2019年06月12日 (水)
【ライヴレポート(2)】<Soanプロジェクト3rd Anniversary 2days Oneman Live『集束~Soan Birthday Special Live~』>2019年6月2日(日)高田馬場AREA◆それぞれが描いた理想郷。2日間の宴をレポート!
REPORT - 18:00:336月1日(土)と2日(日)、Soanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥は高田馬場AREAの舞台上に集まっていた。
今年は2日間に渡って開催。
続いて2日目、6月2日(日)のレポートをお届けする。
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6月1日(土)に高田馬場AREAを舞台に、Soanの誕生日とSoanプロジェクトの活動3周年を祝うように行われたSoanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥による合同ライブ。
この日は、しばし「休憩」を入れることを伝える意味も含んでいた。
魂と肉体を熱く唸らせた前日のライブを受け、6月2日(日)にSoanプロジェクトは同じく高田馬場AREAの舞台に立っていた。
ライブの冠として名付けたのが、「Soanプロジェクト3rd Anniversary 2days Oneman Live『集束~Soan Birthday Special Live~』」の言葉。
Soanは、「集束」という言葉へ「1つの終息=休憩」「集束=メンバーもファンもこの場所に集まる」という想いを込めていた。
Soanプロジェクトが暫し活動を止める(休憩する)前に、3年間Soanプロジェクトを支え続けてくれた仲間(メンバーやファン)たちと再会までの楽しい思い出を作ろうと、この日のライブは行われた。
わかりやすく言うなら、前日のライブの「後夜祭」と捉えていただければ良いだろう。
この日は、何時も2スタイルを4つのセクションに分けて披露。
それが…。
1.Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希
2.Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾ
3.Soanプロジェクトwith芥ver.Lay
4.Soanプロジェクトwith芥ver.Ivy
という形だった。そろそろ、この日の模様をお伝えしようか。
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Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希
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「肌を刺す寂しさのような、心を凍てつかせる孤独のような、それは、あなたを暗く狭い部屋に閉じ込めたのでしょう。
外から、みずからを隔てたのでしょう。それが、わたしのただ一つの願い…」
優しく心をさするように、Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希のライブは、『焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫(スノーホワイト)』から幕を開けた。
凍える心へ温かい息を吹きかけるように、物語は静かに始まりの景色を描き出す。
SoanのピアノとSachiのヴォイオリンの音色が凍える心を揺さぶれば、健希のギターが、そこへ僅かな熱を注いでゆく。
響きの強い健希のギターの旋律が、たおやかな演奏に明瞭な彩りも描き加えていく。
「僕らはあの日、君に問いかけました。帰るべき場所は何処かと。
その答えが必ずしもここではなかったかも知れない。
あるいは、いまだ暗闇の中で彷徨い続けているのかも知れない。
僕はすべてを救えない、その残酷を知ってしまったから。
その絶望を、悲嘆をいまだに表現できないけど。
どうか笑わないで、小さな小さな僕たちの悪あがきを。
僕がこの歌で守りたいものを…」
郷愁を誘うように『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』が流れだした。
何かを追い求めるように視線を彷徨わせ、歌う手鞠。彼の歌声を、優しく後押しする演奏。
時に、ピアノを奏でるSoanと顔を合わせながら手鞠は歌を口ずさむ。
切な音の響きを失くすのが悲しくて、手鞠が、メンバーたちが、この瞬間を、消え去ってしまうこの時間を心の印画紙へしっかりと焼き付けていた。
「本日は収束。
集めて束ねる。
そのタイトルの通り、二つの追求をふたたび元の場へ戻していく。
その描写を収束と捉えています。
今日は後夜祭という形で楽しんでいただければと思います」
Soanはドラム台へ。
過ぎ去りし春の匂いを呼び戻すように届けたのが、『春色の音色、記憶回廊』。
穏やかな旋律が、ゆっくりと熱を持って花開く。
少しずつ心に疼きを与えながら、その物語は、観客たちの心を薄紅色に火照らせていった。
花を咲かせた演奏は、一気に輝きを増す。Soanの「はっちゃけるぞ!」の声を合図に、それまで座っていたメンバーらが一斉に立ち上がり、『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』を奏でだした。
フロアから沸きだす手拍子。
Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希が掛けた音楽の魔法により、会場中へ歓喜の想いが降り注ぎだす。
何時しか会場中の人たちが大きく手を揺らし、高揚した気持ちのままに、歌い上げる手鞠の声をつかんでいた。
祐弥の、健希の、熱くストロークしたギターの旋律が身体を嬉しく騒がせる。
メンバーたちの弾む気持ちは、そのまま躍動する音楽となって、会場中の人たちの心を嬉しく踊らせていった。
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Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾ
