2018年02月22日 (木)
【ライヴレポート】2018年2月13日 渋谷TSUTAYA O-WEST ◆イベントへ出演したV系ミュージシャンがステージへ集合し、みんなでエアロビクス?! @works project 6th anniversary3days「@-Live.028 -Brilliant scene-」
REPORT - 18:13:59今年で創立6周年を迎える「@works project」。@works projectとは、ex.宇宙戦隊NOIZ/ex.-ZEROdbのドラマーS@TT-ONと当時マネージャーだった倉田が、アーティスト支援・ライブイベント企画制作を主とした活動を行うために始めたプロジェクト。そこへYURAサマ(Dacco/THE BEETHOVEN/Brother/Psycho le Cému)が自身のプロジェクトを加え参加。昨年末に法人化し、現在に至っている。
このたび、@works project主催による3日間に渡るイベント「@works project 6th anniversary 3days」が、2月11日-12日に渋谷DESEOで、13日にTSUTAYA O-WESTを舞台に3日間連続で行われた。それぞれのイベントタイトルと出演者は以下の通り。
・2月11日(日)・渋谷DESEO。「@-Live.026 -Parade scene-」=Lida/永遠Lovers/ADAPTER。/The Benjamin/D@NCE T3CH MANIA/TЯicKY。
・2月12日(月)・渋谷DESEO。「@-Live.027 -Core scene-」=Brother/犬神サアカス團/ストロベリーソングオーケストラ/Cosmo-Shiki/天照/加藤 透【サポートメンバー:Ba.ツブク”Mashoe”マサトシ(The Benjamin)/Dr.YURAサマ(Dacco,Psycho le Cému,THE BEETHOVEN)】。
・2月13日(火)・TSUTAYA O-WEST。@-Live.028 -Brilliant scene-」=Dacco/Rice/Ricky/UCHUSENTAI:NOIZ/S.Q.F。
ここでは、3日目となった2月13日・TSUTAYA O-WESTを舞台に行った「@-Live.028 -Brilliant scene-」の模様をお伝えしよう。
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UCHUSENTAI:NOIZ
地球の平和を守るため、ステージに現れたのがUCHUSENTAI:NOIZ。シンフォニック&ラウドな演奏と身体を踊らす四つ打ちのダンスビートをミックス、UCHUSENTAI:NOIZが地球の平和を守るため最初に発信したメッセージが『WORLD END SUPERSTAR』だ。スペクタクルな大作映画のようなスリリングでスケールあふれる世界観が、轟音と共に目の前へ広がってゆく。宇宙を守るスーパースターたちの集合体であるUCHUSENTAI:NOIZに相応しい、なんて器のドでかい豪華な楽曲だ。触れた人たちの感情を瞬時に煽る豪放無頼なサウンドが、とても刺激的だ。魂のイグニッションキーを回し、UCHUSENTAI:NOIZが開いたパーティへ乗り込んだ観客たちは、壮大かつ勇壮なドラマを描く作品(ライブ)の重要なキャストとなり、舞台上で咆哮上げる5人のスーパースターたちへ沸き立つ感情を全力でぶつけ、今宵の物語に欠かせない熱狂を描き始めた。ヤバい、早くも気持ちが熱く震え立ってきた。
5番目の男たちの集合体UCHUSENTAI:NOIZ。「君の一番になりたい」、懐の深いバンドに相応しく、次にぶつけたのが、輝く光をまぶしながら、銀河の彼方までブッ飛びそうな勢いを持った『CHROMOSOME SIX』だ。パーティ感を満載。ANGEL-TAKAと一緒にモンキーダンスに興じながら、頭を空っぽに天空まてブチ上がりたい。余計な雑念を瞬時に消し去り、ともに無邪気なパーティドールに変身。日常?!、そんなのとっくに忘れたよ。この瞬間は、僕らも地球を笑顔で守る隊員の一員なんだもの。
勢いをもっともっと加速させろ!!。何時しか身体が演奏に合わせ全力で疾走し始めた。飛びだしたのが、『コールアウト』。魂を熱く熱く燃やす、光をまとい爆走する楽曲だ。ANGEL-TAKAに煽られた会場中の人たちは、大きく両手を広げ5人の弾けた想いを全身で受け止めていた。なんて刺激的なSHOW TIMEだ。もっともっと熱が欲しい、もっともっと感情を壊してくれ。今宵のロックンロールなパーティが、理性と仮初めの自分をどんどん消し去ってゆく。そう、さらにさらにハイになり、有るべき本当の自分になって騒ぎ続けたい。
「今夜もANGELの視線に殺されたい?!」、最終学歴が自動車学校というANGEL-TAKAのセクシーな煽りから、ライブも終盤戦へ。直情的なダンスロックナンバー『デッドマンズ・ロデオ・リボルバー』が、踊り狂えと隊員(観客)たちを挑発してゆく。MASATOもギターを手放し、タオルとマイクを手に気持ちをラップに叩きつけ、放熱してゆく。ANGEL-TAKAとMASATOのツインヴォーカルが、騒ぎたい連中の体中へ熱した言葉の弾丸を次々と撃ち放つ。超刺激的な音の弾丸をぶち込み、触れた人たちを熱狂死へ導くメンバーたち。狂え、そう騒ぎ狂え、理性を壊すその熱狂こそ、ここに相応しい風景た。
