V系って知ってる? びじゅなび特別インタビュー

<第2弾>来夢(キズ・Vo.&Gt.)

──今夏に強いインパクトを持った11thシングル『リトルガールは病んでいる。』を発表したあと、キズは10月9日に日比谷野外大音楽堂での初単独公演[そらのないひと]に臨むこととなりました。今この時点で振り返ってみた時、来夢くんにとってあの野音のステージとはどのような意味を持った場所だったと感じていらっしゃいますか。

こういうライヴって一生忘れられないものなんだろうな、っていうことは凄い感じましたね。具体的にこんなことがあった、あんなことがあったって細かく覚えているわけではないんですけど、野音に関しては『リトルガールは病んでいる。』をリリースしたうえでのライヴっていうことで、やっぱり自分としては「これをメインに伝えに行くんだ!」っていう志を持って行ったんですよ。でも、実際にやってみたら最終的にはそれだけじゃない大切なものとあの場では出会えた気がしてます。

──予想以上の収穫があったわけですね。

[そらのないひと]っていうタイトルを用意して、気持ちの面でもかなり構えて臨んだライヴでしたけど、良くも悪くも自分が思ったとおりになんていかなかったですね。そして、それはわりといつものことでもあるというか。僕達、簡単に言っちゃうとライヴっていうものを自分たちでコントロールすることが出来ないバンドなんですよ。多分、それが自分たちの良いところでもあったりするのかなって思います。そもそも、野音に限って言えばあんな土砂降りの中になるなんて誰も想像してなかったし(笑)

──雨の野音、といえば古くから伝説的なライヴが何本も行われた場所ですので。キズもいよいよそこにエントリーした、ということになるのかもしれませんね。

あれはほんとに奇跡的だったというか、照明の効果とかも含めていろんなものが絶妙に全て噛み合って生まれたライヴだったと思います。逆に言うと、あの空間でみんなが求めてたのは『リトルガールは病んでいる。』だったわけじゃないんだろうなっていうことにも僕は気付かされました。じゃあ、みんなが何を求めてたのかそれを言葉してみてって言われたらそれはまた難しいんですけど…なんか凄く大事なものがあそこにはありました。

──ファンの皆さんが求めていたのは、特定の楽曲というよりも“キズそのもの”だったとも考えられそうですね。

あぁ、おそらくそれに似た何かなのかもしれないですね。上手い言葉があんまり見つからないんですけど、あの日の野音はとにかく“それ”に先導されてましたね。

──先ほど、来夢くんはキズのことを「ライヴっていうものを自分たちでコントロールすることが出来ないバンド」と称されていて、それに対し「多分、それが自分たちの良いところでもあったりするのかな」とも発言していらっしゃいましたが、より理想的なカタチを追求するならコントロール出来た方が良いと思っているフシもあったりするものです?

前まではそう出来た方が良いんだろうな、って僕は思ってました。自分があらかじめ用意したものをライヴでみせていって、それによってみんなに感動を与えるっていうのがひとつの理想なんじゃないかと思ってたところは確かにあったんです。だけど、今年の1月に渋公で[VISUAL]っていうタイトルの単独公演をやった時くらいから、キズのライヴは自分たちでコントロール出来ないものになって来たことに気付いてきたんですよ。あの時も、自分が用意してたはずの言葉をステージで言えなくなってた自分がいましたからね。なんか、用意してた言葉をいざ現場に持っていったら「いや、こんなしょーもねーことここで言えねぇよ」って感じちゃったんです。そのくらい、自分の感情をコントロール出来ない状態になってたんでしょうね。自分が想像してた[VISUAL]っていうタイトルのライヴの内容とは全く違うライヴになったことは自分にとってもちょっと驚きでしたけど、それと同時に最近は「これが今のキズなんだろうな」と考えるようになって来ました。要は、もはや用意したものをそのままやらせてくれないんですよ。会場の空気が。

──なかなか一筋縄ではいかないのですね。

いやほんとに。野音だって、めちゃめちゃいろんなもの用意してたんですよ?でも、気が付いた時には丸腰に近い状態になっちゃってて何ひとつ出せなかった(笑)。本来ならMCだって一応する予定でしたけど、結局はそれもしないでそのまま行きましたもん。それが良いのか悪いのかはちょっとわかんなかったですけど。

