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GRIMOIRE2022.04.03

現在、絶賛開催中のベル主催『サクラ大戦-REVENGE-2MAN LIVE』。

2020年に開催予定もコロナ禍の影響により中止を余儀無くされた企画が、パワーアップして遂に実現した。

 

それを記念して、ベルのVo.ハロが各バンドのボーカリストを招いてお互いのアーティスト性や人間性を深く掘り下げる対談企画が始動。

第弐夜のゲストは、GRIMOIRERyNK

常に物事を深く考察する、自称面倒くさい思考回路のボーカリスト対談の行方や如何に。

 

 *次回第参夜は4月9日(土)記事配信予定です!

 

 

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2MANについて」と「絶妙な距離感」と「ボーカル精神論」のお話。

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ハロ:GRIMOIREさんとはイベントなどで御一緒する機会が多いのですが、何故かずっと友達の友達のバンドというポジションのままだったんです。距離が縮まらないというよりも、お互いに無理に縮めようという気も無く、隣の隣に自然体で居るような、そんな距離感の存在でした。ファンの方々にはGRIMOIREさんもベルも好きだという方が結構いらして、前々から「2MANをして欲しい。」という声が届いていたんですね。それもあって、サクラ大戦の企画を考案した際に真っ先に浮かんだバンドがGRIMOIREさんでした。2年前のサクラ大戦は中止になってしまったものの、昨年GRIMOIREさん側からお誘い頂いて、ようやく初の2MANが実現したんです。ただ、コロナ禍という事もあって楽屋も離れていたし、今回はもっと2MANらしい距離感を作っていけたらと思っています。

 

RyNK:今、ハロさんが仰った友達の友達という関係性が本当に的確で。隣の隣の席みたいな、何とも言えない距離感なんです。ベルというバンドのイメージや楽曲の世界観などはライヴを拝見してインプットしていたものの、メンバーさんがどういう人となりなのかは全く想像がつかなくて。これはバンドマンあるあるですが、ちょっと心を閉ざしているというか。別に牽制しているわけではないけれど、色々な人と仲良くなる事が苦手。僕らもそうで、気になっていてもあまり近づけないし、怖いわけではない・・・と言いつつ、若干ビビッていた部分はあったかもしれません()。ハロさんに対しても、あまりズカズカと踏み込んではいけないなと感じていました。

 

ハロ:あ、本当ですか?

 

RyNK:「何、こいつ・・・。」みたいに思われてしまいそうで(苦笑)

 

ハロ:いやいやいや!()学校で喩えるなら気付いたら同じグループに居た。くらいの感じで、距離を縮める取っ掛かりが無かったんですよね。知り合ってから時間が経ち過ぎてしまった事もあると思う。最初の時点でもっと近付くきっかけがあれば、また違ったのかもしれないけれど。

 

RyNK:確かに。本当に不思議ですよね。

 

ハロ:大体の場合、最初にメンバーの誰かが仲良くなってバンド同士でも交流が始まるパターンが多いけれど、ボーカルというのは機材の話もできないし、なかなか難しい部分もあるので。

 

RyNK:ボーカリストって、一旦きっかけを掴めば凄く仲良くなれる傾向はあるんですよ。ただ、同時にどこかで怖がっていて一番心を開きづらいのも事実。

 

ハロ:ボーカリストの根底には理解されたいけど、されたくない。みたいな意識があるんですよね。だから、関係が親密になり過ぎる事に対して憶病になる節があると思っています。数年前によくドラム会とかギター会が開催されていましたけど、僕はああいうものが苦手だと感じるタイプでしたし。

 

RyNK:ボーカリストは大所帯になる事が無いですよね。

 

ハロ:大人数で話すような話題が無いんですよ。11人声質が違うから、愛用しているマイクの話をしたところで実りが無いですしね()。僕はボーカリスト同士の深い話をほとんどしてこなかったので、ファンの人達もきっとこれまであまり聞いた事が無いと思うんです。だからこそ、この対談は面白い企画にできるのではないかなと。ボーカリストは皆、どこかしら変な部分がある気がします。

 

RyNK:ちょっと曲がっているんですよね。人当たりは良い人が多いと思うけれど、どこかでバリアを張っているような。

 

ハロ:僕の場合は仲良くなればなるほど強くライバル視するようにもなって、相手を知れば知るほどカッコいいライヴを見せられた時に悔しさを覚えますね。今回のライヴはタイトルからして『サクラ大戦』ですが、やっぱり2MANも対バンも戦いだと思うんです。昨今のヴィジュアル系には皆で仲良くみたいな風潮があるじゃないですか。ファンの方達同士が仲良くするのは素敵な事ですけど、ボーカリストがMCなどで無理に仲の良さを強調した空気を作るのは違うと思っていて。仲が良いならば尚更、ライバル視し合う事が切磋琢磨に繋がるはずだから、今日はちょっとバチバチできたらなと()。お互いの考えから刺激を受ける事で、2MAN当日のモチベーションにも良い影響が出たら良いですね。

 

RyNK:なるほど。ハロさんが仰ったのは表面的ではなく内面の深い部分の話だと理解していますけど、その上で僕はどちらかと言うと仲良くやっていきたいタイプなんですね。自分自身が強い人間ではないので、バチバチする事が苦手というか。バンドを始めた当初は、当然そういう戦いというような気持ちでやっていたんです。でも、続けていく中でその競争と自分という人間は合っているのか?と考えるようになった。今現在のヴィジュアル系に当てはまるかどうかはわからないですし、バンドの音楽性にもよりますが、やっぱりお客さんを暴れさせてなんぼみたいな風潮があって、その関係が成立しているバンドのほうが見栄えが良いという事実もありますよね。そして、そういうバンドの中には対バン相手に対して攻撃的な言葉を吐いたりするバンドも居る。それもひとつのエンターテイメントとしてアリだとは思うけれど、自分にそれができるのかを考えたら、できないしやりたくもないなと。そういう意味での競争から離れていった結果、競争より共存を求めるようになったのではないかと思います。バンドマンから見たら、僕は超軟弱野郎なんですよ(苦笑)

 

ハロ:いや、それはRyNKくんのボーカリストとしてのスタンスだから正解です。僕も、対バン相手を貶すようなパフォーマンスは苦手ですね。ステージ上でのプロレスだとわかってはいても、その言葉を聞いたファンが気持ち良いか良くないかが重要だと思うから。

 

RyNK:そう思います。

 

ハロ:SNSが中心的なツールになって、一時期は僕自身にも発信し続けなくてはいけない。とか発信しないと忘れられるのではないか。といった強迫観念がありました。だけど、MCにしろSNSにしろ、ただ言葉数を発すれば良いわけではなくて、たったひとことだからこそ誰かに響く場合もある。それを理解した上で、僕はステージで言葉ではないもっと深いところで戦いたいし、その切磋琢磨の先に共存があるのかなとも思います。

 

RyNK:そうですね。こういう精神論は、本当に考え方次第で。僕は他のボーカリストの人達に対してよく焦燥感や劣等感を覚えるのですが、もしその人達と競争できる要素が自分にあるとするなら、彼らとは違う価値観を持ってやることなんですね。それが、僕にとっての対抗する術だった。「自分はそうではないし。」というのは、一種のアンチテーゼでもあり、逃げでもあるんですけど。さっきも言った通り、やっぱり少し曲がっているんだと思う。

 

ハロ:おそらく、バンドを始めた当初はお互いにもっと真っ直ぐだったと思うんですよ。

 

RyNK:そうです!

 

ハロ:バンドを続けていくと、どんどん歪んでいくものですよね。

 

RyNK:わかります、もう真っ直ぐには戻れないくらい歪んでいますよね()

 

ハロ:最初は、自分がイメージする良いボーカリストという漠然とした理想に近付こうと努力をする。だけど、段々とその理想には向き・不向きがある事を悟って、自分自身には向かないスタイルだと気付いた時に、どういう表現を目指したいのか見失う時期がくる。その時期を乗り越えると、「これが自分だ。」と認めていけるようになるんですよね。僕自身も、そう思えるようになったのはここ2年くらいじゃないかと感じます。

 

RyNK:僕もそうです。その見つけたものが正解なのか間違いなのかはわからないですけど。結局は、自分がどう感じるかでしかないから。

 

ハロ:自分が納得できない事をしても仕方が無いから、それが正解です。きっと、色んな人が行き着く答えだと思う。・・・最初から、なかなか深い部分の話ができている気がしますね。

 

RyNK:最近、自分はもう病気だなと思うんですよ(苦笑)。少しだけ時間が空いたから30分程度でも配信をしようと始めたツイキャスで、本当に軽い世間話をするはずが、いつの間にか人生とは。みたいな内容になっていたりして。

 

ハロ:ありますね()

 

RyNK:今飲んでいるコーヒーの話からでも、きっと人生とは。に繋げられます()

 

ハロ:それが、常に頭のどこかで人生について考えているからなのかどうか。というテーマですらも掘り下げていけますよね。そうなると、おそらくまた話が逸れて長くなります()

 

RyNK:ですね、話題を変えましょう()

 

 

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「ライヴ前のルーティン」と「1人行動」と「メンタル」のお話。

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ハロ:ライヴの日のルーティンはありますか?

 

RyNK:時期によって変化しますね。ライヴの前にカラオケに行って練習してからという時期もあれば、少しだけお酒を飲んでリラックスしてからという時期もありました。最近は、会場入りをしてから空いた時間でカフェに行く事が多いです。

 

ハロ:同じ事をやっていた時期があります。楽屋に大勢の人が居ると話さなくてはいけないような空気を感じて、それが凄く苦手で。だから、カフェに行っていたんです。

 

RyNK:わかります!僕の場合、これはバンドを組む前の高校時代からそうだった気がするけれど、地下に入るという感覚があまり得意ではなくて。ライヴハウスって、地下にある場合が多いじゃないですか?本当に申し訳ない話ですが、そういう理由もあって時間が空いたら楽屋の外に出る事が多いです。

 

ハロ:カフェ選びのこだわりはあります?

 

RyNK:そこは適当ですね。有名チェーン店の場合もあれば、事前に調べて個人経営の喫茶店を探すこともあるし。

 

ハロ:僕の場合は、必ず純喫茶を探すようにしていました。

 

RyNK:似合います!

 

ハロ:雑多な雰囲気のカフェだと楽屋に居るのとあまり変わらない感覚になってしまうので、BGMが心地いい場所に居たい。カフェに居る時間に何を考えていたか今はあまり覚えていないけれど、おそらくその日のライヴの事をイメージしながら過ごしていた気がします。

 

RyNK:僕のカフェ巡りは最近のマイブームなので、ライヴに関係無く普通の休日に行くことも好きになって。Instagramを始めたばかりの人みたいに、コーヒーの写真を撮ってみたりもします()。何をやってるんだろうって感じですけど、楽しいんですよね。

 

ハロ:わりと1人行動が好きですか?

