2019年01月17日 (木)
【ライヴレポート】<MUCC×DEZERT[Is This The “FACT”?]TOUR 2019>◆2019年1月15日 恵比寿LIQUIDROOM
REPORT - 19:40:15容赦なき熾烈で過激な本気の兄弟喧嘩が、いよいよ東京の地でも繰り広げ始められることとなった。
この年明けから福岡、大阪において連戦が展開されてきた【MUCC×DEZERT[Is This The “FACT”?]TOUR 2019】は、そもそもDEZERTの千秋がMUCCの逹瑯に「一緒にツアーをやりませんか」と自ら持ちかけて実現したという完全アーティスト主導型のツーマンツアー。もちろん、DEZERTからしてみればMUCCは大先輩にあたるバンドであり、近年は互いの主催するイヴェントにて競演する機会などが増えてはいるものの、その大先輩の胸を借りるどころか、胸ぐらに思い切りつかみかかる勢いで闘いを挑もうというのがDEZERT側の思惑であることが、このツアー開始前からまさにフロントマン・千秋の口からも明確なかたちで語られていたのである。
「MUCCは懐が深いよねぇ。俺はそんなMUCC兄さんたちの精神性が好き。そして、好きだからこそボコボコにしたい!」
と同時に、その勝負を受けて立つ側のMUCCも良い意味でいつまでもオトナゲナイところを持ち続けてきているバンドだけに、相手が後輩だろうと一切の手加減などしてくれるわけもないのは周知の事実。
ちなみに、今回この1月15日の東京初戦公演ではMUCCが先手を打つことになっており、まずはその1曲目からして最高にふるっていた。
生きる意味について深く謳いあげる讃歌「リブラ」を、ライヴバンド・MUCCとしての貫録たっぷりに冒頭からいきなりブチかましてみせたのだ。
ワンマンライヴでいう佳境部分にあたるようなところを、ツーマンのセットリストの中へふんだんに盛り込んでくる戦略と、それをキレ味の鋭い演奏や歌で聴衆を圧倒していく手腕はやはり流石の一言。
「もしかすると、今日がライヴ初めっていう人もいるのかな?今年もよろしくお願いします!という感じで、DEZERTと廻っておりますMUCCです。
東京に帰って参りました!楽屋では千秋に「今日の調子はどうなの」と訊いても「普通」としか答えてくれませんでした。
そして、大阪で千秋に送ったLINEの既読は結局今日の入りの時までつきませんでした。
そんな感じで和気あいあいとツアーをやってますので(笑)、今日も和気あいあいとやっていければと。よろしく!」
常にマイペースで、相手が先輩であってもコビヘツラウことをしない千秋の行状が逹瑯によって暴露される一幕もありつつ(笑)、MUCCは後半戦においても堂々たる音と立ち居振る舞いを我々に対して提示し、フロアがサークルピットだらけになった「MAD YACK」、続出するリフトからのクラウドサーフであたりがカオスと化した「大嫌い」、さらにラストでは最新シングル曲「生と死と君」でMUCCならでのは深淵かつ深遠なるサウンドをもって、その場に集った人々を心酔させるに至ったことは言うまでもない。
正直なところ、あれだけMUCCに本気でやりたい放題にやられた直後に二番手としてステージ上へと躍り出て、正攻法での太刀打ちしようとするには相当な覚悟が必要だったとは思うが、そこはDEZERTも気骨あるバンドだけに決して負けてはいなかった。
攻めの姿勢をそのままあらわすかのごとく、年末あたりからライヴで演奏をするようになった「新曲」を挨拶がわりの1曲として演奏をしだしたかと思えば、先ほどMUCCが演奏していた「MAD YACK」がよほど気に入ったのか、「蝶々」ではオーディエンスに対するあおりとして「MAD YACK!」という言葉をやたらと頻発しながら千秋は上機嫌で舞台上を駆け回ってみせる。
それでいて、後半での「遺書。」から最新アルバム『TODAY』のタイトルチューン「TODAY」が始まる場面にかけての流れでは、千秋が素直な本音をぽろりと漏らしてみせる場面もあった。
「MUCCどうもありがとう。俺はオトナゲナイあなたたちが大好きだよ(笑)。正直ここ2年間くらいずっとおんぶに抱っこでやってきたけど、MUCCは数少ない心から尊敬出来る音楽家です。このツアー、最高!だから、来年またやろう!!本来なら4日目の最終日とかで言うことを、初日に言っちゃうから俺(笑)。その時まで、ちょっと背伸びしててでもやってみよう。2019年を。前向きでもない、後ろ向きでもない、こんな醜い自分に今日は歌います!「TODAY」!!」
さて。端的に言えば、この本編までだけでも必見必聴の大充実イヴェントであったことは間違いないものの、この夜についてはアンコールがまた非常に秀逸だったこともここに付記しておきたいと思う。
