2016年02月03日 (水)
【ライブレポート】”Visual Parade” #2★2016年1月20日(水)TSUTAYA O-WEST★黒百合と影、シビレバシル、DADAROMA、DEZERTが渋谷で激突!
REPORT - 21:18:03
1月20日、TSUTAYA O-WESTにて、ぴあ主催のヴィジュアル系ライヴイベント「ぴあ Presents ”Visual Parade” #2」が開催された。
“Visual Parade”は、担当者が実際にライブに足を運んだ「感覚」を元に、毎回コンセプトを設けてブッキングをしているとのこと。第2回の今回は、黒百合と影、シビレバシル、DADAROMA、DEZERTと、新進気鋭の4組が出演した。ラインナップを見た関係者が「よくもまあここまで攻めた黒いバンドばかりを…」と漏らしたほどの面子だけあり、会場は満員御礼、出入り口の扉が閉まらなかったほどだ。
■シビレバシル
切り込み隊長を務めたのは、同期に頼らないソリッドなバンドサウンドと、変態的なステージングがインパクト大のシビレバシル。「チケットはぴあで買ってな…?」というVo.和泉の囁きと共に幕が開き、1曲目『赤い空にチェーンソー』がアカペラで歌いあげはじめられる。頭に“ぴあ”のロゴが入ったダンボールを被り、イブニングドレス(ご丁寧に胸パット入り)をまとった姿で朗々と歌う和泉の珍妙な姿に会場はざわめいた。
和泉がお立ち台代わりのゴミ箱に飛び乗って、「全員でかかって来い!」と叫び、2曲目は『脳内ブラック・ドール』。泥臭いまでにシンプルなバンドサウンドが、ドロッとしたバンドの雰囲気に合っていて、良い意味で最高に気持ち悪い。こわばった笑みで怖々クラップするオーディエンスの顔が痛快だ。
「シビレバシルやで♡今日はチケットぴあに媚を売ろうと思ってんねん!んふふふふふ♡」
イジリー岡田さながらにれろれろと舌を動かしながら楽しげに語った和泉は、「チケット買うならぴあ!」と、“チケットぴあに媚を売るコールアンドレスポンス”に会場を巻き込んだ。
「僕等ゴミ人間ってコンセプトなんですけど、ゴミ人間はメンバーで僕だけな事に気づいちゃったんだよね!!さあ!ゴミ人間って叫んで僕を気持ちよくさせてよおお!!」
ファンの「ぴあ!」コールが「ゴミ人間!」のシュプレヒコールに変わったところで、『ゴミ人間発狂カリキュラム』が放たれた。キュートな笑顔で軽快なリフをかき鳴らすGt.marya。正統派なイケメン風と見せかけて、ドロドロな低音を轟かせながら暴れ回るBa.ユウト。渋いルックスにエモーショナルなドラミングのギャップがたまらないDr.rei。そして和泉は言わずもがなだ。豊か過ぎる個性がステージ上でぶつかり合い、それに煽られるようにモッシュが巻き起こる。
そしてライブは『未練の雨』、『lost endroll』とメッセージ性の強いミドルチューンのセクションへと進む。つけまつげがとれて化粧がぼろぼろ、イブニングドレスは脱げ掛けて片乳が見えてるような状態で、むせび泣くように歌い上げる和泉。会場全体がなりふり構わない渾身の歌唱に飲まれた。
「バレンタイン…やねんな…。バレンタインプレゼントにポンポン持ってきたねん♡ふふふ…。」
ニヤニヤと笑う和泉のMCと共に会場にメンバー手作りのポンポンが配られ、『トウメイホラフキン』へ。ポンポンを振り回すフロアの光景がなんともシュールだ。O-WEST でポンポンを振り回すヴィジュアル系なんて前代未聞じゃなかろうか。
ラストは『二重人格』。和泉の歌声やmarya の泣きのギターソロが映える、メロディが綺麗な所謂歌モノだ。シビレバシルというバンドのサウンドの旨味を焼き付ける様な同曲に、オーディエンスは大きなコールで応える。1発目からやりたい放題ブチかまし、待ち受ける3バンドへ綺麗にバトンを繋げる様なステージだった。
★セットリスト
- 赤い空にチェンソー
- 脳内ブラック・ドール
- ゴミ人間発狂カリキュラム
- 中野駅北口パラサイト
- 未練の雨
- lost endroll
- トクメイホラフキン
- 二重人格
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■DADAROMA