 

RyNK:好きですね。1人で温泉旅行に行けるタイプです。

 

ハロ:僕も、1人で旅行するのが好きなんですよ。

 

RtNK:楽しいですよね!ここ2年くらいで初めて1人旅をして、その魅力に目覚めました。

 

ハロ:基本的に足の向くまま気の向くままに行動していたいし、誰かが一緒だとどうしても気を遣ってしまうから。

 

RyNK:どんなに仲が良い相手でも、どこか気を遣うところはありますよね。

 

ハロ:うん。1人行動が好きな気持ちは凄く共感できる。僕の場合、旅先の街で何者でもない自分で居られている瞬間に酔っているところもあると思いますが()

 

RyNK1人旅をしている自分に酔っているというのはありますね()。「自分探しの旅で・・・。」とか「黄昏に・・・。」とか、アーティスティックな理由を言おうと思えば言えますけど、結局は1人旅をしている自分自身を良いなと思っているという。

 

ハロ:旅で得たものが、その後の自分の表現に何かしら反映されていたら良いなと。僕も、ルーティンは時期で変わります。色々と試していく中でこれは良い!と感じた事をしばらく続けると、段々と慣れてしまうのか自分にとっては効果が薄れてくるんです。それでまた新しい何かを模索して・・・という事を繰り返しています。

 

RyNK:確かに、同じルーティンを何年も続けている人はあまり居ないイメージがあります。

 

ハロ:ボーカリストは、その日の体調なども全てライヴに表れるじゃないですか。例えば、今日は少し喉の調子が良くないかもしれない。とか肩が凝っているかもしれない。だったらわかりやすいけれど、何なのか理由がわからない調子の悪さを感じる日もあるんです。メンタルなのかと考えてみるものの、メンタルにしては身体が重かったり、息が上がるのが早かったりして。ライヴの日の朝は、起きるとまず今日は大丈夫かな?という不安から1日が始まる。

 

RyNK:身体が悪い時はメンタルが引っ張られて、メンタルが悪い時は身体が引っ張られる、そんな感覚がありますね。身体とメンタルは表裏一体だけど、自分自身はどちらかというとメンタルのほうが大きく影響していると感じます。酷い風邪をひいている日に良いライヴができる事もあるし、体調が悪くてもメンタルが強い状態の時は乗り越えられたりする。やっぱり、ボーカリストのメンタルは特にデリケートなのかなと思います。

 

ハロ:その話で言うと、僕はメンタルが落ち込んでいる時のほうが良いライヴができるんですよ。

 

RyNK:それは凄いです!

 

ハロ:あくまでも自分の感覚においての話ですが、悩みが無かったり、体調も気分も絶好調だなという時は、逆に良いライヴができなかったり。メンタルが下降している時のほうが、楽曲の世界観に入り込みやすい気がします。

 

RyNK:どういう世界観の楽曲を歌っていて、どういう事を伝えたくてステージに立っているかによるのかもしれません。これはどこのバンドでもあるかと思いますが、自分が微妙だったな。と感じるライヴが高く評価される事ってあるじゃないですか?

 

ハロ:ありますね!

 

RyNK:ずっとどう考えても良い出来では無かったのに、何を観て良いと言っているんだろう?と不思議でしょうがなかったんです。でも、もしかしたら今ハロさんが仰った自分の悲壮感みたいな要素が、表現のひとつとして受け手側に魅力的に映る事があるのかもしれないなと思いました。悩みが無くなる事は一生無いから向き合って生きていくしかないんだな、と最近よく感じています。

 

ハロ:個人的には、大きな悩みが解決した時期をどう乗り越えるかのほうが試練ですね。僕は、わりと自分を追い込んでいたいタイプで。ある時、こなすべきタスクが多ければ多いほどパフォーマンスが向上すると気付いたんです。それからはひたすら仕事を詰め込むようになって、未経験の事に対しても「俺がやる。」と言うようになった。単純に、何もしていない自分が不安なんですよね。

 

RyNK:その不安はよくわかります。僕も、昨年末頃にバンド以外の事も含めてとても多忙な時期があって。でも、本当に忙しかったけれど充実はしていたんですよね。年が明けて色々な事が一気にクリアになったら、時間に余裕はできたのに物凄い虚無感に襲われてしまった。僕自身は自分を追い込みたいという意識は無いけれど、やるべき事が多い状態のほうが自分の存在意義を見出せるんだなと実感しました。

 

ハロ:やっぱりボーカリストってダウナー傾向があるので、考える時間が増え過ぎるのも良くないんでしょうね。そういう時にポジティヴな方向に考えを拡げていける人が羨ましいなと思う。きっと、その人にはその人なりの悩みがあるんだろうけど。

 

RyNK:根っからのポジティヴ思考なボーカリストって、少ない気がしますね。多忙な時期は「これをやって、次へこれをやる!」という風に思考が働くから、普段よりは少し前向きになっているような気もしますけど。

 

ハロ:その分、反動もありますけどね。例えば、大きなワンマンツアーを終えた後などは虚無になりがちな気がします。おそらく、ファンの方達も同じなんですよ。ワンマンツアーのファイナルをひとつの区切りとしてバンドから離れる、なんて言う方も居るくらいで。それだけ濃密な時間で、エネルギーも使うし精神力も削る。僕らメンバーもファンの方達も一緒なんですよね。だからこそ、僕は自分が虚無にならないようにタスクを詰め込むんです。自分なりの解決策というか、予防線ですね。

 

RyNK:凄いです。でも、あの何もしないと不安になる感じって何なんですかね。自分でも、やり遂げた後くらい、ちょっと安らげよ!と思うんですけど(苦笑)。予定が詰まっている時は充実しているとはいえ、やっぱり身体は疲れるしストレスも溜まるんですよ。その状態から安堵したはずなのに、何故またメンタルで疲れなくてはならないんだろうって。本当に上手くできていないなと思います。

 

ハロ:結局、その安らぎを単独行動に求めるんですよ。

 

RyNK:あぁ、そういう事か!

 

ハロ:1人旅をしてみたり、自分の感情やバイオリズムを整える事を無意識に求めているんじゃないかな。コロナ禍で全てのライヴ予定が白紙になった時、かなり絶望したんですよね。しばらく虚無だったし、段々と自分が何者なのかもわからなくなって。これまで自分は音楽で勇気や元気を届けていたつもりだったのに、結局こういう有事の時には何もできないんだと思い知って、あの時期は本当に絶望でしかなかった。部屋を間接照明にしてお香を焚いて、Lo-Fi系の音楽を流しながらずっと現実逃避していましたね。

 

RyNK:お香以外、ほぼ同じ事をしていました(苦笑)。僕の場合は、気分が落ちている時以外も基本的にそういう過ごし方なんですけど。LEDテープライトをデスクの後ろやカーテンレールに貼ってちょっとホテルライクな雰囲気にして、Chillっぽい音楽を流して。Lo-Fiな音楽は流行っていますけど、本当に癒し効果があります。

 

ハロ:同じ過ごし方をしているボーカリストが意外と多そうで嬉しい。・・・ルーティンから始まって、また話が深いところまでいきました()

 

RyNK:本当にどこまでもいってしまうので、どこかで止めないと()

 

 

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「深掘りすると危険な歌詞」のお話。

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ハロ:ベルは最近ミニアルバムをリリースしたんですが、先日初めて歌詞解説配信というものをやってみたんです。僕はずっと、歌詞の解説はしたくないタイプで。基本的な解釈は聴き手に委ねたいし、自分が「こういう事だ。」と提示するとそれが100になってしまうじゃないですか。話した言葉が価値観の押し付けになるのが嫌なんです。

 

RyNK:全く同じ理由で、僕もやりたくないタイプです。

 

ハロ:だからこれまでは一切やってこなかったんですけど、今回の作品は特に言葉遊びが多かった事もあって、押し付けにならないように「実は、ここにはこういう言葉遊びがありました。」というような内容で配信してみたんです。それによって「なるほど!という事は、ここはこういう意味だったんだ!」と個々の考察に繋がってくれたら良いなと思って。その結果、何だかんだ言っても自分が歌詞に対して向けた気持ちや仕掛けを話す事自体は楽しかった。説明したくはないんだけど・・・。

 

RyNK:気付いて欲しいんですよね。

 

ハロ:そう、気付いて欲しい。僕がそれを口に出した瞬間に、僕自身の理想からはかけ離れてしまうというジレンマを抱えていて。今回の解説もファンの方達は喜んでくれましたけど、自分の中には未だにやって正解だったのかな?と思う気持ちもあります。新譜を出す度にインタビューで「この曲の歌詞については?」といった質問をされますが、限られた時間の中で他のメンバーが話す時間もあるわけで、歌詞についてだけ長く話すわけにはいかない。他のボーカリストは、インタビューでどのあたりまで話しているんだろうと思って。

 

RyNK:僕はインタビュー自体が本当に何年振りかというくらい、メディア系の仕事に関わってこなかったんです。なので、インタビューを受けていた当時の話になってしまいますけど、その頃はメンバーの誰が何を担当しているというような事はあまり表に発信していなかったんですね。しかも、当時の僕は基本的に話さないスタンスだったんですよ。インタビュアーの方に対して取材の場でお話はしていましたけど、会話として記事には載らないわけです。だから、自分自身や歌詞について深掘りして話すような事は無かったですね。「こういうモチーフで・・・。」と言った抽象的なイメージ+αくらいでした。

 

ハロ:あとはもう「各々で感じて受け止めて下さい。」と。

 

RyNK:そうですね。でも、なかなか真意には気付いてもらえないです(苦笑)。まぁ、自分が隠し過ぎているところもあるでしょうけど。「これはわからないよ!」と言われてしまえば、確かにそうだよなと・・・天邪鬼なので。

 

ハロ:歌詞を書く人間には、天邪鬼が多いと思いますよ。

 

RyNK:自分自身の事を、本当に面倒くさい人間だなと思っています()

 

ハロ:だから、ボーカル会が無いんでしょうね。それぞれの精神論の話になってしまうから、楽しいお酒の場にならない気がする(苦笑)

 

RyNK:僕も、アルコールが入った状態で音楽の深い話はしないほうが良いと思っています。今みたいにフラットな状態でないと、変にヒートアップしてしまいそうで。「時々は喧嘩もしたほうが良いよ。」という考えの方も居ますけど、僕は飲みながらヒートアップは良くないと思う。

 

ハロ:建設的な話し合いができるなら良いけれど、熱くなればなるほどそうはできないものだから。

 

RyNK:必要以上に感情的になってしまいますからね。

 

ハロ:また逸れてしまったので、作詞の話に戻ります()。僕は新曲のデモをもらったら、何をしていても頭の中に流れてくるくらい自分の中に楽曲を落とし込むんですね。そうするとそのメロディーに言葉が勝手にスッとハマり込んでくる瞬間があるので、そこから広げていくことが多い。どういう歌詞の書き方をされていますか?