最後にUCHUSENTAI:NOIZは、シンフォニックミクスチャーナンバー『Igni+ioN』をブースト。刺激的なラップをぶち噛ますMANGEL-TAKAとMASATO。2人の煽りにより感情のイグニッションキーをフルテンさせた隊員たちが、全力で頭を振り乱す。アガれ、アガれ、アガらなきゃ自分でいられない。絶叫飛び交う怒号な宴の中にいることが、とてもスリリングで刺激的だった。UCHUSENTAI:NOIZ、ド頭からブッ飛んだ世界をこの場へ作りあげちまったな。
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Ricky
キラキラとした輝きをフロアー中へ降り注ぐようだ。一夜のプリンスと化したRickyが、訪れた人たちへ想いを語るように…いや、ロマンチックなムード満載で口説くよう、美しいバラードナンバー『My name is…』を歌いだした。暖かく、何より温もり抱いた歌声で語るようにせまられたら、ハートのドキドキが止まらない。さりげなく歌いかけるRicky。その飾らない姿と歌声が、むしろ心臓をバクバク昂らせた。ヤバいよ、ハートがパニックしそうじゃん。
「My name is Ricky」…。その言葉に続いて彼が届けたのが、四つ打ちのダンスビートを軸に据えた『Hi-Techno-Boy』だ。攻めるように、でも凛々しさを持って歌うRicky。腰にズンズンと響くリズムが身体を揺さぶれば、ビートの上でセクシーに歌声をはべらす様も魅力的だ。楽曲が進むにつれ、歌声も演奏も熱を帯びてゆく。途中、Daccoの2人が舞台に乱入しコミカルに踊る姿も。その緩い感覚が、仲間たちが集ったこのイベントらしい風景だ。何時しか場内は、Rickyのアダルトで刺激的な歌声と先鋭的に進化したダンスロックに煽られ、どんどん熱を集め上がり続けていた。何度も懲りずに乱入し、はしゃぎ倒すDaccoの2人。さすが彼ら、自分たちの役割をわかっているよね。
勢いと躍動を増してゆく演奏。ハイパーダンスパーティナンバー『↑UP←SIDE→DOWN↓』が、フロアー中の人たちをパーティピーブルに熱く塗り変えた。楽しい宴のリズムに呼ばれ、またもDaccoがステージへ飛び込み、自由奔放に踊りだす。楽曲が進むにつれ激しさを増すダンサブルなビート。身体を熱く熱く揺さぶるダンス曲に合わせ、モッシュやくるくるまわってと無邪気にはしゃぐ観客たち。そんな祭り人たちを、笑顔で煽るRickyとDaccoの2人。そして…。
ホール一個を一気食いするほど甘いもの好きなRickyが、サイリウムを手にした。Rickyが最後に届けたのが、キラキラした輝きをまぶしたトランシーでスケールあふれるシンフォニックで刹那メロディックな『R☆MY WORLD』だ。壮麗な景観を描く楽曲の上で朗々と歌いあげるRicky。彼の太く存在感の強い歌の絵筆が、シンフォニックなドラマ曲へ人を魅了する感動を描きだしてゆく。フロアーでは、カラフルなサイウリムの光が激しく踊っていた。触れた人の心に輝きを注ぎ込むRickyの歌声から光を受け取った観客たちは、その輝きをまとい、無邪気にはしゃぎ続けていた。Rickyが描いた世界観、なんてハートフルで暖かいんだろう。アダルトなRickyも魅惑的じゃない!?
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S.Q.F
踊れ、跳ねろ、理性をすぐに消し去ってしまえ。触れた人たちを桃源郷にも似た彼方の世界へS.Q.Fが連れだした。躍動的でダンサブル、しかもオリエンタルな香りをまとい、S.Q.Fは『ニライカナイ』を届けてきた。抑揚を描きながら、サビではフロアー中の人たちを跳ねる祭り人に変え、S.Q.Fはこの空間を幻想と情熱が錯綜するマジカルなワンダーランドへ塗り変えてゆく。観客たちの理性を壊す先導(煽動)者と化したmichi.に煽られ、一緒に跳ねずにいれなかった。何時しか僕らは別の次元の扉を開き、素敵な夢の熱狂空間へ足を踏み入れていた。
激しく昂るシンフォニックな同期音と荒ぶる生々しい音を突き付ける演奏陣。生身の感情とデジタルな音色がバトルする中、michi.が雄々しく、大人の色気を振りまくように歌いだした。『PARADIGM SHIFT』に熱く口説かれ、高く拳を振り上げ、熱した想いをぶつける観客たち。轟音渦巻く荘厳で刺激的な演奏を背に、挑発するように歌うmichi.。美しくも野生を匂わせるその姿と歌声に、熱く心が濡れていた。その濡れた心を隠すように、熱狂せずにいれなかった。
身体を痺れさすロックンロールな演奏が炸裂。なんてスリリングな楽曲だ。攻め煽るソリッドな演奏へ、温もりを含ませたmichi.のエモーショナルな歌が折り重なってゆく。歌謡風な匂いを感じさせる歌メロも、艶かしくて印象的だ。抑揚たっぷりに『iDOL』を歌うmichi.の姿は、まさに憧れの視線を注ぎたくなるアイドルのよう。疾走する情熱的な演奏とエモい歌声とが交じりなから熱を放つS.Q.Fのライブ。さすが、お洒落な熱狂の魔術師らしい楽曲やステージングじゃないか。
ダークでデジタルなビートが錯綜。ヤバい毒を塗った演奏をベースに、剥き出しな激しい音を叩きつけるメンバーたち。狂おしくも雄々しき悪魔と化したmichi.が『スピードスター』の演奏へ飛び乗り、騒ぐ観客たちを、もっともっと暴れ狂えと挑発してゆく。悪の貴公子然としたmichi.の姿の、なんて凛々しくも格好良かったことか。そりゃあ、観客たちが理性をすべて溶かしメロメロに熱狂していくのも納得だ。限界のその先まで感情をぶっ壊し、今は全力で騒ぎ狂え!!
