2023年08月07日 (月)
【ライヴレポート】<我が為 1st Anniversary東名阪 ONEMAN TOUR 「LIVE」 TOUR FINAL>2023年7月22日(土)青山RizM◆我が為、1周年記念のワンマンツアーを東京公演SOLD OUTにて完 走。「これからもいろんな約束をしていきたい」
REPORT - 19:00:28我が為が<1st Anniversary東名阪 ONEMAN TOUR「LIVE」>のツアーファイナル公演を7月22日、青山RizMにて行った。
◆ ◆ ◆
ミケが、ソロプロジェクトとして<我が為>を始動させてから早1年。
<1st Anniversary東名阪 ONEMAN TOUR「LIVE」>は、文字通り1年間の集大成であり、そのツアーファイナルとなった東京公演では見事SOLD OUTを記録した。その舞台で精一杯の歌と言葉で伝えていた事に一貫していたのは、「なぜ、<我が為>として歌うのか?」という本質だったように思う。
SEをバックに登場したミケは、意を決するように高らかに上げた右手の拳を握った。幕開けを飾った「Ray」で、透明感のある歌声の中に力強さを内包し、観客へ手を伸ばしながら“心からありがとう”というフレーズを笑顔で届けた。
「HIMITSUKICHI」に続いてもなお、遊び心のあるポップなリズムを手拍子に乗せて体感させていく。 ミケというボーカリストが作り出す空間は変幻自在。朗らかでファニーで、それでいてまっすぐ突き通している芯もあり、そのコントラストが観る者を惹き付ける要因でもある。それを発揮するのは歌っている時はもちろん、言葉で気持ちを伝える時もそうだ。
「ソールドしました!めっちゃ嬉しいです、ありがとう!大阪も名古屋もメチャクチャ最高だったんですけど、東京はそれを超える気しかしてません。一緒に最高のライブしましょう!」と、初ワンマン時の倍の人数が集まった客席に満面の笑みで話していたかと思えば、キリっとした面持ちに切り替えて、「なんで俺が<我が為>を始めたか、ちょっと説明させて」と切り出した。
「自分の人生の中で何か苦しい事が起きた時に、何かのせいにしてた事が何回もあったの。でもそれって、逃げなわけじゃん。でも、ソロをやる時にそれは絶対にやめようと思って。何か嫌な事、自分に不利な事が起きた時、これは乗り越えるための試練というか、これは自分のために、“我が為”に起きていて、これを乗り越えた先に必ず良い事が起こるって考えるようになって。それをソロのプロジェクトにしてきました」
これが導入となって、初期衝動や挑戦していく意思をMVという形で一番初めに形にした楽曲「new tone」が眩しいくらいの輝きを放てば、「虹のように」ではふわりと漂う大らかさに包み込まれていく。
そして、「必死で考えた!(笑)」と茶目っ気を覗かせながら振り付けをレクチャーした「brand new sea」の海を感じさせる爽やかさに続き、一変ジャズテイストな大人びた表情を感じさせる「radius」と、最新SINGLEから2曲を立て続けに披露。 幅広いアプローチの楽曲たちは、百面相をも思わせるミケの声色や歌のメロディを存分 に引き立てている。
ボーカリストのソロプロジェクトであるからこそ、そこをフィーチャーしたアプローチが出来る事が醍醐味であるが、ミケが“ソロ”の道を選んだのはそれだけが理由ではなかった。
「ソロって一人だから解散はないし、これからいろんな約束をしていきたいなと思って始めました。自分的には一生をかけた決意というか、そういう感じで始めています」
バンド時代、メンバーやファンと「一生バンドをやっていく」という“約束”を歌や言葉で伝えてきた。しかし、バンドの解散によって一瞬で壊れてしまう事を経験した時に「もう、約束はしない方が良いのかなと思った」というエピソードを交えて、ソロプロジェク トを始動させた動機を伝えた。
