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2021年04月30日 (金)


【ライヴレポート】<LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.1- “LET ME’ CRAZY!!”>2021年4月26日(月)恵比寿LIQUIDROOM◆これからも俺たちの音楽が君たちの人生の側で寄り添っていってくれたら嬉しい(Aiji)

REPORT - 18:00:57

 志を同じくする者たちだけが集うことにより、秩序ある楽しみ方で音楽を心ゆくまで満喫することの出来る、素晴らしき聖域。今宵のLM.Cがこの場に生み出してみせたのは、まさにそのような空間であったと言えるだろう。

 

「まず最初に言っておくべきことがあるとすれば、もしかしたらこの中にはどこか後ろめたい気持ちでこの会場に向かった人もいるのかもしれない。だけど、一旦そういうのは置いておいてさ。もし何かあったとしても、それは全てLM.Cのせいってことで。あ、俺のせいじゃないよ。あくまでLM.Cのせいだからね()。とにかく、皆で楽しんでいきましょう。ここにはマジで何時も以上に仲間しかいないんで。思いっきりブチあげていきたいと思います!!」(maya

 

 いよいよ今秋に始動からめでたく15周年を迎えるLM.Cが、このたび20076月以来で久々となる恵比寿LIQUID ROOMにて開催したのは、[LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.1 “LET ME’ CRAZY!!”]と題されたワンマンライヴだ。

 

 むろん、東京では前日より3回目の緊急事態宣言が発出されている中であったわけで、LM.Cは今回のライヴを文字通り敢行すると決断したことになるが、1曲目の「LET ME’ CRAZY!!」を歌い終えたあとにフロントマン・mayaがこの状況をかんがみての言葉として発したのが、あの冒頭に記したMC内容だったのである。

 

 ちなみに、今回の1曲目に選ばれていた「LET ME’ CRAZY!!」は単語単位の頭文字で表すとLMCになる曲であり、歌詞中には〈偏見のコレクションに埋もれ ヤメられない止まらない前へ習え〉だとか〈はみ出して笑われるのがこわい? この場所で満足なら そこで指くわえて見てな〉とシニカルで尖った部分が含まれる一方、それでいて核心の部分では〈ずっと此処は君の居場所さ〉というメッセージや、〈僕らの未来を迎えに行こう〉といった所信表明までもが託されているところも大きな特徴。

 

 制作当時の2010年に始動5周年を見据えて作られたこの曲は、今でもLM.Cとファンにとってことさら特別な楽曲になっているもので、そもそも今回のライヴタイトルにこの曲タイトルがそのまま冠されていたこと自体、LM.Cのこれからに向けた意思呈示となっていたはずだ。

 

 文化芸術やエンタメを不要不急なものとみなす類いの人々が世の中に一定数存在しているのは事実であろうし、何かと多様性を重んじるようになってきた世の中にあっては、いろいろな考え方があるのも当たり前のこと。逆に言えば、娯楽が必要火急なものであるという価値観もまた、今こそ尊重されるべきかと。

 

 しかも、LM.C の場合は昨年10月末に行ったコロナ禍突入後初のライヴ[LM.C Club Circuit ’20 -Halloween-]を政府の出しているガイドラインに添いながら万全の対策をもって取り仕切り、一切の感染者を出さずに無事成功させているという実績もある。だとするならば、秩序ある楽しみ方で自由に音楽を堪能することを遠慮する必要など、一切あるわけもない。

 

 なお、今回のライヴからは新グッズとしてカラフルなライト付きプチタンバリンが加わり、オーディエンスの多くはそれを活用しながら発声が出来ない分の意思表示をおおいにしていた模様。拍手だけで演者側と観客側が意思疎通をはかるよりも場に華やかさが生まれるため、このアプローチは現代のライヴ運営をしていくうえでなかなかに有効なものだと感じた次第だ。

 

「いやー、よくもまぁこんなに集まってくださいまして()。もうこれは楽しむしかないな!という感じですよ。(中略)そういえば今日のライヴに向けて曲を選んだんですけど、どの曲も言葉が刺さって来るなぁ!とあらためて思いましてね。LM.C としては、今日ここでそれをどんどんブッ刺していきますよ。まぁ、もうすぐ我々は15周年ですし、どんな形であれ今日こうしてライヴが出来るのは嬉しいです。ありがとうございます!」(maya

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 なお、この言葉の後に歌われたアグレッシヴチューン「*BOOST+BUSTERz*」では、なんとmayaが〈この耳疑う休業要請!〉そして〈脅かすウイルス〉←元から歌詞にあるので消す という歌詞をアドリブでブッ込んでくる事態が勃発することに!!本来、この曲はSF的なストーリーの中で地球が突如とあるクライシスに見舞われる内容の歌詞となっているのだが、そこにコロナ問題をカブせてくる絶妙な手腕はさすがの一言。