何故なら、今ツアーでの会場限定で発売されているコラボCD、DEZERMUCCの『蟲/ガチャガチャムクムク』が、参加メンバー全員によるセッション形式にて生演奏されたばかりか、唐突にスタンダードナンバー「Stand my Me」のひとくだりがはさまれたり、一方ではMUCCの面々が演奏するDEZERTの「殺意」、はたまたDEZERTの面々が演奏するMUCCの「蘭鋳」までもが飛び出し、結果的にはMUCCにとってもDEZERTにとってもwin-winにしてハッピーな空気感をもって、この容赦なき熾烈で過激な本気の兄弟喧嘩はひとまずの大団円、というかたちを迎えることになったからだ。
「東京の初日からして既にこれだと、明日以降どうなっちゃうのかちょっとコワイですけど(苦笑)。まぁ、楽しいからいいでしょう!!」(逹瑯)
残すところ、注目の大決戦は1月29日(火)と30日(水)の恵比寿リキッドルームでの2公演のみ。
最後の最後まで何が起こるか分からない、容赦なき熾烈で過激な本気の兄弟喧嘩【MUCC×DEZERT[Is This The “FACT”?]TOUR 2019】の行く末を、皆様方ぜひともお見逃し無きよう!
写真◎西槇太一
文◎杉江由紀
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Event Information
■【Is This The “FACT”?】TOUR 2019
出演:DEZERT / MUCC
1月29日(火) 恵比寿LIQUIDROOM OPEN 17:00 / START 18:00
1月30日(水) 恵比寿LIQUIDROOM OPEN 17:00 / START 18:00
【チケット料金】前売:¥6,000(tax in)
※オールスタンディング ※入場時ドリンク代別途必要
※未就学児入場不可・営利目的の転売禁止
【チケット発売中】
イープラス https://bit.ly/2DgAstz
ローソンチケット https://bit.ly/2FxgeOn
チケットぴあ https://bit.ly/2RZe9kh
LINEチケット https://ticket.line.me/artists/10065
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
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≪MUCC Information≫
<Release>
■ニューコンセプトアルバム『壊れたピアノとリビングデッド』 2019年2月13日(水)Release!
収録内容及びインストアについてはコチラ→https://55-69.com/news/128681
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<Live>
■壊れたピアノとリビングデッド
2月16日(土) Zepp Nagoya OPEN 17:00 / START 18:00 (問)ジェイルハウス 052-936-6041
2月17日(日) Zepp Osaka Bayside OPEN 17:00 / START 18:00 (問)キョードーインフォメーション 0570-200-888
3月31日(日) Zepp Tokyo ~平成最後のスペシャルワンマン~ OPEN 17:00 / START 18:00 (問)DISK GARAGE 050-5533-0888
4月1日(月) Zepp Tokyo ~平成最後のスペシャルワンマン~ OPEN 18:00 / START 19:00 (問)DISK GARAGE 050-5533-0888
【チケット一般発売中!】
前売:1Fオールスタンディング \6,000(tax in /ドリンク代別) / 2F 指定席 \7,000(tax in /ドリンク代別)
各会場プレイガイド情報などの詳細はコチラ→https://55-69.com/news/130499
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■壊れたピアノとリビングデッド feat. 殺シノ調べ
会場/日時はコチラ→https://55-69.com/news/122044
※詳細は後日発表いたします。
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<Subscription Service>
メジャー音源を含むMUCCの楽曲をApple Music、Spotify、LINE MUSIC、Prime Musicなどで配信中!