 

RyNK:僕の場合は、自分がメロディーや曲の土台を作った時点からスタートします。そこから、メンバーに投げていく。

 

ハロ:その土台は歌も入っている状態?

 

RyNK:入っている時もありますが、僕の場合は意味よりも響きを先行するところがあって。仮歌で入れた全く意味のわからない言葉、めちゃくちゃな英語などを活かしてみたり。メロディーと言葉のバランスがハマらないと採用しません。こういう意味の言葉を乗せたい。と思っても、自分の中でその部分のメロディーにマッチしていなければ却下。僕自身がリスナー側の立場で知らない曲を聴く時、歌詞の内容がそこまで入って来ないタイプというか、このメロディーのこのフレーズが印象的だった。という聴き方をするんです。例えば、「愛してる。」という言葉もメロディーによって聴こえ方が全く変わりますよね。どんなに単純でパッとしない印象の言葉でも、このメロディーでこのタイミングで聴いたら凄くカッコよく聴こえる!という場合もあるし。そういう部分を重視しているので、言葉の響きがメロディーに合うかを第一に考えてから、意味を後付けで考えていったりもします。勿論、先にこういう内容で書きたいな。と思って書き始める事もありますけどね。それこそ、さっき話していた歌詞をどう捉えるかは、その人次第。という事が自分自身にも当てはまるというか。最初からあまり決め付けずに、このメロディーのこの言葉を、どう捉えて広げても良いんだな。と書き進めていく感じです。

 

ハロ:言葉を音的に捉えている?

 

RyNK:どちらかと言うとそうかもしれません。ただ、ハロさんと同じで言葉遊びが好きなので、言葉の響きと意味の両面からどうにか落とし込んでいくんです。だから、歌詞を書くのは凄く疲れるんですよね。完成した時は上手くハマった、気持ちいい!と思うけれど、書いている最中は辛い。

 

ハロ:生みの苦しみってありますよね。時々、「11時間もあれば書ける。」という方も居るじゃないですか。

 

RyNK:居ますね!僕には理解できないんですけど。

 

ハロ:僕の場合、そう聞くともう歌詞を読む気を失くしてしまうんですよ(苦笑)。読んだ結果本当に凄い歌詞だな!と思う事もあるとは思うけれど、生みの苦しみという部分で共感できないと知った時点で自分の中にひとつバリアが張られてしまう。

 

RyNK:それって、さっきの歌詞を解説しないほうが良い。という話に繋がると思うんですよね。1時間で書いた事実を知る事が無ければ、素敵な言葉として受け取れたかもしれないわけで。だから、今このテーマで話していて凄く楽しいですけど、あまり深掘りし過ぎるのはどうなのかなという気持ちもあります。

 

ハロ:わかります。歌詞についてはこれ以上深堀りすると危険そうなので・・・。通常のメンタルで聴いた時には何も感じなかったのに、ある一定のメンタルで聴いたら物凄く響く事がある。そこが、歌詞の面白さなんじゃないかなと思います。

 

RyNK:同意です!

 

 

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「ボーカリストという面倒くさい生きもの」のお話。

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ハロ:こうして話してみると、ボーカリストって面倒くさい生きものだなと改めて思いますね(苦笑)

 

RyNK:本当に(苦笑)。もう少し、物事をストレートに捉えられたら良かったなと思います。何かに対して感動を覚えても、凄く良い!と真正面から捉えられずに、本当に良いか?自分は本当にこれに感動しているのか?と自問自答してしまうようなところがあるので。

 

ハロ:それこそ「全米が泣いた!」なんてキャッチコピーを掲げて大ヒットしている映画って、僕は観たくなくなってしまう。作詞の話と同じで、泣けるという前情報を知ったばかりに泣かなくてはいけない!という強迫観念のようなものを抱えてしまって物語に没入できなくなるんです。勿論、実際に観たら泣けるのかもしれないけれど・・・でも、もっとフラットな状態で、何気なく立ち寄った映画館で観る知らない映画で感動したいなと思う。泣くというのは、心から感動したり悲しかったりする感情の表れじゃないですか。それを、何故「全米が泣いた!」なんてポップなキャッチにして使うんだろう。

 

RyNK:確かに。あのフレーズを考えたコピーライターって、色んな意味で凄い。

 

ハロ:(全米が泣くとか)まず、嘘だろ。って思うけど()

 

RyNK:うん、嘘ですよね()

 

ハロ:あのフレーズには、アメリカという国に対する日本特有のコンプレックスも感じるし。「アメリカ人が泣いたんだから、日本人も泣くでしょう?」という社会的風潮と同調圧力も込みの言葉だと思うんですよね。

 

RyNK:そこまでは考えた事が無かった・・・!

 

 

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「どうしても受け付けない言葉」のお話。

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ハロ:おそらくこれは僕が歳を重ねてしまったという事でしょうけど、流行り言葉みたいなものを受け付けられなくなってきていて。「〇〇しか勝たん。」とか聞くと、鳥肌が立つんです(苦笑)

 

RyNK:いや、それは年齢の問題ではないです。流行っているからとか関係なく、僕もその言葉に対して嫌悪感があります。今でこそあまり気にしなくなってはきたものの、流行り始めた頃は本当に無理でしたね。何がそこまで嫌なのかわからないんですけど・・・言葉の意味は「〇〇が最高!好き!」みたいなポジティヴなものですし、流行り言葉を全て受け付けないわけではないと思うんですよ。ただ、あの言い回しは異常に鼻についてしまって。反面、そういう事を気にしない柔軟さが欲しいと感じる事もあります。そういう言葉を遣う事によってファンの方達が少しでも好きなメンバーの発信を「楽しい!」と思ってくれるのであれば、それができたほうが柔軟なんだろうなと思ったりもしました。

 

ハロ:RyNKくんの言う通り言葉自体はポジティヴですし、ファンの方達は自分の好きなメンバーを褒める意味で遣ってくれている事はわかりますから、言われたからどうというわけではないんです。ただ、自分を含めアーティスト側の人間がその言葉を発信する事に対しては嫌悪感が強いですね。バンドを始めた当初は、時代に迎合しようと一生懸命だった時期もありました。僕、去年で個人のInstagramをやめたんですよ。正直、Instagramを始めた理由も迎合だったし、Twitterと上手に棲み分ける事も難しかった。写真と文字を添えて投稿する事は、Twitterでも可能ですからね。あの時期は間口を広げようと思って色々とやっていたけれど、間口が多い事が必ずしも良いのかどうか深く考えるようになりました。

 

RyNK:確かに、そこは難しいですね。

 

ハロ:段々と“Instagramにはこの写真を、Twitterにはこういう文章を投稿しよう。なんて考えている時間を微妙だなと感じるようになってきて。さっき話した自己定義に繋がりますけど、僕がInstagramに写真を投稿した事を喜んでくれている人が居るというのは想像でしかないし、その虚像の為に頑張っている自分が虚しく思えてきたんです。それなら、僕はTwitterだけに絞ろうと。幸せという自己定義を他者や世の中の価値観に委ねてしまう事が凄く怖い。歌詞を書く時も、10年後には消えているであろう言葉はなるべく遣いたくなくて悩むんですよね。ベルの場合はメインのコンセプトが歌謡なので、演出としてあえて携帯なんて言葉を遣う事はあるんですけど。

 

RyNK:「勝たん。」は絶対に遣えないですね()

 

ハロ:遣えない()。でも、誰にも遣われなくなって死語になったら逆に受け入れられたりするのかもしれない。

 

RyNK:確かに。やっぱり、表現者は「マイノリティこそ正義。」みたいなところがあるから。ただ、さっきも言ったけれど、そういう自分を少し崩したいという想いも抱いています。勿論、表現者としての大切なものは持ち続けたいですが、こだわりが強過ぎる事で吸収できなくなってしまうのは怖い。矛盾してしまうけれど、もう少しフラットに物事を受け入れられる自分でありたいという願望も最近はあったりします。昔は無かったんですけどね。

 

ハロ:それは、他人から押し付けられる形ではなく、自分自身で新しい価値観を見出そうとしているからでしょうね。自分というフィルターを通すか、他人というフィルターを通すか、それによって受け取り方は全く変わってきますし。同じものであっても、誰かに押し付けられたら拒絶したくなるけれど、自分自身で噛み砕けたなら全く抵抗を感じなかったりするんじゃないかな。

 

RyNK:アイドルの楽曲を、大衆音楽として捉えて跳ね除けるのか、クリエイティヴとして捉えて受け入れるのか。そんな話と少し近いかもしれません。

 

ハロ:バンドであっても、ヴィジュアル系というのはその言葉自体が概念ですよね。音楽性を表す言葉ではないし、その概念の中に本当に多種多様なバンドが存在している。そして、自分達とは全く違うベクトルで活動しているバンドさんも居て、そういう方達とイベントで共演する事もある。その時に、どこかで受け入れられないな。と感じてしまっている自分が居て、それは良くないなとも思うんです。だけど、そこに関しては自分を変えようとも思わないので・・・難しいですよね。

 

RyNK:本当に。自分の中の矛盾に葛藤する事は多々あります。

 

ハロ:一生、矛盾し続けるかもしれないです。

 

 

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「幸福観」のお話。

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ハロ:僕は人の価値観に凄く興味があるので、今回の対談ではそれぞれに違った価値観について訊いていきたいなと思っていて。RyNKくんとは幸福観について論じようかと思います。

 

RyNK:難しいですね。

 

ハロ:RyNKくんにとっての、人としての幸福とは何でしょう?

 

RyNK:ん~・・・きっと、あまり良い答えではないと思うんですけど、勘違いし続けられることでしょうか。どう説明すべきか、本当に夢の無い話になりますが(苦笑)。人と人との関係って、究極にドライに言うと、どこまでも虚像でしかないと思うんです。恋愛で喩えたら、Aさんが「好きだよ。」と言ってBさんが「僕もだよ。」と答えたとしても、そこに確証というか流行りの言葉で言うならエビデンス的なものは無いじゃないですか?証拠が無いし、誰にも証明できるものではないから、それを究極にドライに言うと勘違いだと僕は考えているんです。さっき出た歌詞の話でも、「この歌詞は1時間で書きました。」という言葉さえ聞かなければ、この歌詞を書くのに何日も、下手したら何ヶ月もかかったのかな。と勘違いできたかもしれないし、そのほうが感動できたかもしれないわけですよね。それは、色々な事にあてはまるんです。勘違いで自分に物凄い自信を持っている人だって、幸福な人だな。と思うし。自分だってこの人は僕の言葉で感動してくれている。と勘違いできたほうが幸せ、みたいな()

 

ハロ:その考え方は、バンドを始める前からですか?

