蓋を開けてみないとわかんなくて手探りだったけど、やっぱり楽しいな! そんなTHE MICRO HEAD 4N’Sに変化が生まれました。ドラムを叩いている人が、お兄さんぶるんですよ。曲の同期出しはいつもTSUKASAがやってるんだけど、Nimoに“ハロー・マ~イクロ~ン!!”と言ったらポチッと押すからとか教えていて、でもリハでやったらなんか違うなあって(笑)。“I Surrender”の頭で言う“Dance with Me!”のところも、ここはNimoくん、イヤラシイ感じでって説明してたから、たぶんイヤラシイよ」とSHUN.が続け、ライヴ後半戦に向けてNimoの緊張をほぐしていく。

 マイクがNimoに戻り、「じゃあ、今日は最後まで楽しんでいってください。今度は僕がパラサイトしてやる…!!」と、“PARASITIC EMOTION”がスタート。Nimoが大きく手拍子すると、マイクローンたちがそれに続き、会場が再びヒートアップ。「もっともっと、落ちていこうぜ…」と始まった“PRISONER”ではマイクローンが一気に跳び、フロアが揺れるのを感じる。“BREAKING & SHOUT OUT!!!!!”では、NimoとZEROのふたりがお立ち台に上がり、もっと声出せよとファンをけしかけていく。その勢いのまま、「全員、拳を上げろ!」と“MONSTER’S ROAR”へ流れ込む。ステージもフロアもヘドバンとジャンプの応酬で、今にも床が抜けそうだ。

 怒涛の勢いで4曲をぶちかまし、再びMCへ。「ヴォーカルを探していたSHUN.さんを知り合いに紹介してもらったのが、このバンドに入ったきっかけでした。僕は昔、海賊をやってたんですけど(笑)、今は陸に降り、ソロでカヴァー・アルバムを出したことで、自分の中では音楽に区切りがついていた。声をかけてもらったのは、スーツを着て、リクナビに登録しようと思っていたときだったんです。中途半端な気持ちでバンドを始めるのもよくないし、でもちょっとメンバーに会ってくれないかと言われて喫茶店に行ったら、kazuyaさんが直球で来た。なにを言われても1回は持ってかえって、お母さんに相談しようと思ってたんだけど(笑)、kazuyaさんがまっすぐな目で誘ってくれて、こんな直球を投げてくれる人、今後いないなと思って、この人に1回持ってかえりますとは言えない、これは振りきってやろう、空振っても思い切りふろうと思って、加入を決めました」というNimoに、マイクローンたちが熱い声援を贈る。

 「これからどんどん攻めて、みんなで最高の景色を作っていきたい!」という力強い言葉に、フロアから一斉に拳が上がり、本編最後の“フォトグラフ”へ。左右に大きく振られる何百もの手と共に、マイフォ第三章の新しい景色が形作られ、会場全体に広がっていくさまは壮観だった。生まれ変わったバンドと共に、これからも最高の景色を作っていこうと、心に決めたファンも多かったことだろう。

 熱烈なアンコールを受けて、メンバーがツアーTシャツ姿で再登場。SHUN.が進行役になり、メンバーひとりひとりに話を振っていく。TSUKASAは「感極まってますか? Nimoくん、バンドに入ってくれてありがとうございます。実はひとつ、感動したことがあります。喉の調子が悪いと携帯の連絡網に入れたら、Nimoくんが喉に良い食べ物とか教えてくれて、兄貴を思ってくれたのかなあー、それですぐに卵を飲んでね。あと、のどちんこにシュッて、しゅわーっとミストで声帯を潤してくれるのを教えてくれたんです」と、弟ができた喜びを語る。
 ベースの暴れん坊と紹介されたZEROは、「今日、はじめましての人もいるよね。初めての人、手を上げて。なかなかの対応力だよね、意外とついてきてるなと思って。さっきのMC、“今度はオレがパラサイトしてやるぜ”のところ、笑うところじゃねぇからな。まあ、笑うよなとオレも思ったけど…」と、Nimoをいじる。また、1曲目でNimoがタオルを回すのを忘れたことも暴露。自らデザインしたツアーグッズの宣伝もしたところで、話はリーダーのkazuyaへ。

