2021年12月31日 (金)
【ライヴレポート】<DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021 supported by MAVERICK DC GROUP>2021年12月27日(月)日本武道館◆
REPORT - 18:00:2040年の歴史はもちろん伊達じゃない。
1981年に音楽事務所およびインディーズ・レーベルとしてスタートしたDANGER CRUEは、その後レコード制作部門をDANGER CRUE RECORDSとして独立させたうえで、現在はL’Arc~en~Cielをはじめとした多くのロックバンドたちを擁する音楽プロダクションMAVERICK DC GROUPとして、シーンの中でとても重要な役割を担っている存在だ。
そして、このたびは日本武道館にて[DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021 supported by MAVERICK DC GROUP]が開催されることになり、所属バンドのみならずOBや外部アーティストまで、なんとも多彩な顔ぶれが開催にあたっての“原点回帰をノスタルジックに。そして次世代へのエールを!”というテーマのもと、多く集うことになったのである。
なお、当日はライヴと並行して武道館の舞台裏をお届けするトーク主体のニコ生特別番組『JACK IN THE BOX 2021“裏の裏”』が配信されており、こちらについては自称「部外者でありながら誰よりもMAVERICKを愛する男」ことNoGoD団長がメインMCとして起用され、多くの出演者たちがライヴの前後に顔を出してくれていたことも付記しておきたい。(※こちらは2022年1月3日23:59まで配信中!)
そもそもは創立20周年のタイミングから始まった[天嘉]シリーズが毎年恒例となり、2007年から[JACK IN THE BOX]となったこの由緒あるイヴェントが、ひとつの集大成を迎えた記念すべき一夜。
それはまず、極めて鮮烈な衝撃の場面から幕を開けることになったのだった──。
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<Petit Brabancon>
すごい、すごい、すごい。
そんなことを呟いている間に終わってしまった。Petit Brabanconの初ライヴはたった3曲、15分にも満たない時間を閃光のように駆け抜けていった。あまりに鮮烈な体験だった。デビュー・シングル[刻 / 渇き] をリリースしたばかり。音源を聴いた段階でこのバンドの途轍もないポテンシャルは想像できた。だが実際に体感した音は、予想をはるかに上回って強力だった。
DANGER CRUE40周年を記念してのイヴェント[JACK IN THE BOX 2021]のオープニングを飾ったのがPetit Brabanconだった。開演予定時刻と同時に場内が暗転し、長いノイズのイントロに導かれて「刻」が始まる。長丁場のイヴェントの始まり、まだまばらな客席に、まるで爆弾が落ちたのではないかと思わせるようなすさまじい轟音が炸裂する。長いコロナ禍で忘れかけていた、鼓膜の奥が痒くなってくるような、空気を震わす音の濁流。広い武道館の空間が炎上したような重低音のアタック、耳をつんざく刺激的なノイズに血が一気に沸騰する。これだけの爆音で一切音が濁らずクリアなPAも特筆すべき。
yukihiroの要塞のようなドラム・セットから繰り出されるプレイはパワフルにして正確、すさまじいエネルギーを放射し、彼のドラムの一打ごとに地響きが床を伝って全身を震わせる。その隣で弾く高松のよく動くベースが一体となって強力なグルーヴを叩き出す。向かって左、ギターを胸のあたりに抱えるミヤと、向かって右、腰のあたりに構えるantzの繰り出すリフが塊となって聴き手に襲いかかる。そして何より、激しく動きながら喉が裂けるのではないかと思わせる悲痛な絶叫を聞かせる京の存在があまりに強烈すぎて、目を離すことができない。
