2023年08月28日 (月)
【ライヴレポート】<ギル「Birth of G」>2023年8月21日(月)高田馬場CLUB PHASE◆祝福を浴びてスタートした、新たなる1年
REPORT - 18:00:46今年4月25日、ソロとして初めてステージに立ったギル。その際、ゲストに迎えたheidi.は、ギターのなおと10代の頃に専門学校時代に出逢った旧友、5月21日、2ndライヴのゲストはAngeloメンバーでもあるKOHTA、6月11日には、かつてヴィドールとして同じステージに立っていたRameのバースデー・イベントに参加…と自身の歴史をなぞりながら、ソロ活動のキャリアを重ねてきた。そして遂に、8月21日、ギルの誕生日当日に“Birth of G”と題し1stワンマン・ライヴを開催。この半年弱という短い時間にも関わらず、確実に前進していることをステージで体現してくれた。
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カラフルなライトが交差する中、サポート・ドラムのばる(DuelJewel)、サポート・ベースの高井淳に続き、最新アーティスト写真の衣装と同じブリティッシュなチェックのタイト・スーツをまとったギルが登場。ライヴは2nd音源「DAWN OF FLAME Ⅱ」収録の勇ましいナンバー「革命」から。導入部分を弾き、ギターを高々と掲げ、ギターのネックにキス! 巧みなプレーのみならず、魅せることもおこたらない。ちょっとしたミス・タッチでペロリと舌を出して笑顔になるのも、ご愛敬だ。続く「meteor」ではグルーヴィーなイントロで、サポートの高井淳、ばると息の合ったところをみせる。手元に集中するばっかりではなく、顔の表情、口の動きでも客席にアプローチしたかと思えば、ステージを右へ左へと自由に動き回ったり。ギルの姿を見ているとセンターに立つ重責より、自分が空間を自由に操れることを楽しんでいるように見える。そしてマイクに向かって一括して始まった「Brutal Predator」(新曲)では、お客さんを煽ったり、ところどころで唄ったり。それに対してオーディエンスもリズムに合わせて右手を挙げたままジャンプしたり。ギタリスト・ギルというよりも一アーティストとして自由に表現しているのが見て取れる。
“ようこそ! 今日という日を待ちに待ったみんな、俺もこの日を待っていたよ。こういう形でみんなの前に現れられることができて嬉しいです。今日は僕のギターと、素敵なミュージシャンたちと、この音楽で素敵な1日を作り上げていこうと思います。楽しんでね”
軽く挨拶した後は、オリエンタルな空気を漂わせる「バビロン」へ。独特なスケールを使ったギター・フレーズは、まるで中近東へ誘うかのよう。ちなみに本曲は、ライヴ当日から発売されている3rd音源「DAWN OF FLAME Ⅲ」の1曲目に収録されているが、ライヴの時点で我々は初めて耳にしただけに、またまた新たな世界観を出してきたなとオーディエンスも驚いたに違いない。静かなアルペジオとギルの唄で会場を包んだ「Exceed 」、こちらも最新作に収録されている。ところどころ聞き取れた歌詞から想像するに、優しげな曲調とは相反するような強い決意が唄われているようだ。耳障りのいいサウンドで、そういった内容を唄で伝える、ある種、ミスマッチな組み合わせ方はギルらしいさの1つかも。次は同じアルペジオ始まりでも、「Tiny Grace」の明るく柔らかな世界観。高井淳、ばるのサウンドにしっかり支えられながら、ギターで思う存分唄うギル。メロディーは肉声でなくてもギターの音でしっかり伝えられるんだと、証明してるかのようにも感じられる。これこそがギタリストのソロ・ライヴのといったところだろうか。目は口ほどに物を言う、という言葉があるが、ギターは口ほどに物を言う、という言葉が新たに生まれそうだ。間違いなく、ギルが伝えたい感情は、1音1音を通じて我々オーディエンスのしっかり伝わったことと思う。
