2023年07月15日 (土)
【ライヴレポート】<Petit Brabancon Tour 2023「INDENTED BITE MARK」>2023年7月12日(水)東京Zepp DiverCity◆
REPORT - 20:00:007月12日(水)に東京Zepp DiverCityにてPetit Brabanconが約3カ月半ぶりのライヴを行なった。
これは6月14日に発表したファーストEP『Automata』のリリースに合わせる形で開催する全国ツアー<Petit Brabancon Tour 2023「INDENTED BITE MARK」>の初日にあたるもの。
19時過ぎ、「Automata」のM-1「mind-blow」が流れ始めると同時に大量のスモークが吹き上がり、青い照明が点滅。幻想的というよりも、雲の中で稲光が光っているような光景でもある。
嵐が巻き起こる予兆。その嵐をつかさどる主たちがステージにゆっくりと現われた。antz(G)、高松浩史(B)、yukihiro(Ds)、ミヤ(G)。それぞれの姿がスモークの中から浮かび上がるたび、フロアからでかい歓声が湧き上がる。最後に京(Vo)が姿を現わしたとき、その歓声は絶叫となって会場を揺るがした。
直後、ステージは照明で真っ赤に染まった。ヘヴィなシーケンスが流れる中、京がシャウトをとどろかせ、一気にバンド・サウンドを放射するPetit Brabancon。
オープニングからの流れで『Automata』に入っている「孤動」が来るだろう、と構えているオーディエンスも多かったが、Petit Brabanconが1曲目に持ってきたのは新曲。
しかもライヴ直前にタイトルが「BATMAN」と決まったばかりの真っ新な新曲である。
重厚にしてキレ味のいいリズムやギター・リフに、シャウトやグロウルも織り交ぜながら攻撃しまくる京。
メンバーそれぞれがプレイしながら何度もフロアに鋭い視線を投げかけ、オーディエンスをさらに刺激。コブシや歓声をあげ、興奮でブチ上がっていくオーディエンス。
一瞬にして一体化できるコーラスも随所にあり、声を張り上げながら曲やPetit Brabanconとひとつになっていくオーディエンスの姿がフロアに広がる。
「イケるのか!」
そう咆哮しながら次の曲へ突入。リズムに合わせハンドクラップも巻き起こり、ヘヴィな曲にパーカッシブな響きも加えながら展開。
それでも京は「オマエら、そんなもんか!」と、さらなる爆発や暴発を要求する。そして曲を次々に叩きつける中、こうも叫んだ。
「オマエら、今、自由なんだよ! 掛かって来い!!」
コロナ禍の様々な要請も解かれ、フルキャパで声出しも自由になってからの初ワンマンが、Petit Brabanconにとってこの日のライヴでもある。
常々、ライヴのために曲を作っている、ライヴをやらなければ作品や曲の持つ本当のパワーや凶暴性が分からない、と発言してきたメンバー。
不自由な制限もなくなり、ようやく各曲を晴れの舞台に立たせた格好だ。いわば曲が呼吸を始めたライヴ。
序盤では各曲の手触りを楽しむようにプレイに集中するミヤ、antz、高松、yukihiro。
野性味あふれるヘヴィさも、世界に引きずり込む呪術的サウンドも、無機質ともいえる冷酷さも、自由自在に操りながらオーディエンスの気持ちも彼らは支配していった。
ステージのセンターに立つ京は、血管を思わせる真っ赤なマイク・シールドを腕に巻き付け、激しい動きでシールドを宙に舞わせながら、言葉を突きつけていく。
音源という形になっている曲がほとんどだが、ライヴとなれば話は別だ。呼吸を始め、新たな生命力も宿らせながら、サウンドや歌詩の言葉ひとつずつが炸裂していく。
アルバム『Fetish』やEP『Automata』をすでに全身に染みわたらせていたオーディエンスだが、激しい鼓動や緊張感は治まることがない。
各曲が放つ新たな生命力と衝動は、オーディエンス一人ずつを奮い立たせていくばかり。
「オイ、足んねぇよ! 好き放題、暴れてこい!」
ライヴ後半、そう叫ぶ京。すると、どうだ。激しさを増していくのはフロアを埋め尽くすオーディエンスだけではない。
ミヤ、antz、高松もステージを激しく動き回りながら、プレイでもオーディエンスを挑発し続ける。yukihiroは曲に入り込み、さらに研ぎ澄ませたドラミングを展開。
「化けの皮、剥がしちまえ! 掛かって来い!!」
ラスト・ナンバーを叩きつけていくPetit Brabancon。随所から火花が上がり、その煙があたり一面を覆いつくしていく。
そんなステージで暴れ狂うようにライヴ・パフォームを決めながら、容赦なくラウドなサウンドをまき散らす5人がいた。