5人はそれぞれ豊富で卓越したキャリアを持った一騎当千のメンバーだ。比類なく激しくヘヴィなノイズを叩きつけても、自分の力ギリギリの限界ではなくどこか余裕がある。ただブルータルで凶暴なだけでなく、湧き上がる衝動を巧みにコントロールして重層的で構成された「楽曲」として聴かせる知性と技量がある。そして5人の意思とエネルギーが呼応しあって高まっていく強靱なバンド・サウンドの真髄も、この日確認できた。
しかしながらこの日のライヴは、Petit Brabanconというバンドのスケールの、ほんの一端に過ぎない。新年1月14日のプレミアム・ライヴ、そして9月の全国ツアーと、彼らの巨大な全貌は明らかになっていくはずだ。
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<NOCTURNAL BLOODLUST feat.宮田大作(a crowd of rebellion)/Kaito(Paledusk)>
覚醒完了から約1年。2020年末に現体制を整え、2021年に入ってからは観客動員をしてのライヴ活動も再開させてきたNOCTURNAL BLOODLUSTは、以前よりもさらにタフなバンドへと変貌していた。この夜しょっぱなから尋が咆哮するかのごとく歌いだしたゴリゴリでメタメタな「Punch me if you can」から始まった彼らのライヴは、もはやエクストリームメタルの域さえ凌駕しつつあるのではないかと思うほどのマシマシになった音圧と、凶暴性を増強したサウンドで構築されており、その極めて装飾性の抑えられた出で立ちでのストイックなパフォーマンスも含めて、ある意味での先祖返り感(※もともとの彼らはデスコアバンドとしてスタートしている)が感じられるほどだったのだ。
なお、このあと「REM」ではゲストとして宮田大作(a crowd of rebellion)とKaito(Paledusk)も加勢してくれることになり、MasaとNatsuによる鉄壁のリズムを背に尋ともども野性味全開放モードな3人が武道館のステージを縦横無尽に駆け回ることに。また、最後の「Reviver」ではValtzが8弦、Yu-taroが7弦のギターをそれぞれに操りながら激音を放ってみせた。来たる2022年春には新しいアルバムを発売し、5月からはツアー[THE AWAKEN TOUR 22]も開始するというノクブラ。今後に対してかなり大きな期待が持てるようなひとときを、彼らはこの場にて我々にみせつけてくれたと言えよう。
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<魅音>
静寂にも近い繊細な響きと、氾濫する烈しく歪んだカタルシス。本来なら相反するはずの両ファクターが魅音の名のもとに表現されていく時に生まれてくるものは、人の心の内側に揺さぶりをかけるような抗いがたい魅惑の色に彩られた波動たちだった。
ミオヤマザキのヴォーカリストmioが、シドのドラマーであるゆうやによるプロデュースで2021年末から始めた魅音という名義でのソロ活動。その初めてのアクションがこの武道館での[JACK IN THE BOX 2021]出演であったというが、この場にて披露されたのは「誓い」と「トリカブト」のわずか2曲のみ。しかも、楽器陣はいずれも揃いのフーディ着用で顔はまるで見えず。また、魅音にも明るいスポットライトが当たることはなく終始舞台上は間接照明となっていたため、いろいろな意味で魅音というアーティストに関しては未知数的な部分を感じるところは多かったものの、それでもゆうやの叩く確かなリズムの上で伸びやかな歌を聴かせる魅音の声はまさに魅力的であることしきり。
