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孔雀座2023.12.23

1215日東京都・池袋EDGEで孔雀座のワンマンライヴ、<第壱回単独舞台「羽堕とし奇々怪々編」>が開催された。始動から半年で決行した単独公演、大空へ羽ばたく未来を想起させるべきものであるはずなのに、そのステージからは後がない不退転の覚悟と焦りを感じた。男たちは何故に生き急ぐのか?ステージにしか答えを見いだせない5人が今持ちうる全てを賭けて提示した未完成な行先。決戦の夜の模様をお届けする。

 

 

   ◆     ◆     ◆ 

 

 

2023年、音楽業界は様々な出来事に遭遇せざるを得ない1年であったのではないか。

特に日本のシーンにおいては喪失感を感じる機会が多く、その都度音楽の素晴らしさと、生活・人生における結びつきを再確認させられることにもなった。フィーチャーされる功績が輝かしいからこそ虚無に襲われ、どこか鬱屈としたムードにも苛まれる。

音楽は、アートは、人々を立ち上がらせることも出来れば、時に立ち止まらせることもある。

もちろん、その甘美な思い出や想いは褪せることがないもの。そう信じている、きっと。

 

孔雀座は今年の6月にその姿を露わにした。チャイナ風の鮮烈なヴィジュアルは話題を呼び、始動主催<大殺界>は大盛況のうちに成功を収めたが、その終演後には1215日に第壱回単独舞台を行うことが早々に発表された。

その時点で音源化されている楽曲は片手で数えられるヴォリューム。自らに枷をかけるよう、疾風の如く駆け抜けることを責務としたそのスタイルは華々しい始動のイメージとはかけ離れたある種の焦燥感を感じさせた。

その手に武器を携えるために走り続けた孔雀座はこの記念碑となる夜に何を提示したのか。

持たざる者は、失うことすらも許されないのである。

持ちうる者になるべき覚悟の夜は行くぞ!!というシンプルかつ気合いの入った咆哮から始まった。

五感に訴える孔雀座のライヴではお馴染みの、焚かれた香の香りが充満する会場のステージ袖での気合い入れの声は幕を突き抜けフロアにまで鳴り響いた。

 

ほどなく暗転すると未羅(Vo)の肉声によるかかってこい!!を号令に始まったのは「九龍」。この耳慣れないナンバーは何を隠そうこの日のために密かに用意されていた新たな武器であった。ラウドでハードなリフとファストなパートが目まぐるしく入れ替わる楽曲にもオーディエン歓声をあげ良好な反応を見せる。語り、デスヴォイス、ラップ調と様々な手法を取り込むのは孔雀座の得意技であるが、一層場面を展開するドラマティックなサビは今の孔雀座に求められているピースこれまさにといった手触り。最高の出会いに拍手というリリックもこの夜を待ち焦がれていた者に贈るに相応しい1曲であった。

 

 

 

 

続いたのは武(Gt)のサイケディックなフレーズがヘドバンの応酬を生むお馴染みの「ケセラセラ」。暴れ倒すことを約束させるこの曲の配置で、今日の孔雀座が掲げる狙いがよく伝わる。同時に目を惹いたのは活動初期には激しくもどこか冷静なステージワークで俯瞰的にバランサーとして機能していたLeon(Gt)がその首が吹き飛ばんばかりの豪快な動作で客席に迫り出しアジテーションを繰り返す姿である。半年の活動の中で孔雀座のシェイプが明確になってきたことがわかる。目をやればやなぎ(Ba)も同様だ。Leonの隣でクールにプレイしている姿が印象的だったやなぎもまたそのベビーフェイスとは裏腹に攻撃的なアクションを繰り返す。

 

 

 

▲未羅(Vo)

 

 

一方、暴君の如く無秩序にステージを右往左往し感情に委ねる未羅はいつもより落ち着いた様子だ。正直なところフロントマンとして背負うべきものからの緊張感も見て取れた。元来、未羅は逆境のシチュエーションでこそ、その感情過多な表現を如何なく発揮するタイプのヴォーカリストである。自身のハートに火をつけることで情念を溢れさせる彼にとって圧倒的ホームな空間での戦い方は今後の課題かなどと考えていた矢先の「DANCE IN THE DARK」ではマイクを投げ捨て暴れ回るという傲慢な振る舞いで一気にヴォルテージを上げていく。