──とにもかくにも、来夢くんにとって初の野音が“一生忘れられない”ライヴになったのだとしたら、それが確かな答えであると考えられそうです。

絶対あれは忘れられないですよ。自分の言葉よりも何より歌を求められてる気がしてたから、淡々と歌い続けた感じでした。雨の中で。

──フロントマン/ヴォーカリストたるもの、時にカリスマ性を求められたり、トークスキルを求められたり、何かとあれこれ求められる要素は多いものの、その中でも純粋に歌を聴き手側から求められるということは、実に冥利に尽きることなのではありません?

ステージからファンの表情とか見てると、歌えば歌うほどみんなが良い表情をしてくれるんですよね。曲や歌でこんなにも良い表情をしてくれてるんだったら、これ以上MCとかで補足する必要はないな、と感じてしまって。音楽で全てを伝え切るということを、このところのキズは求められてる気がしてます。もちろん、まだまだなところはいっぱいありますけれども、音だったり歌詞だったり歌だったりをここに来て良く聴いてもらえるようになったなという実感はあって、それはとてもありがたいことだと感じてるんです。

──ここに来て良く聴いてもらえるようになった、ということは。以前はそうではなかったわけですか?

それこそ、自分の感覚としては【一撃】(キズの4周年を記念したYouTube投稿企画)を始めて以降かなり歌を聴いてもらえるようになったなって感じてます。あれはコロナ禍でライヴが出来ない時に始めたものだったんで、ほんと最近と言えば最近なんですよ。

──なるほど。だとすると、それ以前のキズはユーザー側から主に何を求められていたバンドだったのでしょうね。

いや。なんも求められてなかったでしょ、別に(笑)

──さすがにそのお言葉は自虐的過ぎやしませんか?!

なんなんでしょうねぇ…だけど、明らかにライヴを観てるお客さんたちの表情が【一撃】を始めてから活き活きとしたものに変わったのは確かで。おかしいぐらい劇的に変わったんですよ。凄く楽しそうなんです。

──キズ自体もバンドとしてのスタンスが変わったところはあったのでしょうか。

メンバー間は前よりもっと仲良くなりました。逆に言えばそこくらいで他は何も変わってない気がしますけど、やっぱりコロナ禍っていうこのクソヤバい事態を一緒に乗り越えてきたっていうのが大きかったんでしょうね。実際、この4人でいたからこそなんとかなってきた部分っていうのは絶対あると思うんです。お互いわかりあえたところもたくさんあったし、多分この感覚はうちのメンバー全員がみんな共通して感じてるはずです。

──さまざまな困難な事態を経て得てきたバンドとしての結束力が、昨今はライヴでの演奏にも色濃く反映されているということなのでしょうね。観客の方々も、おそらくそこを敏感にプレイやステージパフォーマンスから感じ取られているのではないかと。

それはあるかもしれないです。ライヴのスタイルとして、前はあらかじめ作ったものをその場で届けるっていうイメージでしたけど、今はステージの上で僕達の中からあふれ出たものをみんなに拾ってもらえたら良いな、という感覚に近い気がしてるし。今の方が自然にやれてる分、振り返ってみると昔の方がちょっと無理をしてたなって思います。無理なく自然なかたちでやってて、それをみんなにも喜んでもらえるなんて、純粋に音楽やってて良かったなって心から思いますね。

──年末には女限定GIG[女地獄]と男限定GIG「漢地獄」、さらに3月には単独公演[残党]をNHKホールにて開催することも決まっているそうですが、それらに向けてのヴィジョンについては今どのように描かれていますか。

うちのバンドのこと好きな男たち、めっちゃ元気なんですけど。普段は女性に気を遣ってるところもあるみたいなんで、今度の限定の時には気兼ねなく熱くなって欲しいんですよね。女性限定の方も、チケットの争奪戦があまりにも凄かったんで追加公演を決めたんで、男女ともに来られる人は思いっきり楽しんで欲しいと思ってます。そして、NHKホールに関しては自分たちのファンの愛称を再定義したいなって思って[残党]というタイトルをつけたところがありますね。っていうのが、現状うちのファンは“豚”って呼ばれてるんですよ。