 「最近の僕のストレスは、飲んでるとオネエっぽいと言われることです。ニコニコしてるけど、実はムカついてます(笑)。Rickyの脱退で、もうこのバンドを辞めるという話もあったけど、続けたいという気持ちを伝えたらみんな賛成してくれて、新しいメンバーも見つかった。ライヴはまだまだのところもあるだろうけど、みんなで成長していければと思っているので、応援よろしくちゃん!」というシンプルながらも熱い言葉に、マイクローンが大きな拍手を贈る。

 「いろんなことをみんなと一緒に残していければいいなと思います。フルスルットルで、これからもよろしくお願いします!!」とNimoがMCを締め、アンコールの“REVERBERATIONS”へ。新アレンジに合わせてNimoが舞い、マイクローンたちが跳びまくる一方で、前方に踊り出てきたZEROが「おまえら全員、後ろ向け! 最高のヘドバンの後ろ姿を見せてくれ!」と煽り、定番の後ろ向きヘドバンが巻き起こる。続いて、「もっともっと行こうぜ! タオル、使ってもいいか? もう忘れねぇぜ! Dance with Me!!」と“I surrender”が炸裂。会場がダンスフロアと化する。もうもうと沸き立つ熱気の中、タオルを振り回すマイクローンたちはみんな笑顏で楽しそうだ。

 このままアンコールラストに入るかと思いきや、「次にやる曲なんですけど、さっきZEROさんに指摘されたとおり、緊張のあまり1曲目からタオルを回すのを忘れました。というわけで、みんなにもレクチャーしますね。曲が始まったらまず手拍子して、次にタオルを手にして、サビでどんどん回してもらえれば大丈夫です。一緒に暴れてってくれますか? しっかり回してくれよ!」と、オープニングに披露した新曲“SCANDALOUS”(仮)を再度プレイ。レクチャーの甲斐あって、マイクローンたちの振りも完璧だ。そして最後に待ちかまえていたのが、“Curtain Call”。ザクザク切り込んでくる、従来より速いテンポ感が秀逸で、この日最高の盛り上がりに。それだけに、曲が終わっても歓声が一切鳴り止まない。「ありがとう! これからも全力で楽しませてやるから、覚悟しとけよ! しっかりついてこいよ!!」と、Nimoがファンにメッセージを贈り、バンドはステージを後にする。

 客電がつき、冒頭に流れていたSEが始まるが、ダブルアンコールを求める声が次々と上がったため、メンバーが再び姿を現す。「ありがとうございます。2回もアンコールをいただけるなんて、感極まっております! おにいちゃん、使っちゃいました!!」とNimo。会場は爆笑に。「最後にしっとりとした曲を届けたいと思います」というSHUN.のお約束の振りで、最もしっとりしていない曲のひとつであるライヴの定番曲“MONSTER’S ROAR”が炸裂。頭を振り乱す人、体を激しく折りたたむ人、叫びまくる人が入り乱れ、フロアはカオス状態に。Nimo、KAZUYA、SHUN.、ZEROも、頭がもげんばかりにヘドバンで応酬。新ツアー「STARTLING EFFECTS -tryout-」の成功を約束したような、フロアとステージが完全に一体化した見事な景色を望める、最高のエンディングとなった。

