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2020年11月03日 (火)


【ライヴレポート】<LM.C Club Circuit ’20 -Halloween->2020年10月30日31日 白金高輪SELENE b2◆「ここからまた新しいLM.Cを作っていこうと思っているので、皆さんこれからもよろしくお願いします!」

REPORT - 00:27:28

 人はパンのみにて生くるにあらず。これは、イエス・キリストが「人は物質的な満足だけを目的として生きているわけではない」ことを新約聖書の中で語る言葉として、信徒以外の方々にも広く世間に知られているのではなかろうか。

 

 ちなみに、聖書の中では「心の食べ物として神の言葉も必要である」という旨の教えがこれに続くそうなのだが、特にキリスト教に縁深い者ではなくとも、単に衣食住だけがあれば生きていけるという考え方は、あまりにも雑過ぎると感じずにいられない。

 

 たとえば、この心の食べ物というのは人によって音楽であったり、生け花であったり、演劇であったり、フィギュア収集であったり、映画であったり、キャンピングであったりすることもあるだろう。つまり、趣味や娯楽も人が生きてゆくには糧として重要なものであるはずなのだ。

 

「ご無沙汰しておりました。LM.Cのハロウィンライヴへようこそ!限られた時間ではありますが、存分に楽しんでいきましょう!!」

 

 このたび、10月の3031日の2日間にわたり白金SELENE b2で開催された[LM.C Club Circuit ’20 -Halloween-]のステージ上において、フロントマン・mayaが第11部の最初に「GHOST†HEART」と「Virtual Quest」の2曲を高らかに歌い終わってから発したのはこの言葉だった。

 

 なお、今年は1月にjealkbが主催した[THE BEST TOUR ~異色薔薇ノ宴~]への出演をして以降、春ツアーの[TOUR 2020 -Brand New Songs-]も、今秋に予定されていた[LM.C Club Circuit ’20 -Halloween-]もこの白金SELENE b2での公演をのぞき全てが中止となり、ここに至るまでには生ライヴこそ至上という意図のもと配信ライヴも行ってきていなかった中、文字通りこのタイミングで敢行されたこのハロウィンライヴは定員数を絞っての2部制×2デイズの4公演で、そのうえ1公演あたりの上演時間は1時間程度という政府推奨ガイドラインに沿ったものであったことを、ここに明記しておきたい。

 

 また、開演前にはこのライヴハウスの主であるというGhost Selene氏より、ルールとして「どんなことがあっても決して叫び声をあげてはならないこと」「与えられたパーソナルスペースを死ぬ気で守りながら思うがまま踊り続けること」の2点がいかにもハロウィンライヴらしい怪奇的雰囲気のナレーションによってアナウンスされることに。

実際、ライヴが始まってみるとオーディエンスは自らの意思を拍手でステージに届けることになり、なおかつ曲中では腕を高く上げたり、アタマを振ったり、その場で飛び跳ねたりと、それぞれに自由な動きをもってLM.Cの放つ音像を楽しむことが出来る空間がそこには在った。

 

 もちろん、コロナ禍に突入する以前のように推しメンバーの名前を大声でコールしたり、曲にあわせて観客たちが一斉にシンガロングするようなことは出来ない。登壇する演者以外は、スタッフも含めて全員がマスク着用必須なのも大前提。

だが、それでも。

可能な限り家に閉じこもることを要請され、音楽やエンタテイメントなど生活に不要不急だと世間から糾弾されがちだったあの日々を思えば、ライヴハウスでまたLM.Cのライヴに接することが出来る、躍動感あふれる生音を体感することが出来る、自宅のオーディオから出る音とはケタ違いの心地良い大音量に身を委ねることが出来る、という事実たちが尊いものとして感じられたのは何も筆者だけではあるまい。

 

 しかも、ハロウィンというテーマが縛りとしてあったのも今回のライヴを楽しむうえではかなりポイントが高かった。

そもそも、ハロウィンライヴを開催することについては以前からmayaが切望していたそうなのだが、LM.Cの場合これまで毎年10月はデビュー記念にまつわるライヴやイベントが行われることが多かった為、ハロウィンに関しては二の次になりがちなところがあったのも事実。