──それは「豚」という曲に由来しているのでしたっけ。

ライヴで僕が「豚ども!」って言うのもありますね。いつの間にかそれで定着しちゃってたところがあるんだけど、今一度キズっていうバンドのことを考えたうえで今の俺達に最も似合う言葉ってなんだろうな?って考えた時に、出て来たのが残党っていう言葉だったんです。俺達もファンもVisual Rockの残党、っていうことですね。

──そうした中、このたび12月27日にキズは日本武道館にて開催されるイベント[V系って知ってる?]に参加されることになったわけですが、実質キズにとっては今年を締めくくる場にもなりそうです。なんでも、今回のオーガナイザーをつとめているDEZERTのSORAくんからは直接オファーがあったとのことですが、その際のエピソードを少しここで詳しくうかがってもよろしいでしょうか。

最初、僕ん家にSORAくんとSacchanが一緒に遊びに来たんですよ。ところが、来てみたらなんかふたりとも妙に深刻な顔をしてて。雰囲気からいったら「えっ?何?!もしかして、俺DEZERTに誘われるの???」くらいの感じだったんです(笑)

──そこから、話はどのように切り出されていくことになったのです?

なんだかんだ5時間くらいダベったり、なんか食ったりしてから、やっと出て来たのが武道館の話でしたね。なんだ、これを言いに来たのねって思いましたけど。で、まだその段階ではまだフワっとした部分もあったけど「一緒にやろう」ってなったんです。

──なんでも、SORAくんが[V系って知ってる?]の特設サイトに載せている声明文によると来夢くんはオファーを受けた際に「伝わった。出るわ。」「Visual Rockのために命燃やしましょう」と答えられたのだとか。

こういう意思があってこういうことをやりたいんだ、っていうSORAくんの話を聞いて断る理由はなかったですからね。Visual Rockに対する彼の想いを聞いたら、これは断れないなとも思ったんですよ。俺がいくら千秋のこと苦手だとは言ってもね(笑)

──つまり、それは来夢くんにとって快諾というより英断に近かったのでしょうか?

だって、SORAくんのあんな熱い話を聞いたら断れる男なんていないですよ。だから、千秋のことは苦手だけど出る(笑)

──お気持ちはよくわかりました(笑)。なお、SORAくんは声明文の中で来夢くんのことを“男の中の男。否、漢。”と称賛しています。この言葉を来夢くんとしてはどのように受け止められましたか。

こういうことをサラっと言葉に出来る人が誰より男っすよ。時々、SORAくんと話してると地元の後輩と話してるんじゃないかな?って錯覚することもあるしね。「あれ?ここ宮崎じゃないよな」って(笑)。なんか、そのくらいSORAくんは俺の昔からの仲間たちと似てるところがありますね。

──なお、SORAくんの声明文にはさらに続きがありまして“れいきくん、ゆえくん、きょうのすけくんも皆握手して来てくれて。”という記述もありました。これはまた別日のことだったのですよね?

そこも正確には「来てくれて」というよりは「メンバーひとりひとりとも話させてくれ」ってSORAくんに言われたんです。俺は「ちゃんと皆に話しておくよ」って言ったんですけどね。わざわざ俺達の次のライヴの時に楽屋まで来てくれて、武道館の話をあらためて直接メンバーにしてくれたんですよ。イマドキ、そこまでする人いないでしょ。

──LINEやらZOOMやら便利なものもあったりする中での直参ですものね。説得力がどちらにあるかは比べるまでもないでしょう。

当然、うちのメンバーたちも「わかった!」「出る!」「出たい!」ってすぐなりました。俺からは説明するまでもなかったですね。

──では、ここからは[V系って知ってる?]の主旨的な部分についてのお話を来夢くんにうかがって参りたいと思います。そもそも、もうここ何年にもわたって音楽業界内のみならずユーザーの間でさえ「V系は衰退してしまった」「V系なんて過去のものでしょ」といった言葉が方々から漏れ出ているのはひとつの現実で、国内だけでなく海外でのマーケットも以前と比べれば縮小している実態も事実としてあるわけです。そうした中にあって、まさに敢行されるのが今回の[V系って知ってる?]であり、これは世に対するれっきとした投げ掛けでもあると思うのですが、来夢くんはこのイベントの主旨についてどのように捉えていらっしゃるのでしょう。