1月12日に一周年記念ワンマンを新宿BLAZEにて成功させ、更に注目度を増しているDADAROMA。この日の彼等は多種多様なハードチューンで会場を盛り上げ、バンドの勢いをそのまま見せつけるようなステージを繰り広げてくれた。
1曲目に放たれたのはキラーチューン『「溺れる魚」』。殴り殺さんばかりのドラムアタックを合図に、轟く爆音。シビレバシルが作り上げた空気感を全て音で塗り替えるかのように、DADAROMAの時間が幕を開ける。
“さあここからハードチューン祭り本番だ!”と言わんばかりに2曲目は『アパシー・ヒューマン』。ジェントの要素なども盛り込まれた本格的なメタルへのアプローチと、キャッチーな歌メロのバランス感覚には恐れ入った。そして「あなたは私の物よ♪」のコールが印象的な『モルヒネ#2』ではフロア全体が踊り狂って、会場の熱が更に増していく。それでも猛攻は止まらず、4曲目は『ハイアンドロー』。艶やかなルックスからは想像出来ないプレイで、漢前なギターヒーロー像を描きだすGt.太嘉志。人間離れしたステージングで異彩を放ちながら、ゴリゴリに弾き倒すBa.朋。ダイナミックなフォームのドラミングが、華やかさも実力も同世代トップクラスのDr.裕介。そんなド迫力の演奏陣を、マイク映えする鮮やかなハイトーンと歌唱力で率いるVo.よしあつ。DADAROMAのカッコよさが前半戦だけでも十分に伝わったことだろう。
「今日はこんな素敵なイベントに出していただいてありがとうございます。今日はいっぱい曲をやりたいのでサクサクいきます。」
清々しいぐらいに簡潔なMCで、楽曲とライヴへのストイックさを感じさせつつ、『腐ったミカンの方程式』へ。シーケンスと生音が綺麗に重なった分厚い音の塊をぶつけられ、ファンが上手に下手にと駆け回ってモッシュ!そこから間髪入れずにDADAROMA流のダークなダンスナンバー『KIDS WAR』、そしてラストナンバーの『「ルシッド・ドリーム」』が叩き付けられた。よしあつが狂ったように笑いながら「走ってねえ奴にタックルしちまえ!」と絶叫し、モッシュ・ヘドバンの地獄絵図を描きだす。この日のイベントの音の迫力と激しさのナンバーワンはDADAROMAが間違いないだろう。
★セットリスト
- 「溺れる魚」
- アパシー・ヒューマン
- ハイアンドロー
- 腐ったミカンの方程式
- MONEY
- KIDS WAR
- 「ルシッド・ドリーム」
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■黒百合と影
ヴィジュアル系の王道をひた走る様な、攻撃的なバンドばかりがしのぎを削る、名門事務所Ains。そこから当イベントに殴り込みをかけてきたのは、黒百合と影だ。
転換時に雰囲気たっぷりに物悲しいクラシックを流し、登場前からの抜かりのない演出には流石の一言。1曲目は「とおりゃんせとおりゃんせ」のメロディが怪しく響くハードチューン『「便所」』だ。赤いライトと不気味なギターリフが渦巻く中で、ゴミ袋を被って赤いランドセルを背負ったVo.烏名鳴(からすな めい)が頭を振り回して暴れ狂う。続く『チヒロちゃんの眼球舐め』では烏名が“卑猥”と書いた習字の紙を振りかざし、弦楽器も一気に前に飛び出してフロアの熱を煽った。
「小学校は処女だから美味しいんです。小学生食べよう…!」という烏名の危うい曲フリから、3曲目は『ぺど。』 。黒百合と影はこのイベント唯一のツインギターのバンドなのだが、そのことが効果的に機能していると感じられた。同曲でも、不安感を煽るギターサウンドが楽曲のフックとなっていた。
中盤もとにかくアッパーに『絵の具まみれ』『ヨコハマメリー。』を畳み掛け、ノンストップでメガホンを使ったパフォーマンスがインパクト大の『ギチギチ』へ。同曲中に「ギターソロなんて観るもんじゃありませぇーん」とGt. こよみの前に立ちはだかったり、『断崖地獄喉輪落とし』でステージ中央に寝そべったりとやりたい放題の烏名。挙げ句の果てには「こんにちはー。すわってくれませんかねえ」とオーディエンスを座らせてヘドバンさせ、客席に降りていて行ってマイクオフでMCをするなど、フロアまで巻き込んで楽しむ手腕はお見事!
