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2023年07月03日 (月)

【ライヴレポート】<fuzzy knot × キズ LIVE 亞>2023年6月28日(水)東京・恵比寿LIQUIDROOM◆

REPORT - 13:19:16

47日、fuzzy knotとキズの2マンライブが発表された。公演タイトルは「亞」。この珍しいネーミングを発案したのは、キズの来夢だった。

 

fuzzy knotの田澤(孝介)さんと楽屋でミックスボイス(※地声と裏声の中間の声質で発する声)の話題になったとき、“あいうえお”を全部“あ”で表現するのがミックスボイスなんだ、という話になりまして。2人の共通点である“亞”をタイトルにするのがいいんじゃないかと思いました」。

 

提案を受けた田澤は、潔くも意味深い「亞」に思いを巡らせた。

「このタイトルは“シンプルな音でぶつかり合いたい”という意味にも受け取れたし、そもそも“亞”には十字架が入ってるでしょ? 

十字架のように“僕たちの音楽が、誰かの救いや癒しになっていたらいいよね”とか、いろんな意味や想いがこもっていると思った」。

 

そもそも両者の音楽性は、いい意味で全然違っている。fuzzy knotShinjiはキズに対して「どの曲にも一貫した空気感があって、本当に筋の通った音楽だと思う」と評している。

一方、キズのきょうのすけは「楽曲やMVごとに、いろんな色を出せるのがfuzzy knotの個性だと思います」と、fuzzy knotYouTubeチャンネル内でお互いの印象を語っていた。

 

そして628日、待ちに待った2マンが東京・恵比寿LIQUIDROOMで開催された。満員の場内には、それぞれのバンドTを着た観客が集結していた。

開演時間になり、フロアの明かりが消えて、薄暗く照らされたステージにreikiGt)、ユエ(Ba)、きょうのすけ(Dr)が姿を見せた。

そして、フードを深く被った来夢(Vo, Gt)がステージ中央に立つと、フロアから無数の腕が上がった。来夢がジェスチャーで手拍子の合図を送る。

ドン、ドン、ドン。高鳴る心臓の鼓動を表すように、大きなクラップが起きた。1曲目「蛙-Kawazu-」の演奏が始まると、一斉にヘドバンをし、高くジャンプする観客。

会場の後方からその様子を眺めていると、まるで寄せては返す大きな高波に見えた。徐々にではなく瞬殺で、キズはその場の空気を掌握した。

 

 

 

「蛙-Kawazu-」の演奏が終わると同時に、reikiが片足を思い切り高く上げて、次曲のギターリフを弾いた瞬間、来夢が自分の頭に手を置いた。

そしてフードをバッと脱いで、鋭い眼光で睨みつけ「やんぞ、てめーら!」と檄を飛ばし「地獄」へ。

激情的なジェットコースターは、さらに勢いを加速していく。Cメロを歌い、フロアに明かりがつくとみんなが天に指を伸ばしていた。

息つく暇もなく冒頭2曲で圧倒すると、ハッと我に帰ったかのように、観客がメンバーの名前を叫んだ。

続く3曲目「ストロベリー・ブルー」は、ドラム主体のタイトなサウンドで、音の装飾をつけず、シンプルさでも勝負できるバンドであることを証明しているようだった。

来夢が腕をまっすぐ伸ばした。「さあ、行こうあの場所へ ついてきな楽園へ」。まるでこちらを手招きするように深みのある声で呼びかけている。

「さあ、こっちへ さあ、こっちへ さあ」。ここから、さらに我々はキズのブラックホールへ吸い込まれていった。

 

一瞬、会場の明かりが消えてステージが青く染まり、場内の端々から雨音が流れた。来夢はアコースティックギターを手に持ち「銃声」の演奏を始めた。

 

 

 