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ここで、ギターが健希からタイゾへとチェンジ。
新しい風を吹かせるように、Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾが届けたのは、『sign…-resonance-』。
冷たい音の風で心を刺すように流れたタイゾのギター。
荘厳な景色が、この空間へ広がりだす。
雄々しき手鞠の歌声が示したのは、一体どんな報せだったのか。
重く躍動する演奏が、観客たちを黒い闇の世界へと引き込んでゆく。
ギターのボディを叩き鳴らす祐弥、そのビートへ、タイゾがマラカスのリズムを加えだす。
2人の情熱的なセッションを煽る手鞠。
祐弥がスパニッシュなギターの音色を奏でるのを合図に、演奏は『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』へ。
躍動する音の調べに刺激を受け、秘めた熱情が身体の奥底から沸きだす。
気持ちが騒ぐまま、彼らと一緒に心を情熱の炎で燃やし尽くせ。
闇の底に生まれたカルナバルは、胸の中でくすぶっていた情熱をふたたび滾らせてゆく。
激しく掻き鳴らす祐弥のギターのストロークへ心の叫びを重ね合わせるように、手鞠が雄々しく声を解き放つ。
『正否の相違、或いは利害の不一致』を媒介に、Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾは、もっと心を素直に解き放てとけしかけてきた。
何時も以上に唸り声も交え歌う手鞠。
沸きだす熱に身を焦がし、その声を吐き散らしたい。
魂を燃やすように歌う手鞠に触発され、燻っていた気持ちがさらに騒ぎだす。
「もっともっと楽しんでいけるよな」「声を!!」、感情の弦を思い切り掻き鳴らし歌う手鞠、その叫びを受けて飛び出したのが、『醜悪なる獣穿つ矢、致死を以て野卑を屠る』だ。
躍動、いや、そんな生易しいものじゃない、沸きだす野生の息吹へ導かれるように、演奏陣は情熱と情緒を巧みに折り重ね、心を裸にする音楽を突きつけてきた。
さぁ、拳を振り上げ、あなたも心の服をすべて脱ぎ去ればいい。
この熱へ貪るように食らいつけ。何時しかフロアには熱い声がこだましていた。
「この日で、いったん活動は休憩します。
また何時か、お会いできる日を信じて。
また何時でもSoanさんが「集合」の声をかけてくれる日まで、力を蓄えて待ちたいなと思います」
「まだまだ先を期待させる曲でありたいと思って作った歌を、最後にお届けします」。
Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾが最後に届けたのが、スパニッシュな音色も印象的な『吐情、舌上、熱帯夜』。
Soanプロジェクトwith手鞠という存在が持つ情熱を一番体感的な姿として描き出した楽曲のように、滾る気持ちをぶつける歌声や演奏に触発され、フロア中の人たちが心の中へ情激した炎を燃やしてゆく。
熱情に身を任す踊り子となった観客たちは、火照る想いを胸に、次のライブへ期待を繋いでいった。
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Soanプロジェクトwith芥ver.Lay
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バトンを受け取ったのが、Soanプロジェクトwith芥ver.Lay。
「やれるかー!」、声を荒らげ、煽る芥。
楽曲は、何時もSoanプロジェクトwith芥のライブの最後に演奏する『hysteria show time』から幕を開けた。
「打ち鳴らせ!」と煽るSoan。
「飛べ飛べ飛べ飛べ」の声に合わせ、観客たちが右へ左へと一斉に駆けだした。
なんて壮観な光景だ。最初から熱した演奏へ触発され、全力で身体を折り畳み、飛び跳ねる観客たち。
その様へ、Shunのスクリームが更なる刺激を加えていた。
「後夜祭、楽しんでいこうぜ」とけしかけるSoan。
歓喜の表情を浮かべる観客たちの気持ちをさらに煽るように、Soanプロジェクトwith芥ver.Layは『朽ち木の行方』を突きつけた。重
厚なダンスロックナンバーの登場に、理性の留め金を壊した観客たちが、休むことも忘れ飛び跳ね続けていた。
沸き立つ感情が、どんどん熱を携え膨らみ続ける。
舞台上も、フロアも、もっともっとと尽きない欲望を求め、身体を折り畳み、跳ね続けていた。
荘厳な音色が響きだす。「この夢のような時間が、ずっとずっと続きますように。
そんな気持ちを込めて、この歌を…。届いてください、この愛が…」。
芥の言葉を受けて飛びだしたのが『濁った瞳』。
彼らは、この3年間どんな光景を、その瞳に映し出してきたのだろうか。
張りつめた音が交錯してゆく中、芥は嘆く心を高揚した歌声に重ね、想いを解き放っていた。
絶叫するその声を、演奏を、誰もが凝視しながら、胸の奥で抱きしめていた。
Soanプロジェクトwith手鞠でも披露した楽曲と対を成す『sign…』の登場だ。
重く唸る音の上で、沸きだす感情のままに芥は歌いあげる。
激しさから幕を開けたライブは、次第に気持ちの内側へと螺旋を描くように堕ちてゆく。まるで、奈落の底から見上げたときに見える光を感じたいとでも言うように…。
「派手にいこうかー」と煽るSoan、「狂っていきましょう」と誘いをかける芥の声を合図に飛び出したのが、和要素を折り込んだ、雅なダンスロックナンバーの『月欺けば傀儡が笑う』。
今宵は-煽りループver.-として披露。そのタイトル通り、彼らは、踊り子に変えた観客たちを無限に続くような煽りの世界へ連れ出した。
手の花を揺らめかせ、熱に浮かされるように踊る観客たちの姿も艶やかだが、Shunや芥の煽り声に触発され、共に声を荒らげ逆ダイへ身を投じ続けてゆく様も圧巻だ。
「どうした、自由を求めに来たのに、不自由じゃないか」、芥の煽りに触発され、神経を何本もぶち切る感覚でさらに騒ぎ立てる観客たち。
やまぬ熱狂、それこそがSoanプロジェクトwith芥のライブの本質だ。
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Soanプロジェクトwith芥ver.Ivy
