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2021年02月21日 (日)


【ライヴレポート】Starwave Records設立11周年記念イベント<Starwave Fest>◆~未完成アリス・UNDER FALL JUSTICE編~

REPORT - 12:00:58

レーベルを設立して以来、ダークなヴィジュアル系バンドの作品を数多くリリースし続けてきた「Starwave Fest」。毎年2月に行なっているレーベル設立を記念した周年イベントも、今年で11回目。例年、数多くの所属バンドがイベントの舞台を賑わすが、今年はコロナ禍ということもあり、今のStarwave Recordsを代表する数組に絞ってイベントを構成。出演したのが、ラヴェーゼ・UNDER FALL JUSTICE・未完成アリス・XANVALAScarlet Valse5組。オープニングアクトには、この日のために結成したスペシャルバンドも登場。有観客のみならず、配信ライブとして届けたこの日の模様を、ここに紹介したい。

 

 ここでは、未完成アリスと、トップを担ったUNDER FALL JUSTICEのライブの模様をお伝えしよう。

 

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未完成アリス

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 未完成アリス1

 

とてもひねくれた歌系楽曲を魅力にしている未完成アリス。この日のライブも、冒頭に癖の強いサイコヒステリックなメロディックチューン「所業無情大殺界」を奏で、フロア中の人たちの意識をバグらせ、身体を騒がせてゆく。キャッチーなのに、素直にキャッチーと言いたくない、ひねくれながらも心地好い感覚が彼らの魅力だ。

 

 

  「お前らもたった一度きりの人生を楽しんでいこうぜ」。有栖川塁の煽りを受けて飛びだしたのが、思い切り螺子が壊れ歪んだ様を見せながらも、妙に癖になる歌や演奏に強く惹かれる「くたばれエイリアン」。変拍子ならぬ変狂気な歌や演奏に触発され、何時しか理性がイレースされ、壊れたオモチャのように身体がぐにゃぐにゃに揺れていた。

 

 

  「大人はスペックで人を判断するけど、君のスペックを決めるのは大人じゃない!!」。続く「低スペック悲観ガール」では、ギミックの少ない演奏を武器に、強いメッセージを彼らはガシガシに突きつけてきた。伝えたいメッセージによって、いろんなスペックに楽曲の色も塗り替えてゆく未完成アリス。歌物という軸を据えながらも、そこをいろんなアプローチで形にしてゆく、多岐に渡るその仕様項目も、彼らを語るうえでは欠かせない。

 

 

  「想いを胸に」。美しい歌や旋律が気持ちにスーッと溶け込んでゆく。有栖川塁の歌声や記した歌詞には、とても純粋で美しい想いが込められている。そこへ彩りを与える演奏が心地好く歪んでもいるからこそ「Stargazer」が、癖が強くも上質な、心を濡らすミドルメロウな楽曲として響いていた。

 未完成アリス2

 

「もしも君たちがこの先の人生で挫けそうになっても、一筋の光を探して前に進めばいいんだよ」。最後に未完成アリスは「NaNa~繰り返す7人の私」を演奏。未完成アリスらしい、胸をわくわくさせる明るいサイコポップな曲を奏で、観ている人たちの気持ちにワクワクとした楽しさや、自分らしくいればいいんだよという自信を与えてゆく。未完成アリスのライブに触れていると、何時しか無邪気な笑顔になれるのも、彼らが気持ちをポップに染めてくれるからだ。しかも、どっか濁っているところもまた魅力的じゃない。

 未完成アリス3

 

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UNDER FALL JUSTICE

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 UNDER FALL JUSTICE1

 UNDER FALL JUSTICEのライブの演奏が鳴りだすと同時に、大勢の人たちがメンバーらへ向かって祈りを捧げだした。「ひとつ、ふたつ、みっつ」。前田愛郎の呟きを合図に、ぐにゃぐにゃに捩じれまくったサイコでヒステリックな音が会場中に鳴り響く。UNDER FALL JUSTICEは「数え唄」を届けながら、フロア中の人たちから現実という空間を奪ってゆく。観客たちを異境の地へと連れ出したメンバーたちは、艶かしい歌と演奏を通し観客たちの心をメルトしてゆく。

 

 

  「君の顔も身体も心も、全部僕だけのもの」。美しく艶かしく、でも猛り狂うほどの荒々しさも抱いた「執拗なまでに君に執着する僕」が飛びだした。心に刺さる痛い歌詞を、艶かしくも、ときにサディスティックな様で歌う前田愛郎。彼の心情を黒く妖しく激しく彩る演奏陣、何時しか会場中の人たちが暗鬱で妖艶な世界へ身も心も蕩けていた。

 

  

  「ごめんごめんごめん絶対絶対許さない」と歌い叫ぶ前田愛郎。誰もが心に抱えている醜い本心を、UNDER FALL JUSTICEは音楽を通して晒すように届けてゆく。「ごめんなさい」に刻んだ歌詞のひと言ひと言が胸に痛く刺さるも、それが心地好い。誰もが心に抱えている闇な欲望や本心を彼らは感情沸き立つままに歌うからこそ、観ている側もその気持ちに自分の感情を重ね合わせ、同化したくなる。一緒に狂喜の中へ浸りたくなる。

 

 

  切っ先鋭いダークな音をチクチクと突きつけながら、観客たちを刺激してゆくメンバーたち。「壊れそうな僕」を演奏しながら、UNDER FALL JUSTICEは会場中の人たちの頭を激しく振り乱してゆく。サイコな音で最後まで騒ぎ狂え。それが、この場に生まれた最狂のルールだ。

 UNDER FALL JUSTICE2

 

  「ここにいる君たちは本物ですか?偽物ですか?」最後にUNDER FALL JUSTICEは、美しくも切なさを抱いた歌系曲「幻想」を歌い奏で、観ている人たちの気持ちを惹きつけ、艶かしい音楽の虜にしていった。妖艶と暗鬱と浪漫と狂気と破壊的な衝動を攪拌したようなUNDER FALL JUSTICEのライブ。この時間、僕らは現実を忘れ、淫らな夢を見ていた。

 

 

 

PHOTO: A.Kawasaki (@a_kwsk_1985)

TEXT:長澤智典

 

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未完成アリス

「所業無情大殺界」
「くたばれエイリアン」
「低スペック悲観ガール」
「Stargazer」
「NaNa〜繰り返す7人の私」

 

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UNDER FALL JUSTICE
「数え唄」
「執拗なまでに君に執着する僕」
「ごめんなさい」
「壊れそうな僕」
「幻想」
 

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