最後は、S.Q.F流の熱狂ハードパーティチューン『Cloud Cuckoo Land』の登場だ。荒々しく挑発する歌と演奏に煽られ、ときに親しみを持った歌を届け、観客たちのハートを激しくメロメロにさせる。飛び跳ね煽る姿や、大きく手を振り歌うmichi.の呼びかけに誘われたら、まともでいれるわけがない。「l LOVE YOUから始めよう」、まさにS.Q.Fが作り上げた熱狂に激しく抱かれながら、イキきれたライブだった。
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Rice
軽快にビートを刻みだしたギターのカッティングに乗せ、演奏が心地好く跳ねだした。黄色い歓声を求めるように煽る櫻井有紀。Riceのライブの始まりを告げたのが、『Sing you』。とてもハートフルな2人の気持ちの色が、暖かい心模様が、そのまま伝わってくる楽曲だ。櫻井有紀の歌声が、村田一弘のタイトなビートが、一緒に手を繋ごうと心の手を伸ばしてきた。熱した想いを僕らは、張り上げた声と突き上げた拳に変え、2人が伸ばした暖かい歌の手をしっかりとつかんでいた。
「心は何時もあなたの側に」。音の輝きを降り注いだのが、『Heart is always…』。櫻井有紀の歌声が、聖なる美しさを持って響いてきた。その透明感に満ちた歌声へ導かれるようにDaccoの2人もステージへ飛び込み、大きく手を振り、櫻井有紀と一緒に振りに興じていた。なんて心を優しく浄化してゆく楽曲だろう。その歌に包まれている間、僕らは微笑みを浮かべ、2人の告白のような想いを受け止めていた。ときに一緒に振りを真似ながら、キラキラとした音の粒たちを抱きしめていた。
櫻井有紀にギターを手渡すYURAサマ。爪弾くギターの旋律に合わせ生まれた手拍子。その音の上で、語りかけるように櫻井有紀が『ヒマワリ』を歌いだした。そこへ広がっていたのは、在りし日の夏の思い出の風景??。郷愁を抱かせる楽曲の上で、あの頃へ心の風景を揺り戻すように歌う櫻井有紀。彼の弾いた太いギターの旋律は、過去へ気持ちを誘う音色のよう。
疾走する演奏が、次の風景の扉を開く合図だった。タイトな村田一弘の叩き出すビートの上で、櫻井有紀が過去を思い返すように歌声をはべらせてゆく。優しく駆け続ける『スコール』が、眠っていた心の嘆きを呼び起こした。切ない気持ちを、Riceが柔らかい歌声と演奏で包み込んでゆく。その温もりへ、ずっずっと触れていたい。後半へ向かうにつれ、
楽曲は激しさと熱を次第に上げてゆく。そして…。
優しく墜ちてゆくように響くギターの旋律と櫻井有紀の歌声、そこへ村田一弘のドラムが重なると同時に、楽曲はふたたび熱を抱くように走りだした。温もりと秘めた熱を抱えた『Never』が、「僕の声が聞こえてるかい」と呼びかけてきた。その演奏と歌声は、毛布のような温もりに満ちている。なのに、気持ちはもっともっと熱を求めたくて、身体を疼かせていた。
Riceは、最後に『星に願いを』を届けてくれた。すべての悲しみやわだかまり、抱えた切なさを解き放つように、その歌と演奏は確かな輝きを放ってゆく。けっして眩しい光ではない。むしろ、小さな光をしっかり胸に染み渡らせる。だからこそ、輝く想いを身体中へ吸い込んでいたかった。
短い時間の中、僕らはRiceが差し伸べた心の温もりを肌で感じ続けていた。心が寂しさに震えそうになったら、Riceがかけてくれる歌のブランケットが欲しくなったら、また優しく身体にかけてもらいに行くよ。毛布のはしっこをギュッと両手でつかみなめがら、歌の温もりに抱かれに行くからさ。
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Dacco
この日と、3日間に渡るイベントのトリを飾ったのが、「@Live」の主催者の一人であり、YURAサマもメンバーのDacco。
3人のダンサーを従えたDaccoのエアロビクス…エクササイズ/ストレッチなダンス教室……今宵のライブは、首や肩の凝りを解きほぐす『Fall in LOVE in the spring』からスタート。首や肩を中心に身体を大きくくねらせ、2人は全身を柔らかく軟体化させてゆく。Daccoの歌と軽快な演奏に合わせ2人の動きを真似て踊っているうちに、身体がどんどんほぐれだす。親しみやすい歌を心に感じながら、ときに掛け合いも交え、一緒に振り真似しているだけで健康になれるとは最高じゃない。きっとエアロビ教室に通うよりも安い??。そこは、あなたの判断に任せます。
Lidaの遠吠えから始まった『WILD』は、ワンツーパンチをダンスの軸に据えた、Dacco流雄々しきファイティングな昂揚ナンバー。力強く勇ましい踊りを中心に、Daccoは凛々しい表情と楽曲を持って観客たちを煽っていた。途中には、モンキーダンス風の踊りも登場。だいぶ野生味にあふれた、暴れたい衝動を呼び起こす楽曲じゃないか。つい「WI.WI」したくなる気持ちもわかる気がする。
Dacco流ハイパーでトランシーなダンスナンバー『チャレンジャー』が飛びだした。もも上げを中心に、時には飛び跳ねたり、腕を大きく振り回してと、大きな動きの踊りを描き出す。このダンスは、だいぶエネルギーとカロリーを消費してゆく。正直、チャレンジ精神を持って2人と一緒に踊らないと、曲を乗り切るのはしんどいぞ。これぞDacco流ブートキャンプソングだ。そんな激しさを知ってか知らずか、2人は終始笑顔を浮かべ歌い踊り続けていた。さすがエクササイズのマエストロたちは根本が違う。
腕をダンディに振りながら、二の腕を引き締めるように始まったのが『Eternal Dreamer』。心地好いエレクトロなダンスビートの上で、腕を中心にダイナミックな動きを描き、身体をグイグイ絞ってゆく。ニヤニヤとした笑顔浮かべ2人と一緒に踊りに興じていたら、何時しか光る汗さえ愛おしくなっていた。ヘドバンで汗は出ないのに、二の腕強化で汗が滴り落ちる??。こんなに楽しく汗を流せるのならチケット代も気にならない。3曲連続の笑顔のダイエットは、なかなか楽しくもハードルが高かった!!
