2021年07月04日 (日)
【ライヴレポート】lynch.「TOURʼ20 -ULTIMA-」振替公演:2021年7/4(日)TACHIKAWA STAGE GARDEN◆待ち焦がれた1年越しの公演──ファンの眼前で繰り出された楽曲たちは、曇天を吹き飛ばす圧倒的な完成度であった。
REPORT - 20:59:20―待ち焦がれた1年越しの振替公演。ファンの眼前で繰り出された楽曲たちは曇天を吹き飛ばす圧倒的な完成度であった。―
名古屋出身のロックバンドlynch.が7月4日(日)TACHIKAWA STAGE GARDENにて「TOURʼ20 -ULTIMA-」の振替公演を行った。
本来であれば昨年2020年7月に同会場で開催されるはずであったが、新型コロナウイルスの影響でやむなく延期。
およそ1年越しの開催となった本公演は2020年発売のアルバム『ULTIMA』より本ツアーの名を冠するアルバムタイトルチューン「ULTIMA」から幕を開けた。
序盤はアッパーな楽曲たちが息継ぐ暇もなく押し寄せ、暴力的なまでのVo.葉月のシャウトが会場をヒートアップさせていく。
ステージにちりばめられた「ULTIMA」をイメージした近未来的なライトセットが5人とファンをつなぎ、輝かせる。
ライヴ中盤では“深いところまで沈んでほしい”という葉月の言葉通りじっくりと聴き込めるスロー・ミドルチューンの楽曲が続く。
そして終盤に進むにつれ再びアグレッシブなサウンドによって会場のボルテージを跳ね上げる。
この巧みなセットリスト構成もlynch.の得意とするところだ。彼らの持ち味である“静と動”を最大限発揮しながら会場を魅了している、といっていいだろう。
声を出せない分、観客それぞれが思い思いの表現でライヴを楽しみ、lynch.への愛を伝えているように見受けられた。
「心の中で声を思いっきり出してもらっていいですかぁ!! 想いは届くから!! 魅せてくれるかぁ!?」
葉月の今日一番のシャウトが飛び出したところで会場の盛り上がりは頂点に達し、まさに“会場が一体となる”感覚をビリビリと感じることができた。
アンコールではGt.悠介のセレクトによる4曲が披露され、公演は幕を閉じた。
「楽しめる場所は僕らが死守するんで、また来てください。」
最後に葉月から出た言葉は彼らが心の底からライヴとファンを大切にしているからこそあふれ出た言葉なのだろう。
7/12(水)のZepp Osaka Baysideでの再振替公演をもって「TOUR‘20-ULTIMA-」は完結する。
およそ1年越しでのツアー完結にある種の安堵を感じた者も多いのではないのだろうか。
その後に控えるのは「TOURʼ21 -ULTIMA-」の東名阪でのホール公演。
コロナという未曽有の危機の中でファンのために唄い続けたlynch.がたどり着いた表現を最後まで見届けてほしい。
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<TOURʼ20 -ULTIMA-各公演スケジュール>
7月12日(月) Zepp Osaka Bayside
17:00/18:00 (再振替公演)
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7月14日(水) LINE CUBE SHIBUYA
17:00/18:00
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7月17日(土) 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
16:00/17:00
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7月23日(金・祝) フェニーチェ堺 大ホール
16:00/17:00