愛と哀を孕んだ音の一撃一撃が、観る者の心を深く打ち抜いていく。アウトロを演奏するとき、一灯のオレンジ色のライトがreikiを照らした。

まるで雨が上がり、温かい夕焼けに包まれているような、息を呑むほど綺麗な光景だった。

続いて来夢がアコギの弦を掻きむしり、「俺と一緒に死んでくれるかー!」と声を上げて「平成」へ。

Mr. BiG MONSTER」「ELISE」と曲を重ねていき、熱気は最高潮を迎える。

終盤になり、来夢がマイクを握った。「今から、とんでもない先輩を呼ぼうと思います……田澤さんです!」と紹介されて大勢の拍手に包まれる中、田澤が登場。

 

 

 

「もちろん、あの曲をやります」と言って、自身のYouTubeチャンネル内の、ゲスト・ヴォーカリストを迎えてキズの楽曲をセッションする「一撃」で田澤とコラボした「夢」を披露。

田澤の空を突き破るようなハイトーンボイスと、来夢の叙情的な歌声が、力強くも壮大な演奏の中で見事に結びつく。

終演後、来夢が「実は『夢』という曲は僕が10代の頃から歌ってる曲なんですが、あんなに楽しく歌えたのははじめてだったかもしれないです」とツイートしたように、この日のハイライトの1つだった。

 

 

 

 

 

いよいよ、キズのターンが最後を迎えた。彼らが選んだラストソングは「鳩」。

メンバーは背後に眩いライトを背負いながら「僕のことは死んでしまったと思って 最低な男だったと忘れてくれ」「僕ひとりで充分 痛みを背負うのは」と歌ったとき、別れを告げて明日へ進むための、キズなりのこれ以上ないロックアンセムだと思った。

いつだってキズの音楽は、リスナーの闇も痛みも吸い込んで、ちゃんと前へ進んで行けるように光を照らしてくれる。

演奏を観ているみんなが、煌煌とした目をしていた。最後は3人がきょうのすけの周りを囲み、せーので演奏を締め、4人は笑顔でステージを後にした。

 

 

 

 

続いて登場したのはfuzzy knot。青く薄暗い照明のもと、サポートメンバーの工藤嶺(Ba)、与野裕史(Dr)が姿を見せて、少し遅れて田澤(Vo)とShinjiGt)もステージイン。

ピアノの切ない旋律と綺麗な管楽器が重なった、聴きなれないサウンドが会場を包んだ。「あれ? これは何の曲だろう?」と思ったら、まさかの1発目に新曲。

曲名は明かされていないが、去年リリースしたミニアルバム「BLACK SWAN」の「哀歌 -elegy-」とも「Inferno」とも違う、壮大で艶やかさを纏ったミディアムナンバーだった。

 

美しいムードを創出したところで、田澤が「さあ、楽しんで行こうぜ! 頭を振れー!」と叫んで「#109」を炸裂。

観客が激しくヘドバンをして、拳を上げて、コール&レスポンスをしている。これまで観てきた彼らのライブは、コロナ禍で観客は声出し禁止、激しい動きも制限されていたので、それだけで不思議な光景だった。

マスクの着用も自由になったため、中には笑顔でライブを観ている人もいた。

「ああ、そうか。これが本当のfuzzy knotのライブだったんだ」と嬉しくなり、思わず上唇を噛み締めた。

 

 

 

 

田澤が笑みを浮かべてマイクを握る。「fuzzy knotは、なんと8ヵ月ぶりのライブです! 最後にライブをやったのは、まだガイドラインが厳しい頃で、俺らのファンの人たちは、今日初めてfuzzy knotのライブで声を出せます!」。その言葉に大きな拍手と歓声が返ってきた。

「キズがキズらしいライブをやってくれたから、fuzzy knotfuzzy knotらしいライブをやろうと。俺らの音楽はいろんな方向の、いろんな表現があります。

今日初めて観る人に、fuzzy knotがどんなライブをやるのか伝わるような曲を準備してきたので、最後まで楽しんでください」と話し、80年代後半のポップスを彷彿とさせるサウンドに、高難易度の演奏力で魅了する「ペルソナ」、Shinjiのギターソロから、田澤の力強く情熱的な歌声に心を奪われる「愛と執着とシアノス」へと繋ぎ、1曲ごとにまったく違う表情を魅せていく。

 

 

 

ここで会場から「しん様~!」と声が上がり、Shinjiが「fuzzy knotのファンの方の声をちゃんと聞くのが初めてで嬉しい。しん様”なんて呼ばれてたんだ!」と笑いを誘った。