これからイベントのトリを担う存在になると宣言したDaccoのライブも、つらいマックス…クライマックスへ。最後にDaccoはエキセントリックでエクササイズ…エキサイティングな『エキセントリック』を披露。つねに振りを加え飛び跳ねてと、大きな全身運動を1曲の中へ凝縮。楽曲自体が雄々しく凛々しい魅力を放っているせいか、観客たちもみずからヒーローになった気分で、激しい動きさえダイナミックな動きを持って楽しんでいた。夢中になって腕を振り上げ飛び跳ねる感覚は、まさに、ヘドバンや逆ダイへ興じているとき以上の全身運動だ。こんなにも無邪気な童心に返りながらはしゃいで痩せられるライブって、Daccoくらい?!。さすが…「Daccoでした」。
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セッション
アンコールのセッションと言えば、その日出演したアーティストたちが一堂に会し、演奏に合わせ騒ぐのが通例。でも、そこはDaccoである。事故照会…自己紹介ナンバー『ダッコール』を通し、ふたたび場内へ2人は熱を導いた。途中からLidaとYURAサマは、楽曲に合わせ、次々と出演者たちを呼び入れた。しかも、出離者全員がコミカルなDaccoダンスを真似てゆくところが素敵じゃない。
全員が揃ったところで、最後に会場中の人たちと一緒に『スーパーTOUGH!』をエクササイズ。Daccoナンバーの中で最もハードでエキサイティングと言われている楽曲を、みんなが笑顔と苦笑いで楽しんでいた。こんな大勢のミュージシャンたちのエクササイズや歌のリレーを観れるのも、Daccoのライブの醍醐味だ。なんて貴重なイベントだ、恐るべしDacco。最後の最後まで笑顔ではしゃいだところも、Daccoらしさ。ホント、「最高でした」。
3日間に渡り繰り広げた、設立6執念…6周年記念のイベント。もちろん来年の今頃には、7失念…7周年イベントを開催してくれるに違いない。その日を心待ちにする…前に、「@Live」は定期的にいろんなイベントを開催しているので、ぜひチェックして足を運んでいただきたい。
PHOTO:
TEXT:長澤智典
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@works project Web http://at-works-project.com/
-セットリスト-
UCHUSENTAI:NOIZ
『WORLD END SUPERSTAR』
『CHROMOSOME SIX』
『コールアウト』
『デッドマンズ・ロデオ・リボルバー』
『Igni+ioN』
Ricky
『My name is…』
『Hi-Techno-Boy』
『↑UP←SIDE→DOWN↓』
『R☆MY WORLD』
S.Q.F
『ニライカナイ』
『PARADIGM SHIFT』
『iDOL』
『スピードスター』
『Cloud Cuckoo Land』
Rice
『Sing you』
『Heart is always…』
『ヒマワリ』
『スコール』
『Never』
『星に願いを』
Dacco
『Fall in LOVE in the spring』
『WILD』
『チャレンジャー』
『Eternal Dreamer』
『エキセントリック』
セッション
『ダッコール』
『スーパー・ウルトラ・グレート・デリシャス・ワンダフル・ミラクル・TOUGH!』
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UCHUSENTAI:NOIZ
Ricky
http://hyperneosoloist.com/ricky/
S.Q.F
Rice
Dacco
@woks project
一緒に盛り上げてくれるスタッフ&アーティスト募集しています♪
2018年02月21日 (水)
【ライヴレポート】2018年2月12日 渋谷DESEO◆楽屋は半分が白塗り状態!?個性派バンドが大集結! @works project 6th anniversary3days「@-LIVE.027−Core scene−」
REPORT - 18:19:30今年で創立6周年を迎える「@works project」。@works projectとは、ex.宇宙戦隊NOIZ/ex.-ZEROdbのドラマーS@TT-ONと当時マネージャーだった倉田が、アーティスト支援・ライブイベント企画制作を主とした活動を行うために始めたプロジェクト。そこへYURAサマ(Dacco/THE BEETHOVEN/Brother/Psycho le Cému)が自身のプロジェクトを加え参加。昨年末に法人化し、現在に至っている。
このたび、@works project主催による3日間に渡るイベント「@works project 6th anniversary 3days」が、2月11日-12日に渋谷DESEOで、13日にTSUTAYA O-WESTを舞台に3日間連続で行われた。
2018年2月12日、@works project 6th anniversary3days「@-LIVE.027−Core scene−」。3日間開催されたイベントの中日となるこの日は、おどろおどろしさの中にも光が差し込むような魅力が詰まったバンドが大集結。会場は身動きをとるのが難しいほど満員だ。
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Cosmo-Shiki
トップを飾ったのはCosmo-Shiki。エッジの効いたベースラインとキック音がフロアに鳴り響く。目元や口元が真っ黒なダークメイクに黒いハットをかぶった清水良行が登場し、ビシっと敬礼をした。
「今日はバンドの中にぶっこまれたCosmo-Shikiなので、みんなの心からの応援が必要だ。いけるか?」
そのたどたどしいしゃべり方に愛嬌を感じたファンは多いはずだ。そして、ボコーダーを通した低い機械的な声で「Night of Aliens」を歌い始めた。フロアはまるでクラブのような縦ノリに。
「みんな元気ですか?」
マイクを両手で持って挙動不審な動きで煽る姿が、曲のポップさに良い意味でアンバランスさを与えている。
続いてはカバー曲「Rock Me Amadeus」。
「バンドもいいけどテクノもね!」
そんなキャッチーなセリフを放ちつつ、歌う清水氏。軽快なテクノ音に思わず体が揺れる。曲の合間のMCでは、「タクシー運転手の機嫌を取る能力が異様に高い。料金の端数を負けてもらったこともある」と話し、フロアからどっと笑いが起こった。
また、@works projectが6周年であることに触れつつ「Cosmo-Shikiは10周年でございます! 今回は少し無理をしてワンマンや福岡2daysなどの主催イベントを入れました!」と、10周年をアピール。