「初めまして、魅音です。わたしは今日が初舞台ということで、これが初お披露目になるわけですが、こんなに伝統的なイヴェント、そしてこんなに素敵な会場に呼んでいただいて、仲間に入れていただいて嬉しく思っています。(中略)みなさん、わたしの初めてをもらってくれてありがとうございます。どうか今後応援のほどよろしくお願いします」 アーティストとしての強い発信力と表現力にかけては唯一無二なものを持つ魅音が、ゆうやのプロデュースによって今後いかなる花を開花させていくのか…要注目だ。
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<逹瑯>
大型新人ここに見参。MUCCのヴォーカリストとしては2022年にいよいよ四半世紀のキャリアを誇ることになる一方、ソロアーティストしては完全なる新人となる逹瑯が[JACK IN THE BOX 2021]にて行った今回の初ソロプロジェクトライヴは、どこか初々しい逹瑯を彼の親しい仲間たちがしっかりとバックアップする興味深い場となった。 ちなみに、このソロ活動において逹瑯の頼もしき参謀となっているのは10年以上の交友があるというマルチプレイヤー・足立房文(ex.フジファブリック)で、今回のステージではキーボード&コーラスとして参加してくれており、ほかにもギターには奈緒(アルルカン)と海(vistlip)、ベースはMasa(NOCTURNAL BLOODLUST)、そしてドラムは SORA(DEZERT)となかなかに強力でロックなメンツが勢ぞろい。 そして、ゾロ目が幸先の良い2022年2月2日に発売されるアルバム[=(equal)]から「CRASH MAN」を筆頭とした逹瑯自身の作詞作曲による3曲と、全曲を外部アーティストに依頼したという同時発売のアルバム[非科学方程式]からはTHE BACK HORNの菅波栄純が手掛ける「赤い糸」が、ここではいちはやく披露されたのだった。
年明け1月からは[はじめまして逹瑯です。]と題した音源の発売に先駆けてのファーストソロツアーが開催されていくことになるそうだが、「door」という曲の歌詞中にある〈想像もできない未来があったよね〉というその言葉を、ここからの日々の中では聴き手と逹瑯自身が実感していくことになるのかもしれない。
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<DEZERT feat.暁(アルルカン)/来夢(キズ)>
皮肉なものだ。DEZERTはコロナ禍に突入して以降やたらと急激な成長ぶりをみせただけでなく、ロックバンドとしての強烈な覚悟と矜持を持つようになったのだから。
「何かとこのシーンは元気がないとか、終わったとかよく言われますが。(中略)これからは“俺たち”がこのシーンをちゃんと背負っていくんで、みなさんよろしくお願いします!さぁ出てこい、アルルカン・暁。キズ・来夢。いいか見とけよ、ここから先は“俺たち”がおまえらを楽しくしてやるからな!!」
フロントマン・千秋からの言葉を切っ掛けにここでブチあげられたのは[「殺意」feat.暁(アルルカン)/来夢(キズ)]で、それはバンド同士の垣根を超えた“同志たち3人による所信表明”として受け取ることが出来る、ラディカルかつエモい一撃だった。
「俺ら若手としては、40周年を迎えるDANGER CRUEという事務所に対してまずはリスペクトの想いを送ります。(中略)。44MAGNUMが始まりと炎を。D’ERLANGERが興奮と薔薇、そして恐怖を。L’Arc~en~Cielは最強と虹を。MUCCがカオスと絶望を。シドがポップと目眩を。その他たくさんのバンドのことは全部“ここ”(←自分の胸を叩きながら)に残ってるんで。俺たちが全て背負っていきます。大丈夫です!!」
このあとに聴けた愛と赦しと希望の歌「ミザリィレインボウ」(最新音源[RAINBOW]収録曲)にこもっていた篤厚さは、そのまま彼らがここから進みゆく明日の行方を示していたのではないかと思う。DEZERTよ、これからのことは任せたぜ!!
