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2021年05月01日 (土)

【ライヴレポート】配信時代のニューノーマル。アプリ×リアルライブ──進撃のイチナナ会feat.ラキの1stライブに密着!

REPORT - 17:00:45

2020年、世界は一変した。自粛を余儀なくされ当たり前のことが当たり前にできない日々と、先の見えない焦燥感に人々はふさぎこんだ。それは音楽業界、ライブハウス、そして我らヴィジュアル系の世界もまた同じだった。希望を胸に抱いて結成したバンドも、より高みを目指して継続してきたバンドも、有終の美を飾って終止符を打とうとしたバンドもいただろう。しかし多くの公演が中止になり、目も当てられないほどの被害を受けたバンドも少なくなかった。まさにそんな絶望の淵に立たされた中で一筋の光が差し込むように台頭してきた分野がある。ライブ配信だ。

 

YouTubeライブ、インスタライブ、ツイキャスなど既存のSNSや動画サイトの中でリアルタイムにストリーミングを視聴できるサービス、それがライブ配信である。これを利用し配信ライブが家にいながらにして参加でき、無観客でもライブができるとして、ファンのみならず多くのアーティストの活路、救いとなった。

 

そんな中、全く新しいアプリとして数年前から人気を集めているのが17Live(以下イチナナ)である。

 

台湾発祥のこのアプリは、日本を含むアジアのみならず、欧米でも人気となりその利用者は5000万人を超えるほどだ。そして、そのイチナナを基軸としてライブ配信をするアーティスト、芸能人も登場し始めた。その影響力は計り知れず、我らヴィジュアル系業界にもライバー(配信者)が現れ始めた。ジン(ex-SCREW)、BAN(ex-少女-ロリヰタ-23区)、有栖川塁(未完成アリス)など、著名なバンドのライバーが中心となり、トップライバーのKEKE(AMBEEK)、人気ゲームライバーの冥乃(ex-ワルアガキ)、配信時間世界一の夢浮(ex-ICe0AGe)、企画系ライバーの零々七(ex-メアリィ)、男の娘ライバーのこむ(ex-グレヱテル)などがイチナナ内でのV系シーンを盛り上げている。

 

ソーシャルディスタンス、自粛などネガティブな言葉が飛び交うリアルとは真逆で、イチナナの中では日々楽しいコメントが溢れている。そして彼らは一般層へのヴィジュアル系の訴求にも尽力しているのだ。アプリの中での会話は言わばバーチャルな世界なのかもしれない。しかし、彼らの配信には人々が本来求めているアーティストとの交流がふんだんに詰め込まれている。そこはジャンルなど関係なく、ヴィジュアル系を全く知らない層のリスナーも多く集まるボーダレスな空間だ。日頃、バンギャルをときめかせる術を熟知している彼らにとってはもはや朝飯前、アーティストとしての手腕を見せつけるにはイチナナはうってつけだった。これが「ヴィジュアル系」なのだ。その発信力が多くのリスナーの心を鷲掴みにすることに成功し、配信実績がこの一年間で急激に伸びている。

 

年が明け、BAN、夢浮、こむ、零々七から発表があった。

-2021年3月29日 ライブ決定!進撃のイチナナ会feat.ラキ-

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これまでライバーとしてアプリの中で活動してきた彼らのリアルのライブがついに決まったのだ。

この発表はとても反響が大きかった。イチナナ内にいるバンギャルのみならず、一般層からの反応も多数見られた。

 チケットのソールドアウトが予想され、ソーシャルディスタンスなどの関係から急遽会場が変更、ミニ2マン公演となった。

実際、会場は平日にもかかわらず定員オーバーギリギリなプレミアムライブとなり、V系業界の関係者の間でも話題となった。

ここからはそのライブの模様をお届けしたい。

 

 

少女-ロリヰタ-23区のSEでメンバーが登場。歓声と拍手が会場に鳴り響く中、ラキの煽りから1曲目のIris。この曲は夢浮の作詞曲・編曲による作品で、夢浮を中心にイチナナのアーティストを集めて企画されたアルバム「一期七会」の楽曲の一つである(アルバム全曲夢浮による作詞曲・編曲ミックス)。レコーディングには夢浮がギター、ベースが零々七、ドラムがBANが参加していたため、まさにご本人様登場の初披露なのである(音源版のボーカルはYouTuber兼ライバーのおとなし)。