そして、「暴れ慣れていないCosmo-Shikiが暴れる準備をするよ!」と、「VIOLATOR」へ。拳を振り上げたりジャンプをしたり、思い思いに盛り上がるフロア。
ラストはピコピコした明るさの中にも切ないメロディラインをのせた「STARFLYER」。宇宙空間にいるような独創的で可愛らしいステージだった。
【セットリスト】
SE
1.Night of Aliens
2.Rock Me Amadeus(Falcoカバー)
3.Theta in the sky
4.VIOLATOR
5.NEKO SICK
6.STARFLYER
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ストロベリーソングオーケストラ
転換中、お化け屋敷のような怪しげなSEが流れる。一気にライブハウスがアングラな見世物小屋へと化した。「この世は地獄……」というセリフが放たれ、ギターがうねる。「血の軌跡が故の慟哭」では座長の太い声と釵刺灯の甘い高音が混ざり合い、それが淫靡でアングラな世界へ観客を連れて行ってしまった。次第にフロアはヒートアップ。重低音に合わせて激しいヘドバンの渦が巻き起こった。
「機械と点滅の葬列」では、頭をかきむしったり指を指したりする両端の役者の動きからも目をはなせない。彼らの表現する苦悩や絶望が脳内にするりと忍び込んできて、そうしてぐるぐるとのたうち回り、やがてそれが快感へと変わっていく。「幸福の黒い鳥」では釵刺灯の伸びやかな声により、さらに甘い毒を盛られたように全身がしびれていく。
「さらわれた子どもたちはお前たちだ」
ゾクリとするセリフ回しから、座長がアカペラで「彼岸島〜追懐〜」を歌う。「無表情」と筆で書かれた半紙がかかげられる。そして、団員全員での合唱が始まった。
「これは一つの噂話なのである」
「最後の言葉は世界の果て」
次々にひんやりと冷たく、心にべっとりとこびりつくセリフが団員たちの口から放たれる。我々は今どこにいるのか、彼らに何を課されたのか、今一度自分の胸に問いたくなった観客もいたに違いない。
【セットリスト】
1.血の軌跡が故の慟哭
2.機械と点滅の葬列
3.幸福の黒い鳥
4.噂のフォークロア
5.彼岸花〜追懐〜
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加藤透
ノリの良いSEの中登場したのは、ピンク色の髪の毛をツンツンに立てたパンキッシュなヘアスタイルの加藤透。サポートメンバーはBa.ツブクとDr.YURAサマ。わかりやすくてカッコいい、ザ・ロックンロールな曲調の「ストラトキャスター」に、前列ではモッシュが沸き起こっている。以前、加藤透が所属していたバンド、SEX-ANDROIDの香りが残るギターソロに体が揺れる。
MCでは「この後は犬神サアカス團さんも出てくるし、おどろおどろしいバンドに挟まれて普通の人感が否めない」と笑いを誘った。
また、今回は衣装をどうするかも迷ったそう。スーツでそろえるつもりだったのに、実際はパンクっぽい格好の加藤だ。サポートのツブクとYURAサマのみスーツという結果に。
「一人目立ちたかったんだ! いいんですよ、透さんバンドなんだから!笑」と、YURAサマ。「そんな姑息なことはしていないですよ!」と加藤が笑いながら答えた。本当はヒョウ柄の衣装でそろえたかったと加藤。しかし、YURAサマはヒョウ柄の服を持っていない。
ツブク「Lidaさんがヒョウ柄の服持ってたよね。あれを借りれば?」
加藤「いや、あれはヒョウ柄じゃなくてヒョウの顔がプリントされたTシャツ!」
ある意味、独特なセンスが一周回って格好良く映る可能性もあるのかも……? 終始笑いが絶えないMCだった。
爽快なメロディラインの中にどこか懐かしさがこみ上げる「オルゴール」を力強い声で歌う加藤。やがて、タオルを振り回したりヘドバンのあるアップテンポの曲が続いていく。ラストの「I was born」ではモッシュが沸き起こった。哀愁の中にも明るい未来が待っている、そんな希望を感じさせるセットリストだった。
セットリスト
- ストラトキャスター
- その誇り高きピストルで
〜mc〜
- オルゴール
- ポケットの中のレジスタンス
- LOVE&DESTROY
- I was born
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犬神サアカス團
「マクンバの夜」が流れ、拍手で迎えられるメンバー。凶子の赤い花柄の着物がとても似合っている。アングラで心地良いロック、それが犬神サアカス團だ。1曲目の「新宿ゴーゴー」では「あたいとやろうってのかい? いい度胸じゃないか。どっからでもかかってきな、容赦しないよ!」と、挑発的なセリフを放つ。
しかしMCとなると一転。キュートな凶子が表れる。
「今日のイベントのテーマは『ディープなコアな日』なんだって。フフッ。そういう日に呼んでもらえて光栄です。今日も犬神サアカス團は最後まで頑張っていきたいと思います!」
凶子から、白塗りしていても分かるほどの笑顔がこぼれた。
アップテンポで重低音が特徴的な「光と影のトッカータ」。歌詞は決して明るいものではないのに、それをポップにロックに可愛らしく歌えるのが凶子の才能とも言えそうだ。「良い感じに踊った方がいいと思います!」とフロアを煽り、始まった「暗黒礼賛ロックンロール」。サビで手を挙げて盛り上がるフロア。ギターソロがうねる。まさに王道ロックンロールだ。
ラストは「全てのボーイズ&ガールズにささげます!」という言葉とともに、フロアを最高潮にさせた「命みぢかし恋せよ人類!」。サブカル、アングラ、そしてロックンロール。犬神一色となったフロアには、終了後もしばし残り香のような余韻を感じられた。
【セットリスト】
- 新宿ゴーゴー
〜mc~
- 光と影のトッカータ
- 栄光の日々
〜mc〜
- 暗黒礼賛ロックンロール
- 命みぢかし恋せよ人類!
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天照
壮大な和風のSEが流れる中、メンバーが登場。そして、両手の拳を合わせて一礼した。フロアもそれに合わせて一礼。「破邪」のノリの良い打ち込みのイントロが流れる。次の瞬間、フロアに激しいヘドバンの海が広がった。前後に揺れる折りたたみも起こり、一曲目から熱気がムンムンだ。その熱波が引かぬまま「希望が丘」へ。
晃が「天照です!飛べ!」と叫ぶと、フロアは一斉にジャンプ! ステージとフロアが完全に一体化している。地の底から突き上げるような振動が体中に巡る。サビは爽やかなメロディラインがすっと体内に入り込んできたかと思うと、大祀のエッジの効いたギターが鳴り響く。
駆け抜けるように2曲を演奏したがMCではほっこりムードに。本日のイベントは個性的なバンドが勢揃いしているという話題に。
晃「3日日間のイベントの2日目で、明日はキラキラしているバンドが出るらしいよ」