<Official HP> http://www.55-69.com/
<Official Twitter> https://twitter.com/muccofficial
<Official Instagram> https://www.instagram.com/mucc_official/
<Official Facebook> https://www.facebook.com/facemucc
<Official Weibo> https://www.weibo.com/muccofficial
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≪DEZERT Information≫
<Release>
■自身初、両A面シングル「血液がない! / Stranger」 4月3日(水) Release!
詳細はコチラ→http://www.dezert.jp/news/0/44549/
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<Live>
■DEZERT 2019 TOUR “血液がない!”
8都市9本に及ぶ、バンド史上初、ホールでのワンマンツアーが決定!
【チケット料金】 全席指定 前売:¥5,000(tax in)
一般発売に先駆けて1月20日(日)21:00まで先行発売中!
オフィシャルHP先行(イープラス抽選受付 / お1人様4枚まで) 受付URL:http://eplus.jp/dezert19-hp/
日程、場所、チケットについてなどの詳細はコチラ→http://www.dezert.jp/news/0/44302/
■CHIAKI BIRTHDAY LIVE 一ノ瀬千秋 単独公演~ひとりじゃできないもん!~
3月4日(月) Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
【時間】 OPEN 18:30 / START 19:00
【出演】 一ノ瀬千秋 (ゲストミュージシャン:DEZERTな皆様)
【チケット料金】 前売:¥5,000(tax in) 全席指定 ※ドリンク代別
【チケット発売日】 1月19日(土)
・イープラス http://eplus.jp/
・チケットぴあ TEL 0570-02-9999 (Pコード: 141-732)
・ローソンチケット TEL 0570-084-003 (Lコード: 71642)
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
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<Subscription Service>
■最新アルバム「 TODAY」に加え、入手困難な音源を含む全楽曲をApple Music、Spotify、LINE MUSIC、Prime Musicなどで配信中!
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Official HP http://www.dezert.jp
Official YouTube https://www.youtube.com/channel/UCuDMtFChwldsecKgGQrWUeA
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Twitter https://twitter.com/DEZERT_OFFICIAL
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2019年01月16日 (水)
【ライヴレポート」】新世紀えぴっくすたぁネ申◆1月13日、東京・ZircoTokyoで大我生誕ライブ2019<大変よく頑張ってます。>を開催!