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「収束する気なんてなさそうな熱気ですよね。
この場所に自由を求めてくるのにも関わらず、何かに囲われて自由を奪われていく悪循環がどこかあると思います。
そんな中で、Soanプロジェクトを与えてもらって、本気の自由を感じれる場はなかなかないんじゃないかなと思いました。
今回で収束となりますが、これからも自由きままに届けていこうと思います」
ここで、ベーシストがIvyにチェンジ。
Soanプロジェクトwith芥ver.Ivyがぶつけたのが、『undelete』。
地の底から光を求めて手を伸ばすような、芥の歌声からの幕開け。
興奮を呼び起こすスイッチが入ると同時に楽曲はいきなり吠えだした。
さあ、ふたたび熱狂の唸りの中へ身を投じていけ。
メンバーらの煽りへ、拳を突き上げて想いを返す観客たち。
上がった熱は、まだまだここから膨らみ続けてゆく。
「派手にいこうかー」、お馴染みSoanの声を受け、轟音をぶち蒔けるように『薄紅は舞い散り寂光に消える』が飛び出した。
「飛べ飛べ飛べ飛べ」の声に触発された観客たちが、右へ左へと駆け出せば、右手を高く掲げ、その場で思いきり跳ね続けていた。
「吐きだしてくれよ!!」、芥の煽りに触発され拳を振り上げ絶叫する観客たち。
巧みに緩急を付けながらも、終始轟音の渦の中へ観客たちを巻き込み続けた『meteo trive』。
雄々しい声を張り上げる芥、その横で、Shunが気持ちを荒げるスクリームを次々と突きつけていった。
「まだやれるか、まだ収束させないぞ」「飛べ飛べ、飛べ飛べ飛べ飛べ」「踊れ踊れ」、芥とSoanが、まだまだ宴は終わらせないぞと煽り続ける。観客たちも唸りを上げて飛び出した『arrive』へ身を任せ、張り裂けんばかりの声を上げ、笑顔で飛び跳ねていた。
宴は終わらない、収束することさえ忘れ、ひたすらに激情した想いを放熱し続けていた。
「ここまでぶつけください」。Soanプロジェクトwith芥ver.Ivyが最後に突きつけたのが、観客たちと絶叫のエールも交わしあった、
轟音ダンスロックナンバー『frowery count』だ。
理性を消し去った踊り子たちが、大きく身体を折り畳み、拳を高く突き上げ、飛び跳ねながら、次々と熱を描き加えていた。
芥と観客たちとの声のやりとり。
誰もが、まだまだ熱狂は収束なんかしないぞと言わんばかりに、この地へ想いを刻み込んでいた。
アンコールは、Soanプロジェクトwith芥がそのまま担当。
彼らは、最後まで熱を絞り尽くせと言わんばかりに、『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』をぶつけだした。
手にしたタオルを振りまわし、右へ左へと駆けだす観客たち。
「踊れ」「歌え」「狂え」、その言葉通り、誰もが熱狂の中、理性を忘れた祭り人となり、フロア中に充満した熱に心地好く?身を浸し、暴れ狂っていた。
そのまま演奏は、『朽ち木の行方』へ。
この日掲げた収束という言葉を忘れてしまうくらい、Soanプロジェクトwith芥ver.Ivyは、全力で”気”を放熱し続けてゆく。
頭を振り乱し、身体を全力で折り畳み騒ぎ狂う観客たち。
熱狂の行方は何処へ行くのか…。
イクところまでイきながら、互いの熱を一つに収束しようか。
この熱をさらに燃え盛らせるように、飛び出したのが『hysteria show time』だ。
すべてを出し尽くせ、次の出会いまでこの記憶を失くさないように、ヘトヘトになるまで騒いだこの熱情を、身体中に消えない記憶として刻みつけろ。
最後の最後にSoanプロジェクトwith芥ver.Ivyは『frowery count』を叩きつけ、気持ちを一つに熱狂へと身を投じ続けていった。
芥と観客たちとが歌声を交わしながら、限界のその先まで突き進み、高揚した空間の中、激しく燃え尽きて逝った。
Soanが掲げた「収束」という言葉は、互いの感情や熱を一つの場へと集約し、束ねてゆくこと。
ここまで高く熱情した”気”を一つにまとめ上げたんだもの、その熱は、ずっとずっと消えやしない。いや、消せやしない。
この日を持って、Soanプロジェクトはしばし「休憩」に入る。
が、表現したがりなSoanだもの、またすぐに「こんな曲できたよ、またやろうよ」と声をかけてきそうな気がする。
そのときが訪れる日を、少しの間だけ心待ちにしていようか。
PHOTO:遠藤真樹
TEXT:長澤智典
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―セットリスト―
Soanプロジェクトwith手鞠ver.健希
『焦燥の日々の帷、憔悴する白雪姫(スノーホワイト)』
『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』
『春色の音色、記憶回廊』
『それを僕は普遍と呼び、君はそれを不変と詠んだ』
Soanプロジェクトwith手鞠ver.タイゾ
『sign…-resonance-』
『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』
『正否の相違、或いは利害の不一致』
『醜悪なる獣穿つ矢、致死を以て野卑を屠る』
『吐情、舌上、熱帯夜』
Soanプロジェクトwith芥ver.Lay
『hysteria show time』
『朽ち木の行方』
『濁った瞳』
『sign…』
『月欺けば傀儡が笑う』-煽りループver.-
Soanプロジェクトwith芥ver.Ivy
『undelete』
『薄紅は舞い散り寂光に消える』
『meteo trive』
『arrive』
『frowery count』
-ENCORE-
『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』
『朽ち木の行方』
『hysteria show time』
『frowery count』
2019年06月12日 (水)
【ライヴレポート(1)】<Soanプロジェクト3rd Anniversary 2days Oneman Live『理想郷~Soan Birthday Special Live~』>2019年6月1日(土)高田馬場AREA◆それぞれが描いた理想郷。2日間の宴をレポート!