 こうして、新曲3曲に加え、新アレンジを多数披露するという大胆極まりない攻めの姿勢で新体制をスタートさせたTHE MICRO HEAD 4N’S。今後、Crazy Monsters他、イベント出演が目白押しで、ニューシングルのリリースも予定されている。11月19日名古屋、11月20日大阪、12月15日東京で行われる「STARTLING EFFECTS -tryout-」ワンマンツアー公演では、曲数限定でステージの写真/動画を撮影可能という、バンドからのビッグプレゼントもある。日々進化するバンドの今しかない一瞬を目に焼き付け、カメラに収める、またとないこのチャンスを、逃す手はない。今回と同じ会場で大晦日の夜に開催される、THE MICRO HEAD 4N’S COUNT DOWN LIVEにも注目だ。

 

 

★THE MICRO HEAD 4N’S★

http://themicrohead4ns.jp/







2015年10月24日 (土)

※新アーティスト写真も公開!※【速報ライブレポ】Synk;yet★7大都市単独公演『心中ノ園』-THE FINAL-★2015年10月23日(金)新宿ReNY★

REPORT - 00:20:36

次なる飛躍の場は、恵比寿リキッドルーム!

Synk;yetが「心中の園」新宿ReNYに描き出した「罪と狂気」を熱狂で浄化してゆく物語───。

 

  9月にスタートした全国7大都市を舞台にしたツアー「『心中ノ園』」。10月23日に、同ツアーのファイナル公演が新宿ReNYで行われた。
 先に、この日発表になった情報をお伝えしよう。Synk;yetは、2016年2月3日(水)に通算6枚目となるシングル『悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ』を3-TYPE同時発売する。その作品を手に、2月4日より「全国11都市単独公演「悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ」がスタート。ファイナル公演は、5月3日に恵比寿LIQUIDROOMで行うことも発表された。
  他にも、2016年2月8日(月)に『Messiah』や『自責ノ園』など計7本のMVを収録した第2弾MV集『dimension of vision 2』の発売。2015年12月16日(水)に、『夢人達の旋律』や『Fake out』などライブではお馴染みの楽曲も収録、ギターの唯依葉-yuiha-加入以前の現在入手不可能楽曲を元に全曲リマスタリングし構成した完売音源集『recollection of glint』のリリースも発表になった。
 
 
  厳かなSEの雰囲気とは裏腹に、舞台上へ姿を現したメンバーたちへ飛び交う熱狂の声・声・声…。この日のライブは、新衣装で登場。「心中の園へようこそ」。Synk;yetのライブは、最新シングル『自責ノ園』を突き付ける形で幕を開けた。荘厳かつ重厚な音の唸り。「骨の髄まで愛しても」と想いを歌う莉希。身体の芯まで貫く音の衝撃に煽られたメサイア(観客)たちが全力で頭を振り、暴れだした。なんて感情を熱く揺さぶる狂喜な幕開けだ。
 『Fake out』に描いた凄まじい折り畳みの風景。「罪と狂気」を主題に活動を行っているSynk;yetらしい、身体と心に激しい唸りを与える序盤の風景だ。途中には、メンバーたちの煽りに刺激を受け、客席前方へ逆ダイしてゆく数多くのメサイアたちの姿も。頭から場内の熱はガンガンに上がってゆく。
  「俺たちと一緒に心中する気あんのかよ!」

『青い忘却』に合わせ、拳を揺さぶるメサイアたち。重厚な音の中から響き渡る、刹那な歌声。痛い衝動が、身体中を駆け巡ってゆくようだ。野獣の咆哮のように荒ぶる演奏。『インナーチャイルド』が場内に作り上げた、理性を破壊し暴れ狂う無法地帯な風景。そして…。
  「罪と狂気」をテーマに描いた『愛憎のファムファタール』が鳴り出した。気持ちを痛心地好く刺してゆく煽情的な旋律の数々が、荒れ狂う轟音の上で踊りだす。「愛おしいほど君を傷つけ、愛して…」。莉希の高ぶる歌声に触れていると、嬉しいくらいに感情が込み上がってゆく。その痛い衝撃が今は恍惚なんだ。
  ゴシックシンフォニアな『An die Freude』へ描いた、高く掲げた両手の花の舞い踊る風景。高揚した想い連れたまま華麗に疾走する『夢人達の旋律』に、誰もが嬉しく溺れてゆく。棘を持った美しさが、たまらなく刺激的で心地好い。
  ドラマとは、狂った恍惚を身に覚えるほどにのめり込むもの。『Sacred Symphony』が連れ出した、激な感情と凪な心の揺れが美しく交錯した物語。Synk;yetが新宿ReNYに綴った「罪と狂気」というドラマから誰も逃れられない…いや、夢中にならずにいれなかった。
 