そうだった。未羅という男にはルールとセオリーが存在しないのだ。瞬間瞬間を切り取った刹那なような展開はハイカロリーだが、そんな憂いをよそに彼なりの説得力で観客ひとりひとりを睨みつけるように歌唱に没頭していく。実に魅力的なフロントマンだ。

 

 

 

▲武(Gt)

 

 

 

Leon(Gt)

 

 

未羅はしばしばアンタらじゃなくてアンタに向けて伝えたいんだと発言する。

群衆に向けた言葉なんて俺には刺さらないという心情を体現しているようだが、とにかくこの日も端から端まで隈なく会場を見渡すシーンが多く見受けられた。

その様子は音源化が待たれる「シリアルキラー」でも同様で、激しいノリを生みながらも丁寧に言葉を紡いだ。

 

 

 

▲やなぎ(Ba)

 

 

 

 

▲或(Dr)

 

 

屈曲させながら艶やかにプレイするやなぎの表現力も映えたが、或(Dr)もいつも以上に気合いの入ったパワフルなドラミングで牽引した。

見慣れないこの日仕様のドラムセットは乗り手を選ぶじゃじゃ馬のような存在感を放つ。

時折立ち上がり、要塞から顔を覗かせる或は華のあるドラミングで斬りつけるようにブラックシンバルを打ち鳴らし、見事に乗りこなしてみせた。

楽器隊によるジャムセッションからの流れが美しい「夜に隠して」ではLeonの情熱的なカッティングと武の奏でる音色の対比が相変わらず心地よく響く。

この「夜に隠して」といい、活動途中で生まれた新曲たちは始動時にリリースされた『大殺界』のアジアンテイストを抽出しながらも、より耳に届きやすいメロディに特化している印象を受ける。

 

 

MC or 絡みor全景8>

 

 

ライトが明滅するなか俺を壊してくれ!とアジテートされた「MAYDAY」、大暴れ曲「催眠警報!!!」と続いたのちに未羅がマイクを取る。

自分の中で一番音楽と向き合って今日を迎えることができた。でも、音楽をやってると逃げたくもなるし、間違いだってしそうになる。でもアンタの顔見てると負けられないって思うんだよ。

苦悩も愛せるようになりたい。苦悩から逃げきれないこともあると思う。でも、お互いに生きていきたい。苦悩さえも愛していこう

理想とのギャップから、苦悩しながらこの日までを歩んできたという未羅はMCで観客ひとりひとりに言葉を伝え、届けたのは更なる新曲だった。

「極彩色染まる」と名付けられたこの曲、一聴しただけで耳に残る非常にポップなメロディと苦悩さえも極彩色に染め上げていく強い意志が調和したナンバーだ。

直前までのハードネスとはまるで異なるこの曲の優しさはこれからの孔雀座にとっても大きな意味を持つものに育っていくであろう。

 

 

 

 

今までは自分のためだけに歌ってたらいいなって過ごしてきたけど、もうそう思わない。もうそう思えなくなってしまった。少しでもちょっとだけでも背中を押せるようなそんな曲を歌ってみたいな、そう思いました。

本編最後に披露されたのは「正体」。

自己満足でもない、自暴自棄でもない。自らを、そして誰かを救いたいと願う曲。

強さは弱さ、弱さは強さ。解っていても進めない感情、消せない後悔を生きなくちゃという意志で浄化させる孤高のアンセムだ。

変わりたいと願うことはある意味においては自分を否定することにもなる。自分を否定してでも変わりたいと願う理由。この日、未羅、武、Leon、やなぎ、或の前に対峙したオーディエンスこそがその答えであり、孔雀座から漂う焦燥感の正体でもある。

無傷では何も救えない。伝えたい想いをその身に纏った未羅は言い放った。

 

俺は今日自分がなりたい正体に会いにきたんだけど、今日会ってたまるかって思ってる。まだまだこの先俺たちはアンタたちと一緒に自分のなりたい正体に会いに行きます!!!