 

RyNK:いや、これはバンドを続けていく中で持った思考ですね。僕は、発信と受信って勘違いの連続だと思うんです。こんな言い方をすると凄くドライで嫌な感じに受け止められるかもしれないけれど、ある種の幸福なんじゃないかな。真実を話す事が幸福とは限らない。

 

ハロ:認識の差異が実は幸せなんじゃないか、ということ。

 

RyNK:はい。勘違いできている瞬間が一番幸福なんじゃないかと、わりと真剣に思っています。変な話、恋愛していても「あの子、俺の事が好きなんだろうな!」と思っていたほうが絶対に幸せじゃないですか()。告白して振られたら、それはもう不幸になってしまう。よく「付き合う前が一番楽しい。」なんて言いません?両想いでも、そうではなくても、その瞬間は勘違いというか。

 

ハロ:とても面白いなぁ。僕にとっての幸せを考えると・・・まず、ある時から僕は他者に期待する事をやめたんですね。自分という芯が無いと、誰かの言葉に傷ついたり、流行にフラついたりして、自分が何をしたいのかすらわからない状況になる。おそらく、その時の僕は他者に期待したり、今の話に出たような他者とのすれ違いを楽しむ余裕も無くなっていたんです。だから、僕は自分が正しいと感じる事をして幸せを見出そうと決めた。僕の中での幸福観は、自分という人間”“自己定義だと。そういう考えになってから、生きる事がとても楽になったんです。幸福観は人それぞれ持っているもので、それをきちんと噛み砕けている人が上手に生きられている人なんじゃないかなと思う。

 

RyNK:そう思います。主観しか無いわけですからね。客観視を必要とされる場面もあるけれど、客観も少し遠回しにした主観だと思う。

 

ハロ:本当にそうですよね。客観と言っても、結局は他人の気持ちを主観で想像しているわけですから。今日は色々と深い部分の話ができて楽しかったです。49日は良い1日にしましょう。結局のところ・・・

 

 

ハロ&RyNK:『サクラ大戦』しか勝たん!!!!!(大爆笑)

 

 

 

取材・文:富岡 美都(Squeeze Spirits/One’s COSMOS)

 

 

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初めまして限定2マン企画
「サクラ大戦-REVENGE-」
  開 催 !

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「第壱夜」
4月2日(土) vs heidi. ★終了★
チケット発売:2月19日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565040001-P0030001

 

★次回★

「第弐夜」
4月9日(土) vs GRIMOIRE
チケット発売:2月20日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565050001-P0030001

 

 

「第参夜」
4月16日(土) vs Leetspeak monsters
チケット発売:3月5日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565060001-P0030001

「第肆夜」
4月22日(金) vs ヤミテラ
チケット発売:3月6日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565070001-P0030001

「第伍夜」
5月1日(日) vs Ashmaze.
チケット発売:3月12日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565090001-P0030001

 

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★ベル OFFICIAL SITE★

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DEZERT2022.04.01

329日にSHIBUYA CLUB QUATTROにてDEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアーの初日公演を行ったDEZERTが、まだ興奮さめやらぬ中、異例の早さで本公演のドキュメント映像を公開した。

 

DEZERT “再教育ツアー” DOCUMENT MOVIE #1 SHIBUYA CLUB QUATTRO」と銘打たれた本映像の編集はDr SORAが担当。

バンドメンバーだからこその視点で制作された、新しい形のドキュメント映像だ。

ここで詳しい内容を明かすことは控えるが、楽屋での少し砕けた表情の彼等、リハーサルでの真剣な眼差しなど、さまざまなDEZERTを垣間見ることができる作品となっている。まだ見ていない人は、ぜひ心してチェックして欲しい。

 

また、本映像には続きがあり、ツアーが進んでいくとともに、各公演のドキュメント映像が毎週公開されていく。

まるでDEZERTとともにツアーを廻っている気分になれることはもちろん、このツアーに込めた彼等の強い想いをより近くで感じることができるのも間違いないだろう。

 

始まったばかりのツアー。会場にて彼等が奏でる音楽、そしてその後に公開されるドキュメント映像、二つの角度から彼等の想いと勢いを感じ取ってほしい。

チケットはすでに仙台・札幌両日がソールドアウトしており、残りわずかな公演もあるため、逃さずチェックしたい。

 

また、618日に開催されるDEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 “The Walkers”

オフィシャルHP先行の受付も開始されている。

 

ツアー・そして初の野音と、加速を続けていくDEZERTの様子を、ぜひ様々な形で目撃してほしい。

 

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<「DEZERT “再教育ツアー” DOCUMENT MOVIE #1 SHIBUYA CLUB QUATTRO」>

https://youtu.be/9NhdGKQR5_0

 

 

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≪ライヴ情報≫

 

DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー

202242日(土)仙台Rensa  ※SOLD OUT  OPEN 17:00 / START 17:30

202249日(土)福岡DRUM LOGOS  ※スタンディング  OPEN 16:45 / START 17:30 

2022410日(日)広島LIVE VANQUISH  ※スタンディング  OPEN 17:00 / START 17:30 

2022423日(土)札幌cube garden  ※SOLD OUT  OPEN 17:00 / START 17:30 

2022424日(日)札幌cube garden  ※座席あり  OPEN 16:30 / START 17:00 

2022430日(土)なんばHatch  ※座席あり OPEN 16:30 / START 17:30 

202251日(日)名古屋DIAMOND HALL ※スタンディング OPEN 16:30 / START 17:30 

【チケット料金】前売¥6,000(税込・全自由)

※入場時ドリンク代別途必要、入場整理番号付き、営利目的の転売禁止、未就学児童入場不可

 

【チケット発売中】 

イープラス https://eplus.jp/dezert/2022/  ※全公演受付URL共通

ローソンチケット https://l-tike.com/search/?keyword=DEZERT ※49日(土)福岡DRUM LOGOSのみ。

チケットぴあ https://t.pia.jp/pia/search_all.do?kw=DEZERT  ※49日(土)福岡DRUM LOGOSの。

 

DEZERT LIVE TOUR 2022 “再教育ツアー特設サイト https://www.dezert.jp/tour2022/

 

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DEZERT SPECIAL LIVE 2022 in 日比谷野外大音楽堂 “The Walkers”

2022618日(土)日比谷野外大音楽堂

OPEN 16:30 / START 17:30

(問) DISK GARAGE 050-5533-0888

 

※入場者全員に新曲「The WalkerCD無料配布

 

【チケット料金】前売¥6,000(税込)当日¥7,000(税込) 全席指定

【オフィシャルHP先行】イープラス抽選受付 https://eplus.jp/dezert22-hp/ 

受付期間:329日(火)22:00410日(日)21:00 

入金期間:414日(木)13:00418日(月)21:00

※お1人様2枚まで

※スマチケ・紙チケット併用

【一般発売】2022522日(日)

 

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≪リリース情報≫

 

NEW SINGLE『再教育』 発売中

<初回限定盤>(CD+DVDDCCL-242243   3,500円(税込)※収録内容詳細 https://bit.ly/3iTsf2h  

<通常盤>(CDDCCL-244   1,500円(税込) ※収録内容詳細https://bit.ly/3LnZLKi

 

【サブスクリプション・ダウンロード】 https://dezert.lnk.to/JTjvO9 

CD購入】  https://dezert.lnk.to/1xPjjY 

 

【収録曲(初回限定盤/通常盤共通)】

 1. 再教育 

 2. インビジブルビリーヴァー

 3. ミスターショットガンガール

 

【購入者対象イベント詳細】 https://www.dezert.jp/news/20220204-event/ 

【店舗別購入者特典】 https://www.dezert.jp/news/20220210-release/ 

 

「インビジブルビリーヴァー」 リリックビデオhttps://youtu.be/dwCK1va2ZyQ 

「再教育」MV https://youtu.be/d8vmkYykmaY 

 

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DEZERT オフィシャルサイトhttp://www.dezert.jp 

DEZERT YouTube URL https://www.youtube.com/dezert_official 

DEZERT 公式Twitter  https://twitter.com/DEZERT_OFFICIAL   

DEZERT 公式 Instagram  https://www.instagram.com/dezert_official/?hl=ja   

千秋 YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCbWWFZ7Px-9sWIyInENfc6g   

SORA YouTubeチャンネル  https://www.youtube.com/channel/UC4DXfy7kAvGfRuA_A4-VATQ   

SORA VoicySORAの元気になるハナシ」 https://voicy.jp/channel/1890   

heidi.2022.03.30

202242日からスタートする、ベル主催『サクラ大戦-REVENGE-2MAN LIVE』。

2020年に開催予定もコロナ禍の影響により中止を余儀無くされた企画が、パワーアップして遂に実現する。

 

それを記念して、ベルのVo.ハロが各バンドのボーカリストを招いてお互いのアーティスト性や人間性を深く掘り下げる対談企画が始動。

第壱夜のゲストは、heidi.の義彦。

圧倒的な歌唱力でシーンを牽引し続ける実力派ボーカリストが語る、歌・音楽・人間との向き合い方とはーーー。

 

 *次回第弐夜は4月2日(土)記事配信予定です!

 

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2MANについて」と「お互いのバンドの印象」のお話。

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ハロ:これまでも何度かイベントで御一緒させて頂く機会がありましたが、主催などにお誘いするにはなかなか勇気が必要で。

 

義彦:heidi.に対して怖いイメージがありました?

 

ハロ:そんな事は無いです!ただ、メンバーのどなたかが積極的に周囲とコミュニケーションを取られている感じでもなかったし、何となく断られるんじゃないかなぁと思ってしまって(苦笑)。このサクラ大戦は2年前に初めましての2マンである事を前提に企画したので、それにかこつけてお誘いしてみました。残念ながら、その時はコロナ禍の影響で中止になってしまいましたが、今年「リベンジ開催をしたい。」というお話をしたら二つ返事でOKを頂けて嬉しかったです。

 

義彦:実際、うちのバンドは人見知りですね。楽屋でも4人で集まって端に居るから、交友関係が広がらないんですよ。その空気が伝わって誘いづらかったなら申し訳なかったです(苦笑)。今のheidi.は初期の頃の所謂歌謡バンドとは少しイメージが変化していますけど、ベルも歌謡テイストの楽曲を軸にしながら色々と新しい事にも挑戦していて、その姿勢が凄くカッコいいなと思っていました。だから、今回のリベンジ公演へのお誘いもメンバー全員即決で「やりましょう!」と決まりましたし、声を掛けてもらえて嬉しかったですね。

 

ハロ:そう言って頂けて嬉しいです。僕らの土台には歌謡があって、heidi.さんはヴィジュアル史においての歌謡バンドの系譜にベルが結成する前からずっといらしたバンドさんなので、バンド始動時にも「いつか対バンしたいね。」という話をしていたんです。ようやく2MANが実現するので、これをきっかけにいずれは東名阪ツアーなど御一緒できるくらい距離を縮められたらいいなと思っていたりします。

 

義彦:良いですね!本当に人見知りのバンドなので、これを機にもっと仲良くなりましょう。

 

 

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「スイッチが入る瞬間」と「ボーカリスト特有の悩み」と「セットリスト」のお話。

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ハロ:今日は、義彦さんにボーカリストとして伺いたい事が色々ありまして。まず、ライヴに向かうにあたって自分の中でスイッチが入る瞬間はいつですか?

