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2021年07月05日 (月)


【ライヴレポート】LM.C<The Best Live Ever>2021年6月28日・29日 Veats Shibuya 2Days◆──この居場所は、誰にも譲れない。

REPORT - 18:00:53

 生ならではの刺激的な臨場感。対面することで得られるリアリティと安心感。波動となった音の粒たちが、皮膚や耳粘膜にぶつかってくることで感じる本能的快感。

LM.Cがここに至るまで、敢えて生配信ライヴや無観客ライヴは行わず、あくまでも現場主義を貫き通してきている理由は、彼らが今回のステージ上で繰り広げてみせたパフォーマンスたちの中にこそ在った。

 

 

 今年10月に15周年を迎えるLM.Cが、4月に恵比寿LIQUID ROOMにて開催された[LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.1 “LET ME’ CRAZY!!”]に引き続くかたちでこのたび開催したのは、628日の[LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Veats Shibuya Vol.2 “No Emotion”」]と、629日の[LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Veats Shibuya Vol.3 “Shibuya Cantabile”]という計2本のライヴだ。

 

 これらのライヴタイトルからもわかるとおり、この[The Best Live Ever]シリーズでは毎回メインチューンが掲げられている中、それこそここまでの約15年間の中で生み出されてきた新旧の名曲たちがその脇を固めていくという構成になっているため、コアなファンや長年のファンにとってうってつけな内容になっているのはもちろんのこと、逆にファン歴が浅めな方々にとっては「毎回のライヴがまるごとベスト盤のような分かりやすい内容」になっている、とも解釈することが出来るだろう。

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 そのうえ、今回のライヴでは28日のオープニングを飾った「Be STRONG, Be POP.」と、29日の冒頭に置かれていた「In Future, New Sensation」で、共に俗に言う“SE”というかたちで既存音源が場内へと流され始めたかと思いきや、いずれも曲の途中から各メンバーがバンドインしていくことにより、ごく自然なかたちでオープニングSEがいつの間にか1曲目に変貌するという、なかなかに粋でエキサイティングな演出から始められたのである。

受け手側からすれば、ここでしょっぱなからテンションが上がってしまった!という方も、相当数いらっしゃったのではなかろうか。

 

 なお、28日の公演では昨年2月に発表された『Brand New Songs』に収録されていた曲であり、まさにこの夜の主人公でもあった「No Emotion」がライヴでの初お目見えを果たす一幕もあったほか、久々にライヴの場で聴けた気がする「marble-s」や、彼らが前述の『Brand New Songs』をリリースする際に「5年後なり10年後にやり続けられるLM.Cとしてのスタンダードな曲」として作ったという「Campanella」などでは、じっくりじんわりと聴かせる曲たちで、言うなればエバーグリーンなLM.Cという一面も存分に堪能させてくれたと言っていい。

 

 しかしながら、ヘヴィな「METALLY」から始まったラストに向けての畳みかけ場面では、文字通りな神曲「The BUDDHA」までの計4曲で、LM.Cのふたりはあたかも翌日の公演があることを忘れているかのような、渾身のエネルギッシュなステージングを展開してみせ、ここに関してだけは15周年の余裕ある貫録というよりも、いまだに尖り続けていて良い意味でオトナゲナイ彼らの姿が実に尊く、そして微笑ましくもあった。 

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さらに、翌29日のライヴでも前半戦ではこれまた分別のある大人が表現する、敢えてな若気の至り感が全編に溢れているロックチューン「ChainDreamers」や、2010年に発表された楽曲であるにも関わらず〈何ひとつ守れないと嘆くよりも 何度でも立ち向かえば良いさ 大切な物はいつもすぐ側にある だから何が起きても大丈夫〉という歌詞が、今この状況の中でやけに響いてきた「DAYS」といった珠玉の楽曲たちを、彼らは惜しみなく投下。 

 

また、ライヴ中盤ではこの夜のライヴタイトルに冠されていた曲であると同時に、これまで基本的に渋谷で行われるライヴでしか演奏されたことがない「Shibuya Cantabile」を、ヴォーカリスト・mayaが高らかに伸びやかに歌いあげ、本来であれば今頃は世界中の人々が集っていたであろう渋谷の街の在るべき姿を、色鮮やかに描き出してみせた。

(ちなみに、この曲ではAijiが聴かせるギターソロも流麗にしてドラマティックで大変素晴らしいこともここに付記しておこう!) 