ちなみに、この日の朝にShinjiはキズの情報を調べてきたらしく、メンバーの血液型情報や、来夢以外の3人は1月生まれという豆知識を披露。

さらにShinjiの母が1月生まれなので、母親をヴォーカルにしたらキズは全員1月生まれになるという、無茶振りをふっかけた。

田澤が「お母ちゃんにキズの曲が歌えんのか」とツッコミを入れると、「舟木一夫を歌うのは得意なんだけど、さすがにキズは難しいね」

「お母ちゃんなのに、舟木一夫!?」とお馴染みの夫婦漫才のような掛け合いが続いた。

 

中盤で演奏したのはバラード「キミに降る雨」。ミラーボールが回り出し、まるで雨粒のような青い光がゆらゆらと会場全体を照らす中、感傷的なメロディーでしっとりとした空気を生み出した。

その後「こころさがし」「Joker & Joker」で再び盛り上がりを生んだところで「せっかく僕もお呼ばれしましたから、こちらも強力な助っ人というか喧嘩相手をお呼びしましょう」と言って、来夢がステージに現れた。演奏したのは激しいギターリフが火を吹く「Set The Fire !」。

原曲の魅力も引き立っているし、来夢の特色も出ていて、この曲の楽しみ方をより拡張していた。

何より、観客全員が楽しそうにジャンプしていて、田澤が来夢の肩を抱いて歌っているのも、今回の名場面だった。

 

 

 

 

楽しい時間もいよいよ終わりを迎えようとしていた。最後の曲は「Before Daybreak」。

コロナ禍という暗い時代にユニットを結成し、ようやく万全の状態でライブをできるようになった今、「幸せよ 降り注げ」のフレーズは過去一番輝いて聴こえた。

最後に田澤が観客に言葉を送った。「キズと夜を過ごすことができて、本当に刺激をもらったし、負けたくないなと思いました。勝ち負けじゃないんかもしれんけど、お互いに刺激し合って、これからも前へ進んで行けるような、そんな関係を築き続けたいと思います」。

 

 

 

ーー終演後、fuzzy knotの楽屋を訪ねて、田澤に今回の2マン開催の経緯を聞いた。

 

 

fuzzy knotを知らない人たちにもライブを観てほしいよね、という話になって。じゃあ2マンライブをしましょうと。とはいえ問題は誰とやるのか、でした。

候補に挙げる理由は色々あるけど、まずはリスペクトしていること。あとはお互いのファンにお互いのバンドを観てもらえるイベントにしたかったので、そういう関係値がある、作っていける相手とやるのが大切やと思ったんです。そう考えたら、俺の中ではキズ一択でしたね。

それこそ“一撃”にも出させてもらったし、プライベートでも来夢くんとは付き合いがあるので“2マンをやってください”とオファーを出したら、実はキズ側も俺らとやりたいという話をしてくれていたらしいんです。そこからはトントン拍子で決まりましたね」。

この日、ライブを観ていて何よりも良かったのは、両バンドがお互いをリスペクトしていて、それがステージ上にも表れていたことだ。

「似たような音楽性の人たちが集まるイベントももちろんいいけど、やっぱりこういう異種格闘技戦のような形もいいと思うんですよ。

それを提示したかった。うん……リスペクトをしているって大事かも。ほんまに好きですからね、キズの音楽が」。

田澤が最後にステージで言った通り、音楽は勝ち負けじゃないのかもしれない。だけど、大好きな相手だからこそ本気で戦いたいし、負けたくない。

認め合う者同士が音の中で拳を合わせる。そんな、誰が見ても素晴らしい2マンだった。

 

 

 

 

写真◎今元 秀明
文◎真貝 聡

 

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fuzzy knot × キズ LIVE 亞

2023628日(水) 恵比寿LIQUIDROOM

SET LIST

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■キズ

01. -Kawazu-

02. 地獄

03. ストロベリー・ブルー

04. 銃声

05. 平成

06. Mr. BiG MONSTER

07. ELISE

08. 夢 w/ 田澤孝介

09. リトルガールは病んでいる。

10.

