2022年03月26日 (土)
★対談企画スタート!★第壱夜【ハロ(ベル) × 義彦(heidi.)】<ベル主催『サクラ大戦-REVENGE-2MAN LIVE』>2022年4月2日からスタート!
NEWS - 20:00:062022年4月2日からスタートする、ベル主催『サクラ大戦-REVENGE-2MAN LIVE』。
2020年に開催予定もコロナ禍の影響により中止を余儀無くされた企画が、パワーアップして遂に実現する。
それを記念して、ベルのVo.ハロが各バンドのボーカリストを招いてお互いのアーティスト性や人間性を深く掘り下げる対談企画が始動。
第壱夜のゲストは、heidi.の義彦。
圧倒的な歌唱力でシーンを牽引し続ける実力派ボーカリストが語る、歌・音楽・人間との向き合い方とはーーー。
*次回第弐夜は4月2日(土)記事配信予定です!
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◆「2MANについて」と「お互いのバンドの印象」のお話。
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ハロ:これまでも何度かイベントで御一緒させて頂く機会がありましたが、主催などにお誘いするにはなかなか勇気が必要で。
義彦:heidi.に対して怖いイメージがありました?
ハロ:そんな事は無いです!ただ、メンバーのどなたかが積極的に周囲とコミュニケーションを取られている感じでもなかったし、何となく断られるんじゃないかなぁと思ってしまって(苦笑)。このサクラ大戦は2年前に“初めましての2マン”である事を前提に企画したので、それにかこつけてお誘いしてみました。残念ながら、その時はコロナ禍の影響で中止になってしまいましたが、今年「リベンジ開催をしたい。」というお話をしたら二つ返事でOKを頂けて嬉しかったです。
義彦:実際、うちのバンドは人見知りですね。楽屋でも4人で集まって端に居るから、交友関係が広がらないんですよ。その空気が伝わって誘いづらかったなら申し訳なかったです(苦笑)。今のheidi.は初期の頃の所謂“歌謡バンド”とは少しイメージが変化していますけど、ベルも歌謡テイストの楽曲を軸にしながら色々と新しい事にも挑戦していて、その姿勢が凄くカッコいいなと思っていました。だから、今回のリベンジ公演へのお誘いもメンバー全員即決で「やりましょう!」と決まりましたし、声を掛けてもらえて嬉しかったですね。
ハロ:そう言って頂けて嬉しいです。僕らの土台には歌謡があって、heidi.さんはヴィジュアル史においての歌謡バンドの系譜にベルが結成する前からずっといらしたバンドさんなので、バンド始動時にも「いつか対バンしたいね。」という話をしていたんです。ようやく2MANが実現するので、これをきっかけにいずれは東名阪ツアーなど御一緒できるくらい距離を縮められたらいいなと思っていたりします。
義彦:良いですね!本当に人見知りのバンドなので、これを機にもっと仲良くなりましょう。
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◆「スイッチが入る瞬間」と「ボーカリスト特有の悩み」と「セットリスト」のお話。
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ハロ:今日は、義彦さんにボーカリストとして伺いたい事が色々ありまして。まず、ライヴに向かうにあたって自分の中でスイッチが入る瞬間はいつですか?
義彦:俺はステージに上がるまではノースイッチで、ステージに上がって第一声を発した時にスイッチが入って、そこでその日の自分のモードを判断します。俺の歌には何種類かのモードがあって、第一声を歌うと自然とどれかに分かれるんですよ。
ハロ:ステージに出るまでわからないという事ですか?
義彦:そう。勿論、リハはしていますよ。でも、リハで調子が良いと本番が良くないんですよね。リハでスタッフさんに「今日、調子が良いね!」なんて言われたら、自分的にはマイナスなんです。そのリハのイメージを持ったままの状態で本番を迎えたくないから、ノースイッチにして“リハは無かった。”という気持ちでステージに上がるようにしています。
ハロ:3種類のモードというのは?
義彦:簡単に言えば、『①歌に徹する・②喉の調子がいまひとつだからステージングとのバランスを考える・③歌が歌を超えられるような日』の3つ。
ハロ:別のボーカリストさんとも話したんですが、自分としてはあまり良くなかったと感じるライヴの日に限って、関係者の方などに「良かった!」と言われる事があるじゃないですか?逆に、自分としては世界観に入り込めて“凄く良いライヴができた!”と思う時は、観ていた人には意外と響かない事もある。それを自分の中でどう噛み砕いたら良いのかわからないんです。
義彦:確かに、自分が良いと感じる日に限って良い反応が来なかったりしますよね。俺はもう気にしていないです。“自分の感覚で良かったんだから、ファンもきっと良かったはずだ。”と思わないと、次に進めないから。自分的に良くなかったと感じるライヴだった時は、必ず動画を観るようにしているくらいです。周りの良い・悪いの意見には、あまり左右されたくない。
ハロ:そうですよね。僕も、リハが良いと本番が良くない事が多くて。リハで“今日は身体も軽いし、調子が良い!”と思ったのに、本番になったら謎に力みが生じるのかわからないですけど・・・。
義彦:うん、あれは力みだと思います。俺はもう、(声が)出なかったら出ないで力まないようにしています。
ハロ:力まない事ってできますか?本番の第一声で“今日はちょっと声が出づらいな。”と気付くと、その曲のトップキーがくる直前には無意識に力が入ってしまう。
義彦:声は張ったほうが出なくなるものだから、張らないように意識すると良いかも。一番聴かせたい部分だけは張って、ちゃんと届ける。それ以外の部分は、俺は意外と息を抜きながら歌っていたりするので疲れにくいんですよ。
ハロ:もしかしたら、息を抜く感覚が違うのかもしれないです。義彦さんの歌は常にはっきり聴こえていたので、少し意外でした。マイクにこだわりはありますか?
