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2020年11月04日 (水)

「清春 自叙伝」発売記念会見レポート!「自分で思っている<ロック・ミュージシャンの在り方>を突き通してきた、だから今ここに居れるんだなと」

REPORT - 12:14:21

10月30日、52歳の誕生日を迎えた清春が「清春 自叙伝」の発売を記念した記者会見とバースデー・ライヴを京王プラザホテルにて行った。

 

シックな黒のいでたちで登場した清春は、

「新型コロナウィルスの影響で、ライヴハウスでのライヴができないので、その代わりにホテルを使ったバースデーライヴと、同じく一年くらい前から作ってあった『自叙伝』の発売イベントがようやくできるようになりました」と最初に挨拶。

 

 

──自叙伝を出す経緯について。

「今日で52歳になったんですけど、当初は50歳の一年の間に出そうと思ってました。デビュー25周年、50歳で。その中でアルバムを作ったりツアーをしたりしていてちょっと遅れて、今年の新型コロナウィルス禍でさらに遅れて。でも自叙伝を出せるミュージシャンって日本では少ないのでその仲間に入りたいなと(笑)」

 

 

──実際に自叙伝を書いてみて、自分の中で気づいたことは?

「僕は、黒夢、sads、ソロと三回デビューしてるんです。5年、5年とバンドを10年やって今ソロで15年。自分の中ではその区切りが覚えやすくて、今回の自叙伝を作る基本になってます」

 

 

──コロナ禍の中で、新たに始めたことはありますか?

「ツアーも延期になり、レコーディングもほとんどできていない状態だったんんですけど、月一回のストリーミング・ライヴをやっていて、これは良かったですね。僕はライヴの本数は多いと方だと思いますけど、この状況の中では直接ファンの人たちと会える機会がなくて。アコースティックだったらともかく、バンドスタイルのロックだから(通常のコンサートの)50%でのライヴはやりたくない、フルでできるまではやらないと思っていて、それで各地のコンサート・スタッフやマネージャーと結構毎日話し合ってました」

 

 

ここから場内からの質問に対してのQ&Aが始まる。

 

Q:自叙伝を書かれて改めて自身の中で印象に残っていることは?

「インディーズ時代から、デビューしてから、そして今でも自分ですべて考えてやっていくという、プライベート・オフィスのスタイルでやってきてるんです。自分の思うことをやり通せる環境に自分でしていく。自叙伝を読み返してみて、高校生くらいから自分で思っている<ロック・ミュージシャンの在り方>を突き通してきている、だから今ここに居れるんだなという気がします」

 

 

Q:改めて50年を振り返ることで苦労したことは?

「自分でも細かいところは全然思い出せないので、何か付け加えることはないのか──と確認作業としてウィキペディアを見てました(笑)。ツアーのタイトルやライヴをやった会場とかはメチャクチャ正確なんです。黒夢の頃は9ヶ月で百何十本ライヴをやってましたから。それに音楽業界のCDセールがいつ頃から崩壊していったんだろう──とかも参考になりました。でも記録以外の、例えば個人の人柄みたいなことは当時の僕の発言や掲載された記事からピックアップされているので、内緒で自分で書き換えようかと思ったんですけど、52歳なんでやり方が分からなくてすぐ諦めました(笑)」

 

 

Q:振り返るなかで、<これはやってない、これをやってみたい>ということは?

「なんだろう──これは絶対にダメなんですけど、海外のロック・ミュージシャンってだいたい一回は捕まってるじゃないですか。日本だとタブーなんですけど、海外ではそれが一つのキャリアになるので、それはやってこなかったなぁ──って思いました。僕が思ってる<ロックの感じ>は10年くらい前からこの日本にはなくて──僕が思ってるロックは<悪は正義>だったんですけど…」

 

 

Q:音楽の聴き方も変わってきましたが、ご自身はどう捉えてますか?