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<fuzzy knot>
上質なメロディと、それをより楽しく聴かせる歌声。その両要素を兼ね備えた音楽には普遍性というものが宿ることが多く、一生ものとして長く愛していくことが可能になる。
2021年4月にシドのShinjiと、Waiveなどでも活躍してきたRayflowerの田澤孝介によって結成したロックユニットfuzzy knot。
これについてShinjiは「自分のわがままで始めたプロジェクト」と説明することもあるようだが、その実態は「Shinjiが深く影響を受けた1990年代の音楽を織りまぜつつ、ジャンルに縛られない音楽を発信することを目的に始動した」ものであるとのこと。 11月にはZepp Tokyoでの初ライヴを成功させている中、彼らにとってのセカンドステージとあいなった[JACK IN THE BOX 2021]については、まず4月に初の音源としてリリースされ拡がりのある旋律が武道館に響きわたった「こころさがし」からステージングをスタートさせ、ここからの彼らは初見となるかもしれないオーディエンスの耳目もおおいに集めていくことになったのだった。
少しでも多く楽曲を聴かせたかったからなのか、MCは田澤からの「こんばんは、fuzzy knotです。楽しんでいきましょう!!」という言葉くらいしかなかったものの、2022年1月19日に発売されるシングルの表題曲「Set The Fire !」やその収録曲の「Before Daybreak」と秀逸なポップセンスに彩られた楽曲たちはどれもキラキラとしていた。年明けからの[fuzzy knot Live 2022 ~S.T.F.~]でも、彼らの輝くさまをぜひ拝みたいものである。
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<44MAGNUM feat.高崎 晃(LOUDNESS)>
MAVERICK DC GROOUPの前身であるDANGER CRUEは、もともと44MAGNUMのマネージメント・オフィスとしてスタートした。
いわばMAVERICK DC GROUPの源流であり、核となるバンドが44MAGNUMだろう。
1983年のデビュー当時から使っているSE「E.T.のテーマ」と共にステージに登場した44MAGNUMは、1983年のデビュー・アルバム[DANGER]のオープニング・ナンバー「I’m on Fire」で、マグナム流のハードなロックン・ロールで転がり始めた。Paul、Jimmy、Joe、存在感と華のある3人は、オーディエンスの視線も心も奪っていく。2009年からメンバーになったPaulの愛息=Stevieは、キーの高い部分を担当して、ロックン・ロールの勢いをさらに加速させ続ける。そしてBanに代わってベースを弾くのは黒の衣装で決めたMAVERICK DC GROUP代表のjack。
メンバーとの長き信頼関係が熱いグルーヴになってほとばしる。
Stevieが「忘年会、始めようか!」と煽りも食らわせながら3曲を叩きつけた直後のこと。
Paulが「世界的ギタリスト…LOUDNESSからAkira Takasaki!」と叫んだ。
日の丸がさん然と輝く日本武道館に、旭日旗をあしらったKiller Guitarを手にした高崎 晃は、挨拶代わりにギターを爆音で響かせる。それはデビュー・アルバム[THE BIRTHDAY EVE~誕生前夜]の幕開けでもある、恐竜の雄たけびや雷鳴の音。そこに絡むようにJimmyが速弾きを決めたと思えば、今度は高崎がタッピング。80年代には実現しなかった夢のギター・バトルである。
バトルの最後に高崎が弾き始めたのはLOUDNESSの「CRAZY NIGHTS」。しかしイントロのみで、その直後、44MAGNUMの「Street Rock’n Roller」が炸裂。
80年代世界中にヘヴィメタルを轟かせたLOUDNESSと、時を同じくして日本中にヘヴィメタル旋風を吹き荒らした44MAGNUM。その融合に、オーディエンスはコブシを上げてエキサイトしまくる。
それに応えて、続く「No Standing Still」でもテクニカルプレイの応酬技の高崎とJimmy。
忘年会とは言うものの、絶対に忘れることのできない貴重にして豪快な瞬間が連続するライヴとなった。
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<MUCC feat.GRANRODEO>
初の邂逅であった2014年8月。当時、MUCCが京都で行った[SIX NINE WARS –ぼくらの七ヶ月間戦争‐Episode 6.ARMAGEDDON」]第3夜にて2マンライヴを行ったところから始まったGRANRODEOとの貴重な縁は、ここでもまた日本武道館の舞台上に素晴らしい光景を生み出してくれることになったと言えるだろう。