義彦:特に無いです。俺は本当に感性のみで歌っていて、全く知識が無いんです(苦笑)。
ハロ:凄い、完全に天才型ですね。
義彦:それを言ったら、ホタルの慎一郎さんは本当に天才肌ですよ。俺も昔は慎一郎さんに憧れて、あの全力さを目指していた時期もあったんです。でも、段々と“これでは自分はもたないな。”と気付いて、自分に合った伝え方や表現を模索した結果、今のスタイルへと変化していきました。とはいえ、結局は感性の問題で知識面はよくわからないままなんです。だから、ライヴ中に“ちょっとキーを上げてみよう。”とか“フェイクを入れてみよう。”なんてやった結果、全く合わなくて失敗する事もありますよ(笑)。自分の中では、そうやって何かを試してみようと思うのは良いライヴができている日じゃないかなと思いますけど。
ハロ:余裕がある時ですよね。ライヴでは“喉に負担を掛けない為には、これ以上疲れてはいけない。”というラインがありますが、毎回守れますか?
義彦:毎回は守れないです。
ハロ:時々“今日は(ラインを)超えなかったな。”という日もあって、それはそれでライヴをした気がしないというか。
義彦:達成感の問題ですよね。“歌が荒かった。”と感じる日に、周囲からは「良かった!」と言われたりするんですよ。自分としては体力的にしんどかったし、歌という観点で言えば良くなかったと思う。だけど、それを「良い。」と言われる理由も何となくわかる。
ハロ:そのエモーショナルな部分は、ロックバンドに求められているところなんだろうなと。
義彦:そう思います。両立はできないものだから、そこに関しては諦めました(笑)。
ハロ:僕は、まだ諦めきれなくて(苦笑)。だから、“この曲はひたすら感情的に歌おう。”とか曲ごとに変えるようにしています。
義彦:セットリストはハロくんが決めています?
ハロ:はい、僕が作ります。
義彦:ボーカルが作ったほうが良いですよね。俺もここ2~3年でやっとセットリストを組むようになって、物語を描きやすくなった。
ハロ:僕もまだ2年くらいですが、本当にやりやすいですよね。セットリストって、1本のストーリーだから。
義彦:そう、組んでいて楽しい。heidi.は楽曲の振り幅が広いので、ポップな曲とダークな曲を交互に組まれるとテンションの持って行き方が難しくて。自分でセットリストを組むようになってからはやりやすいし、観に来てくれている人達にもきちんとした物語を見せられているんじゃないかと思います。
ハロ:僕の場合、たまに明るい曲の次にあえて暗い曲をやって叩き落としたくなる事があって(笑)。でもいきなりだと自分の情緒が追い付かないので、「曲間の繋ぎとして、暗い雰囲気のベースソロを弾いてくれない?」と頼んで、その間に気持ちを作ります。そうしたら、セットリストがまた新しい広がりを見せてくれたりもして。
義彦:良いですね!ファンの人達も「これは何だ!?」とワクワク感があるだろうし。heidi.でもやってみようかな。
ハロ:ぜひ!スイッチの話に戻ると、僕はメイクをしたらスイッチが入るタイプで。
義彦:ヴィジュアル系は、メイクをして衣装を着たらスイッチが入る人が多いですよね。
ハロ:はい。なんですけど、本番直前にあまりワーッと話したりはしたくなくて。
義彦:同じです。俺はSEが鳴ってステージに出て発する声が第一声でありたいから、ライヴ前の円陣も苦手です。円陣ではいつも拳だけ合わせて、掛け声はナオがしています。
ハロ:ベルの円陣は、僕が「今日はこういうライヴだから。行くぞ!」みたいな感じで言うんです。でも、あの掛け声は歌う時に使う声とは違うし、絶対に喉に良い声ではないから、できればやらないほうが良いのかなとも思う。
義彦:どちらかと言うと、煽る時の発声ですからね。
ハロ:ライヴ中のシャウトは負担を最小限にする方法があるけれど、円陣の掛け声は喉を使ってしまいますよね。
義彦:きちんと話してまだ間もないけれど、ハロくんは凄く気遣い屋なイメージがあるので。「絶対に良いライヴにしようぜ!」とメンバーの士気を高めようとして頑張ってしまって、それによってテンションが上がる部分は確実にあるだろうし良い事なんですけど、喉には良くない・・・と、俺は思います(苦笑)。
ハロ:僕もそう思います(苦笑)。
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◆「ライヴ前のルーティン」と「ライヴ中の事件」のお話。
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ハロ:ライヴ前のルーティン的なものはありますか?
義彦:リップロール以外は、屈伸くらいですね。腰が弱くて、年に2~3回はギックリ腰をやるんですよ。この前、ワンマン本番中の残り5曲くらいのところでギックリ腰になりました(苦笑)。
ハロ:えっ、それどう対処されたんですか!?
義彦:ダサいですけど、ライヴを止めて「ギックリ腰をやりました。とりあえず続けてみます。」と伝えて、座ったら立てなくなるからそのままの体勢で何とか歌い切りましたね。俺の一番の悩みは腰です。
ハロ:僕は肩と首の凝りが酷過ぎて、ライヴの振りをやってる最中に頸椎を損傷したことがあります(苦笑)。今は大丈夫ですけど、ギックリ腰の首バージョンみたいな感じでした。
義彦:頚椎は怖い。首が硬くなるのは良くないですよね。マッサージとかで改善されるものでもなく?
ハロ:通っていた時期もあったけれど、マッサージで揉み返しがきてしまうと、筋肉が膨張した状態になって声が出しづらくなってしまうから難しいんですよね。
義彦:さっき話していた力んでしまう理由って、それじゃないですかね?