ただ、こんなにも真面目な話をしている時にステージ上を蛾が飛び回るというハプニングも“我が為”か(!?)……という冗談はさておき、「もう一度みんなと約束をしたい」と前を向いて再び歌う事を選ぶまでの過程こそ、彼が自分で、自分のために答えを導いた大切な時間だったはずだ。
その時に作った曲だという「透明人間になった」は、自分が何者か、それを気づかせてくれた“キミ”と称するファンへ向けて永遠に歌う事を誓う曲。ピアノに合わせてじっくりと届けられる歌声が、重みのある感情をダイレクトに感じさせる。
人生の中で起こる出来事や、目にしたあらゆる情景に対して感情を研ぎ澄まし、繊細に考えを巡らせるからこそ、ミケが紡ぐ歌にはリアリティがある。
「彩~さい~」や「欠陥品だけの世界」では、テイストは違えど抗い、劣等感に苛まれる事なく生きる気持ちを。「PET」では、女性的な感情を熱っぽくアダルトな雰囲気で歌い上げて、しっとりと聴かせるゾーンを堪能させた。
ライブで声が出せるようになった現状の喜びを「ライブはやっぱり気持ちの、言葉の、 声の伝え合いだと思う」と伝えて、ラストスパートをかける。
「かんちゃん(緩菜 / Dr)、カモン!」と、最新シングルのリード曲「自間他答NIPPON」へ勢いよく突入する と、ファンも言わずもがな大声援でバックアップ。まさに、活動1年目の総決算と言わんばかりに前衛的な姿勢を拳を突き上げながら露わにして、ケタ違いの迫力を生み出した。さらに「TOBIKIRI H↑GH」へと続けば、ギラつく痛快の1曲で熱を高めていく。
クライマックスに向かう中、吉田雅(DJ)に向かい合って歌い始めた「自分更新曲」。 しかし、「聞かせて!」とファンの声援を求めた瞬間に音が止まるという大ハプニング! しばし場内は“シーン”とし、“時を止める男”の再来にはもう、「さすが」としか言いようがない。
ミケ自身「俺らしい!」と笑ったが、こういった“らしさ”が未だある事に安心感にも似た親しみやすさがあるのも嬉しかった。
この事態が会場のボルテージを高めたのは言うまでもなく、まさにテーマソングでもある「自分更新曲」を歌いあげると、未来 を示唆する言葉を贈って「ユーフォリアの音が鳴り響く」で華々しいエンディングを迎えた。
実は歌い出しを噛んでしまってテイク2での歌い締めとなったが、「もう一回歌わせて!」と歌に対する誠実な姿勢もまた彼の人間性の一部分である。
「みんなとライブして、ソロだけど、一人じゃないんだなって思いました」 場内に響いた鳴りやまないアンコールに応えて再び登場すると、「何聴きたい?」という問いかけに即答された「PET」をキーボードバージョンで披露。さらに「TOBIKIRI H↑GH」で盛り上がりも欠かす事なく、最後は「始まったあの曲で終わりたい」と「自分更新曲」でオーラスを飾ったが、ここでのミケはしっかり歌うというよりもむしろ、ピョンピョン飛び跳ねながらまるで少年のような無邪気さで歌っていたのが印象的だった。
ありがちな表現かもしれないが、“幸せ”と“辛い”の字は似ている。自らに降りかかる辛さを乗り越え、それを1つ1つ自分の力へと変えていく。
我が為の歩みというのは、実に人間味に溢れた、幸福を掴むためのドラマなのだと思う。
レポート・文◎平井綾子
写真◎絢香
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<我が為 1st Anniversary東名阪 ONEMAN TOUR「LIVE」TOUR FINAL>
2023.7.22(Sat.) 青山RizM
セットリスト
1.Ray
2.HIMITSU KICHI
3.new tone
4.虹のように
5.brand new sea 6.radius
7.透明人間になった
8.彩-さい-
9.欠陥品だけの世界
10.PET
11.自間他答NIPPON
12.TOBIKIRI H↑GH
13.自分更新曲
14.ユーフォリアの音が鳴り響く
EN
1.PET(キーボード ver.)