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fuzzy knot

01. 新曲

02. #109

03. ペルソナ

04. 愛と執着とシアノス

05. キミに降る雨

06. こころさがし

07. Joker & Joker

08. Set The Fire ! w/ 来夢

09. Before Daybreak

 

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▼リンク先

fuzzy knot オフィシャルサイト  https://www.fuzzyknot.com 

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2023年06月24日 (土)

【ライヴレポート】<XANVALA×摩天楼オペラ 2MAN LIVE「斬劇」>で見せたのは「決死の戦い」。◆2023年6月19日(月)恵比寿LIQUIDROOM

REPORT - 11:44:46

XANVALAと摩天楼オペラの2マンライヴ「斬劇」が、619日に恵比寿LIQUIDROOMで開催された。

 

20201月に結成し、今まさに勢いに乗っているXANVALAと、2007年の結成から長年ヴィジュアル系シーンを牽引してきた摩天楼オペラ。活動歴が一回り以上違う2バンドがこの日、それぞれの想いを胸に熱いステージを繰り広げた。

 

先攻は摩天楼オペラ。場内の暗転と同時に、会場からは早くも拍手や歓声が沸き起こる。SEから繋がるかたちで「儚く消える愛の讃歌」の演奏が始まると、壮大なメタル・サウンドとともに、その眩し過ぎる存在感を放ちながら、容赦なく摩天楼オペラの色へ会場を染めていく。目まぐるしく変化するヴィジュアル系シーンで、いくつもの壁を乗り越えてきた歴戦の猛者は、同シーンの他バンドと比べると決して派手な出で立ちではないが、シンフォニックなサウンドと洗練された演奏を武器に、華やかなライヴを展開。続く「零れ落ちていく未来」「Anemone」でも安定の演奏力をみせ、彼らのファンであるオペラーはもちろん、対戦相手であるXANVALAのファン・Λ(読み:ラムダ)の心をも次々と魅了していった。

 

 

 

 

 

「うちはまだ声出し解禁ライヴが2回目だから、みんなの声を聞けることが、まだまだ嬉しいです。今回の2マンは、XANVALAからのお誘いで実現したけど、摩天楼オペラを誘ってくれる後輩はなかなか貴重です()。しかも、アヤックス(彩雨)が後輩と仲良くしてくれてるっていうことも判明して嬉しいです()」と、苑。続けて「XANVALAのライヴこれからなのに『礼儀正しくて良い子』っていうのはあれなんだけど…(苦笑)」と言うと、会場からは大きな笑いが巻き起こった。そして「巽くんからΛのことを聞いたら『歓声がでかいです』って言ってました。オペラ―も合唱の時の声がでかいと、色んなバンドから言われます。今日はそこも対決だね。気合い入れていこうぜ」と、初期のナンバー「honey drop」から演奏を再開。ステージ上での軽やかな身のこなしと重厚な音との絶妙なバランスに心地よさを感じる。「MONSTER」でノリ良く弾んだかと思うと、一転「桜」では叙情的なシーンに変化させるなど、色彩豊かな曲が繰り出された。

 

 

 

 

MCを少し挟んだ後、XANVALAの巽がステージに登場。「落とし穴の底はこんな世界」を苑と一緒に披露した。今回の2マンに際して行われた対談インタビューで、実家に飾ってある摩天楼オペラのポスターが、まさにこの曲の時代のものだと語っていた巽。憧れのバンドの演奏で、尊敬するボーカリスト・苑の隣で歌う巽の表情は、見ているほうが笑顔になるほど、生き生きとしていた。サビでは互いのおでこがくっつきそうなほどの距離で熱唱。その様子を微笑ましく見ていたオペラ―とΛの距離もぐっと近付いた。巽が舞台袖にはけた後も、摩天楼オペラの演奏は続き「真実を知っていく物語」で盛大に締め括られた。

 

 