ラストの『「未遂」』ではモッシュで会場が揺れた。ステージセンターにフロント4人が集まるパフォーマンスと、総力戦でぶつけられるハードなバンドサウンドが五感全てに訴えかけてくる。
この日の出演バンドの中で、“ヴィジュアル系というジャンル”に一番まっすぐ向き合っているのは彼等だと筆者は感じた。ヴィジュアル系ライヴの楽しさを再確認させてもらったファンも少なくなかったのではないだろうか。
★セットリスト
- 「便所」
- チヒロちゃんの眼球舐め
- ペど。
- 絵の具まみれ
- ヨコハマメリー。
- ギチギチ
- 断崖地獄喉輪落とし
8.「未遂」
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■DEZERT
大トリを飾ったのは、6月にZepp Tokyoでのワンマンライヴを控え、今飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を遂げているDEZERTだ。
「息してる?」
千秋の吐き捨てるような問いかけから、1曲目はハードチューン『「不透明人間」』。初っ端からフロア最後方までモッシュが巻き起こり、この日1番の熱量が会場を包む。繊細なニュアンスも綺麗に歌い上げるクリーンと、血を吐く様なグロウルを行き来する千秋のヴォーカル。そこに楽器隊の音がぶつかり合うように混ざり合い、激しいカオスへと誘われていく。
機材トラブルで音が出なくなったGt.Miyakoに、千秋が傍若無人にマイクを投げつける一幕がありつつ、「これは強い殺意殺意殺意…」のキラーフレーズでおなじみの『「殺意」』、更に『「遺書。」』と攻撃力抜群の曲群が続く。そして『肋骨少女』へ…、と思いきやワンフレーズ歌った辺りで千秋が歌うのをやめて終了。どうやら今の彼のご気分にこの曲はそぐわなかったらしい。そのまま何食わぬ顔で新曲『「君の子宮を触る」』が放たれる。Miyakoのウワモノとバッキングをバランスよくこなすノイジーなギター、Ba.SaZのうねりまくるベースライン、Dr.SORAのガツンと存在感を放つドラムプレイ。そして胸をかきむしるような切ない歌メロ。同曲にDEZERTというバンドのもうワンステージ上の姿を見たのは筆者だけではなかったはずだ。
『チョコレートクリームチェーンソー』では、千秋に楽器を奪い取られたSaZやMiyakoが客席にダイブ!ベースをかき鳴らすヴォーカリストとドラマーしかステージ上にいないという、なんとも奇妙な光景が出来上がるのはDEZERTならではだろう。更にフロアがウォール・オブ・デスでぶつかり合う『包丁の正しい使い方〜終息編』をブチかまされ、会場はすっかりハードモートへ。千秋もヒートアップしたのか、「僕は声出すけど、どうします?」と挑発的に煽りながら、ノリの悪いオーディエンスに水の入ったコップを投げつける。そのまま『doze.』『「教育」』を畳み掛けられ、切り刻むようなディストーションサウンドが印象的な『切断』が放たれる頃には、O-WEST はDEZERTに完全に掌握されていた。
そして、ドロドロに崩れたメイクで語りかけるように歌う千秋がトラウマものの恐ろしさだった『「宗教」』、『「擬死」』。と、ダウナーなナンバーが披露された後、ラストは『包丁の正しい使い方~思想編~』。同曲でひたすら激しく暴れ狂って締めくくられるのかと思いきや、まだ曲中なのにも関わらず千秋がさっさとステージからはけてしまった。楽器隊のサウンドだけが暫く空しく響き、挙げ句の果てに全員が演奏を放棄して強制終了。呆然とする会場だったが、幕が閉まると自然と拍手が巻き起こった。DEZERTのライヴに、予定調和は一つもない。いつだってその日だけのホンモノが披露されるのだ。
★セットリスト
- 「不透明人間」
- 「殺意」
- 「遺書。」
- 「君の子宮を触る。」
- ストロベリー・シンドローム
- 大塚ヘッドロック
- チョコレートクリームチェーンソー
- 包丁の正しい使い方~終息編~
- doze.