REPORT - 14:03:58現在、着実にブームを巻き起こしているメンドル(メンズアイドル)シーンにおいて圧倒的な存在感を放つアイドル系ヲタクグループ・新世紀えぴっくすたぁネ申。“1000人動員できなければ解散”という彼らにとって運命の日となるマイナビBLITZ赤坂ワンマンを10日後に控えた1月13日、東京・ZircoTokyoで大我生誕ライブ2019『大変よく頑張ってます。』を開催した。
会場に足を踏み入れると、会場中に大我のイメージカラーである紫色の風船が所狭しと設置され、開演前からお誕生日ムードが会場に漂う。ライヴは大我からのメッセージVTRで開演し、会場を暖めるべく行われたメンバー曰く“大我らしい”若干シュールなコールアンドレスポンスを経て色とりどりのサイリウムの海の中「KAMAsaaaaay!!!!!!」でスタートし、<かませ!>の声やラインダンスでフロアを盛り上げる。続くこの日仕様に歌いだしと落ちサビを大我が務めた「キミホリック」、アヤァ・オブ・ザワールド(以下、あやぁ)が歌詞にならって「本日で25レベル(25歳)になりました」と大我を紹介した「GAME」でフロアをアゲていく。
さらにあやぁの爆笑MCをはさみ、和メロとメンバーが扇子を使ったパフォーマンスを見せてくれる「命短シ恋セヨ人類」では扇子を忘れたたくぴーがフライヤーを折って代用し会場の笑いを誘う。また、イントロで歓声があがった「ゴーストパーティー」、あやぁのド迫力のスクリームで始まったアッパーチューン「Re:Re:Re:START」で前半戦を締めくくった。
ここからは生誕コーナーということで和気藹藹とした雰囲気でケーキやプレゼントを大我に贈り、大我本人からお礼の言葉、そして23日のマイナビBLITZ赤坂でのワンマンのことを考えるあまり生誕イベントの告知が遅くなってしまったことへのお詫びの言葉を述べるシーンは心優しい大我らしい一コマだったように思う。そして、大我は一人で秦基博の「ひまわりの約束」を披露。元々は別の曲を歌うつもりだったが、歌詞を読んで届けられるものがあったらいいなとこの曲を選んだという通り、その優しく寄り添うような歌詞に涙するファンの姿も見られ、大我の想いがしっかりと届いていることをうかがうことができた。
後半戦は大我がコーディネートした衣装をまとったメンバーが登場しスタート。そしてこの日披露された新曲「RISING STAR」はDaichiが作詞と振付を担当し、彼らが未来に向かっていくような曲だ。まさに運命のを日を10日後に控えた彼らが未来を掴むためのような曲であり、曲中のDaichiの伸びやかな雄たけびは彼らがあげた狼煙のようだった。ここからライヴは熱を上げていく。まずは「RISING STAR」と同じくポジティブで前に進む強さを持ったベイビーレイズJAPANのカバーである「夜明けBrand New Days」、メンバーからファンへの愛の告白のような甘さにあふれた「愛踊ロマンス」、そしてメンバーのピースサインが眩しい「BabySmile」とフロアからも大きな声があがる曲を立て続けに投下し一緒にライヴを作っていく。
終始ゆるい雰囲気で進み、メンバーにもあらためて“大我らしい”と言わしめるライヴはついに最後のセクションに突入し、虹のコンキスタドールの「トライアングルドリーマー」カバーではこの日一番のMIXの声があがる。続くオーディエンスが手を大きく振るパーティーチューン「STARLIGHT」でラストスパートに拍車をかけ、彼らがアイドル全開でファンのハートを射止めるべく甘い言葉をささやく「怪盗☆スター」の間奏では大我生誕仕様として紫色のサイリウムでヲタ芸を打つシーンが見られた。そして、この日の最後に披露された「Summer Player」はこの日の主役である大我による全編ソロで歌われ、はじめはメンバーに焚きつけられ戸惑いながら歌いだした大我ではあったが、最後はたくぴーと池田に担がれ堂々と歌い上げてくれた。
また、 本編終了後には「モンスター」のMVが初解禁された。数多くのエキストラが参加する中、昨年10月に同グループを脱退したk-toと流星の姿が映った瞬間には会場から声があがるシーンも見られた。こちらのMVはオフィシャルYoutubeでも公開されており、彼らが向かう先をしっかりと確かめて欲しい。