暴動のような60数分間の出来事。曲のレンジの広さを見せつけながらも、常に覚醒させ続けるバンド・サウンドと歌。
<Petit Brabancon Tour 2023「INDENTED BITE MARK」>という名のとおり、
Petit Brabanconの噛みつき方といい、生々しいほどの傷跡といい、すさまじいライヴとなった。
PHOTO◎青木カズロー/尾形隆夫 (尾形隆夫写真事務所)
TEXT◎長谷川幸信
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≪LIVE SCHEDULE≫
■<Petit Brabancon Tour 2023「INDENTED BITE MARK」>
Petit Brabancon Tour 2023「INDENTED BITE MARK」
7月12日(水) 東京 Zepp DiverCity
7月13日(木) 愛知 Zepp Nagoya
7月17日(祝・月) 大阪 Zepp Osaka Bayside OPEN 17:00/START 18:00 [問]SOUND CREATOR 06-6357-4400
7月22日(土) 宮城 SENDAI GIGS OPEN 17:00/START 18:00 [問]ノースロードミュージック仙台022-256-1000
7月23日(日) 神奈川 KT Zepp Yokohama OPEN 17:00/START 18:00 [問]HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
7月29日(土) 福岡 Zepp Fukuoka OPEN 17:00/START 18:00 [問]キョードー西日本 0570-09-2424
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【チケット料金】
<SSスタンディング(前方エリア・オリジナル特典付き) > 25,000円(税込・整理番号付き・ドリンク代別)
<一般スタンディング> 8,800円(税込・整理番号付き・ドリンク代別)
<2階SS指定席(2階席前方エリア・オリジナル特典付き)> 25,000円(税込・ドリンク代別)
<2階指定席> 8,800円(税込・ドリンク代別)
【チケット一般発売中】 イープラス:https://eplus.jp/pb/
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≪Release≫
■1st EP「Automata」 発売中
【完全限定盤(CD+Blu-ray) 】品番: DCCA-116/117 ¥9,900 (税込) ※CD特殊パッケージ仕様
【一般流通盤(CD)】 品番: DCCA-118 ¥2,200 (税込)
※完全限定盤はMAVERICK STOREもしくはGALAXY BROAD SHOPのみで購入可能商品となります。
※一般流通盤は、TOWER RECORDS(店舗/ONLINE)、ヴィレッジヴァンガード(店舗/ONLINE)、Amazonでも購入可能な商品となります。
<CD収録曲>
01 mind-blow 作曲 : yukihiro
02 孤動 作詩 : 京 作曲 : ミヤ
03 Loser 作詩 : 京 作曲 : antz
04 surely 作詩 : 京 作曲 : yukihiro
05 Common destiny 作詩 : 京 作曲 : antz
06 Miserable 作詩 : 京 作曲 : ミヤ
◆「孤動」MV https://youtu.be/7L45fubsv5w
Official Web: https://www.petitbrabancon.jp/
Twitter: https://twitter.com/PetitBra_staff
YouTube: https://www.youtube.com/c/PetitBrabancon_official
Instagram: https://www.instagram.com/petitbrabancon.official/
Facebook: https://www.facebook.com/petitbrabancon.official
2023年07月11日 (火)
【ライヴレポート】<SUGIZO TOUR 2023 Rest in Peace & Fly Away ~And The New Chaos is Saving You~>2023年7月10日(月)東京・Zepp DiverCity◆ウクライナの国民的バンド・KAZKAと共演、コラボ楽曲初披露。平和への祈りを音楽で捧げた、SUGIZOソロツアーファイナル
