2020年12月19日 (土)
【ライヴレポート】アクメ、10ヶ月ぶりの有観客ライブで見せた不良少年たちのタフネス◆12/13(日) TSUTAYA O-nest<アクメ 2020 LAST LIVE「オヤスミアクメ」>
REPORT - 17:37:15![](https://archive.visunavi.com/wp-content/uploads/37ea868cabba7be3bada3af27978f883.jpg)
「明日からしばらくの間、学校はお休みとなります。」
「突然の学級閉鎖」
バンドのコンセプトに「架空の世界の不良少年たち」を掲げるアクメにとって、新型コロナウィルスの世界的な蔓延によるライブ活動の休止が余儀なくされたこの一年はそんな風に映ったのでは無いだろうか。
そして、その不良少年たちの悪ガキっぷりを楽しみにしているファンにとっても同じ気持ちだったはずだ。
長い休み明けに久しぶりにクラスの不良達に会う時のような…私は、そんな複雑な気持ちを抱えながら、バンドにとって実に10ヶ月ぶりとなる有観客ライブにして今年最後となる【アクメ2020 LAST LIVE】「オヤスミアクメ」の会場「TSUTAYA O-nest」に向かった。
開演前のフロアには椅子が並べられ、これまでのアクメのライブには見慣れない光景が広がり、どことなく緊張感が漂っている雰囲気だ。
まさに「ベスト・オブ・アクメ」の内容になった第一部「ウソガオ編」
そんなフロアが暗くなり、アクメのライブにはお馴染みの学校のチャイムをコラージュしたSEが流れて10ヶ月ぶりの有観客ライブ「オヤスミアクメ」の第一部「ウソガオ編」は始まった。
「Are you ready SENKOU? 覚悟しな 爆音で登場」
1曲目はそんな歌い出しの「SENKOU」で幕が開けた。
誰もが苦難に直面したであろうこの2020年、先行きが見えない状況の中でもがき苦しみ、今なお懸命に闘っている人たちも多いはず。
アクメのメンバーとってもそれは同じで、予定していた全国ツアーは全て中止となり、地道に続けてきた海外での活動も止まってしまった一年になった。
そんな状況の中、「覚悟しな 爆音で登場」とはなんとも頼もしい!
そんな気概に満ちながら「いけるかい?渋谷 !」とCHISA(Vo)のその声は、まだ完全には元に戻ってない世界で「オレ達はオレ達のやり方で前に進むよ。着いてこれるか?」という決意表明となってオーディエンスに迫ってくる。
その決意を後押しするように将吾(Gt)、RIKITO(Ba)、HAL(Dr)の3人もオーディエンスの前で演奏できる喜びを体いっぱいに表現している。声出しが出来なかったりと色々と制約が多いこの状況をむしろ逆手にとって楽しんでいるような表情だ。
間髪入れずに初期のナンバーの「MONSTER」へと続く。アクメ結成当初からの「次にどんな曲が飛び出してくるかわからない」という雰囲気を一気に思い出させる流れで攻める。
「10ケ月ぶりのライブです!久しぶり!」
感染対策上、声援は出せない為、オーディエンスはそれぞれ思い思いの鳴り物でその気持ちを表現していた。
久しぶりの再会をお互いに喜びあう雰囲気の中、バンドが「最強最高」と自負する新曲「RISING SUN」がオーディエンスの前で初披露される。
アクメのサウンドの真骨頂として、クリアトーンとゴリゴリのディストーションサウンドを巧みに操るギターがタイトなリズム隊に絡み、さらにデスボイスからクリーンまでどんな表情も可能な変幻自在のボーカルが加わるというハードでいてキャッチーという要素があると思っているのだが、その魅力が存分に発揮されている新曲だ。フロアも「本当に初披露か?」という熱気とノリでそれに応える。
続いて、不良の思春期の叫びがテーマの「ROTTEN ORANGE」、生まれ変わり君の物言わぬ臓器になりたいと歌う屈折したラブソングの「君の臓器になりたい」、恋をする気持ちを真っ直ぐに歌った「MELODY」
順風満帆とは行かなかったこの3年間を振り返るように、まさに「ベスト・オブ・アクメ」といった内容で1部は進んでいく。 「こんなにもこのバンドの音楽性は幅広かったのか」と改めて驚かされた。
後半は「マグロ解体チェーンソー」「絶唱謳歌」とフロアを沸かす定番人気曲を畳み掛けるように連発していく。「声が出せないなら、体で表現してくれよな!」
まるで「休み中にそっちは衰えてないよね?」とアクメに試されているような流れだ。