アンコールはゴリゴリの重低音が響く「CRAZY CRAZY」から。さらに四つ打ちのビートが心地よいエレクトロポップナンバー「シーソーゲーム」ではキレキレのダンスを披露し、ラストは「お祭り戦隊ヒーロー」でメンバーもフロアも声をあげ、文字通りお祭り騒ぎでライヴを締めくくった。
この日のライヴを見てもわかるが、彼らは誰一人としてマイナビBLITZ赤坂で1000人動員することを諦めていない。そして前だけを見ている。それはこの日も披露した新曲である「RISING STAR」の<さぁ Rising star 掴むんだ あのヒカリ あのミライ 奇跡だって起こすよ>の歌詞や、アンコールで公開された「モンスター」の<ここで終わるわけにはいかないから>の歌詞にも表れているだろう。これまでのEPIC STAR時代ももちろん、新世紀えぴっくすたぁネ申のすべてを賭けた運命の日は間もなく。泣いても笑ってもすべては23日に決まる。彼らはここで終わるわけにはいかないし、ここで終わるわけがないんだ。
MV「モンスター」フルムービー公開中
https://www.youtube.com/watch?v=SjU_oA_PMvA
(取材・文 オザキケイト)
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新世紀えぴっくすたぁネ申 youtube
https://www.youtube.com/channel/UCh4EfW8gmwgOEjukrokIC9Q
新世紀えぴっくすたぁネ申 twitter
https://twitter.com/Epic_hstk_h
新世紀えぴっくすたぁネ申 Web
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「シン・ネ申ワンマン」
2019年1月23日(水)マイナビBLITZ赤坂
OPEN/START:18:00/19:00
チケット:前方5000円/中間3000円/後方1000円(税込・D代別途)
発売中
https://t.livepocket.jp/e/0123blitz
2019年01月11日 (金)
【ライヴレポート】2019年1月6日(日)EX THEATER ROPPONGI<LIVE CAFÉ 15th Anniversary Year Grand Finale>のライブをもって、アンティック-珈琲店- 15年の歴史に幕──。「笑顔でお別れは難しいかもしれないけど、みんなには笑っていてもらいたい」
REPORT - 19:00:06アンティック-珈琲店-は、昨年6月、現体制での活動を2019年1月の活動をもって休止することを発表した。
結成15周年イヤーにまさかの発表。
でも、大きな節目だからこそ、メンバーそれぞれが自分の未来を見据えた上での決断だったのかもしれない。
そして彼らは、“15th Anniversary Year Special LIVE CAFÉ TOUR 2018「ラグニャロク」〜the last voyage〜”と銘打った全国ツアーに出た。
このツアーのファイナルであり、現アンカフェにとってのファイナルともなるライブが、EX THEATER ROPPONGIでのグランドファイナル2デイズだ。
ヴォーカル・みくの誕生日でもある1月5日に開催された1日目は、愛しい相手への想いを綴ったラブソング「Spring Snow」に始まり、感謝の言葉を詰めこんだ「世界にたった一つの温もり」で終わるセットリスト。
「覚醒ヒロイズム」や「スマイル一番イイ♀~2015ver.〜」など、アンカフェの代表曲を盛り込みながら、“原宿ダンスロック”を信条とするアンカフェらしい、明るく元気な楽曲で盛り上げた構成だった。本当の最後となる2日目は──。
みくの“生涯最愛の皆さまへ──”という一言からライブはスタート。
1曲目の「MY♡LEAPS FOR “C”」は、大好きな人に未来を誓うメッセージを込めたナンバー。
1日目の「Spring Snow」に続き、目の前にいる多くのファンへの想いを伝える楽曲を1曲目に選んできたことが胸に沁みる。