- 「教育」
- 「切断」
- 「宗教」
- 「擬死」
- 包丁の正しい使い方~思想編~
”Visual Parade”は、#3の開催に向けてのオファーも絶賛進行中とのこと。
今度はどんなバンド達がしのぎを削りあうのだろうか。続報を心待ちにしよう。
- TEXT:高崎 光
- PHOTO:坂口 正光
“Visual Parade” オフィシャルサイト http://visualparade.jp
“Visual Parade” オフィシャルtwitter https://twitter.com/Visual_Parade
“Visual Parade” オフィシャルfacebook https://www.facebook.com/visualparade/
“Visual Parade” オフィシャルInstagram https://www.instagram.com/visualparade/
2016年02月01日 (月)
【ライブレポート】関西V系シーン、2016年の幕開け!! FEST VAINQUEUR、少年記、Purple Stone 競演!!
REPORT - 11:23:29関西に拠点を置くレーベルCRIMZONの4回目となる主催イベント
「VISUAL GRAFFITI vol.4」が1月31日(日)、umeda AKASOにて開催された。
日本屈指のV系DJ浅井博章氏のナビゲートのもと4回目の開催となる今回は、ゲストにFEST VAINQUEURを迎え、少年記、Purple Stoneの関西最注目バンド3者による競演となった。
満員のお客さんの期待が膨らむ中、イベントのオープニングアクトとして登場したのは
この日、本格始動を迎えた-真天地開闢集団-ジグザグ。
独自の世界観溢れるパフォーマンスで先陣をきり、オープニングアクトながら衝撃的な印象を残した。
彼等の禊(ライブ)は関西を中心に非常に話題を呼んでおり、体感必須だ。
そしていよいよ幕を開けた3マンイベントは、
Purple Stoneのロック感溢れるパフォーマンスで会場は初っ端から熱を帯びる。
「踊れっ」と煽るkeiya(Vo)の声を合図にフロアは激しく揺れ動く。
『回転木馬』『BLAME』『甘酸っぱいマンゴー』と、ライブキラーチューンを次々と繰り出し、
激しく煽り続けるバンドとフロアが一体となり、会場全体を紫に染めた。
つづいて登場したのは関西の雄、FEST VAINQUEUR。
『会いたかったぞ大阪!!』HAL(Vo)の掛け声と共に、バンドとオーディエンスは一体感で包まれると、
冒頭から『奇跡の翼』『Heroine』『GLORIA ~栄光のキズナ~』とアグレッシブなパフォーマンスで畳みかけた。
関西ヴィジュアル界を牽引するFEST VAINQUEURの生み出すエネルギーで
会場の熱気をどんどんと引き上げながら、ラストナンバーの『現代的疑惑都市”DOUBT!”』まで
圧倒的なパフォーマンスで会場のテンションをまとめあげた。
トリに登場は少年記。幕が開くと、コウ(Vo)を包むような4人のフォーメーションで現れ、
登場シーンから歓声が会場に響き渡る。
オープニングナンバー『WEAKNESS_MY BLOOD』で会場全体を深紅に染めると、
『ライカランナ』『ガゼルバベル』『BANG ME』と更に激しくかき立てる。
後半も『STARLIGHT SNOW』を皮切りに、まるでストーリーが展開してゆくような
世界観溢れるパフォーマンスで会場中を魅了してイベントは幕を閉じた。
イベントの最後には、DJ浅井博章氏の呼び掛けのもと
この日出演したバンドメンバーがあらためてステージへ揃い、
2016年の関西V系シーンの躍進を予感させた!
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<VISUAL GRAFFITI vol.4>
2016年1月31日(日) @umeda AKASO SET LIST
-真天地開闢集団-ジグザグ (O.A.)
01.十六夜
02.愛シ貴女狂怪性
03.繋がりたい
04.悪霊退散
05.ぽんぽこたぬき合戦
Purple Stone
01.回転木馬
02.パラダイス・ダンス
03.どこか遠くへ
04.Hysteric Lady
05.BLAME
06.sakura.
07.アドレナリンBANG!
08.甘酸っぱいマンゴー
FEST VAINQUEUR (ゲスト)
01.奇跡の翼
02.Heroine
03.GLORIA ~栄光のキズナ~
04.LIONHEART~lifetime wish~
05.GONG!!
