2023年07月01日 (土)
【インタビュー】ミスイ×PARAGUAS inc.が組むことで生まれる魔法とは…。
NEWS - 17:00:26先日、ミスイがPARAGUAS inc.と手を組むことを発表。バンドの始まりを告げた『焼却炉』のMVを制作した。彼らは、「レーベルとは対等な関係」と語っていた。その真意を探るべく、メンバーらに話を伺った。
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ミスイは、ヴォーカルのやりたい世界観を表現するバンド。そして、解散をしないバンドでありたい。
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――規模を考えなければ、今は自主でもある程度のスタンスを作ることは可能です。ミスイの場合、そこで落ち着きたくはなかったわけですよね。
LANA-ラナ– :その意識はあります。そもそも、ミスイというバンドの成り立ちが、いわゆる「日本武道館に立ちたい」「東京ドームを目指したい」など、駆け上がる物語を作りたいのではなく、「解散しないバンドでいたい」思いを持ったメンバーたちが集まったこと。そして、「バンドの顔となるヴォーカルの表現したい世界観を、僕ら楽器陣が具現化し続けてゆくバンド」でありたい気持ちを持って、このバンドは生まれています。バンド結成の言い出しっぺになる僕自身が、「ヴォーカルが一番格好いいバンドをやりたい」気持ちを持って柳さんに声をかけたことから、ミスイの物語は始まっていますからね。
▲LANA-ラナ–
柳:最初LANA-ラナ–に、関西人特有の軽いノリで「良かったら、僕と一緒にバンドをやりましょう」と声をかけられたから、いわゆる「ご飯食べにいきましょう」という口約束だけの挨拶と一緒かなと思っていたら、それが本気だった。彼は、僕が「やりましょう」と返事をする前に、自分とバンドを組むと勝手に決め込み、住んでいた大阪を離れ、バンド結成のために上京をしてきた。その姿を見て、「本気だったんだ」と初めて思いました(笑)。そのうえでLANA-ラナ–の語った、「あなたと一緒にバンドをやれるのなら、わがままは一切言わない。あなたの歌いたいことを歌ってほしい。あなたのやりたい活動をしてもらいたい。そのうえで、僕は全力でバックアップするから」という言葉が、共に手を結ぶきっかけになりましたね。
僕自身が、ヴォーカルの格好いいバンドに憧れを持ってきたし、そういうバンドを組みたかった。過去の経験を振り返ったとき、個性の強いとがった格好いいメンバーと自分自身がやりたかったから、そういうメンバーと組みたいと思うんだけど。我の強いメンバーの場合、いくら「ヴォーカルを全面に押し出したバンドをやる」と言っても、結局は自分が一番目立とうとする。そんな中、LANA-ラナ–の言葉を聴いたとき、「僕の背中を預けられるのはこの人だ」と思ったことも、一緒に活動をする決め手になりましたね。
▲柳
LANA-ラナ–: 僕自身は、柳さんしか眼中になかったですからね。だから、いくら美味しい誘いの話があってもすべて断り、柳さんと一緒に活動をする道を選んだわけです。それは、天音や湊人、Tetsuyaも同じ。ミスイのメンバー全員が、柳さんが「これをやりたい」と言ったことを実現するために、「じゃあ、何が必要か」を考えて行動をしてゆく。同じ、「ヴォーカルを立てる」気持ちを共にしたミュージシャンたちがミスイには集まっている。そこが大事なんですよ。そのうえで、例えばミスイのコンポーザーとして天音に声をかけたのも、彼なら、柳さんの要望を絶対に具現化してくれると確信を持てたことからでした。
そしてもう一つ、メンバー全員が賛同してくれたのが「解散しないバンド」をやること。ここにいる全員が、何かを成し遂げてバンドを解散したのではなく、続けたくてもそうはいかない状況下へ陥り、解散を余儀なくされた経験を持った人たちばかり。だからこそ、僕が提案した「10年間続けることを目標にしよう」という気持ちに賛同してくれたし、だからメンバーになってくれましたからね。
天音: 僕は、当時やっていたバンドの解散が決まり、そのまま実家に帰って、新しい道を作ろうと心を決めていました。だけど、LANA-ラナ–の語った「解散をしないバンドをやりたい」「格好いいヴォーカルを生かすバンドをやりたい」という話に共感をすれば、何より、ヴォーカルが柳さんと聞いて、「これを自分のバンド人生の最後の挑戦にするだけの価値がある」と思い、参加をしています。
▲天音
LANA-ラナ–:湊人も、当時はまだ関西に住んでいたけど、その話をしたら即効で上京をしてきました。