ハロ:それもあるかもしれないです。なるべくほぐせるように、ツアー中は朝風呂に入るようにしています。夜にも入って、朝もお湯にだけは浸かるとか。
義彦:朝は眠れるだけ眠っていたい人だから、俺は夜です(笑)。
ハロ:眠れば眠るほど、喉は楽になりますか?
義彦:俺の場合はそうですね。喉の調子が悪かったら、まず“寝よう!”と思います。
ハロ:僕は眠り過ぎても眠らなさ過ぎてもダメなんです。もし10時間とか眠ったら喉が半日くらい起きないから、6~7時間がベストかなと思う。
義彦:ライヴ前は、それくらいの睡眠時間に合わせて眠るんですか?
ハロ:合わせるんですけど、大体眠れないんですよね・・・。
義彦:不眠症?
ハロ:普段は大丈夫なのに、ライヴ前だけ異様に眠れないんです。
義彦:気持ちが高揚して興奮しているんでしょうね。
ハロ:そう思います。よく「身体を疲れさせれば眠れる。」とか言うけれど、翌日に疲労感が残るような疲れ方はできないし・・・。
義彦:やっぱり、ハロくんは頑張り屋さんなんだろうなぁ。
ハロ:いや、そんなことはないんですよ!でも、皆さんどうしているのかなと思って。何も考えずに眠れます?
義彦:ライヴ前は何も無く眠れますけど、ライヴ後は興奮してしまって眠れないです。ハロくんは?
ハロ:ライヴ前は色々と考え過ぎて眠れなくて、結局睡眠不足でライヴをするから、終わった後は解放感と睡眠不足によって眠れるんです(笑)。
義彦:本当に真逆ですね(笑)。俺は、風呂の中で“今日のライヴのあそこが気持ち良かったな~!”とか考えるのが最高です。
ハロ:それとってもわかります!僕も湯船の中で必ず思い返しますね。没入感が強くてドーパミンがいつもより出ていたなと感じられるライヴの瞬間って、いわゆるライヴ曲と歌モノのどちらが多いですかね?
義彦:歌モノのバラードですね。それ以外は憑依しないというか、“ちゃんと歌おう。”という意識のほうが強いかもしれない。バラードは歌の感覚もあるし、いろんな癖をつけて遊んだりもできるので、一番入り込めます。バラードに関しては、“音源からどんどん遠ざけて歌ってやろう!”と思っているところがあるので。
ハロ:バラードめちゃくちゃわかります。
義彦:前のライヴと同じ曲でも、同じようには歌わない。つまり、時として良くなくなるパターンも有り得るけれど、それが楽しいし一番入り込めます。バラードは2~3曲続かないと気持ち良くならないですね。
ハロ:ライヴ中の記憶は全てありますか?
義彦:ほぼあります。でも、バラードはあまり無いかもしれない。
ハロ:入り込めた時って、あまり覚えていないですよね。後から思い出そうとしても“気持ち良かった。”という事しか覚えていなかったり。
義彦:そうそう。若い頃は激しい曲が気持ち良かったんですけど、今は歌モノをしっかり歌えた時やバラードに入り込めた時のほうが気持ち良くなっています。自分の中で、ライヴというものへのイメージが変わってきたんですよね。“暴れてなんぼ!”みたいな感覚は無くなってきた。そういう曲も大事だと思うしやっていきますが、根本の部分で大事にしているものは変わってきたなと感じますよ。
ハロ:変化していく、というか変化に抗えないんですよね。歌い続ける為にも。
義彦:そう思います。歳を重ねていく中で、歌を重視する事が音楽を長く続けていく事に繋がるなと感じるようになってきて、それからは今まで以上に歌を大事にするようになった。激しい曲で舌が回らなくなった経験とか、まだ無いですよね?(笑)
ハロ:うーん、舌が回らなくなる状況かは分かりませんが、何が変わったのかはわからないけれど、今まで楽に出せていた部分が急に出しづらくなったり歌いづらくなったりした事はあります。あと嚥下(えんげ)が上手くできなくなったり、それがまた変な力みに繋がったりもして。そのような状況の時どう対処していますか?
義彦:・・・「ま、いっか!」って(笑)。
2人:(爆笑)
義彦:heidi.は元々先輩3人の中に俺が入る形で始まったバンドだから、メンバーにダメ出しされないように意識しながらライヴをしていたところがあって。勿論、俺が気にしていただけで、メンバーは怒ったりしなかったですよ。でも、7~8年はそんな感じでやってきたので、今は自分の気持ち的な部分まで含めて本当に自由にやらせてもらっている感じなんですね。だからこそ「ま、いっか!」になってしまうのかもしれないですけど、それくらい気にしないです。
ハロ:何度かheidi.さんのライヴも観させて頂いていて、一切その「ま、いっか!」を感じた事が無かったんですけど、7~8年を経ての「ま、いっか!」という言葉は、ライヴのクオリティとは全く違うベクトルの「ま、いっか!」なんですね。
義彦:そうだと良いなと思います。あとは、歌詞が覚えられない(苦笑)。
ハロ:僕も歌詞を忘れる事があって、1番のAメロを歌うべきところで2番のAメロが出てきてしまったりすると、もう戻れない(苦笑)。
義彦:そういう時は、2番のAメロを2回歌うしかない(苦笑)。
ハロ:完璧と言えるくらい歌い込んでいたはずの曲でも、ある日突然飛んだりするんですよ。
義彦:俺も“代表曲なのに・・・。”と思った経験があります。今は、念のため歌詞も用意していますね。
ハロ:僕も、歌い出しだけを書いた簡易的なプロンプターを置くようになりました。
義彦:それぞれのファンに「ここが聴きたい!」という部分があるので、歌詞って大事なんです。
ハロ:歌詞を間違った瞬間、客席の視線がパッとこちらに向いたと感じる事がありますよね。
義彦:それ程までにファンは歌詞を全部覚えてくれているという事だから、本当に凄いしありがたいなと思う。同時に、間違えてしまう自分が申し訳なく感じたりもします。
ハロ:今はマスクをしているからわからないけれど、コロナ禍前は歌詞を口ずさみながらライヴを観てくれている方も居て。その子は歌えているのに俺は歌えていないって、情けないなと思った事がありました(苦笑)。
義彦:ライヴ中、ファンのことは見るほうですか?
