2023年09月20日 (水)
【ライヴレポート】<MAMA. 1st FULL ALBUM RELEASE TOUR 2023 『復讐』FINAL>2023年9月15日(金)Spotify O-WEST◆ヴィジュアル系に新しい時代を作っていきます!MAMA.ファイナルWESTで高らかに宣言。2024年2月にLIQUIDROOMワンマンも決定!!
REPORT - 20:00:29MAMA.が9月15日に自身最大キャパシティとなるSpotify O-WESTで1st FULL ALBUM RELEASE TOUR 2023 『復讐』のファイナル公演を行った。本レポートではこの夜の模様をお届けしたい。
今年に入って新体制となったMAMA.は<VISUAL HYBRID MUSIC.>を掲げ、精力的に主催ライヴを繰り広げている。7月には早くも快作の呼び声が高い全リスナー必聴の1st FULL ALBUM『ANIMISM』をリリース。活動スピード同様に不気味なほどに早熟なこの作品は、激しさだけに留まらない音楽的引き出しの多彩さと、ヴォーカル命依が紡ぐ内面を抉る世界観がファンのみならず音楽関係者、バンドマンからも非常に高い評価を得ている。
リードトラックとなっているダークバラード「天命の雨」が<週間 USEN HIT SNS ランキング>にランクインしたことも記憶に新しい。
天命の雨 FULL MV
https://www.youtube.com/watch?v=Zy1n7vIyRY0
闇雲に暴れることで満たされるほど短絡的ではない5人と、そのアティチュードに賛同する者たちの答え合わせ。
MAMA.が産み落とした『ANIMISM』という子が全国ツアーを経て、どのような結末を迎えるのか…怪物覚醒の期待感に溢れた観衆がO-WESTに多く詰めかけた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
定刻をほどなく過ぎたところで暗転するとステージ後方に配置されたスクリーンには炎がうつろう蝋燭の映像が映し出される。やがて心電図のようなものに切り替わると一気に切迫感が増す。何かの終わりを告げるようなムードが高まったところでようやく『ANIMISM』の世界観への誘いを告げるSE「KAGUYA」が鳴る。
緊張感を高めながらメンバーが上手、下手と交互に登場。この日の直前からカウントダウン形式で彼らのX(旧Twiiter)にて公開されたニューヴィジュアルに観客も手拍子で応える様は一種の宗教儀式のようだ。
蓮(Dr)の打ち鳴らすドラムをきっかけに背景も『ANIMISM』のアートワークへと変貌を遂げる。序曲に据えられたのは不安定な心象を描きながら闇を這いずり回る「OMEN」。蠢く極悪なリフと退廃的な世界観のなかにも言葉遊びを巧みに用いるフックが冴える。ラップのように、あるいは呪文のように命依(Vo)のヘイト・スピリットが投げかけられる。
<死にたい?消えたい?そうなら僕が君を壊したい>
フロントメンバーは観衆に着かず離れずの距離感で淡々と音を鳴らし、会場はオープニングからクライマックスのような悲壮感に包まれた。
ダークサイドへの傾倒は続いた「BLACK DOG.」でも顕著だ。スクラッチ音や目まぐるしい展開も、一筋縄ではいかない独特かつハイブリッドなMAMA.を象徴するといえる楽曲だ。“愛してる”と繰り返す歌唱の温度が上昇したところで命依の“WESTかかってこいよ!”を合図に披露された「Psycho」で空気はガラリと変わる。ツアーでの成長を感じさせる攻撃性にここまで焦らされたオーディエンスは頭を振り応える。
アルバムの曲順通りに並んだ「不幸物」。
<え、ちょっと待って、、他にも男がいんじゃん 勘繰りすぎてBAD入ってんじゃん?>という衝撃的なリリックを歌う命依は完全に目がキマってしまい、夢遊するようにステージを右往左往する。
▲命依(Vo)
ここまでハードなサウンドながらも世に背を向ける詩世界に倣う陰鬱とした楽曲を中心に進行されたステージ。MAMA.の世界に飲みこまれた観客に火をつけるようなJiMYY(Gt)のギターソロが導入となった「めいさんの生理[現象]」では飛び降りをモチーフにするようなアニメーションを背景に荒々しいステージで一気に扇動する。かごめ(Gt)はステージにおけるそのヤンチャさをWESTでも遺憾なく発揮し、縦横無尽に動いたかと思うと歌唱中の命依に詰め寄りお立ち台を占拠する傍若無人っぷりを見せる。小気味よくステップを踏みながら客席と対峙し堅実にグルーヴを生み出すJiMYYと、メンバーを煽り散らかし荒れ狂う衛星=かごめのツインギターのシルエットの対比も実にこのバンドならではの見応えである。
▲かごめ(Gt)
▲JiMYY(Gt)
ダークなミドルチューンの応酬で鬱屈とした世界を表現し、時折その反動で暴発的な熱量を生むのが他に見ないMAMA.のオリジナリティと言えるが、再び奈落に突き落としたのは、ピアノの旋律に寄り添う演奏が胎動のように柔らかく悲しみの淵へ誘う「天命の雨」。
今しがた生み出した熱を冷気で引き裂くようなミドルバラードでは、非情な蓮のドラムに絡みつく真(Ba)のフレーズが悲しみを増幅させる。孤独に身を投げる命依が絶唱するひとつひとつの言葉にフロアは静まり返った。
▲真(Ba)
MAMA.のライヴは激しさに委ねた狂暴性もあるが、命依の詩世界と共に没入していくような楽器隊のプレイが大きな説得力となっている。
ライヴにおける大きな谷底から這いあがるのではなく、底を這いずり回る「幸福論」でも一聴するとキャッチ―なメロディのボトムを支える真を筆頭に感情過多かつ一心不乱にプレイするメンバーの姿が印象的だった。この世の不幸を一手に引き受けようとする命依に呼応するようにオーディエンスも手のひらを掲げる。