2.TOBIKIRI H↑GH
3.自分更新曲
サポートDr.緩菜(from DOG inThePWO) / DJ&キーボード 吉田 雅
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2023年08月07日 (月)
【ライヴレポート】ケツが地球を救う!? ゴールデンボンバー、全国ツアー完遂!新曲『俺たちにはケツがある』配信リリース!
REPORT - 16:26:21ゴールデンボンバー全国ツアー2023「振り返ればケツがいる」ツアーファイナル公演が、8月6日東京ガーデンシアターで開催された。
開演時刻を回り、樽美酒研二(Dr)のモノローグから始まったオープニング映像。内容は、樽美酒がライブでオナラを出すパフォーマンスが上手くいかず、トラウマを抱えてしまうというストーリーだ。トラウマを克服すべく、自由にオナラが出せる師匠に弟子入りするのだが、オナラの修行中に不慮の事故で師匠を失ってしまう。樽美酒は師匠の言葉である「オナラに必要なものは、思いやる心だ」という言葉が一体どういう意味なのか分からないまま、ライブ本番を迎えてしまう…といった映像を経て、ライブ本編がスタートした。
1曲目に届けたのはツアー主題歌である新曲『俺たちにはケツがある』。鬼龍院翔(Vo)が「知らない曲だと思うけど!」と煽りながら、サビに入ると会場一体となって拳を突き上げた。ツアータイトル、そして拳を突き上げる様に既視感を覚えつつ、MCへ。「よく来てくれました!ツアーファイナル東京~!ゴールデンボンバーのライブは棒立ち大歓迎です。みんなそれぞれの形で楽しんでほしい!」と鬼龍院が笑顔で伝えると、声出し解禁となった会場からは歓声と拍手が沸き起こった。
メンバー紹介後に始まった『抱きしめてシュヴァルツ』の曲中では、任侠作品「日本統一」に出演する喜矢武豊(Gt)が「刺青いれたんだ」とフラグを立てると、背中には喜矢武の元カノの写真が入った刺青が現れた。「その刺青なら怖くないかも?!」というツッコミが入りつつも、続いて樽美酒が登場。下着泥棒となった樽美酒が抜群の運動能力で様々なSASUKE風の障害物をクリアし、パンツを手に入れていく。最後は変態仮面の姿でポージングすると会場は大盛り上がり。『おさかな地獄』でも「役者にとどまらず、ジブリを目指したい!」と言い出した喜矢武が、某有名アニメ作品風の大きな段ボールロボット兵で登場するなど、前半からぶっちぎりのエンターテイメントを繰り広げていく。
恒例の演劇コーナーもあり、デスボイスしか出なくなってしまった主人公(鬼龍院)が片想いの相手(喜矢武)に想いを伝えるべく奮闘する青春ラブストーリーを展開。今回初の試みとして演劇の最後は生声だったということもあり、アドリブ満載で客席からは笑いが絶えなかった。
ライブパートに戻り『君といつまでも』のギターソロに突入すると、鬼龍院がギターを持つ場面も。満を持してギター演奏をするかと思いきや、突如始まるキャベツの千切り。そしてそのままキャベツを食べ始めるという荒技を見せつけた。自由奔放なパフォーマンスから息つく間も無く、歌広場淳(Ba)が「まわせまわせ~!!」と煽り『Hey Yo!』に突入。タオルを振り回しながら勢いよくメンバーのラップが繰り出され、会場の熱気が高まっていく。まだまだといわんばかりに『人間だ』、『暴れ曲』を披露、激しいサウンドとヘドバンの嵐で熱狂はさらに加速し『†ザ・V系っぽい曲†』で本編を締めくくった。
アンコールは鬼龍院が「踊るなよと言いつつ、本当はみんな踊ってくれるかと思って作ったんですが、ツアー初日でやってみたら全然踊ってくれなかった」と話す『踊るなよ -Do Not Dance-』。ステージ上では歌広場が客席と同様の向きでレクチャーしながら踊り、客席も笑顔で踊りを楽しむ姿が見られた。
