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2023年08月22日 (火)


【ライヴレポート】<DEZERT PARTY Vol.13>2023年8月17日(木)新宿BLAZE◆異なった強い癖を持つバンドたちが集い、4時間近くにわたり繰り広げた熱演。

REPORT - 20:00:45

よくぞここまで、というほどに。今宵、新宿BLAZEにて盛大に行われた[DEZERT PARTY Vol.13]の場には、それぞれに異なった強い癖を持つバンドたちだけが5つも集い、実に4時間近くにもわたる熱演を繰り広げることになったのだった。

 

ちなみに、この[DEZERT PARTY]自体はタイトルのとおりDEZERTによる主催イヴェントとしてこれまでも不定期開催されてきたものとなり、今回は20187月以来となる約5年ぶりでの実現が叶っためでたき一夜でもあったという。

 

 

 

そして、そんな晴れの場においてまずオープニングアクトとしての役割を果たすことになったのは、今年2月に始動したばかりの新バンド・CHAQLA.

 

 

特にSEなどを鳴らすことなく、いきなり幕が開いた途端にメンバー5人がステージに整列して深く礼をしながら発したのは、「よろしくお願いします!!」の好感度あふれる一言。

それに対しての温かい拍手が客席から送られると、彼らは勇気づけられたかのように気合い入れの雄叫びを思い思いにあげつつ、1曲目となるミクスチャーロック色の強い「リーインカーネーション」を鬼気迫る勢いでぶつけてきたのである。

この好機を逃してなるものか、という強い気概が彼らの放つ音と一挙手一投足には良く表れていた。

「シーンで真っ直ぐに突き進んでいる先輩方と同じステージに立てていることを誇りに思います。今日はありがとうございました!

俺たちはこのバンド・CHAQLA.に誇りを持って活動しています。以後、お見知り置きください!!」(ANNIE A

 

4曲目の「PLAYBACK!!」で曲の途中にイヴェント運営側から強制的に幕を閉められるまで、持ち時間を目一杯使ってアピり倒したCHAQLA.の貪欲な喰らいつきぶりは、確実にこの[DEZERT PARTY Vol.13]に対する爪痕を残したに違いない。

 

 

 

 

かと思うと、そのあとに1番手となった甘い暴力は登場SEが響きだすと同時に客席側のドアから堂々と入場し、なぜかメンバーが個包装のお菓子と満面の笑顔をあたりに振り撒きながらステージへと上がっていくことに。

「いきなりすいませんね。今日はデザートパーティですから、ちょっとデザートを配らせていただきましたよ。我々、甘い暴力と申します。よろしくー!」(咲)

「ちょっと待って、待って。デザートはデザートでも意味が違うやないの!」(文)

「うわぁー、間違えたぁー」(咲)

「もうこんなに使えないヴォーカル、初めてやわぁ~」(文)

 

この新喜劇を思わせるような素晴らしき茶番から始まったのは、観客側からの“使えねぇコール”が発される中でプレイされていくことになった「使えね。」。

また、これに続いた「頭がハッピーちゃん」もどちらかと言えばネタ要素の滲む面白いものとして感じられたが、一転しての凶悪なヘヴィサウンドが響いた「ミナゴロシ」では彼らのカッコ良い部分が存分に発揮されていたほか、咲の繊細なヴォーカリゼイションが映えた「噛み痕」ではセンチメンタルな甘い旋律が観衆をじわじわと魅了。

正味なところ、このバンドはやり口が相当ズルい(無論これは褒め言葉!)