「今の形は1曲だけ、まず数秒聞いて──なんですね。それはそれでいいなとは思うんです。僕らの頃はレコードをカセットにダビングしてたのがCDになって、MDになって、今はもうストリーミングで形もなくなる時代ですけど、たぶんこれはツールが違うだけであって、アルバム単位で聴かれなくなったとしても、いい耳・センスを持った人は良い音楽を探すでしょうし。だから鍛錬して上がってきた人は絶対に勝つので、ダウンロードとか聴き方が変わっても僕はあまり気にしてないです」

 

 

Q:ご自身で一貫して持っている信条は?

「<個>である、ということです。僕の好きなミュージシャンは団体の中で頭ひとつ抜き出ている人。僕らみたいなジャンルのミュージシャンというのは、個人の名前でしか残ってないんです。若いバンドの皆さんはバンド名でやった方が集客もできるでしょうけど、長くやっていくと個人でしか残ってない。バンドも再結成してやってますけど、ミュージシャン、アーティストとしてマーキングされるのは個人なんですね。僕も、バンド全体のサウンドを聴くよりも個人としてミュージシャンを見ていた方が勉強になりました。その人がどういう考え方をしてどういう音楽を表現しているのか──とか、その人を通じて、ああなりたいこうなりたい、というのを思っていた気がします。僕も早い段階でバンドを解散して、その先不安だったんですけど、めちゃめちゃ売れることはないものの残っていく自信はありました。団体の中であっても<個の美学>というか、それが僕の中での<ロックの魅力>でした」

 

 

──では、最後に清春さんから締めの言葉をお願いします。

「自分の思っていることを現実に近付けるということが、大きな数を勝ち取るよりも大事な時があると思うんです。こういうタイプのミュージシャンもまだいて、わりと長めにコンサートとか活動しているというのが世の中に広まったらいいな──と思います、今日はありがとうございました」

 

 

この後、会場を変え、ディナーショー形式のライヴ「Kiyoharu Birthday 52『The Birthday』」が開催された。

 

キャパシティ1000人の会場に集うファン約400人を前に3月にリリースされた新作『JAPANESE MENU/DISTORTION10』からの「SURVIVE OF VISION」を始めsads、黒夢の楽曲も交えたメニューを披露。ギター2本で生み出される濃密な空間に、変幻自在の清春の歌声がからみつく<ロック>に溢れた1時間半を超える圧巻のステージだった。

 

 

清春自叙伝 清春

著 清春

四六判/224頁/本体価格2,500円+税/10月30日発売

ISBN:978-4-401-64799-6

黒夢、サッズ、そしてソロイスト清春。1994年のデビュー以前から常に先駆者として時代を築き、シーンを牽引しながらもどこにも属さず、“清春”という唯一無二の存在であり続ける。

デビューから25年が経った今、その半生を振り返る初の自叙伝。

 

 

 






2020年11月03日 (火)

【ライヴレポート】有村竜太朗、初となるオンラインカバーライブ「唄声喫茶 黒猫」閉店!

REPORT - 01:02:37

満月とハロウィンが重なった2020年10月31日、Plastic Treeのボーカリスト、有村竜太朗がソロでの配信ライブ「唄声喫茶 黒猫 HALLOWEEN NIGHT~道化師の憂鬱~」を行った。

これまでもソロプロジェクトでの配信ライブは、オリジナル曲をバンドセットやアコースティックセットで何度か開催してきたが、今回はすべてカバー曲で構成するという特別な試み。

さらに、有村が店主をつとめる喫茶店「黒猫珈琲」の夜営業としてライブが届けられるというミステリアスな設定だ。開演時間は21時とやや遅めだが、自宅など、落ち着いた環境で楽しんだファンも多かったに違いない。