 

BANのドラムと零々七のベースによるリズムアンサンブルからヘヴィなリフへのバンドイン。会場にいる全員が初めて見る楽曲にも関わらず、ラキの匠な扇動でいきなりボルテージMAX。自粛によりオーディエンスの抑え込まれた感情が爆発し、この勢いは終演まで失われることがないほどに盛り上がった。

 

激しい演奏とキャッチーで耳に残るメロディから一転、優しく三拍子で包まれる間奏。夢浮の流麗なギターソロとこむのバッキングに酔いしれる。その流れから一気に加速して、大サビのジャンプ、アウトロのヘドバンがRED-Zoneを揺らす。

 

最高潮の盛り上がりの中、次の楽曲はベースの零々七が活動していたバンドのメアリィから「あなたと私」。

 

魔法少女のような出で立ちで可愛らしく奏でるこむのギターリフから始まり、バンドインで客席に拳が突き乱れる。シンプルでノリやすい楽曲がラキの煽りと完全にハマっていた。また、飛び道具の拡声器もノイジーで、歌詞の「キ●ガイ生まれ」の演出に一役買っている。間奏のベースソロではゴシックな衣装に身を包んだ零々七が妖艶に前に出て、下手には観客による花が咲き、その後のBANのドラムソロでは客席中央にも花が咲いた。また、小規模なキャパシティのステージを暴れ乱れまくる夢浮に客席後方まで魅了された。

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勢いそのままに、3曲目はドラムBANのバンド、少女-ロリヰタ-23区より「VIRUS」。この楽曲は少女-ロリヰタ-23区の中でも一際アグレッシブに重きを置いた楽曲で、この流れのセトリにはうってつけだった。ヘヴィなリフに止まらないヘドバンと拳。ファンシーな装いながら激しいドラムを叩くBANに身を預け、メンバーも会場も我を忘れるほど暴れ倒した。

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オープニングSEからここまでの間が一瞬に感じるほどの熱いライブに束の間の休息。とはいえ、このMCこそライブ配信者にとってはお家芸披露の格好の場である。今回のライブは一般層のオーディエンス―つまり、イチナナのリスナーが大半を占めており、所謂V系ノリがないライブと言えた。また、2マンということも相まって、非常にアットホームな誰でも楽しめる雰囲気が会場を満たし、とても心温まるMCになった。熱いライブと温かいMCで会場はさらにヒートアップし、後半戦へ。

 

今回の自粛期間での葛藤や不甲斐ない想いを書き綴ったラキのソロ曲「惡夢」。ダークでヘヴィながら心に突き刺さるメッセージ性の高い歌詞と旋律、そしてラキの歌唱力に心の傷が癒えていく…人々の、多くのアーティストの気持ちを代弁してくれているようなこの楽曲を、今回のイチナナ会のメンバーが彩り、演出する。

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間奏明けのパートで優しく歌い上げ、最後はソウルフルに大サビで圧倒。会場に拍手が巻き起こり、そのままラキのバンドのモンストロより「ビッグマウス・マーチ」。

 

ラウドかつテクニカルな楽曲にメンバーも苦戦したそうだが、積み重ねてきた個々のキャリアでこの日はラキのファンをも湧かせた。轟音のリフとドラム、そしてデスボイス。間奏のシャッフルのセクションがあの曲を彷彿させ、ポップで遊び心満載なのが憎らしい。歌詞の風刺も小気味よい。

 

また、今回のライブ全編を通してラキの煽り、そして客席中央のラキのファンが非常にライブを盛り上げ、観客を扇動した。まさに”調教された”と言っても過言ではないライアー(モンストロのファンの呼称)達。イチナナという配信アプリのライバーではない彼やライアーにとって、このライブがアウェイではなくホームになり、お互いに受け入れ合ったことが新しい時代の到来を予感させる瞬間になったのは間違いないだろう。

 

会場の盛り上がりが絶頂まで高まったところで最後の曲、「うっせえわ」(Adoのカバー)。この日のために特別にドラムアレンジを用意してきたBANのリズムにノリ、会場全体が揺れる。本来なら右往左往にモッシュするところをソーシャルディスタンスの関係でその場でモッシュする観客だが、決して冷めることなく非常に熱いノリだった。