REPORT - 18:00:326月1日(土)と2日(日)、Soanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥は高田馬場AREAの舞台上に集まっていた。
今年は2日間に渡って開催。
まずは初日、6月1日(土)のレポートをお届けする。
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初日は<Soanプロジェクト3rd Anniversary 2days Oneman Live『理想郷~Soan Birthday Special Live~』>と名付け、Soanの誕生日とSoanプロジェクトの3周年を祝う祭りの日となった。
毎年Soanの誕生日に開催となる周年ライブは、Soanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥が一堂に会す貴重な機会であるのと同時に、今年の2日間の公演にはSoan自身の色々な想いが折り重なっていた。
初日となった6月1日の題名に掲げたのが「理想郷」。
Soanが求めた理想郷とは一体どんな風景だったのか、それをここにお伝えしよう。
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Soanプロジェクトwith手鞠
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「どれだけの月日が流れても、たくさんのものを得て、それ以上のものを失って。
それでも僕が僕でいれるのは、最初の気持ちを忘れずにいれるからでしょう。
たとえ君が変わってしまっても、僕は何度もこの言葉を……ただいま」。
心を優しくなでるように響くSachiのヴォイオリンとSoanのピアノの音色。
今宵の幕を開けたのは、『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』。
3年前、Soanプロジェクトwith手鞠が初めてライブを行ったときにも冒頭を飾ったのが『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』だった。
当時はSoanが、そして手鞠自身も、前のバンドの活動を止め、暫し期間を置いたうえで新たな姿を示す形を持って行ったライブだった。
まさに、タイトルへ記したような想いを抱きながら。
二人は活動の再開を待っていたファンたちへ「ただいま」と挨拶をするように、この歌から新たな始まりを告げた。
その楽曲を、次のステージへ向かうために一度閉じる幕引きのライブの冒頭へ持ってきたところが、とても象徴的と言えようか。
これまでの歩みを回想するように、手鞠が、Soanが、舞台にたたずむメンバーの誰もが、心に郷愁を抱きながら、歌声と旋律をフロアへ零してゆく。
その調べに引き寄せられた心は、在りし日の温かい風景を胸の中に描き出していた。
それが、その人自身の心に巣くう(心を救う)理想郷の姿だと言うように…。
感情を押し殺したようなSoanの奏でる切々としたピアノの調べに乗せ、Soanプロジェクトwith手鞠は『相対する質量の交錯する熱量』を歌い奏でだす。
次第に熱を帯びる手鞠の歌声へ寄り添うように、演奏も少しずつ熱を帯びてゆく。
高ぶる気持ちが、サビ歌を介し心の中で小さな渦を巻きだした。熱が巡る。
それは、悲喜の表情に心が揺れる証。
手鞠の歌声の温もりに優しく抱かれていたい。
そして、一緒に少しずつ心に熱を沸き立てたい。
「Soanプロジェクトが3歳を迎えました。
何かを3年続けるのはとても難しいこと。
Soanプロジェクトが3年間止まることなく、目標を持って歩み続けてこれたのを誇りに思いますし、みなさんをここまで一緒に連れてこれたのがとても嬉しいです。
Soanさんが込めてきたものをすべて、今日と明日でお見せします」
祐弥の奏でる二胡の調べが、触れた人たちの心を、遥か古(いにしえ)の世界へ連れ出した。
ひと言ひと言を零すように手鞠が歌いだしたのが、『黄昏色に融解する視界と屈折した類推(アナロジー)』。
「誰にも心許さずに生きる術があるなら、それは人の形をとどめる異形」と歌う手鞠の歌声が、観客たち一人一人の思い描く理想郷の中へ、挿すような彩りを与えてゆく。
二胡とヴォイオリンの音色が重なるほどに、そこへは現実から乖離した桃源郷が映し出されてゆく。
我々一人一人が、この世界で異形のような存在であるのなら、その異形が人たり得る世界がそこには広がりだしていた。
想いを馳せるように、誰もが心の奥底に広がる物語の中へ身を投じていた。
エンディングで流れた二胡の調べの、なんともの悲しかったことか。
切々としたピアノの調べ。
「時が経つにつれ、誰かの中で薄れてしまう記憶。最初に声を忘れたわたしに、後に残るのは何だろう。
そのときわたしは、どんな顔をすればいいんだろう」
失くしたものを今でも忘れずに想う心。
Soanにとって”今でも忘れずに想い続ける”存在が、MoranのメンバーだったZillのこと。