REPORT - 19:19:547月10日(月)、SUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN、THE LAST ROCKSTARS、SHAG)が、『SUGIZO TOUR 2023 Rest in Peace & Fly Away ~And The New Chaos is Saving You~』と銘打ったツアーのファイナル公演を東京Zepp DiverCityにて開催した。自身5年ぶりとなるソロツアーであり、SUGIZO COZMIC DANCE SEXTET(SUGIZO、MaZDA /マニピュレーター、シンセサイザー、よしうらけんじ/パーカッション、komaki/ドラム、Chloe/ヴォーカル、ZAKROCK/VJ)と名乗る6人編成で実施。東京での最終公演では、ウクライナの国民的バンド・KAZKAとの共演が実現し、共に制作した楽曲「ONLY LOVE, PEACE & LOVE」を初披露。平和への祈りを音楽で捧げた。
MaZDAのサイケデリックトランス・プロジェクトUNIによるオープニングアクトで温まったステージに、まずはKAZKAが登場。KAZKAについて、ここで少し詳しく言及しておく。軍事侵攻を受けている渦中の今もキーウに在住し続け、音楽活動を継続しているアーティストである。2022年10月、日本に避難したウクライナの同胞たちを励ますため、「ウクライナ心のケア交流センター渋谷ひまわり」と連携して来日し、様々な活動によって在日ウクライナ避難民の心のケアに貢献した。また、その際に広島の原爆ドームや原爆資料館も訪問。当時の発信からは、核の脅威にさらされているウクライナを故郷とする彼女・彼らだからこその、強い共鳴を感じ取ることができる。難民支援活動に積極的に取り組んで来たSUGIZOもまた、「ウクライナ心のケア交流センター渋谷ひまわり」との強い結び付きがあり、様々な交流や活動の積み重ねの中で、今回のKAZKAとのコラボレーション実現に至った。
本来は3人グループだが今回はヴォーカルのサーシャ(オレクサンドラ・ザリツカ)とデイマ(ドミトロ・コズリアツ)が来日、2人の女性コーラスを携えた4人編成でパフォーマンス。ハスキーでパワフル、心に強く訴えかけるサーシャのヴォーカルと、哀愁を帯びた情感豊かなディマの笛、前衛的なダンスで目を奪うミステリアスなコーラスデュオが織り成すライヴは、音楽的魅力の宝庫。エレクトロなダンスミュージックとウクライナの伝統的な民族音楽とを融合させ、オリジナルなポップスへと昇華したサウンドに会場は沸き立った。
2018年に世界的な大ヒットとなった代表曲「CRY(原題:プラカーラ)」では、サーシャがSUGIZOを呼び込んでセッション。2018年にShazamの世界チャートでトップ10に入った大ヒット曲で、悲しみの涙で再生していくウクライナ人女性の力、悲しい思い出を振り払うためのレシピ、というメッセージを込めた、女性の運命を歌った曲。
涙を流す女性たちがやがて笑顔へと移り変わっていく印象的なミュージックビデオはYouTube再生数4億回を上回っており、2023年の今、ウクライナの人々の不屈の精神を象徴する曲として聴き返したいパワフルなナンバーでもある。
SUGIZOのギター演奏は終盤荒々しく昂っていき、それを受けてKAZKAのメンバーもテンションが上がっていく。フロアには、ウクライナからの在日難民の人々が招待されており、日本のオーディエンスとの垣根なく盛り上がり、音楽に身を委ねて声を上げ、生き生きと踊っていた。
この曲を含め後半3曲では、SUGIZO COZMIC DANCE SEXTETからkomakiがドラマーとして参加。サーシャは「Make some noise!」と煽るだけでなく、曲の合間で何度も「アリガトウゴザイマス!」と日本の人々への感謝を述べていた。熱狂的なパフォーマンスを終えて、コーラスの2人がステージに残り、直立した姿勢でアカペラで歌ったのは、Gizlsと呼ばれる民謡。言語を通した理解の枠を超越し、胸に直に響いて来る歌声だった。
続いてSUGIZOのライヴがスタート。ゲストに迎えたピアニストのMAIKOと共に、SUGIZOは鎮魂のバラード「Rest in Peace & Fly Away」をヴァイオリンで奏で、ショウは厳かに幕を開けた。