そしてライブ終盤を迎えたところで事件が起こる。『女々しくて』の歌唱中、ビジョンには「緊急速報」の文字が。続いて入ったニュースによると今地球に隕石が接近しており、あと2分で落ちてきてしまうのだという。歌広場が「僕が活躍できる仕事が見つかった!」と地球を救うべく宇宙に向かったが、あっけなく撃沈。歌広場がいなくなってしまったことに打ちひしがれる樽美酒だが、その時師匠の「オナラに必要なものは、思いやる心だ」という言葉が頭をよぎる。「そうか!僕のケツには思いやりと美しさが足りなかったんだ!」と気付き、隕石に向かって「ケツの呼吸、拾ノ型、撃滅隕石!」とお尻から衝撃波を撃つと隕石は消滅。ケツが地球を救うという衝撃的な結末だったが、会場の爆笑とともにハッピーエンドを迎えた。
「ライブのネタ考えるのが大変で。ツアー終わったら寂しいけど、羽伸ばせるかなとか思っていたんですが、今こうしてステージでやっていたら、また早くライブがやりたくなりました」と話す鬼龍院。そして「新曲を出します」と伝えると、嬉しいサプライズに客席からは歓声が起こり、新曲『残高ゼロ』を初披露。ビジョンには女性アイドルFRUITS ZIPPERを推し、推し活で散財し残高がゼロになる喜矢武と、そんな喜矢武を心配している鬼龍院の姿が描かれていた。ラストは『イヤホン』で会場に大合唱をもたらし、全26公演の全国ツアーは大盛況のうちに幕を閉じた。
なお、新曲『俺たちにはケツがある』は、本日より各音楽配信サイトにて配信開始となっている。
写真:菅沼剛弘
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<セットリスト>
M-1俺たちにはケツがある
M-2ワンマン不安
M-3抱きしめてシュヴァルツ
M-4 Yeah!めっちゃストレス
M-5おさかな地獄
M-6愛してると言えなくて
M-7断末魔
M-8鈍色の臨終
M-9ダニ
M-10 君といつまでも
M-11 Hey Yo!
M-12 人間だ
M-13 暴れ曲
M-14 キスミー
M-15 †ザ・V系っぽい曲†
アンコール
M-16 踊るなよ -Do Not Dance-
M-17 かまってちょうだい///
M-18 女々しくて
ダブルアンコール
M-19 残高ゼロ
M-20 夜明けの待人
M-21 イヤホン
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<『俺たちにはケツがある』リリース情報>
「俺たちにはケツがある」
iTunes、レコチョク、music.jp、dwango.jp、mora、mu-mo、
Apple Music、AWA、LINE MUSIC、Spotify、Amazon music等 主要サイトにて配信開始。
※一部の配信サイトの再生・購入一覧はこちら。
https://nex-tone.link/A00120121
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<ライブ情報>
12/24(日)
FC[マルキン]会員限定
ゴールデンボンバー クリスマスライブ開催
会場:ベイシア文化ホール (群馬県前橋市)
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<DVD発売情報>
ゴールデンボンバー全国ツアー2023
「振り返ればケツがいる」
東京ガーデンシアター公演 DVD発売
【発売日】
2023年12月20日(水)
【販売場所】
事務所公式通販サイト silkroad store(シルクロードストア)
https://silkroadstore.jp/goldenbomber
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<ツアーファイナル アーカイブ配信情報>
ニコニコ生放送
タイムシフト視聴:8/13(日)23:59まで
チケット販売ページ:https://dwango-ticket.jp/project/XAhCC61gZh
2023年08月06日 (日)
【ライヴレポート】<nurié 4TH ANNIVERSARY -逸脱した正義か、果たして悪か->2023年7月29日(土)新宿BLAZE◆5年目がスタート。そして新宿BLAZEを超える「勝ち」の景色へ──。