06.Paranoia
07.ヴァレンシアとヴァージニア
08.RUSSIAN ROULETTE
09.現代的疑惑都市”DOUBT!”
少年記
01.WEAKNESS_MY BLOOD
02.ライカランナ
03.ガゼルバベル
04.BANG ME
05.STARLIGHT SNOW
06.窃盗
07.宵花火
08.ココロモンスター
-真天地開闢集団-ジグザグ オフィシャルサイト
http://zigzag.asia
Purple Stone オフィシャルサイト
http://purplestone.jp
FEST VAINQUEUR オフィシャルサイト
https://www.festvainqueur.com
少年記 オフィシャルサイト
http://shounenki.jp
2016年01月28日 (木)
【※びじゅなびオリジナルライブレポート※】LIPHLICH単独公演ツアー ウロボロス-尾-:2016年1月24日(日)赤坂BLITZ
REPORT - 21:00:30●LIPHLICH単独公演ツアー ウロボロス–尾–
2016年1月24日(日)赤坂BLITZ
日本列島を大寒波が襲ったこの日、赤坂BLITZにてLIPHLICHの単独公演が開催された。ドラマーの脱退から約一ヶ月。その姿をどのように変化させ、見せてくれるのか。ほのかな緊張と期待感を抱いて、場内へ入る。
やはりファンも同じ気持ちだったのではないだろうか。一見なごやかに、しかしその目は「LIPHLICH」と大きくバンド名が記されたステージ上のスクリーンを、これから何が起こるのか、ドキドキと見守っていたように見えた。
SEが高らかに鳴り響き、ゆっくりと照明が落とされる。真っ暗闇のステージにスポットが照らされると、そこには既にメンバー3人の姿があった。
「今日、1月24日からLIPHLICHにドラマーとして小林孝聡(こばやしたかあき)が加入する事になりました。ライブの終わりに言うかどうか、というのも少し考えたんですが。やはり一番最初に今日という日を4人のLIPHLICHとして皆さんに見て楽しんで帰って頂きたいので、最初に発表しようと思いました。
今日、1月24日から僕らLIPHLICHはこの4人で、どこまでも飛んで行こうと思います。そして、今日から始まる「ウロボロス–蛇であれ 尾を喰らえ–」、この曲から始めさせて頂きたいと思います。──“夜間避行”。」
スクリーンは真っ赤なバックに時間がカウントされている。伸びやかな久我新悟(Vo)の声が浮遊感と共に会場を包み込むと、LIPHLICHという生き物が夜空へと羽を羽ばたかせて飛び立ってゆくようだ。まるで飛んでいるかのように、両手を広げて歌う久我。
曲が終わると同時に、カウントがぴったり4:44を表示する。低音が響いてスタートしたのは「うねり」。定位置にいたドラム以外の3人が、和服の裾と袖を翻しながら踊り、奏でる。3曲目の「ウロボロス」はパワフルなロックチューン。重厚感のあるドラミングに、オーディエンスも拳で応戦する。
「全12曲、すべてが新曲のアルバムはまだ出ていないのですが(発売は2月10日)、皆様一人一人に新しいLIPHLICHの世界をどっぷりと楽しんで頂きたいと思います。是非今夜は楽しんでいって下さい!」
そう、しょっぱなにプレイされた「夜間避行」を除き、「うねり」から終盤までの12曲全てが新作からの新曲、という事になる。
「露天商通りの道理」は、レトロな空気感と体を動かさずにはいられないグルーヴが絶妙な1曲。ハッとするようなエッジのきいたフレーズ、生声でのカウント、小林孝聡(Dr)は新加入とは思えないほど馴染んで、生き生きとプレイしているのが印象的だ。フロアの熱も徐々に上がってゆくのがわかる。
「次は皆さんの声を頂きましょう!ブリッツ!」
「slow virus infection」ではLIPHLICH流のヘヴィネスにドキドキさせられ、続く「RACE」では点滅する照明に鐘の音、デンジャラスなハード感に鼓動が早くなる。
一転して哀愁たっぷりのアコースティックギターの音色が降ってくる。始まったのはドラマティックな「一輪」。新井崇之(Gt)のギターは変幻自在に、たくさんの表情を惜しげも無く見せてくれる。ここでは、なめらかで情感たっぷりのフレーズを披露、ステージに大きな極彩色の花を咲かせてみせた。