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■lynch.公式ウェブサイト/SNS
[OFFICIAL HP]
[OFFICIAL Twitter]
https://twitter.com/lynch_staff
[YouTube lynch. OFFICIALCHANNEL]
https://www.youtube.com/channel/UCH4a3Uy6viB3eLuOqQY7sHA
2021年07月04日 (日)
【ライヴレポート】<DASEIN 20th Anniversary TOUR 2020「TWENTY△▽TRINITY」~夢つれて おもへば一夜 二十年~>2021年6月19日(土)、20日(日)赤羽ReNY alpha◆未来のDASEINに向けて──。
REPORT - 12:00:186月19日(土)と20日(日)の2日間、DASEINは赤羽ReNY alphaを舞台に『DASEIN 20th Anniversary TOUR 2020「TWENTY△▽TRINITY」~夢つれて おもへば一夜 二十年~』と題したワンマンライブを行なった。
本当なら全国ツアーという形で、DASEINの結成20周年を祝う予定だった。
それでも、20周年という喜びのひとときをファンの人たちと共に祝えたことは、2人にとっても嬉しいことだった。
ここでは、6月20日(日)の公演の模様をお伝えしたい。
前日に、20年間の歩みを集約したライブを見せたDASEIN。
その続きとなる2日目で彼らが最初に示したのが、これからのDASEINの姿だった。
ライブの冒頭を飾ったのが、まだタイトルが決まってない「最新曲」。
それは歌始まりのように、触れた瞬間から気持ちを高くアゲてゆく楽曲だ。
そこへ組み込まれたサウンドが、とにかくハイテンションでハイエナジー。
しかもハイテンポでハリケーンのようなデジロックナンバーへ巻き込まれたとたん、熱狂の中へ身体が一気に吸い込まれてゆく。めちゃくちゃエモい楽曲だ。
何よりこの曲に触れたとたんに、理性という感情がどんどん薄くなりだしていった。
まだ冷静さは残っている。
でも、舞台上の姿がいつも以上に眩しくて目が、心が、眩みそうだ。
「新曲」の勢いを継続しながらも、場面の色を塗り替えるように続けざま新曲(※厳密にはセルフカバー)の「五月雨」を演奏。
同じように疾走した楽曲だが、そこには胸をキュッと揺さぶる哀愁という香りが含まれている。
その切ない感覚が、高陽した気持ちに酔いしれるという美味しい味を注いでいった。
掛け合いの場面では歌えないハンデを身体で示そうと、観客たちが大きく手を上げ、想いをぶつけていたことも伝えておこう。
新たなDASEINも、とても刺激的だ。
楽曲が進むごとに、高ぶった気持ちを放出したくて身体が熱く疼きだす。
そんな騒ぐ気持ちへしっかり応えるように、DASEINはハード&ダンサブルな「漣」を突きつけた。
激しく躍動するダンスビートに身を任せ、フロアを埋め尽くした人たちが、その場で心地好く飛び跳ねていた(正確に言うなら、身体を上下に大きく揺らしていた)。
Rickyの届ける、胸を爽やかにくすぐるメロディアスな歌も気持ちを嬉しく跳ねさせる。
DASEINが作りあげたアッパーな高揚感を全身にまといながら、ずっとずっと跳ね続けていたい。
序盤で見せた、DASEIN流のアゲなパーティロックの世界。これが、21年目を迎えたDASEINのリアル。
その熱狂を抱きながら次に届けたのが、 重量感を持ちながら躍動したビートも印象的。
だけど、それ以上に愛しい人(仲間)たちへ「手を繫いで」と繋がりあう喜びと想いを投げかけた「大切な人へ」。
Rickyの心温まる歌声に触れていたら、両手でギュッと抱きしめられたような温かさを覚えていた。
互いにこの関係を築いているからこそ抱く感謝の想いと、消えることのない愛情。
愛おしい人への素直な気持ちを、Rickyは告白するように歌っていた。
いや、これはDASEINを好きでいてくれる人たちへ向けた、2人からの感謝のラブレターだ。