歌詞や言動の端々からも解る、他人の不幸をも請け負おうとする命依の表現方法は極めて精神的なダメージを伴うものであるが、一方で彼自身もまた痛みを負って歩み、このステージにたどり着いている。音楽には希望を与えるものや、ファンタジックに夢を提示するものもある。だが、彼らが現在地でかき鳴らす音楽は虚構ではなくあくまで“現実”である。それもあまりに傷だらけの。
▲蓮(Dr)
スクリーンが深海を想起させる映像で青々とステージを射す。
心地よいメロディと優しい歌唱が意識を朦朧とさせるのは「Nightmare.」。
遠のくような感覚のなかで命依が“どこまでも連れてってあげるから!”と確かに叫んだ。
目を背けたくなる現実から堕ちていく悪夢を自らの手で取り戻そうとせんばかりに<悪い夢はいつか覚めるの>と希望への枯渇を表現する。
MAMA.の楽曲は孤独と絶望への傾倒が占める割合が高いのは事実である。が、『ANIMISM』には、儚い光・希望へ縋る/縋ろうとする人間の願いも込められているからこそ、誰かに届けるべき意義を有している。その誰かを探して彼らは悪夢の中で藻掻き続けている。
“生きるためにここに来たんだろ!”で過熱した「命日」ではJiMYYが“阪神タイガーズ優勝おめでとう!”と時事ネタで茶目っ気を見せ、フロアを左右に分断した「GREEN HEAD MEN」では過激なウォール・オブ・デスからなだれ込むモッシュピットを生み、ツアーの成果をあらわにした。
MAMA.のライヴに来たならこれを聴かなきゃ帰れないでしょ!の「MURDER RED CHAINSAW」ではとうとう制御不可能の大爆発。蓮の加速する荒々しいビートとフロントメンバーが叫ぶパワーコーラスに、ここまで溜め込んだ毒ガスを発散するような壮絶なコール&レスポンス(オーディエンスの声量が尋常ではない!)とヘドバンの嵐が巻き起こる。
タイトルコールで驚きの悲鳴があがったのは、「ERROR-000」。かけがえのない旧体制の楽曲ではあるがここ一番で抜群の存在感を誇る。“これがMAMA.です!よろしくお願いします!”と間奏で命依が叫んだこの名曲、美しいメロディとJiMYYの泣きのギターが観客の心を抉る。
※終演後に命依はX(旧Twiiter)で“俺はこの生きづらい地球という星に、ERROR-000という名前をつけました。だからみんなの歌だ。”と投稿している。
ラストに披露されたのは「Dystopia」。鍵盤のイントロから疾走する展開とこれまた美しいメロディが秀逸であり悲哀な1曲だ。
“信じたいものを信じて生きてほしい!……その信じたいものになりたい”絞りだした万感の言葉にオーディエンスも完全燃焼で応える。
<くだらないモノは「愛」とは呼ばない>
<くだらないモノを「神」と呼ぶでしょう>
このツアーの終着地を“ディストピア”と表現したうえで、尚それでも歩む。
彼ら自身が救われてきた原体験。絶望からの救済。毒されたディストピアの中で最後に安らぎを求めるように希望へ縋る鬼気迫るプレイの壮絶な残響が鳴りやむと、一呼吸置いて静かに拍手が沸き起こった。
アンコールの声にほどなくしてステージに戻ってきたメンバー。
かごめ、真、蓮はツアーTシャツに着替え、本編の緊迫感からはいささか解き放たれているようだ。
・・・そんなこちら側の思考をブチ破るように、投下されたのは「ぼくらの病名は「人間」でした。」
お馴染みのキラーチューンはこの日1番の熱量でフロアを焼け野原に変えてみせた。
次なる火薬の投下を待ち侘びるオーディエンスを制するように命依がマイクをとった。
<こんな難しい時代にヴィジュアル系やってます>
<なんかのランキングに載ったとかどうでもいいんですよ>
<ライヴと音楽には自信あるから>
愚直な言葉の数々は命依らしく素直で想いのこもったものだったが、最後にこう付け加えた。
“死なないで、生きてくれ。今日死のうじゃなくて、明日何をしようの方がいい。明日から何をしよう…そんな世界に連れていってあげる”
「Wednesday.」
ラストに披露されたのは火薬でも毒薬でもなかった。
『ANIMISM』のクロージングに配されているナンバーだ。
確証のない希望に想いを馳せ、自ずではなく、自ずを必要とする存在に向けて放つ優しいバラード。
悪夢を解き放ち、祈り願う。暗闇に一筋射す光はあまりに眩く世界を溶かしていった。
“ヴィジュアル系に新しい時代を作っていきます!MAMA.です。ありがとうございました!”そう叫び5人は礼儀正しくステージを去った。
「復讐」と題されたはずの、この夜のラストシーンである。
以前ライヴで命依が“若手ナメんなって教えてやろうぜ!”と吠えていたことがある。
HYBRIDを提唱しながら、あくまでVISUALであることを継承する彼ら。
このヴィジュアル系というジャンルから受けてきた影響や恩恵、感謝・敬意を感じるが故の言葉であるが、MAMA.にとっての産みの“親”である偉大な先人たちの音楽や生き様を見て育ったからこそ、自己と向き合うストイックな道を彼らは選び続けている。
ヴィジュアル系に救われたヤンチャな5人の子どもたちは今、確実に新たな子どもたちを救うための音を鳴らしている。
この日は『ANIMISM』に続く音源のリリースや主催ライヴの数々…そして2024年2月10日に恵比寿リキッドルームでワンマンライヴの開催も発表された。
命依の言葉を借りるなら“こんな難しい時代”にヴィジュアル系を選んだ彼らのこれからの躍進を見逃すことなど、到底あり得ない愚行なのである。
<VISUAL HYBRID MUSIC.>を提唱する5人が産み落とす新たな怪物から目を背けることは、許されない。
文:山内秀一
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<セットリスト>
SE.KAGUYA
1.OMEN
2.BLACK DOG.
3.Psycho