2021年秋より新体制での活動を開始したMUCCは、この日まずは12月初めまで続いていた[TOUR 202X 惡-The brightness WORLD is GONER]の超凝縮版とも言える3曲を、ツアーで得てきた勢いと熱を帯びたままの音で容赦なく投下。
その後はMUCC feat.GRANRODEOというかたちでe-ZUKAとKISHOWのふたりを呼び込み、互いのトリビュート盤へ参加した際に選んだという「ニルヴァーナ」(MUCC曲)と「メズマライズ」(GRANRODEO曲)の2曲を、ビジネス仲良しとは違う仲睦まじく微笑ましい風情をもって、それぞれにトリビュート盤アレンジを活かしながら共に実演していくことになったのだ。
かくして、最後には「蘭鋳」で打ち上がり2021年の活動を締めくくった彼らではあるが、2022年に向けてはミヤがPetit Brabanconで動いたり、逹瑯がソロ活動をしていくという状況もある一方、6月9日=MUCCの日には新体制でのアルバムがリリースされ、6月11日からは全国ツアーも既に決まっているほか、その後には25周年にまつわる動きも出てくるとみて良いかと思われる。そう、MUCCの歩み自体が緩むことはないのだ。
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<D’ERLANGER(CIPHER/SEELA/Tetsu) feat.HYDE/INORAN(LUNA SEA)/逹瑯(MUCC)>
MAVERICK DC GROUPの前身であるDANGER CRUEが、3つめに手掛けたのが、まだインディーズで活動していたD’ERLANGERだった。当時、CIPHERとTetsuは、44MAGNUMのローディだったことは、熱心なファンならよくご存じだろう。
1990年にD’ERLANGERは一度解散しているが、紆余曲折を経て、2007年から黄金期のラインナップで復活。現在は別のマネージメントに所属しているが、このイヴェントには欠かせない存在だ。
しかし今年9月、肺に腫瘍が見つかったことでkyoが活動を休止。治療に専念するkyoに代わって、今夜、D’ERLANGERでヴォーカルを務めるのはMUCCの逹瑯とL’Arc~en~CielのHYDEだ。
SEと共に登場したのはD’ERLANGERと、黒い衣装で固めた逹瑯。
逹瑯とD’ERLANGERのメンバー(Tetsu)との初共演は2009年12月31日、渋谷公会堂にて開催されたイヴェント、[Over The Edge 2009]となる。その際は「ここでTestuさんをセッションで呼べるのは俺しかいないでしょ?」との逹瑯の発案だった。
それへの返礼とも取れるが、Testu発案で「CRAZY4YOUのヴォーカルは逹瑯で」と粋な計らいとなり、その絆の深さを見せつけた人選でもあった。
4人はアイコンタクトを交わし、直後、Tetsuのフィルを合図に「CRAZY4YOU」が始まった。D’ERLANGERのビートと逹瑯のメロディに合わせ、腕を振り上げながらバンドと一体化するオーディエンス。
逹瑯の「C’mon! CIPHER!!」の掛け声で、陶酔しながらソロを弾くCIPHERだった。
そして逹瑯に代わって次にステージに登場したのはHYDEとLUNA SEAのINORAN。
「イェー!」とオーディエンスを煽るHYDEだったが、次の瞬間、ふと我に返り、D’ERLANGERのメンバーに視線を送りながら「こんなにドキドキするの久しぶりかも。でもワクワクします。kyoさんのポジションを温めさせていただきに来ました」と挨拶。
CIPHERの弟分でもあるINORANも静かにうなずいている。そのCIPHERとINORANが向かい合わせになり、2人で刻むリフから始まったのは「SADISTIC EMOTION」。
力も入って鋭い眼光で歌うHYDE。そのHYDEやSEELAと絡みながら弾くINORAN。
HYDEがCIPHERの肩に手を回す場面も。全てが見逃せない華やかにして狂おしきステージが繰り広げられる。そして曲が終わったとき「kyoさんに届いたと思います」とオーディエンスに熱く感謝するHYDEでもあった。
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<MDC 40th Anniversary SUPER ALL STARS>
「いくぜ! Are You Ready!!」
44MAGNUMのPaulの威勢のいい掛け声で始まったのは、<MDC 40th Anniversary SUPER ALL STARS>。