後攻のXANVALAが登場すると、1曲目「デスパレート」からアクセル全開で飛ばしていく。摩天楼オペラのステージで一つになったオペラ―とΛが激しく拳を振り上げる中、ステージではメンバー各々が自由闊達なパフォーマンスで、早くもライヴ中盤ぐらいの熱気を放出。「MY BLACK」「ratchet」と、曲が展開されていく度に膨れ上がる凄まじいエネルギーに、ひたすら圧倒される。

 

 

 

そんな雄々しいステージから一転「摩天楼オペラさん、ご出演いただき、ありがとうございます。オペラ―の皆様、先ほどは、こんな首領パッチみたいな奴がいきなりステージに登場してすみません()。ようやくこの日が来ましたね。大好きな、憧れのバンドとの2マンライヴです。さっき摩天楼オペラさんのステージに出させてもらったときもノリノリで、直前まで俺、白目剥いてたからね()」と、会場の笑いを誘う巽。しかし今日は、憧れの気持ちだけでは終われない。XANVALAは、この場所に「死ぬ気で戦いにきた」のだ。

 

 

ヴィジュアルロックの王道チューンを感じさせる「聖戰」、脳内リピート必至のナンバー「joke」を携え、再び戦場へ。ライヴ中盤では「冥冥」「ゆらゆら」から「春が刺さる」への流れの中で、XANVALAの楽曲の幅の広さ、可能性を余すところなく魅せつけた。

 

 

 

 

「想像してみてください。中学生の頃からずっと憧れてるバンドと2マンですよ?バンドって夢であふれてるなって思います。田舎のただのビジュアル系バンドが好きながきんちょが、ここまできたんですよ」と巽が話すと、フロアからは祝福の拍手が沸き起こった。

 

 

 

さらに「ヴィジュアルロックに夢を見せてもらって、ここまできました。次は俺がみんなに夢を見せる番だって心から思います。俺の夢の話を聞いてくれ」という言葉に続けて、優しくタイトルコールを告げた巽。自身のルーツをストレートに描いた曲だという「アーティスト」を力強く歌い上げる。憧れのバンド・摩天楼オペラと同じ舞台で「格好いいアーティストになるため」に成長している瞬間、XANVALAが描く夢を、ここにいる全員と共有するように、会場の一体感をより一層、強固なものにしていった。

 

 

ラストの「NIX」では、摩天楼オペラの苑を再びステージに迎え、今度はXANVALAの演奏の中で、ツイン・ボーカルが実現。苑の美しいハイトーンボイスと、巽の力強く真っ直ぐな声が会場全体に響き渡った。

 

 

 

この日、一つの夢を実現させたXANVALA。しかし、彼らは「憧れ」の気持ちだけでこのステージに立ったわけではない。背中を追いかける者と同じ舞台で戦うためにきたのだ。

長年、ヴィジュアル系シーンを牽引してきた摩天楼オペラ。しかし、今はまだ後輩のバンドにすべてを「継承」する時ではない。追いかけてくる者に、なんとしても負けたくないからだ。

2つの「斬劇」は「憧れ」と「継承」の狭間を鋭く貫いた。

XANVALA831日、同会場にて行わるワンマンライブに向けて、摩天楼オペラは続々と決定している大型イベントに向けて、この先も同じシーンを駆け抜ける。

 

 

 

写真◎Λ.kwsk(@a_kwsk_1985)

文◎藤代 冬馬

 

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●摩天楼オペラ

[SET LIST]

 

1.儚く消える愛の讃歌

2.零れ落ちていく未来

3.Anemone

4.honey drop

5.赤い糸は隠したまま

6.MONSTER

7.

8.Invisible chaos

9.落とし穴の底はこんな世界 feat.(XANVALA)

10.Psychic Paradise

11.真実を知っていく物語

 

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●XANVALA

[SET LIST]

 

1.デスパレート

2.MY BLACK

3.ratchet

4.聖戰

5.joke

6.冥冥

7.ゆらゆら

8.春が刺さる

9.アーティスト

10.XANADU

11.誰が為の幸福論

12.NIX feat.(摩天楼オペラ)


2023年06月20日 (火)

【ライヴレポート】<5th Anniversary Live MIMIZUQと時巡りの列車〜OTOGI CITY〜>2023年6月17日(土)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE◆“奇跡起きちゃって 六月の空が晴れている”希望と可能性にあふれる未来を見せてくれたライヴ──。