久我「活動して6年目に入っていますが、最近良く思うんです。LIPHLICHをやっているという事は、僕の人生からすればその年月というのは半分にも満たないんですが…それでも今、自分がこうやって一日一日、生きてライブをして、音を作ってライブをして、という繰り返しをしているっていう事自体が、まごう事なき自分の人生だなって思っていて。そこからそういう…人生は旅のようなものだなあ、という思いを込めて作った1曲を次に送りたいと思います。」
ここで披露されたのは「旅」。
久我はアコギを手にし、新井のロックンロールなフレーズが溢れ出す。まるでアメリカ映画のワンシーンを思い起こさせるようなメロディと、4人の音の融合が心地良く響く。
跳ねるリズムが体を熱くさせる「シャルルの憂鬱」、フロアを一斉にジャンプさせた「GOSH!」。
そして「不条理、痛快、蛇の歌意」が始まると、色とりどりのライティングが場内を包む。ステージの端から端まで、その色気を存分に振り撒く久我。コールアンドレスポンスと共に、長い帯をたなびかせてダイナミックなフレーズをはじき出す進藤渉(Ba)。その振る舞い、一つ一つの挙動の美しさに目を奪われるが、もちろんそのベースプレイも極上だ。
「次にお送りする曲は、凄く僕にとって大事な曲になるだろうな、って思っています。このライブとアルバムのテーマにしている「ウロボロス」っていうのは、一匹の蛇が自分の尻尾を飲み込んで、ひとつの円になっている象徴的な図の事を指すのですが、そこには「破壊と創造」とか、もしくは永遠に回り続ける永続性とか無限ループとか、そういったいろんな意味が込められているんですね。
その中で僕も一日一日、例えば今日に至るまでの繰り返しがあって、みんなもそれぞれしょうもない日もあれば、楽しい日もあるだろうし。そういう繰り返しを僕らは生きている限り、やめられないんですよね。それをLIPHLICHっていうものに対しても僕は凄く感じていて。しょうもない一日もあれば、反対に今日みたいにとても多幸感に溢れる一日があったり。そんな風に、これからも永遠にLIPHLICHが続いていって欲しい、という願いを込めて作った曲です。」
こんな前置きと共にミラーボールが輝き、ふんわりと優しいイントロからスタートした「リインカーネーション」。そのMCの内容に沿うように、柔らかな幸福感が生み出されてゆく。様々な繰り返しを重ねてLIPHLICHは続いてゆくだろう、きっとそうに違いない。そんな安心感さえもたらすメロディが場内を、身体を、包み込む。
そして次に披露された、早く激しく、攻撃的なLIPHLICHを存分に突きつけた「SHOW MUST GO ON」で、「蛇であれ 尾を喰らえ」からのメニューはいったん終了する。
MCで久我は「3人+“手伝ってくれる人”でワンマンの本編をやり、アンコールで加入発表をするのは違うなと思った。」と伝え、「LIPHLICHの60曲程の全曲を叩けるようになって来てくれた小林孝聡は、尊敬出来るドラマーです。」とも語った。
4人のLIPHLICH、ここからはいよいよ慣れ親しんだ楽曲達が投下される。
ロックテイスト全開チューンの「SEX PUPPET ROCK’N’DOLL」が始まると、拳が上がり、フロアの熱が一気に沸騰する。「G a Grolia Be Bee Bamboo oh Yes!」のオーディエンスとのかけあいは、もうすっかりお馴染み。跳ねてブリッツを揺らした「グロリアーバンブー」。
フロア中がヘドバンの嵐となった「フェデリコ9」。休む間もなくて手を回してあげて跳ね続けるファン。
「ラスト!!!」高速リズムでスタートした「MANIC PIXIE」に、場内はカオス、ステージ上のメンバーはやりたい放題。久我は、ステッキをまるで指揮棒のように振り回して舞台を闊歩していた。まるで映画俳優のように。
──止まないアンコールの声。キュートなSEと共に、ゆっくりとステージに登場したのは進藤 渉。
「アンコールありがとう。小林孝聡が加入した記念の日。その日を汚すSHOWをします。」
不敵な笑みと共に、手にした大扇子をその身体の前に広げて隠し、SEに合わせて舞い、衣装の着物を少しづつ脱いでゆく。
「私はこれから本領発揮。最後まで楽しんでいってね。」