まず、SORAくんが考えてることと、僕の考えてることはけっこう似てるところがあると思いますね。たとえば、僕達も渋公でやった時には[VISUAL]っていうタイトルで旗を掲げさせてもらってますし、今こうして[V系って知ってる?]っていうかたちで武道館でのイベントをやるって決めて、Visual Rockっていう言葉を前面に打ち出して大きく旗を振るっていうそのスタンスに対して俺はものすごくリスペクトを感じます。ただ、個人的には今回このイベントに出るって決めたこともそうだし、ヴィジュアル系っていうものに関していろいろ深く考える機会が多くなったことで、最近ちょっと言葉に対する矛盾点みたいなものを感じるようになって来ているところが実はあるんですよ。

──矛盾点とは…?

実は、この[V系って知ってる?]っていうタイトルについても僕としては少し引っかかっているところが出て来ているといいますか。具体的に言うと、この“系”っていう部分に矛盾を感じるんです。もしかしたら、この“系”っていうくくり方がちょっと漠然としたニュアンスを生み出している可能性もあって、それゆえにジャンルとしてはっきり確立しきれない部分もあるのかなと思ったりするんですよね。別に“系”とか付けずにVisual Rockの方がわかりやすくていいじゃん!って、いろいろ考えた末に今はそう感じてるんです。

──渋公のライヴタイトルを[VISUAL]とした時点から、その気持ちは明確に意識されていたわけなのですね。

えぇ、そうです。堂々と誇りを持つにはヴィジュアル“系”とかV“系”だと、なんかボヤけてるというかフワっとした言葉に感じません?

──太陽系や銀河系にしてもくくりとしては大きいものを“系”とすることが多いせいか、ヴィジュアル“系”およびV“系”もそれなりに守備範囲の広い言葉であると感じられるところはあるかと思います。

そういう意味では、ジャンルとしてはいまだに未完成なのがヴィジュアル“系”なのかなぁ。僕としてはもっと誇りを持ちたいという気持ちもあって、このところは意識してヴィジュアル“系”という言葉ではなくVisual Rockもしくはヴィジュアルって言う言葉にこだわって使うようにしてるんです。まぁでも、もともと始めた人たちは自分たちでヴィジュアルだって言って活動してたわけじゃないですもんね?

──Visual Rockについては諸説あり、始祖をX JAPANだという人もいれば、DEAD ENDや44 MAGNUMですとかZIGGYだとする人がいたり、BUCK-TICKだという人もいますし、むしろルーツ自体はAUTO-MODやBOØWYあたりだろうと語る人もいることを考えると、歴史としては30年以上だったり40年近くの流れがあることにもなりますので、その頃にはまだヴィジュアルという言葉がジャンルを指す言葉としては使われていなかったはずです。

ですよね。後になってヴィジュアル“系”ってくくられることになった方たちもたくさんいたはずですよね。

──DEAD ENDやX JAPANが世に出てきた頃、メイクをして派手な格好をしているバンドは一様に“ヘビメタ”と呼ばれていた記憶があります。あるいは、もっと蔑称的なものだと“お化粧バンド=オケバン”などという呼び方もありました。音楽的にメタルよりビートロックやパンク/NWに近いバンドの場合は、ゴスだのポジパン系と呼ばれていたこともあったように思います。

そっかー。その頃のバンドたちと、のちのち最初から「自分たちはヴィジュアルだ」って認識して活動しだしたバンドってやっぱり全然違うんでしょうね。そして、後者の方の歴史っていうのはまだわりと浅いんだと思います。

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──今さら的な話にはなりますが、来夢さんはhideさんをリスペクトされているそうで、