REPORT - 20:00:45

奇跡起きちゃって 六月の空が晴れている

 

MIMIZUQの5周年記念ライヴがSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで行われた6月17日は、彼らの曲「Tic-Tac」の歌詞そのままに、梅雨とは思えない快晴だった。その太陽の光に負けないほどの輝きを放ち、希望と可能性にあふれる未来を見せてくれたライヴの模様をお届けしよう。

 

ほぼ定刻に暗転し、おなじみのオープニングからステージに4人が揃う。訪れる沈黙。走るかすかな緊張。そこへ、森 翼が奏でるアコースティックギターから「NUMBERS」が始まり、冒頭の歌詞のおはようを歌う森 翼の声で会場の空気が柔らかくほどけた。pocoの一打がまるで合図であったかのように照明が光を放ち、サウンドとともに目の前の世界が一気に広がっていく。ドラマチックでエモーショナルな、壮大なスタートだった。

 

NUMBERS」は、インストゥルメンタルver.の「numbers」も含め、一昨年も昨年も、同会場の周年記念ライヴで披露されてきた大切な曲。その曲を4人が声を合わせて歌うさまは、希望に満ちた未来へ歩んでいくことを力強く宣言しているかのようだった。間髪入れず、3月にデジタルシングルとしてリリースされた「アイラブユーの世界」へと続き、会場全体を愛で満たす。

 

久しぶりに演奏された「Rain drop Tear drop」「PINKY PUNKY PARTY!!」で、会場の空気が動き出す。観客はこぶしを掲げて声をあげ、手拍子を打ち鳴らす。森 翼はステージから駆け下り、通路へ飛び出す。ライヴ中の彼は驚くほど大胆で、自由奔放だ。

 

 

メンバーの名前を呼ぶ大きな声が響く中、和気藹々としたMCに続いては、会場全体で振付を楽しめる「NAMIDA MUSIC FACTORY」。ヴォーカル不在のコロナ禍に楽器陣3人でファンと一緒に作り上げたこの曲をみんなで楽しむと、さらに賑やかに騒げるMIMIZUQの乾杯ソング「ハイレフルラリレホー」へ。「MONSTER GIRL」は、イントロの森 翼の印象的なアコギのフレーズがアレンジされており、おなじみの曲でありながら、ハッとするほど新鮮味が増していた。常にアレンジを変えていく(変えていける)のも、彼らの音楽性の高さ、深い探求心ゆえ。

 

 

 

鉄琴のような透明感あふれる繊細な音色のSEが流れ出し、空気を一変させたところで、「忘縁峡」が始まる。森 翼が、つぶやくように、ささやくように、訴えかけるように、思いを声に乗せる。好きだけど壊したと繰り返される、やりきれない感情に心が痛いほど。

 

AYAもアコギを手にし、森 翼との2本のアコギで届けられたのは「涙の成分」。彼らが目指す「ナミダミュージック」ならではの切なさ全開の曲が、いつもよりシンプルなサウンドで、それゆえに真っ直ぐ届いた。seekも椅子に座り、ここからはアコースティックセクション。観客も着席し、ゆったりとライヴを楽しむ。個性的なベースのフレーズが耳に残った「Child Room」、大人っぽいニュアンスを醸し出した「ずっと好きでした」と、日頃からアコースティックライヴを積極的に展開している彼らだけに、工夫を凝らした完成度の高い演奏が続いた。

 

 

ロマンチックなひとときをはさみ、いよいよ後半戦。再び観客に立つように促したところで、seekがそれを押し留める。なんとseekの衣装が激しいステージングゆえにみごとに破損、応急処置が必要な緊急事態発生。突然のトラブルだが、それを逆手にとれるのがMIMIZUQの強みだ。森 翼がアコギを奏で始めると、すぐにAYApocoが合流、即興でこの状況を歌にし、さらにソロ回し、そしてコール&レスポンスと、自在に演奏を繰り広げる。思いがけず、お得な気分さえ味わえる時間となった。

 

 

