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2023年10月13日 (金)


【ライヴレポート】<ν[NEU] 14th Anniversary ONEMAN tour【ν[NEU] BEST】>2023年10月1日(日)渋谷REX◆ν[NEU]、過去を今へ繋げていくワンマンツアーがスタート。「今日から今のν[NEU]が始まった気がする」──。

REPORT - 20:00:48

ν[NEU] BEST】ツアーのテーマは、「過去を今に連れて来る」こと。これは20241229日に定めたゴールを迎えるまでの間に、「過去、今、未来」を繋げていく活動の一環でもある。今回、へと連れて来る過去のマテリアルとなるのが楽曲たち。各メンバーのバースデーに合わせて開催する全4本のライブを通して、厳選した過去の楽曲にもう一度息を吹きこもうというわけだ。そこで101日に渋谷REXを舞台に行われたツアー初日は、インディーズ時代に着目したライブとなっていた。

 

ツアーの目的に寄せて、少しだけ過去を振り返ってみた。ν[NEU]というバンドは、ヒィロがリーダーを務めていた前身バンドを起点に、ЯeIが加入した段階でバンド名をν[NEU]と改め、のちにmitsu、タクミ、華遊が加入した経緯を踏まえると、それはそれは長い歴史とたくさんのターニングポイントがあった。その中で、主観ながらも最初の大きな再起を図ったタイミングは、現在のメンバーになった時だったと記憶している。その当時に抱かれた繊細ながらも沸々とした野望を青い希望として記したのが「PULSE」だ。ある意味、今へと繋がるスタートの象徴とも言える「PULSE」が今回のライブの1曲目を飾り、超満員の観客を前にどこか穏やかで堂々たる面持ちのメンバーの姿は、初っ端から胸を打つものがあった。

 

 

 

 

そして、ν[NEU]のテクノ・ポップな音楽性やライブにおける抜群なエンターテイメントの独自カラーが確立した頃、「限界への挑戦」をテーマに飛躍しようとリリースしたのがALBUMLIMIT」だった。そのリード曲「LIMIT」が2曲目にスタンバイしていたのだが、スタートをミスするトラブルによってライブは中断。しばし朗らかなやりとりを挟んで、ЯeIの「『LIMIT』です!」という緩めなタイトルコールから再演したのだが、これは決して忖度ではなく、直前の微笑ましい砕けた展開が有難かった。どうしても過去に対峙するとセンチメンタルな気持ちが起こりがちだが、それが払拭された状態で「LIMIT」中のブレイクやバンドサウンドが強調された演奏に乗せて、歌メロを流暢に歌い上げるmitsuの歌からなる楽曲のポテンシャルを高めたアプローチをフラットに堪能できたからだ。当時、“6人目のメンバーと謡っていた同期(シンセサイザー)の存在は程よく曲にアクセントを持たせるだけの存在となり、現在はバンドサウンドに重きが置かれている。それによって生まれるグルーヴが、「GoSick」でも存分に活きていた。

 

 

 

 

 

ここで長期に渡って眠っていた、いわばレア曲が登場。名乗りを上げたヒィロが「Signal」をタイトルコールすると、イントロが鳴り出した瞬間に悲鳴にも似た歓声が上がる。よりソリッドにブラシュアップされた演奏に耳を傾けながらハッとしたのは、当時の心境で書かれた歌詞が、どこか現在の彼らにリンクしていたこと。始まったからこそ答えを求めている。そしてそれは、導かれる運命の先にあったことなのかもしれない。「エコー」へと続けば、記憶に刻み込まれた振り付けで音が鳴れば自然と体が動くもので、さらにν[NEU]ならではのテイストでヴィジュアル系の世界観で描いた「壊れた夜、並べた嘘」でもヒートアップ。「ゆびさき」のように艶めかしさとノスタルジックさを交えた表情も、素直に懐かしい。そんなインディーズ時代から蘇らせた楽曲だからこそ強く感じたのは、歌いたいように、演奏したいようにやるという、回顧だけではなく更新を目的とした今のν[NEU]が演奏する意義。あの時できなかったことができるようになった経験を重ねた今だからこそ、楽曲を最良の形で同じ時間軸に並べることが「過去を今に連れて来る」ことの最大の目的なのだ。

 

 

 

 

久しぶりな楽曲が続いたところで、終盤にはお馴染みの曲たちを並べたゴールデンタイムが用意されていた。やはり「YESNO」や「cube」の瞬間的な熱量は見事で、「in my secret…」では「張り詰めた空気さえ楽しむことができちゃったらЯeIぽんにおめでとうとか言えちゃうんだよね!?」と歌い替えながら、コールアンドレスポンスで誕生日のЯeIを「おめでとう!」とお祝いする場面も。再び「LAB」や「妄想接吻」、「ピンクマーブル」といったν[NEU]のライブに欠かせない楽曲の力も存分に見せつけていく。

 

 

 

熱を帯びた会場を再びエモーショナルな空気に包んだのが、「New World」だった。冒頭で振り返った通り、現メンバーでの活動開始時「PULSE」に並んで世に放った曲だ。

 

もう二度と 決してもう二度と もう二度と 諦めない

 

このフレーズを耳にする度に、バンドの、あるいはメンバーそれぞれが幾度となく再起を図り、決して負けまいと生きてきた彼らの人生を歌っているようで、勝手ながらν[NEU]そのものを表すテーマソングのように位置付けてきた。そんな曲をこの日、mitsuは「ν[NEU]らしい曲」と笑顔で言った。それは、積み重ねてきたことは何一つ無駄ではなかったと確信へと変えるには十分な一言だった。

 

 

 

 

 

クライマックスを飾った「スプラッシュ!」こそ、実はν[NEU]がバンド名を改めた頃から存在している曲で、かなり長い時間をバンドと共にしてきた曲でもある。優しい旋律が琴線を震わす、文字通り思いが溢れる曲。ヒィロは笑みを浮かべ、mitsuとタクミはЯeIのもとに歩み寄って行き、サポートを担っている夢時がタクミへ優しいまなざしを向けながら2人揃って楽し気にユニゾンを繰り広げる――この曲が演奏された5分ほどの間に、胸がいっぱいになるシーンが詰まっていた。ν[NEU]が復活して以降、責任感が強いメンバーだからこそどこか緊張の糸が張っていたように感じていたが、それがふと緩んだ日でもあったように思う。きっと、バンド=楽しいと心から感じながらステージに立ってていたんじゃないだろうか。

 

「今日から今のν[NEU]が始まった気がするんです」――mitsu

 

この【ν[NEU] BEST】というツアーは、次回はインディーズ&メジャーを、ラストはメジャーと回を重ねることでν[NEU]過去をすべて追っていく。そして、この日の終演後には2024年に「タイムカプセル」と題した主催ツアーを発表した。過去を今へと繋げる今年いっぱいの活動を経て、2024年は今を未来へと繋げていく。この日、ν[NEU]が過去を更新する姿を目の当たりにしながらも、「コレはきっと変わらないんだろうな」と思ったのは、志高く強靭な心を持って何度でも突き進む起点を作れるということ。そういう希望を持ったバンドなのだ、これまでも、これからも。

 

 

 

 

写真◎Intetsu

文◎平井綾子

 

 

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<セットリスト>

 

1.PULSE

2.LIMIT

3.GoSick

-MC-

4.signal

5.エコー

6.壊れた夜、並べた嘘

7.ゆびさき

8.YESNO

9.cube

-MC-(メイン)

10.in my secret…

11.LAB

12.妄想接吻

13.ピンクマーブル

14.New World

-SMC-

15.スプラッシュ!

 

 

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