 

また、このライブ以前に自身のYouTubeチャンネルでカバーを披露していたラキにとってはこの曲を原曲キーで歌うのはまさに「問題はなし!」と言ったところ。女性が歌っている楽曲を原曲で歌えるというボーカリストとしての懐の深さも垣間見ることができた。

 

間奏では夢浮によるアドリブソロ。音楽理論に精通し、「指板が光って見える」と語るほどどんな楽曲も初見で弾ける彼の卓越したプレイが観客を虜にした。

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全6曲を終え、メンバーが退出するやいなや、どこからともなく野太い声の「アンコール!アンコール!」が会場中に響き渡る(BANがドラム配信でいつも使用しているSE)

 

進撃のイチナナ会feat.ラキに加えてスペシャルゲストとしてトアリ’sセッションから、わりトアリがギターで参戦。最後にもう一度Irisを弾いて大歓声の中、幕を閉じた。

 

本番の後のメンバーの顔はとても晴れやかで、一同全員「楽しかった、やってよかった」と手応えを感じていた。

 

イチナナというアプリ上でのバーチャルな体感から、ライブというリアルな体感。双極の相反する分野がクロスフェードし、それらが生み出す新しい形のエンターテイメントと、彼らの今後の活躍に注目したい。

 

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【SET LIST】

1.Iris / 一期七会

2.あなたと私 / メアリィ

3.「VIRUS」 / -少女-ロリヰタ23区

4.惡夢 / ラキ

5.ビッグマウス・マーチ / モンストロ

6.うっせぇわ / Ado

 

 

写真◉宮岡里英

 

 

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そして早くも第二弾のライブが決定!!

 

 【NEXT LIVE】

2021年5月2日(日)EDGE Ikebukuro

『池袋ハンティング~vol.2~』

開場16:00/開演16:30

前売¥4,300/当日¥4,900(D代別+¥600)

 

【出 演】

進撃のイチナナ会feat.ShamiRock / LAY ABOUT WORLD / 3470.mon / ANONYMOUS

 

【チケット】

1.e+ 4月18日10:00発売 ※URLは4/14~

https://eplus.jp/sf/detail/3414190001-P0030001

2.当日券


2021年04月30日 (金)

【ライヴレポート】<LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.1- “LET ME’ CRAZY!!”>2021年4月26日(月)恵比寿LIQUIDROOM◆これからも俺たちの音楽が君たちの人生の側で寄り添っていってくれたら嬉しい(Aiji)

REPORT - 18:00:57

 志を同じくする者たちだけが集うことにより、秩序ある楽しみ方で音楽を心ゆくまで満喫することの出来る、素晴らしき聖域。今宵のLM.Cがこの場に生み出してみせたのは、まさにそのような空間であったと言えるだろう。

 

「まず最初に言っておくべきことがあるとすれば、もしかしたらこの中にはどこか後ろめたい気持ちでこの会場に向かった人もいるのかもしれない。だけど、一旦そういうのは置いておいてさ。もし何かあったとしても、それは全てLM.Cのせいってことで。あ、俺のせいじゃないよ。あくまでLM.Cのせいだからね()。とにかく、皆で楽しんでいきましょう。ここにはマジで何時も以上に仲間しかいないんで。思いっきりブチあげていきたいと思います!!」(maya

 

 いよいよ今秋に始動からめでたく15周年を迎えるLM.Cが、このたび20076月以来で久々となる恵比寿LIQUID ROOMにて開催したのは、[LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.1 “LET ME’ CRAZY!!”]と題されたワンマンライヴだ。

 

 むろん、東京では前日より3回目の緊急事態宣言が発出されている中であったわけで、LM.Cは今回のライヴを文字通り敢行すると決断したことになるが、1曲目の「LET ME’ CRAZY!!」を歌い終えたあとにフロントマン・mayaがこの状況をかんがみての言葉として発したのが、あの冒頭に記したMC内容だったのである。

 