大祀「なんでうち今日なの?」
晃「謎でしょ!?」
大祀「どっちかと言うと、俺たちは3日目なのかなと思ってたんだけど、やっぱり相方が逆路線だから2日目に入れてもらえたのかな?」
フロア:爆笑
また、楽屋の半分が白塗りバンドだったという話題に。
晃「僕は楽屋で黙ってたんだけど、他の人達はみんなワイワイしゃべってたの。で、本番前にわざわざ犬神サアカス團の凶子ちゃんがやって来て、『大祀と晃だったら凶子ちゃんはどっちを選ぶ?』って話をしていたことを教えてくれたのね。そして、凶子ちゃんは『100%大祀君』って答えたんだって」
大祀「人の好みっていろいろあるからさ、元気出して行こうぜ」
再びフロアに笑いが起こった。
MC明けは「まろがれ」へ。フロアはサビでタオルを振り回す。大祀のギターソロでの速弾きは思わず吸い込まれそうになった。
「もういっちょいけんのか! お前ら! あーらよ! 出前一丁!」という独特な晃の煽りから「NATURAL SELLECTION」。フロアにはヘドバンが咲き乱れる。
また、この日、入り口では扇子が配られていた。扇子を使った曲の振り付け講座が始まったが、わりとアバウトだ。そして、フロアも既にその振り付けに慣れているかのように見えた。「鳳凰」が始まると、フロア中に扇子が美しくひらひら舞う。雄大な世界観が広がり、舞う扇子が花吹雪のようにも見える。太鼓昔にタイムスリップでもしたような感覚が、いつまでも体に残っていた。
セットリスト
- 破邪
- 希望が丘
〜MC〜
- まろがれ
- NATURAL SELLECTION
〜MC→振り付け講座〜
- 鳳凰
〜退場SE
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Brother
透明感のあるSEかと思いきや、突如激しさが増していく音と共にメンバーが登場。Vo.の真実が敬礼しながらステージに現れ、煽りの声を上げ「蝶来来」へ。なんだ、この歌唱法は。美しいビブラートがきいているのに、決して声量が落ちることはなく太い声が響き渡る。これは真実から絞り出される、魂の叫びに近い。脳に突き刺さり、一瞬めまいを覚えるほどカリスマ性あふれる声だ。その勢いはフロアにもモッシュやヘドバンとして伝染している。
先程まで大暴れしていたはずのフロアが息を飲んで聴き入っていたのは、メランコリックなイントロの「A fresh dresser」。目を閉じると、ノスタルジックな場末のバーが広がっているような感覚に陥る。ギターのフレーズ一つ一つも心に染み入る。そのしっとり感を保ったまま「アモーレ」へ。あまりにも繊細でウェットなメロディに、鼓膜から入った情報が脳内でとろけそうになる。
安定感のあるドラムで飛び出したのは「セルロイド」。ベースの重低音が体を突き抜けて爽快だ。真実が絶叫し、フロアもジャンプで応える。着物を振り乱して歌う真実の姿は人間に眠っている本能がむき出しになった、まさに獣だ。
一切MCを挟まず、和の世界観と高い演奏力・表現力を魅せつけ続け、あっという間にラストの「籠の中のrule」へ。ノリやすさの中にも、やはり一種の中毒性に陥りそうな特有なクセがビシビシと体内に侵入してくる。
メンバーがはけると、すぐにアンコールの声が上がった。しばらくするとメンバーが登場。主宰者でもある由羅様(YURAサマ)がMCを行った。
「時間は短かったですが、Brotherの世界観をみなさんに伝えられるステージになったかと思います。他のメンバーの別のステージを観たことがある人もいるかもしれませんが、このBrotherでしか観られないものを届けられたのではないかと。派手な活動をしているバンドではありませんが、しっかりと音楽を作っています」(由羅様)
「渋谷、もう一曲聴いてくれるか!?」
真実の煽りでアンコールは「CRIMSON」。イントロからヘドバン、左右のモッシュが起こった。アップテンポのギターの音が気持ち良い。駆け抜けるような最後の叫びがフロアを突き抜ける。Brotherは我々に型にはまった生き方を貫かなくてもいいという思いの丈をぶつけてくれるバンドだった。
【セットリスト】
- 蝶来来
- A fresh dresser
- アモーレ
- 紫苑
- セルロイド
- 籠の中のrule
En1
CRIMSON
非常に濃いバンドばかりが、それぞれの個性を存分に出し切った「@-LIVE.027−Core scene−」。今回出演したバンドは、他とは一線を画しているバンドばかりだ。今後も個性を打ち出したバンドの勢いが衰えないことを願う。そして、様々な手段で音楽を届けることの重要性を追求していってほしい。
Text/姫野ケイ
@woks project
一緒に盛り上げてくれるスタッフ&アーティスト募集しています♪
2018年02月21日 (水)
【ライヴレポート】<Soanプロジェクト with 手鞠 単独公演「旋律、静かな願いと-2018 1st Oneman Live-」>2018年2月11日(日)新横浜NEW SIDE BEACH!!「僕らは光を求めたくて、闇を貪り喰らう。」
REPORT - 17:53:232月11日(日)、新横浜NEW SIDE BEACH!!を舞台にSoanプロジェクトwith手鞠が、Soan/手鞠/タイゾ(from Kra)/祐弥/Sachi(from 黒色すみれ)という布陣のもと、2nd Mini Album『旋律、静かな願いと』を軸に据えた単独公演「旋律、静かな願いと-2018 1st Oneman Live-」を行った。
この日は、Soanプロジェクト with 手鞠の世界をたっぷり耳と心で味わっていただこうと、場内へ椅子席を用意。背もたれに安らぎを感じながら、舞台上から零れ落ちる一つ一つの旋律や歌声をしっかり両の手で受け止められる、安らぎの空間を作り上げていた。
闇に包まれた場内。白く淡い光にその身を照らされながら、タイゾの爪弾くアコギの音色に誘われるように手鞠が語りだした。
「急かされる様な焦燥の日々の帷。私は歩幅が狭いのか、いつだって周りから少し遅れて歩む。だんだんとその距離は離れて、やがて誰も見えなくなってしまうのではないかと、時折、不安に苛まれるほどに…。
新しい年の始まりは、未だ肌を刺す冷たい風と冬曇りの空の下。寒々しい部屋の中、この歌と共に、雪解けのその時を待つ。春めく次の季節に焦がれながら…」
丸みを帯びたアコギの音色に絡む冷たさを持ったピアノの旋律。心の焦燥と、憔悴した想いと、優しさと温もりを秘めた冷たい音色を重ねながら、しんしんと音の雪を降らすようにSoanプロジェクト with 手鞠は楽曲を奏で始めた。
胸の奥からジワジワと染み出す想いを絞るように、手鞠が『焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫(スノーホワイト)』を歌いだした。凍てついた温度を肌に感じながら、会場中の人たちが歌声や演奏へ心揺れる想いを寄せてゆく。何時しかその心は、しんしんと降り積もる音の雪に埋もれていた。