『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』は、SoanがZillへ向けての想いを託した楽曲。
何時訪れるともわからない再会の約束。
でも、互いに分かつ道が、何時かふたたびひとつに繋がる日が来ると信じているからこそ、凍える寒さの中にさえ、凛とした強さを持って想いの根を深く下ろすことが出来る。
Soanの嘆く心を映し出す悲愴なSachiのヴォイオリンの音色。
叫ぶような痛い音色が、胸を突き刺す。
今にも壊れそうな歌声をはべらせながらも、想いに熱を注ぐ手鞠。
落ちサビでは、僅かに光や熱も放ちながら手鞠がアカペラで嘆く心模様を歌いあげていた。
その歌声に、命動を覚えていた。
痛みと情熱を刺すように流れるSachiのヴォイオリンの調べ。
「小さな頃、当たり前に出来ていたことが、大人になるにつれ何時しか怖くなっていた。
何も考えずに出来ていたことが今ではわからなくなって、右足から踏み出すのか、左足から踏み出すのか、そんなことさえ戸惑ってしまう。
だから優しく背中を押す言葉が必要なんだろう。そんな存在が必要なんでしょう。
大丈夫、君の後ろには僕がいるから、自由にお行きなさい。
そして、希望の光の中をお行きなさい」
それまでの荘厳な世界へ、Soanプロジェクトwith手鞠は熱を帯びた光を一気に集めだした。
そこへ輝きを降り注ぐように、力強い歌声と演奏を通し『そして君は希望の光の中に消えた』を歌いだした。
静謐さの中で躍動を覚える魂。
その先に光が射すから、人は一歩を踏み出せる。
その一歩を踏み出す勇気を、背中を押す掌の温かさを、この曲を通して触れた人たちの心へ染み込ませてゆく。
何時しか舞台上には、白い光源がいくつも生まれていた。
そのひとつひとつが、メンバーたちでもあるかのように…。
時にボディを叩きながら、スタッカートする情熱的なタイゾのギターの音が響きだす。
スパニッシュな音色が気持ちに熱を注ぎ込む。
そして、何時しか誰しもを踊り子に変えてゆく。
流れだしたのが、秘めた情熱を、沸きだす気持ちのまま歌声や演奏を介して解き放った『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』。
タイゾと絡み合うように歌う手鞠。
舞台上のメンバーたちひとりひとりが踊り子と化し、訪れた人たちを惑いの宴の中へと誘い込む。
「誰かを憎んで 憎んでみたけれども 結局誰のせいにも出来ないでいるの」、秘めた心模様を告白するように、手鞠は熱情した演奏に乗せ、心の苦みを吐きだしてゆく。
その背景では、大地の鼓動の如く躍動するSoanのドラムの音が、胸を騒がせる音を突きつけていた。
上がり続ける感情的な熱。
いつしか手鞠は、沸き立つ心の炎に身を焼かれながら、心をえぐるように叫びにも似た歌声を上げていた。
荒々しい祐弥のギターのストロークに合わせ、手鞠が身を焦がすように『正否の相違、或いは利害の不一致』を熱情した気持ちのままに歌いだす。
とても熱量の高い演奏だ。心に渦巻く感情をすべて解き放そうと、身を揺らし、歌声を吐きだし続ける手鞠。
静の象徴であるSoanプロジェクトwith手鞠とはいえ、胸の中に渦巻く熱情を表出させながら、彼らは触れた人たちの心へ滾る熱をどんどん注ぎ込んでゆく。
心が沸きだす。疼く感情に身体が震え立つ。
艶やかさと熱情を持って演奏が踊りだした。
沸き立つ気持ちを解き放ち、己を開放しなと誘いをかけるように『吐情、舌上、熱帯夜』を奏でだす。
己の中に秘めた様々な欲望をぶつけながら、今は素直に心も身体も解き放て。
触れた人たちの心を開放する楽団と化したSoanプロジェクトwith手鞠が、乱れ狂うように熱した音を放ち、会場中の人たちを踊り子へと導き出す。
「今日と明日の公演でSoanプロジェクトは、また帰ってくることを前提に休憩します。
本当に、ポジティブに活動してきたうえでの休憩なんです。
高い山を登り切るうえで、ひとまず休憩をしましょうというだけの話なんです。
だからSoan先生が、また「集合」と言ったら集まる。それまでの休憩です」
「この曲を書いたときに、メンバーそれぞれの歩んできた道や歩み続けている道を歌詞に込めました」。
最後に届けたのは『落下の挙動、加速、暗転、反射 そして調和する僕と君と。』。
彼らが最後を飾る楽曲としてこの曲を選んだのは、手鞠が歌詞の中へ参加メンバーにちなんだ歌詞をまぶしながら表現したことを受け、Soan自身が「今日という日がまた各メンバーの大切な軌跡になることを願って」という想いを反映してのこと。
熱を持って駆けだした演奏に合わせ、フロアから無数の拳が突き上がる。
けっして激しく騒ぐわけではない。
誰もがその場にたたずみながらも、心の中から沸きだす熱情に身を、想いを焦がしていた。
触れた瞬間に火傷しそうな、青白い熱を放つ演奏だ。
その美しさに触れたとたん心が燃え尽くされてしまうのなら、今はただただ素直に身を堕としていたい。
「ここがみなさんにとっての理想郷でありますように、それだけを願っています」と手鞠は言葉を投げてきた。
彼らが描いた物語の中、ここにいた人たちはどんな理想郷の中へ足を踏み入れていたのだろうか。