 ちなみに、今回の1曲目に選ばれていた「LET ME’ CRAZY!!」は単語単位の頭文字で表すとLMCになる曲であり、歌詞中には〈偏見のコレクションに埋もれ ヤメられない止まらない前へ習え〉だとか〈はみ出して笑われるのがこわい? この場所で満足なら そこで指くわえて見てな〉とシニカルで尖った部分が含まれる一方、それでいて核心の部分では〈ずっと此処は君の居場所さ〉というメッセージや、〈僕らの未来を迎えに行こう〉といった所信表明までもが託されているところも大きな特徴。

 

 制作当時の2010年に始動5周年を見据えて作られたこの曲は、今でもLM.Cとファンにとってことさら特別な楽曲になっているもので、そもそも今回のライヴタイトルにこの曲タイトルがそのまま冠されていたこと自体、LM.Cのこれからに向けた意思呈示となっていたはずだ。

 

 文化芸術やエンタメを不要不急なものとみなす類いの人々が世の中に一定数存在しているのは事実であろうし、何かと多様性を重んじるようになってきた世の中にあっては、いろいろな考え方があるのも当たり前のこと。逆に言えば、娯楽が必要火急なものであるという価値観もまた、今こそ尊重されるべきかと。

 

 しかも、LM.C の場合は昨年10月末に行ったコロナ禍突入後初のライヴ[LM.C Club Circuit ’20 -Halloween-]を政府の出しているガイドラインに添いながら万全の対策をもって取り仕切り、一切の感染者を出さずに無事成功させているという実績もある。だとするならば、秩序ある楽しみ方で自由に音楽を堪能することを遠慮する必要など、一切あるわけもない。

 

 なお、今回のライヴからは新グッズとしてカラフルなライト付きプチタンバリンが加わり、オーディエンスの多くはそれを活用しながら発声が出来ない分の意思表示をおおいにしていた模様。拍手だけで演者側と観客側が意思疎通をはかるよりも場に華やかさが生まれるため、このアプローチは現代のライヴ運営をしていくうえでなかなかに有効なものだと感じた次第だ。

 

「いやー、よくもまぁこんなに集まってくださいまして()。もうこれは楽しむしかないな!という感じですよ。(中略)そういえば今日のライヴに向けて曲を選んだんですけど、どの曲も言葉が刺さって来るなぁ!とあらためて思いましてね。LM.C としては、今日ここでそれをどんどんブッ刺していきますよ。まぁ、もうすぐ我々は15周年ですし、どんな形であれ今日こうしてライヴが出来るのは嬉しいです。ありがとうございます!」(maya

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 なお、この言葉の後に歌われたアグレッシヴチューン「*BOOST+BUSTERz*」では、なんとmayaが〈この耳疑う休業要請!〉そして〈脅かすウイルス〉←元から歌詞にあるので消す という歌詞をアドリブでブッ込んでくる事態が勃発することに!!本来、この曲はSF的なストーリーの中で地球が突如とあるクライシスに見舞われる内容の歌詞となっているのだが、そこにコロナ問題をカブせてくる絶妙な手腕はさすがの一言。

 

 また、昨年2月に発表されたマキシシングル『Brand New Songs』に収録されている「Happy Zombies」でも、〈どんなウイルスも怖気付くほどシャイン~〉という歌詞のどんなウイルスもの部分を、mayaはこの夜コロナウイルスと替えて歌ってみせた。そこから←替えてないので消す の〈踊る君を見て僕は歌う この現実を積み重ねれば ハートビートはスウィングし続ける 逃げ場も遣り場も無い世界に 僕らだけの居場所を探そう〉という歌詞は、結果的にmayaが今現在という未来を予測したものになり、その歌詞どおりの光景が恵比寿LIQUID ROOMで繰り広げられていくさまを何とも不可思議に感じたのは、きっと筆者だけではなかったと思う。

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「去年のライヴでは皆の協力もあって、全然大丈夫だったからね。俺たちの基準でやっていけばライヴは開催出来るってあの時に思えたので、今回もこうして実現することが出来ました。もちろん、来ないっていう判断をした人がいることもわかってますし、それも正解だと思う。ここに来てくれた人も、ライヴをやるって決めた俺らも、それは自分で決めたわけじゃない。そのうえで、感染者がゼロだったらそれでいいわけでしょ。だから、LM.Cはこれからもスタッフともども一丸となって頑張っていきますので、皆も身体には気をつけて元気でいてください。また近々、良いお知らせをするよ!」(Aiji