 

義彦:俺はステージに上がるまではノースイッチで、ステージに上がって第一声を発した時にスイッチが入って、そこでその日の自分のモードを判断します。俺の歌には何種類かのモードがあって、第一声を歌うと自然とどれかに分かれるんですよ。

 

ハロ:ステージに出るまでわからないという事ですか?

 

義彦:そう。勿論、リハはしていますよ。でも、リハで調子が良いと本番が良くないんですよね。リハでスタッフさんに「今日、調子が良いね!」なんて言われたら、自分的にはマイナスなんです。そのリハのイメージを持ったままの状態で本番を迎えたくないから、ノースイッチにしてリハは無かった。という気持ちでステージに上がるようにしています。

 

ハロ:3種類のモードというのは?

 

義彦:簡単に言えば、『①歌に徹する・②喉の調子がいまひとつだからステージングとのバランスを考える・③歌が歌を超えられるような日』の3つ。

 

ハロ:別のボーカリストさんとも話したんですが、自分としてはあまり良くなかったと感じるライヴの日に限って、関係者の方などに「良かった!」と言われる事があるじゃないですか?逆に、自分としては世界観に入り込めて凄く良いライヴができた!と思う時は、観ていた人には意外と響かない事もある。それを自分の中でどう噛み砕いたら良いのかわからないんです。

 

義彦:確かに、自分が良いと感じる日に限って良い反応が来なかったりしますよね。俺はもう気にしていないです。自分の感覚で良かったんだから、ファンもきっと良かったはずだ。と思わないと、次に進めないから。自分的に良くなかったと感じるライヴだった時は、必ず動画を観るようにしているくらいです。周りの良い・悪いの意見には、あまり左右されたくない。

 

ハロ:そうですよね。僕も、リハが良いと本番が良くない事が多くて。リハで今日は身体も軽いし、調子が良い!と思ったのに、本番になったら謎に力みが生じるのかわからないですけど・・・。

 

義彦:うん、あれは力みだと思います。俺はもう、(声が)出なかったら出ないで力まないようにしています。

 

ハロ:力まない事ってできますか?本番の第一声で今日はちょっと声が出づらいな。と気付くと、その曲のトップキーがくる直前には無意識に力が入ってしまう。

 

義彦:声は張ったほうが出なくなるものだから、張らないように意識すると良いかも。一番聴かせたい部分だけは張って、ちゃんと届ける。それ以外の部分は、俺は意外と息を抜きながら歌っていたりするので疲れにくいんですよ。

 

ハロ:もしかしたら、息を抜く感覚が違うのかもしれないです。義彦さんの歌は常にはっきり聴こえていたので、少し意外でした。マイクにこだわりはありますか?

 

義彦:特に無いです。俺は本当に感性のみで歌っていて、全く知識が無いんです(苦笑)

 

ハロ:凄い、完全に天才型ですね。

 

義彦:それを言ったら、ホタルの慎一郎さんは本当に天才肌ですよ。俺も昔は慎一郎さんに憧れて、あの全力さを目指していた時期もあったんです。でも、段々とこれでは自分はもたないな。と気付いて、自分に合った伝え方や表現を模索した結果、今のスタイルへと変化していきました。とはいえ、結局は感性の問題で知識面はよくわからないままなんです。だから、ライヴ中にちょっとキーを上げてみよう。とかフェイクを入れてみよう。なんてやった結果、全く合わなくて失敗する事もありますよ()。自分の中では、そうやって何かを試してみようと思うのは良いライヴができている日じゃないかなと思いますけど。

 

ハロ:余裕がある時ですよね。ライヴでは喉に負担を掛けない為には、これ以上疲れてはいけない。というラインがありますが、毎回守れますか?

 

義彦:毎回は守れないです。

 

ハロ:時々今日は(ラインを)超えなかったな。という日もあって、それはそれでライヴをした気がしないというか。

 

義彦:達成感の問題ですよね。歌が荒かった。と感じる日に、周囲からは「良かった!」と言われたりするんですよ。自分としては体力的にしんどかったし、歌という観点で言えば良くなかったと思う。だけど、それを「良い。」と言われる理由も何となくわかる。

 

ハロ:そのエモーショナルな部分は、ロックバンドに求められているところなんだろうなと。

 

義彦:そう思います。両立はできないものだから、そこに関しては諦めました()

 

ハロ:僕は、まだ諦めきれなくて(苦笑)。だから、この曲はひたすら感情的に歌おう。とか曲ごとに変えるようにしています。

 

義彦:セットリストはハロくんが決めています?

 

ハロ:はい、僕が作ります。

 

義彦:ボーカルが作ったほうが良いですよね。俺もここ23年でやっとセットリストを組むようになって、物語を描きやすくなった。

 

ハロ:僕もまだ2年くらいですが、本当にやりやすいですよね。セットリストって、1本のストーリーだから。

 

義彦:そう、組んでいて楽しい。heidi.は楽曲の振り幅が広いので、ポップな曲とダークな曲を交互に組まれるとテンションの持って行き方が難しくて。自分でセットリストを組むようになってからはやりやすいし、観に来てくれている人達にもきちんとした物語を見せられているんじゃないかと思います。

 

ハロ:僕の場合、たまに明るい曲の次にあえて暗い曲をやって叩き落としたくなる事があって()。でもいきなりだと自分の情緒が追い付かないので、「曲間の繋ぎとして、暗い雰囲気のベースソロを弾いてくれない?」と頼んで、その間に気持ちを作ります。そうしたら、セットリストがまた新しい広がりを見せてくれたりもして。

 

義彦:良いですね!ファンの人達も「これは何だ!?」とワクワク感があるだろうし。heidi.でもやってみようかな。

 

ハロ:ぜひ!スイッチの話に戻ると、僕はメイクをしたらスイッチが入るタイプで。

 

義彦:ヴィジュアル系は、メイクをして衣装を着たらスイッチが入る人が多いですよね。

 

ハロ:はい。なんですけど、本番直前にあまりワーッと話したりはしたくなくて。

 

義彦:同じです。俺はSEが鳴ってステージに出て発する声が第一声でありたいから、ライヴ前の円陣も苦手です。円陣ではいつも拳だけ合わせて、掛け声はナオがしています。

 

ハロ:ベルの円陣は、僕が「今日はこういうライヴだから。行くぞ!」みたいな感じで言うんです。でも、あの掛け声は歌う時に使う声とは違うし、絶対に喉に良い声ではないから、できればやらないほうが良いのかなとも思う。

 

義彦:どちらかと言うと、煽る時の発声ですからね。

 

ハロ:ライヴ中のシャウトは負担を最小限にする方法があるけれど、円陣の掛け声は喉を使ってしまいますよね。

 

義彦:きちんと話してまだ間もないけれど、ハロくんは凄く気遣い屋なイメージがあるので。「絶対に良いライヴにしようぜ!」とメンバーの士気を高めようとして頑張ってしまって、それによってテンションが上がる部分は確実にあるだろうし良い事なんですけど、喉には良くない・・・と、俺は思います(苦笑)

 

ハロ:僕もそう思います(苦笑)

 

 

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「ライヴ前のルーティン」と「ライヴ中の事件」のお話。

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ハロ:ライヴ前のルーティン的なものはありますか?

 

義彦:リップロール以外は、屈伸くらいですね。腰が弱くて、年に23回はギックリ腰をやるんですよ。この前、ワンマン本番中の残り5曲くらいのところでギックリ腰になりました(苦笑)

 

ハロ:えっ、それどう対処されたんですか!?

 

義彦:ダサいですけど、ライヴを止めて「ギックリ腰をやりました。とりあえず続けてみます。」と伝えて、座ったら立てなくなるからそのままの体勢で何とか歌い切りましたね。俺の一番の悩みは腰です。

 

ハロ:僕は肩と首の凝りが酷過ぎて、ライヴの振りをやってる最中に頸椎を損傷したことがあります(苦笑)。今は大丈夫ですけど、ギックリ腰の首バージョンみたいな感じでした。

 

義彦:頚椎は怖い。首が硬くなるのは良くないですよね。マッサージとかで改善されるものでもなく?

 

ハロ:通っていた時期もあったけれど、マッサージで揉み返しがきてしまうと、筋肉が膨張した状態になって声が出しづらくなってしまうから難しいんですよね。

 

義彦:さっき話していた力んでしまう理由って、それじゃないですかね?

 

ハロ:それもあるかもしれないです。なるべくほぐせるように、ツアー中は朝風呂に入るようにしています。夜にも入って、朝もお湯にだけは浸かるとか。

 

義彦:朝は眠れるだけ眠っていたい人だから、俺は夜です()

 

ハロ:眠れば眠るほど、喉は楽になりますか?

 

義彦:俺の場合はそうですね。喉の調子が悪かったら、まず寝よう!と思います。

 

ハロ:僕は眠り過ぎても眠らなさ過ぎてもダメなんです。もし10時間とか眠ったら喉が半日くらい起きないから、67時間がベストかなと思う。

 

義彦:ライヴ前は、それくらいの睡眠時間に合わせて眠るんですか?

 

ハロ:合わせるんですけど、大体眠れないんですよね・・・。

 

義彦:不眠症?

 

ハロ:普段は大丈夫なのに、ライヴ前だけ異様に眠れないんです。

 

義彦:気持ちが高揚して興奮しているんでしょうね。

 

ハロ:そう思います。よく「身体を疲れさせれば眠れる。」とか言うけれど、翌日に疲労感が残るような疲れ方はできないし・・・。

 

義彦:やっぱり、ハロくんは頑張り屋さんなんだろうなぁ。

 

ハロ:いや、そんなことはないんですよ!でも、皆さんどうしているのかなと思って。何も考えずに眠れます?

 

義彦:ライヴ前は何も無く眠れますけど、ライヴ後は興奮してしまって眠れないです。ハロくんは?

 

ハロ:ライヴ前は色々と考え過ぎて眠れなくて、結局睡眠不足でライヴをするから、終わった後は解放感と睡眠不足によって眠れるんです()

 

義彦:本当に真逆ですね()。俺は、風呂の中で今日のライヴのあそこが気持ち良かったな~!とか考えるのが最高です。

 

ハロ:それとってもわかります!僕も湯船の中で必ず思い返しますね。没入感が強くてドーパミンがいつもより出ていたなと感じられるライヴの瞬間って、いわゆるライヴ曲と歌モノのどちらが多いですかね?