そして「重大発表」として結成当初から3年間に渡りこのバンドの公式キャラクターを務めた「エムカ」の卒業が伝えられ、この第一部のタイトルでもある「嘘顔」をラストナンバーとして披露した。
本来ならこの曲と着ている衣装と一緒に全国を回る予定だったメンバーの思いには計り知れないものがあると思うが、キッチリと「自分達なりの落とし前」をつけて第一部の「ウソガオ編」は幕を降ろした。
「ハードサイド・オブ・アクメ」を感じた「RISING SUN編」
そして新たなフェーズへ
続く第2部の「RISING SUN編」は確実にバンドが次のフェーズに入った事を感じさせる内容だった。
つい先ほど初披露した新曲の「RISING SUN」でスタート。彼らのこの曲に対する自信が伺える。
初お披露目となる新しいステージ衣装も学生服ベースの第一部に比べて放課後の私服を思わせるカジュアルな感じで悪ガキ達が次のモードに入った事が一目で分かる。
1部と同じように、数あるレパートリーの中から自分達のレンジの広さを見せつけるようなセットリストになるかと思っていたのだが、続く「モノノケレクイエム」、とんでもないタイトルの「みなさんが静かになるまで3分かかりました」、「放課後の飼育」と彼らの真骨頂であるゴリゴリのラウドロックナンバーを間髪入れずにフロアに叩きつける。
そんな中、演奏するメンバーの顔は、茶目っ気たっぷりの不敵な笑みだ。 1部が「ベスト・オブ・アクメ」なら、こちらはさながら「ハードサイド・オブ・アクメ」もしくは「不謹慎・オブ・アクメ」といった感じだ。
続いてアクメナンバーでは異色であり人気曲である新曲「GIFT」、映画の挿入歌にも選ばれた「CALL MY NAME」そしてメロディアスナンバーの「Once Again」と楽曲の良さが際立つ3曲を披露するとCHISAはMCで
「オーディエンスの前で演奏できる喜び」を純粋に伝える。彼らがライブを大切にしている気持ちが充分に感じられた。
そして「ラストワンショー」「絶唱謳歌」と付け入る隙を与えず、ライブはクライマックスへと向かっていく。
最後はアクメ史上間違い無く「最強最高ナンバー」である「RISING SUN」の再演奏をし、今年のラストライブを締めくくった。
2 部では2つ目の「重大発表」として結成当時から使用していたバンドロゴの「卒業」が発表された。その事からもこの1年の苦難を力に変えてアクメが次なるステージに向かっている事は明らかだ。
1部に見られた楽曲のレンジの広さに対し、2部のアクメサウンド真髄であるラウドロック中心の構成を見終えた時、彼らはヴィジュアル面でも楽曲面でも間違い無く次のフェーズに入った事を強く感じた。
この日のライブは「生配信」で全国に届けられたが、目の前だけでなく、画面の向こう側にいるオーディエンスにも、新曲「RISING SUN」の歌詞にある「明けない夜はない」というメッセージが届く様にアクメが出しうる限りの精いっぱいのライブを体験する事が出来た。
まだまだ続くであろうこの不完全な世界で、これからのアクメの次なる悪だくみが楽しみとなった夜だった。
*取材/文:野中なのか
*写真:豊莉乃(FOTOLORE)
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■アクメ 2020 LAST LIVE「オヤスミアクメ」
2020年12月13日(日)@ TSUTAYA O-nest(東京)
【1部】-ウソガオ編-
01.SENKOU
02.MONSTER
03.Cry Wolf
04.RISING SUN
05.ROTTEN ORANGE
06.ゴールデンタイム
07.GIFT
08.君の臓器になりたい
09.MELODY
10.マグロ解体チェーンソー
11.絶唱謳歌
12.WONDERFUL WORLD
13.嘘顔
【2部】-RISING SUN編-
01.RISING SUN
02.モノノケレクイエム
03.EDGY
04.腐敗蜜柑
05.みなさんが静かになるまで3分かかりました
06.放課後の飼育
07.GIFT
08.CALL MY NAME
09.Once again
10.ラストワンショー
11.嘘顔
12.絶唱謳歌
13.RISING SUN
■アクメ:オフィシャルサイト
https://acme-official.com
■アクメ:オフィシャルツイッター
https://twitter.com/ACMEOFFICIALJP
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