恒例となっているセッション大会だ。もともと事務所の忘年会も兼ねてスタートしたこのイヴェントだけに、世代もバンドも飛び越えたお祭り騒ぎは欠かせない。
今年のセッションプロデューサーはD’ERLANGERのTetsuだ。「最後のセッションメンバーは、DANGER CRUE、MAVERICKに所属したか、現在所属したメンバーで固めよう」と最初のミーティングにて彼は発言をしたところから、転がりだしたこの企画。プロダクション創設40周年を華やかに飾るべく、それにふさわしい人選と選曲を行ったTetsuのプロデュース能力には脱帽せざるを得ない。また、彼は全てのセッションのリハーサルにも全て立ち会っていた。
その性格の細やかさから、各メンバーへのケアも実に素晴らしく、本番前からその成功は約束されていたことは間違いなかった。
その第一弾は44MAGNUMにD’ERLANGERのCIPHERが加わり、さらにJoeの代わりにD’ERLANGERのTetsuという師弟愛に満ち満ちたラインナップ。しかもCIPHERが手にするのは、紫ラメのJimmy Vというこだわり。
TetsuとCIPHERの嬉しさはそのまま喜びいっぱいの音になり、44MAGNUMは2人からの愛情と、武道館を埋めつくしたオーディエンスの興奮を浴びながら、熱量たっぷりでロックンロールを決めた。
演奏直後、師匠であるJimmyに深々と頭を下げるばかりか、ヒザまずいて感謝したのはCIPHER。
こんな光景を目にすることができるのも、このイヴェントならでは。
第二弾を飾るのは、なんとREACTIONのYUKIとNAOKI。そこに加わるのは、MAVERICK DC GROUPの若手ヘヴィネス・バンドのNOCTURNAL BLOODLUSTからValtzとNatsu。
REACTIONは2021年にラスト・アルバム[Farewell]を発表し、それに伴う一連のライヴ活動も既に終わらせている。
しかし、終わるにはまだ早いだろうとばかりに、Valtzがエネルギー全開で弾くリフで突入したのはREACTIONの「JOY RIDE」。Natsuがツーバスのリズムで突き進み、YUKIが若手の二人を煽るようにワイルドなピッキングを決める。
そしてNAOKIは突き抜けるような唱法で歌いまくると、コブシをブチ上げて熱狂するオーディエンスが武道館に広がった。80年代に“ライヴの帝王”という異名を欲しいままにしたREACTION。その当時を想起させる全身全霊の激しいライヴだ。さらにエンディングでは、YUKIがベースの弦を引きちぎり、ベースを床にこすりつけるという、当時のままのライヴ・パフォーム。圧巻である。
第三弾はMUCC。先ほどもステージを披露した彼らだったが、この<MDC 40th Anniversary SUPER ALL STARS>ではドラムにDEZERTのSORAを迎えた編成。
演奏に入る前に逹瑯はこう言った。「Tetsuさんからどうしてもこのメンツで、この曲が聴きたい、とリクエストいただきまして。いろんな思い、メッセージがTetsuさんからうちらに込められていると思います」と。そして披露されたのがMUCCの「ニルヴァーナ」。当人たちにしか分からない側面もあるかもしれないが、脱退したSATOちの弟分であり、一番弟子といってもいいDEZERTのSORAが加わったラインナップ。
演奏中、逹瑯がSORAのほうを見ながら歌う場面もあれば、SORAに向かって手を振るYUKKEやアイコンタクトをしてギターを弾くミヤの姿も。それに対してものすごく嬉しそうな表情で叩き続けるSORA。
そのやり取りひとつずつが温かく、曲もポジティブなオーラをまといながら武道館に響き続けた。
第四弾として紹介されたのは、シドの楽器陣。そこに誰かセッション参加すると思われたが、ステージに立ったのはShinji、明希、ゆうやの3人。「こんばんは、シドです。今日は僕たち3人だけですけど、僕らに託された40周年のセッションのバトンを、しっかり次につなげたいと思います」と明希。そして始まったのはシドの「Dear Tokyo」だった。
ベースも弾きながらメイン・ヴォーカルで歌うのは明希。シドの今年のツアー[SID TOUR 2021 ~peep of 2022~]で何度か喉の不調を訴え、ツアー後には歌をしばらく休むことにしたのが、本来のヴォーカリストであるマオ。
このイヴェントにシドとして立つにあたり、俺たち3人でやり切ってやろうという、メンバー間の絆の深さや愛情がそこに感じられる。それに明希はソロ活動においてヴォーカルの経験も積み重ねて来ているだけに、歌もうまい。
そうした様々な新たな感動を呼ぶシドのステージとなった。
SEと共にスクリーンに映された第五弾はD’ERLANGERのバンド・ロゴ。ライトの中でシルエット状に浮かび上がるのは、D’ERLANGERの楽器陣3人、センターには怪しく光る金髪姿のヴォーカリストの姿が。「まさか?」と日本武道館に集まったオーディエンスは息を吞み、その様子を見守る。