 配信がスタートすると、画面には看板猫の黒猫(有村の愛猫、クロ)や建物がアニメーションで登場。

ゴシックな世界へと引き込む。

「黒猫喫茶」の内部は、ステージセットに蜘蛛の巣がはりめぐらされ、キャンドルの光がユラユラ揺れるという、ハロウィンらしい飾りつけだ。

この日の出演は、アコースティックギターを持つ有村と、えびさわなおき。(アコーディオン&キーボード)のふたり。

有村は全身白で統一した道化師のコスチュームで、えびさわはダークネスな紳士風のスタイル。

背景となっている満月がまたいい雰囲気だ。

 まず、1曲目に演奏されたのは「チム・チム・チェリー」。

これはミュージカル『メリーポピンズ』の中で歌われる曲で、日本でも和訳されて、長いこと親しまれてきたスタンダードナンバー。

物悲しいメロディーが郷愁感を誘う。

2曲目はかねてから有村が敬愛する森田童子の「たとえば僕が死んだら」。

個性的な選曲の妙はさすがだ。

MCで有村は「今日は自分が愛してやまない曲をやりたいと思います」と、選曲理由を明かしていたので、なるほどな……と納得。

 そのあとも、「夢の途中」(来生たかおの楽曲。薬師丸ひろ子が歌った「セーラー服
と機関銃」とはタイトル違いで同じ曲)や、「思い出がいっぱい」(H2O)……と、これま
た昭和を象徴する楽曲を連発。

 中盤のブロックでは松田聖子の国民的ヒット曲「赤いスイートピー」をはじめ、「ダンスはうまく踊れない」、そして太田裕美の代表曲「木綿のハンカチーフ」を披露。
 困り顔の道化師メイクの下で、有村は好きな曲を歌える楽しさを存分にかみしめていたに違いない。

違和感なく歌いこなしているところに、聴き込みの深さが感じられた。

女性ボーカルの曲を多く選んでいたのも興味深い。

繊細な彼の声との相性がいいということだろうか。

原曲は様々な曲調ながら、シンプルなアレンジで、センスよくまとめられていた。

 大詰めは「もしもピアノが弾けたなら」と「なごり雪」。

「もしも~」は西田敏行のヒット曲で、Plastic Treeでも2003年にカバー。

ラストの「なごり雪」はフォークシンガー、イルカの代表曲。昭和の名曲のオンパレードに、思わず一緒に歌っていた人もいたのでは? だとすれば、それは“唄声喫茶”の店主、有村道化師の狙い通りのはずだ。

 本編はここまでだったが、有村はえびさわとともに、アンコールに応えて再登場。
「お客さまの声にお応えして延長します。今日は雨も降ってないし、月も満月みたいですけど、大好きな雨の歌をアンコールでやらせてもらいます」と、「雨の街を」へつなげた。

これはユーミンこと松任谷由実が荒井由実時代にリリースした曲で、いまだ名盤と称される1stアルバム『ひこうき雲』に収録されている曲だ。

続く曲はいよいよ大ラスだが、ここで中島みゆきの「悪女」である。まさにとどめの1曲!

多くの人に愛されてきた名作を、有村らしく絶妙に歌い上げ、“唄声喫茶”の公演は締めくくられた。

 

「ハッピーハロウィン!以上をもちまして閉店です。

ご視聴ありがとうございました……あ、ご来店ありがとうございました」

 

と、店主らしい挨拶で配信は終了。

こんな素晴らしい“唄声喫茶”なら、またいつかオープンしてもらいたいものだ。

 

 

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-セットリスト-

 

M1. 「チム・チム・チェリー」

M2. 「たとえば僕が死んだら」

M3. 「夢の途中」

M4. 「思い出がいっぱい」

M5. 「赤いスイートピー」

M6. 「ダンスはうまく踊れない」

M7. 「木綿のハンカチーフ」

M8. 「もしもピアノが弾けたなら」

M9. 「なごり雪」

EN1. 「雨の街を」

EN2. 「悪女」

 

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●有村竜太朗 オンラインカバーライブ

「唄声喫茶 黒猫 HALLOWEEN NIGHT ~道化師の憂鬱~ 」

-アーカイブ情報-

 

料金:¥3,000(税込)+ZAIKO手数料

チケット発売期間:~11/3(火)20:00まで

※配信チケット購入者は11月3日(火祝)23:59までアーカイブでご覧いただけます。

お支払い方法:各種クレジットカード、コンビニ決済、PayPal、WeChat、Alipay

※お支払方法により、決済手数料がかかります。

 

ZAIKO 有村竜太朗 チケット販売ページ:https://arimuraryutaro.zaiko.io

お問い合わせはこちら:https://zaiko.io/contactus?cid=22&type=customer

 