やっぱり、“今日で最後なんだ”と思うと、ステージを見る目がどうしてもセンチメンタルになってしまう。
最後のライブは思い切り楽しみたいのに……。
今、目の前にいる5人がそんな寂しさを吹き飛ばすステージをこの先見せてくれることを願いながら次々と続く楽曲に耳を傾ける。
「覚醒ヒロイズム」「流星ロケット」と、ライブではおなじみの代表曲的ナンバーが続くが、今回の演出はとてもスタイリッシュだ。
色とりどりのレーザー光線が飛び交う場内の雰囲気は、これまでのにぎやかでかわいい印象のアンカフェとは趣が異なる。
“アンカフェも大人っぽい演出が似合うバンドになっていたんだな”と思ってしまうのは、しんみりした気持ちがまだまだ自分の中にくすぶっているからだろうか。
ステージに向かう観客側と同じく、メンバーも寂しさや複雑な気持ちを抱えてステージに上がっているのだろうか、最初のMCでみくは
「歌っちゃうと終わりに近づいていくのかと思えて悲しいんですけど……。
ちゃんと向き合わないといけないので。
残された時間を思いっきり楽しんで帰りますよ。
しっかりと、アンティック-珈琲店-の音楽と15年間の感謝をしっかりとみんなに届けたいと思います」
と話した。
強がることなく、自分の素直な気持ちを包み隠さず伝える姿は、つねに等身大でファンの前に立ってきたアンカフェらしい。
この言葉を聞いて、悲しい気持ちはフタをせず、彼らと一緒に悲しんでもいいんだなと気持ちの切り替えができたように思う。
とはいえやっぱり、曲が進むにつれ、アンカフェが持つ幅広い引き出しに気持ちは上がっていく。
というのも、「スノーシーン」から本編ラストまでの13連発(厳密にいうと、ゆうきがヴォーカルをとった「ニャッピーメドレー」で5曲をダイジェスト演奏したので、計17曲)が圧巻過ぎた!
「逃避回路」「我侭行進曲」といったダークで激しい初期のナンバーではフロアがヘドバンの嵐となり、アンカフェオリジナルキャラのニャッピーが登場した「ニャッピーメドレー」ではアンカフェらしい毒のある可愛らしさが炸裂し、「ダックのマジカルアドベンチャー」ではメンバーいじりのロングMCで場内に爆笑が起き……15年の歴史を駆け足で振り返るような構成がとても楽しかった。
このセットリストは、あらためて、アンティック-珈琲店-というバンドの魅力に気づかせてくれた。
彼らは演奏技術がウリのバンドではない。
けして器用でもない。
でも、それ以上にアンカフェには大きな武器がある。
原宿ダンスロックのボトムを支え、エレクトリックと生ドラムの融合にチャレンジし続けつつ数々の楽曲を生み出してきたドラムの輝喜、ほのぼのしたキャラクターと抜群のソングライティングセンスで独自のキャラクターを確立したベースのカノン、飛び道具的なキャラクターと華やかな鍵盤の音色でアンカフェに新しい色を持ち込んだキーボードのゆうき、端正なルックスと職人気質の真面目なプレイスタイルで個性を放ったギターのtakuya。
そして、バカがつくほど正直に自分の想いを歌詞にぶつけ、多くのファンの心に届く歌を歌ってきたみく。
この5人が集まると、ほかのバンドにはない“花”が生まれることを、ラストステージで再認識させられたのだ。
本編終了後のアンコールは2回。
1回目では、結成12年目にして進出を果たしたメジャーシーンでリリースした2曲を披露。
個人的には、メジャーデビュー曲「千年DIVE!!!!!」でアンカフェは新たな可能性の扉を開いたと感じていた。
他アーティストからの提供曲とはいえ、それをしっかりアンカフェ色に染め上げ、抜群の疾走感を突きつけたサウンドに未来の広がりを感じてワクワクしたことを覚えている。
そして、2回目のアンコールは、メンバーが一人ずつ登場し、客席へメッセージを伝えていくスタイルでスタート。
それぞれの想いを込めたメッセージ、ぜひ受け止めて欲しい。
*
輝喜:アンティック-珈琲店-は、坊くんも含めてすごく不思議なメンバーが集まったバンドだと今さらながら強く思います。
どんなに素晴らしいミュージシャンが5人集まっても、この曲とこの空気感はできません。
この出会いは偶然じゃないと思います。
神様がこの5人を選んでアンティック-珈琲店-を作ってくれたんだと僕は信じています。