SEのヒステリックな叫び声の直後、[LA VIE EN ROSE]に突入。スポットライトを浴びてセンターに立っているのは、間違いなくkyoだ。完全復活を宣言するかのように“Hey, Look Out!”とオーディエンス全員に向けて叫けび、爆音と共に特効が炸裂する。
バンド全体が醸し出す、重厚なムードと圧巻の演奏力。そして“C’mon! CIPHER!”というkyoのシャウトと共に、ギターソロの為にステージ真ん中へ歩みだすCIPHER。そこで彼は大きく手を広げ、ギターソロを弾かずに、ハウリングと共に堂々たる姿をオーディエンスに見せつけた。これほど「様になるギタリスト」は日本には類を見ない。
これらの全てが「D’ERLANGERがD’ERLANGERたる由縁」なのだ。彼らの完全復活に日本武道館は大きく揺れた。
D’ERLANGERの咆哮が今、再び始まった。そう印象付けるパフォーマンス。
楽器陣の3人もいつも以上にキレのあるプレイで観る者全てを圧倒。奇跡の事件がここにあった。
しかも曲はD’ERLANGERがインディーズ時代に発表した[LA VIE EN ROSE]から、SEを除けばオープニング・ナンバーになっていたもの。D’ERLANGERの咆哮が今、再び始まった。そう印象付けるステージだ。
楽器陣の3人もいつも以上にキレのあるプレイで観る者全てを圧倒。奇跡の事件がここにあった。
「kyoさん、帰ってきてくれたよ! 本当にね、嬉しい。今のライオンみたいな声を聴いたら、絶対、復活するよ。というか、もう復活してるんじゃない!」
そう大喜びするのは、第六弾のメイン・ヴォーカル、HYDEだ。他にこの第六弾には、MUCCの逹瑯とミヤとYUKKE、シドのShinjiと明希、DEZERTの千秋、D’ERLANGERのTetsu、そしてL’Arc~en~Ciel/Petit Brabanconのyukihiroが参加。HYDEの「全力でいきましょう」の言葉を合図に始まったのは、L’Arc~en~Cielの「HONEY」。
どこまでもポジティブにさせていく歌とバンド・サウンド。それを全身で味わいながら笑顔でいっぱいのオーディエンスと、それ以上に嬉しそうな笑みをこぼすステージ上の全員。気持ちがひとつになった最高のライヴ。
ラストではHYDEが「締めるよ、来いよ!」とオーディエンスに呼びかけ、全員のジャンプでエンディングを決めた。
直後、みんなで挨拶と撮影という流れになったものの、一足先にステージから降りてしまったのはyukihiro。
Tetsuが「業務連絡、yukihiro様。お疲れのところ申し訳ありませんが、ステージ上にお戻りください」とアナウンス。
それに応えて出てきたのは、MAVERICK DC GROUPのSUPER ALL STARSの面々だった。
そして、Tetsuの呼びかけにと共に、出演者がステージに再度現れる。世代を超えた組み合わせにて、記念写真撮影。
その真ん中にはPaul、kyo、HYDEが並び、そこを中心として全世代にわたるアーティストが並ぶ姿も秀逸の一語だ。
そこには、文字では書き記せない「見えない絆」が存在したことも間違いない。
温かい拍手の中、次回は44MAGNUMに掛けて44周年をやることも決まり、MAVERICK DC GROUPのボス=jackも今日のライヴ実現を、音楽を愛するファンのみんなに感謝した。そして最後はHYDEの「御手を拝借」という音頭で全員で一本締め。
MAVERICK DC GROUPは2021年に40周年を迎え、2022年以降も激しく色鮮やかに様々な展開を見せていくはずだ。
写真◎河本悠貴、西槇太一、Hiroshi Tsuchida
文◎小野島大、長谷川幸信、杉江由紀
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■DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021 supported by MAVERICK DC GROUP
2021年12月27日(月) 日本武道館 SETLIST
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●Petit Brabancon
1. 刻
2. OBEY
3. 渇き
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●NOCTURNAL BLOODLUST
1. Punch me if you can
2. Life is Once
3. REM feat.宮田大作(a crowd of rebellion)/Kaito(Paledusk)