しかし、いざフタが開いてみれば前述の「GHOST†HEART」を筆頭に、ダンサブルでアッパーな「My Favorite Monster」やスパニッシュな香りがほのかに漂う「…with Vampire」、どこか渋谷系クラブサウンドを彷彿とさせる「Haunted House make a Secret」、不可思議なダークファンタジーの世界が音で紡がれてゆく「Hollow Hotel」と、LM.Cにはハロウィンにこそふさわしい楽曲が多々揃っていることにあらためて気付かされることになったのだ。

mayaAijiが纏うスケルトンデザインの衣装や、ホラーティックな雰囲気を濃厚に醸しだした映像演出なども素晴らしく映えていたと言っていい。

 

 と同時に、そうしたコンセプチュアルな面白さもさることながら、今回のライヴについてさらに注目すべきだったのは、今春に配信と通販限定で発表されていた新曲3曲のうち「Campanella」と「Happy Zombies」がライヴで初披露されたシーンであった、とも言える気がする。

 

 各公演の中盤で歌われた「Campanella」はAijiの作曲による幻想的美旋律と、mayaによる文学的歌詞が絶妙に交錯するバラードで、なんとmayaいわく歌詞の内容は2019年春頃には書かれ始めていたというのにも関わらず、以下のような内容になっているのだから実に興味深い。

 

「ストーリーとしてはこの中に主人公がひとりいるとしたら、その人は何かに希望や期待を抱くことにも疲れ始めているようなそれなりの大人で。

そういう人が、「このままでいいのかな」と思いながら生活をしていたところに、そんな状況はおかまいなしにカンパネルラっていう名前の未確認物体が突如として、地球を滅ぼしにやってくるんですよ。

つまり、何をしてようとしてまいと、頑張ろうが頑張るまいが、未知なる驚異によって簡単に日常や人生は終わっていってしまう。

だったら、気楽に行こうぜ!っていうことを歌ってるんです」

 

 一方、今回の各公演にていずれもラストに演奏されていたLM.Cの最新型王道チューンとも呼ぶべき極みポップテイスト満載の「Happy Zombies」についても歌詞が書かれていたのはほぼ同時期だというが、その内容に関しても何故だか預言的な内容が含まれているところが気になる。

 

〈どんなウイルスも怖気付くほどシャイン 喜怒も哀楽さえも失くして 

生ける屍になるくらいなら 魂 取り戻し Horrorticに蘇ろう〉

〈踊る君を見て僕は歌う この現実を積み重ねれば ハートビートはスウィングし続ける 逃げ場も遣り場も無い世界に 僕らだけの居場所を探そう〉

 

 そう、コロナ禍が勃発するよりもはるか前に書かれたものだというのに、今まさにこの現実がそのまま歌われているように感じられはしないだろうか。

まさに今回のライヴでは、声は発せずとも楽しそうに踊るファンたちを前に、mayaが歌い、Aijiが奏でることでそこにLM.Cを愛する者たちだけの大切な居場所が生まれる、という構図が間違いなく生まれていたのだから。

2日目第2部での「Happy Zombies」では、mayaどんなウイルスもの部分をコロナウイルスと替えて歌ってみせていたのも鮮烈であったし相当に印象的だった!)

 

 maya本人の弁によると、これらの歌詞は 「結果としてなんか絶妙にイマドキっぽくなっちゃいました」ということになるらしいが、コロナ禍なんぞに陥る以前から一貫していろいろあっても皆で楽しく行こうぜ!という普遍的な主旨をずっと音楽を通して発信し続けてきたLM.Cの姿勢は、今こんな時代にこそ多くの人々により強く届いて欲しいと願ってやまない。

 

「みんな、どうもありがとう。

今回のライヴに関しては、果たしてやるべきかどうか迷ったこともありましたが、本当にやって良かったなと思ってます。

みなさんも我々も手探りな中、コロナ禍においての新たな第一歩を、俺たちなりの第一歩を踏み出せたんじゃないでしょうか。

(中略)