 

それから、もうひとつ29日の公演で印象的だったのが「A Blueberry Night」が聴けたくだりで、この曲はもともと2009年にリリースされたシングル『GHOST†HEART』のカップリングであったものの、過去にリクエストライヴに向けたファン投票で1位を獲ったことがあるというガチな隠れた名曲で、この場でもその秀逸なほどポップなメロディラインと、切なくもスウィートな歌詞たちが、さぞかしオーディエンスの心を奪っていたと思われる。 

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かくして、この両日の[The Best Live Ever]を締めくくるべく29日のラストスパートゾーンに選ばれていたのは、mayaのメインヴォーカルとAijiのコーラスがツインヴォーカル的に映える「DOUBLE DRAGON」から始まった、サイケデリックダンスチューン「Chameleon Dance」を含む計4曲。 

特に、mayaが発した以下のメッセージから始まった最後のこの曲が放った輝きは、10年の時を超えてより一層のまばゆさを感じさせるものになっていたような気がする。

 

「何が起きても変わらない。そうだろ?この場所が俺たちの星の在処!」(maya

 そう。「星の在処。ホシノアリカ」は、10年前に東日本大震災が起きた際、mayaが〈灯りの消えた街に〉散在しているであろう、惑いや不安を抱えていた仲間たちに向けて発信した、LM.Cにとっても彼らを愛する人々にとってもすこぶる大切な、確固たる希望を音楽に託したもの。

 思えば、あの10年前当時にもさんざん世間からエンタテインメントが不遇な扱いを受けたことは未だ記憶に新しい。

そして、結局のところコロナ禍に突入して以降の現在もまた、音楽業界は半ば不可抗力的な苦境に意図せず立たされてしまっているところがある。 

だからこそ、LM.Cがこの夜ここで伝えてくれた〈この居場所は 誰にも譲れない〉というメッセージが、ことさらに深く響いてきたのは何も筆者だけではあるまい。 

 

生ならではの刺激的な臨場感。対面することで得られるリアリティと安心感。波動となった音の粒たちが、皮膚や耳粘膜にぶつかってくることで感じる本能的快感。

やはり、それらはどうやってもライヴ空間というその場所にしか存在し得ない貴重なものなのだ。

 なんでも、LM.Cはこれ以降も隔月ペースで8月と10月にライヴを行う方向で動いているとのこと。

となれば、その素晴らしい機会たちを逃す手はないと断言出来る。

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 何が起きても変わることのないLM.Cと我々だけの譲れない居場所で、彼らと共に時にはハジけ、時には(心の中で)笑い、最終的にはいたく感動する。

そんな飛びきりの夜がそう遠くないうちにまた訪れることを、今はただ心待ちにしていたい。

 

 

文◎杉江由紀

 

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-SET LIST-

 

628() -The Best Live Ever Vol.2- “No Emotion”

 

1.Be STRONG, Be POP.

2.Chameleon Dance

3.@FUNNY PHANTOM@

4.DOUBLE DRAGON

5.mosaïque city

6.No Emotion

7.mR.century

8.DAYS

9.Campanella

10.marble-s

11.Happy Zombies

12.GAME of LIFE

13.METALLY

14.OH MY JULIET.

15.MOGURA

16.The BUDDHA

 

…………………………………………

 

629() -The Best Live Ever Vol.3- “Shibuya Cantabile”

 

1.In Future, New Sensation

2.ChainDreamers

3.レインメーカー

4.@FUNNY PHANTOM@

5.GAME of LIFE

6.mosaïque city

7.mR.century

8.DAYS

9.Shibuya Cantabile

10.A Blueberry Night

11.Happy Zombies

12.Hangover

13.DOUBLE DRAGON

14.No Emotion

15.Chameleon Dance

16.星の在処。ホシノアリカ

 

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●LM.C

 

ヴォーカリスト・maya(まーや)とギタリスト・Aiji(あいじ)によるヴィジュアル系ロックユニット、LM.C。

ミクスチャー、デジロック、HIP HOP風・・・と、簡単にカテゴライズできないPOPでキャッチー なサウンドを展開し、その存在感はもはやヴィジュアル系という枠にとどまらない。

2006年活動スタートと共にメジャーデビュー。

翌年2007年には台湾にて初の海外フェスに出演。

2008年に渋谷公会堂ライブを実施。2012年には日本武道館公演を成功に収める。

活動地域も日本にとどまらず世界各国に進出。特にヨーロッパ圏のJ-ROCKファンから 「最も注目されるJ-ROCK Band」と評される。

2009年と2010年、2012年には3度に渡る ワールドツアーを敢行するなどワールドワイドに高い評価を得ている。

その後もホールライブや 海外公演もコンスタントに継続し、2021年10月には デビュー15周年を迎える。

 

★最新デジタルシングル3作品配信中

 

– SCHEDULE-

▪8月8日(日) ESAKA MUSE

▪8月12(火) Veats Shibuya

 

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★LM.C OFFICIAL SITE★

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