“今日は冒頭から知らない曲があったけど、一緒に跳んでくれて、今日は俺を祝ってくれる気持ち100%で来てくれてるんだな、見て直ぐにわかって、とてもとても愛されてるなって感じてます。どうもありがとう。次に演奏する曲も未発表曲になるんだけど、想いが詰まった曲になので楽しんでください”
そんなMCを挟み、「炎舞曲」(未発表曲)のかわいげな音色の同期のイントロが流れると、すぐさま手拍子を求めるギル。おとぎ話のような雰囲気かと思いきや、転調に転調を重ね、途中で4拍子から3拍子へと変わり再び4拍子へと変わり…と、なんとも奇奇怪怪な構成でビックリ。けれど、曲の難解さを感じさせないのは、一環して美しい流れるようなメロディーをギルがギターで唄い上げていたからだろう。このクセ強めの感じも、彼のオリジナリティーの1つなのかもしれない。かと思えば「BREATH」では草原を駆け抜けるような疾走感溢れる爽やかなサウンドの中でメロディーを奏でたり。ストレートなアプローチのこの曲では、お客さんたちも自然と身体を揺らして楽しむ。客席が一体となるこの空間の有り様は、巷でよく言われる、ギター・インストゥルメンタルのライヴは退屈だというネガティヴなイメージを払拭するには十分すぎる。次の「JIHAD」の曲中では、ばる、高井淳がフィーチャーされるソロ回しの箇所で、それぞれがアドリヴ演奏を披露、自分の順番でギルは「ミッキーマウス・マーチ」と思われる1フレーズを奏でるなど見どころ満載。ちゃめっけたっぷりのステージは、お客さんを笑顔にさせたことはいうまでもない。
“みんなと一緒に楽しめるように、いろんな仕掛けを入れてこうと思ってね(笑顔)。今日を素敵な想い出として持って帰ってもらいたいから。そして、これからのセクションでは僕の音楽人生において欠かせない曲たちを披露していこうと思います”
そう前置きした後、流れてきたのはゲーム好きならすぐわかる「FFテーマ」。多くの人に愛される有名ゲームのあの曲をギル流に演奏するとこうなる、と見せ付ける。その後には、THE YELLOW MONKEYの「JAM」、LUNA SEAの「Desire」のカヴァー。一応、ギターを弾きつつも、どちらかといえばギターよりも唄に集中といったところか。また、カラオケなどで唄い慣れているのか? 気持ちよさげに、たっぷりと唄い上げていたのが印象的。そして長年、ギルを応援しているに人にとっては涙ものの「カラクリロマンス」(ヴィドール)の演奏へ突入! この予想外の展開にファンは狂喜乱舞したのはいうまでもない。さらに驚かされたのはギターも置いてヴォーカリスト専念したこと!(ギター・ソロではしっかりギターを弾いていた) まさかギタリスト・ギルがギターを持たずしてステージに立つ日がくるとは(笑)。
“あり得ないことを突然やり出すのが俺だから(笑)。でも、みんな付いてきてくれて愛を感じます。ソロだし、誕生日だし、ワンマンだし何でもいいんだよって、みんなが思ってくれてるのを感じます。今日は俺が楽しければ何でもいいじゃん?いうのが大前提にあって。僕のやってることに瞬間的に反応してくれてるみんな、最高です!!”
今夜のライヴ・コンセプトにも触れつつ、“誰にでもある苦難、困難は誰にでもある。乗り越えていけるよね”という想いを曲にした、と曲の説明を軽くしつつ初披露したのは「Beyond the crisis」(3rd音源「DAWN OF FLAME Ⅲ」収録)。その後、「Liberty」を力強く高らかに唄い上げ、“行くぞー!”の掛け声と会場との掛け合いから「arise」へ。曲の合間のコール&レスポンスは今夜はちょっと長め、いわゆる通常のコール&レスポンスにはじまりライヴ・タイトルを叫ばせたり、物販タオルのハートを見せて“トゥンクトゥンク”と変拍子の呼びかけでレスポンスを求めたり、今夜のギルはやりたい放題!