4. Reviver
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●魅音
1. 誓い
2. トリカブト
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●逹瑯
1. CRASH MAN
2. New Chaotic Paradise
3. door
4. 赤い糸
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●DEZERT
1. 神経と重力
2.「君の子宮を触る」
3.「殺意」 feat.暁(アルルカン)/来夢(キズ)
4. ミザリィレインボウ
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●fuzzy knot
1. こころさがし
2. Joker & Joker
3. Set The Fire !
4. Before Daybreak
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●44MAGNUM
1. I’m on Fire
2. The Wild Beast
3. I Just Can’t Take Anymore
4. Street Rock’n Roller feat.高崎 晃
5. No Standing Still feat.高崎 晃
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●MUCC
1. 惡-JUSTICE-
2. KILLEЯ
3. GONER
4. ニルヴァーナ feat.GRANRODEO
5. メズマライズ feat.GRANRODEO
6. 蘭鋳
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●D’ERLANGER
1. CRAZY4YOU feat.逹瑯
2. SADISTIC EMOTION feat.HYDE / INORAN
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●MDC 40th Anniversary SUPER ALL STARS
1. Baby, Come Together
Vocal:Paul(44MAGNUM)、Stevie(44MAGNUM)、Guitar:Jimmy(44MAGNUM)、CIPHER(D’ERLANGER)、Bass:jack、Drum:Tetsu(D’ERLANGER)
2. JOY RIDE
Vocal:NAOKI(REACTION)、Guitar:Valtz(NOCTURNAL BLOODLUST)、Bass:YUKI(REACTION)、Drum:Natsu(NOCTURNAL BLOODLUST)
3. ニルヴァーナ
Vocal:逹瑯(MUCC)、Guitar:ミヤ(MUCC)、Bass:YUKKE(MUCC)、Drum:SORA(DEZERT)
4. Dear Tokyo
Guitar&Chorus:Shinji(シド)、Vocal&Bass:明希(シド)、Drum&Chorus:ゆうや(シド)
5. LA VIE EN ROSE
D’ERLANGER[ Vocal:kyo / Gitar:CIPHER / Bas:SEELA / Drum:Tetsu]
6. HONEY
Vocal:HYDE(L’Arc~en~Ciel)、Guitar:ミヤ(MUCC)、Shinji(シド)、Bass:明希(シド)、YUKKE(MUCC)、Drum:Tetsu(D’ERLANGER)、yukihiro(L’Arc~en~Ciel)
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■JACK IN THE BOX 2021 WOWOWで独占放送&配信決定!
DANGER CRUE 40th Anniversary 『JACK IN THE BOX 2021』 supported by MAVERICK DC GROUP
2022年2月23日(水・祝)20:30 WOWOWライブ / WOWOWオンデマンド
※放送終了後~1カ月間のアーカイブ配信あり
※番組編成や内容は予告なく変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。
番組オフィシャルサイト https://www.wowow.co.jp/jack-itb
■JACK IN THE BOX 2021オフィシャルサイト http://www.jack-itb.com/