ハロ:かなり隅々まで見ていると思います。
義彦:俺もそうなってきました。歳を重ねるにつれて、感謝を伝えたくなってきたというか。
ハロ:同じです!“ありがとう!”と思いながら見ています。
義彦:結成当初は、ライヴ中に感謝とか考えられていなかった気がする。
ハロ:そうですね。今思えば、独りよがりだったなと思います。
義彦:うん、俺も自己中心的なライヴをしていたなと思います。あの頃は、そのがむしゃらな感じも魅力のひとつだった事もわかるんですけど。今はもう若い頃みたいな挑戦の仕方はできないから、何か新しいものを見つけようと常に考えているし、今だからこそできるベストなものを見せたい。そういう意識の中で、ファンのことを見るようになってきましたね。
ハロ:あと、フロアの見方も変わりました。以前は「俺を見ろよ!」くらいの視線の向け方だったのが、今は感謝を伝えたい親戚みたいな目線になってきたというか(笑)。バンドって自分達だけでは絶対に続けられないものだから、長く続ければ続けるほど感謝が膨らんでくるんです。
義彦:だからこそ、自分の喜びもファンに与えたいんですよね。自分が気持ち良く歌えているのは皆のおかげだと感じるから、「こんなに楽しい!」と伝えたくて見てしまうのもある。
ハロ:ファンの人達が楽しんでくれている事を、より嬉しく感じるようになりました。昔よりも余裕が生まれたんだろうな。
義彦:確かに。ライヴというものをしっかり理解した上でステージに立てているから、より楽しく感じる。昔は難しく感じていた曲も、今は上手く歌えるようになっていると思うし、そう考えると良い余裕なんじゃないかな。
ハロ:ですね。反面、初期の音源を聴くと今とは歌い方が違うので、それをセットリストに入れると当時に引っ張られてしまう自分も居たりして。
義彦:(歌い方を)昔に寄せてしまうということ?
ハロ:はい。当時の喉で歌っていた曲を、そのまま今の喉で歌おうとするのは良くないとわかっているんです。ただ、歌には続けていくほど上達していく部分と、消耗して劣化していく部分が存在しますよね。そことどう向き合ってこられたのか知りたいです。
義彦:ファンの人達に「今の自分が一番良いと思う歌を歌っているから、昔の俺を期待しないで今の俺を見て下さい。」と伝えてからは、昔の自分に寄せる事も無くなったし負担も感じず素直に歌えていますね。人間だからキーも歌い方も変わっていくのは当然だし、当時と同じようには歌えない曲もある。でも、せっかく今の自分が歌っているのに、無理をして昔の自分に寄せるって凄くもったいない事じゃないですか。今の自分に自信を持って歌えば、今のほうが好きだと言ってくれるファンも沢山居ると思うんですよ。それが、自分自身にとっても聴いてくれる人達にとっても一番納得できる形なんじゃないかな。・・・何か、偉そうに聞こえてしまったらごめんなさい。
ハロ:そんな事ないです!少し気持ちが楽になりました、ありがとうございます。
義彦:良かった!
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◆「歌詞」と「趣味」のお話。
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ハロ:歌詞を書く上でのルールはありますか?
義彦:ナオが6~7割の歌詞を書くので、俺は3割くらいしか書かないんですね。だから、書きたい事は溜まっているほうだと思います。
ハロ:スマホのメモに書き溜めたり?
義彦:いや、家にあるノートに。
ハロ:ノートって、常に持ち歩いてはいないですよね?例えば、外出先でふとした瞬間にフレーズが降ってきた場合はどうしているんですか?
義彦:昔、ナオが「外に居る時に良いフレーズが降ってきたとして、そのままその日のスケジュールをこなして、帰宅した時にまだ頭に残っていたなら、それは本当に良いフレーズだ。もしその時に忘れてしまっていたなら、自分の中では良いフレーズではなかったという事だ。」と言っていたんです。その言葉が響いたので、それからはノートを持ち歩く事をやめて家に帰った時にメモをするようになりました。
ハロ:なるほどなぁ・・・基本的に、家で書きます?
義彦:家で書いていて、煮詰まったら1人でカフェに行ってみたりします。
ハロ:持ち曲の数が凄いですよね?
義彦:いや、16年やってるわりには少ないんじゃないかと思います。200曲は無いくらいかな?
ハロ:少なくないですよ!(笑)
義彦:そうか(笑)。ナオは「趣味は曲作り」と公言しているくらいですからね。
ハロ:本当に凄いです。趣味ってありますか?