曲を前半で終え、バンドメンバーとゲストの類家心平がステージに勢揃いしたところでSUGIZOは一言挨拶。「昇天しましょう」と告げて「DO-FUNK DANCE」がスタート。ここからはノンストップで音楽と映像と照明、三位一体のサイケデリアを織り成していく。「NEO COSMOSCAPE」ではSUGIZOがパーカッションをプレイする見せ場があり、よしうらけんじのジャンベ、komakiのドラムが織り成す打楽器三重奏が圧巻。現代音楽的アプローチのミニマルな電子音楽とジャズの語法を融合させた「Rebellmusik」は、映像でも戦争反対と平和への祈念を表現。
ウクライナの国旗が黄色の花畑と青空のイメージと二重写しになり、平和を表象する様々な映像がコラージュされていく。類家のトランペットソロとSUGIZOのギターが激情を迸らせながら絡み合う場面には目も耳も釘付けに。ここまで4曲、SUGIZOのインストゥルメンタルの“雄弁さ”を改めて実感させられた。
「ARC MOON」は、月、海、遊泳するイルカといった自然界のモチーフを表現した映像と、神秘的な照明、レーザーが曲の世界観を可視化。Chloeという新しいミューズの歌声と呼応して、SUGIZOのギターの音色には温かな表情が加わったように感じられる。「FATIMA」では海のイメージを引き継ぎ、水中でベリーダンサーが舞うファンタジックな映像で魅了。SUGIZOが奏でるヴァイオリンの音色はどこまでも艶やかだった。
全身黒に衣装替えしたSUGIZOが、「3月にあの世へ旅立った人生の師匠であり、最も憧れのアーティスト、坂本龍一さんに捧げます」と想いを述べ、YMOの「PERSPECTIVE」をカヴァー。MAIKOのピアノに乗せてヴァイオリンを奏でた。弓を振り抜いてふと手を止めて天を仰いだり、胸に手を置いてMAIKOのピアノに耳を澄ましたりするSUGIZOの姿からは、言葉を介さずとも多くの想いが伝わって来た。残響音の中、眩い光に溢れたスクリーンには「R.I.P. Mr. RYUICHI SAKAMOTO」の文字が浮かび上がった。
「DELIVER…」は再びChloeを迎え、SUGIZOとツインヴォーカルで披露。類家が高らかにトランペットソロを吹くと、SUGIZOはChloeと背中を合わせるなど、ダンスするように身を揺らしながらギターを奏でた。「DELIVER…」同様1stソロアルバム『TRUTH?』収録の最初期曲「KANON」のパフォーマンスは白眉であり、Chloeの歌声がSUGIZOにもたらすインスピレーションの大きさ、未来に生み出されるであろう新たな音楽の可能性を感じさせた。
ラストは、直前までのボサノヴァやジャズのフレイヴァーを湛えた気怠いムードから一変。逆光の中、SUGIZOがバルカンサリュートの右手を高く挙げると、オーディエンスもそれに倣い、無言の合言葉を交わし合うような時間が流れ、「FINAL OF THE MESSIAH」へ突入。曲が始まると、髪を振り乱してギターを掻き毟ったりドラムセットに駆け上ったり、制御不能であるかのような狂騒状態へとSUGIZOは身を投じていく。極限の緊張感が快楽を生む「禊」では、ジャンベを叩くよしうらと向き合って、SUGIZOはギターを弾きながら一層激しく髪を振り乱した。本編ラストの「TELL ME WHY?」では、心の奥底から切実に問い掛けるようなシャウトを繰り返した。
アンコールの声を受けて再登場すると、SUGIZOはKAZKAの招聘についてコメント。キーウから陸路でポーランドに渡り、日本へとやってきた彼ら・彼女らを「命懸けで音楽を届けたい、という想いで来てくれた」と讃え、「このステージでお届けできたことを心から光栄に思っています」と感慨を述べた。「日本在住ウクライナ日難民の方々がたくさん来てくれています」とフロアを示すと歓喜のリアクションがあり、会場は温かなムードに包まれた。ウクライナに限らず「あらゆる国で苦境に立たされている人たちがいる」とSUGIZOはシビアな現状認識を語り、日本で、安全な状態で音楽を楽しめるのは当たり前ではなく、どれだけありがたいかを細胞レベルで痛感していると語った。
アンコールで披露するのは、「今だからこそ、表現しなければならない曲」と「SUGIZOの過去のメロディーをリアレンジして、歌詞を変えた曲」だと告げたSUGIZO。メンバー紹介を差し挟み、KAZKAを呼び込むと、サーシャはウクライナ国旗を手に登場。まず1曲目にSUGIZOとChloeがKAZKAに参加して披露する「I AM NOT OK」は、「戦争の時にウクライナ人が感じる気持ち」を表していると言い、「早く戦争が終わってほしい、世界中が平和になってほしいとお祈りしています」と語った。スクリーンに投影されたのは、戦禍の実情を生々しくドキュメントした、同曲のミュージックビデオ。SUGIZOはギターを奏でながらメンバーに代わる代わる近付いて、寄り添うようにプレイした。