静謐さにたたずむ中から見えたそれぞれの理想郷に身を焦がしながら、Soanプロジェクトwith手鞠のライブは幕を閉じていった。
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Soanプロジェクトwith芥
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「さぁ、いこうか!」
芥の声を合図に飛び出したのが『不確かな箱庭』だ。
Soanプロジェクトwith芥が3年前に行った初ライブのときも、この歌から幕を開けた。
この楽曲は、Soanがこれからソロプロジェクトを始めるに当たっての覚悟を歌詞に刻んだ歌。
その歌を休憩前の幕引きのライブの冒頭に持ってくるセンスが、らしいじゃない。
沸き立つ感情を叩きつけるように、演奏は激しい唸りをあげてゆく。
朗々と歌声をはべらす芥、その後ろでは、激情するドラムビートを叩きながら煽るSoanがいた。
とても雄大な楽曲だ。
巨大な熱源となった『不確かな箱庭』へ触発され、早くもフロア中に大きく手の花が揺れ動き、祈るように身体を折り畳む光景がそこには生まれていた。
小さな箱庭の中に描き出した物語がどこまで大きく膨らむのか、その展開が楽しみだ。
何時もは終盤に演奏し熱狂を描き出す『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』を、今宵のSoanプロジェクトwith芥は序盤に据えてきた。
芥の「踊れや踊れ!」の声に、Soanの「飛べ飛べ飛べ飛べ」の煽りに刺激を受けた観客たちが、手にしたタオルを振りまわし、轟音渦巻く宴の中へ身を投じてゆく。
「踊れ」「歌え」「狂え」、その言葉に触発された観客たちが理性の枷を外し、嬌声を上げながら右へ左へと走り出せば、その場で高く飛び跳ね続けて、序盤からフロアには凄まじい熱が生まれていた。
「まだまだいくぞ」と煽るSoan。
いつものライブをさかのぼるように、今宵の演目は続いてゆく。
流れだしたのが、『朽ち木の行方』だ。
狂騒を描きだす音が触れた人たちの理性を消し去り、熱狂の中で狂喜を上げる踊り子へ変えてゆく。
ヒステリックでサイコな演奏や、神の化身と化した芥の唱える歌へ素直に心傾ければいい。
大きく手を振り、熱の中へ溺れればいい。
「吐きだせー!」と煽る芥の声が、今宵は痛く胸に突き刺さる。
それまでの熱狂を深い闇の中へと飲み込むように、芥が語りだす。
「この夜が解けないように。そっと…私を…」。
慟哭にも似た芥の叫び声を合図に、楽曲は『透過幕』へ。
重苦しい熱を放つ演奏が、触れた人たちの感情を掻きむしる。
祈るように声を上げる芥、嘆く心の声を解き放つように歌うその姿は、闇の中で鈍い輝きを放っていた。
何時しかその表情や演奏は、光を閉ざした漆黒の世界へと観客たちを導いてゆく。
黒い闇に降り注ぐ黒い光もまた、心を塗り込む心地好い刺激になるとでも言うように。
躍動するSoanのドラム、芥の「濁った瞳が」の歌声を合図に、楽曲は『濁った瞳』へ。
心の中に渦巻く頽廃した感情を嘆く歌や叫ぶ声に乗せ、芥は吐き捨てるように声を張り上げる。
祈りにも似た姿を通しサビ歌を唱える彼の姿は、神に身を捧げる神主のようにさえ見えていた。
一心不乱に演奏へ身を投じるメンバーたち。
その調べが、芥の歌声を介して解き放たれる。
Shunのデスボイスしたシャウトが、その気持ちを後押ししてゆく。
鬱蒼とした蒼の世界を描くように。
嘆いた心の滴を跳ねさせるが如く、『sign…』を届けてきた。
胸をくすぐる美しくも切々とした音色や歌声に触発され、フロアに生まれた手の花咲き乱れる光景。
芥自身も激情した気持ちを抑え、零れ落ちる痛い感情をすくい取ってはフロアへ染み渡らせていた。
「後半、派手にいこうか!」「イケるか、遊ぼうぜ!」「腹から声出せ!」
Soanらしい何時もの煽り声だ。
その叫びとShunのストロークするギターの音を合図に、演奏は光を携え一気に駆けだした。
芥は朗々とした歌声をフロア中へ響かせながら、『隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬』を歌いだす。
躍動する楽曲へ触発された観客たちは、何時しか掲げた右手をくるくるまわしながら舞台上のメンバーらへ想いを捧げていた。
激しく身体を揺らす芥に合わせ、身体を折り畳む観客たち。
雄々しい様で観客たちを懐の中へ包み込む芥の姿が、とても眩しく見えていた。
「まだやれるよな、もっといこうか!」「さぁ、その拳を誰に捧げる!?」
Soanの煽りと芥の叫びを受けて飛び出したのが『meteo trive』だ。
熱を放ちながら駆けだす演奏に理性や身体を射抜かれた観客たちは、荒れ叫ぶ歌声や演奏、Shunのスクリームへ導かれるまま身体を熱く揺らし、荒ぶる嬌声を上げていた。
上がり続ける熱。
先導者となった芥は、観客たちを熱狂の中へ溺れる跳ね人に変えていた。
荒れる様に沸きだす感情、もっともっと熱を求めて叫び狂いたい。
そんな観客たちの気持ちを煽るように「二度とほどけない空間を作りましょう」と声をかける芥。
その声を合図に『arrive』が飛び出した。