「いけるところまでいこう」。
その言葉のように、これからもずっといけるところまで共にいこうじゃないか。
「まだまだ幸せになろうぜ」と言ったRickyの言葉が、胸に温かく染み込んでいった。
「今日はDASEINの未来を届けたいと思います。」と語ったRickyの言葉に続いて披露したのが、昨年から起きたコロナ禍の時期に発売した「待宵影ーマツヨイカゲー」だ。
こちらも最新モードのDASEINの楽曲でありながら、胸にエモーショナルな熱を注ぎ込むDASEINらしさを感じさせる歌。
楽曲が持つハード&ワイルドでデジタルなダンスロックの上で、高陽した歌声を雄々しく、ときにメロウに歌うRickyの声もとても胸に心地好い。
JOEの猛り狂うドラムビートが炸裂。轟音を撒き散らしながら「レジスタンス」が駆けだした。
演奏が進むごとに吹き荒れる音の風を、楽器陣が大きく膨らませてゆく。
その上で、雄々しく高らかに歌うRickyのシャウトした声が、気持ちを熱く揺さぶる。これは革命だ。
DASEINの中に生まれた、気持ちをバーニングさせるデジロックな革命曲だ。
荒ぶる演奏が巻き起こす衝撃が、嬉しいくらいに身体を、感情を、掻き立てる。
それまでの熱した空気を塗り替えるよう次にDASEINが届けたのが、「歩」。
重厚さを抱きながもゆったり雄々しく進む楽曲の上で、Rickyが沸き立つ想いを高らかに歌いあげていた。
胸にドラマを描きだす楽曲、まるで大河ドラマや大作映画のテーマ曲を聞いているような気分。
Rickyの歌声と、演奏陣が作り上げる壮大でシンフォニックな世界へ、心が釘付けになっていた。
DASEINが描きだす世界へ浸り、未来を夢想しながら、いつの間にか微睡みを覚えていた。
大地を揺さぶり、雷鳴を呼び起こすような演奏だ。森羅万象を司るドラマを描くように進むJOEのドラムプレイ。
途中、観客たちの音と拍手によるコール&レスポンスも登場。
壮大かつ長大なドラマを描くようなJOEの雄々しきドラムソロのコーナーを挟み、ライブは後半へ。
ふたたびこの空間へ火傷しそうなくらいの熱を注ぎ込むように、DASEINは「葬れ」を奏でだす。
重厚で胸を奮わせるエレクトロ×バンド演奏が、今にも破裂しそうな緊張感を抱きながら、熱した感情のマグマを身体中に溜め込んでゆく。今にも爆発しそうな感覚だ。
胸の内に熱をじっくりと溜め込みながら、情熱を燃やす機会を探るようにRickyは「葬れ」を高らかに歌っていた。
壮麗な音が会場中を包み込む…。Rickyの凛々しい歌声が、フロア中に響き渡る。
さぁ、そのタイミングは訪れた。
溜め込んだ気持ちを放熱するようにDASEINが突きつけたのが「BREAK←SHAKE→BRAIN」だ。
クールでスリリングな演奏と歌声は、次第に熱と高陽を高めながら、観客たちが沸き立つその瞬間を待っていた。
サビ歌を通してRickyは、観客たちの感情に熱した歌声の刃を突き刺してゆく。
とてもスケールの大きな楽曲だ。
フロア中の観客たちが身体を揺さぶり、腕を振り上げながら、Rickyが魂の導火線に付けた火を、少しずつ燃やしていった。
歌が終盤へ差しかかる頃には、会場中の人たちが大きく身体を揺さらずにはいられなくなっていた。
「この曲で俺たちは出会いました」。
とてもスリリングでラウドなデジロックなサウンドだ。
そこへRickyのシャウト声が重なると同時に、楽曲は一気にスパーク。
高ぶる気持ちを荒々しい姿のままに突き刺すかの如く「今に勝る時はナシ 今に敗けるよりはマシ」を演奏。
感情のマグマを一気に放出させるように、重厚で刺激的な音の刃で、会場中の、配信を観ている人たちの身体をグサグサと刺激してゆく。
Rickyの声へ誘われるかのように、フロア中から無数の拳が突き上がり、掌が大きく揺れていた。
高まり続けるRickyのシャウトした声、バーストした演奏が、さらに熱を求めるように破壊的な音を塗り重ねてゆく。
「イケるところまでいこうぜ」「我、思う。故に、我あり」。