 「光射す小さなこの気持ちで一緒に乗り越えていこう」。中盤を彩ったのは、今にも壊れそうな感情をそのまま音に、演奏に投影した、悲哀な気持ちを帯びたバラードの『小さなこの木の下で』。白い光に優しく包まれながら歌う莉希。彼は、どんな想いを胸に抱きながら、この哀切な歌を響かせていたのだろうか…。
  すべての罪を浄化するよう優しく歌いあげた、バラードの『finale』。穏やかな光に身を包まれる感覚が、心に嬉しいまどろみを与えてゆく。何故だろう、身体が喜びに震えている。
 
  「この中で朽ち果てるなら…さぁ、今こそ生まれ変わり、光輝くときだ」。激しく挑発的な唯依葉のギターが炸裂。『[Re]:birth』がふたたび連れ出した、熱を持って暴れることが定めと言うべき戦いの場。「ここにある見えない壁をぶち壊せ!」。刹那くも気高き『Transitional Insanity』が導いた、高揚止まらない魂の震え。
  『Psychotic Mechanism』では、会場中のメサイアたちがタオルを振りまわし、右へ左へと激しく踊っていた。絶叫と熱狂を武器に、荒ぶる感情と感情とをぶつけあった『タルペイアの崖』。ヒステリック&ハードな『Unlimited Crucio』が作りあげた、止むことのない折り畳みと逆ダイが続く狂ったパーティ。黒い絶叫に支配された熱は、アンコールへと狂喜のバトンを手渡していった。
 
 「今、心中の空へと飛び立とう」。『Rainy』に合わせ、空をつかむように大きく跳ね続けてゆくメサイアたち。最後の最後に、メサイアたちとの熱い絆を確かめるよう『Messiah』を演奏。「ここに集いしみんな、これからどんな困難にあっても俺たちについてくると誓ってください」「共に手を取って歩んでいきましょう。莉希の言葉を噛みしめながら、楽曲に込めた互いに強く結ばれあう関係性を身や心に感じつつも、首を振り、モッシュや手の花を咲かせながら、メサイアたちは、この日の狂騒劇を身体へ刻み込むように騒ぎ続けていた。
 
 
 Synk;yetが新宿ReNYに作りあげた狂気と狂喜が交錯し続けた物語。彼らが罪から救われる術は、この熱狂を繰り返しながら心を浄化してゆくことなのかも知れない。その穢れなき姿になるまでには、もっともっと先に広がったドラマへ戦いを挑み、共に「罪と狂気」の意味を探らねばならないようだ。
 

TEXT:長澤智典

 

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―セットリスト―
 
『自責ノ園』
『Fake out』
『青い忘却』
『インナーチャイルド』
『愛憎のファムファタール』
『An die Freude』
『夢人達の旋律』
『Sacred Symphony』
『小さなこの木の下で』
『finale』
『[Re]:birth』
『Transitional Insanity』
『Psychotic Mechanism』
『タルペイアの崖』
『Unlimited Crucio』
-アンコール-
『Rainy』
『Messiah』
 
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☆リリース情報☆
Synk;yet 6th single「悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ」
2016.02.03(水)3タイプ同時発売!
 