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 こうしてライヴの後半戦ではギタリスト・Aijiが「今日ここに来られなかった人たち」への配慮も含んだ真摯かつ丁寧なコメントをする一幕もあったが、現状のLM.Cはライヴの生配信というものを行っていないため、願わくばこの記事によって彼らの想いや言葉がその場に赴くことが叶わなかった人々にまで届いて欲しい、と切に願う。

 

 かくして、気付けばライヴは佳境へと突入し、限られた時間の中だからこそLM.Cはここから完全燃焼へと向かいだす。極彩色なハイパーチューン「Chameleon Dance」に、ほぼツインヴォーカルなAijiのコーラスが映える「DOUBLE DRAGON」、覚醒モードに入ったmayaが渾身のパフォーマンスを炸裂させたリアル神曲「The BUDDHA」、始動の頃からことあるごとに〈集え同志よ我らの爆音の下に〉という歌詞を変わらず轟かせ続けてきた「☆Rock the LM.C☆」とキラーチューンたちが惜しげもなく連打されたうえで、最後に放たれたのは「俺たちの志!」という何時もの欠かせない決めゼリフから始まった「PUNKY ❤︎ HEART」。

 

〈独りきりで泣いている君が笑えるのなら たとえ世界中を敵に回したっていいさ〉

 

 つまり、LM.Cのふたりはファンの皆を笑顔にするためならば世界中を敵に回すこともいとわない、とここに来て頼もしい宣言を再びしてくれたことになる。

 

「今日は本当にどうもありがとう!これまでの人生でこれだけ長くライヴが出来なかったりとか、全てが計画通りにいかないとかって無かったんだけど、おかげさまで俺たちはそんなのもわりと楽しみながら生きてます()。これからも少しでも皆に楽しんでもらえそうなことを企画していくんで、俺たちの音楽が君たちの人生の側で寄り添っていってくれたら嬉しいです。また元気で会いましょう!」(Aiji

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「皆さん、ちゃんと楽しめましたか?5月からはYouTubeの公式チャンネルで新しいこと(メンバーシッププログラム[LM.C Streaming Club])を始めるし、まだ決定こそしてないけど6月と8月、そして15周年を迎える10月にもライヴは予定しているんでね。遊び場を作ってバンドが回って行くようにしていくので、いろいろ楽しみにしていてください。これからもよろしくお願いします!!」(maya

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 志を同じくする者たちだけが集うことにより、秩序ある楽しみ方で音楽を心ゆくまで満喫することの出来る、この素晴らしき聖域に祝福と栄光あれ。LM.Cのふたりならば、時には攻めにも出つつ今後もその場をわたしたちの為に守り抜いていってくれるに違いない。

 

 

(ライター:杉江由紀)

 

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-SET LIST-

1. LET ME’ CRAZY!!

2. Loud_Mucker_Complex.

3. Space Wannabiez

4. GaMuShaRa

5. *BOOSTBUSTERz*

6. Fight Club

7. Amnizia

8. Campanella

9. -SORA涙色

10. Happy Zombies

11. Yellow Beauty

12. Avocado

13. Chameleon Dance

14. DOUBLE DRAGON

15. The BUDDHA

16. Rock the LM.C

17. Chameleon Dance

18. PUNKY HEART

 

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2021年04月21日 (水)

【ライヴレポート】<SUGIZO LIVE STREAMING FROM TOKYO EPISODE Ⅱ~VOICE OF LEMURIA~>2021年4月20日(火)◆音楽ジャンルも国籍も人種も宗教も文化も、あらゆる壁を超え混ざり合う総合芸術を提示したライヴ──。

REPORT - 17:07:48

4月20日(火)、SUGIZOが自身2度目となる配信ライヴ『SUGIZO LIVE STREAMING FROM TOKYO EPISODE Ⅱ~VOICE OF LEMURIA~』をstudio W(WOMB LIVE)にて開催、生配信した。

本来ならば1月の実施を予定していたのだが、新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みてやむなく延期に。

2020年12月にリリースした最新オリジナルアルバム『愛と調和』からの楽曲を今回、満を持してライヴ初披露した。

 