Rickyの言葉に続けと飛びだしたのが「COGITO ERGO SUM」だ。
まるで重い鉄槌をブンブン振り回すような重厚な音が身体を、意識を騒がせる。
Rickyも雄々しい声を響かせ、観客たちに刺激的な歌声の雨を降らせていった。
どっしりとしながらも大きく躍動するリズムに合わせ、フロア中の人たちが高く掲げた手を振り、身体を大きく揺さぶり続けていた。
このまま、イケるところまでイカせてくれ。
火照った気持ちはイクところまでイカないと収まらない。
本能が求めたエクスタシーは、まだまだ続きを求めていた。
会場中へ壮麗なエレクトロ音が絨毯のように広がり、そこへ刺激を注ぐようにJOEのドラムを軸に据えた演奏が杭を打つように響きだす。
その演奏は次第にドラマを描きながら、「唯、此処に在る事が愛しくて」へと変化。
フロア中では数多くの蒼いペンライトの光が揺れている。
アンコールの始まりは、胸を嬉しく騒がせる躍動した演奏と、心を熱く揺さぶる抑揚したメロディアスな歌がクロスオーバーした1曲だ。
その歌は、嬉しいくらいに高陽した高ぶりを与えてゆく。
Rickyの歌声に心が奪われ、離れられない。
気持ちを前へ動かす温かい想いが、嬉しいくらいに感情をギュッと抱きしめてゆく。
歌に溺れたい。
激しい楽曲なのに、すっかりRickyの歌に恋をしてしまっていた。
次に届けたのが、最新シングルの「泡沫なる夢幻」。
とてもスケールの大きな、スペイシーなデジロック/ダンスビート盤のスタジアムナンバーという感覚を、この歌には覚えてゆく。
それくらい、触れた人の心を揺さぶる温かく前向きなメッセージと、気持ちを未来へ突き動かす躍動した音が脈動している。
Rickyの歌声に想いを傾けずにいれない。
今は、この歌が届けた夢に浸っていたい。
間もなく訪れる夏という季節をひと足早く一緒に楽しもうと2人は、DASEIN流の解放感を満載した極上のパーティポップチューン「I miss you」を届けてくれた。
背景には夏の海原の映像も反映。気持ちをアゲアゲにしてゆく楽曲へ誰もがライドし、ともに笑顔ではしゃいでいた。
愛しい人へ恋心満載で呼びかけるRicky、その誘いに胸をドキドキと騒がせながら、会場中の人たちが心地好く身体を横に揺らし、掲げた手を大きく振りながら、熱い歌の紫外線を身体いっぱいに浴びていった。
「もっともっと共鳴しあおうぜ!」
最後にDASEINが届けたのが、「共鳴り」だ。
大きく手を振るRickyの動きに合わせ、フロア中の人たちも大きく手を振りながら、舞台上のRickyやメンバーたちと心を共鳴しあってゆく。
これは、DASEINと僕らが共に歩み続けるための約束の歌。
「共鳴り」に触れながら、このまま現実を消し去り、ただただ無邪気に戯れていたい。
間もなくパーティは終わってしまう。
でも、音の鳴りが止まるその瞬間まで、思いきり全力で、無我夢中に、DASEINの作り上げたパーティに溺れていたい。
何もかも忘れてどっぷりと浸っていたい。
Rickyの煽りへ呼応するように突き上がっていた数多くの拳が、それを物語っていた。
「結成20周年、デビュー20周年をお祝いしてくれたみなさん、本当にありがとうございました。これからもよろしく!」
そうRickyが告げたあとに、21回音を鳴らし、ライブの幕は閉じた。
最後の最後に、DASEINはおまけの一曲「明後日へ」をプレゼント。
「最後に前向きになれる曲を。心はいつでも明後日へ。」
その言葉を合図に飛びだした「明後日へ」は、身体を熱く騒がせる超アゲアゲでアッパーなパーティ曲。
フロア中の人たちは我を忘れて飛び跳ね、Rickyと一緒にタオルを振るなど、カラフルな音がはしゃぎまわる空間の中、DASEINのメンバーたちと一緒に無邪気な少女たちに戻ってはしゃいでいた。
その時間だけでも、現実どころか、理性も消し去って無垢な乙女に変えてゆく。
このひとときが最高だ!
PHOTO:岡本麻衣(ODD JOB LTD.)