今宵、誕生日のSoanを讃えるように、HAPPY BIRTHDAY TO YOUとさりげなく歌を混ぜ込む遊び心も提示。
「捧げてください」と芥は呼びかける。
「求めれば求めるほど 失うのか怖くなる」。
ならば、嫌というほど求めればいい。
叩きつける演奏を心の金槌に変え、何もかも壊してしまえ。
演奏に合わせ、ただただ身を焦がし飛び跳ねればいい。
それが宴だ。
それが、Soanプロジェクトwith芥が作り上げた熱狂の中に描き出した理想郷だ。
最後は、お馴染み『hysteria show time』だ。
「飛べ飛べ飛べ飛べ!」と叫ぶSoanと芥。
理屈も理性もすべて消し去り、本性を剥き出した獣に心塗りかえた観客たちが、沸きだす気持ちのまま右手を高く振り翳し飛び跳ね続けていた。
芥とShunの煽り声に触発され、熱狂の踊り人と化す観客たち。
この空間を支配していたのは、熱だ。
理性を燃やし尽くし、すべてを興奮に変えてゆく熱だ。
それこそが、Soanプロジェクトwith芥の求める理想郷だと言うように。
本当はここで終わりの予定だったが、まだまだ熱を求めたい想いから楽曲を追加。
選んだのは『frowery count』。
身体を痛く揺さぶる激烈ダンスロックナンバーへ触発され、会場中の人たちが思い切り飛び跳ね、理性を壊す楽曲に身を預け、騒ぎ狂っていた。
どんどん熱を加えながら、メンバーも観客たちも絶叫と熱狂の絡み合う宴の中で恍惚に浸っていた。
アンコールは、Soanプロジェクトwith手鞠とSoanプロジェクトwith芥が揃い踏みし、ステージへ。
「3年という歩みの先に理想郷があったことを願いながら、この曲を送ります」。
選んだのは「刹那を駆ける」=「バンドの儚さやライブの有限さ」や「伝えたい1行の言葉の重さ」を歌詞に投影した、Soanプロジェクトwith芥によるバラードの『刹那を駆ける命の一行に』。
芥と手鞠が互いに歌声を交わしながら、サビに向ってジワジワと熱を上げてゆく。
サビで芥と手鞠が互いに歌声を交わして声を重ねあったとき、そこには心を歓喜の光で包みこむ理想郷が生まれていた。
Soanプロジェクトwith手鞠の演奏陣が加わることで、『刹那を駆ける命の一行に』がより情緒と深みを増してゆく。
その歌に触れている間、芥と手鞠が両隣に寄り添い、両手を握りながら一緒に眩しい光の中を歩き続けてゆく感覚を覚えていた。
とても心を無垢に変える演奏だ。
僕らが求めていたのは、有限なものを慈しみ、共に心の肌を合わせたときに生まれる幸せだったのかも知れない。
この歌に触れている間、誰もが心地好く身体を揺らし、舞台上に眩しくも愛しい視線を送り続けていた。
「これが、目指していた理想郷ですよね」の言葉。
ここで、Soanの誕生日を祝おうと客席の後方から紫陽花の花とケーキが登場。
それらを観客たちがリレーしながらステージへ運ぶという粋な演出を行っていた。
最後にSoanプロジェクトwith手鞠/Soanプロジェクトwith芥は、「それぞれが、この先に待っている理想郷へ辿り着くためのへの希望や想いを込め」、『紫陽花がまた咲く頃に』を届けてくれた。
互いが交わることへの喜びを祝すように生まれたこの歌が、今宵はふたたびこの地で出会うための約束を交わす歌として。
そして、Soanプロジェクトが求め続けてきた理想郷の中へ咲いた至福に満ちた景色を映し出す象徴として。
何より、メンバーらと観客たちが心に結ばれ、これからも共に歩み続けることを誓いあう宣誓として、『紫陽花がまた咲く頃に』が未来へ旅立つ祝福の鐘を鳴らしていた。
「また、この花が咲くころにお会い出来たらいいですね」とメンバーたちは口にしていた。
次の再会が何時なのかは、今はまだ分からない。
でも、この景色が色褪せない限りは、また理想郷を描く物語の続きを彼らは描いてゆくはずだ。
Soanプロジェクトは歩みを止めるのではなく、あくまでも休憩を取るだけなのだから。
PHOTO:遠藤真樹
TEXT:長澤智典
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●Soanプロジェクトwith手鞠
『夕闇に鳴動する衝動と幸福の在処』
『相対する質量の交錯する熱量』
『黄昏色に融解する視界と屈折した類推(アナロジー)』
『林檎の花の匂いと記憶野に内在する存在。』
『そして君は希望の光の中に消えた』
『感情を媒介として具象化する感傷の逝く宛』
『正否の相違、或いは利害の不一致』
『吐情、舌上、熱帯夜』
『落下の挙動、加速、暗転、反射 そして調和する僕と君と。』
●Soanプロジェクトwith芥
『不確かな箱庭』
『躁狂の踊り子~山紫水明の宴~』
『朽ち木の行方』
『透過幕』
『濁った瞳』
『sign…』
『隔つ虚構紡ぐ真実と憧憬』
『meteo trive』
『arrive』
『hysteria show time』
『frowery count』
-ENCORE-
『刹那を駆ける命の一行に』
『紫陽花がまた咲く頃に』
2019年06月06日 (木)
【ライヴレポート】<VisUnite Fest Special Edition Vol.5>2019年5月22日(水)TSUTAYA O-EAST◆ 個性豊かなV系バンドが大激突!