 

義彦:歌モノのバラードですね。それ以外は憑依しないというか、ちゃんと歌おう。という意識のほうが強いかもしれない。バラードは歌の感覚もあるし、いろんな癖をつけて遊んだりもできるので、一番入り込めます。バラードに関しては、音源からどんどん遠ざけて歌ってやろう!と思っているところがあるので。

 

ハロ:バラードめちゃくちゃわかります。

 

義彦:前のライヴと同じ曲でも、同じようには歌わない。つまり、時として良くなくなるパターンも有り得るけれど、それが楽しいし一番入り込めます。バラードは23曲続かないと気持ち良くならないですね。

 

ハロ:ライヴ中の記憶は全てありますか?

 

義彦:ほぼあります。でも、バラードはあまり無いかもしれない。

 

ハロ:入り込めた時って、あまり覚えていないですよね。後から思い出そうとしても気持ち良かった。という事しか覚えていなかったり。

 

義彦:そうそう。若い頃は激しい曲が気持ち良かったんですけど、今は歌モノをしっかり歌えた時やバラードに入り込めた時のほうが気持ち良くなっています。自分の中で、ライヴというものへのイメージが変わってきたんですよね。暴れてなんぼ!みたいな感覚は無くなってきた。そういう曲も大事だと思うしやっていきますが、根本の部分で大事にしているものは変わってきたなと感じますよ。

 

ハロ:変化していく、というか変化に抗えないんですよね。歌い続ける為にも。

 

義彦:そう思います。歳を重ねていく中で、歌を重視する事が音楽を長く続けていく事に繋がるなと感じるようになってきて、それからは今まで以上に歌を大事にするようになった。激しい曲で舌が回らなくなった経験とか、まだ無いですよね?()

 

ハロ:うーん、舌が回らなくなる状況かは分かりませんが、何が変わったのかはわからないけれど、今まで楽に出せていた部分が急に出しづらくなったり歌いづらくなったりした事はあります。あと嚥下(えんげ)が上手くできなくなったり、それがまた変な力みに繋がったりもして。そのような状況の時どう対処していますか?

 

義彦:・・・「ま、いっか!」って()

 

2人:(爆笑)

 

義彦:heidi.は元々先輩3人の中に俺が入る形で始まったバンドだから、メンバーにダメ出しされないように意識しながらライヴをしていたところがあって。勿論、俺が気にしていただけで、メンバーは怒ったりしなかったですよ。でも、78年はそんな感じでやってきたので、今は自分の気持ち的な部分まで含めて本当に自由にやらせてもらっている感じなんですね。だからこそ「ま、いっか!」になってしまうのかもしれないですけど、それくらい気にしないです。

 

ハロ:何度かheidi.さんのライヴも観させて頂いていて、一切その「ま、いっか!」を感じた事が無かったんですけど、78年を経ての「ま、いっか!」という言葉は、ライヴのクオリティとは全く違うベクトルの「ま、いっか!」なんですね。

 

義彦:そうだと良いなと思います。あとは、歌詞が覚えられない(苦笑)

 

ハロ:僕も歌詞を忘れる事があって、1番のAメロを歌うべきところで2番のAメロが出てきてしまったりすると、もう戻れない(苦笑)

 

義彦:そういう時は、2番のAメロを2回歌うしかない(苦笑)

 

ハロ:完璧と言えるくらい歌い込んでいたはずの曲でも、ある日突然飛んだりするんですよ。

 

義彦:俺も代表曲なのに・・・。と思った経験があります。今は、念のため歌詞も用意していますね。

 

ハロ:僕も、歌い出しだけを書いた簡易的なプロンプターを置くようになりました。

 

義彦:それぞれのファンに「ここが聴きたい!」という部分があるので、歌詞って大事なんです。

 

ハロ:歌詞を間違った瞬間、客席の視線がパッとこちらに向いたと感じる事がありますよね。

 

義彦:それ程までにファンは歌詞を全部覚えてくれているという事だから、本当に凄いしありがたいなと思う。同時に、間違えてしまう自分が申し訳なく感じたりもします。

 

ハロ:今はマスクをしているからわからないけれど、コロナ禍前は歌詞を口ずさみながらライヴを観てくれている方も居て。その子は歌えているのに俺は歌えていないって、情けないなと思った事がありました(苦笑)

 

義彦:ライヴ中、ファンのことは見るほうですか?

 

ハロ:かなり隅々まで見ていると思います。

 

義彦:俺もそうなってきました。歳を重ねるにつれて、感謝を伝えたくなってきたというか。

 

ハロ:同じです!ありがとう!と思いながら見ています。

 

義彦:結成当初は、ライヴ中に感謝とか考えられていなかった気がする。

 

ハロ:そうですね。今思えば、独りよがりだったなと思います。

 

義彦:うん、俺も自己中心的なライヴをしていたなと思います。あの頃は、そのがむしゃらな感じも魅力のひとつだった事もわかるんですけど。今はもう若い頃みたいな挑戦の仕方はできないから、何か新しいものを見つけようと常に考えているし、今だからこそできるベストなものを見せたい。そういう意識の中で、ファンのことを見るようになってきましたね。

 

ハロ:あと、フロアの見方も変わりました。以前は「俺を見ろよ!」くらいの視線の向け方だったのが、今は感謝を伝えたい親戚みたいな目線になってきたというか()。バンドって自分達だけでは絶対に続けられないものだから、長く続ければ続けるほど感謝が膨らんでくるんです。

 

義彦:だからこそ、自分の喜びもファンに与えたいんですよね。自分が気持ち良く歌えているのは皆のおかげだと感じるから、「こんなに楽しい!」と伝えたくて見てしまうのもある。

 

ハロ:ファンの人達が楽しんでくれている事を、より嬉しく感じるようになりました。昔よりも余裕が生まれたんだろうな。

 

義彦:確かに。ライヴというものをしっかり理解した上でステージに立てているから、より楽しく感じる。昔は難しく感じていた曲も、今は上手く歌えるようになっていると思うし、そう考えると良い余裕なんじゃないかな。

 

ハロ:ですね。反面、初期の音源を聴くと今とは歌い方が違うので、それをセットリストに入れると当時に引っ張られてしまう自分も居たりして。

 

義彦:(歌い方を)昔に寄せてしまうということ?

 

ハロ:はい。当時の喉で歌っていた曲を、そのまま今の喉で歌おうとするのは良くないとわかっているんです。ただ、歌には続けていくほど上達していく部分と、消耗して劣化していく部分が存在しますよね。そことどう向き合ってこられたのか知りたいです。

 

義彦:ファンの人達に「今の自分が一番良いと思う歌を歌っているから、昔の俺を期待しないで今の俺を見て下さい。」と伝えてからは、昔の自分に寄せる事も無くなったし負担も感じず素直に歌えていますね。人間だからキーも歌い方も変わっていくのは当然だし、当時と同じようには歌えない曲もある。でも、せっかく今の自分が歌っているのに、無理をして昔の自分に寄せるって凄くもったいない事じゃないですか。今の自分に自信を持って歌えば、今のほうが好きだと言ってくれるファンも沢山居ると思うんですよ。それが、自分自身にとっても聴いてくれる人達にとっても一番納得できる形なんじゃないかな。・・・何か、偉そうに聞こえてしまったらごめんなさい。

 

ハロ:そんな事ないです!少し気持ちが楽になりました、ありがとうございます。

 

義彦:良かった!

 

 

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「歌詞」と「趣味」のお話。

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ハロ:歌詞を書く上でのルールはありますか?

 

義彦:ナオが67割の歌詞を書くので、俺は3割くらいしか書かないんですね。だから、書きたい事は溜まっているほうだと思います。

 

ハロ:スマホのメモに書き溜めたり?

 

義彦:いや、家にあるノートに。

 

ハロ:ノートって、常に持ち歩いてはいないですよね?例えば、外出先でふとした瞬間にフレーズが降ってきた場合はどうしているんですか?

 

義彦:昔、ナオが「外に居る時に良いフレーズが降ってきたとして、そのままその日のスケジュールをこなして、帰宅した時にまだ頭に残っていたなら、それは本当に良いフレーズだ。もしその時に忘れてしまっていたなら、自分の中では良いフレーズではなかったという事だ。」と言っていたんです。その言葉が響いたので、それからはノートを持ち歩く事をやめて家に帰った時にメモをするようになりました。

 

ハロ:なるほどなぁ・・・基本的に、家で書きます?

 

義彦:家で書いていて、煮詰まったら1人でカフェに行ってみたりします。

 

ハロ:持ち曲の数が凄いですよね?

 

義彦:いや、16年やってるわりには少ないんじゃないかと思います。200曲は無いくらいかな?

 

ハロ:少なくないですよ!()

 

義彦:そうか()。ナオは「趣味は曲作り」と公言しているくらいですからね。

 

ハロ:本当に凄いです。趣味ってありますか?

 

義彦:音楽以外は・・・競馬とか。俺、地方競馬が好きなんです。人混みが苦手でも地方競馬は比較的空いていますし。ギャンブルが好きというよりは、馬が好きなんです。

 

ハロ:え!僕も馬が大好きで、馬が見たくて競馬場に行っていた時期があります。

 

義彦:パドックでひたすら馬を見て、ゴールの時にとんでもないところから1位に来たりしたら大興奮ですよね。財布の中身は寂しくなっている場合も多いですけど()、馬が好きなんです。

 

ハロ:最近は全く競馬場に行かなくなってしまいましたが、週末になると親父と一緒に行っていた時期があって。子供の頃から馬自体が好きだったから、牧場に行って乗馬体験をしたり。競馬が好きというより、本当に馬が好きで行っていました。馬は目が優しいんですよね。競馬場に居るとグッとくる瞬間がありませんか?昔、大好きだった馬が段々と勝てなくなって引退する事になって、最後の最後にその引退レースで優勝した時は泣きました。そういうドラマが沢山あるんですよね。

 

義彦:うん、感動しますよね。ギャンブルというより馬が好きって気持ち、よくわかります。まぁ、俺は馬券を買ってもいますけど()

 

ハロ:好きな馬の餌代になってくれれば!という感じですよね、課金です()

 

義彦:他に趣味と言えるのは、カラオケボックス。あの空間に1人で居るのが好きで、歌う以外に歌詞を書く事もあります。歌詞を書いていて煮詰まったら歌ってみたり、この人の歌って歌えるかな?と遊んだりしています。フリータイムで入って滞在6時間なんて事もありますよ()

 

ハロ:僕はカラオケボックスの空間にちょっとしたトラウマがあって、今は全くカラオケに行かないんですよ。バンド活動を始める前までは頻繁に行っていたし好きだったんですけど、バンドを始めてからは地元の友達とカラオケに行っても「ボーカリストなんだから歌って!」みたいな圧を掛けられることが多くなって。どうして遊びにきてまで神経をすり減らさなきゃいけないんだろう。と思って、行かなくなってしまいました。でも、1人で行けば良いんですね。

 

義彦:そういう圧は嫌ですね、つまらなくなってしまう。1人なら、歌えるし、歌詞も書けるし、食事もできるし、本当に自由だから。

 

ハロ:確かに。作詞をする時、カフェに行ってみたり、街を歩いてみたり、降りる駅を決めずに山手線に乗ってみたり、色々とやってきましたがカラオケは無かったですね。面白そうだから、今度やってみようかな。

 

義彦:実は、昨日も2時間くらい行ってきましたよ。

 

ハロ:月に何回も行くんですか?

