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2021年11月01日 (月)


【ライブレポート】<有村竜太朗 5th Anniversary Tour-トライアングル->2021年10月23日(土)Zepp Tokyo◆ノスタルジックな世界観とマッチする季節──“深まる秋”の一夜。

REPORT - 21:00:44

 Plastic Treeのボーカリスト、有村竜太朗がソロとしてミニアルバム『個人作品集1996-2013「デも/demo」』をリリースしたのは20161123日のこと。気づけばこの11月で、彼の個人活動も5周年を迎えた。

そんな節目に発表された「有村竜太朗 5th Anniversary Tour-トライアングル」。

トライアングルという言葉が示すように、東京、大阪、京都の3ヶ所をめぐるソロとしては久々のツアーである。

本来、9月に行われる予定だったが、有村自身の新型コロナウィルス感染のため、延期となり、振替公演として10月から11月にかけての日程で行われることになった。

トライアングルには夏の大三角形の意味も込められていたが、当初予定されていた時期に比べ、グッと秋が深まったタイミングでの開催に……

ただ、結果的には彼の楽曲の持つノスタルジックな世界観とマッチする季節でのライブになったと思う。

 

 ここでは初日となった1023日、夜の部の模様をお伝えしたい。

 

 実はZepp Tokyo202211日をもって営業が終了することが決定している。

その前に、慣れ親しんだ会場のステージに立てるとは、まさに出来すぎのお膳立てだったのではないだろうか。

開演時間となり、有村の活動には欠かせないDEMONSTRATIONs(デモンストレーションズ)のバンドメンバーがステージへ。

最後に有村が登場し、ステージ中央にセットされたキーボードで「幻形フィルム/genkeifuirumu」のイントロを弾き始める。

会場には独特の緊張感が流れ、どこか懐かしく、意識の深いところを刺激する音世界に引き込まれていく。2曲目は有村の繊細な歌声と歪んだギターサウンドが見事なコントラストをなす「19/jukyusai」。

じっくり聴かせたあとは、軽快なテンポで展開する「くるおし花/kuruoshibana」で、観客をジワジワと熱くしていく。

 有村竜太朗_2

 

 最初のMCでは、「延期してしまった公演なので、胸にたぎる思いもありますので――」と、ライブへの思いを語った。

そして「今日は月も綺麗だと思います。秋晴れですから」と、前置きして「また、堕月さま / mata,otsukisama」へ。

ライブは再びゆったりとしたテンポで流れ始めたが、続く「猫夢 / nekoyume」ではバンドも一体感のあるプレイを聴かせ、グッとテンションを高めていく。穏やかに展開する「鍵時計 / kagidokei」も、ステージのエネルギーが遠赤外線のように客席に浸透。どの曲もこの5年のあいだに、熟成されてきた印象だ。

 有村竜太朗_3

 後半にさしかかるところで2回目のMCタイム。

「今日は2部構成ということで、結構早起きしました。早起きって言っても8時くらいですけど……早起きは1日が長くていいですね」と、前置きして後半ブロックへ。

軽快な「憑影と月風/tsukikagetotsukikaze」では、観客も手を動かすなど、体で反応していく。

郷愁感炸裂の「日没地区/nichibotsuchiku」では後半、エモいギターが場内に響き渡り、幻想的なライブ空間を盛り立てる。

こうして本編は「浮融/fuyuu」でクライマックスとなった。浮遊感と轟音のはざまで漂う有村のボーカルは圧巻。

酔いそうなまでのノイズの余韻を残し、本編は終了。

この5年間、何度となくライブで磨かれてきた曲達の成長ぶりも頼もしく感じられた。

 

有村竜太朗_4 

 アンコールでは「猫夢/nekoyume」と「19/jukyusai」をアコースティックバージョンで披露。

本編ではバンドセットで聴かせた2曲が、また違う印象で会場に響く。

温もりのあるアンコールを終えても、なお拍手は鳴り止まず、そのままダブルアンコールへ。

この日、ラストナンバーに選ばれたのは「恋ト幻/rentogen」。穏やかな出だしから、ハードな間奏につながるスリリングな楽曲だ。

有村はライブが終わるまで濃密な時間を紡ぎ出し、トライアングルツアーの初日を締めくくった。

このあと、ツアーは1119日にumeda TRAD1121日に京都FANJへと続く。

ソロとしても久々の地方公演となるだけに、お時間のある方はぜひ足を運んでいただきたい。

 有村竜太朗_5

 

 終演後、ファンには嬉しい告知がスクリーンに映し出される。

2022122日、有村竜太朗 5th Anniversary Single「円劇/engeki」のリリースがアナウンスされたのだ。

この曲がまた、ライブでどのように育っていくのか……

引き続き注目したいと思う。

 

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