本公演の基本編成は2020年10月に開催した初配信ライヴ同様、COSMIC DANCE QUARTET。MaZDA(マニピュレーター、シンセサイザー)、よしうらけんじ(パーカッション)、ZAKROCK(VJ)に加え、スペシャルゲストとして鬼才トランぺッターの類家心平、妖艶かつ神秘的なベリーダンサーNourahが加わった布陣だ。

音楽のみならず映像・照明が重要な役割を果たすのがかねてからのSUGIZOライヴだが、こと配信ライヴでは、画面上で魅力が最大化するよう計算し尽くした撮影・スイッチング・映像加工を行っている。

また、オンライン用ミックスはSUGIZOが〝サウンドアルケミスト″と呼び敬愛するDub Master Xが務め、最高水準の音質で届けられた。

 

ライヴの幕開けは、ヒーリング音楽作品としての『愛と調和』を象徴する1曲「Nova Terra」。

アルバムのインスピレーション源となった屋久島の森の緑、差し込む光、生命力に満ちた水を音楽・映像・照明の三位一体で神秘的に表現していく。

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真っ赤なライトに切り替わり「FINAL OF THE MESSIAH」が始まると、スクリーンにはライヴタイトルが大写しに。

そこには、1曲目とは別人のようなロックスターのオーラをまとったSUGIZOの姿があり、画面越しのオーディエンスを挑発的に手招きしていた。

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SUGIZOのギターと類家のトランペットは共に狂騒的で、木霊のように響き渡った。

「NO MORE NUKES PLAY THE GUITER」を続けて放ち、「NO NUKES」の文字を背に、「NO MORE!」とシャウトする幕切れは圧巻。

反戦のメッセージを熱烈に示した後は、青い光に包まれた静けさの中、ドイツの現代音楽家シュトックハウゼンの影響で生まれた電子音楽「Raummusic」へ。

アタック感を完全に消し去ったかのような柔らかいタッチで、コードを繰り返し爪弾くSUGIZO。

よしうらは金属の鎖をスネアに叩きつけて鈍い音を鳴らし、最初は穏やかだった類家のトランペットも次第に高揚。

すると、映像表現も連動して内なる世界から雄大な自然へと変化していく。

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次曲「FATIMA」はSUGIZOのライヴに欠かせない曲で、かねてから海とベリーダンサーのモチーフが映像で繰り返し表現されてきたのだが、今回は生身のベリーダンサーNourahが登場。画面から飛び出して来たような彼女が白い衣装とヴェールをなびかせ、レーザー光線に照らされて舞い踊る情景は、幻想美の極み。

更に、配信画面上では海の映像などがオーバーラップされ、奥行きのある美しさを立ち上げていた。

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ヒジャブをまとい祈る女性の映像から始まった「ENOLA GAY RELOADED」では再び、深紅の世界をバックに激情を放出するSUGIZO。

その殆どがインストゥルメンタルであり言葉を介さないSGZ MUSICだが、核実験のキノコ雲、原発の脅威をモチーフとした映像がオーディエンスに問い掛けるものは大きい。

「NO NUKES」のメッセージを刻んだ大きなフラッグを振り、その同じ手でギターを握れば、迸る強い念そのもののような艶やかな音色を響かせる。

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SUGIZOにとって社会問題に向き合うことも音楽を奏でることも地続きで同義なのだ、と痛感する曲である。

曲調の切り替わりと完璧に連動した照明、ズームを駆使した鮮やかなカメラワークも相まって、画面越しであっても臨場感とダイナミズムが伝わったことだろう。

 

基本的には歌唱もMCも無くノンストップで突き進んでいくSUGIZOのライヴ。終盤を迎えて披露した「Decaying」では、SUGIZOと類家が交互に音を鳴らし、全く展開の読めないインプロビゼーション的プレイバトルを熱く繰り広げた。

メンバーのフォーメーションは360度円を描くように内側を向く形で、SUGIZOと類家は対面。距離は離れているが、映像の切り替えによって2人が間近にいるような迫力が感じられた。