 

義彦:最低週1回だけど、週23回という時もありますね。

 

ハロ:そんなに頻繁に!コロナ禍でライヴが全て中止になった時期、歌の感覚を取り戻すのが大変でしたよね。

 

義彦:あの時はカラオケボックスも営業していなかったし、俺は歌い方を忘れていました。他のバンドのボーカリストでも「歌う場所が無いから、歌い方を忘れた。」と言っている人が沢山居て、悩みは一緒なんだなと思った。

 

ハロ:自宅にボーカルブースがあるボーカリストに出会うと羨ましいですもん。歌い方って、ライヴが2週間空いたら忘れると思っているので。

 

義彦:その2週間でストレスが抜けたのか逆に良くなっている場合もあれば、1週間でもあれ?全然違う・・・。と感じる時もある。喉って本当に不思議なんですよ。でも、自分に違和感があるだけで聴く側からしたらあまり変わっていないんだろうなとも思う。

 

 

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「喉のケア」と「メンタル」と「コロナ禍」のお話。

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ハロ:ツアー先での喉のケアってどうしていますか?

 

義彦:ホテルに加湿器を置いて、あとはあえてあまり気にしないようにしています。エアコンは基本的に夏だけで、暖房はつけない。布団にくるまっていれば良いかという感じです。

 

ハロ:僕は、1年を通してエアコンを使わない人間だったんです。でも、夏場は逆にそのせいで疲れが取れずに体調が悪くなってしまう事もあって。冬は加湿器のみで過ごしていたんですけど、ある時ツアー先のホテルがあまりに寒くて、さすがに無理だ。と暖房の風量を弱にして26℃くらいを保ちつつ加湿器をつけて眠ったら、翌日すごぶる調子が良かった()。そこからは、温度を一定に保って湿度を確保すれば大丈夫だなと、割と抵抗なく暖房もつけられるようになったんです。逆に、寒い状態のまま眠ると身体が冷えて、冷たい空気を吸う事で喉周りも冷えやすくなってしまうので。暑過ぎも寒過ぎもダメだから、本当に気を遣います。

 

義彦:確かに。ただでさえ、夏は室内と室外の温度差が凄いから。

 

ハロ:1年の中で一番喉の調子が良い季節ってありますか?

 

義彦:改めて考えると、夏かもしれないです。

 

ハロ:身体が温まらないと、良い声は出ないですよね。

 

義彦:そう思います。身体が温まっていれば自然と声も出やすくなるから、本番前に発声はしないで身体を動かすってボーカリストも居ますしね。俺も、発声はあまりしないです。リハをしたら、あとはストレッチ。

 

ハロ:僕も、ある時からリップロールやハミングのようなストレッチ的なもの以外の発声はあまりしなくなりました。昔は楽屋で声出しをするのが当たり前だと思ってずっとしているタイプだったけれど、何が自分に合うのかわからない状態でやっていたんですよね。結局、むやみに声出しをしても喉を消耗するだけだと気付いてから変えたんです。ただ、人それぞれ違うから本当に正解がわからないなと思う。

 

義彦:プロの方でも楽屋で発声をしている方も多いでしょうし、自分に合ったスタイルを見つける事が大事だと思います。

 

ハロ:ツアー中は本当に気が滅入るくらい、喉に気を遣うんです。少しでも様子がおかしくなると、メンタルに響いてしまうから。風邪は絶対にひかないように気を付けていて、実際もう4年くらいは風邪をひいていないです。

 

義彦:それは凄い!どういう事をされているんですか?

 

ハロ:ライヴ前にアルコールを飲まない、機材車での移動中は基本的に話さない、喉のスプレーや飴、うがい薬を常備、そのあたりは絶対ですね。ライヴの時はボーカル用の小さなテーブルを置いて、喉の薬やスプレーを自分用のセットとして準備しておきます。使わない時もあるけれど、使わなくても置いておかないと忘れた!と思った瞬間に不安になってしまうので。自分の中では、ライヴの日はひとつひとついつも通りの環境を作るように心がけています。

 

義彦:ボーカリストはメンタルが一番大切ですよね。

 

ハロ:たまにお酒を飲んでステージに上がるボーカリストを見ると、凄いなと思う。

 

義彦:俺も前はそうでしたよ。メンタルが弱すぎて、アルコールの力で上げていかないとだった。テンションを上げるために飲むボーカリストは結構居ますよね。

 

ハロ:喉に一切の影響が無いならやってみたい気持ちもありますけど、僕の場合は絶対に影響が出てしまうと思う。

 

義彦:自分に合うスタイルが見つかった人は飲んでも良いと思いますが、今考えると俺には本当に良くなかったです。当時はこれだ!と思って飲み始めたものの、その瞬間だけが気持ち良いような、何も大事にしていない勢いだけのライヴをしてしまった日もあったし。

 

ハロ:「飲んでいたほうが良いライヴができる。」と言う方も居るし、それぞれスタイルが違うから難しいですよね。

 

義彦:ライヴ後の喉の負担で考えたら、飲まないほうが良いです。カラオケで酒を飲んで大声で歌うと声がガラガラになるのと同じで、歌っている間は良くても終わった後が大変だから。

 

ハロ:声楽関係の方も、「お酒と大声は相性が悪い。」と仰いますよね。

 

義彦:きっと、ライヴ中の気持ち的には飲んだほうが楽だと思います。でも、どうしてもっと噛みしめてライヴをしなかったんだろう。と後悔が残ってしまうなら、結果的に良くない。俺は、コロナ禍でしばらく酒を飲まない時期ができて。最も酒を美味いと感じる瞬間はライヴの後なんですけど、コロナ禍でライヴが無くなったら急に酒を不味く感じるようになって、1年くらい飲まなかったんです。配信ライヴの後に飲んでも、全く美味く感じなかった。有観客でのライヴを再開してから飲んでみたら美味かったので、やっぱりライヴ後に飲む酒が一番なんだなと実感しました。

 

ハロ:コロナ禍になる前は、配信ライヴというもの自体があまり無かったじゃないですか。

 

義彦:正直、ボーカリストは特にやりたくなかったですよね。

 

ハロ:そう思います。ベルでも何度か配信ライヴをやらせて頂いたんですが、結果的に僕はやりたくないなと思ってしまって、ファンの人達にも「申し訳ないけれど、やりたくない。」と言いました。有観客+配信なら良いものの、配信のみだと正直リハと変わらない感覚で、達成感も得られなくて。

 

義彦:heidi.は平均月2本の配信を2年くらい続けてきて。始めた当初は、俺も「配信は苦手だ。」とブログに書いたりしていました。ただ、やっぱりその時はファンの人達を入れてのライヴはできなかったし、皆がheidi.を観られる場所はここしかないんだよなと思うと、段々と配信の大切さみたいなものも理解できてきて。少しずつ意識が変わっていった感じですね。

 

ハロ:配信では楽器や歌を混ぜて2MIXした音を流すから、要らない帯域が切られてしまうじゃないですか?その切られてしまった帯域こそが生のライヴで感じられる高揚感やグルーヴ感を生み出している部分だと思うので、普段ライヴハウスに足を運んでくれているファンの人達は絶対に物足りなさを感じてたはずで。でも、配信が終わった後に「配信してくれてありがとうございます。」とか「ライヴにはまだ行けないけれど、配信で観る事ができて楽しかったです。」とか感想を送ってくれて・・・それを読んだ時に、あぁ、きっと気を遣ってそう言ってくれてるんだな、本当はライブハウスで観たかったよな。と、何だか申し訳なく思ってしまって(苦笑)

 

義彦:その言葉は気遣いでも嘘でもないと思うよ!(苦笑)

 

ハロ:そうなんでしょうけど、その時はライブハウスでみんなと一緒に過ごす時間を取り上げられてしまって、いつになれば有観客でライブできるか見通しも立たず、このままだときっと誰も幸せになれない・・・。と考えてしまって。

 

義彦:そうかぁ・・・。でも、未だにベルのライヴを観たくても観に来られない人も居ると思うし。うちも「heidi.のライヴに行きたい。」と言ってくれたまま23年来られていない人も居るから、そういう部分を考えて配信をするようになったんですよね。

 

ハロ:そうですよね。ベルも来たくても来られない人達に向けた発信についてはメンバー内で話していて、ライヴダイジェスト的な映像をSNSにアップしたり、少しでも雰囲気を感じてもらえるように、これまではやってこなかったアプローチもするようになりました。あと、節目のライヴは有観客+配信でやったり。周年のような記念日は、会場に足を運べなくても共にその日を迎えたいと考えてくれている全ての人達と一緒に過ごしたいので。なんならサクラ大戦も、配信ができるのなら是非両バンドとも観てもらいたいイベントです。

 

義彦:そうですよね。色々な面で、バンドもファンも厳しい時期だから。それでも、ヴィジュアル系のファンの人達は本当に良くマナーを守ってくれると色んなライヴハウスで耳にします。

 

ハロ:言われますよね!だから、MCでもずっと「きっともうすぐだから皆で乗り越えよう!」という気持ちで励ましてきたつもりなんです。でも、さすがに長いなって(苦笑)

 

義彦:俺もMCで毎回のように「このご時世」という言葉を遣っていたけれど、ここまで長引くともう「この時代」になっちゃうよなと思っています。

 

ハロ:本当に。だから、僕はもうそういう話はしないようになりました。ワンマンなどでは触れる事もありますけど、ファンの人達も散々聞き飽きているだろうし、せめてライヴに来た時くらいは世の中の事を忘れたいんじゃないかなと思うようになって。とはいえ、ボーカルとしてあまりに無視するのも逃げのような気もするし、難しいですが。

 

義彦:加減が難しいです。

 

ハロ:発した言葉が真っ直ぐ届く人も居れば、「何を言っているんだ。」と感じる人も居ると思うし、捉え方は人それぞれなので。そこに関しては、今はもう嫌われたら嫌われたでいいやと気にしなくなりました。

 

義彦:俺も気にしなくなりましたね。素直に、自分で自分を間違っていないと感じられる言葉で話せたならそれで良い。

 

ハロ:大切なのは、自分に嘘をつかない事ですよね。自分の考えを自信を持って発言すれば、自分自身を裏切る事にはならないから。もしかしたら、その言葉で「裏切られた。」と感じる人が居るのかもしれないけれど、僕が僕自身を裏切らなければ強く居られる。ここ2年くらいで、やっとそういう感覚になれました。

 

義彦:歌も言葉も、届くべき人に届けば後悔は無いですからね。

 

 

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「死生観」と「生き方」と「42日」のお話。

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ハロ:ボーカリストは世界観が強い人が多いと感じるし、どういう価値観を持って生きているの

かという人間的な部分に興味があって。義彦さんには、死生観について伺いたいなと思います。

 

義彦:死生観・・・深い話だな。これまでに死のうと思った事は無いですね。

 

ハロ:というものを、どういう風に捉えています?