 

未羅は常々発言しているように圧倒的な歌唱力を持つヴォーカリストではない。

だが、伝えるべき言葉に全ての体重を乗せる姿には丁寧な歌唱以上のものを感じさせる、そんな表現者だ。自分の弱さや愚かさと向き合うことをフィードバックするその手法は心身共に削られるものであるが、だからこそ孔雀座の楽曲は届く。

その心を削って辿り着いた場所に孔雀座の本質がある。

命を吹き込んだ「正体」は圧巻のフィナーレだった。

 

本質といえば、アンコールではおい!アンコールだぜ!!!ダハハハハ!!味方しかいねえじゃん!!何してもいいぜ!!!という発言や客席への乱入などと、積み上げてきた世界感を泡に帰す未羅の愛すべき悪癖が尻尾を出し始めた。が、少年のように素直な感情でリラックスしたステージは空気がとても良好で、畳みかけるヘヴィパートとロックンロール調のメロウネスが炸裂する「電脳サイコマン」、本日2度目のなる「催眠警報!!!!」と完全燃焼の盛り上がりを見せた。

5人がそれぞれにアイコンタクトを取り弾けるような笑顔でステージを謳歌する様子は初めて見るものでもあった。

化けの皮が剥がれたというべきか、憑き物が落ちたというべきか、自然体に還った孔雀座が振りまいた轟音のハピネスはアンタの背中を押すものであったし、それこそが正体ではなかっただろうか。

 

 

 

   ◆     ◆     ◆ 

 

 

 

幸せだった!愛してるぞ!

そう叫び彼らはステージを去った。

結成から半年。目標という名の枷があった故に焦りや苦悩がつき纏ったことと思う。

孔雀座は逆境でこそ限界を突破するバンドだ。

これからの道のりは自然と、再び苦悩に向き合うことが想定される。

彼ら曰く、目指すべき正体には辿り着くことは出来なかった。

だが、傷を負った羽根で飛べないのなら走ればいい。走れないのなら歩けばいい。

その正体に辿り着くまで、孔雀座の通る道は果てしなく続く。

 

 

 

Text:山内秀一

 

 

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<SET LIST>

 

1.九龍

2.ケセラセラ

3.DANCE IN THE DARK

4.929

5.シリアルキラー

6.夜に隠して

7.MAY DAY

8.催眠警報!!!!

9.極彩色染まる

10.正体

ENCORE

EN1.電脳サイコマン

EN2.催眠警報!!!!

 

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孔雀座 1st Single 「九龍」発売決定!!!!

 

 

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<孔雀座OFFICIAL HP

https://qjack-the.com/

<孔雀座OFFICIAL X

https://twitter.com/929the_official

HIROTO2023.12.22

ヤミテラが本日、7th SINGLE 「BLACK OUT」をリリースした。

同時に表題曲のMusic Videoも公開された。

来年2024年には対バン主催イベントツアー<ヤミテラ2024TOUR ヤミテラッシュHYPER>を開催、ツアーファイナルは4月2日(火)Zepp SHINJUKUにて開催される。

 

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<リリース>

 

 

 

 

★2023年12月21日(木)
7th SINGLE 「BLACK OUT」リリース!

【収録曲】
1.BLACK OUT
2.HARRY

※Apple Music Spotify LINEミュージックetc.にて配信

 

 

「BLACK OUT」MV FULL 
https://youtu.be/uAJvc-9O1fY

 

 

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<ライヴ>

 

 

 

■ヤミテラ2024TOUR ヤミテラッシュHYPER
新・神拳勝負

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・2024年1月27日(土)名古屋ell.SIZE
ヤミテラ/i.D.A

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・2024年2月9日(金)福岡INSA
ヤミテラ/タラれば/没/後日解禁バンド

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・2024年3月2日(土)札幌CrazyMonkey
ヤミテラ/エラー。

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・2024年3月12日(火)大阪RUIDO
ヤミテラ/Rides In ReVellion/ゼラ 

 

 


 

 

 

 

■ヤミテラ2024TOUR
ヤミテラッシュHYPER

2024年1月28日(日)名古屋ell.SIZE
2024年2月10日(土)福岡INSA
2024年2月13日(火)渋谷CLUB asia
2024年2月24日(土)心斎橋Clapper
2024年2月25日(日)名古屋ell.SIZE
2024年3月3日(日)札幌CrazyMonkey
2024年3月13日(水)大阪RUIDO ワンマン

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【TOUR FINAL】
2024年4月2日(火)Zepp SHINJUKU

OPEN 17:45/START 18:30

※当日券無料

 

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★ヤミテラ OFFICIAL SITE★

https://yamitera.net/

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https://twitter.com/yamitera_

HIROTO2023.12.20