 

seekが戻ってきたところで、新曲であり、今日のライヴのタイトルでもある「OTOGI CITY」を披露。曲の展開ごとに表情を変えながらも、サビはこれまでにないほどのキャッチーさを持ち合わせた、MIMIZUQの新たな扉を開いたような曲。新曲を初披露ということで、ステージにもほんの少しピリッと引き締まった空気が漂う。

 

そんな空気を破るように、「渋谷、走れ~!」というseekの叫びから始まったのは、その名も「走れ!走れ!走れ!」。会場全体に元気がみなぎり、からだ全体で音楽を楽しむ時間がスタート。続く「アオイトリ」「鎮む森に降る慈しみの雨」と、彼らのの魅力全開で、クライマックスへと突っ走る。

 

 

汽車の走り出す音に、時計の針が刻む音が重なる。森 翼が加入して以来、「時巡りの列車」をコンセプトに、時間を巡る列車旅行をしながら、人が誕生して成長を重ねていくさまざまなシーンを追いかけてきた彼ら。森 翼の歌をフィーチュアした新曲「時巡りの列車」を本編最後に演奏すると、曲が終わるとともに汽笛が鳴り響いた。時巡りの列車はまた新たな目的地へと出発するようだ。まばゆい照明がステージ中央に並ぶ4人を包み込み、温かな拍手が贈られる中、本編は終了。

 

 

 

アンコールは、9月に新曲(本編で披露したのとは違う、さらなる新曲!)『ケサランパサラン』をリリース、そして10月に東名阪ツアーと嬉しい告知をはさみながら、4曲をプレイ。最後を飾ったのは、本編でも演奏された「アイラブユーの世界」。コロナ禍を含め紆余曲折あった5年間の活動を経たMIMIZUQの前には、希望と可能性に満ちた明るい未来が広がっている。愛にあふれた、まさにアイラブユーの世界を体感しながら、この世界がもっともっと広がっていくだろうと確信めいたものを感じていた。

 

 

 

textMiyuki Murayama

<Photo>j.elle Harris

 

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「アイラブユーの世界」Music Video

 

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Digital Full Album「時巡りの列車~Prequel~」

 

1,Tic-Tac

2,孵化

3,MONSTER GIRL

4,NAMIDA MUSIC FACTORY

5,Child Room

6,涙の成分

7,忘縁峡

8,アオイトリ

9,走れ!走れ!走れ!

10,アイラブユーの世界

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配信リンク先一覧

https://nex-tone.link/A00115544

 

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<リリース>

 

★Digital Single「ケサランパサラン」

2023.9.27 Release!!

詳細後日発表!!

 

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<ライヴ>

 

 

 

■MIMIZUQ presents SINGER’S 喫茶CAT’S EYE

9/30(土)柏PALOOZA

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開場17:00/開演17:30

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MIMIZUQ

大槻ケンヂ(筋肉少女帯/特撮/オケミス)

ガラ(メリー)

田澤孝介(Rayflower/fuzzy knot/Waive

五十音順

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8/26 10:00より予約受付開始

会場

https://tiget.net/events/250110

配信

https://eplus.jp/sf/detail/3898760001-P0030001

 

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■MIMIZUQ東名阪アコースティックツアー決定!!

「秘密の森」

10/7(土)名古屋[sunset]BLUE

10/21(土)茨木マリアナカフェ

10/28(土)阿佐ヶ谷LOFT A

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OPEN 18:30 / START 19:00

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2/23代々木LODGE公演ダイジェストDVD

チケット発売日

9/9 10:00

https://mimizuq.com

 

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■東名阪ツアー決定!!

MIMIZUQと時巡りの列車~空のケサランパサラン~

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10/8(日)名古屋HeartLand

OPEN 17:00 / START 17:30

 

10/22(日)アメリカ村BEYOND

OPEN 18:30 / START 19:00

 

10/29(日)渋谷CHELSEA HOTEL

OPEN 17:00 / START 17:30

 

2/23代々木LODGE公演ダイジェストDVD

チケット先行受付中~6/25

https://eplus.jp/mimizuq23/

 

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★MIMIZUQ OFFICIAL SITE★

https://mimizuq.com/

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