湊人: 自分の中に、「本物のバンドは10年以上続けられてこそ」という気持ちがあった中、このバンドならそれを証明できると思えて賛同。自分も、「良いバンドは、ヴォーカルの表現したいものを、どれだけ愛せるかが大事」と思っていたし、柳さんを交え、一度セッションをしたときにそれを感じたことから、即座に加入を決めました。
▲湊人
Tetsuya:僕もそこは同じですけど。LANA-ラナ–から声をかけてもらったとき、僕は活動をしていた関西を離れ、北海道の実家に戻り、軽トラックを運転していました。そんな中、LANA-ラナ–から、みんなと同じ話を聞き、一度上京しセッションをしたことから、自分も柳さんに、このバンドに命を預けようと決意しました。ただ、僕はLANA-ラナ–や湊人のようにフットワーク軽く上京とはいえず、やはり海を超えるまでは少し期間がかかりながらの上京にはなりましたけどね。
▲Tetsuya
LANA-ラナ–: 全員で、互いの意志を確認。そのうえで天音にはバンドのコンポーザーとしても期待していたことから、ミスイのための楽曲制作をお願いしたところ、最初に生まれたのが『焼却炉』。そこで、必要としていたすべてのパズルのピースがはまり、ミスイとしの活動をスタートさせました。
天音: 柳さんからの要望を聞いたうえで、曲制作をスタート。バンドにとって一番最初に出す楽曲は、後々もバンドの顔になり続ける。それを心がけたうえで生まれたのが『焼却炉』です。当時、他にも幾つか作り上げた楽曲たちも、その後、すべて(CD)作品の中へ落とし込みました。
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僕らが走り出すために入れたかったギアを、「バックアップする」と言ってくれたことも大きかった。
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――ミスイとPARAGUAS inc.がタッグを組み、新しい活動を描き始めました。その第一弾が、ミスイの始まりを告げた『焼却炉』のMV制作というのも嬉しい握手の仕方だなと思いました。だけど、これまでミスイはずっと自分たちの手で活動をしてきましたよね。なぜ、このタイミングでPARAGUAS inc.と手を組んだのか。まずは,そこから教えてください。
LANA-ラナ–:以前からPARAGUAS inc.の方とは、グッズ面での制作など、いろいろご相談をしている間柄でした。それもあって、2年ほど前にも、一度「一緒にやりませんか?」と声をかけていただいたことがありました。僕らにとっては嬉しい話でしたが、当時は、あえてお断りさせていただきました。
――その理由が気になります。
LANA-ラナ–:僕らは、ミスイを結成した当初から、「ある程度の状況を作りあげるまでは、何があっても自分たちだけの力で活動をしていこう」と決めていました。それもあって、まずは自分たちの可能性を試し、経験を積み重ねてゆくことも含め、“自主“での活動にこだわりを持って続けてきました。
多少裏話にはなりますが、ここへ至るまでにも、いくつかレーベルや事務所さんから声をかけていただいてきました。だけど、先の理由で、あえてすべてお断りをしてきました。「じゃあ、なぜ今回、PARAGUAS inc.さんと??」なりますよね。
――なりますね(笑)。
LANA-ラナ–:僕らもよく競演し、仲良くしているXANVALAさんが、PARAGUAS inc.と一緒に活動をしています。そこでのXANVALAさんとPARAGUAS inc.との関係性が、お互いに対等なんですね。レーベルや事務所の考えにバンドが従うではなく、互いに高めあいながら、バンドも、レーベルも成長してゆく。その姿に理想を感じていたこと。加えてXANVALAさんが、「一緒にこのシーンを盛り上げていこう」と誘いをかけてくれたこと。何より、僕ら自身が、ここからさらに攻めてゆくうえで、自分たちに必要な要素を補いたいと思っていた。そんな意識を持っているタイミングで、ふたたびPARAGUAS inc.から声をかけていただけたことが大きかった。
最初は、僕がレーベルの代表へ、「今の自分たちの状況」「活動をしていくうえで絶対に崩したくない姿勢」「自主という立場でやってきたこと、今後もやっていけること」「やりたいけど、現実的に手がまわらなくて出来てないこと」などを提示。「今のミスイの環境を継続したうえで、互いにプラスに持っていけるのであれば」と提案し、いろんな話をしていく中、「手を組むことで、互いにプラスの要素が広がる」と感じたことから、一度その話をバンド内に持ち帰りました。