 

義彦:今、この取材中に死んでもいいと思って生きています。

 

ハロ:いつ死んでも後悔しないように生きているという事ですか?

 

義彦:そうですね。かといって、何か特別な事をしているわけではないけれど。死に対する恐れはないし、本当にいつ死んでもいいです。俺にとっての生きているは、バンドと歌以外は何も無いんですよ。まぁ、ステージ上で死ぬのはメンバーにもファンにも失礼だし迷惑だよな。とか考えたりはしますけど()

 

ハロ:かなり極端な話ですが、周囲への迷惑とかは全て置いておいたとして、どういう状況下でこの世を去るのが一番幸せだと思いますか?

 

義彦:ライヴが終わって全て出し切った瞬間に死んでもいいな、とは思いますね。でも、後悔が残るライヴでは死にたくない()。それこそ、ライヴ後の風呂でも良いですね。今日のあそこ最高だったな!って言いながら死ぬのもよさそう。

 

ハロ:僕も、ライヴが終わってメンバーと「今日、良いライヴだったな~!」とか言いながら楽屋に帰ってきて椅子に座って、メンバーが談笑している中で静かに死ねたら凄く幸せだなと思います()。でも、お迎えって来て欲しいタイミングでは来てくれないものなんだろうなと思う。

 

義彦:そうですよね。

 

ハロ:人間が生きていく上で、というのは絶対的な約束じゃないですか。自分にもいつか起こる事だとわかっているから、漠然とそれを見据えてはいるんです。同時に、おそらく自分の死よりも先に終わりを迎える事柄が身の回りに沢山あるはずなのに、そういうもっともっと身近にある終わりの事はちゃんと見据えられていないような気がしていて。言い方が難しいですが、僕は常にいつまで音楽を続けられるんだろう。と考えてしまうタイプなんですね。全ては終活というとおかしいですけど、終焉に向けて生きている感じがあるというか。死を迎えるよりも先に片付けなくてはいけない終わりが色々と出てくるんだろうなと考える度に、凄く落ち込むんです。

 

義彦:う~ん・・・たぶん、俺と真逆ですよね。まず、俺は落ち込まない。でも、落ち込まないという事は反省もしないから良くないんですよ。前にベルと対バンした時、ライヴ後にメンバーが集まって反省会みたいな事をしていたじゃないですか?毎回やるのかはわからないけれど、heidi.にはああいう事が無いんです。

 

ハロ:毎回はやらないですが、流れが良くなかったなと感じた時はすぐに話し合うようにしています。heidi.さんの場合は間違いを起こさないから必要無いという事じゃないですか?

 

義彦:間違いが起きる事はあるんですよ(苦笑)。勿論、もっと上を目指そう!という姿勢は俺らにもあるんだけど、それが外からは見えなかったりする。だから、ああいう姿を見ると見習わないといけないなと思います。

 

ハロ:たぶん、それも今、この状態でバンドが終わったら後悔する。という想いからきている行動だと思うんです。それはバンドに限った話ではなくて、日々の全ての行いが終焉に向かっている感覚が強いので。コロナ禍で活動できなかった時期にデザインの勉強をしたのも、この時間を無駄にしたら絶対に後悔する。という気持ちがあったからなんです。義彦さんが言って下さったメンバーとの話し合いも、そういう意識の一環だと思います。

 

義彦:ハロくんは日々常に考えていて、考えない時間は無駄という感じなんでしょうね。

 

ハロ:メンタル的には、必ずしも良い事ではないんですけど(苦笑)

 

義彦:確かに、メンタルは疲れちゃうんじゃないかなと思う。俺とハロくんの中間くらいの人が居たら良いね()

 

ハロ:そうですね()。そういう人が、上手い生き方ができる人なのかなとも思います。

 

義彦:でも、こういう性格だからなのか、俺はどんな人とでも接しやすいし意外と溶け込めるという事を最近になって自覚したりもしていて。年齢も意識しないから20代にタメ口で話されても特に気にならないし・・・何も考えていないからかもしれないけれど()

 

ハロ:そんな事はないですよ!それはもう、ひとつの才能なんだと思います。それに、僕には考えてそこに至られたように見えます。

 

義彦:そうなのかなぁ。

 

ハロ:僕はとにかく暇が怖くて、何もしていない時間が不安なんです。だから、バンドの中の仕事をたくさん抱え込みがちで、忙しければ忙しいほどドーパミンが出て忙しい自分に安心している部分もある気がします。

 

義彦:忙しい事が好きなんでしょうね。

 

ハロ:それはあります。あとは、メンバーに対して報いたい気持ちがあるんです。前メンバーが脱退した時に「ベルを続ける。」という決断をしてくれた明弥と正人に対しても、当時既に活動歴が6年あったバンドに加入する決断をしてくれたルミナとタイちゃんの覚悟に対しても、絶対に報いなくてはという気持ちが凄く強い。それ故に、「あれもこれも、俺が全部やる。」とタスクを抱えたくなってしまうのもありますね。でもだからこそ、どんどん「新しい事をしよう!」という提案ができるようになりました。

 

義彦:きっと、今のベルが楽しいんですよね。

 

ハロ:楽しいですね!やりがいを感じています。

 

義彦:それが一番だと思います。俺は、ドーパミンが出るのはライヴだけですね。セットリストを考えるようになってからは、ライヴとの向き合い方がより深くなったと思います。ファンに対する感謝の気持ちが強くなればなるほど、自分が良いと感じるものをしっかり見せたいという意欲も大きくなりますし。でも、俺の場合はライヴが終わって「お疲れ様!」と帰った後は、音楽の事は考えないです。たぶん、それが俺のスタイルなんだと思う。

 

ハロ:でも、ライヴの事を思い返したりはしますよね?

 

義彦:風呂の時くらいだね()。風呂の中でライヴでの楽しかった事を思い出して、スッキリして上がったらもう音楽の事は考えない。

 

ハロ:1週間後、3日後、明日とライヴが近付いてくる過程では心境が変わりますか?

 

義彦:前日くらいに、多少は。それでも、俺は眠れてしまうけど()。フラット過ぎて困っているくらい、何も気負わないですよ。生活の中に音楽があって、音楽が一番好き。だから、真剣に向き合う。でも、その時間が終わったら自由。何もしないし考えない時間も必要。そういう人間ですね。ハロくんみたいに常に考えていられるのは本当に凄いと思うし、同時に「疲れちゃうんじゃないの、大丈夫?」って気持ちにもなる。

 

ハロ:疲れ・・・ますね(苦笑)。こんな生き方しかできない自分に対して、自己嫌悪になったりもします。

 

義彦:いや、俺よりもずっと良い生き方をしているから!

 

ハロ:いや、そんな事はないですよ!僕と接する人は、僕の変に考え過ぎてしまうところを面倒に感じるだろうし、気を遣わせてしまう可能性が高いんです。きっと義彦さんは一緒に居て心地良いというか、御自身もストレスを抱えないし周囲にもストレスを与えない方なんだろうなと感じるので、凄いなと思います。

 

義彦:ある意味、周りを気にしていない人間なのかもしれないですよ?

 

ハロ:周りを気にしない人からは自分勝手な印象を受ける場合も多いけれど、義彦さんはそうではないですから。

 

義彦:俺は合わないな。と感じた人とは遊ばないというのもあると思う。もし第三者から相手に関する良くない噂が入っても、実際に会って自分の目で判断しなければ真実はわからないし気にせず会う。でも、その結果合わないと感じたならもう遊ばない。人に対して、合う・合わないの基準がはっきりしているのかもしれないです。

 

ハロ:僕も昔はウェルカムタイプだったのに、年々閉ざしていってる気がします。たぶん拗らせていってるんです(苦笑)

 

義彦:何か心配になってきた!あまり考え過ぎないほうが良いよ。

 

ハロ:そうですね()。今日、こういう機会があって本当に良かったです。

 

義彦:この対談のおかげで距離が縮まった気がするし、俺も楽しかったです。

 

ハロ:ありがとうございます!冒頭でも話しましたが、この2MANをきっかけにいずれまた色々と面白い事をやっていけたら嬉しいですし。

 

義彦:良いですね。ヴィジュアル系、更に頑張って盛り上げていかないとですから。

 

ハロ:まずは、この対談を読んでくれた人達が2人の温度感を感じて、知った気になってくれたら良いなと思います。ベルを観に来てくれた子達にはheidi.さんを観るきっかけになって欲しいし、heidi.さんのファンの方達にもベルを観てもらえたら嬉しいし。この温度感を共有してもらえたら良いですね。

 

義彦:そう思います。意外と真逆な部分が多い2人だというのも面白かったしね。あと、今日話していて、当日はあえてちょっと昔の歌謡テイストの楽曲を持ってこようかなと思ったりもしたので、そういう部分も楽しんでもらえたら良いな。

 

ハロ:それは楽しみです!僕にとってもベルにとっても刺激的な1日になる事は間違いないので、全力でぶつからせて頂きます!

 

義彦:こちらこそ、よろしくお願いします!

 

 

 

取材・文:富岡 美都(Squeeze Spirits/One’s COSMOS)

 

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初めまして限定2マン企画
「サクラ大戦-REVENGE-」
  開 催 !

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「第壱夜」
4月2日(土) vs heidi.
チケット発売:2月19日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565040001-P0030001

「第弐夜」
4月9日(土) vs GRIMOIRE
チケット発売:2月20日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565050001-P0030001

「第参夜」
4月16日(土) vs Leetspeak monsters
チケット発売:3月5日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565060001-P0030001

「第肆夜」
4月22日(金) vs ヤミテラ
チケット発売:3月6日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565070001-P0030001

「第伍夜」
5月1日(日) vs Ashmaze.
チケット発売:3月12日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565090001-P0030001

 

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★ベル OFFICIAL SITE★

http://belle-web.info/

★heidi. OFFICIAL SITE★

https://heidi-net.com/