 

 また、昨年2月に発表されたマキシシングル『Brand New Songs』に収録されている「Happy Zombies」でも、〈どんなウイルスも怖気付くほどシャイン~〉という歌詞のどんなウイルスもの部分を、mayaはこの夜コロナウイルスと替えて歌ってみせた。そこから←替えてないので消す の〈踊る君を見て僕は歌う この現実を積み重ねれば ハートビートはスウィングし続ける 逃げ場も遣り場も無い世界に 僕らだけの居場所を探そう〉という歌詞は、結果的にmayaが今現在という未来を予測したものになり、その歌詞どおりの光景が恵比寿LIQUID ROOMで繰り広げられていくさまを何とも不可思議に感じたのは、きっと筆者だけではなかったと思う。

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「去年のライヴでは皆の協力もあって、全然大丈夫だったからね。俺たちの基準でやっていけばライヴは開催出来るってあの時に思えたので、今回もこうして実現することが出来ました。もちろん、来ないっていう判断をした人がいることもわかってますし、それも正解だと思う。ここに来てくれた人も、ライヴをやるって決めた俺らも、それは自分で決めたわけじゃない。そのうえで、感染者がゼロだったらそれでいいわけでしょ。だから、LM.Cはこれからもスタッフともども一丸となって頑張っていきますので、皆も身体には気をつけて元気でいてください。また近々、良いお知らせをするよ!」(Aiji

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 こうしてライヴの後半戦ではギタリスト・Aijiが「今日ここに来られなかった人たち」への配慮も含んだ真摯かつ丁寧なコメントをする一幕もあったが、現状のLM.Cはライヴの生配信というものを行っていないため、願わくばこの記事によって彼らの想いや言葉がその場に赴くことが叶わなかった人々にまで届いて欲しい、と切に願う。

 

 かくして、気付けばライヴは佳境へと突入し、限られた時間の中だからこそLM.Cはここから完全燃焼へと向かいだす。極彩色なハイパーチューン「Chameleon Dance」に、ほぼツインヴォーカルなAijiのコーラスが映える「DOUBLE DRAGON」、覚醒モードに入ったmayaが渾身のパフォーマンスを炸裂させたリアル神曲「The BUDDHA」、始動の頃からことあるごとに〈集え同志よ我らの爆音の下に〉という歌詞を変わらず轟かせ続けてきた「☆Rock the LM.C☆」とキラーチューンたちが惜しげもなく連打されたうえで、最後に放たれたのは「俺たちの志!」という何時もの欠かせない決めゼリフから始まった「PUNKY ❤︎ HEART」。

 

〈独りきりで泣いている君が笑えるのなら たとえ世界中を敵に回したっていいさ〉

 

 つまり、LM.Cのふたりはファンの皆を笑顔にするためならば世界中を敵に回すこともいとわない、とここに来て頼もしい宣言を再びしてくれたことになる。

 

「今日は本当にどうもありがとう!これまでの人生でこれだけ長くライヴが出来なかったりとか、全てが計画通りにいかないとかって無かったんだけど、おかげさまで俺たちはそんなのもわりと楽しみながら生きてます()。これからも少しでも皆に楽しんでもらえそうなことを企画していくんで、俺たちの音楽が君たちの人生の側で寄り添っていってくれたら嬉しいです。また元気で会いましょう!」(Aiji

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「皆さん、ちゃんと楽しめましたか?5月からはYouTubeの公式チャンネルで新しいこと(メンバーシッププログラム[LM.C Streaming Club])を始めるし、まだ決定こそしてないけど6月と8月、そして15周年を迎える10月にもライヴは予定しているんでね。遊び場を作ってバンドが回って行くようにしていくので、いろいろ楽しみにしていてください。これからもよろしくお願いします!!」(maya

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 志を同じくする者たちだけが集うことにより、秩序ある楽しみ方で音楽を心ゆくまで満喫することの出来る、この素晴らしき聖域に祝福と栄光あれ。LM.Cのふたりならば、時には攻めにも出つつ今後もその場をわたしたちの為に守り抜いていってくれるに違いない。

 

 

(ライター:杉江由紀)

 

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-SET LIST-

1. LET ME’ CRAZY!!

2. Loud_Mucker_Complex.

3. Space Wannabiez

4. GaMuShaRa

5. *BOOSTBUSTERz*

6. Fight Club

7. Amnizia

8. Campanella

9. -SORA涙色

10. Happy Zombies

11. Yellow Beauty

12. Avocado

13. Chameleon Dance

14. DOUBLE DRAGON

15. The BUDDHA

16. Rock the LM.C

17. Chameleon Dance

18. PUNKY HEART

 

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