REPORT - 18:00:325月22日、ヴィジュアル系アーティストを応援するバーティカルプラットフォームアプリ「VisUnite」が主催するライブイベント“VisUnite Fest Special Edition Vol.5”がTSUTAYA O-EASTで行われた。タイトルが示すように、開催は今回で5回目。毎度、個性的なバンドが参加して会場を熱くしてきたが、今回のラインナップもキャリア、音楽性がまったくバラバラというユニークな面々。出演者はFrantic EMIRY 〜second crisis〜、ペンタゴン、RAZOR、LM.C(出演順)。短い持ち時間の中で、いかに観客を魅了できるか……その力量が試される。
さらに、このイベントはTENGAなどの企業協賛があったり、待ち時間の多いファンのために、ロビーでのブース展開などがあるのも特徴だ。また、アプリ内の人気投票で1位を獲得した若手バンドには、オープニングアクトとして参加できるというチャンスも与えている。先輩バンドと同じステージに立てるという貴重な経験は、新人バンドにとっては非常にモチベーションの高まる機会ではないだろうか。
今回、そのチャンスを勝ち取ったのはSmileberry。キャッチーなサウンドを掲げて活動する4人組バンドだ。ポップな楽曲がMotoki(Vo)のクリーンなボーカルにバッチリとハマっており、今後の活躍が楽しみだ。最新アルバム『CONNECT』収録の「Timeleap」をはじめ、計4曲を披露。さわやかなパフォーマンスで、初々しい存在感をアピールした。
このあと、本編1番手に登場したのはFrantic EMILY〜second crisis〜。昨年12月に突如、オフィシャルホームページが開設されつつも、メンバーのプロフィールなども謎に包まれたミステリアスなバンドである。演奏中、Rem.(Vo)は、ほぼMCを挟まずライブを進行。へヴィーでドラマチックな楽曲で圧倒した。また、ピアノやヴァイオリンを駆使し、ゴシックな世界観を演出。5月29日リリースのシングル「Angels Cry/World End」から両曲をプレイし、重厚な空気で会場を包み込んだ。
2番手はペンタゴン。久々に彼らのライブを見た人は、そのビジュアルの変化に驚いたかもしれない。カラフルなメイクのイメージが強かった彼らだったが、スタイリッシュながらもカジュアルな衣装で登場。とはいえ、盛り上げ上手な千吊(Vo)は、「気楽に楽しんでいきましょう!」と、「ポップコーンモンスター」で場内のテンションをグッと引き上げる。アッパーな楽曲に、他のバンドのお客さんも引き込まれていくのがわかった。また、千吊は活動する中でスタイルにも変化があり、それは“メイクをしないこと”だったという思いを吐露。そして、今の自分達が表現できることを詰め込んだ楽曲「27」へとつなげた。短い時間ながら、現在のペンタゴンがどんな思いで活動をしているのか……そんな“今”が伝わるライブだった。
トリ前の3番手はRAZOR。6月26日に1stフルアルバム『千年ノ調ベ』のリリースを控える彼らも気合いタップリに乗り込んできた。会場にはメンバー名がプリントされたTシャツを着こんだファンが目立つ。熱い歓声が飛び交う中、ライブはハードなナンバー「NEW ANSWER」で幕開けとなった。猟牙(Vo)は“ワンマンじゃないけど、RAZOR史上、イチバンのライブを目指します!”と熱いMCで煽る。セットリストには攻撃的な持ち曲が並び、後半には新曲「千年ノ色彩」も披露。ラストの「PRIMARY」まで、全力投球のパフォーマンスが続いた。メンバー5人が一丸となってヘドバンしたり、ステージ狭しと動き回る様には、確かにワンマン以上の熱量が感じられる。このところ、ツアーを行うごとにパワーアップしてきたバンドの勢いをそのままに、いい感じでイベントの山場を作ってくれた。
この日のトリはLM.C。彼らは全国ツアーのファイナルを控え、さらには台湾公演から帰国したばかりというハードスケジュールの合間の出演となった。だが、ステージに登場したmaya(Vo)とAiji(G)に疲労の色は全くない。それどころか、ライブのスタートと同時に映像を背景に映し出すというデジタル感溢れる演出で、それまでの空気をガラリと変えてしまう。しかも、長身のmayaと、多くのバンドマンから慕われるAijiの醸し出すオーラは迫力満点。加えて、セットリストは昨年リリースしたアルバム『FUTURE SANSATION』からの楽曲と、ファンにはなじみ深いアゲアゲの人気曲をミックスしたメニューである。盛り上がらないわけがない。彼らのキャッチーにして踊れるロックチューンには、LM.Cのファンのみならず、場内のオーディエンスも一斉に反応。ジャンプしたり、ヘドバンしたりと、思い思いに楽しんでいた。
こうして見どころ満載のイベントは無事に終了。普段、なかなか見られないバンドのライブを1日で体験できるのがイベントのよさである。来場者にとっては、楽しい経験となったに違いない。ひと口にヴィジュアル系と言っても、音楽性やスタイルがまったく違うのは、改めてこの日のイベントでも実感できた。参加バンドにはいい刺激になったことだろう。そして、それぞれの今後にも注目したい。
Text by 海江敦士
Photo by Anastasia
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■イベント概要
【公演名】VisUnite Fest Special Edition Vol.5
【日 時】2019/5/22(水)
【会 場】SHIBUYA O-EAST (https://shibuya-o.com/)
【料 金】前売 ¥4,500 (Drink 600円 別) / 当日 ¥5,500(Drink 600円 別)
【OPEN/START】17:00 / 17:45
【出演者】LM.C、Frantic EMIRY ~second crisis~、RAZOR、ペンタゴン
【O A】Smileberry
【企画/主催】VisUnite(UNITED DREAM Inc.)
【制 作】RINethics Inc.
【スポンサード】株式会社ウィロー、株式会社TENGA、and more
【問合せ】RINethics Inc.
【M a i l】info@rinethics.com
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■アプリ概要
アプリ×YOHIOバナー写真
アプリ名:VisUnite(ヴィジュナイト)
アンバサダー:YOHIO(ヨヒオ)
対応OS:iOS(iOS7 以上)、Android(4.03 以上)
利用料金:無料(アプリ内課金あり)
ダウンロード URL:
◆「VisUnite」iOS 版ダウンロード URL
https://itunes.apple.com/us/app/vu-ijuaru-xipurattofomuapuri/id1156748781?mt=8
◆「VisUnite」Android 版ダウンロード URL
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公式HP:http://visunite.com/
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