義彦:音楽以外は・・・競馬とか。俺、地方競馬が好きなんです。人混みが苦手でも地方競馬は比較的空いていますし。ギャンブルが好きというよりは、馬が好きなんです。
ハロ:え!僕も馬が大好きで、馬が見たくて競馬場に行っていた時期があります。
義彦:パドックでひたすら馬を見て、ゴールの時にとんでもないところから1位に来たりしたら大興奮ですよね。財布の中身は寂しくなっている場合も多いですけど(笑)、馬が好きなんです。
ハロ:最近は全く競馬場に行かなくなってしまいましたが、週末になると親父と一緒に行っていた時期があって。子供の頃から馬自体が好きだったから、牧場に行って乗馬体験をしたり。競馬が好きというより、本当に馬が好きで行っていました。馬は目が優しいんですよね。競馬場に居るとグッとくる瞬間がありませんか?昔、大好きだった馬が段々と勝てなくなって引退する事になって、最後の最後にその引退レースで優勝した時は泣きました。そういうドラマが沢山あるんですよね。
義彦:うん、感動しますよね。ギャンブルというより馬が好きって気持ち、よくわかります。まぁ、俺は馬券を買ってもいますけど(笑)。
ハロ:“好きな馬の餌代になってくれれば!”という感じですよね、課金です(笑)。
義彦:他に趣味と言えるのは、カラオケボックス。あの空間に1人で居るのが好きで、歌う以外に歌詞を書く事もあります。歌詞を書いていて煮詰まったら歌ってみたり、“この人の歌って歌えるかな?”と遊んだりしています。フリータイムで入って滞在6時間なんて事もありますよ(笑)。
ハロ:僕はカラオケボックスの空間にちょっとしたトラウマがあって、今は全くカラオケに行かないんですよ。バンド活動を始める前までは頻繁に行っていたし好きだったんですけど、バンドを始めてからは地元の友達とカラオケに行っても「ボーカリストなんだから歌って!」みたいな圧を掛けられることが多くなって。“どうして遊びにきてまで神経をすり減らさなきゃいけないんだろう。”と思って、行かなくなってしまいました。でも、1人で行けば良いんですね。
義彦:そういう圧は嫌ですね、つまらなくなってしまう。1人なら、歌えるし、歌詞も書けるし、食事もできるし、本当に自由だから。
ハロ:確かに。作詞をする時、カフェに行ってみたり、街を歩いてみたり、降りる駅を決めずに山手線に乗ってみたり、色々とやってきましたがカラオケは無かったですね。面白そうだから、今度やってみようかな。
義彦:実は、昨日も2時間くらい行ってきましたよ。
ハロ:月に何回も行くんですか?
義彦:最低週1回だけど、週2~3回という時もありますね。
ハロ:そんなに頻繁に!コロナ禍でライヴが全て中止になった時期、歌の感覚を取り戻すのが大変でしたよね。
義彦:あの時はカラオケボックスも営業していなかったし、俺は歌い方を忘れていました。他のバンドのボーカリストでも「歌う場所が無いから、歌い方を忘れた。」と言っている人が沢山居て、悩みは一緒なんだなと思った。
ハロ:自宅にボーカルブースがあるボーカリストに出会うと羨ましいですもん。歌い方って、ライヴが2週間空いたら忘れると思っているので。
義彦:その2週間でストレスが抜けたのか逆に良くなっている場合もあれば、1週間でも“あれ?全然違う・・・。”と感じる時もある。喉って本当に不思議なんですよ。でも、自分に違和感があるだけで聴く側からしたらあまり変わっていないんだろうなとも思う。
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◆「喉のケア」と「メンタル」と「コロナ禍」のお話。
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ハロ:ツアー先での喉のケアってどうしていますか?
義彦:ホテルに加湿器を置いて、あとはあえてあまり気にしないようにしています。エアコンは基本的に夏だけで、暖房はつけない。布団にくるまっていれば良いかという感じです。
ハロ:僕は、1年を通してエアコンを使わない人間だったんです。でも、夏場は逆にそのせいで疲れが取れずに体調が悪くなってしまう事もあって。冬は加湿器のみで過ごしていたんですけど、ある時ツアー先のホテルがあまりに寒くて、“さすがに無理だ。”と暖房の風量を弱にして26℃くらいを保ちつつ加湿器をつけて眠ったら、翌日すごぶる調子が良かった(笑)。そこからは、温度を一定に保って湿度を確保すれば大丈夫だなと、割と抵抗なく暖房もつけられるようになったんです。逆に、寒い状態のまま眠ると身体が冷えて、冷たい空気を吸う事で喉周りも冷えやすくなってしまうので。暑過ぎも寒過ぎもダメだから、本当に気を遣います。
義彦:確かに。ただでさえ、夏は室内と室外の温度差が凄いから。
ハロ:1年の中で一番喉の調子が良い季節ってありますか?
義彦:改めて考えると、夏かもしれないです。
ハロ:身体が温まらないと、良い声は出ないですよね。
義彦:そう思います。身体が温まっていれば自然と声も出やすくなるから、本番前に発声はしないで身体を動かすってボーカリストも居ますしね。俺も、発声はあまりしないです。リハをしたら、あとはストレッチ。
ハロ:僕も、ある時からリップロールやハミングのようなストレッチ的なもの以外の発声はあまりしなくなりました。昔は楽屋で声出しをするのが当たり前だと思ってずっとしているタイプだったけれど、何が自分に合うのかわからない状態でやっていたんですよね。結局、むやみに声出しをしても喉を消耗するだけだと気付いてから変えたんです。ただ、人それぞれ違うから本当に正解がわからないなと思う。
義彦:プロの方でも楽屋で発声をしている方も多いでしょうし、自分に合ったスタイルを見つける事が大事だと思います。
ハロ:ツアー中は本当に気が滅入るくらい、喉に気を遣うんです。少しでも様子がおかしくなると、メンタルに響いてしまうから。風邪は絶対にひかないように気を付けていて、実際もう4年くらいは風邪をひいていないです。
義彦:それは凄い!どういう事をされているんですか?