TEXT:長澤智典
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<6/19_SET LIST_赤羽ReNY>
「絶望の花」
「Yの黙示録」
「まぶしくて」
ーMC&換気ー
「待宵影ーマツヨイカゲー」
「キ・ミ・ダ・ケ」
「無情の雨」
ーMC&換気ー
「走馬灯」
「闇」
ーDr soloー
「狼煙」
「ケリをつけろ」
「金輪際」
「愛のために夢のために」
-ENCORE 1-
「流離人」
「君の街に降れるオリオン」
ーMC&換気ー
「泡沫なる夢幻」
「我ここに在り」
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<6/20_SET LIST_赤羽ReNY>
「新曲(タイトル未定)」
「五月雨」
「漣」
「大切な人へ」
「待宵影ーマツヨイカゲー」
「レジスタンス」
ーMC&換気ー
「歩」
ーDr soloー
「葬れ」
「BREAK←SHAKE→BRAIN」
「今に勝る時はナシ 今に敗けるよりはマシ」
「COGITO ERGO SUM」
-ENCORE 1-
「唯、此処に在る事が愛しくて」
「泡沫なる夢幻「
ーMC&換気ー
「I miss you」
「共鳴り」
ーおまけー
「明後日へ」
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Black DASEIN
結成20周年記念配信GIG 2021
「人生儀礼」
~ダー愛し 働き倒した 二十年~
■日程:7月24日 (土)
■会場:目黒LIVE STATION
■配信時間:18:30~スタート
■配信チケット:4,500円
■配信URL:https://twitcasting.tv/megurolivest/shopcart/83822
■配信内容:約150分の暴走GIG
■出演:Black DASEIN
ー麺婆ー
Vocal:力
Drums:上
Guitar:少
Bass:流 (ヘルプ)
——————————-
Black DASEIN
爆走20周年記念配信GIG 2021
「人生儀礼」
~黒磨き 暴れ倒した 二十年~
■日程:7月25日 (日)
■会場:目黒LIVE STATION
■配信時間:18:00~スタート
■配信チケット:5,500円
■配信URL:https://twitcasting.tv/megurolivest/shopcart/83823
■配信内容:約150分の爆走GIG + 約30分の打ち上げ
■出演:Black DASEIN
ー麺婆ー
Vocal:力
Drums:上
Guitar:少
Bass:典 (体験モニター)
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DASEIN オフィシャルサイト
DASEIN twitter
https://twitter.com/dasein_555
JOE BLOG
https://ameblo.jp/joe-doramusuko/
Ricky オフィシャルサイト
http://hyperneosoloist.com/ricky/
Ricky BLOG
https://ameblo.jp/ricky-soloist
Ricky twitter
https://twitter.com/Ricky_A_Prmkv
2021年07月03日 (土)
【ライヴレポート】PENICILLINが新宿を舞台にライブサーキットした「新しい宿」ツアー。全公演の模様を総括!8月14日には「祭り-MATSURI-2021-」公演も開催決定!
REPORT - 18:00:26本当なら2020年のGW時期に行なうはずだった、新宿のライブハウスをサーキットするワンマンツアー「新しい宿」。だが、コロナ禍により何度も延期を繰り返してきた。その公演が、1年強の時を経て、ようやく「新しい宿 2021」と題して開催に漕ぎ着けることが出来た。5月16日・新宿LOFT/5月21日・新宿BLAZE/5月22日・新宿ReNYと、短期間の中、PENICILLINは一気に新宿のライブハウスを駆けめぐった。今回は、3公演とも有観客/配信ライブという形で開催した。
今回は、3公演のショートサーキットという理由もあり、軸を成すセットリストを作ったうえで、巧みに組み合わせを変えて3公演届けてくれた。一番の特徴が、ここ数年来の公演ではあまりライブ演奏をすることのなかった曲たちを積極的に演目へ組み込んできたこと。
今回のツアーでは、楽曲たちを大まかに4つのブロックに分けて構成。3公演とも、最初のブロックには、「Rosetta」や「秘蜜のデザート」「Quarter Doll」など、触れたとたんに気持ちが熱く奮い立つ激しい曲たちを並べていた。3日目の新宿ReNY公演の1曲目は、じっくりと歌を聞かせる「名もなき未来」を冒頭に持ってきたが、この曲自体が短めのように、激しい演奏を突きつけるためのオープニングテーマ的な役割を担っていたのも特徴的だった。今は何処の公演も同じだが、声出しが禁止であり、前後左右の人たちとの距離感を取らねばならず、思いきり騒ぐのは難しい環境にある。それをわかったうえで、あえて身体がむずむずする激しい曲たちを並べ、最初のブロックから攻めてゆくところが、じらしプレイを得意とするPENICILLINらしい冴えた構成だ。