全てが当たり前じゃないっていうことは、ずっと言ってきたことでもあるけど、今またそれを実感してるしね。

こうしてバンドをやれていることも、皆との関係性についても本当にありがたいと感じてます。

そこに気付けてまた新たにやっていけるという意味では、意外とコロナも悪くないのかな?っていう。

そうやって大事なものを気付けたかわりに、もう必要ないものとかにも気付けたじゃん?自粛期間には断捨離もバンバンしたし()

ここからまた新しいLM.Cを作っていこうと思っているので、皆さんこれからもよろしくお願いします!」

 

 30日の第2部のエンディングではギタリスト・Aijiがこのように語ったほか、「The BUDDHA」のイントロ部分ではmaya

「きっとこれからも、いろいろなことはあるでしょう。でも、乗り方や乗りこなし方を一緒に見つけていきましょう!!」

 とメッセージする一幕があったことを考えても、今回のハロウィンライヴはLM.Cにとってあらゆる意味で新機軸なものであり、ここからの未来に向けたひとつの節目になったと言えよう。

 

 ところで。

なんでも今回の30日第2部はLM.Cにとって始動以来500回目の公演でもあったそうなのだが、来たる2021年にはいよいよの15周年が控えているのも忘れてはならない。

この喜ばしい次なるステップへと向け、今冬は既に制作を開始したという新しいアルバムを仕上げていくことになる彼らから、ここでは最後に吉報をもうひとつ。

 

 なんと1224日に、今回の公演を特別編集した映像配信が決定したそうだ。

パンだけをかじって生きるのではなく、クリスマスケーキを食べながらLM.Cからのプレゼントとなる映像を堪能する。

そんな少し贅沢なホリデーシーズンこそが、我々に糧となる幸せをもたらしてくれるに違いない。

 

 

Text by
杉江 由紀

 

Photographs by
柴田 恵理
村井 香

 

…………………………………………♪

-SETLIST-

10月30日(金)
[1部]
SE. Rainbow Magic Orchestra
1. GHOST † HEART
2. Virtual Quest
3. JOKER -my name is-
4. My Favorite Monster

5. …with Vampire

6. The Midnight Museum 4

7. Campanella
8. Door!

9. Haunted House make a Secret

10. The BUDDHA
11. OH MY JULIET.

12. MOGURA

13. Happy Zombies

 

…………………………………………♪

 

10月30日(金)
[2部]
SE. Rainbow Magic Orchestra
1. Virtual Quest
2. OH MY JULIET.

3. JOKER -my name is-
4. 阿修羅

5. …with Vampire

6. Hollow Hotel

7. Campanella
8. Haunted House make a Secret
9. Kiss me?

10. Z-MAN
11. GHOST † HEART

12. The BUDDHA

13. Happy Zombies

 

…………………………………………♪

 

10月31日(土)
[1部]
SE. Rainbow Magic Orchestra
1. GHOST † HEART
2. Virtual Quest
3. JOKER -my name is-
4. My Favorite Monster

5. …with Vampire

6. The Midnight Museum 4

7. Campanella
8. Door!

9. Haunted House make a Secret

10. The BUDDHA
11. OH MY JULIET.

12. MOGURA

13. Happy Zombies

 

…………………………………………♪

 

10月31日(日)
[2部]
SE. Rainbow Magic Orchestra
1. Virtual Quest
2. OH MY JULIET.

3. JOKER -my name is-
4. 阿修羅

5. …with Vampire

6. Hollow Hotel

7. Campanella
8. Haunted House make a Secret
9. Kiss me?

10. Z-MAN
11. GHOST † HEART

12. The BUDDHA
13. MOGURA

14. Happy Zombies

 

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LM.C Info

1224() 時間未定

LM.C Club Circuit ’20 -Halloween- 白金高輪SELENE b2 ライブ映像配信

詳細後日発表

 

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★LM.C OFFICIAL SITE★

https://www.lovely-mocochang.com/