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有村竜太朗オフィシャルサイト:https://arimuraryutaro.com

有村竜太朗Twitter:https://twitter.com/armr_r_official







2020年11月03日 (火)

【ライヴレポート】<LM.C Club Circuit ’20 -Halloween->2020年10月30日31日 白金高輪SELENE b2◆「ここからまた新しいLM.Cを作っていこうと思っているので、皆さんこれからもよろしくお願いします!」

REPORT - 00:27:28

 人はパンのみにて生くるにあらず。これは、イエス・キリストが「人は物質的な満足だけを目的として生きているわけではない」ことを新約聖書の中で語る言葉として、信徒以外の方々にも広く世間に知られているのではなかろうか。

 

 ちなみに、聖書の中では「心の食べ物として神の言葉も必要である」という旨の教えがこれに続くそうなのだが、特にキリスト教に縁深い者ではなくとも、単に衣食住だけがあれば生きていけるという考え方は、あまりにも雑過ぎると感じずにいられない。

 

 たとえば、この心の食べ物というのは人によって音楽であったり、生け花であったり、演劇であったり、フィギュア収集であったり、映画であったり、キャンピングであったりすることもあるだろう。つまり、趣味や娯楽も人が生きてゆくには糧として重要なものであるはずなのだ。

 

「ご無沙汰しておりました。LM.Cのハロウィンライヴへようこそ!限られた時間ではありますが、存分に楽しんでいきましょう!!」

 

 このたび、10月の3031日の2日間にわたり白金SELENE b2で開催された[LM.C Club Circuit ’20 -Halloween-]のステージ上において、フロントマン・mayaが第11部の最初に「GHOST†HEART」と「Virtual Quest」の2曲を高らかに歌い終わってから発したのはこの言葉だった。

 

 なお、今年は1月にjealkbが主催した[THE BEST TOUR ~異色薔薇ノ宴~]への出演をして以降、春ツアーの[TOUR 2020 -Brand New Songs-]も、今秋に予定されていた[LM.C Club Circuit ’20 -Halloween-]もこの白金SELENE b2での公演をのぞき全てが中止となり、ここに至るまでには生ライヴこそ至上という意図のもと配信ライヴも行ってきていなかった中、文字通りこのタイミングで敢行されたこのハロウィンライヴは定員数を絞っての2部制×2デイズの4公演で、そのうえ1公演あたりの上演時間は1時間程度という政府推奨ガイドラインに沿ったものであったことを、ここに明記しておきたい。

 

 また、開演前にはこのライヴハウスの主であるというGhost Selene氏より、ルールとして「どんなことがあっても決して叫び声をあげてはならないこと」「与えられたパーソナルスペースを死ぬ気で守りながら思うがまま踊り続けること」の2点がいかにもハロウィンライヴらしい怪奇的雰囲気のナレーションによってアナウンスされることに。

実際、ライヴが始まってみるとオーディエンスは自らの意思を拍手でステージに届けることになり、なおかつ曲中では腕を高く上げたり、アタマを振ったり、その場で飛び跳ねたりと、それぞれに自由な動きをもってLM.Cの放つ音像を楽しむことが出来る空間がそこには在った。

 

 もちろん、コロナ禍に突入する以前のように推しメンバーの名前を大声でコールしたり、曲にあわせて観客たちが一斉にシンガロングするようなことは出来ない。登壇する演者以外は、スタッフも含めて全員がマスク着用必須なのも大前提。

だが、それでも。

可能な限り家に閉じこもることを要請され、音楽やエンタテイメントなど生活に不要不急だと世間から糾弾されがちだったあの日々を思えば、ライヴハウスでまたLM.Cのライヴに接することが出来る、躍動感あふれる生音を体感することが出来る、自宅のオーディオから出る音とはケタ違いの心地良い大音量に身を委ねることが出来る、という事実たちが尊いものとして感じられたのは何も筆者だけではあるまい。

 