『リトルガールは病んでいる。』の詞には「ROCKET DIVE」から引用した〈宇宙の暇人〉という言葉が意図的に織り込まれておりましたよね。来夢さんとVisual Rockとの出会いは、hideさんが切っ掛けだったことになるのですか?

hideさんというか、最初に出会ったのはX JAPANでした。リアルタイムで聴いていたわけではないんですけど、親父がちょうどその世代だったんですよね。家にあった『破滅に向かって』のDVDじゃなくてビデオボックスを観てハマっちゃったんです。

──DVDじゃなくビデオボックス、というところがなんとも胸熱です(笑)

あのボックスの中、Tシャツとかいろんなもの入ってたんですよね。詳しいことはSORAくんとラジオの番組でも話したんですけど、あのビデオボックスは家の押し入れの中で見つけたもので、最初は親父が隠し持ってたエロビデオだと思って来夢少年はワクワクしながら盗み見てみたんですよ。でも、内容はAVじゃなくてX JAPANの『破滅に向かって』だったんです(笑)

──刺激的な映像であった、という点だけは期待通りだったということでしょうか(笑)

それはそうっすね(笑)。僕は幼稚園くらいからずっとピアノをやらされてて、周りは女の子ばっかりだったからイヤでしょうがなかったんですけど、あのビデオを観た時にピアノを綺麗に弾いたかと思ったら、いきなり激しいドラムを叩き出したYOSHIKIさんを見て凄い衝撃を受けたんです。だから、最初はYOSHIKIさんに憧れてドラム買ったりもしつつ、そこからHIDEさんの存在やhideさんのソロの方も好きになっていきました。

──そこで来夢くんの人生は劇的に変わったのですね。

AV見ようとしたら人生変わっちゃいました(笑)

──その頃の体験が来夢くんにとっての初期衝動につながっているのだとしたら、その中に今でもご自身の内に強く根付いてる感覚は何かありますか。

儚さ、かなぁ。あの『破滅に向かって』を観た時って、衝撃的でもあったし、派手なところにも驚いたけど、でもすげぇ儚さを感じたんですよ。言葉にするのは難しいけど、今そこでライヴをしているのに明日にはもしかしたら死んじゃうじゃないか?って感じるくらいの儚さがあって、ギリギリのところで燃え尽きそうになりながら表現してるその姿に感動したんです。そういう儚さっていうのはいまだに自分たちも大切にしたいなと思っているもので、憧れてるのは見た目だけじゃなくその根底にある魂なんですよね。

──魂の在り方に憧れている、というのはとても素敵な言葉です。

ステージで死んでもかまわない、ステージに全てを賭ける、っていう姿勢。それが僕にとってはヴィジュアルの本質なんです。

──しかし、それだけの初期衝動を受けたにもかかわらず、そこから来夢くんが実際にVisual Rockの世界へ足を踏み入れるまでには少し時間がかかったそうですね。

X JAPANと出会った後に兄貴の影響でTHE BLANKEY JET CITYを好きになったこともあって、高校生の時に初めてやったバンドは完全にメロコアでした。キズの曲にメロコアみたいなのがたまにあるのは、その頃の名残なんです。

──ぶっちゃけ、あの当時メロコアだのガレージロックの界隈とヴィジュアルの界隈は遠く離れたものでしたけれど。その距離感を来夢くんはどのように捉えていらしたのです?

距離があるってわかってたから、僕は地元でヴィジュアルをやれなかったんです。宮崎のライヴハウスにはヴィジュアルやってるバンドは皆無で、周りに仲間がいなかったから来夢少年はメロコアをやってたんです。ひとりでは好きなものを貫くことが出来ない弱い人間だったってことですね。

──そこから、来夢くんがいよいよVisual Rockの世界へ足を踏み入れることになったのは何が切っ掛けだったのでしょうか。

その後、宮崎から福岡へ移り住んだ時にレイヴのみくるに誘われて初めてVisual Rockのバンドで歌うことになりました。あの時から、僕は「Visual Rockが好きだ」っていう気持ちを取り戻しました。

──来夢くんは、それ以降Visual Rockの世界を満喫していくことになりました?