2曲目は、SUGIZOとKAZKAが音のデータをやり取りして共につくり上げた楽曲「ONLY LOVE,PEACE & LOVE」を初披露し、全員でセッションした。ポジティヴな気持ちに導かれるような主旋律と、力強くピュアなコーラス。SUGIZOのギターが穏やかにコードを奏でていく。スクリーンには老若男女、とりわけ多くの子どもたちの微笑みの写真で溢れていき、出演者とオーディエンスが鳴らすハンドクラップが響いた。音楽ジャンルはもちろんのこと、人種、国籍、宗教の差異が生む境界線をすべて乗り越えて、平和への祈りを共に捧げた温かな時間であり、場所だった。
ラストは「Rest in Peace & Fly Away」の後半を、再びMAIKOのピアノと共にヴァイオリンで演奏。鎮魂の祈りで包み込む形で、ライヴは幕を閉じた。「素晴らしいファイナルを迎えられました、本当にありがとう!」とSUGIZOが挨拶し、全員でラインナップ。オーディエンスを含めた記念撮影をした後、KAZKAからサプライズでSUGIZOに花束が贈られた。公演の前々日にあたる7月8日がSUGIZOの誕生日だったことを耳にして用意したと明かし、KAZKAメンバーで歌ってくれたのは初めて聴くメロディーだったが、おそらくウクライナのバースデーソングだったのだろう。SUGIZOは少し照れ臭そうだったようにも見えたが、晴れやかな笑顔でKAZKAメンバーとハグを交わし、「ありがとうございました!」と改めて感謝を述べた。新しい歳を重ねられることは、もちろん当たり前のことではなく、戦時下はなおさら言うまでもない。ライヴ全体がそうであったように、この一幕もまた、平和への祈念を象徴するものに思えた。また、今回のライヴも楽器演奏の発電に水素燃料電池車を使用。LUNA SEAは水素燃料電池を電源とした世界初のライヴを2017年に成功させており、発案者であるSUGIZOは、自身のライヴやTHE LAST ROCKSTARSのライヴでも同試みを積極的に取り入れて来た。脱酸素の観点から注目されているサスティナブルな電気であるだけでなく、音質も良いとの実感をたびたび語っている。ツアー完走後も立ち止まることなく、LUNA SEA、THE LAST ROCKSTARS、SHAGとしての活動をますます活性化。音楽家として、社会活動家としての活動が相互に作用を及ぼし合いながら、SUGIZOの道程は続いていく。
Text:Tae Omae
Photo:Keiko Tanabe
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<リリース情報>
『And The Chaos is Killing Me』
2023年7月5日(水)リリース
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■初回限定盤
特殊LPジャケット仕様
(Blu-ray、DVD+2、SHM-CD+2)
UIXZ-9011
16,500円(税込)
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■Blu-ray
UIXZ-4103
6,050円(税込)
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■SHM-CD
UICZ-4640/1
3,850円(税込)
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【収録曲】
<Blu-ray>
01. Nova Terra
02. TELL ME WHY NOT PSYCHEDELIA?
03. MESSIAH
04. NO MORE NUKES PLAY THE GUITAR
05. The EDGE
06. NEO COSMOSCAPE
07. Rebellmusik with 類家心平
08. Lux Aeterna with 西島数博 & 風間自然
09. MIRANDA with 西島数博 & 風間自然
10. THE CAGE with KenKen & 類家心平
11. DELIVER… with KenKen、類家心平 & Chloe
12. ENOLA GAY RELOADED with HEATH
13. 禊 with HEATH
14. DO-FUNK DANCE with 類家心平 & Chloe
15. FATIMA
16. TELL ME WHY? with HEATH & Chloe
17. 昨日見た夢~平和の誓い~ with 佐藤タイジ
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<DVD/SHM-CD>
[DISC-1]
