2022年05月04日 (水)
【ライヴレポート】<Psycho le Cému New Concept Live『RESISTANCE~覚醒の狼煙~』>2022年5月3日(火・祝)LINE CUBE SHIBUYA◆「未来はもう始まる」という歌詞のとおり、幕を開けた彼らの未来。
NEWS - 15:00:2023周年を迎えたPsycho le Cémuが5月3日LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でニュー・コンセプト・ライブ!!
Psycho le Cémuと言えば、ド派手なヴィジュアルを思い浮かべる人が多いかもしれない。けれどもそれは、さまざまなコンセプトを打ち立てて活動する彼らの一面にすぎない。彼らはもっと多面的な魅力と想像を超える可能性に満ちたバンドだ。結成23周年を迎えた5月3日、LINE CUBE SHIBUYAでのNew Concept Live『RESISTANCE~覚醒の狼煙~』を観て、そんな思いを新たにした。
この日、お披露目になった新コンセプトは、「RESISTANCE」。彼ら5人はレジスタンスの一員であり、さまざまな自然現象や物を操る力を手にしている。ライヴの冒頭、紗幕には彼らが生きる世界をイメージさせるような言葉が現れた。そこでは、人間の犯した罪の数だけ雨が降っているらしい。雨音のSEが、現実から異世界へと観客を誘っていく。
紗幕が上がって目に入ってきたのは、ステージ後方、ひときわ高い位置になびいている「アカツキ」の旗。そこへYURAサマから順に一人ずつ登場するメンバーは、「我が隊は諸君らを歓迎する!」という言葉で締めくくる堂々たる演説を聞かせる。何が始まるのかと食い入るようにみつめる観客。緊張感に満ちたオープニングだ。
最後にDAISHIが姿を現し、始まった一曲目は「アカツキ」。コロナ禍で20周年記念ツアーの延期が続く中、それでも前へ進む意志を強く示したこの曲が新コンセプトの鍵となっている。みなぎる気合いが感じられるような演奏に、つややかなDAISHIの歌声が乗る。そのまま「ノスフェラトゥ」「2020」と続くセットリストからは、シリアスでドラマチックな新コンセプトの方向性が感じられた。
紗幕が下り、「罪の雨」をイメージさせるような水滴の映像に稲光が走る。THUNDER MASTERであるDAISHIが雷を操ったようだ。この後も、各メンバーがさまざまな異能の力を発揮していくのだが、キャラクターとメンバーの個性のミックス具合がほどよく、メンバーを深く知るファンもそうでない観客も楽しめる仕上がりだった。
「インドラの矢」が始まると、高い集中力でライヴに臨んでいる5人の緊張感が伝わってくる。ロックバンドとしての本領発揮といったところだろう。語り掛けてくるかのように始まったLidaのイントロのフレーズから「妄想グラフティー」、歌の説得力が光った「蒼い星」と、楽曲のクオリティと演奏力の確かさを堪能させてくれる。特にDAISHIの歌声は豊かでノビがあり、細部にまで神経の行き届いた歌は圧倒的な存在感を放っていた。
時計の文字盤の映像に続くのは、TIME MASTERのYURAサマ。そして「クロノス」が、紗幕を下ろしたまま始まる。演奏するメンバーの姿に映像が重なり、視覚的に非常に面白い効果をあげていた。楽曲を聴かせるだけではない、エンターテインメント性にあふれるライヴを展開してきた彼らならではと言えるだろう。
FIRE MASTERのAYAは、持ち前のキュートな一面も垣間見せつつ、炎の大きな輪を出現させたかと思うと、マイクを手にして最初に放った言葉が、「はい、(ここから)現実」。緊張し続けてきた会場の空気が一気にゆるむ。おなじみの「おっは~」の挨拶をすると、観客や各メンバーの心の声が聞こえると言いつつ、チクリと毒の効いた一言を交え、笑いを誘っていた。ここでAYAのMCが入ったことで、YURAサマとAYAがダンスで華を添える「Prism」への流れも違和感なく自然だった。幅広い音楽性も彼らの魅力であるだけに、「RESISTANCE」というひとつのコンセプトの中でもこのような工夫は嬉しいところだ。
LidaがIRON MASTERであるのは、メタル好きが由来しているからなのか、「フルメタルに溺れ合おうぜ!」と、ハードな「銀狼」を激しいノリで聴かせ、GHOST MASTERのseekをフィーチャーした「Murderer・ Death・Kill」では、ホラー映画さながらの映像を使うなど、曲とメンバーのキャラクター、ひいては新コンセプトを巧みにリンクさせ、一瞬たりとも目が離せないライヴが続く。
ライヴも終盤戦に入り、メンバーも観客も感情を高ぶらせ、荒々しさを増していく。その熱が「愛の唄」で心地よい温もりになって会場を包み込んでいった。美しく輝く照明の光に、それまで目にしていたのは暗い夢であったのかとも思えたが、流れ出した雨音に、5人のレジスタンスが生きる世界へ連れ戻される。青い照明に彩られる中、最後に贈られたのは「哀の雨」。しっとりと大人っぽくしめくくった本編は、最後まで新コンセプトを丁寧に表現し、Psycho le Cémuがこれから進む道をはっきりと提示した。
その後、流れるエンドロール。そして伝えられたのは、「物語は始まったばかり」ということ。この暗くすさんだ雨の続く世界は、コロナ禍にあえぐ現在の世界の状況とも重なる。「アカツキ」で「もう一度行こうぜ」と前へ進み始めた彼らは、雨を降りやませ、明るい世界を取り戻せるのだろうか。コロナの終息は未だ見えないが、23年の間にさまざまな出来事を乗り越えてきた彼らだからこそ、たくましく突き進んでいくはずだ。ステージ上ではためくアカツキの旗の下に揃った5人の姿は雄々しく、誇りに満ちていた。
ファンファーレで華やかに23周年をお祝いして始まったアンコールは、本編がウソのようにハッピーな空気にあふれ、5人も笑顔。一人ひとり、この23年間のお礼を口にし、これからへの決意を表明していく。そしてこの日の最後を飾ったのは、「REMEMBARANCE」。DAISHIの歌声が始まった途端、広い会場の空間がさらに大きく広がり、そこへ声が満ちていくような心地よさを感じた。
「未来はもう始まる」という歌詞のとおり、ここからまた彼らの未来は幕を開けた。未来のことはまだ誰にもわからない。けれども、5人の充実感に満ちた晴れやかな表情を見ていると、彼らの未来が明るくないはずがない、そう思えた。まずは7月からのツアー『RESISTANCE-領域拡大-』で、ひとりでも多くの人が現在の彼らに触れることを願っている。
文◎村山幸
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<最新情報>
■Psycho le Cému「RESISTANCE-領域拡大–」
7月13日(水)新横浜NEW SIDE BEACH!! 開場18:00 開演18:30
7月18日(祝・月)HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ–4 開場17:00 開演17:30
7月20日(水)HEAVEN‘S ROCKさいたま新都心VJ–3 開場18:00 開演18:30
7月27日(水)柏PALOOZA 開場18:00 開演18:30
7月30日(土)浜松窓枠 開場17:00 開演17:30
8月6日(土)山梨KAZOO HALL 開場17:00 開演17:30
8月11日(祝・木)水戸ライトハウス 開場17:00 開演17:30
8月26日(金)LIQUIDROOM 開場18:00 開演18:30
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モバイルFC 先行受付5月3日21:00~5月15日23:59迄
一般発売6月19日
お問合せ:DISK GARAGE050–5533–0888(平日12:00~15:00)
*浜松窓枠(サンデーフォーク静岡054–284–9999)
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