 

 

 

なんでも、フロントマンの咲はDEZERTの千秋を意識したツインテールでこのステージに臨んだそうであるが、そうした細かい気配りも含めて彼らは人心をつかむのがやたらと上手すぎる。

そのうえ、楽曲完成度や演奏面でも手堅いと来れば怖いものナシではないか。決して器用貧乏なスタイルに陥ることもなく、最終的には「暴動」でキッチリと場を煽りきって締めくくったあたりの手腕もお見事と言えた。

 

 

 

 

なお、ここまでがDEZERTにとっての後輩バンドたちによるステージングであったのに対し、3番手としてドラマティックな「クロアゲハ」からライヴをスタートさせたRoyzは、言うなればDEZERTとはほぼ同期と言っていい間柄のバンド。

特に、昨年10月に[DEZERT × Royz “デザートとロイズでアナタのハートに火はツキマス~?…多分ダイジョウブデスっ! ]で2マンライヴを実現させたのを機に交流が深くなったそうで、どうやらこのタイミングでの再共演は両バンドにとって大きな意味を持っていたようだ。

 

 

 

「今日は[DEZERT PARTY Vol.13]ということで、彼らが主催イヴェントをやるのは5年ぶりらしいんですが、

こうして声をかけていただけたのは非常に嬉しい限りです。ありがとうございます!(中略)

今日はDEZERTと楽屋が一緒で千秋ともけっこう話をしてたんやけど、実はRoyzってあんまりトモダチいない系バンドなのよ()

でも、去年くらいからDEZERTといろいろやるようになって来ててな。正直、こんなこと面と向かっては言わへんけどメチャクチャ嬉しい。

あいつらからもらったものってホントに凄くデカいし、いまだにいろいろ刺激を受けてるし。

そんなDEZERTの主催に出させてもらった以上、僕らもミュージシャンなんで。

結局ライヴをかましていくしかないと思うんで、お礼の気持ちはしっかりここでのライヴで返していきたいと思います」(昴)

 

高い歌唱力で楽曲に命を吹き込む昴、テクニカルにしてエモいギターフレーズを奏でる杙凪、

得意のスラップを駆使しながらグルーヴを生み出す公大、的確でありながらも高揚感のあるドラミングが頼もしい智也。

この4人からなるRoyzは、来たる824日にZepp Shinjukuにて[SUMMER ONEMAN TOUR[地獄京]]のツアーファイナルを迎えるとのこと。

彼らの勇姿をワンマンでも拝みたいという方々は是非是非!

 

 

 

 

 

さて。ここからはやや個人的な見解に終始してしまうことになるのだが、この日イヴェントのトリ前という重要なポジションを担ったBugLugのライヴには心底驚いてしまった、というのが偽らざる当方の本音となる。

実は、彼らが活動を開始した2010年から数年は某音楽雑誌で毎月といっていいほど取材をさせてもらっていたものの、その雑誌が休刊となってしまって以降は残念ながら彼らとの縁が遠くなってしまい、なんと筆者にとってはこれが10年ぶりに観るBugLugのライヴであった。

 

 

 

「久しぶりにBugLugを観る人、初めて観る人もたくさんいると思うんだけど、全曲盛り上げて帰るのがBugLugのライヴです。いいですか!」(一聖)

 まさに“久しぶりにBugLugを観る人”そのものだった自分からすると、いきなり野性全開のプリミティヴなリズムが躍動した「猿」といい、一聖の「全てに制裁を!」という叫び声から始まった殺伐チューン「ギロチン」にしても、とにかく全てが鮮烈で赤裸々で刺激的で、10年前のやけにキラキラしていたBugLugとの大きなギャップには半ば戸惑ってしまったほど。

当然インターネットを介した情報などから、彼らがここまでに紆余曲折を経てきたこと自体はいくらか知っていたつもりだったとはいえ、やはり生のライヴに接した時の臨場感や説得力に勝るものなどあるわけがない。

「勝手なワガママを言わせてください。どんな会場だろうと、どんなライヴだろうと、必ず“ひとつ”になりたいんです。

けっこう無理難題かもしれないけど、それはずっと俺の抱えてる使命だと思ってて、今日もそれを実現させるために歌ってます」(一聖)

この夜、一聖がMCで口にしていたこの言葉。それは916日に控えているBugLug主催フェス[バグサミ 2023]の場でも、必ずや体現されるものと確信する。

 

 

 

 

かくして、それぞれに異なった強い癖を持つバンドたちが、やりたい放題にやり散らかして行ったあとの焼け野原。

そこに降りたったうえで、これまたオーガナイザーだからこその貫録と彼らならではの癖をしかと提示してくれたのは、他ならぬDEZERT

「さぁ、[DEZERT PARTY]始めますよ!」(千秋)