1. Nova Terra
2. TELL ME WHY NOT PSYCHEDELIA?
3. MESSIAH
4. NO MORE NUKES PLAY THE GUITAR
5. The EDGE
6. NEO COSMOSCAPE
7. Rebellmusik with 類家心平
8. Lux Aeterna with 西島数博 & 風間自然
9. MIRANDA with 西島数博 & 風間自然
[DISC-2]
1. THE CAGE with KenKen & 類家心平
2. DELIVER… with KenKen、類家心平 & Chloe
3. ENOLA GAY RELOADED with HEATH
4. 禊 with HEATH
5. DO-FUNK DANCE with 類家心平 & Chloe
6. FATIMA
7. TELL ME WHY? with HEATH & Chloe
8. 昨日見た夢~平和の誓い~ with 佐藤タイジ
2023年07月11日 (火)
【ライヴレポート】<HAZUKI BURST SUMMER TOUR 2023“反逆ノ行脚”>2023年7月9日(日)Spotify O-WEST◆「まだ歴史がない代わりに、伸びしろしかない」熱さと密度の濃さ、喜びに満ちたポジティヴな空気感──。
REPORT - 19:05:467月9日、『BURST SUMMER TOUR 2023“反逆ノ行脚”』と銘打たれたHAZUKIの新たなツアーが、東京は渋谷のSpotify O-WESTにて開幕を迎えた。念のために改めて説明しておくと、HAZUKIはlynch.のフロントマンである葉月のソロ・プロジェクト。この夜は彼のオフィシャルFCである-XANADU-の会員限定公演で、チケットは当然のごとく早々に完売。会場内は人一倍コアなファンばかりで埋め尽くされていた。
HAZUKIは昨年2月、オフィシャルサイトを立ち上げる形で始動している。そして同年の3月30日、今回の会場の真向かいにあるSpotify O-EASTでのFC会員限定公演をもってライヴ活動を開始。それから1年3ヵ月と少々を経て、こうして所縁深い渋谷への帰還を果たすことになったわけだが、昨年と今現在とでは事情が大きく異なっている。HAZUKIはいわばコロナ禍の影響が長引く中でスタートし、さまざまな規制のもとでのライヴ活動を余儀なくされてきたわけだが、今では演者と観客の双方にとって待望だった“声出し”も解禁になっているのだから。
HAZUKIがいかに観客の声を欲していたかについては、公演前日にtwitterを通じて彼自身の言葉で「各楽曲の、歌って欲しい箇所」をファンに対して伝えていたことなどからもありありとうかがえた。しかも公演当日は、開演前の場内アナウンスを自ら担当して“声出しモード”の促進を図っていたほどだ。しかしそれ以上に象徴的だったのは、場内が暗転し、大歓声に迎えられながらステージに登場した際に彼がみせた、満面の笑みだった。さらにオープニング曲の途中で彼が「聴かせてくれ、東京!」「俺の名を叫べ!」と扇動すると、オーディエンスはさらに大きな声で順応する。フロアが人でひしめき、ほぼすべての観客が手を高く掲げ、躊躇なく歓喜の声を上げるというライヴハウス然とした空気。それが完全に復活していることを、その場に居合わせた誰もが実感したことだろう。
この日の具体的な演奏曲目などについては、これから各公演に足を運ぶ人たちのためにも伏せておくことにする。ただ、この公演当日の午前零時に配信開始となった最新デジタル・シングル「逆鱗」に収録されている3曲が、それぞれかなり美味しいポジションに配置されていたことはお伝えしておきたい。また、配信がスタートしてからまだ十数時間しか経っていなかったにもかかわらず、オーディエンスが新曲群に即時的に反応し、まるですでに浸透している鉄板曲であるかのような熱気を生んでいたことも付け加えておきたい。そしてもちろん、既発表曲の数々は持ち前のカラフルな破壊力をさらに強めていた。
今回、HAZUKIのまわりを固めているのは、PABLO(g:Pay money To my Pain他)、TSUYOSHI(g:Unveil Raze)、響(ds:摩天楼オペラ)、そしてlynch.での盟友である明徳(b)という、すでにファンにはお馴染みの顔ぶれ。存在感の強いメンバーばかりが居並ぶステージは狭く見えるほどだった。また、明徳と響はTSUYOSHIが率いるUnveil Razeのサポートも務めており、ちょうど一週間前に同じ渋谷でライヴを行なっていたりもする。つまりHAZUKIとUnveil Razeは現在、5人の演者のうち3人までが重なっているわけだが、双方のステージを観た筆者としては、共通項があることで双方の特性がいっそう際立って感じられたことも付け加えておきたい。
予定外のダブル・アンコールも含めて、この夜のライヴは全20曲、2時間弱にも及んだ。ただ、曲数や演奏時間の長さ以上に、とにかく熱さと密度の濃さ、喜びに満ちたポジティヴな空気感が印象的だった。昨年3月の同じステージ上では、このプロジェクトについて「まだ歴史がない代わりに、伸びしろしかない」と語っていたHAZUKI。その言葉通り、彼らは飛躍的に成長を遂げた姿を、当たり前の自由を奪還したオーディエンスに見せつけていた。そして双方のエネルギーの交感が、暑い夏の夜をいっそう熱いものにしていた。