今日、あともうちょっとだけ演奏したら、僕はアンティック-珈琲店-を去ります。
だけど、明日になってもその先も、僕はずっとアンティック-珈琲店-が大好きです。
アンティック-珈琲店-の音楽を僕は信じているし、みんなと一緒に歩んで作り上げてきた思い出と軌跡、足跡をずっと信じてる。
それは、形が変わってもずっと変わりません。
みんなもきっと、アンティック-珈琲店-に出会って、生まれた想いや気持ちがあるはずです。
この先も、つらいことや悲しいことがいっぱいあると思うけど、カフェっ仔は男も女も“スマイル一番”でしょ。
絶対なくしたらだめだよ。
本当に、15年間ありがとうございました。
ゆうき:カフェっ仔からはよく“アンティック-珈琲店-にはたくさんのものをもらいました。ありがとうございます”っていうメッセージや手紙をもらいます。
それと同じように、メンバーも皆さんからいろんなものをもらい、いろんなことを学びました。
そのおかげで成長してこうしてここに立つことができているんだと思います。
今までの年月は、楽しいことばかりじゃなく、活動休止などもありました。
皆さんも、つらいことや悲しいことを乗り越えてきたと思います。
アンカフェは今日が終わったら(今の形としては)なくなってしまうことを考えると、みんなにも不安な気持ちがあると思います。
僕も、今まで一緒だったカフェっ仔がいなくなってしまうと思うと不安です。
でも、君たちだったら、この先もどんなことでも乗り越えていけると思います。
みんなが頑張っていることを知っているので、それを糧に俺も頑張っていけるんじゃないかと思っています。
みんな大好き!
ありがとうございました!
カノン:今まで俺は、アンティック-珈琲店-という大きな船の中にいていろんな景色を見てきました。
そこには、協力してくれるスタッフさんやカフェっ仔の皆さんがいて、先陣を切って舵を取ってくれるみくがいて。
その一員で本当によかったなと思います。
バンドをやっていると、“みんなが行くなら俺も一緒にそっちに行くよ”と思う場面も少なからずありました。
でも、これからは自分で決めた道をただ一人行くしかない。
そこは地獄のようなところかもしれないし、すごく怖いけど、この決意は揺らぎたくないというか……揺らがせたらこの決断を受け入れてくれた皆さんにも失礼なことだなって。
だから、この一言につきます。
皆さん、本当にありがとうございました。
たくや:人生はいつどこで何があるか分からないなと思います。
自分にとっての人生の転機は、11年前、アンティック-珈琲店-というバンドに出会ったことです。
加入した時はギターを弾くことでイッパイイッパイで。
ステージからの眺めを楽しむ余裕も、誰かのためにギターを弾く、感謝の気持ちを持ってステージに立つ、そんな気持ちもなかったと思います。
今でも未熟者ではあるんですけど、支えてくれるみんながいる幸せを感じて、みんなのためにギターを弾こうって思えるぐらいには成長できたんじゃないかと思います。
アンティック-珈琲店-というバンドはすごく居心地が良くて、(離れるのは)寂しいし名残惜しいです。
さっき、裏でみくさんが“がんばれ”って言ってくれたんですけど、そうやって背中を押してくれる人もいなくなっちゃいますが、ここから先は自分の足で人生を強く生き抜いていこうと思います。
本当に幸せな11年でした。
みく:僕にとってアンティック-珈琲店-は人生でした。
活動休止が決まって、最初は、自分一人でアンカフェを続けようと思っていたんですけど、ツアーを廻っていくなかで、メンバーが隣にいないとできないなと思いました。
一人でやってもアンティック-珈琲店-じゃないので。
みんなでやることが楽しいから僕はバンドを選んだんです。
それが終わっちゃうなら、この5人が集まるまでは歌はいいかなと思いました。
先のヴィジョンが決まっているわけではないけど、歌はとりあえずやめようと思いました。
ちょっと離れてしまうけど、みんなの幸せを願っています。
幸せになってね。
15年間、自分一人では見られない景色をたくさん見せてもらったし、感動することや人の役に立とうと思える気持ちとか……。
そういう心を僕に教えてくれたのはみんなです。