 

6月から始まって827日の大阪公演まで続く[DEZERT LIVE TOUR 2023 “きみの脊髄と踊りたいんだっ!!ツアー”]のちょうど只中でもあるせいか、たとえば「君の脊髄が踊る頃に」をとってみても彼らの繰り出すバンドサウンドは極めて活きが良く、アブラのノリ具合もすこぶる良い印象。とことんリハで仕上げてきましたという風情の型にハマったバンドサウンドとは全く違う、ライヴの場で叩き上げてきたからこそのダイナミックで余裕のある音を、DEZERTはこの場でいかんなく発してみせた。

 

 

元をたどれば、今年に入ってからのライヴ活動はどれも923日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) で行われるDEZERT SPECIAL LIVE 2023 -DEZERT-]を視野に入れた中で彼らが積み重ねてきたものでもあると言えそうだが、その策は完全に吉と出ていることになろう。おそらく、この様子だと渋公でも彼らは圧勝出来そう。

「今日は僕たち自身がただ純粋に「この場を楽しみたい」という、そんなセットリストにしてきましたので。

あまり深く考えず、踊っちゃってはどうでしょうか?」(千秋)

 

 

 

 

新宿BLAZEでのライヴとあって、千秋が「新宿ヘッドロック!」と曲紹介した「大塚ヘッドロック」では場内が右へ左へと揺れる、V系ライヴではおなじみの横モッシュが発生。また、曲の途中でスタンディングの客を全員フロアに一旦座らせてから飛ぶように促した「「秘密」」や、DEZERTのファン以外にも広く認知されている鉄板楽曲「「君の子宮を触る」」でも場内のテンションは常にフルゲージをマーク。

 

くわえて、O.A.としての功績を認められたCHAQLA.ANNIE Aが千秋に急遽召喚され、Sacchanと共に客席へと派遣された「包丁の正しい使い方~終息編~」ではウォールオブデスでカオスな空間が生まれることになったりもした。

 

 

 

 

「やっぱタイバンって楽しいんでね()。また[DEZERT PARTY]はそのうちやりたいと思います。生きてて良かったなっていう夜をまた一緒に感じましょう!

そして、今日ここに出てくれたバンドのみんなありがとうございます!じゃあ、ラスト1曲はみんなでいきますか!!」(千秋)

 

 

 

 

ここで選曲されていたのは、その不穏なタイトルに反してこれまでもセッションの際によく重用されてきた「「殺意」」。

各バンドのヴォーカリストが全員マイクを持ち、楽器隊メンバーたちまでもが仲睦まじく入り乱れる光景からはむしろ殺意など微塵も感じられず、至って友好的な尊いひとときが育まれていったことは言うまでもない。結果、気付けば時間は終了予定時刻を40分以上も過ぎた22時の少し前。

 

 

 

 

 

よくぞここまで、というほどに強い癖を持つバンドだけが5つも集った[DEZERT PARTY]は、最高の宴として全参加者の記憶に深く刻まれたのではないかと思う。

 

 

 

写真◎Taka”nekoze photo”

文◎杉江由紀

 

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DEZERT PARTY Vol.13 

2023817() 新宿BLAZE

SETLIST

 

CHAQLA.(OA)

1.リーインカーネーション

2.ミスキャスト

3.POISON

4.PLAYBACK!! ※途中まで

 

甘い暴力

1.使えね。

2.頭がハッピーちゃん

3.ミナゴロシ

4.噛み痕

5.首絞めマアチ

6.暴動

 

Royz

1.クロアゲハ

2.killing Joke

3.キュートアグレッション

4.丸の内ミゼラブル

5.ANTITHESIS

6.RAIZIN

 

BugLug

1.

2.ギロチン

3.HEISEI OUTSIDER’S

4.

5.Ressentiment

6.ひとりごと。

 

DEZERT

1.Call of Rescue

2.君の脊髄が踊る頃に

3.大塚ヘッドロック

4.「秘密」

5.「君の子宮を触る」

6.包丁の正しい使い方~終息編~

7.切断

8.「「殺意」」

 

 

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