このツアーは、今週13日には新横浜で第二夜を迎え、全国各地を巡演しながら8月27日の名古屋公演まで続いていく。熱き全国行脚の動向から、目を離さずにおきたいところだ。
加えて、このツアー初日公演の終演後には「逆鱗」の収録曲である“Ω(0.5)+DRACULA”のMVも公開に至っている。こちらにも是非注目を。
(text:増田勇一)
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【TOUR情報】
■HAZUKI「BURST SUMMER TOUR’2023 “反逆ノ行脚“」
7月13日(木) 新横浜NEW SIDE BEACH!! 18:30/19:00
7月15日(土) 長野CLUB JUNKBOX 16:30/17:00
7月16日(日) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE 16:30/17:00
7月22日(土) 札幌BESSIE HALL 16:30/17:00
7月30日(日) 江坂MUSE 16:30/17:00
8月11日(金祝) 仙台darwin 16:30/17:00
8月12日(土) HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2 16:30/17:00
8月18日(金) 柏PALOOZA 18:30/19:00
8月24日(木) 福岡DRUM SON 18:30/19:00
8月25日(金) 福岡DRUM SON 18:30/19:00
8月27日(日) 名古屋E.L.L. 16:15/17:00
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スタンディング \7,000(税込/D別)
※未就学児入場不可
チケット一般発売中
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【release情報】
2023年9月15日(金)発売(お届け)
③ 逆鱗+ [CD+Blu-ray+Booklet(40p)+アウトストアイベント参加券付き(1枚)] / ¥9,900(税込)
④ 逆鱗+ [CD+Blu-ray(HAZUKI直筆サイン付き)+Booklet(40p)] / ¥9,900(税込)
受注期間:~2023年7月28日(金)23:59まで
※HAZUKI オフィシャルストア にて受注販売、各音楽CDショップ等での販売はございません。
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《CD・Blu-ray収録内容》
[CD]
・「逆鱗」(インストゥルメンタル、最新ライブ音源を含む全9曲)
[Blu-ray]
・「Ω(1.0)+DRACULA」Music video
・TOUR’22 “THE EGØISTIC CIRCUS” 川崎CLUB CITTA’ 公演ライブ映像(HAZUKIオーディオコメンタリー(副音声)付)
・TOUR’22 “THE EGØISTIC CIRCUS” 川崎CLUB CITTA’ ドキュメンタリー映像
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■「逆鱗」CD収録曲
M1. Ω
M2. 霊蕾-laylay-
M3. DRACULA
M4. Ω (Instrumental)
M5. 霊蕾-laylay- (Instrumental)
M6. DRACULA (Instrumental)
M7~M9. BURST SUMMER TOUR’23 “反逆ノ行脚” 2023.07.09 Spotify O-WEST LIVE TAKE
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■TOUR’22 “THE EGØISTIC CIRCUS” 川崎CLUB CITTA’ Blu-ray収録曲
M1. XANADU
M2. HEROIN(E)
M3. C.O.M.A.
M4. CALIGULA
M5. 七夕乃雷 -Shichiseki no rai-
M6. SAD SONG
M7. 眩暈
M8. 奈落迦-Naraka-
M9. LIGHT
M10. THE MIDNIGHT BLISS
M11. +ULTRA
M12. ROMANCE
M13. AM I A LØSER?
M14. BABY, I HATE U.
M15. CYGNUS
EN1. BABY, I HATE U.
EN2. HEROIN(E)
EN3. 七夕乃雷 -Shichiseki no rai-
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