 しかも、ハロウィンというテーマが縛りとしてあったのも今回のライヴを楽しむうえではかなりポイントが高かった。

そもそも、ハロウィンライヴを開催することについては以前からmayaが切望していたそうなのだが、LM.Cの場合これまで毎年10月はデビュー記念にまつわるライヴやイベントが行われることが多かった為、ハロウィンに関しては二の次になりがちなところがあったのも事実。

しかし、いざフタが開いてみれば前述の「GHOST†HEART」を筆頭に、ダンサブルでアッパーな「My Favorite Monster」やスパニッシュな香りがほのかに漂う「…with Vampire」、どこか渋谷系クラブサウンドを彷彿とさせる「Haunted House make a Secret」、不可思議なダークファンタジーの世界が音で紡がれてゆく「Hollow Hotel」と、LM.Cにはハロウィンにこそふさわしい楽曲が多々揃っていることにあらためて気付かされることになったのだ。

mayaAijiが纏うスケルトンデザインの衣装や、ホラーティックな雰囲気を濃厚に醸しだした映像演出なども素晴らしく映えていたと言っていい。

 

 と同時に、そうしたコンセプチュアルな面白さもさることながら、今回のライヴについてさらに注目すべきだったのは、今春に配信と通販限定で発表されていた新曲3曲のうち「Campanella」と「Happy Zombies」がライヴで初披露されたシーンであった、とも言える気がする。

 

 各公演の中盤で歌われた「Campanella」はAijiの作曲による幻想的美旋律と、mayaによる文学的歌詞が絶妙に交錯するバラードで、なんとmayaいわく歌詞の内容は2019年春頃には書かれ始めていたというのにも関わらず、以下のような内容になっているのだから実に興味深い。

 

「ストーリーとしてはこの中に主人公がひとりいるとしたら、その人は何かに希望や期待を抱くことにも疲れ始めているようなそれなりの大人で。

そういう人が、「このままでいいのかな」と思いながら生活をしていたところに、そんな状況はおかまいなしにカンパネルラっていう名前の未確認物体が突如として、地球を滅ぼしにやってくるんですよ。

つまり、何をしてようとしてまいと、頑張ろうが頑張るまいが、未知なる驚異によって簡単に日常や人生は終わっていってしまう。

だったら、気楽に行こうぜ!っていうことを歌ってるんです」

 

 一方、今回の各公演にていずれもラストに演奏されていたLM.Cの最新型王道チューンとも呼ぶべき極みポップテイスト満載の「Happy Zombies」についても歌詞が書かれていたのはほぼ同時期だというが、その内容に関しても何故だか預言的な内容が含まれているところが気になる。

 

〈どんなウイルスも怖気付くほどシャイン 喜怒も哀楽さえも失くして 

生ける屍になるくらいなら 魂 取り戻し Horrorticに蘇ろう〉

〈踊る君を見て僕は歌う この現実を積み重ねれば ハートビートはスウィングし続ける 逃げ場も遣り場も無い世界に 僕らだけの居場所を探そう〉

 

 そう、コロナ禍が勃発するよりもはるか前に書かれたものだというのに、今まさにこの現実がそのまま歌われているように感じられはしないだろうか。

まさに今回のライヴでは、声は発せずとも楽しそうに踊るファンたちを前に、mayaが歌い、Aijiが奏でることでそこにLM.Cを愛する者たちだけの大切な居場所が生まれる、という構図が間違いなく生まれていたのだから。

2日目第2部での「Happy Zombies」では、mayaどんなウイルスもの部分をコロナウイルスと替えて歌ってみせていたのも鮮烈であったし相当に印象的だった!)

 

 maya本人の弁によると、これらの歌詞は 「結果としてなんか絶妙にイマドキっぽくなっちゃいました」ということになるらしいが、コロナ禍なんぞに陥る以前から一貫していろいろあっても皆で楽しく行こうぜ!という普遍的な主旨をずっと音楽を通して発信し続けてきたLM.Cの姿勢は、今こんな時代にこそ多くの人々により強く届いて欲しいと願ってやまない。

 

「みんな、どうもありがとう。

今回のライヴに関しては、果たしてやるべきかどうか迷ったこともありましたが、本当にやって良かったなと思ってます。

みなさんも我々も手探りな中、コロナ禍においての新たな第一歩を、俺たちなりの第一歩を踏み出せたんじゃないでしょうか。

(中略)

