2019年07月05日 (金)
【ライヴレポート】<怪人二十面奏 セカンドアルバム「聲命力」発売記念主催イベント 「赤羽頽廃芸術転獄」>2019年6月26日(水)赤羽ReNY alpha◆
REPORT - 11:10:23
6月26日、赤羽ReNY alphaでイベント『赤羽頽廃芸術転獄』がおこなわれた。これは、怪人二十面奏による初の主催イベント。
彼らに負けず劣らず個性的な面々が顔を揃え、見ごたえたっぷりの充実した一夜となった。
トップバッターを飾ったのは、ex.NoGoDの華凛などから結成されたロマン急行。
出演バンドの中では新人バンド的な存在ではあるが、そこはキャリアを重ねたメンバーだけあって、既に確立した個性と勢いを見せつけるライヴとなった。
和泉隆宏のアカペラの歌声から「掃き溜めのメロディ」で幕を明け、一気にオーディエンスを引き込むと、積極的に煽って会場を盛り上げていく。
黒いパンツ(ズボンではなく)、素肌に派手なコートといういでたちの和泉はインパクト十分。
剥き出しの人間臭さを放ちながら、キャッチーなメロディを歌い上げた。歌を支える楽器陣の安定感も相まって、強い印象を残したのではないだろうか。
続いて、怪人二十面奏とはレーベルメイトの仲であるThe Benjaminが、手拍子の中、にぎにぎしく登場。
そのお洒落なヴィジュアルどおり、上質なポップセンスから生まれるサウンドを展開。
弾けるように明るく、ときに一緒に踊りたくなるようなダンサンブルなビートを聴かせ、オーディエンスを巻き込んでいく。
最後の「バトンタッチ」では、三人三様の個性溢れる歌声とコーラスワークで、ドラマチックな歌と切なるメッセージを届けてくれた。
メンバー3人が交互にメインヴォーカルを取るスタイルなど、その個性と魅力に対して自らが自信と信頼を寄せている、そんな安心感の感じられるステージだった。
水滴の音、ミミズクの鳴き声。
会場を森の中へと一変させたのは、結成一周年を迎えたばかりのMIMIZUQ。
一曲目に届けられた「ずっと好きでした」の甘く切なくロマンチックな歌は、自分たちの音楽をナミダミュージックと称する所以。
一転、激しく荒々しい一面を見せつつも、楽し気な空気がステージからこぼれ出していく。
そして最後は「Grand Guignol」。
もの悲しいけれど優しい空気が、静かに会場を包み込んだ。
音楽を通して風景を見せ、感情を伝え、物語を描く、彼らならではの表現が明確で、わずか5曲ながらひとつの世界をくっきりと描き出した。
ロックバンドばかりが出演するイベントに、あえてアコースティック形式のライヴをおこなうという挑戦的なスタンスで挑んだのは、LIPHLICH。
シャンソンを彷彿させる「雨模様」をはじめ、高いテクニックを見事にコントロールした歌声を聴かせ、さらに芝居っけたっぷりに曲ごとに別人になり切る久我新悟の個性が際立つ。
大人っぽいシックな空気感でもって会場を圧倒し、世界を構築しつつも、余裕さえ感じさせる自然体のステージに、彼らの高い実力を目にした。
新ベーシストに竹田和彦を迎え、再び4人の完全体制となった彼らの今後がますます楽しみだ。
逆にメンバー脱退を乗り越え、二人体制の中、積極的な活動を続けるKraが続いて登場。
「LOAD MY HEART」から、勢いでぐいぐいと引っ張っていきながらも、MCでは「しゃべろっか」とあくまで自然体の景夕が空気を和ませるのも、彼らのライヴならでは。
知り合いがいっぱいという、このイベントを彼もおおいに楽しんでいたようだ。
ハードなナンバーが中心だったこの日のステージでは、これまでになく猛々しいコーラスを響かせていた結良の姿も目を引いた。
激しく荒々しいライヴにおいても、力まかせではないコントロールの効いたパワーを見せつけたのは、9月に結成18周年を迎えるキャリア故だろう。
イベントのトリを飾るのは、もちろん怪人二十面奏。
「ダムド」から一気にスピードを上げるように突っ走っていきながらも、マコトは傀儡のような動きを見せ、彼ならではの節回しを聴かせる。
出演者へのお礼を口にすると、この日発売されたアルバム『聲命力』への自信を胸に、「騙されたと思って、アルバムを聴いてください」と紹介した。
アルバムで新たにレコーディングした「噫無情」から、さらに収録曲を続けていく。
初めて見る人にもジャンプを求め、ノリノリの中にも情感を漂わせた「狼」。
続く「G.Jクローバー連続殺人事件」では、冒頭の語りから、バンド名にふさわしい世界観を一気に立ち上がらせながらも、さらに声を求め、一緒に踊り、ライヴ感やバンド感といったロックバンドならではの魅力を撒き散らす。
あと一曲だけと、最後はアルバムタイトルと同じ「生命力」。真に迫った歌を聴かせたマコトは、最後まで高い集中力で全力を出し切った。
鳴りやまないアンコールを求める声に、再び登場したマコトとKEN。
主催とはいえ、ほかの出演者同様、アンコールは予定していなかったと笑顔で挨拶をする。
各出演者、そして足を運んだ観客みんなに拍手を送ると、満足そうな二人の笑顔を残し、イベントは終了。
主催イベントを大成功に終わらせた怪人二十面奏は、単独巡業公演二〇一九「汎幸聲命」に出発した。
7月25日TSUTAYA O-WESTで迎えるツアーファイナルでは、自信たっぷりのアルバムをさらに成長させて披露してくれることだろう。
文:村山 幸
撮影:米田 光一郎
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■怪人二十面奏
http://k20.jp/
怪人二十面奏 単独公演巡業二〇一九「汎幸聲命」
2019年6月30日(日)横浜Music Lab.濱書房
2019年7月7日(日)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2019年7月14日(日)心斎橋FANJ
2019年7月15日(月祝)奈良NEVER LAND
2019年7月25日(木)TSUTAYA O-WEST
■ ロマン急行
http://romankyuko.net/
■ The Benjamin
http://thebenjamin.jp/
■ MIMIZUQ
https://mimizuq.com/
■ LIPHLICH
http://www.liphlich.com/
■Kra
http://kra.tokyo/
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