優しく揺れるSoanのピアノの旋律へ導かれるように、手鞠が歌ったのが『相対する質量の交錯する熱量』。微かな熱を持った弦楽の音色で、彼らは冷めた心をゆっくり溶かしてゆく。演奏が進むごとに、手鞠の歌声にも確かな熱の広がりを覚える。胸にせまる??。いや、凍える心を、その歌と演奏はそっと抱きしめてくれた。まだ僅かな温もりかも知れない。それが微かな触れ合いだとしても、それでも確かな熱を持った感情で、彼らは僕らを包み込み、その先の景色へと連れだしてゆく。
「ほの暗い闇の底、灯火を見失った僕は、それに抗うことさえ捨て去ってしまった。鮮やかだった記憶が、まるで灰を被ったかの様にその色彩を失ってゆく。ありもしない影を、この部屋の中に…。今の姿はどれだけ滑稽に写るだろうか…。いや、いずれ誰もが忘れてゆく。彼女の痕跡も、僕の存在も…」
Soanは嘆く心の声を、叩く鍵盤の音色に乗せ響かせた。そこへSachiの咽び泣く弦の嗚咽が重なるや、楽曲は『投影された在りし日の肖像と云う名の亡霊』へ姿を変えてゆく。バックライトの光を浴び、シルエット姿になったメンバーたちの姿が鮮烈に瞼へ飛び込んできた。
まるで、物悲しいサイレント映画へ色と物語を塗り重ねるように響く歌と演奏。モノクロな空間の中へ、熱情を抱いた手鞠の歌声が色を加えてゆく。いや、演奏陣も少しずつその旋律へ色を注いでいた。その様は、深い夜が開けたときに空へ差し込む蒼い光のよう。Soanプロジェクト with 手鞠の演奏は、闇に染まった胸の中の風景へ光る色を染み込ませていた。やがて発色するのを心待ちにする早咲きの花のような光の種として…。いや、その花は、光絶えるように枯れて逝ったのか…。その答えは、触れた人たちに委ねようか…。
「危うげな均衡の上に成立する秩序。全てが天秤の降り幅の出来事ならば、それが真理だと云うのならば、あまりにも僕らは小さく、また無力な存在だ。けれど、己を肯定出来るのは…。また、己であると云うことを、きっと、キミに知っていて欲しいんだ。やがて、数多の命もこの星に還って、何処かの誰かになる時が来たら…。その時は、争いを忘れる事を…。罪を手離す事が、我々は出来るのでしょうか…」
今にも壊れそうに切々と響くピアノの調べ。その音色に誘われるよう、優しく音を重ねる弦楽奏者たち。『それは呪いと同義語の魂の鎖 永遠に続く祝福と云う名のカルマ』が、触れた人たちを幻惑な世界へ連れだした。そこは、理想郷??。物悲しい風が吹くその世界で身を凍えながら、あえて身体に痛みを覚えることで僕らは生きていることを確かに感じていた。「生」を覚えることへ、僕らは生きるための理想を見い出していた。
Soanプロジェクト with 手鞠は、世界中から響く嘆きを歌声と演奏に乗せ、我々の心へ痛みに変え届けてゆく。その世界の先に広がる荒れた理想郷を僕らは知ってしまったからこそ、その切ない音の風景に生きる意味を感じていた。
「柔らかな甘い薫りが漂う。いつだって、片時も忘れる事なく、その存在を感じるよ」。郷愁を誘う音色。心の奥底に閉まっていた懐かしい風景を呼び起こすように、胸の鍵穴を開く鍵となった歌が、カチャリと箱の扉を開けた。無垢で無邪気だったあの頃の姿、いや、今でも僕らは、あの淡い想いを失くしてはいない。扉を開けた先から匂った林檎の香りが、眠っていた情熱を呼び起こす。『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』が、消していた心の思い出を、ふたたび心の印画紙へ鮮やかに焼き付けてゆく…。
「人は望むも望まざるも無く、時に変化を強いられると思います。それは、みずからを守るために必要不可欠なもので、ときには、その変化に我が身を委ねばならないときもある。その為に失わなくてはいけない理念や信念、意思を棄てる判断を問われる事もあります。けれど、それを代償に得るものに意味や価値を見い出だせないだろうか。それで、みずからの個性を失ってしまったら。
僕らは自分らの信念を信じて、ここまで我がままに生きてきました。大勢の人たちが理想と現実との摩擦に葛藤し、苦痛を覚えていると思います。それを覚えてる人たちは、きっと優しくて傷つきやすいからこそ、心苦しんでしまうんだと思います。同じ痛みを知る誰かが、その苦しみを理解してくれたら…。その痛みを分かち合う想いをここに書きました」
ノスタルジー…その音色は、僕らを何処へ連れていくのだろうか。悲痛な音色を、茜色にも似たその歌声と演奏を、僕らは、彼らと分かち合っていた。哀愁へ誘う新曲の『黄昏色に融解する視界と屈折した類推(アナロジー)(仮)』に込めた想いを舞台上の5人と分かち合うことで、僕らもこの歌に染み込ませた痛みと優しさを、たとえ傷ついた心でさえ共有していける。
彼らは、悲しい音色の中から、しっかりと手を差し伸べてきた。その手をつかむのも、背けるも自由。彼らはその手を伸ばしたくて心の惑いを届けてきた。その手を握るも、無視をするのも、すべてはあなたの心の道筋次第…。
「改めて、幸福とは何かを考える事があります。定義は、人それぞれだと思います。その幸福が、人によっては甘いものを食べてることだったり、このライブを観ていることが幸福だったり…。
20代中頃はがむしゃらがゆえに視野が狭くなり、気づかいが出来ないあまりに、まわりの人たちを傷つけていたこともありました。でも、さまざまな経験を重ねてきたせいか、ここ数年の中、ありふれた日々の中にこそ幸福があるんだと気づければ、そのことに幸せを感じています。もし、それに気づけなかったら、今でも、生きることを得意でなかったかも知れない…。
幸せには、いろんな形があります。少なくとも僕は地位も名誉もいらなくて、ありふれた日常の中で幸せを感じれる環境と感情を、この音楽で守れたらと思ってます。ささやかな幸せが、穏やかな日々が、みなさんにも訪れますように」
祐弥の奏でる二胡の調べに優しく絡み合うSoanのピアノ。たおやかなその優しい旋律は、『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』へその姿を変えていった。
穏やかな暖かい音色で、儚い心模様を包むように。汚れ、疲れを抱いた感情を、その音で癒すように、彼らは擦り傷だらけの心へ幸せの音の薬を優しく塗り込んでゆく。この空間にいる間だけは、暖かい音の毛布にくるまり、切なさと幸せを折り重ねる物語に耳を傾けていたい。合わせ鏡のような穏やかな歌と演奏に、今は優しく抱かれ、ひとときの幸せの夢を観ていたい。
「この距離は、キミと僕を隔てる確かな境界線。この壁は、キミと僕を隔てる暗黙の規律。ひとたびそれに踏み入れたなら、たちどころに傷を受ける事になる。だけど、これはきっと僕の中の最後の優しさで、その呵責ともどかしさにいつだって胸を痛めるんだ。この仮面の下で…」