4.不幸物
5.めいさんの生理[現象]
6.天命の雨
7.幸福論
~SE.Mariana~
8.Nightmare.
9.命日
10.GREEN HEAD MEN
11.MURDER RED CHAINSAW
12.ERROR-000
13.Dystopia
EN1.ぼくらの病名は「人間」でした。
EN2.Wednesday.
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<MAMA. NEW VISUAL>
2023年10月26日(木)原宿RUIDO
黒服限定単独公演『悪魔崇拝』
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Aチケットは“¥6,660”
Bチケット、当日券は“¥666”
(各ドリンク代別)
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OPEN / START 18:00 /18:30
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★チケット:
▪︎購入ページ
https://eplus.jp/sf/detail/3937000001-P0030001P021001
MAMA. presents 東名阪TOUR「襲撃」
・東京襲撃
2023年11月2日(木)
池袋EDGE
ACT : MAMA. / CHAQLA. / 鴉–カラス–
▪︎購入ページURL
https://eplus.jp/sf/detail/3958680001-P0030001
・プレオーダー
【受付期間】10月2日(月)12:00~10月5日(木)23:59
・一般発売
【一般発売日】:10月16日(月)10:00~
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・愛知襲撃
2023年12月5日(火)
名古屋ell.size
ACT : MAMA. / NAZARE / ミスイ / i.D.A
▪︎購入ページ
https://eplus.jp/sf/detail/3960180001-P0030001
・プレオーダー
【受付期間】:11月5日(日)12:00~11月12日(日)23:59
・一般発売
【一般発売日】:11月19日(日)10:00~
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・大阪襲撃
2023年12月6日(水)
大阪RUIDO
ACT : MAMA. / NAZARE / ミスイ /NINTH IN PLUTO / nurié
▪︎購入ページ
https://eplus.jp/sf/detail/3959040001-P0030001
・プレオーダー
【受付期間】:11月5日(日)12:00~11月12日(日)23:59
・一般発売
【一般発売日】11月19日(日)10:00~
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<全公演共通>
OPEN / START 17:00 / 17:30
ADV / DAY ¥4,000 / ¥4,500
2024年1月30日(火)
MAMA.が新世代のバンドを率いて
新宿BLAZEでイベントを開催!!
「VISUAL NEW SPIRIT.」
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出演
MAMA. / NAZARE / CHAQLA. /ぶえ/nurié / HOWL
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OPEN / START 16:30 / 17:00
ADV / DAY ¥5,000 / ¥5,500
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★チケット:
プレイガイド:e+
販売URL:後日公開予定
・プレオーダー
【受付期間】:2023年11月24日(金)12:00~2023年12月2日(土)18:00
・一般発売
【一般発売日】2023年12月9日(土)11:00よりe+にて販売(B1~)
2024年2月10日(土)
恵比寿LIQUID ROOMにて
単独公演「神殺し」決定!!
詳細後日解禁!!
<びじゅなび主催出演>
2023年11月23日(木・祝)
池袋EDGE
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OPEN / START 16:00 / 16:30
VISUNAVI presents Visual Rock is not “DEAD”003
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出演
MAMA ./CHAQLA. / 孔雀座/色々な十字架 / nurié
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【一般発売中】
URL:https://eplus.jp/sf/detail/3926030001-P0030001
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<MAMA. OFFICIAL HP>
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<MAMA. Xアカウント>
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