優しい声でそう告げると、その脚線美へファンの目を釘付けにさせながら、一瞬ステージから消える。再度ステージ袖から踊りながら登場した進藤は、とてつもなくスレンダーな黒い衣装を纏っていた…その手足のなんと長く美しい事か!胸元を客席に向かって開けてみせると、会場からは悲鳴のような歓声が上がる。
メンバー全員が新衣装で登場し、今回の全てのテーマもある「ウロボロス」を再度プレイ。そして「今日のラストはやっぱり、僕らの“人生というSHOW”は永遠に終わらない、という意味を込めて。」という久我の言葉と共に「SHOW MUST GO ON」を再投下。フロア中に拳が上がり、メンバーとオーディエンスの放出した熱が赤坂BLITZを震わせた。
「今日はどうもありがとう。2年前に絶対に解散はしないって宣言したこのステージには、特別な思い入れがあります。ここをスタートとして2016年、これからもよろしくお願いします!」
そんな挨拶と共に一度は捌けたメンバーだったが、これでもかと続くアンコールの声に再び応える。
「何も決めてなかったけど、やりたくなったのでやります!」
セットリストには無いアンコール。
「今日は本当にどうもありがとう。」始まった曲は「夜間避行」。
この日の1曲目に既に披露されていた楽曲だが、そのスタート時とは全く印象が違っていた。
再プレイされた「SHOW MUST GO ON」でも感じたが、同じ曲をなぞるようなパフォーマンスを、彼等は一切しない。
その瞬間瞬間を、LIPHLICHはちゃんと「生きて」いるのだ。
艶やかさと剛健さを備え、生身の体温の熱さを感じさせるロックバンドであると同時に、気さくでラフな表情も飾らずに見せる大らかさも持ち合わせ──そして更に力強く生まれ変わったLIPHLICH。
「バンドは生き物だ」とは良く言われるが、正に“LIPHLICH”という名の生き物がその音と共に見せたロックショウは、息つく間もなく、飽きさせる事もなく、濃密濃厚なショウであった。
アルコールなど摂取していないのに、ほろ酔い気分にさせられた一夜。
ここから、久我新悟・新井崇之・進藤渉・小林孝聡の4名で生成された“LIPHLICH”が大空へと飛び立った夜となった。
TEXT:びじゅなび
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●OFFICIAL WEB
■2016年2月10日(水)RELEASE「蛇であれ 尾を喰らえ」Type A DVD収録「ウロボロス」MV フル公開!■
■2016年2月10日(水)RELEASE「蛇であれ 尾を喰らえ」より、Type B DVD収録「不条理、痛快、蛇の歌意」MV SPOT公開!■
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□■□■□■RELEASE情報■□■□■□
2016年2月10日(水)RELEASE
NEW ALBUM『蛇であれ 尾を喰らえ』
『蛇であれ 尾を喰らえ』(TypeA/DVD+CD)
【CD収録曲】
1.うねり
2.ウロボロス
3.slow virus infection
4.露店商通りの道理
5.一輪
6.GOSH!
7.不条理、痛快、蛇の歌意
8.旅
9.シャルルの憂鬱
10.RACE
11.リインカーネーション
12.SHOW MUST GO ON
【DVD】
ウロボロスMUSIC VIDEO
【価格】¥3,000(税別)
[品番]MSLP-031
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『蛇であれ 尾を喰らえ』(TypeB/DVD+CD)
【CD収録曲】
1.うねり
2.ウロボロス
3.slow virus infection
4.露店商通りの道理
5.一輪
6.GOSH!
7.不条理、痛快、蛇の歌意
8.旅
9.シャルルの憂鬱
10.RACE
11.リインカーネーション
12.SHOW MUST GO ON
【DVD】
不条理、痛快、蛇の歌意MUSIC VIDEO
【価格】¥3,000(税別)
[品番]MSLP-032
——————–
『蛇であれ 尾を喰らえ』(TypeC/CD Only)
【CD収録曲】
1.うねり
2.ウロボロス
3.slow virus infection
4.露店商通りの道理
5.一輪
6.GOSH!