その内容をバンド内で改めて話しあった中、とくに、今のミスイが必要としていたメディア展開の部分などは、PARAGUAS inc.と手を組むことで広がりを出していける。他にも、いろんなプラスの要素が見えたことから、「じゃあ一緒にやろう」と話がまとまり、後日、メンバー全員とPARAGUAS inc.の代表と改めて話しあいの場を設け、今に至る形を作りました。
――お互いに対等の立場というのが、大切だったわけですね。
LANA-ラナ– :そこは、何よりも大切でした。嬉しかったのが、いわゆる「うちが面倒みたるぜ」の姿勢ではなく、「一緒にやりましょう」と言ってくれたこと。代表のその姿勢が、僕らは好きなんですよね。
柳 :自分たちのペースが第一優先と理解していただいたうえで、今回の所属という形での提携を結んでいます。何より、僕らが走り出すために入れたかったギアを、「バックアップする」と言ってくれたことも大きかった。
普通なら、レーベルや事務所へ所属すると、次々と作品をリリースし、大々的にツアーを組むなど、活動の頻度を上げてゆく形が多くなるのが一般的かも知れない。でもミスイに関しては、所属したからと言ってライブ本数が増えるわけでも、リリースが増えだすわけでもなければ、これまでと活動のペースが極端に変わるわけではない。でも、「ここぞ」というタイミングでギアを入れるとき、自分たちでは出来なかったところでのサポートを含め、レーベル側が強いバックアップをしてくれる。
LANA-ラナ–:まさに二人三脚の関係なんですよ。
柳:普通、レーベルへ所属したら、大きなことをドカーンと発表しがちだと思いますが、僕らとレーベル側が最初に取った行動が、「改めてバンドを原点回帰しよう」という姿勢。だからレーベルへの所属発表のときに、活動初期の衣装姿で、バンドの始まりを告げた『焼却炉』のMV(https://www.youtube.com/watch?v=jJPFx5s_b_E)を制作し、発表をする形を取ったわけです。その手法を用いたことで、僕ら自身も、改めてバンドの姿勢を見つめ返す機会を設けられたのも良かったことでした。そのうえで今、水面下で、新たなギアを入れるための準備も行っています。
湊人 :弱虫(ミスイファン)たちも、初期衣装姿で『焼却炉』を改めて演奏しているMVをすごく喜んでいますからね。
Tetsuya :もちろん、僕らも変化を求めたから今のスタンスを取ったわけで、変わらない面もあるけど、物理的に変わる面は今も、今後もいろいろ出てきます。それに対して拒否反応を示すファンもいるかも知れないけど。僕らが手を組んだのは良かったことだということは、これからのミスイの活動を見て証明していけば良いことだと思ってる。むしろ、ミスイの可能性が広がったことに、今、期待を向けている状態。あとは、僕らを信じて、変わらずついてきてくれたらなと思っています。
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俺は言いたい。「“弱“をコンセプトにしているバンドが好きで応援してるんだろ。俺が弱音を歌った曲のファンなのに、なんで、俺が弱音を吐いているのを見て「元気を出してください」と逆のことを言うんだ」と(笑)
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――先に、「まずは10年続ける」目標を立てたのもいいですね。
柳: この業界って、「生き急ぐことが正義」のような風潮があるじゃないですか。最初からスタートダッシュをかけ、そこから何年かでここまでいかなかったら、その後のバンドの見込みはないというような。確かにスタートダッシュの大切さもわかるけど、最初に頑張りすぎて、次第にガス欠になって続かなくなる。一時期、「3年が勝負」と言われていたのも、そういう風潮があったからだと思いますけど。今はもうそういうやり方を求めるのは違うんじゃないかというのが、みんなの中にはありました。
もちろん、みんなが短距離走になることを納得して始めるのなら、それも良いことですけど。ミスイのメンバーは、みんながみんな短距離走に向いているわけでない。それよりも、5人がしっかりとバンドへ向き合いながら、自分たちに無理のないペースで続けることが大事。もちろん、活動していく中でピンチへ陥ることはあろうとも、そこで倒れないペースで活動をしてゆくことを、このバンドでは何よりも重視してきた。そうやって続けてきたことで、間もなく4周年を迎え、5年目へ突入してゆく、今のミスイがあるわけです。
――ミスイが揺るがない活動をしてゆく背景には、バンドとして明確なコンセプトを提示している面もありますよね。