それが、ちょっとあの頃は精神的に不安定な時期だったんですよ。だから、バンドを続けていくことはけっこう大変でした。そういえば、あの当時大好きだったのがMUCCの「ココロノナイマチ」だったんですよね。MVの逹瑯さんはヒゲ生えてたし、最初はヴィジュアルのバンドだと全然思ってなかったんですけど、あの「ココロノナイマチ」っていう曲には気持ちを救われたところが凄くありました。そして、あれを聴いて「俺もこうなりたい」って思ったんです。

──すなわち、二度目の洗礼を受けることになったわけですか。

そうです、そうです。あの時「ココロノナイマチ」を聴いてなかったら、MUCCと出会ってなかったら、今の自分は多分こうなってなかったです。別にそこまで思い詰めてたわけじゃないんだけど、とりあえず「生きてたらMUCCの新曲聴ける」とか、そういうのが自分にとっての生きる楽しみになってましたね。

──今やキズの存在や音楽に救われている方々もいらっしゃると思いますので、来夢くんからするとそれは自らの望んでいた展開になっているということなのですね?

みんなにとってのキズが、あの頃の自分にとってのMUCCみたいな感じになってるのかもしれないな、っていう実感はあの野音の時に確かにありました。そこにともなう責任感っていうのも当然ありましたし。だから、きっと今は自分がかつてもらったものを“返さないといけない時期”に入ってきてるんでしょうね。なんなら、自分がもらった以上のものを返して何かを残さなきゃいけないっていう使命感が出てきてます。

──その意思を表明する場として、今度の[V系って知ってる?]はもってこいなのではありません?

そうなんですけど、気持ち的にはなかなかぐちゃぐちゃですよ。だって、憧れのMUCCとの初タイバンが武道館って!このあいだだって、俺『朽木の灯』の曲をやるっていうライヴに行かせてもらって関係者席で感動しながら泣いてましたからね。当日は苦手な千秋も一緒だとはいえ(笑)、MUCCと武道館でタイバン出来る未来なんて想像も出来なかったですもん。こんなの絶対バンド漫画くらいでしか読めないヤツですよ。

──夢は叶う、を体現されることになるとは喜ばしい限りです。

もう考えるだけで今から込み上げてくるものが凄いありますけど、でもだからってそんな個人的な感情だけで浮かれていられるようなステージじゃないことはよくわかってるんで、武道館では何かを残したいし、もらったものは返さないといけないんですよね。って言いながらも、俺はまた何かもらっちまうのかなという予感もあります(笑)

──昨年は、武道館で[DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021 supported by MAVERICK DC GROUP]が行われた際に、暁くんと来夢くんがDEZERTのステージにゲスト参加して「「殺意」」をともにパフォーマンスするという一幕がありましたけれど。あの経験を、今度のステージングに活かせそうなところは多少なりともありそうですか?

去年はもう単純に遊びに行っただけの話なんで。今年は勝負しに行きますよ。何と闘うのかはよくわかんないけど。

──同世代のアルルカンやDEZERTと闘う、という意識があるわけでもないのですね。

それはちょっと違いますね。僕、千秋のことは大の苦手だけど多分好きなんですよ。多分ね(苦笑)。書いてる歌詞も、それを誰かに向けて歌ってる姿も良いなって思うのは事実だし。暁の場合は自分に向けて歌ってるようなところがわりとあって、それが自分のアンテナに引っかかることがけっこう多いかな。それぞれ違うんだけど、この3人はどこかで共通点っていうのはある気がしてるし、俺はあのふたりにいろいろ助けられてるところがあるって自覚してますよ。だから、そうだな…武道館でも闘うんだけど基本的に会場の中に矛先はないんです。でも、常になにかしらとは闘ってる感じはあって。この感覚の正体は何なのかな?って思いますけど。

──それは、いわゆる野心なのでしょうかね。

あぁ、野心か。それですね。僕達野心しかないかも。もともとは『破滅に向かって』をAVだと勘違いして観て人生変わったような人間ですけど(笑)、ほんと野心は強いです。そして、俺はまたVisual Rockが天下取る時代がやって来るって信じてるんで。いまは残党だとしても、いつまでも残党でいると思うなよ、っていうところを見せつけていきたいです。まずは武道館の[V系って知ってる?]で命燃やさせてもらいます!