演奏が進むごとに音の波動を高めてゆくSoanのピアノ。その音色が動きを止めた瞬間、祐弥の掻き鳴らすアコギが叫ぶように音を響かせた。心の奥底から沸き上がる情熱のままに声を吐き出す手鞠。とても凛々しく、スリリングな演奏の上で、Soanプロジェクト with 手鞠は『正否の相違、或いは利害の不一致』を突き付けた。優しく手を差し伸べるだけが届ける声じゃない。沸き立つ感情のままに歌い叫ぶことが、むしろ「生」を覚えることだと言うように、激しく躍動的な演奏が観客たちの胸をノックする。「僕は君のように生きれない」。その言葉の意味を、誰もが同じよう舞台上の彼らへぶつけていた。何時だって同じ匂いを感じながらも、異なる地にいるからこそ、僕らは彼らに惹かれてゆく…。
「どうやって誰かを許せばいい?。他者を見下すことの優越感に呼吸の仕方を見いだす輩を。どうやって自分を赦せばいい?。劣等感に苛まれ、屈辱にまみれながら、どんなに抗っても足掻いても吐き出しても、理性の箍を食い破って醜い感情が溢れ出してしまう。
きっと、誰にも救う事なんて出来ない。いいや、救いの手なんて求めていないんだ。穢れた手を差し出すな!」
嗚咽と怒り交じりで叫ぶ手鞠。何時しか彼は狂ったように笑いながら、現実と狂気の狭間へ身を落としてゆく。そんな手鞠の感情を煽るように、タイゾがパーカッシブなアコギの演奏を通し、彼の身へ情熱を注ぎだした。演奏は、スパニッシュな情景描く『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』へ。みずからの本性を、本当の姿を探すように、情熱的な演奏に乗せ歌う手鞠。ジプシーのように彷徨いながら、あるべき自分を探し、彷徨い、そして求めてゆく。「誰かを憎んで、憎んでみたけれども、結局誰のせいにも出来ないでいるの」。自分さえ憎めない弱い自分を認め、有りのままの醜い自分さえも情熱抱いた音に乗せ、今は解き放て…。
「さぁ、次の季節へ。暖かな記憶と共に…」。突き抜けた情熱の先に広がったのは、暖かい春の季節にも似た、心を穏やかに癒す優しい風景。『春色の音色、記憶回廊』が、熱情した気持ちが放つ余熱を吸い取り、肌に優しい暖かな風に変えてゆく。そよ吹く風は、触れた人の記憶を、懐かしいあの頃の風景へ連れ戻していった。それは、夢を抱き旅立ちを決意した頃の姿。それとも、愛しき人と共に歩いた薄紅色な花の香りに包まれた風景。その歌は、閉まっていた心のアルバムのページを次々とめくってくれた。まるで、早春な季節の青春な風景へ想いを馳せるように…。
「この音楽が、みなさんにとって寄り添う音楽であればと思います。そして、何時になっても聴いてもらえる音楽として表現していけたらと思います。良い音楽はずっと残っていくし、それを伝えていけたら…。我々の音楽がずっと希望であれたらと思います」
最後は、訪れた人たちの心へ希望の光を射すように、『そして君は希望の光の中に消えた』を演奏。大きく揺れる音のゆりかごの中に身を預け、今は、ただただ揺られていたい。その歌と演奏は、琴線を、心のゆりかごを優しく揺さぶる母親の手のようだ。大きな優しさを覚えながら、その演奏へ身を預けていたい。それ以外に、今は何もいらない。何故なら、それこそが今、僕らの手にした幸せなのだから…。
アンコール前には、手鞠と祐弥が舞台上で「モンスターハンター」話など緩い会話を交わしていた。手鞠は素敵なバレンタインの話へ持っていきたかったところを、祐弥がコミカルに崩していたところも、らしいやり取りじゃない。
アンコールでは、新曲『醜悪なる獣穿つ矢、致死を以て野卑を屠る(仮)』を披露。Soanの「寝かせるのは本編まで」という言葉を示すように、新曲は、Soanプロジェクト with 手鞠流の輝き放つ躍動を持ったスタイル。歌は90年代青春刹那なヴィジュアル系寄り、Sachiのヴォイオリンの音色が重なることで優雅さや荘厳さを醸し出してはゆくが、Soanプロジェクト with 手鞠には数少ない拳を振り上げたくなる情熱疾走ナンバーなのが、とても新鮮で刺激的だった。
熱狂を受け、最後に届けたのが『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』。優雅な、でも、力強く躍動するビートに煽られ大きく手を振らずにいれない、とても光をまとった華やかな楽曲だ。たとえどんな闇の世界を彷徨おうと、彼らは希望の光を届けてくれる。何時だってSoanプロジェクト with 手鞠は、その先の光満ちた風景へ心を誘ってゆく。笑顔の花咲く暖かな景色の中で優しく手を取り合いたくて。そんな彼らの笑顔に逢いたくて、僕らはSoanプロジェクト with 手鞠が用意した深く暗い微睡みの世界へ、みずから足を踏み出してゆくのかも知れない。
さぁ、この続きは、これから始まるSoanプロジェクト with 手鞠、そしてSoanプロジェクトwith 芥のツアーで味わってくれ。
PHOTO:遠藤真樹
TEXT:長澤智典
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2018.2.11(sun)
新横浜NEW SIDE BEACH!!(神奈川県)
Soanプロジェクトwith手鞠『旋律、静かな願いと-2018 1st Oneman Live-』
Produce・Music・Drums・Piano:Soan
Lyric・Vocal:手鞠
Acoustic Guitar:タイゾ(from Kra)
Acoustic Guitar・二胡・Chorus:祐弥
Violin:Sachi(from 黒色すみれ)
Lyric:手鞠 Music:Soan
1.『焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫(スノーホワイト)』
2.『相対する質量の交錯する熱量 』
3.『sign…-resonance-』
4.『投影された在りし日の肖像と云う名の亡霊』
5.『それは呪いと同義語の魂の鎖 永遠に続く祝福と云う名のカルマ』
6.『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』
7.『黄昏色に融解する視界と屈折した類推(アナロジー)(仮)』
-Soan Piano & 祐弥 二胡 Session-
8.『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』
9.『正否の相違、或いは利害の不一致』
-タイゾSolo & Sachi Solo-
10.『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』
11.『春色の音色、記憶回廊』
12.『そして君は希望の光の中に消えた』
Encore
1.『醜悪なる獣穿つ矢、致死を以て野卑を屠る(仮)』
2.『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』