REPORT - 22:00:211年前の7月29日、nuriéは来年の4周年のライブを新宿BLAZEで行うことを発表した。それは彼らにとって大きな挑戦となることは誰の目から見ても明らかだった。
2023年7月29日、4月に発売した1st Mini Album『瞳に映らない形と性質、それを「」と呼んで』を提げて、5月から始まったツアー「アンチヒーロー」ツアーのファイナルであり、バンド始動4周年を記念したライブが新宿BLAZEで行われた。
このステージにかける思いがはち切れんばかりに登場した彼らが繰り出した1曲目は「akuma」。
オーディエンスも全力で応え、フロアの勢いからも今日がいかに特別かということが伝わってくる。
「BLAZE、始めようぜ。あなたが帰っていく数時間後の未来のため、そして俺たちとあなたにとっての未来のための話をしに来ました」という、ヴォーカルの大角龍太朗の言葉から、「今宵、未来の為に歌おう。」へ。
ギターの廣瀬彩人の切り裂くような音からさらにライブが加速する「人として人で在る様に」では、早くも最高潮のような迫力を見せ、その激情は「【ばいばい】」へと続く。染谷悠太のドラムの音にもこれまでを超える強さが宿っている。
目の前で見えている以上に、エネルギーが彼らの身体に充満しているのだろう。太陽色の照明と共に歌い上げた「晴天に吠える。」を終えたあと、大角のギターの弦が切れるという、思わぬアクシデントが起きたが、すぐさま予定にはなかった「カンセツショウメイ」を演奏。曲を終えてもギターが復旧しなかったため、「セッションしよう!」という染谷の言葉で、バンドは音を奏でながらトラブルを乗り越える。
MCで繋ぐのではなく、曲を演ろうと瞬時に決めたのが、何よりも音楽を大切にするバンドnuriéらしい判断だった。
染谷悠太(Dr)
新しいギターの弦が張られ、「この日どうしてもやりたかった曲」という、「あの日の映画みたいに」。
このアクシデントが呼吸を整えるきっかけになったのか、飛び出さんばかりの勢いでライブを突き進めるだけでなく、多彩なセンスを持つnuriéの楽曲をさらに表現豊かにプレーし、時を遡るように2019年8月14日、4年前の夏に発表された、1st SINGLE「モノローグ」へ。この曲から、彼らの音楽の歴史が始まった。
そして、続く曲は、nuriéのヒストリーを語る上で欠かせない、2022年1月5日にリリースした3rd SINGLE「Room-6-」。第六感への刺激はもちろんのこと、スピーディーな曲展開がフロアの温度を急上昇させていく。
廣瀬彩人(G)
十分熱くなったオーディエンスの一体感をさらに増すように、かわいい振りで遊べる曲「うさちゃんず」。
初めてnuriéのライブに来た人も楽しめるように、まずは振り付けの練習。大角の歌に合わせて、ステージの演奏ではクールな姿を見せている廣瀬が、うさぎを思わせるような動きや手でハートを作って、振り付けの見本を披露。誰一人取り残すことなく楽しませる。
イントロでは染谷が立ち上がってドラムを叩く激しさを見せ、フロアではヘッドバンギングやタオル回しが沸き起こる「R.A.M.I」。これまでよりも増えた男性ファンがライブをいっそう加熱させていく。
その勢いのまま、ピンク色のライティングが映える「ミルクティートリップ」では、気持ちが飛び跳ねるようなテンポが、この瞬間の楽しさを高揚させてくれた。
大角龍太朗(Vo)
現在、27歳の大角はヴォーカリストとして完璧かと問われればそうではないだろう。
しかし、大切な人たちと接することのできる幸せに愛を込めて歌われた「あくび」では、今よりもさらに多くの人の心に染み込む歌を届けることができる、絶対的なヴォーカリストへとして変貌を遂げていくことを予感させた。
スクラッチ音から体を揺らすダンスビートナンバー「阿呆やん。」、拳を掲げる熱情が魂の解放に繋がる「生き継ぎ」とライブはクライマックスへと向かい、「あなたの色をこの空間に混ぜてくれませんか」と告げ、「透明に混ざる。」が放たれた。nuriéというバンドの真髄が発揮されるのが「人生」や「生き方」への思いが込められた楽曲だ。