15年間すごく幸せでした。ありがとうございました。
*
時に言葉に詰まりながらも、思いのたけを盟友でもあるカフェっ仔に伝えたメンバーたち。
みくの感謝の言葉に続いて演奏されたのは、「巡りあえた奇跡」。
続く「BondS〜絆〜2015ver.〜」の演奏前にみくは“みんなの思いや気持ち、ステージに届けてね! 俺たちも届けるから!”と叫び──本当の最後となる「スマイル一番イイ♀~2015ver.〜」の前には「笑顔でお別れは難しいかもしれないけど、輝喜も言っていたように、みんなには笑っていてもらいたいです」というメッセージを残した。
この楽曲で今日一番の一体感を場内に生み出し、それまでのヴィジュアル系シーンにはなかった、明るくカラフルで楽しい“原宿ダンスロック”旋風を巻き起こしたアンティック-珈琲店-の歴史は幕を下ろした。
EX THEATER ROPPONGIに集まった一人一人のカフェっ仔の顔を見ることはできないけれど、メンバーの願い通り、みんなの泣き顔は見たくない。
みく・takuya・カノン・ゆうき・輝喜の5人が並ぶアンティック-珈琲店-の姿を見ることはもう叶わないかもしれないけれど、彼らが紡いでいた音楽やメッセージは不滅だから。
自分たち自身、そして、ずっと一緒に歩んできたカフェっ仔たちの未来の笑顔のために2日間のライブをやり切った5人のためにも、スマイル一番の精神を忘れず生きていけたらいいなと思う。
アンティック-珈琲店-、15年間本当にありがとう。
いつか再び笑顔の5人が揃う日が来ることをかすかな希望として心に留めながら、それぞれの道へと進んで行くあなたたちの背中を見送ります。
取材・文:須田真希子
撮影:青木早霞(PROGRESS-M)
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<公演概要>
LIVE CAFÉ 15th Anniversary Year Grand Finale
日程:2019年01月6日(日)
会場:EX THEATER ROPPONGI
<セットリスト>
01.MY♡LEAPS FOR “C”
02.覚醒ヒロイズム~THE HERO WITHOUT A “NAME”~
03.流星ロケット
04.スノーシーン
05.逃避回路
06.我侭行進曲
07.似非占い
08.キャンデーホリック
09.踊るメルヘン時計
10.エスカピズム
11.YOU
12.ニャッピーメドレー
13.ダックのマジカルアドベンチャー
14.メープルガンマン
15.テケスタ光線
16.Cherry咲く勇気!!
EN1
01.千年DIVE!!!!!
02.ラフ・ソング
EN2
01.巡りあえた奇跡
02.BondS~絆~2015ver.~
03.スマイル一番イイ♀~2015ver.~
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<リリース情報>
カフェっ仔とメンバーが共に歩んだ15年間の、全ての想いが込められた活動休止前のラストライブを映像化!!
★アンティック-珈琲店-
LIVE DVD
「LIVE CAFE 15th Anniversary Year Grand Finale」
2019年4月24日(水)リリース決定!!
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■Musing盤 <完全限定受注生産>
¥15,000(税込)¥13,889(税抜)
2DVD+A4サイズ写真集
品番:JBBF-5019~-5020
<DVD2枚組>
・ライブ本編収録&Making映像
(Musingオリジナル特典)
・メンバー全員または、お好きなメンバーのサイン&あなたのお名前入りビッグフォトカード1枚プレゼント
※メンバー全員用のビッグフォトカードに名前を書くメンバーは選べません。
※音楽ポータルサイト「Musing」のみでのお取り扱いとなります。
<販売期間>
受付開始:2019年1月10日(木) ~
受付締切:2019年3月17日(日)23:59まで
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★オフィシャルHP★