7.不条理、痛快、蛇の歌意
8.旅
9.シャルルの憂鬱
10.RACE
11.リインカーネーション
12.SHOW MUST GO ON
[Bonus Track]
13.SKAM LIFE
14.聖俗街
15.7 Die Deo
【価格】¥2,000(税別)
[品番]MSLP-033
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□■□■□■OTHER ONEMAN■□■□■□
LIPHLICH単独公演ツアー ウロボロス–蛇であれ 尾を喰らえ–
2月13日(土)横浜BAYSIS
2月14日(日宇都宮HEVENSROCK
2月20日(土)千葉LOOK
2月21日(日)浦和ナルシス
2月27日(土)大阪RUIDO
2月28日(日)神戸VARIT
3月5日(土)京都MUSE
3月6日(日)名古屋ell.SIZE
3月12日(土)岡山IMAGE
3月14日(月)姫路ベータ
3月19日(土)高崎FLEEAZ
3月20日(日)仙台HOOK
3月26日(土)福岡DRUMSON
3月27日(日)広島Cave-Be
開場17:00 開演17:30
前売り4000円 当日4500円
[プレイガイド]
チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスにて発売中
(問)
横浜/宇都宮/千葉/浦和/高崎:DISK GARAGE 050-5533-0888
大阪/神戸/京都/姫路:夢番地大阪 06-6341-3525
岡山/広島:夢番地広島 082-249-3571
仙台:GIP 022-222-9999
福岡:BEA 092-712-4221
名古屋:キョードー東海 052-972-7466
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LIPHLICH単独公演ツアー ウロボロス–頭–
2016年4月2日(日)川崎CLUB CITTA’
開場16:45 開演17:30
前売り4500円 当日5000円
[プレイガイド]
チケットぴあ、ローソンチケット、イープラスにて発売中
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888
——————-
□■□■□■OTHER ONEMAN■□■□■□
2016年8月2日(火)TSUTAYA O-WEST
進藤渉 Produce公演
「ジェンダーフリー」
[CAST]LIPHLICH
OPEN18:00/START18:45
前売 ¥4,000/当日 ¥4,500(D代別)
[プレイガイド]
・先行Aチケット
2016年4月2日(土)川崎CLUB CITTA’
ウロボロス–頭–公演物販ブースにて発売
・Bチケット※調整中
(問)TSUTAYA O-WEST
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□■□■□■イベント情報■□■□■□
■2016年1月30日(土)名古屋SPADE BOX
新春!! スペシャル東名阪ツアー 「仁義なき響宴」
[CAST]LIPHLICH/NoGoD/アルルカン
■2016年1月31日(日)OSAKA MUSE
新春!! スペシャル東名阪ツアー 「仁義なき響宴」
[CAST]LIPHLICH/NoGoD/アルルカン
■2016年2月7日(日)高田馬場PHASE
「This is a 大計画 2」
[CAST]LIPHLICH/えんそく
■2016年2月23日(火)EDGE Ikebukuro
SALIVAN主催 東名阪ツアー 『All of you i trust…』
[CAST]LIPHLICH/SALIVAN/えんそく/ソニックデスモンキー/他
■2016年3月9日(水)新宿ReNY
凛 LAST LIVE 「the end of corruption world」 ~KISAKI 40TH BIRTHDAY EVENT~
[CAST]LIPHLICH/凛/JILS(GUEST)/GOTCHAROCKA/UCHUSENTAI:NOIZ/Jupiter/AvelCain/黒百合と影
■2016年4月24日(日)川崎CLUB CITTA’
百花繚乱~Extravaganza for second bloom~Ver.勿忘草
[CAST]LIPHLICH/えんそく/マイナス人生オーケストラ/乙女国家/THE BLACK SWAN/NoGoD/SEX-ANDROID/heidi./ADAPTER。/Mix Speaker’s,Inc./Bio-造形するバイオ-/ケミカルピクチャーズ/andmore
■2016年5月7日(土)名古屋ell SIZE
百花繚乱~Extravaganza for second bloom~Ver.杜若
[CAST]LIPHLICH/えんそく/マイナス人生オーケストラ/乙女国家/THE BLACK SWAN
■2016年5月22日(日)OSAKA MUSE
百花繚乱~Extravaganza for second bloom~Ver.桜草
[CAST]LIPHLICH/えんそく/マイナス人生オーケストラ/乙女国家/THE BLACK SWAN/The Benjamin
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