=イベント情報=

■V系って知ってる? powered by MAVERICK DC GROUP
2022年12月27日(火) 日本武道館

…………………………………………

OPEN 13:00 / START 14:00

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【出演】
DEZERT https://www.dezert.jp/
キズ  https://ki-zu.com/
アルルカン http://arlequin-web.com/
ムック https://55-69.com/
D’ERLANGER https://www.derlanger.jp/
girugamesh  https://twitter.com/real_girugamesh
V系Respect Super Session

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★チケット:

【プレイガイド3社合同最終先行予約】
<受付期間> 11/30(水)12:00~12/6(火)23:00
<受付URL>
ローソンチケット◆https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=673772
イープラス◆https://eplus.jp/sf/detail/3752000001-P0030001?P6=001&P1=0402&P59=1
チケットぴあ◆https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2238132

…………………………………………

【チケット料金】 全席指定:前売6,600円(税込) / 当日7,700円(税込)
※4歳以上有料
※出演者の変更に伴うチケットの変更、払い戻しはできません。ご了承ください。

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【チケット一般発売日】 2022年12月11日(日)

【問】 SOGO TOKYO 03-3405-9999

★V系って知ってる? 特設サイト★
https://www.vkei.jp/

★V系って知ってる? オフィシャルTwitter★
https://twitter.com/vkei_jp

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=キズ情報=

<LIVE>

■2023年3月26日(日) NHKホール
キズ単独公演「残党」

[開場 / 開演]
16:00 / 17:00

[チケット (全席指定/諸経費込)]
前売
■SS VIP席 ¥10,000
■2階VIP席 ¥10,000
■A席 ¥6,000
■B席 ¥3,800[※一般先行〜受付開始]
※全席・席種別オリジナルピクチャーチケット
※SS VIP席/2階VIP席:限定グッズ

【ブログマガジン会員先行】
受付期間:2022年12月23日(金)21:00~2023年1月4日(水)23:59
入金期間:2023年1月7日(土)12:00~2023年1月10日(火)23:59
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【オフィシャル先行】
受付期間:2022年12月27日(火)10:00~2023年1月9日(月/祝)23:59
入金期間:2023年1月13日(金)~2023年1月16日(月)
▼イープラス/ローソンチケット/チケットぴあ

【一般先行】
受付期間:2023年1月23日(月)10:00~2023年1月30日(月)23:59
入金期間:2023年2月3日(金)~2023年2月6日(月)
▼イープラス/ローソンチケット/チケットぴあ

【一般発売】
2023年2月23日(木/祝)
▼イープラス/ローソンチケット/チケットぴあ

※公演当日までに新型コロナウイルスの感染状況に伴い、政府や地方自治体の方針変更があった場合、開催内容の緩和・変更や公演延期・中止の可能性もございます。予めご了承ください。ご案内は状況に応じて随時改定させていただきます。
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■2022年12月24日(土) 浦和ナルシス
キズ 男限定GIG「漢地獄」

[開場 / 開演]
16:30 / 17:00

[チケット]スタンディング
前売 ¥6,000 (諸経費込 / D別) 当日 ¥7,000 (諸経費込 / D別)
▼イープラス ※一般発売中
https://eplus.jp/sf/detail/2360340001?P6=001&P1=0402&P59=1

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■2022年12月25日(日) 浦和ナルシス
キズ 女限定GIG「女地獄」

※チケット完売

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■2023年1月23日(木) Spotify O-EAST
【追加公演】キズ 女限定GIG「女地獄」

[開場 / 開演]
17:00 / 18:00

[チケット]
スタンディング
前売 ¥6,000 (諸経費込 / D別) 当日 ¥7,000 (諸経費込 / D別)

【一般先行】
受付期間:2022年12月3日(土)12:00~12月10日(土)23:59
入金期間:2022年12月13日(火)13:00~12月18日(日)21:00
▼イープラス
https://eplus.jp/sf/detail/2360340001-P0030072P021001?P1=1221

【一般発売】
2022年12月24日(土)
▼イープラス
https://eplus.jp/

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