ハロ:ライヴ前にアルコールを飲まない、機材車での移動中は基本的に話さない、喉のスプレーや飴、うがい薬を常備、そのあたりは絶対ですね。ライヴの時はボーカル用の小さなテーブルを置いて、喉の薬やスプレーを自分用のセットとして準備しておきます。使わない時もあるけれど、使わなくても置いておかないと“忘れた!”と思った瞬間に不安になってしまうので。自分の中では、ライヴの日はひとつひとつ“いつも通り”の環境を作るように心がけています。
義彦:ボーカリストはメンタルが一番大切ですよね。
ハロ:たまにお酒を飲んでステージに上がるボーカリストを見ると、凄いなと思う。
義彦:俺も前はそうでしたよ。メンタルが弱すぎて、アルコールの力で上げていかないとだった。テンションを上げるために飲むボーカリストは結構居ますよね。
ハロ:喉に一切の影響が無いならやってみたい気持ちもありますけど、僕の場合は絶対に影響が出てしまうと思う。
義彦:自分に合うスタイルが見つかった人は飲んでも良いと思いますが、今考えると俺には本当に良くなかったです。当時は“これだ!”と思って飲み始めたものの、その瞬間だけが気持ち良いような、何も大事にしていない勢いだけのライヴをしてしまった日もあったし。
ハロ:「飲んでいたほうが良いライヴができる。」と言う方も居るし、それぞれスタイルが違うから難しいですよね。
義彦:ライヴ後の喉の負担で考えたら、飲まないほうが良いです。カラオケで酒を飲んで大声で歌うと声がガラガラになるのと同じで、歌っている間は良くても終わった後が大変だから。
ハロ:声楽関係の方も、「お酒と大声は相性が悪い。」と仰いますよね。
義彦:きっと、ライヴ中の気持ち的には飲んだほうが楽だと思います。でも、“どうしてもっと噛みしめてライヴをしなかったんだろう。”と後悔が残ってしまうなら、結果的に良くない。俺は、コロナ禍でしばらく酒を飲まない時期ができて。最も酒を美味いと感じる瞬間はライヴの後なんですけど、コロナ禍でライヴが無くなったら急に酒を不味く感じるようになって、1年くらい飲まなかったんです。配信ライヴの後に飲んでも、全く美味く感じなかった。有観客でのライヴを再開してから飲んでみたら美味かったので、やっぱりライヴ後に飲む酒が一番なんだなと実感しました。
ハロ:コロナ禍になる前は、配信ライヴというもの自体があまり無かったじゃないですか。
義彦:正直、ボーカリストは特にやりたくなかったですよね。
ハロ:そう思います。ベルでも何度か配信ライヴをやらせて頂いたんですが、結果的に僕はやりたくないなと思ってしまって、ファンの人達にも「申し訳ないけれど、やりたくない。」と言いました。有観客+配信なら良いものの、配信のみだと正直リハと変わらない感覚で、達成感も得られなくて。
義彦:heidi.は平均月2本の配信を2年くらい続けてきて。始めた当初は、俺も「配信は苦手だ。」とブログに書いたりしていました。ただ、やっぱりその時はファンの人達を入れてのライヴはできなかったし、皆がheidi.を観られる場所はここしかないんだよなと思うと、段々と配信の大切さみたいなものも理解できてきて。少しずつ意識が変わっていった感じですね。
ハロ:配信では楽器や歌を混ぜて2MIXした音を流すから、要らない帯域が切られてしまうじゃないですか?その切られてしまった帯域こそが生のライヴで感じられる高揚感やグルーヴ感を生み出している部分だと思うので、普段ライヴハウスに足を運んでくれているファンの人達は絶対に物足りなさを感じてたはずで。でも、配信が終わった後に「配信してくれてありがとうございます。」とか「ライヴにはまだ行けないけれど、配信で観る事ができて楽しかったです。」とか感想を送ってくれて・・・それを読んだ時に、“あぁ、きっと気を遣ってそう言ってくれてるんだな、本当はライブハウスで観たかったよな。”と、何だか申し訳なく思ってしまって(苦笑)。
義彦:その言葉は気遣いでも嘘でもないと思うよ!(苦笑)
ハロ:そうなんでしょうけど、その時はライブハウスでみんなと一緒に過ごす時間を取り上げられてしまって、いつになれば有観客でライブできるか見通しも立たず、“このままだときっと誰も幸せになれない・・・。”と考えてしまって。
義彦:そうかぁ・・・。でも、未だにベルのライヴを観たくても観に来られない人も居ると思うし。うちも「heidi.のライヴに行きたい。」と言ってくれたまま2~3年来られていない人も居るから、そういう部分を考えて配信をするようになったんですよね。
ハロ:そうですよね。ベルも来たくても来られない人達に向けた発信についてはメンバー内で話していて、ライヴダイジェスト的な映像をSNSにアップしたり、少しでも雰囲気を感じてもらえるように、これまではやってこなかったアプローチもするようになりました。あと、節目のライヴは有観客+配信でやったり。周年のような記念日は、会場に足を運べなくても共にその日を迎えたいと考えてくれている全ての人達と一緒に過ごしたいので。なんならサクラ大戦も、配信ができるのなら是非両バンドとも観てもらいたいイベントです。
義彦:そうですよね。色々な面で、バンドもファンも厳しい時期だから。それでも、ヴィジュアル系のファンの人達は本当に良くマナーを守ってくれると色んなライヴハウスで耳にします。
ハロ:言われますよね!だから、MCでもずっと「きっともうすぐだから皆で乗り越えよう!」という気持ちで励ましてきたつもりなんです。でも、さすがに長いなって(苦笑)。
義彦:俺もMCで毎回のように「このご時世」という言葉を遣っていたけれど、ここまで長引くともう「この時代」になっちゃうよなと思っています。
ハロ:本当に。だから、僕はもうそういう話はしないようになりました。ワンマンなどでは触れる事もありますけど、ファンの人達も散々聞き飽きているだろうし、せめてライヴに来た時くらいは世の中の事を忘れたいんじゃないかなと思うようになって。とはいえ、ボーカルとしてあまりに無視するのも逃げのような気もするし、難しいですが。
義彦:加減が難しいです。
ハロ:発した言葉が真っ直ぐ届く人も居れば、「何を言っているんだ。」と感じる人も居ると思うし、捉え方は人それぞれなので。そこに関しては、今はもう嫌われたら嫌われたでいいやと気にしなくなりました。
義彦:俺も気にしなくなりましたね。素直に、自分で自分を間違っていないと感じられる言葉で話せたならそれで良い。
ハロ:大切なのは、自分に嘘をつかない事ですよね。自分の考えを自信を持って発言すれば、自分自身を裏切る事にはならないから。もしかしたら、その言葉で「裏切られた。」と感じる人が居るのかもしれないけれど、僕が僕自身を裏切らなければ強く居られる。ここ2年くらいで、やっとそういう感覚になれました。
義彦:歌も言葉も、届くべき人に届けば後悔は無いですからね。
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◆「死生観」と「生き方」と「4月2日」のお話。
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ハロ:ボーカリストは世界観が強い人が多いと感じるし、どういう価値観を持って生きているの
かという人間的な部分に興味があって。義彦さんには、“死生観”について伺いたいなと思います。
義彦:死生観・・・深い話だな。これまでに死のうと思った事は無いですね。
ハロ:“死”というものを、どういう風に捉えています?