“みんな、いい感じだよ! 今夜のこの空気感なら、この強引な感じにも付いてきてくれると思ったんだ。付いてきてくれた人は心から愛するよ!! 楽しいことはこれからも続くんだぜ。これから始まる俺の栄光の1年、みんなの祝福を浴びて、新たなスタートを切るから”
そう言って演奏したのは「Departure」。晴れやかな表情でメロディーをつま弾くギル、清々しい表情はみんなを笑顔にさせた。演奏後、ワンマン・ライヴの感想を語りつつ、感謝の意を述べたギル。最後にはライヴ恒例、サポート・メンバーと手を繋いでのジャンプ、会場にいるすべての人を笑顔満開にさせた。
サポート陣がステージを後にした後、その日のライヴの感想を語り、テンポを下げたリアレンジの同期演奏に合わせ、ハンド・マイクで「Liberty」を情感タップリに唄い上げたギル。自身の人生で初めて唄にチャレンジした本曲の唄、このヴァージョンで、歌詞の込められたソロ・アーティストとしての覚悟が、ビンビンと響いてきた。歌い終えたギルは会場の皆々に丁寧に手を振っていく、あふれんばかりの笑みを浮かべて。
“今日は集まってくれてどうもありがとう。やれることを出し尽くしたかなって感じで、とても満足しています。最後の最後、唄で締めるのはどうか?と思ったけどチャレンジをしていかないといけないなと思って。今日は伝説の始まりの日くらいに思ってるんだ。それくらい大きなものと受けとめて、これからも、みんなと一緒に最高の時間を過ごせるようにやっていくから。これからも楽しんで行こうぜ!”
そう言って、手を振りながらギルはステージを後にした。長いMCの中に、“史上最高の8月21日を作るがテーマだった”と語っていたギル。そんな特別な日にするため、主役であるギル自身が誰よりもたくさんの準備をしてきたことは、今夜のストーリー性のあるセットリスト、サプライズなカヴァー、ハンドマイクでの歌唱、サポート陣を巻き込んでの数々の見せ場などをみれば明らか。いかにも手を抜かないストーリー性を重んじる男=ギルらしい1stワンマン・ライヴだったのではないだろうか。
ソロ活動がスタートして半年足らず、幾度かのステージを経て、ギルの表現も唄も徐々に進化している。そしてライヴ当日、はやくも3作目の音源「DAWN OF FLAME Ⅲ」をリリースするという、そのペースの速さに舌を巻くばかり。しかも、どの曲も新たな引き出しを開けて作られていることにも驚かされていたが、今夜、ライヴで披露した数々の新曲が、さらに異なるアプローチだったことは実に興味深い。まだまだギルの中には開けてない秘密の引き出しがありそうだと楽しみしかない。それプラス、ライヴ最後に発表された、誕生日の8月21日の数字を入れ替えた日、12月8日に行われる、“Reverse Honey”と題する青山RizMでの2ndワンマン・ライヴも。タイトルには“今夜、貰いすぎるくらいお客さんから笑顔やパワーを貰ったから、そのお返しをしたい”という意味で付けたのだとか。そんな律儀な考え方も、底知れぬパワーも、チャレンジ精神もギルというアーティストの大きな魅力なのは間違いない。キャプテン・ギルが舵を取る壮大な船旅は、これからもまだまだ続く。その旅の途中で、我々crew(※ギルのファンクラブ・メンバーの呼称)に素晴らしい景色を魅せてくれるに違いない。
Text:Kimico Masubuchi [333music]
Photo:Kenshi Hamamoto
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<セットリスト>
01. 革命
02. meteor
03. Brutal Predator
04. バビロン
05. Exceed
06. Tiny Grace
07. 炎舞曲
08. BREATH
09. JIHAD
10. ファイナルファンタジー: メインテーマ
11. JAM
12. Desire
13. カラクリロマンス
14. Beyond the crisis
15. Liberty
16. arise
17. Departure
18. Liberty(Gt less ver.)
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■「Birth of G」アーカイブ配信中!
★チケット販売:~2023年9月4日(月)23:59まで
★お申し込みURL:https://twitcasting.tv/gtgiru_official/shopcart/252415
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<リリース情報>
★『DAWN OF FLAME III』
2023年8月21日(月)発売
※8月21日(月)1stワンマンlive「Birth of G」高田馬場CLUB PHASEにて会場先行発売
GG21-003 ¥1,500(税込)
<収録曲>
01. バビロン
02. Exceed
03. Beyond the crisis
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<ライブ情報>
「Reverse Honey」
12月8日(金)青山RizM
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ギル Official Site
ギル Official Twitter
https://mobile.twitter.com/gtgiru_official
ギル Official YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/@gt-giru