「透明に混ざる。」から「愛を歌わせろ人生」を聴いていると、生きるという日々の目線に刺激を与えてくれる。
この曲の最後では「あなたが生きているだけでこの空は綺麗だ」と歌われるのだが、そのままライブは「生きてて偉い」の演奏へと続いた。バンドが急上昇する中で、2021年に他界したベースの小鳥遊やひろは、今、新宿BLAZEのステージに共に立っている。
音源では「約束した場所へ行こうか」という歌詞だが、大角はこの日、「約束した場所へ来たぞ」と歌った。
新宿BLAZEへのライブを決めたときの不安、「アンチヒーロー」ツアーでの日々を赤裸々に語った大角はこう続けた。
「新宿BLAZE、ソールドアウトしたかどうかで勝ち負けを決めるなら、俺たちはそれに関しては大敗退だよ」。
確かに動員数では、まだまだ届かない部分はあった。
しかし、この日の彼らのライブを観て、心が揺さぶられなかった者はいないだろう。
命の重さを知っているからこその、人生を懸けてnuriéというバンドで頂点を目指す勝負を挑む彼らが、現時点で持てる力を全て発揮した新宿BLAZEでのライブは、大角自身がステージから発したように、間違いなく「勝ち」だった。
「アンチヒーロー」ツアーで身につけた強さと覚悟と共に奏でられた「瞳に映らない形と性質、それを「」と呼んで」は、もはやツアー初日の演奏とはまるで姿を変えていて、凄烈な印象を刻み込んだ。
ここまで、nuriéの4年間の物語を音楽でしっかりと表現し切った彼らが本編の最後に演奏した曲は、初披露の新曲「冷凍室の凝固点は繋ぐ体温」。「例年とは違う比べ物にならない暑さが」という歌い出しで始まり、切なさの中にも人間同士が繋がり合うからこその信じられる温もりが音を通して伝わってくる楽曲だ。
この新曲は、新宿BLAZEの来場者全員にデモ音源が無料配布された。今後ライブでの演奏が繰り返されていき、正式な音源となって発表されるときにはどのような完成形になっていくのだろうか。
そんな想像の余韻と共に、映像で12月には「0.000℃」ツアーのスタートと、ニューシングルのリリースがあることが発表された。
アンコールは、nuriéのライブには欠かせない全力で踊れる「骨太もんちっちくん」、メロウな「夜の所為にして」、そして、このツアーではアンコールは2曲だけと決めていたが、新宿BLAZEの特別な夜に、アンコールの3曲目として「白を溢す。」を演奏して大団円を迎えた。
自分達が失ったもの、バンドの初期衝動を取り戻すために「アンチヒーロー」という言葉を掲げて、これまでで最多となる本数のツアーを行い、最大規模の会場でファイナルと4周年を飾ったnurié。
迷い戸惑い、時に優しくなりすぎた自分たちを奮い立たせるように歩んだ日々は一先ずのゴールを迎えた。
彼らを見ていて思った。一足飛びの未来よりも、確実に己の力で勝ち取った未来の方が、美しいと。
5年目がスタートしたnuriéが描き出す、新宿BLAZEを超える「勝ち」の景色への前進はどこまでも勇ましい。
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◆セットリスト◆
01. akuma
02. 今宵、未来の為に歌おう。
03. 人として人で在るように
04. 【ばいばい】
05. 晴天に吠える。
06. カンセツショウメイ
07. あの日の映画みたいに
08. モノローグ
09. RooM-6-
10. うさちゃんず
11. R.A.M.I
12. ミルクティートリップ
13. あくび
14. 阿呆やん。
15. 生き繼ぎ
16. 愛を歌わせろ人生
17. 生きてて偉い
18. 瞳に映らない形と性質、それを「」と呼んで
19. 冷凍室の凝固点は繋ぐ体温
En
- 骨太もんちっちくん
- 夜の所為にして
- 白を溢す。
(文・武村貴世子/写真・Ayami Kawashima)
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★nurié OFFICIAL SITE★