冒頭を鋭い刃を突きつけた過激さを魅力に据えたブロックとするなら、次のブロックには、激しい中にも雄大さを持った曲たちを並べ、観客たちの身体を大きく揺らし続けていった。このブロックでは「墓標」か「CROSS HEARTS」を始まりに、「FIORE」「ハル」と続く流れを用意。どの曲も久し振りにライブで耳にする曲たちという嬉しさもありつつ、活動初期の名曲「FIORE」と中期に作りあげた「ハル」を組み合わせ、次第に雄大さを増してゆく形を取り、身体に熱を覚えながらも気持ちを心地好く上げてゆく構成を成していたところが嬉しい魅力だった。
3rdブロックは、3公演とも「若きウェルテルの悩み」からスタート。この曲も、ライブで触れるのは久し振りだ。「若きウェルテルの悩み」は、心に染み渡る歌を魅力にした、しっとりと幕を開けるバラード曲。観客たちも、このときはじっくりとHAKUEIの歌声に耳を傾けてゆくのだが、サビ歌へ入るのを合図に楽曲は激しさと速度を増し、一気に攻めゆく表情へと変貌してゆく。まさに、ドラマチックな展開を描き出す楽曲だ。「若きウェルテルの悩み」を合図に、3rdブロックでは「NO CONTROL」「BLACK HOLE」「透明人間パルサー」とハード&ロックンロール色の濃い曲たちを公演ごとに巧みに並べ変え、PENICILLINは最後のブロックに向け、観客たちの騒ぎたい感情を煽り続けていった。
本編最後のブロックには、3公演とも理性のストッパーを外し暴れたくなるパンキッシュな楽曲を三連打していった。初日と2日目は、「Just a kiss on your 3rd eye」「SAMURAI BOY」「SEX」という激しさを増してゆく流れを通して。最終日は「聖・MARIAN HURRICANE」「SAMURAI BOY」「DEATH DANCE」と続く流れを作り、空高く突き抜けるような解放感を持った気持ちにしながらも、そこから一気に急降下。理性を失くし、本能が導くままに騒ぐ曲たちを並べる形を作っていった。本当なら思いきり身体を揺さぶり、拳を突き上げ騒ぎたいのに、制限があるので騒げない。3公演ともこのブロックに共通していたのが、感情は昂り続けるのに発散できないことへのもどかしさを覚えること。こんなにも暴れ曲たちを並べながらも、あえてHAKUEIは「暴れんなよ」「声出すなよ」と毎回声を上げていた。むしろ、それは拷問のようなもの。それをわかったうえで仕掛けてくるところもまた、精神的にサディスティックなPENICILLINらしさ。
アンコールは、「新しい宿」シリーズのテーマ曲として選出。3公演とも「一発あてろ」からスタート。新宿といえば、東京で成功を夢見た地方の人たちが憧れの地として集まってくる場所。つまり、ジャパニーズドリームを夢見て一発当てようとして集まるという理由から、その想いに重なる「一発あてろ」を持ってきたというわけだ。ここでは、メンバーたちがブルーズ&ロックンロールな演奏を通し、毎回観客たちの身体を心地好く揺らしていった。
最後の楽曲は、毎回「B.V.B」「Justice」「Mr.Freez」「ロマンス」の中から選ぶ形を取っていた。先に伝えておくと、配信を見ている人たちは、最初のアンコールでライブは終了になる。会場に足を運んだ人たちには、2回目のアンコールを用意。その流れの中、どの楽曲を演奏するのかが毎公演の見どころにもなっていた。
1回目のアンコール公演の最後は、初日と千秋楽公演で「Justice」を演奏。2回目のアンコール公演では、中日と千秋楽公演で「B.V.B」を取り上げたように、フラストレーションを爆発させるに相応しい曲たちを好んで並べていた。毎回、観客たちも可能な範囲で身体を動かして楽しんでいたが、騒ぎたいのにイキきれないもどかしさは、3公演ともに覚えていたことだったに違いない。でも、コロナ禍の今はそれがルール。むしろ観客たちも、昨年よりPENICILLINの有観客公演の中、同じルールの中でライブを楽しんできたように、悶々とした感情を余韻として噛みしめ味わうという、制限された環境の中での楽しみ方を見いだしているようだ。
活動29年というキャリアを誇るバンドのように、シリーズ公演ごとに定番からレア曲まで様々な組み合わせを作り上げ、見ている人たちを飽きさせないどころか、つねに歩んできた歴史の活動初期から現在までを行き来する流れを毎公演ごとに作り上げてゆく。それが、PENICILLINのライブの楽しさであり、毎回観てもけっして見飽きない魅力になっている。