柳 :「弱」のことですね。「弱」と一口に言っても、そこには「力が弱い」から「心が弱っている」まで、いろんな意味が含まれている。自分自身、もともと性格が暗ければ、ポジティブな歌詞を書くのが苦手な性格。だったら、どんな弱音を書こうが、バンドのコンセプトが「弱」なんだから、それでいい。むしろ、それがいいじゃないですか。
たまにファンの子たちに「もっと自信を持ってください」と言われるんだけど。でも、そういう奴らに俺は言いたい。「“弱“をコンセプトにしているバンドが好きで応援してるんだろ。俺が弱音を歌った曲のファンなのに、なんで、俺が弱音を吐いているのを見て「元気を出してください」と逆のことを言うんだ」と(笑)。俺は、普段なら吐き出せない弱音を、楽曲を通して吐き出している。変に「おらー、頑張るぞ」と背中を叩くのではなく、「心が弱いのはあなただけじゃない」「しんどいよね、俺もそう「その気持ちわかるよ」など、そうやって弱さに寄り添える存在でありたいし、そういう歌詞の表現をミスイでは心がけている。
例えばの話、コンポーザーの天音は形にしてゆくジャンルの選択肢を多く持っている。そのうえで今は、ミスイの世界観という枠を上手くコントロールして表現しているけど。もし今後、ガラッと色の違う曲を持ってきたとしても俺はかまわないと思ってる。何故なら,その曲に自分が「弱」の言葉を書き記すことで、それはミスイの色に染め上げていける自信があるから。
天音 :たとえ表現の選択肢を広げても、最後は、柳さんがしっりと色を持ってまとめあげてくれる。そこの安心感は確かにありますよね。
柳:うちのファンのことを、僕らは“弱虫“と名付けている。ミスイのファンになるということは、弱虫という言葉がついてまわること。ファンの人たちはみんな、その言葉を背負う覚悟でファンになっている。それも嬉しいですよね。
――9月28日には、池袋EDGEを舞台にミスイの始動4周年単独公演「一蓮弱生」も決まっています。最後に、そこへ向けての思いもお願いします。
湊人: 始動ライブを行ったのが、4年前の9月28日に池袋EDGEでした。そこから毎年、9月末に池袋EDGEで周年公演を続けています。池袋EDGEで周年公演を行うことで、自分たちでも、毎年「この歩み方をしてきたのは間違いではなかった」と気付くことが出来る。しかもミスイの場合、始動間もなくコロナ禍へ入ったこともあって、2周年のときにはアクリル板越しのライブ、3周年は、多くの行動制限が伴った中でのライブという形を重ねてきました。でも今年は、始動ライブのとき以来の、制約がない中での周年ライブになる。ぜひ、弱虫さんたちに、周年ライブだからこその姿を体感してほしいなと思っています。
柳: もちろん、「ここぞ」というときには、キャパ上げなどの挑戦もしていくつもりだけど。やはり周年ライブは、始まりの地でやり続けたい。そうすることで、自分たちも原点回帰していければ、「ここが俺らの始まりの場であり、ホームなんだ」と確認していけるからこそね。
LANA-ラナ–:そのうえで、これからどう、PARAGUAS inc.とタッグを組み、ミスイがどんなことをやっていくのか。そこを長い目で楽しんでください。
TEXT:長澤智典
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ミスイ「焼却炉」MV(FULL)
https://www.youtube.com/watch?v=jJPFx5s_b_E
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★インフォメーション★
2023年9月28日(木)
池袋 EDGE
始動4周年記念単独公演「一蓮弱生」
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開場 17:30 / 開演 18:00
前売 ¥4,000 / 当日 ¥4,500(各D代別)
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[出演]ミスイ
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●入場特典
4周年記念動画
『メンバーの解説付きで1年前の単独公演「弱み、骨髄に徹す。」を観てみよう』
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[チケット]e+
Aチケット プレオーダー
〈受付期間〉7/7(金) 12:00 ~ 14(金) 18:00
〈入金期間〉7/19(水) 13:00 ~ 22(土) 21:00
Bチケット 一般発売
〈発売日〉7/29(土) 10:00
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