・限定盤A-TYPE(CD+DVD)
型番:GLSY-5A
発売元:Glendia
販売元:FWD Inc.
価格:1,800円 (税込)
CD TYPE-A収録曲:
01. 「悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ」
02. 「Grimoire」
DVD TYPE-A収録曲:
01. 「悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ」(Music Video)
 
・限定盤B-TYPE(CD+DVD)
型番:GLSY-5B
発売元:Glendia
販売元:FWD Inc.
価格:1,800円 (税込)
CD TYPE-B収録曲:
01. 「悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ」
02. 「Grimoire」
DVD TYPE-B収録曲:
01. 「Grimoire」(Music Video)
 
・通常盤C-TYPE
型番:GLSY-5C
発売元:Glendia
販売元:FWD Inc.
価格:1,500円 (税込)
CD TYPE-C収録曲:
01. 「悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ」
02. 「Grimoire」
03. 「天使が見た世界」
 

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☆Synk;yet MV集「dimension of vision 2」2016年2月8日発売
 
Synk;yetの代表曲を収録したMV集第2弾!
彼らの代表作であるMessiahを含め、現在では入手不可能なMV2を加えた豪華7本立て仕様。
 
2016年1月4日 ライブ会場先行発売
2016年2月8日 店頭発売
型番:GLSY-4
発売元:Glendia
販売元:FWD Inc.
価格:3,780円(税込)
限定:完全限定1000枚
 
DVD収録内容:
01. 愛憎のファムファタール
02. R.I.P.~Requiescat in Pace~
03. Transitional Insanity
04. Messiah
05. Silent Prayer
06. 自責ノ園
07. Unlimited Crucio
 

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☆Synk;yet 完売音源集「recollection of glint」2015年12月16日発売
 
Gt.唯依葉-yuiha-加入以前の今では入手不可能楽曲より構成された本作。全曲リマスタリング仕様。『夢人達の旋律』、『Fake out』などライブではお馴染みの楽曲も収録。彼らを語る上で欠かせない作品となっている。
 
2015年11月18日 ライブ会場先行発売
2015年12月16日 店頭発売
型番:GLSY-3
発売元:Glendia
販売元:FWD Inc.
価格:3,240円(税込)
仕様:12ページブックレット
限定:完全限定1000枚
 
CD収録内容:
01. 夢人達の旋律
02. Temptation
03. Claire
04. Fake out
05. to Mother
06. 硝子に映る夢見る少女、羽根を求めて…
07. Crimson Clover
08. Blessing Rain
09. Predia
 
オンラインショップでのご購入
http://dlonline.ocnk.net/
CDに関する問い合わせ先 E-MAIL:info@starwaverecords.jp
 

 

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☆LIVE情報☆
 
●全国11都市単独公演「悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ」
 
02/4(木)  浦和ナルシス
02/12(金)  浜松Force
02/24(水)  福岡DRUM SON
02/26(金)  心斎橋paradigm
02/27(土)  今池 CLUB 3STAR
03/4(水)  仙台Space Zero
03/5(水)  新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
03/11(金)  高崎club FLEEZ
03/19(土)  札幌SUSUKINO810
03/20(日)  札幌SUSUKINO810
04/5(火)  川崎セルビアンナイト-SEMIFINAL-(俐乃-rino-&唯依葉-yuiha-合同生誕単独公演)
05/3(火・祝) 恵比寿LIQUIDROOM-THE FINAL-
 
5/3(火・祝)
恵比寿LIQUIDROOM
Synk;yet 11大都市単独公演『悦楽の底へ産み落とされし大罪のワルツ』-THE FINAL-
GLENDIA presents
前売 3,000円 / 当日3,500円 (※D代別)
OPEN: 16:45 / START 17:30
出演:Synk;yet
※会場限定特典(未発表音源)をプレゼント

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Official Website
http://synkyet.com/
 

 

 新宿ReNYでは、熱く、濃厚な世界が繰り広げられていました。

次なる舞台へと、道はまだまだ続いてゆきます。

まだ未体験の方は、ぜひともSynk;yetの世界へ、まず一歩…☆