最後に、PENICILLINの最新情報をお伝えしよう。一昨年よりPENICILLINが“夏の恒例行事“として始めた「祭り -MATSURI-」公演。今年は、8月14日にVeats SHIBUYAで「祭り-MATSURI- 2021」公演として開催になることが決定した。現状、有観客/配信ライブという形で予定している。その時期の状況次第では無観客ライブ配信のみになる可能性もあるが、ライブ自体は行なうので楽しみにしていて欲しい。最後に、メンバーから「祭り -MATSURI-」公演へ向けてのコメントが届いたのでお伝えしたい。
HAKUEI 「祭り」公演は一昨年から始めた、「夏に祭りっぽいライブをやりたいね」と言う想いから始まったシリーズのようにまだ歴史も浅いんですけど、いつもとは違うPENICILLINのライブにもなっています。今年は、まだ有観客公演としてやりきれるのか、その時期の情勢次第のようにわからないですけど、仮に無観客ライブ配信になったとしても、しっかりとライブはお届けします。今年は“夏のお盆時期“に行なうこともあって、みんなと一緒に夏の終わりにかけての気分を味わえるようなことを、これからいろいろ考えようと思っています。そこは、楽しみにしていてください。
O-JIRO 僕らもまだ社会情勢次第で「祭り -MATSURI-」公演をどういう形で開催できるのかが見えてないように、今年の夏も、多くのイベントや夏祭りが自粛などで中止になり、みんなが気持ちを発散できる行事や方法がなくなってしまう可能性もあるじゃないですか。でも「祭り -MATSURI-」公演は、たとえ無観客になったとしてもライブ自体はやるように、この日、みんなが盛り上がれるようなライブになったら…そんなお祭りになれたらいいなと思っています。PENICILLINは例年、年末に向けて盛り上がっていくスケジュールを組み立てているように、まさに「祭り -MATSURI-」公演が、PENICILLINの後半時期のスタートとなるライブ。みんなも、ここから一緒に年末へ向けて駆けだしましょう!!
千聖 今はまだ、「祭り -MATSURI-」公演を含め、今後の予定が見えづらい状態だけどね。がっつりと突き進んでいくPENICILLINの姿勢は、何も変わらない。まぁPENICILLINとしての新作のレコーディングもこれから取り掛かってるし、秋から冬に向け、「祭り -MATSURI-」公演をきっかけに色々盛り上げていこうと思っているので、これからの動きにもぜひ注目していてください。
PHOTGRAPHER:折田琢矢
TEXT:長澤智典
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【ライブ情報】
「祭り2021」
2021年8月14日(土)
Veats SHIBUYA
チケットファンクラブ優先予約
7月13日(火)から受付開始
↓↓
【ファンクラブ[QUARTER DOLL]会員先行(抽選)】
受付期間:7月13日(火)12:00~7月20日(火)23:59
受付URL:https://eplus.jp/penicillin0814qd/
制限枚数:1会員様1申込2枚
ファンクラブ入会案内はこちら
↓↓
https://www.penicillin.jp/fanclub/enrollment
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<セットリスト>
…………………………………………
●新宿LOFT公演
「九龍頭」(SE)
「Blood Red Snow White」
「Rosetta」
「秘蜜のデザート」
<MC>
「墓標」
「FIORE」
「ハル」
<MC>
「若きウェルテルの悩み」
「NO CONTROL」
「BLACK HOLE」
<MC>
「Just a kiss on your 3rd eye」
「SAMURAI BOY」
「SEX」
-ENCORE-
「一発あてろ」
「Justice」
-W ENCORE-
「ロマンス」
…………………………………………
●新宿BLAZE公演
九龍頭」SE
「Quarter Doll」
「記憶の固執~融けゆく時間~」
「秘蜜のデザート」
<MC>
「CROSS HEARTS」
「FIORE」
「ハル」
<MC>
「若きウェルテルの悩み」
「NO CONTROL」
「透明人間パルサー」
<MC>
「Just a kiss on your 3rd eye」
「SAMURAI BOY」
「SEX」
-ENCORE-
「一発あてろ」
「Mr.Freez」
-W ENCORE-
「B.V.B」
…………………………………………
●新宿ReNY公演
「九龍頭」(SE)
「名もなき未来」
「Rosetta」
「Just a kiss on your 3rd eye」
<MC>
「墓標」
「FIORE」
「ハル」
<MC>
「若きウェルテルの悩み」
「透明人間パルサー」
「BLACK HOLE」
<MC>
「聖・MARIAN HURRICANE」
「SAMURAI BOY」
「DEATH DANCE」
-ENCORE-
「一発あてろ」
「Justice」
-W ENCORE-
「B.V.B」