全てが当たり前じゃないっていうことは、ずっと言ってきたことでもあるけど、今またそれを実感してるしね。

こうしてバンドをやれていることも、皆との関係性についても本当にありがたいと感じてます。

そこに気付けてまた新たにやっていけるという意味では、意外とコロナも悪くないのかな?っていう。

そうやって大事なものを気付けたかわりに、もう必要ないものとかにも気付けたじゃん?自粛期間には断捨離もバンバンしたし()

ここからまた新しいLM.Cを作っていこうと思っているので、皆さんこれからもよろしくお願いします!」

 

 30日の第2部のエンディングではギタリスト・Aijiがこのように語ったほか、「The BUDDHA」のイントロ部分ではmaya

「きっとこれからも、いろいろなことはあるでしょう。でも、乗り方や乗りこなし方を一緒に見つけていきましょう!!」

 とメッセージする一幕があったことを考えても、今回のハロウィンライヴはLM.Cにとってあらゆる意味で新機軸なものであり、ここからの未来に向けたひとつの節目になったと言えよう。

 

 ところで。

なんでも今回の30日第2部はLM.Cにとって始動以来500回目の公演でもあったそうなのだが、来たる2021年にはいよいよの15周年が控えているのも忘れてはならない。

この喜ばしい次なるステップへと向け、今冬は既に制作を開始したという新しいアルバムを仕上げていくことになる彼らから、ここでは最後に吉報をもうひとつ。

 

 なんと1224日に、今回の公演を特別編集した映像配信が決定したそうだ。

パンだけをかじって生きるのではなく、クリスマスケーキを食べながらLM.Cからのプレゼントとなる映像を堪能する。

そんな少し贅沢なホリデーシーズンこそが、我々に糧となる幸せをもたらしてくれるに違いない。

 

 

Text by
杉江 由紀

 

Photographs by
柴田 恵理
村井 香

 

…………………………………………♪

-SETLIST-

10月30日(金)
[1部]
SE. Rainbow Magic Orchestra
1. GHOST † HEART
2. Virtual Quest
3. JOKER -my name is-
4. My Favorite Monster

5. …with Vampire

6. The Midnight Museum 4

7. Campanella
8. Door!

9. Haunted House make a Secret

10. The BUDDHA
11. OH MY JULIET.

12. MOGURA

13. Happy Zombies

 

…………………………………………♪

 

10月30日(金)
[2部]
SE. Rainbow Magic Orchestra
1. Virtual Quest
2. OH MY JULIET.

3. JOKER -my name is-
4. 阿修羅

5. …with Vampire

6. Hollow Hotel

7. Campanella
8. Haunted House make a Secret
9. Kiss me?

10. Z-MAN
11. GHOST † HEART

12. The BUDDHA

13. Happy Zombies

 

…………………………………………♪

 

10月31日(土)
[1部]
SE. Rainbow Magic Orchestra
1. GHOST † HEART
2. Virtual Quest
3. JOKER -my name is-
4. My Favorite Monster

5. …with Vampire

6. The Midnight Museum 4

7. Campanella
8. Door!

9. Haunted House make a Secret

10. The BUDDHA
11. OH MY JULIET.

12. MOGURA

13. Happy Zombies

 

…………………………………………♪

 

10月31日(日)
[2部]
SE. Rainbow Magic Orchestra
1. Virtual Quest
2. OH MY JULIET.

3. JOKER -my name is-
4. 阿修羅

5. …with Vampire

6. Hollow Hotel

7. Campanella
8. Haunted House make a Secret
9. Kiss me?

10. Z-MAN
11. GHOST † HEART

12. The BUDDHA
13. MOGURA

14. Happy Zombies

 

…………………………………………♪

 

LM.C Info

1224() 時間未定

LM.C Club Circuit ’20 -Halloween- 白金高輪SELENE b2 ライブ映像配信

詳細後日発表

 

…………………………………………♪

 

 

★LM.C OFFICIAL SITE★

https://www.lovely-mocochang.com/