「禊」ではジャンベを手にセンターへ出て来たよしうらとSUGIZOが向かい合って、剣術の試合をするようなプレイバトルを展開。

思わず息を呑むほどにスリリングな2曲だった。

野性を解き放って吠えるような激しいプレイと、寸分の狂い無くコントロールされたメンバー間の呼吸。

その両極を行き来するエキセントリックな楽曲は、激情と理知を兼ね備えたSUGIZOらしさの表れなのかもしれない。

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本編ラストは「DO-FUNK DANCE」は極彩色のレーザー光線が飛び交うサイケデリックな空間で、SUGIZOは髪を振り乱しながら、今回は類家に物理的に接近してプレイバトル。

音符として譜面に書き表すことができないような息遣いも含めた、エモーショナルな音楽がそこには鳴っていた。

 

感謝を述べ、メンバーを紹介した後一旦ステージを去ったSUGIZO。ほどなくしてタブレットを手にして戻り、Twitterのハッシュタグで寄せられた視聴者からのコメントを紹介。

有観客でもオンラインでも、ファンとの繋がりを常に重視するSUGIZOにとって欠かせない時間である。

このライヴが延期を経て実現に漕ぎつけたことを改めて説明し、「開催できてうれしい」と喜びを述べた。

英語で寄せられた海外からのメッセージも読み上げたのだが、こういった参加の形は、コロナ禍で定着した配信ライヴがもたらしたメリットの一つと言えるだろう。

コロナ禍の経済的、精神的苦痛に心を寄り添わせながら、「まだまだ闇の時間は続きますが、必ず、明けない夜はない」とSUGIZOはファンに力強く語り掛けた。

 

アンコールとして、「この苦難の時を乗り越えるための祈りとして」(SUGIZO)選んだのは、『愛と調和』から「CHARON~四智梵語~」。

静けさを際立たせる虫の音。

スクリーンには夕暮れの空、蕾がほころぶ睡蓮、桃色の太陽、樹影、五重塔などのモチーフを投影。

僧侶による疫病退散の声明(※声で唱える念仏)が荘厳に響き渡る、摩訶不思議な空間が広がった。

SUGIZOの爪弾くアルペジオは一音一音から慈愛が感じられ、類家のトランペットは郷愁を帯びている。

アーシーでオーガニックなドレスを身にまとったNourahがここで再び登場。指先のフォルムに至るまですべての動きが美しく、この曲に込められた祈りという本質を全身で表現していた。

 

静けさの中で曲を届け終えると、改めてメンバー紹介をし、カーテンコール。

SUGIZOは左右2人の肩に腕を回し、全員で深く長いお辞儀。

約1時間30分があっという間に過ぎ去り、第2回目の配信ライヴは幕を閉じた。

ライヴタイトルにあるLEMURIAとはレムリア文明を指し、『愛と調和』の重要なモチーフとなった縄文文明のルーツとの説もある、SUGIZO思想の根幹にある言葉。

憎しみではなく愛を、対立ではなく調和を、利己ではなく利他を。音楽ジャンルも国籍も人種も宗教も文化も、あらゆる壁を超え混ざり合う総合芸術を提示した今回のライヴは、SUGIZOが掲げるそんな理想の一つの実証例。

コロナ禍において不要不急などと言われ続けてきた音楽、エンターテインメントの力を実感できる意義深いライヴでもあった。

配信チケットは4月23日(金)21:00まで受付中で、同日23:59まで視聴することができる。

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また、来月5月20日(木)にサイケデリック・ジャムバンド SHAGの配信公演が、『LIVE STREAMING FROM TOKYO EPISODE Ⅲ ~THE SHAG STRIKES BACK~』として開催が決定した!

是非期待してほしい。

 

 

Text by Tae Omae

Photo by Keiko Tanabe

 

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Information

SUGIZO  4月20(火)配信ライヴ

『LIVE STREAMING FROM TOKYO EPISODE Ⅱ ~VOICE OF LEMURIA~』

2021年4月23日(金)21:00までチケット受付中!

(※アーカイヴは日本時間 4月23日(金) 23:59までとなります)

詳細はこちら→ https://sugizo.com/feature/VOICE_OF_LEMURIA

 

SHAG  5月20日(木)配信ライヴ

『LIVE STREAMING FROM TOKYO EPISODE Ⅲ ~THE SHAG STRIKES BACK~』

詳細は後日発表