義彦:今、この取材中に死んでもいいと思って生きています。
ハロ:いつ死んでも後悔しないように生きているという事ですか?
義彦:そうですね。かといって、何か特別な事をしているわけではないけれど。死に対する恐れはないし、本当にいつ死んでもいいです。俺にとっての“生きている”は、バンドと歌以外は何も無いんですよ。まぁ、“ステージ上で死ぬのはメンバーにもファンにも失礼だし迷惑だよな。”とか考えたりはしますけど(笑)。
ハロ:かなり極端な話ですが、周囲への迷惑とかは全て置いておいたとして、どういう状況下でこの世を去るのが一番幸せだと思いますか?
義彦:ライヴが終わって全て出し切った瞬間に死んでもいいな、とは思いますね。でも、後悔が残るライヴでは死にたくない(笑)。それこそ、ライヴ後の風呂でも良いですね。“今日のあそこ最高だったな!”って言いながら死ぬのもよさそう。
ハロ:僕も、ライヴが終わってメンバーと「今日、良いライヴだったな~!」とか言いながら楽屋に帰ってきて椅子に座って、メンバーが談笑している中で静かに死ねたら凄く幸せだなと思います(笑)。でも、お迎えって来て欲しいタイミングでは来てくれないものなんだろうなと思う。
義彦:そうですよね。
ハロ:人間が生きていく上で、“死”というのは絶対的な約束じゃないですか。自分にもいつか起こる事だとわかっているから、漠然とそれを見据えてはいるんです。同時に、おそらく自分の死よりも先に終わりを迎える事柄が身の回りに沢山あるはずなのに、そういうもっともっと身近にある終わりの事はちゃんと見据えられていないような気がしていて。言い方が難しいですが、僕は常に“いつまで音楽を続けられるんだろう。”と考えてしまうタイプなんですね。全ては終活というとおかしいですけど、終焉に向けて生きている感じがあるというか。死を迎えるよりも先に片付けなくてはいけない終わりが色々と出てくるんだろうなと考える度に、凄く落ち込むんです。
義彦:う~ん・・・たぶん、俺と真逆ですよね。まず、俺は落ち込まない。でも、落ち込まないという事は反省もしないから良くないんですよ。前にベルと対バンした時、ライヴ後にメンバーが集まって反省会みたいな事をしていたじゃないですか?毎回やるのかはわからないけれど、heidi.にはああいう事が無いんです。
ハロ:毎回はやらないですが、流れが良くなかったなと感じた時はすぐに話し合うようにしています。heidi.さんの場合は間違いを起こさないから必要無いという事じゃないですか?
義彦:間違いが起きる事はあるんですよ(苦笑)。勿論、“もっと上を目指そう!”という姿勢は俺らにもあるんだけど、それが外からは見えなかったりする。だから、ああいう姿を見ると見習わないといけないなと思います。
ハロ:たぶん、それも“今、この状態でバンドが終わったら後悔する。”という想いからきている行動だと思うんです。それはバンドに限った話ではなくて、日々の全ての行いが終焉に向かっている感覚が強いので。コロナ禍で活動できなかった時期にデザインの勉強をしたのも、“この時間を無駄にしたら絶対に後悔する。”という気持ちがあったからなんです。義彦さんが言って下さったメンバーとの話し合いも、そういう意識の一環だと思います。
義彦:ハロくんは日々常に考えていて、考えない時間は無駄という感じなんでしょうね。
ハロ:メンタル的には、必ずしも良い事ではないんですけど(苦笑)。
義彦:確かに、メンタルは疲れちゃうんじゃないかなと思う。俺とハロくんの中間くらいの人が居たら良いね(笑)。
ハロ:そうですね(笑)。そういう人が、上手い生き方ができる人なのかなとも思います。
義彦:でも、こういう性格だからなのか、俺はどんな人とでも接しやすいし意外と溶け込めるという事を最近になって自覚したりもしていて。年齢も意識しないから20代にタメ口で話されても特に気にならないし・・・何も考えていないからかもしれないけれど(笑)。
ハロ:そんな事はないですよ!それはもう、ひとつの才能なんだと思います。それに、僕には考えてそこに至られたように見えます。
義彦:そうなのかなぁ。
ハロ:僕はとにかく暇が怖くて、何もしていない時間が不安なんです。だから、バンドの中の仕事をたくさん抱え込みがちで、忙しければ忙しいほどドーパミンが出て忙しい自分に安心している部分もある気がします。
義彦:忙しい事が好きなんでしょうね。
ハロ:それはあります。あとは、メンバーに対して報いたい気持ちがあるんです。前メンバーが脱退した時に「ベルを続ける。」という決断をしてくれた明弥と正人に対しても、当時既に活動歴が6年あったバンドに加入する決断をしてくれたルミナとタイちゃんの覚悟に対しても、絶対に報いなくてはという気持ちが凄く強い。それ故に、「あれもこれも、俺が全部やる。」とタスクを抱えたくなってしまうのもありますね。でもだからこそ、どんどん「新しい事をしよう!」という提案ができるようになりました。
義彦:きっと、今のベルが楽しいんですよね。
ハロ:楽しいですね!やりがいを感じています。
義彦:それが一番だと思います。俺は、ドーパミンが出るのはライヴだけですね。セットリストを考えるようになってからは、ライヴとの向き合い方がより深くなったと思います。ファンに対する感謝の気持ちが強くなればなるほど、自分が良いと感じるものをしっかり見せたいという意欲も大きくなりますし。でも、俺の場合はライヴが終わって「お疲れ様!」と帰った後は、音楽の事は考えないです。たぶん、それが俺のスタイルなんだと思う。
ハロ:でも、ライヴの事を思い返したりはしますよね?
義彦:風呂の時くらいだね(笑)。風呂の中でライヴでの楽しかった事を思い出して、スッキリして上がったらもう音楽の事は考えない。
ハロ:1週間後、3日後、明日とライヴが近付いてくる過程では心境が変わりますか?
義彦:前日くらいに、多少は。それでも、俺は眠れてしまうけど(笑)。フラット過ぎて困っているくらい、何も気負わないですよ。生活の中に音楽があって、音楽が一番好き。だから、真剣に向き合う。でも、その時間が終わったら自由。何もしないし考えない時間も必要。そういう人間ですね。ハロくんみたいに常に考えていられるのは本当に凄いと思うし、同時に「疲れちゃうんじゃないの、大丈夫?」って気持ちにもなる。
ハロ:疲れ・・・ますね(苦笑)。こんな生き方しかできない自分に対して、自己嫌悪になったりもします。
義彦:いや、俺よりもずっと良い生き方をしているから!
ハロ:いや、そんな事はないですよ!僕と接する人は、僕の変に考え過ぎてしまうところを面倒に感じるだろうし、気を遣わせてしまう可能性が高いんです。きっと義彦さんは一緒に居て心地良いというか、御自身もストレスを抱えないし周囲にもストレスを与えない方なんだろうなと感じるので、凄いなと思います。
義彦:ある意味、周りを気にしていない人間なのかもしれないですよ?
ハロ:周りを気にしない人からは自分勝手な印象を受ける場合も多いけれど、義彦さんはそうではないですから。
義彦:俺は“合わないな。”と感じた人とは遊ばないというのもあると思う。もし第三者から相手に関する良くない噂が入っても、実際に会って自分の目で判断しなければ真実はわからないし気にせず会う。でも、その結果合わないと感じたならもう遊ばない。人に対して、合う・合わないの基準がはっきりしているのかもしれないです。
ハロ:僕も昔はウェルカムタイプだったのに、年々閉ざしていってる気がします。たぶん拗らせていってるんです(苦笑)。
義彦:何か心配になってきた!あまり考え過ぎないほうが良いよ。
ハロ:そうですね(笑)。今日、こういう機会があって本当に良かったです。
義彦:この対談のおかげで距離が縮まった気がするし、俺も楽しかったです。
ハロ:ありがとうございます!冒頭でも話しましたが、この2MANをきっかけにいずれまた色々と面白い事をやっていけたら嬉しいですし。
義彦:良いですね。ヴィジュアル系、更に頑張って盛り上げていかないとですから。
ハロ:まずは、この対談を読んでくれた人達が2人の温度感を感じて、知った気になってくれたら良いなと思います。ベルを観に来てくれた子達にはheidi.さんを観るきっかけになって欲しいし、heidi.さんのファンの方達にもベルを観てもらえたら嬉しいし。この温度感を共有してもらえたら良いですね。
義彦:そう思います。意外と真逆な部分が多い2人だというのも面白かったしね。あと、今日話していて、当日はあえてちょっと昔の歌謡テイストの楽曲を持ってこようかなと思ったりもしたので、そういう部分も楽しんでもらえたら良いな。
ハロ:それは楽しみです!僕にとってもベルにとっても刺激的な1日になる事は間違いないので、全力でぶつからせて頂きます!
義彦:こちらこそ、よろしくお願いします!
取材・文:富岡 美都(Squeeze Spirits/One’s COSMOS)
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初めまして限定2マン企画
「サクラ大戦-REVENGE-」
開 催 !
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「第壱夜」
4月2日(土) vs heidi.
チケット発売:2月19日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565040001-P0030001
「第弐夜」
4月9日(土) vs GRIMOIRE
チケット発売:2月20日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565050001-P0030001
「第参夜」
4月16日(土) vs Leetspeak monsters
チケット発売:3月5日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565060001-P0030001
「第肆夜」
4月22日(金) vs ヤミテラ
チケット発売:3月6日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565070001-P0030001
「第伍夜」
5月1日(日) vs Ashmaze.
チケット発売:3月12日〜(e+ A1〜)
https://eplus.jp/sf/detail/3565090001-P0030001
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